マッキーズブートキャンプ
●結果にコミットする魔法
猟書家、魔鬼士は武人である。ただひたすらに強さを追い求め、災魔と大魔王の力にまで手を出そうとし自らも魔道に堕ちたまさに武に狂う鬼である。
彼は様々な武術を学んでいる。ただ倒すのみならず相手の動きを学ぶことでその強さを自らの者とできるからだ。その学ぶ方法の一つは、武の盛んなアルダワ東方諸島に置いて過去催された武術大会の優勝者の遺品を災魔化させること。
彼の定義する武の範囲は広い。格闘技のみならず武器術やガジェット、精霊や魔獣の使役術。そしてもちろん魔法も武の範疇に含まれる。今回彼が手にしたのは、とある魔術師の残した壺。何でもこの壺で熟成された妙薬を口にし肉体を強化することで狂戦士化し、その体で反動を抑え込むが如き逆作用の魔法を用いる非常に変わったスタイルで周囲を圧倒していたという。
肉体派の魔法使いという稀有な存在。これは猟書家としての役目である『魔導蒸気文明の災魔化』において大きな戦力となろうし、自身も学べるところが多かろう。そう思った彼はその壺を強奪、災魔の卵を埋め込んだのだ。
だがその結果。
「めっちゃ背高いじゃないですか! どうやったらそんなに伸びるんですか!」
「骨の成長を阻害しないこと……か?」
「鎧の上からでもわかる素敵スタイル! 何食べたらそんなに!」
「筋肉は壊して直すことで膨らむからその材料となる栄養を適正に……」
「鎧って太ったら同じのもう着れないんでしょ? どうやってスタイルをキープしてるの?」
「毎日自身の健康状態を細かく観測し記録を着ければ異変に気づきやすくなる。後は変わった時の原因を考えて正していけば……」
出てきた災魔は低身長、貧乳、太り気味と些か極端な体形を持つ少女型魔法使いたち。そして彼女たちは魔鬼士を見るなり質問攻めにし始めたのだ。
幸か不幸か彼には長い時をかけて学んだ武の知識がある。体作りはどんな流派でも基本ということもあって、彼はそうした肉体づくりのための知識は豊富にあった。
戦力になればと教えてしまったのが運の尽き。彼女たちは魔鬼士をコーチとし肉体改造に励み始めたのだ。見限ろうにも彼女たちの魔力はかなり高い。使えばかなりの戦力になるのは明らかであり捨てるに捨てられない状態になってしまっていた。
「なぜ俺が……」
悩む魔鬼士。そこに仮アジトとして潜んでいた空き家の扉が開かれた。
「あのー……こちらで体形に関する相談を受け付けていると聞いたのですが」
「誰からだ!」
●望んだ結果とは限らない
「……依頼です」
憮然とした表情でそう告げるグリモア猟兵ミルケン・ピーチ(魔法少女ミルケンピーチ・f15261)のボディ花園・桃姫。なんだかやたらと機嫌が悪いが、彼女が不機嫌な時の理由は大体決まっている。
「今回の敵はアルダワの猟書家『魔鬼士』。彼は東方諸島で武術大会の優勝者の遺品に災魔の卵を埋め込み災魔を発生させているのですが、今回それで発生しているのが……」
そこで嫌そうな顔をして一度言葉を切る桃姫。
「体形に悩む魔法使い『マジカルダイエッターズ』という集団です」
やっぱりね。そんな空気が周囲に漂う。
「彼女たちは体形にコンプレックスを持つ少女の集団であり、本来体形を改善する魔法を編み出すつもりが逆効果の魔法になってしまったらしく、それを使って攻撃してきます」
魔力そのものは非常に高いらしく、その魔法にかかればとんでもない体形にされてしまうようだ。
「今回災魔の卵が埋め込まれたのは壺でして、魔鬼士はこれで作られていたのは肉体強化の妙薬と聞いていたようですが実際の所これで作られていたのは……壺漬けカルビで」
え、何、それは。
「持ち主の魔法使いは料理人の家系で一族秘伝の壺漬け肉の作り方を知っていたのですが、そのお肉がどうしてもやめられず体形もそれ相応になってしまい、そのストレスを魔法に込めて大暴れしていたらいつの間にか武術大会に優勝してしまっていたようで」
どうやら大会優勝した上長い年月が経ったことで、相当に話が脚色、改変されて伝わってしまっていたようだ。
「まあとにかく、そんな彼女の遺志を受けて発生してしまった彼女たちは、現在魔鬼士慣習の下肉体改造に励んでいます」
それ放っといてもよくね? とも思うが、体が仕上がってしまえば破壊活動を始めてしまうのだ。結局は倒す必要は出てくる。
「ですので皆さんにはここに乗り込んでダイエッターズと魔鬼士を倒していただきたいのですが、ここには一人、うっかりここに入ってきてしまったマジックナイトの方がいます。彼女はこの体形変化魔法の対処法を知っているので、アドバイスを受けてみてはいかがでしょう」
それは有り難いが、何故そんなピンポイントな魔法の対処法を知っているのか。
「実はこの人、件の魔術師さんの子孫でして。本人も同じ魔法が使えるので必然的に対応策も分かるのです。優勝者の子孫とあって実力も中々です。あと壺漬けカルビの作り方も知ってます」
それは聞いてこいということなのか。まあとにかくこの戦いに置いては少なからぬ助けになってくれることは間違いあるまい。
「まあ色々事情のある敵ですが、猟兵として倒さなきゃならない相手ですので、どうか皆さん、早く片付けて戻ってきてください!」
怒りながらそう言うと、桃姫は乱暴にグリモアを起動し猟兵たちをアルダワへと送り出すのであった。
鳴声海矢
こんにちは、鳴声海矢です。アルダワで一番シリアスそうな猟書家を弄り倒してみました。
今回のプレイングボーナスはこちら。
『プレイングボーナス(全章共通)……マジックナイトの助力を得る』
現場にはここをダイエットスクールと勘違いしたマジックナイトがいるので、彼女に簡単な事情を説明し共闘を求めてください。相手が災魔と分かれば常識的に倒さなきゃとなるので、あまり込み入った説明までは必要ありません。ダイエッターズの使ってくる魔法の対処法を知っている他、単純な戦力としても使えます。
第一章では『マジカルダイエッターズ』との集団戦です。高身長、巨乳、スレンダーなどスタイルのいい人は目の敵にされ優先的に狙われます。基本戦法は体形変化魔法で動きを鈍くしたところで、破壊系の魔法をぶっぱなすタイプが多いです。なおスタイルが良ければ男性でも八つ当たり対象となります。
第二章では猟書家『魔鬼士』とのボス戦。彼はいたって普通に強いです。ただやっぱり思ってたのと違うことをやらされたストレスが溜まっているので、なんか八つ当たり気味に攻撃してきます。
以下、マジックナイト詳細。
ブリス・ローズリーフ(20、女性)人間のマジックナイト×フードファイター。
東方諸島出身の魔法戦士であり、反動の強い魔法を体で支えて撃つパワー型魔術師。低身長、貧乳、寸胴でかなり幼く見られることを気にしている。実家は飲食店であり、彼女自身結構な大食いかつ酒飲みだが栄養は大体魔力に行っている模様。好物は肉で自分で作るのも得意。常識はあるが、コンプレックスを刺激しすぎるとキレて魔法をぶっぱなす先祖譲りの悪癖がある。
割とコミカルよりなシナリオですが、本気の戦いになれば敵は強いので戦闘はしっかりと。
それでは、脂の乗ったプレイングをお待ちしています。
第1章 集団戦
『マジカルダイエッターズ』
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POW : 見下される気持ちを味わうといいわ!
