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亡国の黄泉竈食い

#ダークセイヴァー #常闇の燎原

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#ダークセイヴァー
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#常闇の燎原


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「……集まってくれて、ありがとう。
 早速だけど……みんなは、『常闇の燎原』って、知ってる?」
 グリモアベースに集まった猟兵たちに向けて問いかける編堵。
 しかしそれは、大半の猟兵たちには聞き馴染みがない言葉だった。
「知らないよね、うん……私も、さっき知ったばかりなんだ。
 『常闇の燎原』っていうのは、ダークセイヴァーの中でも人が住んでるところの外側の、誰も知らない場所の事。
 何でそんなところの話をしたか、っていうと……最近、第五の貴族が私たちの事を『第四層からの侵入者』って呼んでたんだよね。
 で、えーと……第五の貴族って地下の世界にいるから、あいつらがいるのが第五層。
 普通の人たちや普通のヴァンパイアとかがいる、ダークセイヴァーの地上が第四層、って事らしいんだ。
 つまり、上には第三層があるはず……なんだけど、それらしい場所は知られてる限りじゃ無いんだよね。
 ……だから、誰も知らない『常闇の燎原』を探索してみよう、って話なんだ。」
 そう言って編堵がゲートを開くと、名前通りの常闇の空間が広がっていた。
 おおよそ人の住める場所ではなさそうだが……よくよく見れば、どうやら火を焚いた灯りが見える。
「この先にいるのは、みんなが狂えるオブリビオンって呼ぶような奴らだけ、だよ。
 あの灯りの辺りにいるのも、そうなんだ。
 ……あいつが振る舞ってくる料理、美味しそうでも食べない方がいいよ。
 材料は……ここに迷い込んだ人間、だから。
 頑張って、ね。」


ヨグ
 ヨグです、第三層を見つけに行きましょう。

 なお第一章の敵は、和洋中の料理なら何でも作れます。
 好きな食べ物を出されて葛藤したり、全く気にせず食べてしまったりしてください。
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第1章 ボス戦 『人間大好きな人狼の料理人』

POW   :    食べないのかい?こんなに美味しいのにさ!
戦闘中に食べた【魔獣、人間を調理したもの 】の量と質に応じて【全身の細胞が活性化して新たなレシピを考案】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
SPD   :    食べたいものを言いなよ!肉料理がオススメさ!
手持ちの食材を用い、10秒でレベル×1品の料理を作る。料理毎に別々の状態異常・負傷・呪詛を治療する。
WIZ   :    食材が足りないねぇ……ちょっと取って来ようかい
戦場に、自分や仲間が取得した🔴と同数の【食材となる人間たち 】を召喚し、その【倫理観の欠如した料理の見た目と匂い】によって敵全員の戦闘力を減らす。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠編堵・希亜です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

水鏡・怜悧
詠唱:改変・省略可
人格:アノン
液体金属を纏って狼耳と尻尾を象る。手足にも纏って獣人のような姿になるぜ。
「血のイイ匂いがするから来てみたが、随分美味そうなことになってるじゃねェか」
人間を喰う人間もいるのかと思ったが、人狼か。まぁ何でも構わねェか。
「あ?料理?オレは生が好きなんだ。一番イキの良いテメェから喰らってやるぜ」
出された料理は適当に喰い散らかすぜ。人間ならむしろ好物だ。UCを発動してたとえ毒でも喰ってやる。
真っ直ぐ駆けて腹に膝蹴り。倒れたところを右腕の内側に噛みつき喰らうぜ。
「あァ、返り血が乾いてもったいねェな。今度は乾く前に喰い尽くしてやるよ、ヒャハハハハ」



