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任侠退魔録

#UDCアース #【Q】

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#UDCアース
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#【Q】


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●とある絶望の未来
 それはどこにでもある、薄汚れた地下ライブハウスだった。
 暴力に支配された者達による熱狂の一夜。ハウスの中は無数の返り血で染まり、欲望に飲み込まれ異形の存在と化した者達の亡骸が、見るも無残な形で転がっている。そして、死屍累々と折り重なった異形の中に混ざり、彼らを駆逐すべく戦って来た者達もまた死んでいた。
 断末魔の悲鳴は全てギターの音にかき消され、血の海の中で繰り広げられる狂ったライブ。地獄の宴が終わった頃には、そこに転がるのは哀れな犠牲者の亡骸だけだった。

●魔を狩る極道
「UDCアースにて、邪神を信望する者達の動きが観測された。取り急ぎ、現場へ向かってもらいたい……と、言いたいところだが、今回は普段と少しばかり赴きの異なる任務になりそうだな」
 UDCアースには、古来より独自にUDC怪物と戦ってきた小組織が存在する。今回は、そんな組織の面々との共闘になりそうだと告げる霧崎・紫苑(機械仕掛けの闇医者・f32327)だったが、しかし問題なのは、その小組織の在り方であると紫苑は続けた。
「その組織の名は『蒼竜会』という。お察しの通り、堅気の人間ではない。極道……一般的にはヤクザと呼ばれる連中だ」
 反社会勢力と手を組むことに、抵抗を感じる者もいるだろう。しかし、極道としての姿は、あくまで渡世を忍ぶ仮の姿。彼らもまた古来よりUDCより戦い続けて来た対魔組織であり、極道の形を取って裏社会との接点を持つことで人知れず魔を祓って来た。
 彼らの敵は、主に危険な呪物を売買する違法業者や、邪神を信望する怪しげな新興宗教団体。なお、彼らのシノギは土建業や運送業、そして祭の屋台などであり、他にも訳あり物件に巣食う力の弱いUDCの討伐依頼なども引き受けているらしい。詐欺や恐喝や、違法物品の売買などには関与していないので、その辺は安心して欲しいと紫苑は続けた。
「そんな『蒼竜会』ではあるが……実際にUDCと戦えるのは、組の中でも『四竜(しりゅう)』と呼ばれる強者だけだ。その四竜でさえ、一度に相手ができるのは弱いUDCが1体か2体。だが、次の任で彼らが遭遇する敵は、数も質も今までの相手とは桁違いだ」
 このままでは、彼らは全滅してしまう。放っておけば、その街における魔性の者との拮抗が崩れ、更なる事件の引き金になるかもしれない。
「お前達には、まず『蒼竜会』の者と接触し、彼らの信頼を得てもらいたい。幸い、近くの神社で祭が開かれているようでな。そこに出ている屋台の一部を、『蒼竜会』の面々が経営しているようだ」
 屋台の種類は、焼きそば、射的、そしてクジ引きだ。それらの店を訪れ、彼らの信頼を得ることができれば、現場への同行も許可してもらえるはずである。
「事件の現場は、古びたライブハウスだな。どうも、最近は半グレのような若者達が屯する危険な場所になっていたようだが……それを裏から操っているのが、強大な力を持ったUDCというわけだ」
 その力は、歴戦の猟兵であっても苦戦させる程に危険である。しかし、蒼竜会の四竜の中には、そのUDCに対する『特攻能力』を持っている者がいるらしい。
「能力の保持者がどのような人物なのかまでは、私にも分からなかった。とりあえず、今は屋台を切り盛りしている蒼竜会の面々と顔を合わせ、こちらの立場を伝えて理解を得ることが先決だろう」
 普段は堅気の人間と共に仕事をするのを嫌う彼らだが、同じUDCと戦う者であることを告げれば、協力は惜しまないはずだ。そう言って、紫苑は猟兵達を、祭囃子の聞こえる夕暮れ時の公園へと転送した。


雷紋寺音弥
 こんにちは、マスターの雷紋寺音弥です。

 UDCアースにて、UDC怪物と戦う小組織を救出するシナリオです。
 彼らと協力して強大なUDC怪物を撃破してください。

●第一章(日常)
 祭の屋台を楽しみつつ、小組織のメンバーと接触しましょう。
 組織の人間が経営している屋台は焼きそば、射的、クジ引きです。
 それぞれPOW、SPD、WIZの行動に対応しています。
 なお、プレイング次第では彼らにUDC怪物の討伐を諦めさせることもできますが、その場合は彼らが様々なところでUDC怪物の方から奇襲を受けることになるため、第二章以降の流れが極めて不利なものになってしまいます。

