魔法少女マジカルサモナー! 猟兵タイアップ企画
●新番組! 魔法少女マジカルサモナー!
「ふははは! 支配してやるぞ、人間共よ! 世界はこの私、ダークサモナーのものだ!」
「そうはさせない! このサモン・クリスタルロッドが囁いているわ! 悪と戦えと! お願い、私に力を貸して! 年利3パーセントの単利で!」
ビジネススーツ姿のOL、レイチェル・グッドマンは少女チックなデザインのピンクのロッドを天に掲げた。すると、OLはたちまち眩しい光に包まれ、中学生ぐらいまで若返り、フリフリ魔法少女の姿へと華麗に変身した。
「魔法少女マジカルサモナー! 爆・誕!」
「なにい!? そのロッドは継承者にしか使えぬはず! まさかあのOLが今代の継承者だと言うのか!? 変身前は少女というにはキツい年齢だったというのに! おのれ、さては少子化の影響でロッドも選り好みしている余裕がなくなったな!」
「やかましいわ! 今は令和よ! 今時二十ピー才の魔法少女なんて珍しくない! 来たれ、異界の盟友よ! サモン・メダルパワー!」
少女(実年齢二十五才)は魔法のロッドのスロットにメダルを差し込んだ。すると、びかびかとロッドが光り、眩い光と共に黄金のドラゴンに跨がった、これまた黄金の騎士が現れた。その瞬間、画面右下に『黄金竜騎士ゴールデンナイト』とテロップが表示される。
「我が竜の牙に貫けるものなし。『黄金穿竜牙』(ドラゴニックチャージ)!」
騎士は竜の嘶きと共に突撃し、黄金のオーラが悪の魔導師を吹き飛ばした。だが、ビルの壁にめり込んでいたはずの魔導師の姿は幻影のように薄れていく。
「フフフ、杖に選ばれし魔法少女よ。今日の所は退いてやろう。だが、近いうちにまた来るぞ。今日からお前と私の終わりがない戦いが始まるのだ!」
悪の魔導師は捨て台詞を残し、少女の前から消えた。
「望むところよ……この魔法少女マジカルサモナーがこの世界を守ってみせる!」
●お前も召喚ヒーローにならないか?
「猟兵に、ヒーローズアースのおもちゃ会社とのタイアップ企画のお話が来ています」
グリモアベースで魔法少女特撮番組の第一話を上映し終えたシスカ・ブラックウィドーは、一本のロッド型のオモチャを取り出し、ウインクした。
マジカルサモン・ロッド。それが今回イェーガーとのタイアップ企画を熱望されているオモチャの名だ。今月始まった魔法少女特撮ドラマのキーアイテムであり、事前に契約した様々な『召喚ヒーロー』たちの力を借りて悪と戦う、という設定の武器である。
「その召喚ヒーローとして、イェーガーとのタイアップ企画が持ち上がっているそうなんだ。一発どーんとぶちかましたら帰れる簡単なお仕事だよ!」
タイアップされた猟兵の作中の扱いは、イェーガーの幻影が現れて一発技をぶちかまして帰っていく、というRPGゲームの召喚魔法のような扱いや、ロッドに炎や雷などの猟兵の能力が宿る、というものになるようだ。それに加え、猟兵そのもののフィギュア化なども検討されているという。ちなみに今回ドラマ化されるヒーローは実在のヒーローではなく、架空のヒーローである。
「商業的な都合で番組用の技は一人一種類しか撮れないので、必然的にその猟兵にとってシンボルとなるような技を一つだけ選んでもらう形になります。ユーベルコードの詠唱の特別仕様……アレンジも歓迎だそうです」
手札の数で勝負するタイプの猟兵には頭の痛い話だが、マジカルサモナーの「召喚ヒーロー」には単一の能力として登録される、という設定らしい。故に、登録できる技は独りにつき一つだけだ。なお、事前に猟兵同士で打ち合わせをしておけば、複数のイェーガーが同時召喚されるような技もOKだそうである。
「あ、肝心なこと言うの忘れてた。おもちゃ会社がある街はルービック・シティーって言うんだけど、映像収録中にその街にオブリビオンが出るよ! 『クライング・ジェネシス』そっくりな奴らがいっぱい!」
クライング・ジェネシスとは、先の大戦で大暴れしたヒーローズアースのオブリビオン・フォーミュラである。シスカが言っているのは、アシュラレディが量産したとされるコピー達のことだろう。劣化コピーに過ぎない量産型クライング・ジェネシスに知性はなく、ただ暴れ回る怪物に過ぎないが、その力は強大で現地のヒーローではとても太刀打ちできない。
「クライング・ジェネシスは現地では超有名だから、テレビの前でやっつけてあげればおもちゃ会社の人はとても喜ぶと思う。できればテレビ映えする感じで倒してあげてほしい」
そう言うと、シスカはそっと猟兵達の前にマジカルサモン・ロッド(のおもちゃ)を置いた。まさか、これでオブリビオンを殴り殺せとでも言いたいのだろうか? 流石にそれは無理にしても、ロッドを握ったまま拳で敵をぶっとばしたり、ユーベルコードを放ったりして「このロッドで倒しました」感を出してあげれば、おもちゃ会社は大喜びだろう。
「じゃあ、そういうわけだからみんなよろしくね☆ 大丈夫、本物のクライング・ジェネシスがヒロアスで暴れた時よりみんなずっと強くなってる。今更量産型相手に遅れを取ることはないはず! 頑張ってきてね!」
そう言ってシスカはにっこり笑い、猟兵達の転移を始めた。
大熊猫
こんにちは。大熊猫です。今回はヒーローズアースの戦後依頼です。二章構成のシナリオとなります。フラグメントの三択はリアル兵器のものになっていますが、本シナリオではオモチャの設定上の能力のとしての反映となります。プレイングの指針程度にお考え下さい。
舞台:アメリカの地方都市、ルービック・シティ。
●章構成
一章 おもちゃ会社『ユニバース・インダストリー』(UI)と協力し、『召喚ヒーロー』用の映像の収録をしましょう。自分の装備を個別におもちゃ化してもらうよう、おもちゃ会社と交渉することもできます。また、事前にロケ地周囲の地形を把握しておけば、戦闘で有利になるかもしれません。
二章 ロケ地の街のあちこちに出現した『量産型クライング・ジェネシス』との集団戦です。街中であれば戦闘場所はある程度指定できます。TV局の人や新聞記者、野次馬がそこら中にいる為、あまりに破壊的な技を使うと、巻き込んでしまうかもしれません。
例:ビルの屋上、病院の前、走行中の列車の上、UI社の中庭など。
●二章プレイングボーナス(重複します)
・マジカル・サモンロッド(オモチャ)で敵を倒したように見せかける。
・一般人の被害(建造物も含む)が出ないように配慮する。
●登場NPC
レイチェル・グッドマン(25)。
魔法少女マジカルサモナーの主人公役の女優さんです。本物のヒーローではない為、戦闘力は皆無です。彼女の側で戦闘する場合、保護する必要があるでしょう。ちなみに魔法少女バージョンの時はCGで若返っています。
●文字数省略用記号
アドリブ歓迎→☆、連携歓迎→★、何でも歓迎→◎(☆★と同じ)、ソロ描写希望→▲。
●合わせプレイングについて
グループ参加の場合は、迷子防止の為プレイング冒頭にグループ名をご記載下さい。
今回はシナリオの性質上、一章での野良連携の発生確率は低めです。
●オーバーロードについて
任意のタイミングで真の姿のプレイングをかけたい場合や、プレイングの文字数が足りない場合は使用をご検討下さい。
オーバーロードを使用するとプレイングの文字数が1.5倍になるので、自然な範囲で描写もたぶん増えます(星の量に比例して2倍、までは増えないかと思います)。
執筆ペースはプレイングが流れない範囲でゆっくりめです。よろしくお願いします。
第1章 日常
『超兵器を作ろう!』
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POW : 接近戦やパワーを上げる武器を作る。
SPD : 射撃武器やスピードアップができるアイテムを作る。
WIZ : 相手の能力を封じ込める武器や、特殊なパワーを秘めた秘宝を作る。
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
桐嶋・水之江
◎
魔法少女に召喚されるヒーローね
それっぽければなんでもOK?ああそう
つまり別に魔法少女が魔法少女を召喚してもいいのよね
じゃあちょっとその衣装貸して
がさがさごそごそはい完了
魔法少女プリティ水之江よ※36歳
決めポーズはこんな具合でいいかしら?
ん?あらあら、私のあまりの美貌と愛くるしさに泡を吹いて卒倒する人続出ね
はぁ…つくづく自分の才能が恐ろしいわ…美しいって罪よねぇ
そうそう、一発技を出さなきゃいけないのよね
じゃあワダツミ魔法ハイパーメガビーム砲で…え?勿論実弾よ?