 真っ暗な平原、遠くの明かりを目指して歩いていると、足下で踏まれる草の音だけが響く。
 人どころか生き物の気配もない場所だというのに、どこか美味しそうなスープの匂いが血臭と共に漂っていた。
「へっ……血のイイ匂いするから来てみたが、随分美味そうなことになってるじゃねェか。」
「おや、同族かい? こんなところまで来るのは大変だったろうに。」
 明かりの下へとたどり着いた水鏡・怜悧(ヒトを目指す者・f21278)の呟きに、火に掛けたスープ鍋をかき混ぜていた女性は楽しげに語りかけてきた。
「同族? ……あぁ、人間を喰う人間もいるのかと思ったが、テメェは人狼か。」
「そういうことさね。あんたのその耳見りゃ分かるよ、同族だろうってね。」
 水鏡が纏うUDCでもある液体金属が狼の耳を象っている上、暗い中では見分けも付かないのだろう。
 丸々と太った手で、そのまま鍋に入っているドロリと重い液体をお椀に掬い、
「丁度煮えたところさ。ほら、たんとあがんな。」
「……あ? 料理?」
「そうさ、牛で作ればビーフシチューって所だね。」
 渡されたお椀からは、ほわんと美味しそうな匂いが鼻腔に滑り込んでくる。
「チッ……オレは生が好きなんだが。」
 そう呟きながらも、水鏡は熱いまま口の中に流し込んでいた。
 よく煮込まれた肉はほろりと口の中で溶けていく……確かに美味しいが、
「どうだい?」
「……あぁ、不味くはねえな。けどよォ、」
「がはっ!?」
 突然の跳び蹴りを女性は避けることが出来ず、水鏡の膝がその丸い腹に突き刺さっていた。
 倒れた所に覆い被さり、涎を垂らしながら大口を開け、
「一番イキの良いテメェから喰らってやるぜェ。」
「ぐっ、あああ!」
 右腕の内側の柔らかい肉へと食らいつき、引き千切っていた。
「あァ、やっぱり生が一番だぜェ。」
「……はは、やるじゃないか。そんなにお腹が空いてたのかい?」
「あぐっ!?」
 突然女性は左手で水鏡の口を掴むと、それを支えに身を起こす。
 投げるでも絞めるでもなく、ただそこにあったからという掴み方に反応の遅れた水鏡に対し、
「そんなに慌てるんじゃないよ、」
 右腕の傷は気にせず鉈を取り、鍋の横に置いてあった袋から動かない人間を引きずり出す。
「生が良いなら用意してあげるさ。」
「……あァ、返り血が乾いてもったいねェな。今度は乾く前に喰い尽くしてやるよ、ヒャハハハハ。」
「あぁ、たんと食べなよ。」
 餌付けでもするかのように、ぶつ切りにした人間の腕を水鏡へとほうってよこしていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ミニョン・サフィール
【アドリブ歓迎】【ソロ希望】

【怪盗参上】を使って空を泳ぐ人魚姿となって戦いますけど……食材となる人間を召喚されると攻撃をやめて自分を身代わりにしてほしいとお願いします

そして人魚姿のまま料理にされてしまいそうです



「さて、次は何を作ろうかね……おや、」
 女性の視線の先には、すっかり中身のなくなったズタ袋。
 丸い指を顎に当てながら、女性は言葉を続けていた。
「あぁ、食材が足りないねぇ。まぁいいか、」
 視線の先には、明かり……女性の焚く調理の火を目指して歩く、常闇の燎原に紛れ込んでしまった人の群れ。
 風にながれてきた彼らの匂いを感じ取り、笑顔で口に湧き出す唾液を呑み込みながら、女性は鉈を掴む。
「あの人たちを歓迎しないとね。まずはシチューの残りで……」
「魔法怪盗サファイア、参上です!」
「おや? ごふっ!?」
 上空から響いた名乗りに顔を上げると、ひらりとした青い衣装をたなびかせた人魚の姿が先ず目に入り……勢いよく飛び込んできたミニョン・サフィール(魔法怪盗サファイア・f32433)の足に当たる尾鰭が、女性の顔に突き刺さった。
 そのまま太った身体が仰向けに倒れ……またふわりと浮かび上がったミニョンは、改めて女性へとビシッと指を向けて言い放つ。
「美味しい料理を作りたいのはわかりますが、人間はあなたのご飯じゃありません!」
「はっ、はは、何を言ってるんだい。」
 口から垂れる血を拭いつつ鉈を手に起き上がる女性は、ミニョンの言葉に対して不敵な笑みを浮かべて言葉を返す。
「あたしゃ、みんなに美味しい料理を食べて貰いたいのさ。しかしね、ここじゃ肉なんてなかなか手に入りゃしない……その時思ったのさ、」
 ちらりと向けた視線の先には、食べ物の匂いにつられて近くまで来ていた、迷い込んだ人々の姿。
「人間にも肉があるじゃないか。それも、とびきり美味しいのがね!」
「だめです! あの人たちには手を出さないで!」
「じゃあどうするんだい? じきにあいつらはここに来るさ、あたしはあいつらのための料理を用意したいだけなんだよ。」
「だ、だったら……。」
 声を震わせ、女性の前にミニョンは降り立ち……目を閉じて言葉を続けた。
「ボクを……使って、ください。」
「へぇ、いいのかい? ははっ、人魚の肉なんて初めて使うねぇ。」
 むんずと太い指でミニョンの腕を掴み上げ、鉈を振り上げる。
「っ!?」
「良い匂いだねぇ……これを食べたら、永遠に生きられそうじゃないかい?」
 身体を切り刻まれる痛みの中、ミニョンの意識は闇の中へと堕ち消えていった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シホ・イオア
まともな料理だったら良かったんだけどね

その料理をやめなさい!
彼らは食べられることを望んでいないよ。
普通の料理なら大歓迎なのに。
そんなに肉が欲しけりゃ自分のお肉を使ったら?
貴方はただ、料理がしたい、食べたい、だけでしょ?