●第二章(集団戦)
 小組織の面々と一緒にUDC怪物の討伐に向かいます。
 彼らは一般の人間相手なら無双できる強さを持っていますが、それでも猟兵達と比べて戦闘力では劣るので、上手く協力して戦いましょう。

●第三章(ボス戦)
 小組織の面々だけでは対処できない、強大なUDC怪物が出現します。
 猟兵以外は発する空気に晒されただけで発狂寸前となり、そのまま戦えば猟兵でさえも苦戦は必至の相手です。
 全員で協力して、この強大な敵を打ち破りましょう。

●蒼竜会
 極道の形を取ることで裏社会の情報を入手し、呪物の売買を行う違法業者や邪神を信望する新興宗教団体などを、人知れず潰して来た者達です。
 対魔の力を持っているのは歴代の組長と『四竜(しりゅう)』と呼ばれる者達だけで、大半の組員はUDCに対しては無力な一般人です。
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第1章 日常 『祭囃子に誘われて』

POW   :    食べ歩いて楽しむ

SPD   :    ゲームで楽しむ

WIZ   :    運試しで楽しむ

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

東雲・深耶
『蒼竜会』か、父上や叔父上等の組織犯罪対策課由来の家の者から話を聞いていたが…退魔組織だったとはな

とはいえ、私も東雲の家の者である以上は接触するなら向こうから声をかける事だろう

ああ、私に貴様らと敵対する意志はない
単刀直入に言う、四龍と話がしたい

簡潔に言えば私と貴様らは同族…退魔の者だよ
私が所属するのはUDC組織、世界最大の退魔組織だ
今回の目的は一つ、ライブハウスに対するカチコミへの同行だ
今回相手取る魔は相当に強力でな、私も同行することに利はあるぞ?

因みに…
瞬間、私は身動ぎもしていないのにも関わらず離れた場所にある射的の的が切り裂かれる

ーこういった事が、出来る


叢雲・天乃
「対魔組織『蒼竜会』……。私の叢雲一族のように魔と戦う組織ですか。
これは放っておくわけにはいきませんね。
ラスト、力を貸してください」
『ふむ、祭りは楽しそうじゃな』

お祭り会場に向かい『蒼竜会』の関係者に同じ対魔組織の一族であると伝えます。
私は知らないですが、もしかしたら上層部同士で繋がりがあるかもしれませんし。(アドリブ設定歓迎)