攻撃が命中した対象に【重力魔法】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【身長が縮み続ける超重力】による追加攻撃を与え続ける。
SPD : そんな出っ張りは引っ込んでしまえばいいのよ!
【魔力壁によって形を変形させる能力】を籠めた【空間魔法】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【自慢のスタイル】のみを攻撃する。
WIZ : リンゴ体型なんて言われてうれしいと思う!?
【魔法杖】から【風魔法】を放ち、【相手の体を膨張させること】により対象の動きを一時的に封じる。
イラスト:川上らいと
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「最近こちらで体形に悩む女性の相談に乗ってくださる男性がいると噂になってまして」
「だから誰だそんな話を広めたのは! 心当たりが数人いるのが悲しいが!」
同期の嘘つき悪魔あたり非常に怪しいが、担当地域が違うので多分白だろう。赤だけど。
「大体お前の年齢なら体形を気にするには早すぎるだろう。成長期もこれからだろうし無理な矯正をかけると結果的に歪な体に……」
「成人してます……」
「……すまん」
思わず謝る魔鬼士。
「先祖代々、体形には余り恵まれない方でして……あ、申し遅れました。ブリス・ローズリーブと申します。これ、つまらないものですが」
「だから話を……ん? その壺は……」
勘違いしっぱなしのマジックナイト、ブリスが差し出した手土産の壺を見た時、魔鬼士の表情が変わる。それは自身が災魔の卵を入れた壺に形状がよく似ていたのだ。
だがその壺を調べようとした瞬間、魔術師姿の女性たちが魔鬼士を押しのけ前に出てきた。
「あ、これ、お肉じゃない!? ねぇマッキー先生、食べていい?」
「だめだ! 特にお前はカロリー制限がかかっているだろう、肉一切れ分を消化するのにどれだけ動けばいいと思っている!」
「えー、いいじゃん、どうせ災魔なんだし、普通の生き物と同じ体してないしー」
「こういう時だけ災魔ぶるな!」
緊張感のないやりとりだが、その中に入っていたあまりにも危険すぎる単語はさすがに聞き逃されることはなかった。
「え、災魔!? あなたたち、災魔なの!?」
アルダワ地下迷宮に全て封じられたはずの災魔、それが学園で起きた大事件以降世界各地で現れるようになったという話は聞いているし、実際この東方諸島でも災魔絡みの事件は何件も起きている。
「あ、マッキーコーチ言っちゃったー」
「先に言ったのはお前らだろうが! まあいい。こちらもお前たちの実力を実戦で見たいと思っていた所だ。お前、こいつを始末して見せろ」
実地訓練を兼ね、ブリスの始末を命じる魔鬼士。それに答え太った少女が前に出る。
「あたし程じゃないけどちょっとお腹周り太いし、おまけに背は低くて胸もないからかわいそうだけど……」
若干気の進まない様子で言ったその小太りの魔法使いの顔面に、巨大な炎の魔力が炸裂した。
「自分もそんなナリのくせに人の体型弄ってんじゃないわよ、あぁん!?」
いきなり豹変して攻撃魔法をぶっぱなしたブリス。太った少女は消滅こそしていないが、その魔法の威力の程は武人たる魔鬼士の目にははっきりとわかった。
「ほう……なるほど、そういうことか。お前たち、全員でかかれ! こいつはいい『運動』になる!」
痩せ型や低身長の少女も前に出て一斉に魔力を溜め始める。彼女らも集団型とは言えオブリビオン、一斉にかかられればブリスではひとたまりもあるまい。
猟兵よ、どこかすれ違ったまま始まる戦いに参加し、災魔相手の本当の戦いというものを見せてやれ!
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
ええ、色々気になりますよねぇ。
身長が低めにもかかわらず、胸の成長は桁違い、体重の方も相応ですし(遠い目)。
まずはブリスさんに、「対応策」を尋ねると共に、後程「壺漬け肉の製法」を教えて頂けるようお願いしますぅ。
対価は「別の肉料理の製法」で如何でしょう?
『重力魔法』なら、同じく『重力』を操る『FGS』で軽減出来るでしょうから、その間に『FRS』『FSS』で牽制しつつ『FAS』で飛行、相手の上に回りますねぇ。
そして【重豊躰】を発動、胸を中心に『300t強』まで増量し落下、[重量攻撃]で押し潰しますぅ。
この状態であれば、『重力魔法』で増えた重量がそのまま攻撃強化になりますので。
五ヶ谷・グレン
◼️心情
魔鬼士か、以前も見たが、
いつもうまくいく訳ではないんだな。
それで、このお嬢さん方は俺の領分だよな?
◼️魔女の時間
たのもー(バーンと扉を開きつつ)
ここが悩める女性に親身になってくれると噂の?であってるよな。
同じ悩める女性の味方として魔女の力(時間制限有)を振るいに来た。
(不意打ち気味にブリスさんの理想に寄せた全身化け術メイクを施し、
ダイエッターズが刺激された憧れを元にUCで美容薬を精製)
さて、そちらのお嬢さん方だと、
効果の程は一時的に頑張ればなれる程度のものだか、どうかな?
(爽やかに微笑み、お互い嫉妬が向くように調整した薬を渡して)
あ、お代は壺漬けカルビのレシピと魔法の抵抗法で良いかな?