犠牲になった人たちを思うと心が痛むね
全力で止めるよ。
ガトリング砲で人間たちに近づけないように
【制圧射撃】の【弾幕】を張ったりして足止め。

「輝石解放、ルビー! 愛の炎よ、邪悪を焼き尽くせ!」
【破魔】【浄化】【全力魔法】【神罰】【精神攻撃】【限界突破】
【高速詠唱】【鎧無視攻撃】
使えるバフは全部盛って収束させた炎を撃つ。

アドリブ連携歓迎



「く……何故、こんなことを!?」
「はは、何故かって?」
 笑みを浮かべて鉈を手に近づいてくる太った人狼の女性に対し、足を傷つけられた男が叫ぶ。
 しかし、その叫びは女性の笑みを深くするだけ……生きの良い肉だ、という笑みを。
「次に作る料理の材料が足りなくてねぇ。」
「ま、まさか……さっきのは!」
「あんたは少し筋張ってそうだけどね……でもまぁ、煮込めば美味しく」
「その料理をやめなさい! 彼らは食べられることを望んでいないよ!」
 上空から声が響き、振り上げた鉈が降り注ぐ銃弾に弾き飛ばされる。
 見かけによらず素早く跳び退った女性と男の間に飛び込んできたのは、ガトリングブーツを履いたフェアリーのシホ・イオア(フェアリーの聖者・f04634)。
「とんだ邪魔が入っちまったねぇ。」
「当たり前でしょ? 普通の料理なら大歓迎なのに、人間を料理するなんて間違ってるよ!」
 ちらりと視界の端に映る、火に掛けられた美味しそうな匂いが立ち上るシチュー鍋……つまりあれも、
「そんなに肉が欲しけりゃ、自分のお肉を使ったら? 貴方はただ、料理がしたい、食べたい、だけでしょ?」
「あっははは……なかなか言うじゃないか、おちびちゃん。」
 笑いながら、女性は鉈を拾い上げる。
 血にまみれたエプロン姿で言葉を続けていた。
「その通りさ……でもね、あたしは人が大好きなのさ。飢えた人を見たら放っておけなくてねぇ。」
「だったら、」
「1人は死んでも10人がしばらく腹一杯食えるんだ、何も問題ないだろ?」
「……そんなの、間違ってる!」
 鉈で斬りかかってくる女性にガトリング砲を撃ち放ち、浮かび上がったシホの周囲に炎の輝石が浮かび上がった。
「輝石解放、ルビー! 愛の炎よ、邪悪を焼き尽くせ!」
「がはっ……ぐあああああ!?」
 丸い腹に一発撃ち込まれ、女性が怯んだ隙にシホの手に収束した炎が浴びせかけられる。
 しかし、炎に捲かれてもなお、その丸い身体は倒れない。
「はっはっは……良い匂いじゃないか。」
「……食欲だけはわかないよ。」

大成功 🔵​🔵​🔵​

ラハミーム・シャビィット(サポート)
 シャーマンズゴーストのUDCメカニック×戦場傭兵、25歳の男です。
口調は、掴みどころの無い変わり者(ボク、キミ、デス、マス、デショウ、デスカ?)

人と少しずれた感性を持っていて、面白そうならどんな事にも首を突っ込む、明るく優しい変わり者です。
戦闘時にはクランケヴァッフェや銃火器の扱いは勿論、近接格闘術のクラヴ・マガなどでド派手に暴れ回ります。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



「ぐっ……さすがに、そろそろキツいね。」
 身体を焼かれ、腹に銃弾を撃ち込まれた人狼の女性。
 重い身体をふらつかせつつ、今まで使っていた調理器具の方へと視線を向けると、
「フムフム……人間を食材に、デスカ。」
 鍋の中身を覗き込む、黒いコートを着たラハミーム・シャビィット(黄金に光り輝く慈悲の彗星・f30964)の姿があった。
「あんたも、何か食べるかい?」
「ボクも人間の肉は食べたことはないノデ、非常に興味深いデスガ……やめておきまショウ。第一、」
 肩をすくめてラハミームは辺りを見渡す。
 竃の火が照らす中には、人の姿は存在していなかった。
「……材料がない、デショウ?」
「ははっ、分かってるじゃないか。」
 言葉とともに、女性は手にした鉈をラハミームへと叩きつけた。
 それまでの動きとは比べものにならないほど素早く……しかし、その重い刃は空を切った。
「残念ながら、ボクはボク自身を食べる趣味はないのデスヨ。」
「がはっ!」
 女性の突進も既に知っていたかのように躱し、方尖柱型の大鎚で背中を叩き伏せる。
 そのまま地に伏せた女性は、自分の腕が黒い塵へと変わっていくのを目で追い、
「ははっ……次は材料も、用意しないと、ねぇ……。」
「ええ、その時ハ。」
 呟きを残し、女性が塵へと変わった時、ラハミームはゆらりと少し体勢を崩していた。
「グ、邪神たちの声ガ……ヤレヤレ、これさえ無けれバ。」
 自身を救ってくれるとはいえ、これだけは慣れませんネ。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 冒険 『カサカサ音の恐ろしい奴ら』