街が壊れるからだめ?だって一発どーんとぶちかまして来なさいって言われたわよ?
ワダツミのプラモデルも作れて一石二鳥じゃない
犠牲は必要経費よ
アイ・ブラックウィドー
「ええっと、ダ、ダークサモナー、あなたの野望は、このサモナーメイド・デジタル☆アイが打ち砕いてあげます……」(真っ赤になりつつ棒読み
あ、ここで変身シーンが挟まるのですね。
変身バンクは後でCGで合成するらしいので、ちょっと更衣室で着替えてきますね。
「うう……、この格好、恥ずかしいのですが……」
メガネを取ってコンタクトレンズに変えて、髪型も三編みお下げからツインテールに。
そしてマジカル・サモンロッドを手にしつつ身につけているのはミニスカメイド服。さらに頭上にはネコ耳がぴょこぴょこしてます。
「ご主人さまに逆らう悪い人は、この私がおしおきですっ……!」
って、この決め台詞も恥ずかしいのですけどーっ!
●二人の魔法少女(?)
「おお、あの子がタイアップ企画に参加してくれるイェーガーか! なかなか可憐じゃないか!」
「ああ、魔法少女ものにはぴったりだな!」
「もう一人の女性は……悪役の女優さんかな? なかなかの美女じゃないか」
「あの迫力……きっと大物のダークヒーローだな。鞭でしばくとか、部下に『やっておしまい!』とか言わせると似合いそうだ」
現地のスタッフはスタジオ入りしたアイ・ブラックウィドーと桐嶋・水之江の姿を見て口々に噂をしていた。果たして撮影はどんなものになるのか。それはイェーガー側の希望次第である。
「イェーガー達と共演できて光栄です! よろしくお願いします」
主演女優レイチェルはぺこりと二人に一礼した。
「ドーモ。『魔法少女マジカルサモナー』監督のクラハシです。隣が『ユニバース・インダストリー』(UI)社CEOのジョセフさん。イェーガーの皆さん、御参加ありがとうございます。では早速ですが、お二人がどんな役柄をご希望されているのか聞かせて下サイ」
監督が挨拶すると、まずアイが口を開いた。
「デジタル☆アイです! よろしくお願いしますっ! 持参した戦闘用のコスチュームがあるので今日はそれで頑張ります! 役名は『サモナーメイド・デジタル☆アイ』でお願いしますっ!」
アイは緊張しているのか、早口で希望を告げた。
「なるほど、そっちの眼鏡っ娘ちゃんはメイドさんか! OK!」
「では、水之江サンはどのような役をご希望?」
「魔法少女に召喚されるヒーローね。それっぽければなんでもOK?」
「もちろんヨ!」
「ああそう。つまり別に魔法少女が魔法少女を召喚してもいいのよね。じゃあちょっとその衣装貸して」
水之江が指差した衣装は、二人目のヒロイン用に用意された主人公の色違い衣装だった。つまり、ニチアサ魔法少女のようなフリフリ魔法少女ドレスである。
「えっ」
監督と社長は絶句した。履歴書によるとこの女性の年齢はさんじゅうピー才だが……おこがましくも魔法少女になりたいと言うのか!?
「じゃ、着替えてくるわ。行くわよアイさん」
「あ、はいっ」
水之江はアイを連れ、さっさと更衣室に行ってしまった。
●
そして、ロケ本番。二人の分の撮影場所は市内の大きな公園となった。
「出たわね! ダークサモナー! お前の野望はこの魔法少女マジカルサモナーが打ち砕いて見せる!」
マジカルサモナー役のレイチェルは見栄を切り、ダークサモナーに対してロッドの先を向けた。そして、レイチェルは隣に立っているアイへと「出番だよ!」と視線を送った。
「ええっと、ダ、ダークサモナー、あなたの野望は、このサモナーメイド・デジタル☆アイが打ち砕いてあげます……」
真っ赤になりつつ棒読みで台詞を読み上げるアイ。その格好は彼女が普段着にしているセーラー服だ。番組サイドとのすり合わせの結果、アイはマジカルサモナーの影響で覚醒するゲストヒーローという立ち位置になった。なので、変身シーンからの収録となる。
「はい、カット! アイちゃん、着替えよろしく!」
「あ、ここで変身シーンが挟まるのですね。ちょっと更衣室で着替えてきますね」
アイはぱたぱたと更衣室に走り去っていった。
メガネを取ってコンタクトレンズに変え、髪型も三編みお下げからツインテールに変更。そして今回の最重要アイテムであるマジカル・サモンロッドを手にしている。そして、ヒーローにとって命とも言えるコスチュームはミニスカメイド服だ! さらに頭上にはカチューシャで固定されたネコ耳がぴょこぴょこしている。その可憐な姿に、スタッフやギャラリーはきっと喜ぶだろう。
「うう……、この格好、恥ずかしいのですが……」
自分で選んだ衣装ではないのか、本人は恥ずかしそうにぷるぷるしていたが。
「はい変身完了。魔法少女プリティ水之江よ。決めポーズはこんな具合でいいかしら?」
一行の空白の間に何があったのか。アイの代わりに戻ってきたのは、ニチアサなパープルカラーのミニスカフリフリドレスを纏った36才の自称・魔法少女であった。魔法少女プリティ水之江は内股になり、ウインクしながら横ピースをキメた。
実は、スケジュールの都合で水之江はアイと変身シーンを並行作業で収録していたのだ! スタッフの誘導ミスにより、水之江はアイと入れ違いになってしまったのである。
「プリ……ティ……?」
「少……女……?」
そのキツ……エキセントリックなファッションセンスにギャラリー達は大混乱だ。 セーラー服の美少女が突然フリフリミニスカ熟女になって戻ってくるとか、あまりにもマニアック過ぎる展開である。
「目が……目がぁ……!」
水之江の可憐(???)な姿を見て通行人のおじさんが苦しみ出した。他のギャラリーやエキストラも引き攣った顔で水之江を凝視したり、ばたばたと倒れたりしている。
「ん? あらあら、私のあまりの美貌と愛くるしさに泡を吹いて卒倒する人続出ね。はぁ……つくづく自分の才能が恐ろしいわ……美しいって罪よねぇ」
バイオテロのような光景が展開されていたが、水之江本人は自身の美貌に自信があるのか、腕を組んだポーズで悦に入っていた。
「すみません、お待たせしましたっ! ……って、こ、これは!? もしやオブリビオンの攻撃ですかっ!?」
ぱたぱたと駆け足で戻ってきたアイは、周囲の惨状に驚愕した。僅か数分の間に一体何が? なお、こっちはちゃんと猫耳ミニスカメイドの可憐な魔法少女である。その姿を見て浄化されたのか、倒れていた人々は次々と復活した。
「よし、ちょっと不幸なアクシデントがあったけど、気を取り直して撮影再開しよう! じゃあアイちゃんから!」
「はいっ! ご主人さまに逆らう悪い人は、この私がおしおきですっ……!」
アイはロッドをくるくると回し、レイチェルのロッドとクロスさせる。決めポーズである。
(って、この決め台詞も恥ずかしいのですけどーっ!)
その顔は羞恥のあまり真っ赤に染まっていたが、後にマニアからは初々しいのでアリ、と評価され、評判の回となるのであった。
「「マジカルサモン、デジタル☆アイ! デジタル・クラッシュ!」」
「グワーッ!」
アイとレイチェルがポーズをとると、稲妻のエフェクトと共に、ダーク召喚獣が爆散する姿が合成された。これでアイの分の収録は終了である。
「ふう、疲れました……」
●
そして、魔法少女プリティ水之江の方の収録はというと。
「そうそう、一発技を出さなきゃいけないのよね。じゃあワダツミ魔法ハイパーメガビーム砲で……」
水之江がパチンと指を鳴らすと、公園の上空に巨大な宇宙戦艦が出現した。
「ちょっとちょっと、水之江サン! 上空に高エネルギー反応が出現したってポリスメンから苦情が来てるんだけど! そのビーム本物じゃナイ!?」
「え? 勿論実弾よ? 街が壊れるからだめ? だって一発どーんとぶちかまして来なさいって言われたわよ?」
「誰だよそんな無責任なこと言ったやつ!」
(確かに言ってたような……)
先に収録を終え、見学していたアイは言ってた奴の顔を思い浮かべていた。
「ワダツミのプラモデルも作れて一石二鳥じゃない。犠牲は必要経費よ。ワダツミ魔法ハイパーメガビーム砲発射!」
ピー。次の瞬間、ワダツミの砲門から強烈なビームが放たれ、公園の池に直撃した。池の水は瞬時に蒸発し、風光明媚なデートスポットだったはずの池は隕石の落下地点のような惨状になってしまった。それでもしっかり撮影されていた彼女の魔法(?)の映像は爆発好きの層には大ウケし、希望通りワダツミのプラモも商品化された。しかしなぜか、公園の補修費は水之江を斡旋した者に請求が来たという……
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
岩倉・鈴音
ンッフッフ♪
魔法少女に召喚されるクールな役回りのヒーローも必要だねっ!