色々な誤情報の下うっかり猟書家のアジトへ入り込んでしまったマジックナイト、ブリス・ローズリーフ。混沌とした流れのままなし崩しに戦闘に入ってしまったが、相手は集団型とはいえ災魔であり、さらにはボスまで後ろに控えている。相手はやる気満々だし、自分も勢いあまって攻撃まで仕掛けてしまい最早引くに引けないが、どう考えても自分が不利。
そんな絶体絶命の状況、そこから扉一枚隔てた場所で。
「魔鬼士か、以前も見たが、いつもうまくいく訳ではないんだな」
五ヶ谷・グレン(竈の魔女はだいたい筋力で解決する・f33563)は以前も魔鬼士と戦ったことがあったが、その際の彼は配下たちを道具としてしか見ておらず、純粋に強い相手にだけ興味を抱く冷酷な存在であった。それに比べれば今回は曲がりなりにも配下たちの話を聞き、それどころか振り回されている感すらある。骸の海から出てくるたびに多少なりと差異ができるのはオブリビオンの常だが、猟書家もその例に漏れないということだろう。
「たのもー」
それはそれとして、グレンは扉をばーんと開けて中に入っていく。そのいきなりの入場に、敵味方問わずその場にいるものが一斉にそちらを見た。
「ここが悩める女性に親身になってくれると噂の? であってるよな」
「あっておらん!」
グレンの言葉を、誰かが肯定の意を示す前に素早く魔鬼士が否定した。
「ええ、色々気になりますよねぇ。身長が低めにもかかわらず、胸の成長は桁違い、体重の方も相応ですし」
だが、それをさらに否定し返すかの如く、夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)が遠い目をして言う。彼女の場合はその豊満すぎる体と不釣り合いに低い身長というある種アンバランスな体形が気になるところではあるのだが、当然そんな巨乳が現れればダイエッターズからのヘイトはガン上がりなわけで。
「知ってるのよ、それ自虐のふりした自慢でしょ! そんな出っ張りは引っ込んでしまえばいいのよ!」
完全に怒り心頭の貧乳ダイエッター。怒りの魔法がぶっぱなされる前に、素早くグレンが前に出る。
「それで、このお嬢さん方は俺の領分だよな?」
そう言って魔力を振るうのはダイエッターズ……ではなくブリスの方。
「同じ悩める女性の味方として魔女の力を振るいに来た」
そう言って素早くブリスに魔法の全身メイクを施すグレン。みるみるうちにその体は縦に伸びて出るところが出て凹むべきところは凹み、まさに理想的という言葉を得にしたような体形となった。
「え、うそ……」
突然の変身にあっけにとられるブリス。
「何それ、どーやったの!? ねぇ!」
ダイエッターズもその変貌ぶりに大いに興味を持ったようだ。それに対し、グレンは少し気取りながら答える。
「なんやかんやで出来たこの薬、用法用量を守るなら特になんでもない」
手にした薬包を見せて誘惑をかけるグレン。その隙にるこるがブリスに話しかける。
「ところで、彼女たちはあなたと同様体形を変化させる魔法を使うそうですが、何か対策をご存知で?」
「え!? 何でそれ知ってるんです!? まあとにかく、あの魔法は体形を変えて固着して視点やバランスを崩したり心を乱したりするのが戦闘での使い道なので、動かないタイプの戦い方をするか、あるいは変化を受け入れたり気にしなかったりすると効果は薄くなります」
つまり、その魔法自体には体形を変える以上の効果はないということだ。ただしその変化によって心身のバランスがかなり崩れやすくなり、続く大技が当たりやすくなる。それが話にある先祖が優勝までこぎつけた戦法の一つということなのだろう。
その話を聞きつつ、グレンは魔女の窯から作り出した薬をすっとダイエッターズに手渡す。
「さて、そちらのお嬢さん方だと、効果の程は一時的に頑張ればなれる程度のものだか、どうかな?」
渡された薬を一も二もなく用いるダイエッターズ。そうするとみるみるうちに彼女たちの体が変化していく。だが。
「ちょっと、何であんたの背が伸びてるのよ!」
「あんただって何よそのロリ爆乳! 私はこれ以上痩せても意味ないわよ!」
「痩せても意味ないって!? あたしだってでかくなりたくてなってるんじゃないのよ!」
三者とも、望みと違う部分が改善されてしまっていた。欲しかったものを得られない怒りは自分が欲しがっていたものを得て文句を言っている仲間に向けられる。
もちろんこれはグレンの計算の内。彼は爽やかに微笑みながら、お互い嫉妬が向くように調整した薬を渡したのだ。
「お、おい、お前たち……」
思わず魔鬼士が争いを止めようとするが、その隙は与えない。グレンが敵の攻撃の手を止めたら、攻めかかるのはるこるの役目。るこるは砲撃能力を持つ『FRS』『FSS』で相手に牽制射撃をかけた。
敵からの攻撃に、ダイエッターズも流石に諍いを辞め反撃に出る。
「でっぱりお化けめ、潰れろ!」
身長が伸び細長くなった貧乳ダイエッターが重力魔法を放つ。魔力が高いという噂通りその重力波るこるを捕らえ押し潰そうとするが、るこるはその魔法を『FGS』による重力操作、さらにはある程度潰されることを許容しながら『FAS』の翼をもって重力の中で飛び上がる。
「ふん、どうせこの中で飛んだって……」
いずれ体力が尽きて叩き落とされるはず。そう考えて浮遊兵装まで落とせそうなほどに重力を強めるが、その瞬間こそるこるが狙っていた瞬間であった。
「大いなる豊饒の女神、その御姿の欠片を我が身へ」
【豊乳女神の加護・重豊躰】の力で、るこるの胸が超巨大化する。その重量はおよそ300t強。その重みはダイエッター自身が強化した重力の勢いも伴って、一機に彼女を押し潰す。
「みぎゃっ!?」
その重みに負け潰れる貧乳ダイエッター。流石にこのサイズの胸はいらないか……と口を開けるブリスに、グレンがやはり爽やかに声をかける。
「あ、お代は魔法の抵抗法……はもう聞いたから、壺漬けカルビのレシピで良いかな?」
「対価は「別の肉料理の製法」で如何でしょう?」
るこるも胸の山の上から言うと、困惑しながらもブリスが壺を取り出す。
「え、あ、はい。これは切れ込みを入れたカルビを特性ダレといくつかの果実で漬け込んだものでして、うち独自の工夫としては中原地方から仕入れたこのデーツを入れることで甘みが強く付くんです。タレの作り方は企業秘密でお教えできませんが、完成品で良ければ……」
やはり自慢の品なのか饒舌に説明するブリス。その説明を猟兵二人だけでなく、ダイエッターズまでもが興味深げに聞き入っている。その後ろで魔鬼士が頭を抱えている理由の詳細については、彼にしか分からぬことであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
死絡・送
アドリブOK共闘OK
ノーブルバットに変身して参加、ロボは降りて戦う。
「ドーモ、ノーブルバットです!」
忍者の頭領の家柄なので挨拶はきちんとする。
ブリスさんに
「美味しい漬肉を作られる方とお聞きしました、あちこちの世界に動画配信で宣伝しませんか?」
自分のスマホを出して誘惑とブームの仕掛け人で、ノーブルバットの動画配信チャンネルへの出演を打診。
「完成品も購入希望です」
とブリスさんを庇って戦いつつミルケンさん達への土産で漬肉を
買おうと試みる。
言動は漬肉が欲しいのは本当だが、敵を苛立たせる為の嫌がらせで仲間より自分へとヘイトを向ける話術。
敵の攻撃をオーラ防御で耐えて、光子魚雷一万発発射!!で反撃。
続いて入ってきたのは全身黒ずくめの逞しい男。男はまずブリスの方を見ると丁寧に会釈した。
「ドーモ、ノーブルバットです!」
男の名は死絡・送(ノーブルバット・f00528)。忍者の頭領の子孫でもある彼はまず礼儀正しく挨拶する。
「美味しい漬肉を作られる方とお聞きしました、あちこちの世界に動画配信で宣伝しませんか?」
スマホを取り出しそう提案してみるが、ブリスは首をかしげ怪訝な顔をするばかりだ。
「どーがはいしん……?」
それもそのはず、ここはアルダワである。スマホもなければ動画配信という概念もないのだ。彼のスマホであるノーブルフォン自体は他の世界でも繋がるように改造されているが、受け手側が受信機を持っていなければ使いようもない。
せっかくチャンネル開設もしたのだし出演を打診してもみたかったのだが、相手がそれ自体を知らないのではどうしようもない。一応映像を保存する魔法くらいはあってもおかしくないので、それに近いものだと説明すればある程度理解はしてくれるだろうが、流石に敵前でそこから説明している時間はない。
仕方なく敵の方を向くと、そこには怒りをあらわにしたダイエッターズ……主に低身長が。
「人のこと無視してくれちゃって、それともあたしなんてちっちゃすぎて目に入らないって言うの!?」
どうやら巨人よりも人サイズでそれなりに高身長な方がヘイトを買いやすいらしく、別に言ってもいない自虐まで言いながら魔力を溜める低身長ダイエッター。
だが、元より敵のヘイトを買うのは作戦の内。ブリスを後ろに庇いながら相手の出方を見極める送。
「見下される気持ちを味わうといいわ!」
射出された重力魔法があたり、送を超重力のフィールドが包み込んだ。その重力をオーラを展開して防御しようとするが、やはり彼女の魔力は相当高いらしく展開したオーラ諸共上から押し潰されていく。
「なるほど、ここは話通りか……!」
この超重力の力場では素早く動くことは難しい。室内戦ということもありロボには乗ってこなかった彼だが、重力の影響を受けやすい巨体を持つ機体を使わなかったのは結果的に正解と言えるだろう。
とはいえこのままではいずれ押し潰されてしまうし、かといってうかつに動こうにも後ろにはブリスがいる。さらにもしこのまま縮み続けて後ろの彼女より身長が縮んでしまえば結局は庇うこともできなくなる。
ならば答えは一つ、動かずに攻めるのみ。
「全てを光に変えて消す!!光子魚雷、射て~~~~~~~っ!!」
反撃の【光子魚雷一万発発射!!】がダイエッターズに炸裂、ヘイトに任せ攻撃に注力していた彼女は防御が一瞬遅れ、そのまま光に飲まれていく。
「きゃああああああ!!」
後方へ吹っ飛んでいく小さな体。それと同時に重力魔法が解け、送の縮んだ身長が元に戻り始める。
「完成品も購入希望です」
グリモア猟兵への土産にでもしようと肉購入を希望しつつ、改めてスマホを取り出し動画配信というものが何なのか説明を試みる送。
後に低身長貧乳寸胴という一部の人には大ウケしそうなゲストを迎えた配信が実現するかは、彼の交渉次第といったところかもしれない。
成功
🔵🔵🔴
ニクロム・ヘドロ
嗚呼アナタがマジックナイトのブリスさんデスカ?ボクは見ての通りシガナイ悪堕ちヘドロ怪人です、どうぞヨロシク
嗚呼、あぁアナタ達が災魔ですか?嗚呼よく見たら可愛いお顔しているじゃないですかボクは醜いヘドロ顔だと言うのに
風魔法を撃ち込んでもボクはヘドロなので膨張しても崩れ悪臭が漂うだけデスヨ?