POW   :    みぎゃー!?叩くもの叩くもの!?…ってデカいよ!?

SPD   :    こんなこともあろうかと!別世界の殺虫剤で駆除する!!…耐性持たないでくれよ?

WIZ   :    洗剤や石鹸水で奴らの呼吸器を塞ぎ、窒息させる!!…足りるかなぁ?

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 人狼の料理人を倒した猟兵たち。
 しかし、その足下で何やらカサカサと音がする事に気がついた。
 竃の残り火を頼りに、恐る恐る地面へと目を向けると……そこにいたのは、とても大きな、黒光りした、嫌悪を喚起する、素早く、時に飛ぶ、人間の生活環境に入り込む、あの虫、Gと呼称される、食べ物を食い漁る、それは……猟兵たちの靴よりも大きいそれが、大量に這い回っていた。
 ……どうやら、奴らは料理人が残した食べ物を狙っていたらしい。
 彼女がいる間は追い払われていたようだが……今、追い払う人は居なくなっている。
 奴らは底無しの食欲を満たそうと、食べ物へと群がってきたのだ。
 そして、ここで手に入るのは人の肉が主だ。

 つまり……猟兵たちも、例外ではない。
ミニョン・サフィール
【ソロ希望】【アドリブ歓迎】
目が覚めると顔と服は綺麗なままで料理にされていて………そして無数のGの出現に恐怖しながらも料理なので動けずにそのままGに自分の料理を食べられて恐怖で泣き出してしまいそうです



「う……ん。」
 苦しそうな呻き声とともに、ミニョンの意識は夢の淵から少しずつ戻ってきた。
 自分が無力な魚になり、怖い狼に捕まって生きたまま料理にされるという悪夢。
「……やめて、ボクを食べないで!」
 何も出来ずに、大きく開いた狼の赤い口がせまる……叫び声とともに目を開けば狼の口はなく、ミニョンの視界に映るのは赤い熾火。
 その顔を優しく照らすのは、竃に残る暖かい火。
「あぁ良かった、ボクは寝てたんです……ね?」
 ……動けない。
 手や足の指すらも動かしている感覚は無く、恐る恐る瞳を動かして周囲を見ると、
「あれ、は……ボク、の?」
 普段ミニョンが着ている、魔法怪盗サファイアの水色の衣装が目に映る。
 横たわる自分の身体が正面に……ふと、美味しそうな匂いが鼻をついた。
「あ、あぁ……。」
 ここで、首だけのミニョンは全てを思い出した。
 人魚となっていた腰から下、そして柔らかそうな腹は肉を剥ぎ取られ……服とともに残った身体の上に、焼かれた肉が盛り付けられていたのを。
 ……それを全て生きたまま、気を失うまで。
「夢じゃ、なかったんだ……。」
 身動き一つ出来ず、涙に揺らぐ視界の端に……黒いモノが動いた。
 カサ……カサカサ……。
「……え?」
 耳へと近づく音とともに、細い枝のようなモノが首筋から耳へかけて、いくつも押し当てられた。
 何本も、何本も……。
「な、に……?」
 何かが、耳へと触り……その時、焼かれた自分の肉へと這い上がる、鈍く黒く輝く甲虫の姿が、
「うそ……痛っ!」
 その大きさに悲鳴をあげたミニョンの耳を、小さく囓り取られる痛みが走る。
 つまり、さっきの枝のようなモノは……。
「やだ、やめて……ボクを、」
 自分の身体を料理されたモノが……水色の衣装に乗せられた肉が、黒に覆われる。
「ボクを、食べないで!」
 懇願するミニョンの声はやがて、黒く集る虫の下にかき消えていった……。