『天乃、妾、真面目な話はつまらんのじゃ。
それより屋台を楽しみたいから、封印を解くのじゃ』
「えええっ!?
そんな簡単に封印を解いたら一族の掟が……」

ですが、契約の代償によって悪魔ラストには逆らえません。
仕方なく【色欲の悪魔】でラストの封印を解き、一緒に屋台に向かうのでした。



●退魔士、邂逅す
 ヤクザの体を借りた退魔組織。蒼き竜の名を冠する組の何、東雲・深耶(時空間切断剣術・空閃人奉流流祖・f23717)は聞き覚えがあった。
「『蒼竜会』か。父上や叔父上等の組織犯罪対策課由来の家の者から話を聞いていたが……退魔組織だったとはな」
 広域暴力団の名前の大半は知っていたが、だからこそ妙だと思っていたのだ。どこの組の系列にも属さぬ小規模集団でありながら、決して潰れず、他の組にシマを荒らされることのない組がいることを。
「私の叢雲一族のように魔と戦う組織ですか。これは放っておくわけにはいきませんね。ラスト、力を貸してください」
 彼らと接触すべく、叢雲・天乃(銀髪の悪魔ラストと契約した化身忍者・f31531)もまた、蒼竜会の面々と邂逅すべく、祭りの場所を訪れていた。もっとも、彼女の中に潜む悪魔ラストは、単に祭りを楽しみたいだけの様子だったが。
「ふむ、祭りは楽しそうじゃな」
 ともすれば、天乃の目を通して蒼竜会とは関係のない屋台を物色している始末。放っておくと目的を忘れて遊び倒しそうだったので、二人は早々に蒼竜会の面々が取り仕切っている屋台を見つけ、彼らと接触することにした。
「すみません。『蒼竜会』の方ですよね?」
「ああ、そうだが? お嬢ちゃん達、俺達の組に何か用か?」
 天乃に問われ、焼きそばを焼いていた屋台の店主が顔を上げた。年齢は、まだ20代だろうか。眼鏡をかけた、一見して優男にしか見えない風貌をしているが、よくよく見れば随分と肝の据わった顔をしていた。
「ああ、私に貴様らと敵対する意志はない。単刀直入に言う、四竜と話がしたい」
 四竜。その名が深耶の口から告げられたことで、男の顔が急に変わった。明らかに、こちらを警戒している。まあ、いきなり組の秘密に関わる部分について触れられたら、それも当然の話だが。
「簡潔に言えば私と貴様らは同族……退魔の者だよ。私が所属するのはUDC組織、世界最大の退魔組織だ」
 自分の正体を早々に明かし、深耶は今回の目的について簡潔に述べた。即ち、近々予定されているであろうライブハウスへのカチコミに、自分達も同行させてもらえないかということだ。
「今回相手取る魔は相当に強力でな。私も同行することに利はあるぞ?」
「なるほどな。まあ、親っさんの許可がなけりゃ、俺の判断だけじゃ、どうにもできんがな」
 意外にも、男はすんなりと深耶の言葉を聞き入れた。もっとも、彼の独断のみで同行は許可できず、まずは組長に話を通さねばならないとのことだった。
 組というのは上下関係が厳しい組織。特に、組の活動の根幹に関わる部分となれば、どれだけ力のある組員であれ、そう簡単に自分勝手なことはできない。
「それはそうと……お嬢ちゃんは、どんなことができるんだ?」
 四竜と同行するからには、それなりの実力がなければ足手纏いになる。これは遊びではないのだと凄む男へ、深耶はしばし考えた後、なにやら数軒先の屋台に狙いを定め。
「そうだな。因みに……こういった事が、できる」
 次の瞬間、深耶が何もしていないのに、数軒先にあった屋台の射的の的が、真っ二つに斬り裂かれた。偶然にしては、あまりにも出来過ぎた。魔を祓う力を持った者であれば、それが深耶の仕業だと知るのは、造作もないことだった。
「ほぅ……やるな、お嬢ちゃん。これらな親っさんに紹介しても、断られることはなさそうだ」
 想像していた以上の深耶の力に、男は感心した様子で言った。だが、そこまで話が進んだところで、天乃の中にいる悪魔ラストがついに限界を迎えたようだった。
「天乃、妾、真面目な話はつまらんのじゃ。それより屋台を楽しみたいから、封印を解くのじゃ」
「えええっ!? そんな簡単に封印を解いたら一族の掟が……」
 ここに来て、まさかの封印解除要求である。しかも、蒼竜会への同行には全く関係ない、単なる屋台めぐりをさせろという理由で。
「わ、わかりました……」
 本来であれば一族の掟により、そう簡単に封印は解けないのだが、それはそれ。悪魔の力に逆らえない天乃は、しぶしぶ封印を解くしかなく。
「ふぅ、ようやく出られたわい。おっ、向こうにあるのは射的か? くじ引きも面白そうじゃのぅ」
 封印を解かれたラストは、無邪気な子どもの如く、他の屋台へ突撃して行った。
「おい……あれ、放っておいていいのか?」
「……ああなっては、もう仕方がない。あの悪魔が気の済むまで、遊ばせてやるしかないだろう」
 男に問われた深耶は、呆れた様子で溜息を吐いた。頼むから、戦いの始まる前に祭りの場で、余計な騒動を起こさないで欲しいと祈りながら。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

マホルニア・ストブルフ
◇アドリブ連携OK
あら楽しそう、ジャパニーズフェスティバルね。観光がてら、組織と接触するよ。
お兄さんこれは? シャ、テキ? やってみたいわ。コルクなのね。

射的の屋台を見つけて、組織のメンバーらしき人間に話しかけようか。
ルールを守ればただの客も同然だろう、四竜と接触するには少し無茶をしないとな。

こうかしら?