アハハこの強風では近づけませんね?まあ、近づく必要はアリマセンガ
ボクはアナタが欲しい
ヒトとしてのカラダを失ったボクにとってはアナタが災魔とはいえ理想型なのです、さぁアナタの真下からボクの醜い分身がヘドロの底に引きずり込む為這い上がって来ましたよ
嗚呼羨ましく思います、だからアナタもボクのようにしてあげますよ
ヘドロになれば自在に体型を変えられますよ?
羨ましいデスカ~その代わり悪臭と劣等感に苛まれますが
嗚呼ナニを怯え泣いているのですか~?せっかく理想のカラダを手に入れるチャンスなのに!
嗚呼あぁそうか嬉しくて感動しているのですね?
アハハこれから素晴らしいヘドロ人生が待っていますよ?まあ、それが幸せかは解りませんが
猟書家魔鬼士が仮のアジトとしていた空き家。誤情報とはいえ、ここは悩める女性のための相談場として噂が広がっていた。その扉が、またしても女性の手によって開かれる。それと同時に、強烈な異臭が室内に充満した。
「嗚呼アナタがマジックナイトのブリスさんデスカ? ボクは見ての通りシガナイ悪堕ちヘドロ怪人です、どうぞヨロシク」
特徴的な声と共に現れたのは、ニクロム・ヘドロ(悪堕ちヘドロ怪人・f34633)。その出自と経歴から容姿どころか存在にすら悩む彼女は、ブリスにおざなりに挨拶すると戸惑う彼女の横を通り過ぎ、ダイエッターズへと迫っていった。
「嗚呼、あぁアナタ達が災魔ですか? 嗚呼よく見たら可愛いお顔しているじゃないですかボクは醜いヘドロ顔だと言うのに」
相手が敵だということも気にせず、下側から見上げるように顔を近づけるニクロム。一気に迫って来た臭気に思わず顔を反らすダイエッターズだが、その顔は確かにしかめていても可愛らしかった。
彼女たちが気にしているのは体形であり、顔の造作は特に言及していない。むしろ全員が総じて美少女の範囲に入る顔立ちをしており、体形を気にすることなく己の個性と受け入れてしまえばより明るい人生を送れるのではないか……そうとすら見える容姿の者ばかりであった。一応太り気味の少女は健康面から少し調整が必要かもしれないが、それも言ってしまえばよくある悩みの範疇だ。少なくともここにいる彼女は、それこそ魔鬼士が教えたシェイプアップ法を無理なく実践すれば十分健康でいられる範囲だろう。
だが、全身がヘドロでできた怪奇人間であるニクロムはそうはいかない。彼女自身顔の造作自体は決して悪くはないのだが、その体の組成が強い毒性を持つヘドロとあっては美醜以前の問題になってしまう。猟兵であることに縋って戦い続ける彼女にとって、ダイエッターズの悩みだと甘えにしか見えないことだろう。
「ひ……こ、こないで!」
風の魔法を放ち、押し返そうとするダイエッターズ。その風がニクロムのヘドロ製の体に叩きつけられその体形を崩すが、ニクロムはそれを意に介さぬかのごとく進んでいく。
「ボクはヘドロなので膨張しても崩れ悪臭が漂うだけデスヨ?」
その言葉通り、人型を保っていたニクロムの体が崩れ歪んでいく。体からとれたヘドロが床に飛び散りその言葉通りに悪臭を放つが、それによって顔をゆがめるのはダイエッターズと、風下に立っているブリスのみ。
「そのまま潰れてってば!」
さらに風を圧縮、魔法壁を作りニクロムを強引に抑え込んだ。ヘドロがぎゅうぎゅうに押し固められニクロムの体型がさらに人型から離れていくが、やはりニクロムは気にする様子はない。
「アハハこの強風では近づけませんね? まあ、近づく必要はアリマセンガ」
最早顔も潰れ、どこから声を出しているのかもわからない。その声が一言呟いた。
「ボクはアナタが欲しい」
明確な羨望と嫉妬の言葉。それに呼び起こされるかのように、辺りから大量のヘドロが立ち上がり歪な人型を取った。それはまるで彼女たちがそうしたかのように、羨む者を汚しつくそうとダイエッターズへ迫る。
「ヒトとしてのカラダを失ったボクにとってはアナタが災魔とはいえ理想型なのです、さぁアナタの真下からボクの醜い分身がヘドロの底に引きずり込む為這い上がって来ましたよ」
持たざる者からの持てる者への恨みが如何程か。それは誰よりも彼女たち自身が知っているだろう。焦って風魔法を追加するダイエッターズだが、ニクロムとヘドロの民を押し切るには及ばない。
この魔法は強力だが相手を傷つけることは出来ない上に、封じ込め方は相手の『自慢の』スタイルを壊すこと。劣等感の塊であるニクロムには壊すための自慢がそもそもないのだ。
負の感情を魔力に転化し相手を束縛する戦法、あるいはミラーマッチこそがダイエッターズやブリスすら気づいていなかった最大の弱点だったのかもしれない。
「嗚呼羨ましく思います、だからアナタもボクのようにしてあげますよ。ヘドロになれば自在に体型を変えられますよ? 羨ましいデスカ~その代わり悪臭と劣等感に苛まれますが」
「や、やめて、離れて……」
「嗚呼ナニを怯え泣いているのですか~? せっかく理想のカラダを手に入れるチャンスなのに! 嗚呼あぁそうか嬉しくて感動しているのですね?」
「いやあああああああ!!」
「アハハこれから素晴らしいヘドロ人生が待っていますよ? まあ、それが幸せかは解りませんが」
本気で泣き叫ぶダイエッターズに、ねっとりと迫り続けるニクロム。容姿に恵まれぬ恨みを知れ、その言葉を汚泥に濡れて何倍にして返されるのであった。
大成功
🔵🔵🔵
櫻井・クロ
【SPD】
まずはブリスお姉ちゃんの協力を頼むのにゃ
敵意を向けられないように注意にゃね(本人はスレンダー体型でメロン並の爆乳な模様)
「危ないからクロ達が戦うのにゃ。良ければなにかアドバイスとかはあるかにゃ?」
せっかくにゃしこのメガリスの出番かにゃ
「これで叩かれるとおっぱいが大きくなるけど試してみるかにゃ?」
なお大きくはなるが加減はできないので別の意味で動けなくなる
他の子にも【早業】【2回攻撃】で他の敵にも当てるのにゃ
相手の攻撃には【オーラ防御】【第六感】【野生の勘】を総動員して回避したり防いだりするのにゃ
ちなみにスタイルが変化しても特に気にしない猫なのにゃ
※アドリブや他の人の連携などはお任せにゃ
戦闘の色々な余波を逃がすため開け放たれた扉。その扉から、またも一人の猟兵が入って来た。
「……で、お前はどっちだ!」