成功 🔵​🔵​🔴​

水鏡・怜悧
詠唱:改変・省略可
人格:アノン
虫か……嫌いじゃねェが、イマイチ喰いでがねェんだよな。さっき美味い肉喰ったばっかりだし……
何か大量にいるし、潰したら面白ェかなァ?
液体金属(ケルベロス)を纏って5mほどの狼のような姿になるぜ。虫から虫へ、跳ねるように移動しながら踏み潰す。

「思ったより素早ェな」
顔に飛んできたヤツを前足ではたき落とす。面白ェけど、大した反撃もねェから飽きてきたな。

纏めて潰してやるか。
バスケットボール大の液体金属から重力を発生させ足止め。さらに炎属性を重ねて燃やし尽くしてやるぜ


シホ・イオア
Gかー。
しかもなんか大きいし。
……光ってるシホっていい的じゃない?
飛ぶんだろうなー。
……やだなー。

でも人々を襲うんだし殺るっきゃないよね☆(ヤケ

結界術で安全地帯を作り全力で撃退。
「輝け!シホの光!」
貴方達も生きるためだから悪くない、悪くないんだけど、ごめんね。

限界が来たら相手が飛べないような高さまで飛んで避難かな。
同じように避難できない人がいるなら飛空艇で保護。

アドリブ連携歓迎



 一方。
 カサカサと這い回る音が近づいてくるのでシホが飛び上がると、その足下の地面を黒い甲虫が這い回っていた。
「Gかー……しかもなんか大きいし。」
 呟きの通り、サイズが大きい……フェアリーであるシホの身長よりもありそうだ。
 触覚をゆらゆらと揺らしながら何かを探して地面を這っているが、
「……まさか、ね?」
「いや、狙いはお前だろ。光ってるしなァ。」
「あ、やっぱりそうだよねー……。」
 1匹をぐしゃりと踏み潰しながら語りかける水鏡。
 改めてシホは認識が正しかった事を知り、ちょっとだけ沸き起こる身震いとともに言葉が漏れる。
「飛ぶんだろうなー……やだなー。」
「ヒャハハ、だったら全部叩き潰すしかねェなァ?」
 笑う水鏡の体に黒い液体金属が纏わり付き、その姿を巨大な狼へと変えていく。
 その時、足下の甲虫が翅を開くのが見えた。
「そうだね。放っておくと人々を襲うんだし、殺るっきゃないよね☆」
 飛びあがる甲虫たちに向けてヤケクソ気味に叫び、空中でシホは自身を覆うように結界を張り巡らせた。

「輝け! シホの光!」
 襲いかかる虫へ向けて突き出した両手から放たれるのは癒やしのオーラ。
 本来であればシホの近くいる者の身を癒やすものだが、安心からの脱力感を与えるモノとなっていた。
「ヒャハハッ、良いねェ! ……しかしよォ、」
 明らかに飛ぶ速度が落ちた虫を狼の前足で叩き潰し、目の前にいた1匹をパクリと咥えた水鏡。
 そのままぐしゃりと噛み砕く音に、
「ええ!? た、食べるの?」
「んァ? 虫は嫌いじゃねェが、イマイチ喰いでがねェんだよな。さっき美味い肉喰ったばっかりだし……。」
「そ、そうなんだ……。」
 確かに潰すとべちゃっと平らになるけど……なるけど……と、シホが呟きかけた時、さらなる羽音が辺りに響く。
「それよりだァ……もう纏めて潰しちまっていいかァ?」
「うん、お願い!」
「よォし。いくぜェ!」
 相変わらず、輝きを放つシホへ向けて飛ぶ虫。
 数十はいそうなそれらの動きが突如鈍くなり……水鏡が生み出した、バスケットボール状の黒い液体金属の固まりへと吸い寄せられていく。
「貴方たちも生きるためだから悪くない、悪くないんだけど……。」
 それでもまだ抵抗する虫たちを照らすのは、シホの身から溢れる優しい光。
 脱力した虫はさらに、重力を生む黒い液体金属へと吸い寄せられていく。
「ごめんね。」
「ヒャハッ、これで終わりだァ!」
 黒い固まりと化した虫たち……その時、中心の液体金属から炎が吹き出した。
 それは虫たちを引き寄せる重力に曲げられ、まるで炎でできた舌のように虫たちを舐め回し、燃やし尽くしていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『殺戮の姫君』