サイボーグ魔法少女鈴音!お呼びとあらば即参上!
服はちっちゃいなドレスで変身だ。早着替えでぱぱっと。
多少のお色気は魔法少女ものならば当然のこと。
一発芸はラプチャーだな。
どんな敵ももといた闇の世界に戻してやるぜー!
●召喚ヒーローはJKサイボーグ!?
「ンッフッフ♪ 魔法少女に召喚されるクールな役回りのヒーローも必要だねっ! サイボーグ魔法少女鈴音だ!」
宇宙の彼方からやってきたJK型サイボーグ、岩倉・鈴音は元気よくスタッフに挨拶をした。なお、休暇中に古いアニメや特撮を鑑賞するのが趣味の鈴音は今回の仕事への熱意も高く、撮影用の衣装も自分で用意してきている。
「ハイスクールの子かな? 制服可愛いなあ……。私もサイボーグになったら若返られるかしら……」
フリフリ魔法少女ドレスを纏った主演女優レイチェルは羨ましそうに鈴音を見ていた。収録中はCG処理前なので、25才である彼女の姿は大変マニアックなことになっているのだ。レイチェルには鈴音の若さがまぶしく見えるのだろう。
「あなたが召喚者のマジカルサモナーさんかな? 鈴音だ、よろしく!」
「マジカルサモナー役のレイチェルです。よろしくお願いします」
二人はしっかりと握手を交わした。
●
「死ね、マジカルサモナー! 今日が貴様の命日だ! デストロイ・シュリケン!」
夜の市街地にて。ダークニンジャ達の手裏剣一斉射撃がレイチェルを襲った。レイチェルは華麗な反復横跳びを披露し、ダークサモナーたちの弾幕をなんとか凌ぐ。
「このままじゃいずれ蜂の巣にされちゃう! 召喚ヒーロー、私に力を貸して! 召喚魔法クリスタル・サモン!」
レイチェルが技名を叫びながらロッドを掲げると、びかびかとロッドが輝き、空間に亀裂が走る。バリィン! という効果音と共に裂け目から飛び出した鈴音はレイチェルを抱き上げ、一瞬にしてその場を離脱した。鈴音はレイチェルを抱きかかえたまま、ビルの壁を垂直に駆け上がり、屋上へと移動した(トリック抜きの大技に撮影班は目を丸くしている)。
「は、速いっ! そしてパワフル! 貴様、何者だ!」
「サイボーグ魔法少女鈴音! お呼びとあらば即参上!」
急な呼び出しだったので制服姿のままだった鈴音は、名乗りと共に制服を空中へと脱ぎ捨てた。鈴音はスタジアムの照明クラスの強烈な逆光を浴びながら、そのままパパっと早着替え、魔法少女姿へと変身を果たす。
「変身完了だ!」
ダブルピースを決めた鈴音の衣装はワンサイズ小さいぴっちりしたドレス姿だ! そのちょっとセクシーな衣装と、衣装の内側で自己主張する豊かなバストに大きなお友達の心は鷲掴みにされること間違いなし。きっと収録回の円盤はよく売れるだろう。
「一発芸! ンフフ神の掬いです。べつの場所に置かれて咲きなさ~い!」
召喚ヒーロー鈴音が両手で素早く印を結ぶと、巨大なすくい網が出現した。
「ラプチャー! どんな敵ももといた闇の世界に戻してやるぜー!」
「OH! アレはジャパニーズ・ゴールドフィッシュ・スクイ! エンニチ!?」
「みんな、エスケープだ! 火遁の術!」
ダークニンジャ達は驚愕しつつも、地面にガソリンを撒いて火を点け、炎を目晦ましにして巨大網から逃れようとした。しかし、鈴音のラプチャーはホーミング・ミサイルの如き精度で逃げるニンジャ達を追いかけ、次々と金魚の如く掬い上げていく。
「グワーッ!」
網に捕まったダークニンジャ達は一人残らず闇の世界へと送還され、屋上には鈴音とレイチェルだけが残った。
「ンッフッフ♪ 宇宙忍者料理人であるワタシと出会うとは運が無かったな! じゃあまたね! マジカルサモナー!」
鈴音は再び宇宙蟹のポーズを決めた後レイチェルとハイタッチし、カメラの外へと消えていった。
成功
🔵🔵🔴
ミリィ・ライジング
【ライジング兄妹】◎
衣装とかは特に用意してないけど……。
巫女とか忍者っぽい和風の貸衣装、あるかな?
「いやいや、そういう物が好きな人もいますよ。きっと」
用意してくれたのは巫女服だけど……短いし、露出多くない?
いや、確かに魔法少女物の衣装はこんな感じだけど。
「ダークサモナー。このサモナーシャーマン・ミリィが、あなたの闇を払ってあげる!」
円を描くようにマジカル・サモンロッドを回して、
レイチェルさんと演技を合わせる。
「これが私達の全力全開! ファイブ・エレメンタル・ブラスターッ!」
ビリー・ライジング
【ライジング兄妹】◎
俺か?ミリィの兄だ……え、お前も出ろって?
いや俺はただ妹の付き添いで……おいやめろ馬鹿!
なぜ『魔法少女を助ける謎の魔法戦士』の役をやる事に……。
まぁ、マスクで顔を隠せるから、よしとするか。
「ダークサモナー、貴様に相応しい色彩は決まった!」
複数合体させたUCを放ち、延焼してしまった場合は即座に消す。
悪役の役者のアドリブに期待しておこう。
……え、俺の技はいろいろあるが、音声を取らせてほしい?
光って鳴るおもちゃに使いたい……仕方ないな。(諦め)
●頼れる仲間! ライジング兄妹!
続いて撮影に呼ばれたのは、ミリィ・ライジングとビリー・ライジングの兄妹であった。
「お、今度のイェーガーは二人組ダネ。ええと、ミリィチャンとビリーチャンはその格好でのままでOK?」
脚本家が二人に尋ねると、ミリィがすっと挙手した。
「衣装とかは特に用意してないけど……巫女とか忍者っぽい和風の貸衣装、あれば借りたいな」
「OK、OK! ちょうど、余ってる巫女サンの衣装があるヨ! ブラザーの方はニンジャで行く? それともサムライ?」
「いや俺はただ妹の付き添いで……」
ビリーは苦笑いだ。彼はミリィを送るついでにちょっとアメリカを観光しようか、ぐらいの気持ちでここにきたので、自分も出演するつもりはなかったのである。
「いやいや、せっかく兄妹両方イェーガーなんデショ? そういうの、みんな好きだから!」
監督がパチンと指を鳴らすと、ボディービルダーみてえなムッキムキの男達がぞろぞろと乱入してきた。応接間は一瞬にして汗臭い空間に早変わりだ。この暑苦しい連中は一体......。二人は困惑した。
「彼らは悪の戦闘員役の俳優さんタチよ。応募書類にも『ライジング兄妹』って書いてあったし、ここはお兄さんも強制出演してもらいマース!」
「「ハハハハハ!」」
「おいやめろ馬鹿!」
ビリーは屈強な男達に捕獲され、そのまま控え室へと拉致されていった……。
●
「くくく、マジカルサモナーよ! 今日こそ貴様を永遠に闇の世界に送ってやろう!」
「ダークサモナー! 今日こそ決着をつけてやるわ!」
バチバチと火花を散らし、睨み合うマジカルサモナーとダークサモナー。二人は摩天楼が立ち並ぶ市街地を高速移動しながら、激しく魔法を撃ち合う。
「ええい、一対一ではらちが明かん! 出てこい! ダーク召喚獣、マッスルメン!」
「ギギィー!」
ダークサモナーが杖を振ると、不気味な掛け声と共にムキムキの覆面ヴィラン達が乱入し、マジカルサモナーへと突撃してきた。多勢に無勢になったことで、マジカルサモナーは一転して苦境に立たされた。
「くっ、卑怯よ! ダークサモナー!」
「聞こえんなぁー!」
(覆面の中身は俺を拉致した奴らだな……)
マジカルサモナー役の女優がムキムキ覆面男達に包囲されていく姿を、ビリーはカメラに映らない位置から見守っていた。その服装は普段着の学園服とマントのままだが、顔には白いマスクを着用している。
「なぜ俺が『魔法少女を助ける謎の魔法戦士』の役をやる事に……まぁ、マスクで顔を隠せるから、よしとするか」
そろそろ頃合いだ。ビリーはその辺にあった給水塔にこっそりよじ登ると、ルーンレイピアに魔力を通わせ、ヴィラン(役の俳優)達とマジカルサモナーの間の空間に向けて魔法を放った。
ドンッ!