全く的外れな箇所を狙い【スナイパー】。【知覚端子】をレールのように配置し、【光学粒子】で周囲の景色に偽装。
おかしな軌道で弾が進むよう演出するよ。
おまけに景品を追撃して手元へ。

屋台の主が口を出したら少しごねてみようか。上の人間が出てきたら種明かしもいいだろう。私も人ならざる者と戦えるのだ、とね。



●店主は四竜?
 公園の中を借り切る形で、あちこちに出されている露店の数々。
 日本に住む者からすれば馴染みの光景だが、外国生まれの者からすれば、随分と珍しい光景だ。街角でボーイスカウトがクッキーやレモネードを売っているのとは違う。アジアから中東辺りまでなら、公園ではなくストリートでも良く見かける光景なのだが。
「あら楽しそう、ジャパニーズフェスティバルね」
 マホルニア・ストブルフ(構造色の青・f29723)にとっても、それは同じようで、彼女は射的の店の前で足を止めた。観光を楽しむのも忘れてはいないが、蒼竜会の面々がどんな店をやっているのかは、しっかり覚えていたようだ。
「お兄さんこれは? シャ、テキ? やってみたいわ。コルクなのね」
 玩具のライフルを借り、マホルニアは景品に狙いを定めた。小物はそのまま台に乗っているのを撃ち落とせば手に入るが、ゲーム機や大型のプラモデルのような景品は、空箱を撃ち落として手に入れるようになっているようだ。
「お姉さん、なかなか腕が良さそうだねぇ。ちょいとばかり、お手柔らかに頼むよ」
 パンチパーマの男が、サングラスの奥から鋭い視線でマホルニアを見つめて言った。口元は微笑んでいたが、サングラスの奥で輝く瞳は、マホルニアの実力をしっかりと理解しているようでもあった。
「オーケー、わかったわ。……こうかしら?」
 敢えて素人を装い、マホルニアは全く的外れな個所を狙ってコルクの弾を発射した。もっとも、それは彼女の作戦。放たれた弾は、通常ではありえない軌道を描き、見事に棚の上に置かれていた景品を撃ち抜いたのだ。
「……おい、お姉さん。今、ちょいとイカサマしたんじゃねぇか?」
 突然、男の表情が険しくなった。景品を取られたから難癖をつけているというよりも、明らかにおかしな軌道を描いて弾が飛んだことで、何か不思議な力を使っているのだと見抜かれたようだ。
「さあ、なんのことかしら? 私は、普通に撃っただけよ」
「誤魔化すんじゃねぇよ。あんたが何者かは知らんが……魔性の者なら、生かしておくわけにゃいかねぇんだ。蒼竜会の、四竜の名においてな」
 そう言って、男は少しばかり腕をまくって見せた。すると、そこには小さいながらも見事な竜が彫られており、その瞳がしっかりとマホルニアを睨みつけていた。
「……どうやら、誤魔化しても無駄なようだな。だが、安心して欲しい。私は、お前達の敵ではない」
 もはや、言葉で取り繕う意味はないと察し、マホルニアは早々に種明かしをした。
 自分の魔と戦う力を持った者であることを。そして、この次の戦いには是非とも同行させてもらいたいということも。
「なるほどねぇ。お姉さん、やっぱりただ者じゃなかったってわけだ」
 苦笑しながら、男は袖を戻して入れ墨を隠した。サングラスの奥の瞳からは、先程までの敵意にも似た疑念は感じられなかった。
「俺は人呼んで、蒼竜会、四竜の一人がこと、『グレネード・後藤』だ。この祭りが終わったら、組長に会わせてやるから、安心しな」
 なんとも物騒な通り名を名乗り、後藤と名乗った男はマホルニアの前で、凄みの利いた笑みを浮かべて見せた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

クロエ・ボーヴォワール
「ええ、確かにそう申し上げましたわ。"全部ちょうだい、全部よ"」
・射的屋台へ訪れ、景品の買い占めを試みる。この言葉が単なる冗談ではないことを示すためにUC「クロエの見えざる手」を行使し、ありあまる財力のうちボストンバッグ一杯のポケットマネーを老執事に持ってこさせる
・仮に屋台の従業員が"組織人"でなくともこのような騒ぎを起こそうならば必ず聞きつけるであろうし、暗にクロエ本人も"圧倒的な力で無理を通すやから"のたぐいであることを示せるという腹積もりである
・ボーヴォワール魔導蒸気技術(株)としては市民を脅かす怪異を撃退できるならば、経費を惜しまない
「ご安心くださいな。景品は転売しませんわ」