POW   :    罪を償いなさい
【王族の魔導杖から放たれる火災旋風】が命中した対象を燃やす。放たれた【超高温の聖なる蒼】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD   :    今こそ叛逆の時
【未来予知能力のある黄金のナイフ】で受け止めたユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、未来予知能力のある黄金のナイフから何度でも発動できる。
WIZ   :    今一度立ち上がり、戦うのです
【魔力が付与された剣・槍・弓・杖】で武装した【亡国の王家直属近衛騎士団】の幽霊をレベル×5体乗せた【高い戦闘能力を持つ幽霊炎竜】を召喚する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はニトロ・トリニィです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 なんとかGの群れを撃退した猟兵たちは、改めて常闇の燎原を歩んでいく。
 どれだけの距離を歩いたか、それすらわからなくなった頃……ゆらゆらと揺れる明かりを持つ、一人の少女が佇んでいた。
 猟兵たちがその明かりを頼りに近づくと、少女は突然顔を上げ、
「……貴方たち猟兵が、何故ここにいるのです?」
 問いかけと共に、手にした杖に括られた明かりから黒い炎を噴き出させる。
 ……その黒い燃え盛る炎は、見た猟兵たちの背筋が寒くなる程に禍々しい。
「まぁいいでしょう、理由などどうでもいいのです。貴方たちを燃やし、我が王国の礎としましょう。」
 答えを聞くことも無く、手にした明かりから黒い炎を噴き出させてきた。

 ……この黒い炎はあらゆるモノを呑み込み、吸収して、使い手のエネルギーへと変えてしまう。
 できる事なら全てを躱すべきだろう。
架空・春沙(サポート)
『断罪します』
人狼の女性
ピンク掛かった銀髪と同色の狼耳・狼尻尾、緋色の瞳
スタイルが良い
服装:ぴっちりスーツ
普段の口調は「丁寧(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」
罪有る者には「冷徹(私、あなた、です、ます、でしょう、でしょうか?)」です。

・性格
通常は明るく人懐っこい女性ですが
罪有る者に対しては冷徹に、処刑人として断罪しようとします

・戦闘
大鎌「断罪の緋鎌」を振るって戦います

ユーベルコードはどれでもいい感じで使います


あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


シホ・イオア
なぜここにいるかって?
猟兵を警戒してたあなたならわかるでしょ?
貴方が目論見が終わる時が来たって!

「輝石解放、アンバー! 来たれ、荒れ狂う水を統べる竜よ!」
火には水って程単純にはいかないだろうけど
対処が難しいほどの範囲包囲攻撃で押しきる!
幽霊も出てくるみたいだから
【浄化】【破魔】【除霊】の力も込めてその妄執を断つ!

王族の杖に騎士団ね……
ここに何があったのかは聞いてみたいけど話してくれるかな?

アドリブ連携歓迎



 少女の杖に括られた明かりが揺れ、吹き出した黒い炎が炎竜の姿を取る。
 その背には剣や槍、弓で武装した騎士たちの霊の姿……そんな彼らを見上げる少女は、どこか懐かしいモノを見る目をしていた。
「よく、来てくれましたね。」
「ねぇ……ここに、何があったの?」
「……かつて、地上を侵攻する吸血鬼に抵抗する国がありました。」
 問いかけるシホへと視線を移すことは無かったが、少女は呟きを続けていた。
「その国の者は勇敢に、最後の1人となっても戦い続けたのです。国のために戦った彼らのためにも……ここに我が国を、もう一度興す必要があるのです。」
「……そう。」
 聞きたかったのは『この地に何があったのか?』だったが、この少女は何も知らないようだ。
 かつての王国を取り戻す……その妄執に取り憑かれ、この地へとたどり着いただけの姫君は、
「さぁ、我らが敵を滅ぼし、我が国を取り戻しましょう。」
「だったら、私たちと一緒に吸血鬼と戦えば!」
「……ダメですよ、シホさん。それができるなら、今ここで私たちは対峙していません。」
 横から声を掛けたのは、緋色の刃の大鎌を手にした架空・春沙(緋の断罪・f03663)。
「あの人は、全ての生きる者を滅ぼすまで止まりません……国を取り戻す、という目的のために。」
「……やるしか、ないんだね。」
「ええ、残念ながら。」
 頷く春沙にシホも覚悟を決めて祈りを捧げると、周囲に琥珀色の宝石を浮かびあがった。
 そんな様子に少女は笑みを浮かべて杖を振るう。
「話は終わりましたか? では始めましょう、この地を手にするための戦いを。」