大地への干渉により、アスファルトをぶち破って地面から盛り上がった土の壁は、マジカルサモナーとヴィランたちを分断した。その瞬間、短くもミステリアスなBGMが流れる。
「今のうちだ、マジカルサモナー。早く呼ぶんだ、サモナーシャーマンを!」
「あ、あなたは!? ライジングマスク様!?」
(おい、ほぼ本名じゃねえか!)
ビリーは心の中で脚本家に突っ込みを入れながら給水塔から飛び降り、ヴィランたちの前に着地した。
「誰だ貴様は!?」
「ダークサモナー、貴様に相応しい色彩は決まった! 黒焦げになるがいい! 見せてやる、これが臨界点を超えた本物の炎の色だ! 『全てなる臨界点』(バーニングゴールド)!」
「グエー!」
レイピアの先端から放たれた巨大な黄金色の炎が、ムキムキヴィラン達をまとめて包み込む。もちろん相手はオブリビオンではなく俳優なので、カメラの位置からそう見えるだけだ。ちょっと延焼しそうだが、待機してくれているはずの水系ヒーローがなんとか消火してくれるだろう。
●
「今のうちに......! クリスタル・サモン! 来て!『サモナーシャーマン・ミリィ』!」
マジカルサモナーがロッドを振り、ミリの名を叫んだ。すると、その呼びかけに答えるかのように金色の光が生まれ、光の中から巫女装束を纏ったミリィが飛び出してきた。
(用意してくれた衣装……なんか裾短いし、露出多くない? いや、確かに魔法少女物の衣装はこんな感じだけど)
ミリィは自分の着せられた衣装に疑問を抱いていた。巫女装束ってこんなんだっけ? カラーリングは白と赤なので一見それっぽくは見える。だがしかし、肩は丸だしだわ、ヘソも出ているわスカートの丈はマイクロミニだわと、全体的にフェティッシュなのだ。たぶん、ちゃんとした日本の神社の人が見たら怒るだろう。ニチアサファン層の女児向けっぽい衣装のマジカルサモナーとは対照的に、ミリィの衣装は大きなお友達向けのデザインであった。
「ダークサモナー。このサモナーシャーマン・ミリィが、あなたの闇を払ってあげる!」」
気を取り直したミリィは両腕を特撮っぽくクロスさせ、華麗に登場シーンを決めた。
「ミリィさん! 来てくれたのね!」
「マジカルサモナー! 挨拶は後! 合体魔法を撃つわよ!」
「了解!」
ミリィはレイチェルと同じマジカル・サモンロッドを魔法で取り出すと、ぐるぐると円を描くように回転させた。隣ではレイチェルがミリィとは逆回転でロッドを回転させている(余談だが、このロッドの回転合わせがけっこう難しく、リテイクが1回入った)。
「なんだ、二人の間に凄まじいエナジーが渦巻いている!?」
ダークサモナーは驚愕の表情を浮かべた。
「『芽吹け樹木よ、燃えよ火炎、震えよ大地、煌めけ金剛、湧けよ水流……。生まれし陽の力よ、全てを撃ち抜け!」
「大地よ、水よ、火よ、風よ、光よ! 天地にあまねく精霊たちよ! 我が力となりて敵を撃て!」
ミリィの陰陽五行属性魔法の詠唱に合わせ、レイチェルは五大精霊魔法の詠唱を重ねる。
「「これが私達の全力全開! ファイブ・エレメンタル・ブラスターッ!」」
「バカなぁーッ!」
交差した二人のロッドから眩い五芒星型のレーザーが放たれ、ダークサモナーは光の中に消えていった。
「今度こそやったかしら?」
「いえ……あのダークサモナーは分身だと思う。本体にしては魔力が弱かったから」
「そう……残念ね。またいつでも呼んでね」
「ありがとう! ミリィさん!」
ミリィはにっこり微笑み、空へと飛び去って行った。
●収録後の一幕
「……え、俺の技はいろいろあるが、音声を取らせてほしい?」
収録後、ビリーは玩具会社の社長に呼び出された。
「そーなのヨ! ビリーチャンの魔法、見映えがイイじゃない? そのレイピアも商品化したいってUIの社長が言うのヨ!」
「こちらがイメージイラストです。よろしくお願いします」
「仕方ないな......」
UI社のCEOが喜々として取り出した光って鳴るおもちゃの企画書を見て、ビリーは肩をすくめたのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
穂村・理恵
◎
撮影……!?わ、私みたいなヒーロー見習いでもいいんでしょうか……
で、ですが、やるとなったら頑張ります!
それで……魔法少女に召喚される役となると
そのままの魔法少女姿よりアレンジしておいた方がいいですよね?
ならツインテールにした髪を竜の翼状に変えたり、
竜のしっぽを出したりして変えておきます
(やりすぎると召喚モンスター風になっちゃいますけどね)
そして私を象徴する、というならやっぱりこれ、ですね
……お願い【吸熱炎霊】!
あ、この子達は一応私の知ってる動物の形なら取る事ができるんですけれど……どうしましょう?
そちらのイメージに合わせますけれど……
※役としての二つ名、UC詠唱アレンジ等はお任せします
●炎と竜の魔法少女
「テレビの撮影……!? わ、私みたいなヒーロー見習いでもいいんでしょうか……」
穂村・理恵は不安そうに脚本家に問いかけた。理恵は偶発的に誕生した比較的新しいヒーローだ。その辺りが少し不安なのであった。
(で、ですが、やるとなったら頑張ります!)
すると、脚本家はにっこり笑っていった。
「もちろんデス。イェーガーは皆この世界憧れのヒーローなのデスカラ!」
かくして、理恵とスタッフたちの打ち合わせが始まった。
「それで……魔法少女に召喚される役となると、そのままの魔法少女姿よりアレンジしておいた方がいいですよね?」
「イエス! 理恵さん、何かアイデアありマスカ?」
「はい。ならちょっとドラゴンっぽい感じに変身してみますね」
理恵はすくっと立ち上がると、ツインテールをドラゴンの翼状に変化させ、背中側に竜の尻尾を生やしてみた。あんまりやりすぎると召喚魔法少女ではなく召喚モンスターになってしまうので、変化は最小限に留めた。
「OH! ドラゴン! 男の子受けしそうデス!」
衣装はそのまま決定となり、議題は理恵の召喚時のモーション……すなわち必殺技へと移った。
「そして私を象徴する、というならやっぱりこれ、ですね……お願い『吸熱炎霊』!」
理恵が腕を伸ばして力を外へと放出すると、ボボボボボ、と大小様々な炎の塊がスタジオに出現した。呼び出された炎は犬猫や狼、熊などの様々な動物の姿を形どり、ゆらゆらと揺れている。もちろんスタジオには延焼しないよう、熱はしっかりコントロールされていた。彼ら(?)の名は吸熱炎霊。理恵が得意とする炎のユーベルコードの一つである。
「炎の召喚魔法! 分かりやすいし、テレビ映えしマス!」
監督たちはパチパチと拍手を送った。
「ちなみに動物の種類はこれで全部デスカ?」
「あ、この子達は一応私の知ってる動物の形なら取る事ができるんですけれど……どうしましょう? そちらのイメージに合わせますけれど……」
「GOOD ! なら理恵さんの衣装に合わせて『アレ』で行きまショウ!」
●
そして撮影本番。無人の採石場にて理恵登場回の収録が行われた。
「フハハ、残りの魔力では召喚は使えまい! 勝負あったな!」
「く、……誰か私に力を貸して!」
追い詰められたマジカルサモナーが残り少ないエナジーを全てロッドに注ぎ込むと、ロッドが発光し、小さなゲートが開いた。
「そんな小さな召喚では何もできまい! ダークギガンテス! トドメをさせ!」
「ウオオオオオオオ!」
黒い巨人が雄叫びを上げたその時だ。突然、マジカルサモナーが空けた小さな穴からほっそりとした腕がにょっきり生えたかと思うと、無数の犬や猫の形をした炎が飛び出し、ダークギガンテスにタックルをお見舞いした。
「ぬうっ!? なんだこいつらは!?」
「あなたの声、聞こえました! 魔法少女『フレイムファミリア』、助太刀します!」
無理矢理広げた召喚ゲートから飛び出した竜人の少女は決めポーズを取った。
「バカな! 召喚ヒーローが外側からゲートをこじ開けただと!?」
「さあ、マジカルサモナー、あなたも一緒に!」
理恵がマジカルサモナーの肩に手を添えると、ダークギガンテスを襲っていた無数の炎たちは一か所に集まり、赤い竜の姿を形どっていく。
「「みんな、おねがい! 火竜炎霊(フレイムブレス)!!」」
「ゴアアアアアアア!」
火竜は灼熱の吐息を吐きかけ、闇の巨人を灰燼に帰した。
「くっ! 覚えていろ!」