●任侠の意地
 蒼竜会、四竜が一人、グレネード・後藤。なんとも物騒な通り名の男が切り盛りする射的の屋台を、続けて訪れたのはクロエ・ボーヴォワール(ボーヴォワール財閥総裁令嬢・f35113)だった。
「おい、お姉ちゃん。あんた、本気で言ってんのか?」
「……ええ、確かにそう申し上げましたわ。"全部ちょうだい、全部よ"」
 他の客を他所に、クロエは早々に射的屋の景品の買い占めを交渉していた。実際、冷やかしでないことを証明するために、全ての景品を買っても釣りが出るほどポケットマネーを、ボストンバッグに詰めて執事に持って来させていたのだが。
「お姉ちゃん、射的のルールってやつ、分かってんのかい? どれだけ金を積まれても、コイツで景品を射抜けなきゃ、俺がボロ儲けさせてもらうだけだぜぇ?」
 そう言って、男は玩具のライフルをクロエに押し付け、棚に並んだ景品を指差した。バッグの中の金が手に入るのであれば、店など早々に畳んでも良さそうなものだが、それでも後藤は首を縦には振らなかった。
「悪いが、こっちも商売でやってんだよ。俺の店で……いや、この公園に出ている屋台で遊ぶからには、店のルールを守ってもらわなきゃならねぇ。それができねぇなら、あんたのやってることは立派なシマ荒らしだ」
 金が手に入るからといって、組の決めたルールに反することは認められない。それでも無理を押し通すのであれば、こちらにも考えがあるのだと、後藤は店の奥に置かれた玩具の銃の山に手を伸ばした。
(「あれは……もしかして、『本物』ですの!?」)
 妙に黒光りする銃身を見て、クロエはそれが本物の銃であることを悟った。まさか、この場で発砲するつもりなのか? さすがに、それはないと思いたいが……後藤の目は決して笑ってなどいなかった。
 こうなってしまっては、もはや下手に嘘を塗り重ねたところで却って話がこじれるだけだ。ならばここは、包み隠さず本来の目的を語った方が良さそうだと、クロエも仕方なく覚悟を決めた。
「では、あちらでお話いたしましょうか。私、『ボーヴォワール魔導蒸気技術(株)』の、クロエ・ボーヴォワールと申しますの。怪異を撃退できるのであれば、投資は惜しみませんわ」
「ボーヴォワール? 聞いたことのねぇ会社だな。まあ、いい……あんたが何者かは知らんが、俺達と『同じ側』の人間ってことなら、詳しく話を聞かせてもらおうか」
 店の番を数人の若い舎弟に任せ、後藤はクロエと共に公園の裏手へと歩いて行った。未だ完全に信頼されたわけではなかったようだが、それでも敵対者と見做されなかったのであれば、後はどうにでもなるだろう。
 それはそうと、この話が終わったら、改めて射的で遊ばせてもらいたいとクロエは申し出た。軍資金は存分にあるのだから、そのくらいは構わないだろうと。
「ご安心くださいな。景品は転売しませんわ」
「そうかい? だが、1回に受け取れる金は、多くても10回分までだぜぇ。10発の弾を撃ち尽くしたら、また列の最後に並んでもらうからな」
 後藤はあくまで、屋台のマナーを重視するようクロエに釘を刺した。強面な男ではあるが、仁義の世界で生きて来た任侠者だけあって、自分達の決めたルールに関してはとことん厳しいようだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

相馬・雷光
アドリブOK(純潔を奪うのみNG)

忍者と極……や、何でもないわ
にしてもテキ屋ねぇ、いかにもって感じよね

専用の銃がなくたって、実戦で磨いた腕は伊達じゃないわ
バンバン撃ち落として景品ゲット!

全取りしかねない勢いに、裏でお話……ま、それが目的だったんだけどね
私が怪物を狩る忍者で、接触のための【パフォーマンス】だったって明かす
稲妻を出す能力を見せたっていいわ

協力を取り付けて……え、それはそれとしてテキ屋でやりすぎ?
うん、まぁ、そうねぇ……(調子に乗った自覚あり)