「輝石解放、アンバー! 来たれ、荒れ狂う水を統べる竜よ!」
 シホの声に応じるように周囲に水飛沫が上がり、その下から召喚された竜が現れる。
 襲い来る炎竜へ向けて大きく口を開き、浄化の力の篭もった水のブレスを大量に吐きかけた。
「火には水って程単純にはいかないだろうけど、効かないわけじゃないでしょ?」
「そうですね。しかし、我らが騎士団がその程度で止まると思わない事です。」
 少女の言葉とともに、炎竜の背で弓をつがえる騎士団の霊。
 しかし彼らも、その背後から返す大波に呑まれてしまった……波が消えると炎竜の姿は無く、背後にあったのは拷問処刑器具で作られた壁。
「……よく出来た連携ですね。」
「汝、罪有り。処刑を執行します。」
 いつの間にか少女の背後へと駆け、処刑具の壁を立てた春沙が大鎌で少女へと斬りつける。
 その細い首に刃が届く寸前、手にした杖に防がれて少女の身体が吹き飛んでいった。
「くっ……これほどとは」
「まだ私たちの連携は、終わりじゃないよ!」
「あああああ!?」
 召喚された竜の水のブレスに乗り、勢いを付けたシホのキックが吹き飛ばされた少女の腹へと突き刺さる。
 少女は身体をくの字に曲げながら転がっていくが、またすぐにその身を起こしていた。
「……まだ、この程度で止まるわけにはいきません。」
「悪足掻きですね。」
「……残念だけど、ここで終わりにするよ。」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

水鏡・怜悧
詠唱:改変、省略可
人格:アノン
液体金属を纏って狼耳と尻尾を象る。手足にも纏って獣人のような姿になるぜ。
コイツが炎を撒いてるヤツか。まァ炎には興味ねェけど。
(私は興味あるのですがね)
まー気が向いたら杖ぐらい回収してやるが、殺した後でな。

さっきのは喰いでも手応えも無かったからな。少しは楽しませてくれよ。
炎は勘で避けつつ、一直線に敵へ向かう。幽霊共は殺気で恐怖を与えて散らしてやるぜ。それでも向かってくる奴は前爪で蹴散らす。
「チッ、こいつらもロクでもねェ」
UC発動。炎竜を足蹴にし、その勢いで敵の右腕を切り裂いてやる。
「肉は少なそうだがまァいい、喰い尽くしてやるぜ。ヒャハハハハ」



「……テメェが何をしたいか、なんてのは関係ねェ。」
 じわりと染み出すように、水鏡の身体を黒い液体金属が覆っていく。
 それは徐々に集まり狼耳と尻尾を象り、手足も狼のものへと変えていった。
「だが、テメェはオレらを殺したいんだろ? だったら退屈しそうにねェな。」
「獣に止められるわけにはいきません。」
 ニヤリと笑う水鏡に対し、少女は手にした杖から黒い炎を吹き出させる。
 軽く横に避けた水鏡の居た場所で、炎の中から現れた黒い炎竜が雄叫びを上げていた。
「コイツが炎を撒いてるヤツか。まァ炎には興味ねェけど。」
(私は興味あるのですがね。)
 現在の水鏡の主人格で野性的なアノンに対し、内にいる理性的な人格のロキの言葉が頭に響く。
「チッ……まー気が向いたら杖ぐらい回収してやるが、殺した後でな。」
(任せましたよ。それより、よそ見を)
「さぁ、よそ見をしている暇はありませんよ。」
 ロキの声に少女の言葉が被さり、同時に炎竜が炎を湛えた大口を開けていた。
 同時にその背に乗った騎士団の霊たちも、弓を番えて水鏡へと放つ。
「ケッ、その程度でオレを殺れると思うなよ。」
 飛来する矢へと向かうように一直線に、そのまま矢の下を駆け抜ける水鏡を、炎竜の炎のブレスが襲う。
 しかしそれも、本能のままに炎を跳び越した水鏡の足が炎竜の鼻先を蹴りつける。
「チッ、こいつらもロクでもねェな。」
 炎竜の頭の上から睨み付けて殺気を向けるが、騎士団の霊たちはそれでは怯まずに武器を振り上げて襲いかかってくる。
「だが、歯向かってくるならオレを楽しませろよォ!」
 狼と化した腕から爪を伸ばし、斬りつけて散らしていく。
 しかしすぐに、水鏡の背後で炎が膨れ上がるのを感じた。
「来るだろうとは思ってたぜェ!」
 口に炎を溜めた炎竜の顔へと跳びかかり、その横顔を蹴りつけ……水鏡はそのまま足下の少女へと跳びかかった。
「きゃっ、」
「油断したなァ!」
「あ……あああああ!」
 身を守るように上げた少女の腕を、水鏡の爪が切り裂き……その右腕が二の腕から切断されていた。
 それに気づいた少女の悲鳴が響く中、水鏡はその腕へと齧り付く。
「肉は少ねェがまァいい。」
「くっ……獣、め……!」
「このまま喰い尽くしてやるぜ。ヒャハハハハ!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