ダークサモナーが捨て台詞を吐き、二人の前から姿を消したのを確認すると、理恵はにっこり笑い、元の世界へと帰っていった。
「ありがとう、フレイムファミリア……」
成功
🔵🔵🔴
リカルド・マスケラス
⭐︎
25って言うと同い年っすね〜。色々と応援したくなっちゃうっすね
召喚っすか。UCを一つに絞るなら、これっすかねー
「どもー、チャラっと参上! チャラにちはーっすよ!」
【霧影分身術】で作ったボディに本体のお面がついた状態で召喚され、様々な攻撃をする
「召喚技としては一つの技っすけど、効果はランダムでってのはアリっすかね?」
召喚されるたびにボディが変わって……みたいなの。ビジュアルは最近納品された「その他イラスト」を参考にしてもらえれば
青年:バイクに乗って攻撃
町娘風少女:鎖鎌
巫女少女:魔法で攻撃や回復
牛娘:プロレス系肉弾戦
低確率で全員の連携攻撃
ついでにロケ地を見とくっすかね。街の路地裏あたりっすかね
●狐面のヒーローたち
「25って言うと同い年っすね〜。色々と応援したくなっちゃうっすね」
今日も今日とてチャラめのヒーローマスク、リカルド・マスケラスは主演女優レイチェルと対談しながら、うんうんと頷いた。
「あ、リカルドさんも25才なんですね。今日はよろしくお願いします。ちなみに私はファンの子供におばさんと呼ばれると傷付くお年頃です」
リカルドの言葉に、レイチェルは遠い目をした。
「ああ、そういう問題もあるんすね~」
25才といえば世間的にはまだまだ若いと呼ばれる年頃なのだが、ヒーローに憧れるような年代の子供からすれば「おじさん」「おばさん」と呼ばれることもままある年代。リカルドの場合、本体は狐のお面なので肉体年齢は実はあんまり関係ないのだが、空気を読んでそこは黙っていた。
●
「どもー、チャラっと参上! チャラにちはーっすよ!」
「今日のヒーローはずいぶん軽薄そうな雰囲気だな……それはともかく死ねい、マジカルサモナー!」
狐面を被ったポニーテールの娘がよっと手を上げて挨拶すると、ダークサモナーは若干困惑した。だがすぐに気を取り直し、手下達をけしかける。今日のダーク召喚獣は『ダーク・アント』。蟻型のモンスターで、質より量で攻めるタイプの敵のようだ。
「どもー」
「チャラっと参上!」
「チャラにちはーっすよ!」
「なにいいい!? 同じ召喚ヒーローが複数だと!? 四つ子か!?」
「さあ、それはどうっすかね?」
四人どころか、十人、二十人と、次々と召喚ゲートから出現してくるリカルド。実は本物は独りだけで、残りは霧影分身術で作った分身である。見た目がとにかく派手な術を、というのが会社側の要求だったので、リカルドも派手になるべく増えてみた、というわけだ。ちなみにヒーローマスクであるリカルドの召喚魔法はリカルドの要望により仕様は少し特殊になっている。召喚される度に依り代の姿が違うのだ。今回は町娘風少女だが、他にも巫女少女、牛娘、バイクに乗った青年など、様々な依り代のバージョンがランダムで召喚される仕様である。ちなみに一番レアなのはすべてのバージョンの同時召喚。なお、商品化の暁には、いずれかのバージョンがランダム封入されるガチャ仕様となるらしい。
「『忍法・霧影分身術』(ムエイブンシンジュツ)! 夢か現か幻か、とくとご覧あれっすよ!」」
大量発生した町娘は声をハモらせた後、鎖鎌を振り回して敵の蟻達(役者に後でCGを被せるらしい)とチャンバラを始めた。ちなみにマジカルサモナーもロッドを鎖鎌に変形させ、一緒に戦っている。
「ついでにロケ地の近くを見とくっすかね」
分身の一体はこっそりと収録を抜け出し、ビルの上から撮影現場を見下ろした。この街にはいずれオブリビオンである『量産型クライング・ジェネシス』が出現する。先に周囲の地形を把握しておきたかったのだ。このロケ現場の近くだと、あの路地裏あたりが人目に付かずに戦える場所だろうか……。
「マジカル・クサリガマ!」
リカルドが周囲の環境を把握し終えた頃、地上では横向きに狐のお面を被ったマジカルサモナーが巨大な鎖鎌を振り回し、ダークサモナーに一撃を叩き込んでいた。一見マジカルサモナーがお面を装備しただけだが、実際にはリカルドの本体が力を貸している最強バージョンである(番組上は特に最強ではなくリカルドを召喚した際のちょっとした演出として扱われる)。
「チッ! 覚えていろ、マジカルサモナー!」
ダークサモナーが撤退していく姿を上から見下ろしながら、町娘リカルド(の分身)はぽつりと呟く。
「ダークサモナーは所詮小物……もうすぐ本当の敵がやってくるっすからね……。なんちゃって」
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『量産型クライング・ジェネシス』
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POW : GAOOOOOH!
全身を【原初の炎に包まれた姿】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
SPD : BAOOOOOM!
【簡易型骸の海発射装置】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【相手と同じ姿と能力の幻影】で攻撃する。
WIZ : THEEEEEEND!
【簡易型骸の海発射装置から放つ『過去』】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を『神々の時代』の火で包み】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●オブリビオン、出現!
「エマージェンシー! エマージェンシー! クライング・ジェネシスに酷似した外見のヴィランが各地に出現しました!」
突如、ルービックシティにけたたましいサイレンの音と警察の放送が響き渡る。とうとう予知されていたオブリビオン、『量産型クライング・ジェネシス』が動き出したのだ。
「市民の皆さんは直ちに避難して下さい! ヒーローのみなさんは猟兵の到着までなんとか頑張って! 深追いはしないように!」
CMの撮影中だった猟兵達は、ある者は撮影用に持っていたサモン・クリスタルロッドを放りだし、またある者はロッドを握りしめたまま、最寄りの事件現場へと向かっていく。
「よし、俺達は猟兵を追うぞッ! これはロッドのCMに使える! テレビ局にも連絡しろ!」
魔法少女マジカルサモナーのスタッフたちは、勇敢にも(無謀ともいう)ヘリコプターで猟兵たちを追いかけるのであった。いい迷惑である。
とはいえ、猟兵たちもこの世界ではヒーロー。強敵から人々を守り切ってこそ「本物」である。
がんばれ、イェーガー!
岩倉・鈴音
魔法少女覚醒!!マジで狩ってやる。家が恋しくなるくらいシバくから首洗ってまってろ!
虹色ティアラをカチッとはめたら真の力みなぎります。
その日の気分、今回は深紅のドレスに身を包みます。
「血で汚れないように赤でございますよ。ンッフッフ♪狩りの時間を始めましょう」
ビギニング!
オモチャのロッドを振り回しながら【虹の身体】を発動していきます。
立っておられるなら立ってみろ。
ダメージから動いてくるやつらに切り込んでいく。弱そうなところを見切ったら容赦なく貫通させてトドメはロッドで頭ポンポン叩いて倒します。
マジ狩る猟兵プリティーイェーガー!よろしくねっ(にこ
●出動! マジ狩るサイボーグ少女!
「魔法少女覚醒!! マジで狩ってやる。家が恋しくなるくらいシバくから首洗ってまってろ!」
オブリビオン出現の知らせを聞き、鈴音は撮影現場から駆け出した。ようやく本番が始まるのだ。
「虹色ティアラ、装着!」
量産型クライング・ジェネシスが暴れている現場に辿り着いた鈴音は、頭にレインボーに輝く頭飾りをはめた。カチッという小気味よい音と共に、ビカビカと鈴音の全身が輝き、鈴音の衣装がトランスフォームしていく。数秒後、鈴音は今日の気分に合わせた真紅のドレスを纏ったプリンセスへと変身を遂げていた。
「血で汚れないように赤でございますよ。ンッフッフ♪ 狩りの時間を始めましょう」
「GOOOOOOOOOOOOOOOA!」
「ビギニング!」
真紅のドレスを翻し、鈴音は量産型クライング・ジェネシスの一体へと肉薄した。量産型の拳とひらりと躱し、オモチャのロッドを縦に一閃。クリーンヒット!