入ってきたのが女性と見るや頭を抑えながら問う魔鬼士。変な方向で女性不信気味になっているのが、ここまでの経緯を考えれば致し方なしとも言えるかもしれない。
「まずはブリスお姉ちゃんの協力を頼むのにゃ。敵意を向けられないように注意にゃね」
その闖入者、櫻井・クロ(トラベルキャット・f12090)はそのことを胸に刻みつつ、自身の立ち位置を示すかのようにブリスへと声をかけた。
「危ないからクロ達が戦うのにゃ。良ければなにかアドバイスとかはあるかにゃ?」
スレンダー体形でメロン並みの爆乳という敵味方双方からヘイトを稼ぎそうな体形をしているだけに言動には気を付けつつ、ブリスに助言を請うクロ。
「えっと、やっぱり直接のダメージはない魔法なのと、それから最初の重力魔法に捕まらないと追加の超重力が発生しないので、最初を避ければ不発に終わります」
追加攻撃型の技であることは変わらないので、その共通の対処法は十分に通じるということだ。ならば狙いをつけられないよう速攻をかけることがよい。その上で相手の動きを封じられればゆっくりとどめまでさせる。
お誂え向きにそう言う手段にぴったりのメガリスがあった。
「これで叩かれるとおっぱいが大きくなるけど試してみるかにゃ?」
その言葉に貧乳ダイエッターが興味津々で前に出る。明らかにその姿勢は何かを期待しているようだ。
「これで大きくなあれなのにゃ」
無防備なその胸に、【乳出の小槌】の一撃が加えられた。その一撃には痛みはなく、ただ胸がもぞもぞと服の下で動き始める。
「え、え、えぇぇぇぇぇー!?」
貧乳ダイエッターの胸は見事に大きくなった。ただし加減は一切なく、前のめりに倒れる程に。
「こ、こんなにいらないー!」
そのまま倒れて藻掻くダイエッター。それにあっけに取られている他の少女達も、クロは素早く飛び回って小槌で叩いていく。
「こ、これ以上脂肪とかいらないんだけど!?」
「あたしだって横じゃなくて縦がいいのー!」
他のダイエッターも同じように突っ伏して動けなくなってしまう。だが、それでも魔法使い、手に魔力を溜め、クロを重力に捕らえんとした。
「おっと、来るかにゃ」
直感的にその反撃を察し、素早く飛び回って初撃を躱す。さらに飛び回りながら着ぐるみの手の部分を装着し、鋭い爪で少女たちを切り裂いて回るクロ。
それでも最後の抵抗とばかりに、少女達は重力波を放つがそれもクロの展開したオーラに阻まれた。オーラとはいえ当たったことでクロは超重力に囚われ縮んでいくが、体形変化そのものは気にしない故に動揺はなく、重力で動けなくなることにも対応策は考えてあった。
「さ、ブリスさんも一緒ににゃ」
そう言ってブリスに促すと、ブリスは破壊の魔力を思い切り手に溜める。
「気持ちは分からないでもないけど私だって死にたくはないし……何より、あんたたちの悩み私は全部まとめて背負ってるのよ!」
体形変化で動けなくなった相手への大ぶりな一撃。クロの小槌の効果で動けなくなったダイエッターズたちに、彼女の先祖伝来の破壊魔法が全力で叩きつけられた。
その威力は家をゆるがし、壁に大穴を開ける。そしてその魔法の後には、見事に何も残ってはいなかった。
元々得意戦法と同じ形に持ち込めた上、相手の行動停止に使ったのは猟兵が用いたメガリス、その上でクロが事前にダメージを入れていたこともあって、実力をはるかに超える結果を出せたのだろう。
重力の軛が解けたクロは、だが気を抜くことなくそこから飛び退りブリスの傍へ戻る。彼女と向かい合うのは、やはり何かの軛が解けた恐るべき武人……!
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『魔鬼士』
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POW : 災魔の邪眼
【敵の攻撃を見切った鋭い突き】【敵の回避を見切った力強い振り下ろし】【敵の反撃を見切った荒々しい薙ぎ払い】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
SPD : 災魔の鎧躰
全身を【流れる災魔の血を活性化させ、禍々しい闘気】で覆い、自身が敵から受けた【攻撃への高い耐性を得る。また、戦闘時間】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。
WIZ : 侵略蔵書「大魔王の侵略」
自身の装備武器に【侵略蔵書から溢れる大魔王への恐怖】を搭載し、破壊力を増加する。
イラスト:黒メガネ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「九頭竜・聖」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
猟兵たちの活躍によって悩める少女たちは骸の海へと帰った。だがそれは恐るべき敵を振り回していた枷が外れたということでもある。
「仕上がれば一級品になっただろうに、惜しいことをした」
その声音は冗談を言っているようでもあり、一時的にでも生徒だった少女たちを本当に惜しんでいるようでもある。元より顔の見えづらい鎧を着こんでいることもあり、その真意をうかがい知ることは難しい。
だが、どちらであれ彼にとってそれ以上に優先すべきことがあることは変わらない。
「伝え聞いていた話とはだいぶ違ったようだが……奇異にして強力な戦法、稀有なる戦術であることは変わりない。お前は恐らく件の術士の縁者だろう。時代が違い過ぎる故直接会ったことなどあるまいが、時の中でさらに研鑽されていることすら期待できる」
戦術、戦略とは代を重ねるごとに研究が進んでいくものだ。武人である彼はそれを良く知っている。
右手に本を、左手に槍を。猟書家、魔鬼士が戦いの構えを取る。
「さあ来るがよい、敵を封じ豪打を当てる稀なる術士の末代よ。次は俺がお前に学ぶとしよう。そして猟兵よ、彼の大魔王すら打ち破りしその武、俺の体に刻んでみよ!」
その鍛え抜かれた逞しき体から出る威圧感は本物。だがそれに押されるわけにはいかない。さあ、望み通り猟兵の武を魔鬼士の体に刻み込み、そのまま骸の海まで押し返してしまえ!