陽環・柳火(サポート)
東方妖怪のグールドライバー×戦巫女です。

悪い奴らはぶっ潰す。そんな感じにシンプルに考えています。
戦闘では炎系の属性攻撃を交えた武器や護符による攻撃が多い。
正面からのぶつかり合いを好みますが、護符を化け術で変化させて操作したりなどの小技も使えます。
全力魔法使用後の魔力枯渇はにゃんジュール等の補給で補います

 ユーベルコードは指定した物を使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動し他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


イングリット・イングラム
私は猟兵で、貴方はオブリビオン
私にはまだ守るべきものがあるが、貴方にはもう守るべきものがない
死から蘇ったという点では同じですが、こうも立場が異なるのですね

亡国の姫
今を生きる者達のため、貴方を骸の海に還します

《聖霊装》による装備は剣と鎧
杖から放たれる火災旋風は剣から衝撃波を放って相殺
黒い炎を見切って躱しながら接近し、剣で杖やナイフを弾き飛ばす
敵の武器を奪ったならば、結界を展開して身動きを封じ、周囲の空間ごと浄化する

“亡国”の姫
貴方はもう休むべきだ
貴方に付き従う者達を休ませるべきだ
貴方の国の物語は今日ここで終わりにしよう

UC指定:衝撃波、ダッシュ、2回攻撃、武器落とし、結界術、マヒ攻撃、浄化



「猟兵、め……!」
「もう、その辺にしておけよ。」
 右手を失い、左の手で杖を頼りに立つ少女へと、陽環・柳火(突撃爆砕火の玉キャット・f28629)は思わず声を掛ける。
 その杖から噴き出す黒い炎と、その中から現れる騎士団の霊へと視線を移し、
「てめぇの思いは分からなくはねぇが、そいつらの考えはどうなんだよ。」
「知れたこと……貴方たちを打ち倒す、そのためであれば我らが騎士団は何度でも」
「だから、それはてめぇのだろ!」
「……やはり、貴方はオブリビオンなのですね。」
 取り憑かれた様に言葉を繰り返す少女を、哀れみの篭もる目で見つめるイングリット・イングラム(英雄騎士・f35779)。
「猟兵である私にはまだ守るべきものがあるが、貴方にはもう守るべきものがない。死から蘇ったという点では同じですが、こうも立場が異なるのですね。」
「あぁ、正直見てられねぇ。」
 2人は武器を抜き、少女へと向ける。
 対する少女は笑みすら浮かべ、手にした杖から黒炎を噴き上げた。
「さぁ、我らが敵を討ち滅ぼすのです!」
「ちっ、やるしかねぇな。」
「亡国の姫。今を生きる者達のため、貴方を骸の海に還します。」

「我らが敵、ねぇ。」
 黒い炎の中から現れた騎士団の霊たちを視界に収め、神霊体へと変異した陽環。
 霊たちが弓を構えるよりも早く手にした薙刀を振るい、神聖な炎の衝撃波で吹き飛ばしていく。
「俺がてめぇの敵なのは変わらねぇが、そいつらはそうとは思えねぇ。だから浄化させて貰うぜ!」
「くっ……ですが、まだ」
「いいえ、終わりです。」
「っ!?」
 剣を構えて向かってくるイングリットに、少女は反射的に杖を向け、黒い炎を浴びせかける。
 しかしそれも、襲い来る炎をイングリットの剣が一閃し……衝撃波から生まれた切れ目を抜け、少女へと迫った。
「“亡国”の姫、貴方はもう休むべきだ。」
「あ……。」
 杖から黒炎を噴き出すも見切られ、踏み込んだイングリットの剣が杖を弾き飛ばす。
 途端に周囲に光の結界が展開され、少女の体を棺のように包み込む。
「放し、て!」
「貴方は、貴方に付き従う者達を休ませるべきだ。」
「くっ……あああああ!」
 イングリットが手をかざすと、結界の内に光が満ちた。
 妄執に満ちた、悪霊と化した王女を浄化する光……少女の苦悶の声が辺りに響く。
「貴方の国の物語は、今日ここで終わりにしよう。」
「は、はは……終わっちゃった……。」
 ため息のような笑いとともに少女の姿は塵と化し、辺りへ散っていく。
 少女が立っていた辺りを見下ろすイングリットへと、陽環は静かに声を掛けていた。
「お疲れさん。」
「ええ、貴方こそ。」
「……しっかし、こんな真っ暗な所じゃ何かあっても分からねえな。」
「はは、それは仕方ありません。それでも、調べる価値はあるのでしょうから。」
「へっ、違えねぇ。」

 そう話しながら、脅威の居なくなった常闇の燎原を探索する猟兵たち。
 彼らがそこで何を見るかは……また後で、語られることだろう。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2021年12月22日


挿絵イラスト