ぼきっ。
ロッドは量産型の頭にクリーンヒットしたが、マッチ棒のごとくへし折れた。おもちゃの杖をサイボーグのパワーで振り回したのだから当然である。
「ンッフッフ♪ やっちゃった」
「鈴音さん、これを使って下さい!」
その時、鈴音を追いかけてきた撮影スタッフの一人が鈴音に向かって一本のロッドを投げてよこした。鈴音は反射的にロッドをキャッチし、凝視する。それは、撮影用のロッドと瓜二つのロッドだった。だが、これはおもちゃではない。こんなこともあろうかとスタッフがごく少数だけ用意していた、対ヴィランとの戦闘にも耐えられる、サモン・クリスタルロッドそっくりのメイスである!
「よし、今度こそ行くぜ! 七色の炎で灼滅されるべしっ」
新たな得物を手に入れた鈴音は気を取り直し、ユーベルコードを発動した。その瞬間、鈴音の全身から七色の炎が燃え広がり、あちこちで暴れているオブリビオン達を焼き焦がしていく。
「BAOOOOOM!」
量産型クライング・ジェネシス達は鈴音に対抗すべく、一斉に簡易型骸の海発射装置を起動した。たちまち虚ろな穴から溢れた骸の海の欠片が鈴音の姿をコピーし、本物の鈴音を取り囲む。
「立っておられるなら立ってみろ」
鈴音はためらいなくオブリビオン達の群れへと飛び込むと、自分のコピーも量産型もお構いなしにロッドを振り回した。身に沁みついたサイボーグとしての戦闘スキルはドレスを着ていても些かの支障もない。
鈴音は七色の炎を浴びせて敵を炎上させ、量産型の弱点であろう胸の穴や、コピーの首や心臓を手刀で貫き、トドメにロッドの一撃を頭部へと叩き込む。鈴音の体は敵の返り血を浴び、瞬く間に鮮血に染まっていくが、ドレスが真紅なので目立たない。そして、付着した鮮血は七色の炎に炙られてすぐに蒸発し、鈴音の周囲には赤い蒸気が立ち昇っていく。そのバイオエンスな戦いっぷりは魔法少女というよりも、未来からやってきた殺人マシンを思わせた。
「マジ狩る猟兵プリティーイェーガー! よろしくねっ」
全てが終わった後、鈴音は宇宙蟹のポーズを決め、ギャラリーに活躍をアピールした。なお、「どの辺がプリティなんだ……? 虹色?」と、ギャラリーたちが困惑したのは、また別の話である。
成功
🔵🔵🔴
アイ・ブラックウィドー
「オ、オブリビオンですか……
戦いは自信がないですけど、一般人に被害を出さないためにも、敵を倒さないといけませんねっ」
オブリビオンが暴れている現場に駆けつけ、一般人や撮影スタッフが見ている前でマジカルサモン・ロッドを構えますが……
敵の簡易型骸の海発射装置が作り出したのは、白髪赤目のツインテールの少女。
猫耳ミニスカメイド服を着ていて、風でミニスカートがなびいて下着が見えそうになっても気にせず、手に持ったおもちゃのロッドを構えてポーズを決めています。
「って、それ、私じゃないですかーっ」
自分の姿を客観的に見せつけられて、恥ずかしさの極限を越えてしまい、全力で【OS☆クラッシュ】を叩き込んだのでした。
●出動! デジタル☆アイ!
「オ、オブリビオンですか……戦いは自信がないですけど、一般人に被害を出さないためにも、敵を倒さないといけませんねっ」
「GOOOOOOOOOOOOOA!」
近くで量産型クライング・ジェネシスが暴れているという知らせを聞いたアイは現場へと急行した。巨人のような体躯を誇るヴィランがハイウェイのど真ん中で大暴れしている。ドライバーは軒並み既に避難完了しているようだが、巨人は取り残された車をぶんなぐってグシャグシャにしたり、道路の下に蹴り飛ばしたりと、好き放題に暴れていた。
「そこまでですっ! 量産型クライング・ジェネシス! 私があなたの相手をしますっ!」
アイが大声で呼びかけると、量産型はイェーガーの気配を察知したのか、掴んでいた自動車をその辺に放り出し、アイの方へと向き直った。
「ヒーローだ! 来てくれたんだ!」
「ちょっとマニアックな衣装だけど可愛いなあ!」
野次馬となっていた一般人たちは撮影衣装の猫耳ミニスカドレスのまま戦場に現れたアイを見て歓声を上げる。アイの後を追ってきた撮影スタッフたちは、その雄姿を余すことなくカメラで捉えていた。
「成敗しますっ!」
「BAOOOOOM!」
アイがロッドを構えると、量産型はアイに先んじてユーベルコードを放った。オブリビオンの胸に空いた虚ろな孔からたちまち骸の海が溢れ出し、どろどろと、人型を形づくっていく。
そう、この孔こそはオブリビオン・フォーミュラであるクライング・ジェネシスがかつて主武装とした『骸の海発射装置』の模造品。無限の過去へと繋がる入口なのだ。
「ふふふ、滅びこそが我が喜び。あなたにも永遠の安息を与えてあげましょう、我がオリジナル」
――ソレは、白い髪で、赤い目をしていた。
――ソレは、猫耳カチューシャをしていた。
――ソレは、下着が見えそうで見えない絶妙な丈のミニスカメイド服を着ていた。
――ソレは、アイと同じおもちゃの魔法の杖を持っていた。ドヤ顔で。
「って、それ、私じゃないですかーっ」
自身のコピーとして出現した骸の海の欠片を見て、アイは絶叫した。そう、量産型のユーベルコードの内の一つは、敵対するイェーガーの姿と能力を複製した幻影を作り出すものだったのである。ただし幻影と言っても、もちろんそのダメージは幻想ではない。猟兵は己の映し身を乗り越えなくてはいけないのだが――。
「さあ、来なさい! 私が骸の海に代わっておしおきしてあげましょう!」
ツインテールをぶんぶんと振り乱し、決めポーズをとる幻影アイ。
「ああ、風でコピーのスカートがめくれて大変なことにっ……! ちゃんと隠して下さいっ!」
逃げまどう車が高速で通過し、突風でミニスカートが翻っても、コピーはへっちゃらな顔をしている。自分と全く同じ姿の敵の痴態に、アイの羞恥心は限界を突破した! 早くあの痴女をこの世から退場させなければ、全米に私の恥ずかしい動画が流出してしまう!
「『OS☆クラッシュ』(オブリビオン・ソウル・クラッシュ)! 骸の海に沈みなさい、忌まわしき記憶と共に!」
「きゃあああああっ!」
「GYAAAAAAAAAAAAAA!?」
登場時点で変身は完了していたので変身は省略。デジタル・アイはフルパワーで電脳魔法を叩き込み、自身の幻影と、側に立っていた量産型クライング・ジェネシスを空間ごと爆砕したのだった。
成功
🔵🔵🔴
桐嶋・水之江
きゅぴきゅぴきゅぴるん
天才魔法少女(36歳)プリティ水之江、ただいま参上よ
現れたわね…お得用クライング・ジェネシス
いえ、量産型だったかしら?まあそんな事はどうでもいいわ
もえもえきゅんなこの私のプリティパワーで骸の海に送り返してあげるわ
ええっと、契約内容にはマジカルサモン・ロッドで倒してって書いてあるわね
サモン、ワダツミ!
何よ?サモンロッドなんだからサモンされたものも杖の一部でしょう?
あら、向こうも幻影のワダツミを出して来たわね
でもこのプリティ水之江に敵う訳が無いわ
拡散ハイパーメガビーム砲、発射!
ヘリや街が巻き添えになる?特撮ヒーローだって戦闘中に街を壊しまくってるじゃない
これは必要な演出なのよ
●プリティ水之江、ただいま参上!