お詫びと補填と、あと親睦を深めるって名目で、気持ち良くしてあげることに
本番以外なら、口も手もお尻も好きに使っていいわ
胸も? ……物好きねぇ



●四竜、怒りの仕置き!? 
 古来より、魔を滅する者として裏社会で暗躍して来た極道がいる。そんな話を聞いた相馬・雷光(雷霆の降魔忍・f14459)は、思わず何かを思い出したように呟いた。
「忍者と極……や、何でもないわ」
 そういえば、イケメン忍者とイケメン極道が、互いに殺し合うバトル漫画があったような気がする。まあ、あれはあくまで漫画の世界。それに、今回は雷光とて蒼竜会の面々と敵対するつもりはまったくない。
「……にしてもテキ屋ねぇ、いかにもって感じよね」
 射的屋の前で雷光は足を止めた。極道のシノギのひとつとして、祭りの屋台は一般的なものだ。
 とりあえず、ここは自分の腕を見せつける形で、相手の注意を引くことにしよう。合わせて10回分の金を支払い、雷光は大型の景品にだけ狙いを定める。ゲーム機、ラジコン、プラモデル……どう考えても違法スレスレな値段の景品を、寸分違わぬ狙いで撃ち落として行く。
「おいおい、ちょっと待ってくれよ」
「そんなにやられたら、こっちも商売上がったりだ」
 目玉の高額景品ばかりを取られたことで、店を任されていた若い舎弟たちが雷光に詰め寄った。四竜の後藤は、今は席を外しているので、彼らが店を取り仕切っているのだ。
「裏でお話? 別にいいわよ」
 話が本題に移ったことを確信し、雷光は何ら躊躇うことなく男達に付いて行った。そして、裏手にあった小さなプレハブ小屋の中で、改めて自分が怪物を狩る忍者であることを男達に告げた。  
「もしかして、信じてない? だったら……ほら、こんなこともできるわよ」
 訝し気に彼女を見つめる男達の前で稲妻を軽く放ってみれば、さすがに彼らも納得したようだ。まあ、それはそれとして、テキ屋の景品の大半を雷光に持って行かれてしまったため、彼らは商売上がったりのようだったが。
「テキ屋でやりすぎ? うん、まぁ、そうねぇ……」
 一応、自覚はあったのか、雷光はお詫びと補填、そして親睦を深めるという名目で、なんと彼らに自分の身体を好きにしていいと言ってのけた。それこそ、本番行為以外なら、口でも手でも、そして尻でも好きに使えと。
「おいおい、マジかよ姉ちゃん!」
「だったら、俺は胸も使わせてもらっていいか?」
 途端に、興奮した様子で、男達が雷光に詰め寄って来た。まあ、この場合、据え膳を食わぬ男は殆どいないと思われる。なんとも容易く手玉に取れたことで、雷光は苦笑しながらも胸元をはだけ。
「胸も? ……物好きねぇ」
 そこから先は、しばしお楽しみタイムが続いたのだが……しかし、楽しい時は永遠に続くことはない。他の猟兵との話を終え、店主の後藤が戻って来たのだ。
「……おい、テメェら! こんなところで、なに油売ってやがる!」
「「ひぃっ! ご、後藤の兄貴!!」」
 突然、小屋の扉が開け放たれたかと思うと、そこには完全にブチ切れた様子の後藤が立っていた。
「こ、これには、訳が……その……」
「この女が、射的の景品を総取りしやがりまして……それで、補填ってことで、身体を好きに使っていいって……」
 必死で言い訳をする舎弟の二人。しかし、後藤は彼らの言葉に耳を貸すどころか、むしろ怒りの形相を更に強め。
「テメェら、アホか!? 上がりが出ねぇからって、堅気に絡んでんじゃねぇ! それに、上がりの補填で女の身体を使うにしても、そいつをテメェらで食っちまったら、組への上がりはゼロじゃねぇか!」
「「はっ……! そ、そうだったぁぁぁぁっ!!」」
 後藤に指摘され、舎弟の二人は頭を抱えたが、時既に遅し。彼らは後藤に襟首を掴まれると、そのまま小屋の外へと引きずり出されて行く。
「……ったく、悪かったな、お嬢ちゃん。こいつらは、俺がしっかり教育し直しておくからよぉ」
 去り際に、後藤は凄みの利いた口調で雷光に告げた。さすがに、この程度で指を詰めさせるようなことはしないと思われるが……それでも、二人の怯えようからして、きっと苛烈な仕置きをされるに違いない。
 かくして、なんとか四竜である後藤と接触することに成功した雷光だったが、後藤の舎弟は二人とも、後藤によって厳しい仕置きを受けることになった。彼らは玩具の銃を尻に突っ込まれ、至近距離から尻の穴にコルク弾を発射されたことで、漏れなく痔持ちになったとか……合掌。