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
活かせれば優秀な方々だったのは賛成ですぅ。
【炳輦】を発動、防御結界でブリスさんを保護しつつ飛行しますねぇ。
更に『FMS』のバリアを重ね多重の防御を固めると共に、戦場全体へ『時空切断の嵐』を放ちますぅ。
隙間なく戦場を覆う『飽和攻撃』であれば、魔騎士さんが『見切り』に長けていても防ぐのは難しく、応手が『回避』では無く『結界防御』であれば『回避への見切り』も有効になりません。
『嵐』で『見切っても防げない』状況が出来たら『FRS』『FSS』の[砲撃]と『FDS』の[爆撃]、可能であればブリスさんに魔法攻撃もお願いし[追撃]しますねぇ。
帰還後は桃姫さんをお誘いし焼肉パーティでも?
五ヶ谷・グレン
アドリブ、絡み歓迎
武?(頭をよぎるのは子供の時分、食事が全て豆、食器は箸(初体験)の日々)
うん、期待しているところ悪いが俺はなぁ、噂の大魔王とやらもあったっ事はないんだよな。
期待している様なものは、俺は持ってないからな。
せめて魔女らしく、おまえさんの願いかなえようか。
指定UCで。
これがお前の求めたものだ。さて、これだけ強く強敵を願っているんだ、満足してくれるだろう。
マッキーの求めるまだ見ぬ強者、目的を考えるとあまり満足されても困るからな。
それなりにつかれて楽しくなってそうなところで。
俺の怪力を乗せた重量攻撃をカウンター気味に叩き込もう。
気に入ってもらえたら嬉しいが、そろそろお引き取り願おうかな
武を極めるため己や配下、そして猟兵にもそれを発揮することを求める猟書家、魔鬼士。その敵からの期待に五ヶ谷・グレン(竈の魔女はだいたい筋力で解決する・f33563)が思い出す。
「武?」
その頭によぎるのは子供の時分、食事が全て豆、食器は持ったこともない箸の日々。
「うん、期待しているところ悪いが俺はなぁ、噂の大魔王とやらもあった事はないんだよな」
巨人である彼が猟兵となった時にはすでにアルダワ魔王戦争は終結し、大魔王は倒れていた。噂は聞いたことはあれど、その脅威、その力が如何程のものであったか身をもって知っているわけではない。
「期待している様なものは、俺は持ってないからな」
「あいつらを心乱し分断することで戦わず制した、それもお前の武の一つ。その策、俺に通じるか用いてみろ」
内部分裂を誘うような作戦も己の定義する武の一つと、魔鬼士はあくまでグレンを武を修める強敵として定めている。
「何しろ仮にも古の武術会優勝者の力を受けた者たち。それを正面から相手取らぬは策として全く理にかなった話だ。武と知は反するものではない」
「活かせれば優秀な方々だったのは賛成ですぅ」
夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)も彼の配下であったマジカルダイエッターズの実力については認めるところだ。自分のコンプレックスを力に変え、相手を自分と同じ体形にしてしまうという八つ当たりとも言える戦法だが、相手を封じ込めて大技を当ててしまうという戦法はるこる自身も得意とするところ。また自分か他人か、バフかデバフかという違いこそあれ、体形変化を戦法に組み入れていると言う点では多少の共通点もあるとも言える。それ故に、磨き切った時の彼女たちの強さは想像もつきやすかった。
そして、こちらにも全く同じ能力を持つ者がいる。マジックナイトのブリスはその力の流れを受け継ぐものでありその実力も相応。だが魔鬼士がダイエッターズを高く評価していたということは、同じ力を持つブリスについても過小評価はしないということ。それを示すかのように、魔鬼士は槍の最初の一突きを、猟兵ではなくブリスに向けて突き出した。
「大いなる豊饒の女神の象徴せし欠片、その衣を纏いて典礼を捧げましょう」
そう来ることを予想していたるこるは【豊乳女神の加護・炳輦】を発動、防御結界でブリスを覆いその初撃を防いだ。
さらに追撃で破られることがないよう『FMS』のバリアを重ねて張り、彼女の防御を盤石なものとする。
「せめて魔女らしく、おまえさんの願いかなえようか」
グレンは願いを叶える魔女として、例え的であれ真摯な願いを持つ魔鬼士の望みをかなえようとする。もちろんそれは猟兵としての形でだ。
「応法、因果、悪因、善果。報い酬いは巡り廻るってなぁ」
【無色の鏡】で作り出されたのは、猛々しき肉体を持ちながら魔導士風の装束に身を包んだ願いの化身。ダイエッターズとのやり取り、そして彼自身の言からグレンが汲み取った願いを形にしたその存在は、握った拳を床に叩きつけ重力波を放つ。
「ほう……こう来るか!」
それはブリス、そして低身長ダイエッターが得意とした体が縮むほどの超重力。
「これがお前の求めたものだ。さて、これだけ強く強敵を願っているんだ、満足してくれるだろう」
これこそが魔鬼士の望んだ相手の動きを封じる強敵。あるいは配下に生徒としてこの境地に至って欲しかったという望みか。
だが、潰されながらも強引に槍を持ち上げ、逃さぬとばかりの振り下ろしを魔鬼士は放つ。重力さえ味方につけんとするその攻撃は、しかし多方から襲い来る斬撃に防がれた。
「隙間なく戦場を覆う『飽和攻撃』であれば、魔騎士さんが『見切り』に長けていても防ぐのは難しいのでは」
時空切断の嵐を絶え間なくかけることで、魔鬼士の反撃を封じんとするるこる。だが魔鬼士は兜の奥、そこに隠された災魔の邪眼を機体と喜悦できらめかせ、その攻撃を迎え撃った。
「いいだろう……その挑戦受けて立とう!」
その巨大さに見合わぬほどの速さで連続突きを放ち、周囲から襲い来る斬撃を全て叩き落とさんとする魔鬼士。槍が虚空に突き出されるたびに金属音が鳴り、そこで打ち合いが起きていることがうかがい知れる。
鍛え抜かれた武によるその対応はまさに圧巻の一言。なれど、それに押し切られるわけにはいかない。さらにるこるは射撃能力のある浮遊兵装を差し向けて攻撃の密度を増し、相手の手を封じ込めんとする。
「ブリスさん、もしできるようなら」
「はい!」
そしてブリスにも攻撃を指示すれば、ブリスは手の中に炎、水、風の三魔力を溜め、それを三重の嵐として魔鬼士に叩きつけた。
「なるほど、これが一つの完成系か……やはり惜しかった!」
ダイエッターズが三人でこれを一斉に放つ姿を想像したか、それでもどこか楽しげに言いながら大きく体を捻って薙ぎ払いを放つ。さすがに猟書家の力を込めた一撃とあってブリスの魔法も破壊されるが、振り切ったその姿勢をグレンは見逃さなかった。
「マッキーの求めるまだ見ぬ強者、目的を考えるとあまり満足されても困るからな」
ここまで楽しませたのだからお代は貰おう。魔女との契約には代償がいるものなのだと教えんばかりに合わせて踏み込み。
「楽しくなってきてるようだが、疲れは隠せないな」
怪力を乗せた重量抜群の一撃を、攻撃の勢いで大きく開いた体に叩き込んだ。
重厚な鎧の真ん中を拳が穿ち、その中の鍛えられた肉体にまで甚大なダメージを与える。
「がっ……!」
魔鬼士の体が大きく揺らいだ、そこにそれまで対処できていた飽和攻撃が襲い掛か威一気に彼を地に伏させた。
「気に入ってもらえたら嬉しいが、そろそろお引き取り願おうかな」
シンデレラタイムは終わりだと巨漢の魔女が武人に告げ。
「帰還後は桃姫さんをお誘いし焼肉パーティでも?」
せっかく良い肉の作り方を教わったのだからと、武以外の学んだものの活かし方をるこるは考えるのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ニクロム・ヘドロ
嗚呼、あぁこの心地よい威圧感、正に強者アナタはボクを壊してくれるのデスカ?