「きゅぴきゅぴきゅぴるん。天才魔法少女(36歳)プリティ水之江、ただいま参上よ」
量産型クライング・ジェネシスが暴れている市街地へと到着した水之江は自分で効果音をアテレコしながら、ビシリとローティーン魔法少女っぽいポーズを決めた。無論、そんな年増の悪あが……工夫を凝らしたところで外見が若返ることはない。彼女の姿は撮影の時と同じく、マニア向け魔法少女(?)のままであった。
「GOOOOOOOOOOOOOOA!」
「現れたわね……お得用クライング・ジェネシス。いえ、量産型だったかしら? まあそんな事はどうでもいいわ」
イェーガーの気配を感知し、こちらへと突進してくる量産型クライング・ジェネシスたちの姿を見据え、水之江はロッドを構える。業務契約書にはロッドで敵を倒したように見せかければボーナス支給と書かれている。ならばこれを狙わない手はない。
「サモン・ワダツミ!」
水之江はロッドをくるくるとバトンのように回し、横ピースでウインクを決めながら、亜空間で待機していた宇宙戦艦ワダツミを呼び出した。
「マジカル・ハンマー!」
水之江の掛け声と共にワダツミが主砲・水之江キャノンをぶっ放し、直撃した量産型クライングジェネシスの数体が蒸発した。
「よし、これでボーナスね」
「今のは別にロッドの攻撃ではないのでは?」
「何よ? サモンロッドなんだからサモンされたものも杖の一部でしょう?」
スタッフのツッコミに対し、水之江は口を尖らせた。ちゃんと召喚ポーズの演出もしたし、ボーナスは後できっちりいただく!
「「THEEEEEEND!」」
水之江がスタッフと揉めていると、増援として出現した量産型たちが次々と簡易型骸の海発射装置を起動した。虚ろへと繋がる穴から呼び出されたのは水之江の過去。すわなち、旧型のワダツミであった。ちなみにブリッジに収まっている水之江も過去なので今より少し若いが、残念ながら戦艦の中にいるので外部からは観測できなかった。
「あら、向こうも幻影のワダツミを出して来たわね」
「まずいですよ! あれが一斉に砲撃してきたら、街が一瞬で灰に……!」
「そうはさせないわ。もし街ごと会社が潰れたら私のキャラグッズの展開にも支障が出るもの」
水之江は大切なもの(円盤の利権とか、ワダツミプラモの製作会社とか)を守るため、ワダツミの性能を限界まで引き出し、たった一人で過去ワダツミ艦隊へと挑む!
「このプリティ水之江に敵う訳が無いわ。拡散ハイパーメガビーム砲、発射!」
水之江はロッドをタクトのように振り上げ、ワダツミに攻撃命令を出した。
その瞬間、水之江キャノンから膨大なエネルギーが迸る。流星群の如く拡散した無数のビームは正確に全ての過去ワダツミと量産型クライング・ジェネシス達を貫き、大爆砕させた。ついでにTV局のヘリコプターなども撃墜し、レポーターがパラシュートで降下していたり、工事中だったタワーマンションの上層階がごっそり吹き飛んだりもしていたが、そんなことは些細なことだ。
「あの、街もしっかり巻き込まれているのですが……」
「特撮ヒーローだって戦闘中に街を壊しまくってるじゃない。これは必要な演出なのよ。さあ、この戦いの映像を元にCMを作りなさい! ワダツミのプラモのCMを!」
「リアリー?」
水之江の無茶な要求に、おもちゃ会社の人々は頭を抱えるのであった。
成功
🔵🔵🔴
ビリー・ライジング
【ライジング兄妹】◎
事前に現れる事が分かっていても、玩具の音声収録中とは唐突だな……!
戦闘場所:ビル街の摩天楼
戦い方は【空中戦】。地上にいるミリィと挟み撃ちにする作戦だ。
【空中機動・空中浮遊】で敵の攻撃を回避して、
【挑発・存在感】で敵をこちら側へ【おびき寄せ】る。
「どうした、俺はこっちにいるぞ!」
ときおり【視力】でビル街の周囲を見回して、
一般人を見つけた時は【かばう】ように素早く移動、
【盾受け・武器受け・ジャストガード】で防御する。
「そう簡単に一般人に手は出させないぜ?」
「ミリィ! ロッドを貸せ!」
ミリィに【大声】を掛けて、飛んできたロッドをキャッチ!
敵にロッドの先端を向けて、UCで攻撃する。
ミリィ・ライジング
【ライジング兄妹】◎
うう……この巫女装束で出動は恥ずかしいけど、
着替える時間もないから、このまま行っちゃえ!
戦闘場所:ビル街の摩天楼
戦い方は【ダッシュ・ジャンプ】を活かした地上戦。
空中にいるお兄ちゃんと挟み撃ちにする作戦。
【先制攻撃】でロッドを振って、UCを発動。
代償は【呪詛耐性・激痛耐性・毒耐性】で抑えておく。
「化身の皆、私に力を貸して!」
敵のUCで出た幻影に対して、
五行の【属性攻撃・高速詠唱】で戦いながら、
ロッドに【破魔】の力を込めて、【カウンター】!
「隙だらけよ!」
「受け取って、ライジングマスク!」
【聞き耳】でお兄ちゃんの合図を受けたら、
【クイックドロウ・スナイパー】でロッドを【投擲】!
●激闘! ライジング兄妹!
「我が剣風に宿る水よ、風よ、土よ、雷よ、闇よ。今ここに発現せよ! 絆の……ん?」
「大変です! 市街地にヴィランが出現しました! 量産型クライング・ジェネシスです! ヒーローは至急出動して下さい!」
「なんですって!?」
魔法少女衣装でロッドを振り回し、おもちゃのCMを撮っていたミリィは、スタジオに駆け込んできた警備員の方を振り向いた。
「事前に現れる事が分かっていても、玩具の音声収録中とは唐突だな……!」
レイピアとマイクを握り、必殺ボイスの音声を収録していたビリーもぼやいた。
「ともかく行きましょう、お兄ちゃん! うう……この巫女装束で出動は恥ずかしいけど、着替える時間もないから、このまま行っちゃえ!」
「おう! ええい、この仮面くっついて取れないな! 俺もこのまま行くぞ!」
二人はオブリビオンが出現したという場所を目指し、着替えもせずに駆け出していった。
「すごい数だな……何体いるんだ?」
「クローンとはいえ、かつてオブリビオン・フォーミュラだった者がこんなにいるなんて……早く倒さないと!」
「GUOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!」
二人がビルの屋上に駆け付けた時、そこには討ち入り前の赤穂浪士の如くひしめく量産型クライング・ジェネシスと、たくさんのヒーロー達が戦っていた。しかし、劣化コピーとはいえ、相手はクライング・ジェネシス。ヒーロー達はここで量産型を食い止めるのが精一杯の様子だ。
「ヒーロー達! あとは俺達に任せてくれ! 氷よ、凍てつけ!」
ビリーはヒーロー達に声をかけ、オブリビオンに向けて魔法を放った。たちまちマジックレイピアから凍てつく冷気が迸り、量産型たちの前に氷の壁が立ち塞がる。ビリーは敵の視界が遮られている内に空を飛び、距離を詰めていった。
「行くよ、お兄ちゃん! 化身の皆! 私に力を貸して!」
ミリィはマジカルサモン・ロッドを振り、化身忍者の力を発動させた。実はロッドはユーベルコードとは関係ないのだが、ギャラリー向けのサービスである。化身達の力を己の身に宿したミリィはミニスカ巫女装束をはためかせ、大ジャンプした。ビリーとは反対方向の空中へと身を躍らせ、量産型へと近づいていく。
「BAOOOOOM!」
「THEEEEEEND!」
量産型クライング・ジェネシス達は空中から迫るライジング兄妹を迎撃すべく、胸の簡易型骸の海発射装置を起動させた。たちまち虚空へと繋がる孔から過去が溢れ出し、摩天楼の上空にライジング兄妹の幻影と、黒いビームが乱舞する!
「そんな攻撃当たるかよ! どうした、俺はこっちにいるぞ!」
ビリーは空中で稲妻のように鋭くターンし、ひらひらとオブリビオンの攻撃を躱しながら、量産型たちを挑発する。言葉は話せなくともヴィランの本能で挑発を理解したのか、量産型は次々とビリーが逃げて行く方向へとおびき寄せられていく。
「樹木よ! 炎よ! 金剛石よ!」
ミリィはビリーに気を取られ、背中を晒した幻影や量産型に向けて五行の攻撃を放ち、次々と撃破していく。しかし、いつの間にかミリィの背後にも量産型の一体が接近していた。
「UWOOOOOOOOOOOOOO!」
量産型は吠え猛り、過去で現在を塗りつぶさんと、黒いビームを放つ。至近距離で放たれた過去ビームは、あわやミリィに直撃するかと思われたが――。
「はああああ――ッ!」
なんとミリィは手にしたおもちゃのロッドに破魔の力を注ぎ込み、黒いビームを切り払った!
「隙だらけよ!」
その身に宿した勇者の太刀筋をトレースしたミリィは、そのまま返す刀でカウンターを叩き込み、量産型を摩天楼から叩き墜とした!