アハハでは行きますよ、ボクの苦しみお裾分け
さあヘドロヘビ達あの戦士を食らうのです
嗚呼流石は猟書家この程度のヘビ達では相手にすら成りませんか
ガハッ、嗚呼痛い、しかしこの痛みもまた・・・
ガッ、突き刺すだけじゃなく槍を叩き付けるなんて一連の流れが洗練されていてとても素晴らしいしかし
アハハハハドウシマシタ薙ぎ払う手が止まっていますよ~アハハ実はさっきから無抵抗に攻撃されていたのはアナタの攻撃で飛び散ったヘドロをヘビに変えていたのですよ
散策ボクを突いて叩き付けたせいで飛び散ったヘドロがアナタの鎧に付着していた、ボクはそれをヘドロヘビに変えて鎧の中に潜り込ましていたのデス
アナタは油断はしなかった、そしてボクを追い詰めた、しかしボクはそれを利用させてもらいました
アナタと違いボクはどんなにズタボロになってもちぎれたヘドロを再吸収すれば治りますからこれぐらいの余裕はあるのです
鎧の中からの攻撃ではご自慢の技術や経験もムダですね
一度ダウンを取られた程度では、魔鬼士の命はまだ尽きることはない。なおも強敵との武のぶつけ合いを求め立つ彼へ、その願いに答えるように新たな猟兵が立ち向かった。
「嗚呼、あぁこの心地よい威圧感、正に強者アナタはボクを壊してくれるのデスカ?」
ただ立つだけでも強者の風格を見せる魔鬼士に平然と、そしてねっとりとそう語り掛けるのはニクロム・ヘドロ(悪堕ちヘドロ怪人・f34633)。ヘドロでできたその身体から悪臭を放ち、ニクロムは先んじて魔鬼士へと攻撃を仕掛けた。
「アハハでは行きますよ、ボクの苦しみお裾分け」
笑い声と共にヘドロ製の体が波打ち、形が変わっていく。まるで関節が無数にできたかのようにぐねぐねと波うって先端を持ち上げたそれは、紛れもなく蛇の形をしていた。
「さあヘドロヘビ達あの戦士を食らうのです」
腕が蛇のようにのたうち、その先端の五指がさらに小サイズの蛇となって魔鬼士へと噛みかかる。だが、魔鬼士はそれを槍を突き出し正面から串刺しにした。
「変化か。彼の魔王は追い詰められるほどに体を変えていたという。それを思えば驚くにも値せん」
そのまま槍を払い、ニクロムの手を引き裂く。切り裂かれた腕がヘドロの欠片となって辺りに飛び散り、べちゃりと床を汚した。
「ガハッ、嗚呼痛い、しかしこの痛みもまた……」
それを受けてなお笑い顔を絶やさないニクロム。その笑顔を否定するように、魔鬼士は大きく槍を振り上げその肩口へと振り下ろした。ぐちゃりという音が鳴り、ニクロムの体が大きくひしゃげて大量の泥が周囲に飛び散る。
「ひっ……!」
あまりの凄惨な光景に、ブリスも思わず絶句する。体の半分近くがこそげ落ちたように失われたニクロムの体は常人ならとっくに死んでいるような形になり、まるで血と肉片のようにヘドロがそこら中を汚していた。
だが、崩れたその肉体の断面からは肉はもちろん骨や臓器のようなものも一切見えない。ヘドロ怪人の名乗りに相応しく、怪奇人間であるニクロムの体は全てがヘドロでできていた。
「ガッ、突き刺すだけじゃなく槍を叩き付けるなんて一連の流れが洗練されていてとても素晴らしいしかし」
効いているのかいないのか、一見しただけでは分からないような調子でニクロムは言う。体の半分を失ってなお変わらないその態度は並の者なら恐怖して然るべきだが、魔鬼士は返り血の如く体をヘドロに濡らしながらもむしろそれを好まし気にすら見ていた。
「負傷を意に介さぬが如き態度に抑揚を感じない早口の喋り方。敵を見た目や態度で恐怖させるのは特に一対一での戦いに置いて効果的だ。こちらの攻め手が効いているのか分かりづらいし、気圧されたら負けというのはただの精神論に留まらぬ一つの真理だ」
相手を威圧し、恐怖させるその態度もまた番外の一手なのだと魔鬼士はよく知っている。威嚇やこけおどしも的確に用いてこその武であるとする彼の考え方は、あるいは禍々しき竜の如きその鎧を纏う理由の一つなのかもしれなかった。
なれど、威圧は相手が恐怖してこそ意味がある。武として認められるものに悉く興味を抱く魔鬼士にとってはそれすらも相手の評価を高めるものに過ぎない。
最後の一撃を放つべく、魔鬼士は槍を横に構える。
だが。
「なに……?」
振り抜こうとした腕が重い。並の拘束なら振り切れるはずの力を持つ腕が、まるで力が入らず動かないのだ。
「アハハハハドウシマシタ薙ぎ払う手が止まっていますよ~」
やはり変わらぬ調子で嘲るように言うニクロム。その声に同調するように、魔鬼士の鎧に付着したヘドロが蠢き、小さく持ち上がった。そのヘドロはうぞうぞと蠢き、あらゆる鎧の弱点とも言える関節部分から中に入り込んでいく。
「アハハ実はさっきから無抵抗に攻撃されていたのはアナタの攻撃でヘドロを飛び散らせるため。ボクを突いて叩き付けたせいで飛び散ったヘドロがアナタの鎧に付着していた、ボクはそれをヘドロヘビに変えて鎧の中に潜り込ましていたのデス」
ニクロムは半身を失う程の攻撃を受けた。そして砕けたその体は、欠片となって魔鬼士へと付着していった。ニクロムの体は全てがヘドロでできており、普通の肉体ではない。故に千切れ飛んでも死肉にはならず肉体変化の力も及ぶところのままでいられる。
怪奇人間としての異形の体とオーバーロードの力、それが合わさりニクロムは自身の体を生きたまま飛び散らせて無数の分体として自在に操作することができたのだ。
「アナタは油断はしなかった、そしてボクを追い詰めた、しかしボクはそれを利用させてもらいました」
その言葉通り、魔鬼士の強い力はニクロムの体を粉々に砕き、無数のヘドロ片にした。そしてその一つ一つが極小の毒蛇となり、鎧の隙間から入り込んで猛毒で一気にその力を侵し奪ったのだ。
「ぐ……なるほどな……これは知れど俺に真似できるか……だが、如何に強かろうとユーベルコード、それ故の理からは逃れられぬだろう!」
既に突きと振り下ろしは当てた。後はどんなに弱くとも薙ぎ払いさえ当てればユーベルコードの封印はなり、毒蛇たちも消える。その為に力を振り絞り魔鬼士は槍を横薙ぎにしようとする。
「アナタと違いボクはどんなにズタボロになってもちぎれたヘドロを再吸収すれば治りますからこれぐらいの余裕はあるのです」
だがそれが当たる瞬間、ニクロムはまるで泥人形が壊れるかのように全身を崩れさせその場にヘドロとなってぶちまけられた。自ら肉体を崩壊させ、細かなヘドロの飛沫へと変わる。当然肉体が引き裂かれる甚大なダメージがあり通常なら自殺行為だが、オーバーロードという反則中の反則がそれを最後の一手へと変えてくれる。
「鎧の中からの攻撃ではご自慢の技術や経験もムダですね」
飛沫の全てが蛇に代わり、魔鬼士の鎧へもぐりこんだ。その毒とどこから出ているかもわからぬ声を受け、魔鬼士は余りにも埒外過ぎる力の前に武の定義すら揺らがされながら膝をつくのであった。
大成功
🔵🔵🔵
クレア・フォースフェンサー
強さを求め、貪欲に新たな知識を求める、か
その考えは分からぬではない
しかし、あまりに手広くしては一つ一つが疎かになってしまう惧れもあるじゃろう
果たして、おぬしは大丈夫かの?