「GOOOOOOOOOOOOA!」
「おっと、危ない!」
その頃、ビリーはビームシールドで幼い少女を量産型の攻撃から庇っていた。咄嗟のことだったので撮影用の白い仮面が半壊してしまったが、少女には傷付いていない。
「そう簡単に一般人に手は出させないぜ?」
「ありがとう! がんばって、ええと……」
「ライジングマスクだ」
ビリーは少女を安全な場所まで運び、量産型の前に再び立ち塞がった。一体一体は苦戦するほどの相手ではないとはいえ、数が多い。精霊魔法の連発でそろそろ魔力も尽きかけている。ミリィのユーベルコードの反動も心配だし、さっさと終わらせた方が良さそうだ。
「ミリィ! ロッドを貸せ!」
「分かったわ!」
ビリーがミリィに呼びかけると、その声に反応し、近くまで跳んできたミリィが空中で弓のように体を反らせ、渾身の力でビリーへとマジカルサモン・ロッドを投擲した。
「受け取って、ライジングマスク!」
バシッ! ライジングマスク、もといビリーはロッドを片手で受け取め、残りの魔力を注ぎ込んだ! その瞬間、おもちゃのはずのロッドから眩い輝きが迸る!
「『天空滅ぶ轟き』(ホライゾンゴールド)!」
「「GYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!」」
ビリーの力にミリィの破魔の力が上乗せされて出来た巨大な光の刃は、量産型クライング・ジェネシス達をまとめて貫いたのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
穂村・理恵
◎
え、できれば下がっていて欲しいんですけど……
言っても聞いてくれそうに……ないですよね
このクライング・ジェネシスとは以前戦った事がありますが、
今は人々の避難もまだ済んでないから、迷ってる暇はありません
(特に持ち替える必要もなかったからロッドを持ったまま、つい構えたりしちゃいつつ)
UC【炎霊竜化(エレメンタル・オーバーロード)】!
15mの火竜の姿に変身して、クライング・ジェネシスのばら撒く炎を制御して被害が出ないよう抑え込みつつ、避難の手伝いをしたりします!
後は……纏っている原初の炎を制御してかき消し、周りを巻き込まないよう
怪力で掴んで空中へと投げ上げて、そのまま9100℃の熱線で、とどめです!
リカルド・マスケラス
◎
「ここはレイチェルの安全を最優先っすよ」
レイチェルに憑依し【跳梁白狐】を発動。マジカルサモナーの衣装を巫女系の和風っぽく変更
「これも強化フォームの一端ってことで。で、この形態だと敵の攻撃には無敵なんすけど、自分は動けないんで代わりに戦って欲しいっす。指示はするんで」
敵が攻撃してくるならマジカル鎖鎌に【属性攻撃】を重ねてカウンター気味に成敗。向こうもUCを使って防御してくるなら、鎖鎌で拘束し【怪力】【ロープワーク】で川に叩き落として炎を消すなり、一箇所に集めて水属性攻撃で薙ぎ払うなり
「あ、作中でこのフォーム使うなら、パワーや防御重視ってことでアクションゆったりめにした方が負担は少なそうっすね」
●ラストバトル!
「え、ヴィランが出たの!? ここここここは大丈夫かしら!?」
魔法少女マジカルサモナー主演女優、レイチェルは突然の事態に慌てふためいていた。そう、彼女はヒーロー役の女優であって本物のヒーローではない。こういった緊急事態には慣れていないのだ。
「ここはレイチェルの安全を最優先っすよ」
リカルドはふわり、と本体のお面をレイチェルの顔の前に移動させると、すぽん、と彼女の顔の横に張り付いた。レイチェルに憑依したのだ。
『跳梁白狐』
リカルドがそう呟くと。レイチェルの衣装が白と赤のカラーリングの巫女っぽい和服へと変化した。
「これも強化フォームの一端ってことで。で、この形態だと敵の攻撃には無敵なんすけど、自分は動けないんで代わりに戦って欲しいっす。指示はするんで」
「分かったわ! ついに私も本物のヒーローになれたのね!」
「残念ながら期間限定っすよ~」
レイチェルはテンション高めの様子で大地を蹴り、ビルの壁を蹴り、鎖鎌でブランコし、最寄りの事件現場へと駆けて行った。
「GUOOOOOOOOOOOO!」
「カメラ回ってマスヨ! 理恵チャン、頑張っテ! できれば映像映えする感じでヨロシクお願いシマス!」
「え、できれば下がっていて欲しいんですけど……言っても聞いてくれそうに……ないですよね」
ハイテンションな様子でカメラを回し続ける監督にげんなりしながら、理恵は市街地で量産型クライング・ジェネシスと対峙していた。できればもっと遠くまで逃げてほしいのだが、監督は理恵の雄姿をあますことなくカメラに収めるつもりらしい。パニック映画なら真っ先に死ぬタイプの慢心っぷりである。
「GAOOOOOH!」
量産型クライング・ジェネシス達はその身に紅い炎を纏い、防御の姿勢を取った。凄い熱量だ。どうやら燃えている間は動けないようだが、放っておいたら街中が火事になってしまうだろう。
「このクライング・ジェネシスとは以前戦った事がありますが、今は人々の避難もまだ済んでないから、迷ってる暇はありません」
理恵は人々を背に庇いつつ、マジカルサモン・ロッドを構えた。
「あ」
構えてから、理恵は手に持っているものがオモチャのロッドであったことを思い出した。もっとも、特に持ち替える必要もなかったが。
「行きます……! 『炎霊竜化』(エレメンタル・オーバーロード)!」
理恵の叫び声と共に、激しい蒼炎が巻き起こる。理恵の体を包み込んだ蒼い炎は竜の姿を形どり、上昇気流のように激しく噴き上がった後、理恵は蒼き炎の翼を持つ巨大な火竜へと姿を変えた。
「ワオ! アメイジーング!」
後ろの方で監督が狂喜をする声が聞こえる。ドラゴンが彼の少年のような心に刺さったらしい。
「まずはこの炎を……!」
理恵はクライング・ジェネシスが撒き散らしている炎を抑え込むべく、精神を集中する。同じ火炎使いであるが故の荒業だ。燃え広がろうとしていた原初の炎は理恵の蒼い炎に抑え込まれ、一か所へと集まっていく。
「理恵さん! 応援に来たわ! 街の人達の避難誘導は任せて!」
その時、狐のお面を被ったレイチェルが戦場に姿を現した。突然のヒロイン登場に理恵は驚きの声を上げる。
「え!? あなたは一般人だったはずでは!?」
「ども。ヒーローマスクのリカルドです。自分がレイチェルに力を貸しているので彼女は安全っす」
レイチェルはニンジャばりの見事な身のこなしで人々を担ぎ上げ、安全な場所へと避難させていく。確かにあの身のこなしならば、戦力としてカウントしても問題ないだろう。
「今の内に……!」
理恵は炎の制御を強めて強引に量産型の炎を掻き消すと、巨大な竜の腕で一体をむんずと掴み上げ、空中へと投げ飛ばした!
「WAOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!?」
「とどめです!」
理恵の口から蒼い熱線が吐き出される。9100度の熱線に貫かれた量産型は、悲鳴を上げる間もなく蒸発し、この世から消え失せた。
「次です!」
理恵は次の一体を尻尾で薙ぎ払い、ビルの壁に叩きつけた。すると、原初の炎の防御を解いた量産型たちが次々と理恵へと殺到してきたが、理恵は怪獣映画ばりのダイナミックなアクションで次々と怪人を叩き伏せていく。
「マジカル・鎖鎌―!」
一方、避難誘導を終えたレイチェルは鎖鎌をぶんぶんと振り回し、拘束した量産型を真っ二つに両断していた。量産型は原初の炎に包まれているのだが、レイチェルもリカルドのユーベルコードで無敵になっているので、おかまいなしのパワーファイトである。水属性は有効なのか、レイチェルが水圧弾を叩きつけると、クライング・ジェネシスの炎も消え去り、通常攻撃も有効になっていた。
「あ、作中でこのフォーム使うなら、パワーや防御重視ってことでアクションゆったりめにした方が負担は少なそうっすね」
「そうね! 早すぎてカメラさんが追いきれないし! さあ理恵さん、そろそろ決めましょう! 合体魔法よ!」
「分かりました!」
レイチェルは理恵と合流すると、その背中の上に飛び乗った!
「「いっけぇえええ!!」」
火竜となっている理恵の背に乗り、量産型クライング・ジェネシスの群れに突撃したレイチェルは、量産型たちをまとめて切り裂いた。さらに理恵がトドメの熱線を浴びせ、オブリビオン達は黒焦げになって骸の海へと還っていく。
「凄いぞ、イェーガー! この映像は大人気間違いなしデス!」
こうして、イェーガー達の活躍により、ルービックシティの平和は守られ、イェーガーと魔法少女マジカルサモナーのタイアップ企画も大成功に終わったのだった。
大成功
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