複数の流派に手を出したわしが言えた義理ではないかもしれぬが、知ることと識ることの間には大きな差があるからのう
まぁ、それはさておきじゃ
新たな知識を得んがために先達が遺したものを弄ぶのは感心せぬな
その蛮行、ここで正させてもらうぞ
九つの流派を操り、敵と剣を交えよう
しかし、敵の見切りの技も然るもの
人として至った技だけでは及ぶことができない
ならば
ここからは“本気”を出そう
生命体の埒外にあるものとして認められるに至った、九を一に束ねた技を
武を極める。それを目指す者は多くいる。その発端や目的、手段は様々だが、その姿勢そのものは否定されるべきものではないだろう。
「強さを求め、貪欲に新たな知識を求める、か」
クレア・フォースフェンサー(桜學府客兵・f09175)も魔鬼士のその目的自体には決して悪い感情は抱かない。
「その考えは分からぬではない。しかし、あまりに手広くしては一つ一つが疎かになってしまう惧れもあるじゃろう。果たして、おぬしは大丈夫かの?」
そしてそれ故に、その道が決して簡単ではないこともよく分かっている。禁忌の強さを求め災魔に身を落とし、さらには武術盛んな東方諸島にて様々な大会優勝者たちの遺品を災魔化させてまでその武を学ぼうとする魔鬼士。確かにそれだけ手広くやっていれば学べることは多かろうが、その一つ一つが達人が生涯かけて練り上げた武。いかに猟書家たる彼でもその全てを学びきれるものだのだろうか。
「複数の流派に手を出したわしが言えた義理ではないかもしれぬが、知ることと識ることの間には大きな差があるからのう」
ただ知るだけなら誰でもできる。だが識るためにはそれに合わせた研鑽、習熟、様々な経験が必要となる。それはクレアが誰よりもよく『識って』いることであった。
「心配無用。幸い時間だけはいくらでもあるのでな。それに猟書家をやっていれば最高の鍛錬相手も勝手に来てくれる……手のかかる弟子もたまについてくるがな」
災魔となって彼が得たもの、それは骸の海から這い出せる限り決して尽きぬ永劫の時。そして猟書家の役目をはたしていればそれを阻まんとする猟兵も必ずやってくる。そこまでが彼の望むところとすれば、あるいは彼の計画はここまで来てなお一切狂いなく進んでいると言えるのかもしれない。
「まぁ、それはさておきじゃ。新たな知識を得んがために先達が遺したものを弄ぶのは感心せぬな。その蛮行、ここで正させてもらうぞ」
そう言って光剣を構えるクレア。それに対し魔鬼士も己の槍を構え応える。
「どうせ持ち主はもういないのだ、利用して何が悪い……とでも言えばお前はより本気をだしてくれるか? 俺を否定したいならその剣で黙らせてみろ。俺はそれを学び、越えてやろう」
あくまで己の目的は武を極めることのみ。手段の是非などどうでもよいと言わんばかりに、踏み込んでの鋭い突きを放った。
攻撃の出掛かりを見切り放たれたそれに初撃の動作を中断し、クレアはその突きを光剣で受け流す。
「ほう……反応したか!」
魔鬼士は面白そうに言いながら槍を引く。その動きに追従するように、クレアは相手の懐へと一気に踏み込んだ。
そのままインファイトで魔鬼士の動きを抑えようとするクレア。長く重い槍は懐に入られれば弱いというセオリー通りに魔鬼士は彼女を上手くあしらえないでいたが、なればと本を持った右手でおもむろにその横面をなぐりつけた。
「枕にするよりはいい使い方だろう?」
本の価値は内容のみに非ず。あるいはこの奔放、型破りな使い方も得意な魔術を見た故の発想か。
だが手の多彩さならクレアにも並みならぬ拘りがある。九つの流派を操り、即座に反撃に出た。
真正面から打ち込んだと思えば突如引いてつつくように足元を狙う。堅守の構えを見せながら敵の攻撃に向かって行って切っ先のみ外して反撃を試みる。複数の流派を組み合わせた変幻自在の戦いで魔鬼士を翻弄せんとするが、敵の出方を見極めるのは彼もまた得意とするところ。決定打を入れることだけは出来ずに一進一退の硬直が続いていた。
「見えた!」
その中で、薙いだ槍がクレアを掠める。それはダメージのみならず、ユーベルコードの封印が一段進むという敗北へのカウントダウンにもつながるもの。
(敵の見切りの技も然るもの、人として至った技だけでは及ぶことができない)
その大言に偽りなし。ただのつまみ食いではなく無数の武を己のものとしている。
「言ったな、本気をだしてくれるかと。ならば。ここからは“本気”を出そう」
見切りの技、型の多彩さでだけは決して負けるわけにはいかない。
生命体の埒外にあるものとして認められるに至った、九を一に束ねた技を、【本気】の一撃を見せてくれよう。
研鑽に研鑽を重ねた武、その境地は最早ユーベルコードと区別がつかない。つかないからこそ、魔鬼士は最後の封印の一撃を振り下ろす。
「潰えよ!」
超重力のように重く、風のように早く、空間さえ乱すが如き絶技。その技がクレアの身を打ち据える。その一瞬。瞬き一つにも満たぬ瞬間を、クレアは見切った。
「貰った!」
刹那、光剣が魔鬼士の胴を抜いた。分厚い鎧の中の逞しき体、それを斬った手ごたえが、確実にクレアの手にあった。見切って、返す。それだけの単純な戦法は研鑽の果てに武人の絶技を断つ必殺技にまで昇華されていた。
「見事……骸の海で、鍛え直してこよう……あいつらと一緒にな……」
ぐらりと倒れ、消えゆく魔鬼士。その後には、ただ空の壺だけが一つ転がっていた。
「やっぱりどうにもならないのかなこの体形は……」
かくしてマッキーのダイエットスクールは閉校と相成った。目論見の外れたブリスは肉の入った壺を手にとぼとぼと帰路へつく。
「えーいしょうがない、こうなったらヤケ酒! 朝まで飲んでやる!」
まだ日も高いのにそう言いながら酒場へ入っていくブリス。まずは生活習慣を見直せ。後ほんの少し彼の武人が骸の海に還るのが遅かったらかけていただろう言葉は、やはり彼女には届かないのであった。
成功
🔵🔵🔴