大成功 🔵​🔵​🔵​

高吉・政斗
(アドリブ&連携OK)
■屋台(飲食系を進んで…)
もっも、むぐむぐ、はふはふ
もっも…あ、兄ちゃん、そのフランクフルト、それ10本ね?あ、焼きそばと串の塩とタレも10個ずつね。

■蒼竜会
(食い歩きながら…)
ん?あドモ、蒼…竜……会?の組員の方々ですね?
(…凄いメンツだ)
当方UDC本部から支援要請で来た高吉政斗っといいまして…はい…
今回そちらで確認したUDC発生箇所の同行を願いたいと。

あれ、なんか発電壊れちゃってます?それじゃ此方で電源用意しますよ。
おいでFECT、んでコード伸ばして…

ん?これ戦車?
はっはっ違いますよ自家用「車」です
街中で大丈夫かって?、はっはっそいつぁは言いっこ無しですよ
(^▽^)



●極道と戦車乗り
 祭りの屋台を出している、蒼竜会の面々に接触する。そういう任務だったはずなのに、気が付けば高吉・政斗(剛鉄の戦車乗り・f26786)は、ただひたすらに屋台料理を食いまくっていた。
「もっも、むぐむぐ、はふはふ……」
 確かに、蒼竜会は焼きそばの屋台も出してはいる。出してはいるが、どう見ても政斗が食べているのは、焼きそば以外のメニューであり。
「もっも……あ、兄ちゃん、そのフランクフルト、それ10本ね? あ、焼きそばと串の塩とタレも10個ずつね」
 おまけに、どう考えても頼み過ぎなくらい頼んでいた。まあ、祭りを楽しむのを咎めるつもりはないのだが……蒼竜会と関係のない屋台ばかり回っても、彼らの信頼は得られないぞ!
「ん? あドモ、蒼……竜……会? の組員の方々ですね?」
 そうして食べ歩きながら、政斗はついに蒼竜会の者達を見つけて声をかけた。もっとも、明らかに食べ物を食べながらの声掛けだったので、印象はお世辞にも良いとはいえなかった。
「なんだ、兄ちゃん? 俺達の組に、何か用か?」
「当方UDC本部から支援要請で来た高吉政斗っといいまして……はい……今回、そちらで確認したUDC発生箇所の同行を願いたいと……」
 眼鏡をかけた優男の左右を固める舎弟達が、一斉に凄んできた。とりあえず説明をする政斗だったが、その間にも食べ物を咀嚼しており、そんな彼の姿を見た眼鏡の男は、なんとも言えぬ表情で顔を顰めていた。
「おい。堅気の人間に手を出すつもりはねぇが……人と喋る時には、まず礼儀ってもんがあるだろう?」
 ついに見兼ねた眼鏡の男が、政斗に苦言を呈した。まさか、こんなところで極道から礼儀を説教されることになろうとは。
 どちらにしろ、これでは相手の信頼を得ることは難しい。ならば、他に名誉を挽回する方法なないかと政斗は考え、店の電球が不規則に明滅しているのに気が付いた。
「あれ、なんか発電壊れちゃってます? それじゃ此方で電源用意しますよ」
 そう言うが早いか、政斗は愛用の戦車を祭りの会場に乗り入れさせた。周囲からは悲鳴や驚きの声が上がり、客が一目散に逃げて行くが、政斗はそんなことも気にしない。
「おいでFECT、んでコード伸ばして……」
 戦車から電源を引っ張って来れば、再び電球が明るく灯り始めた。しかし、肝心の客が全て驚いて逃げてしまった今、あまり意味はなかったが。
「ん? これ戦車? はっはっ、違いますよ自家用『車』です」
 一応、自分の車であると誤魔化してはいるが、さすがに厳しいのではなかろうか。現に、極道達から「街中でそんなもの乗り回すんじゃねぇ!」と突っ込みが入ったが、それでも政斗は何も気にしておらず。
「街中で大丈夫かって? はっはっ、そいつぁは言いっこ無しですよ」
 笑顔で答える彼に呆れたのか、ついに眼鏡の男も苦笑しながら溜息を吐いた。
「どうやら、肝だけは据わってやがるようだな。それとも、単に周りの空気が読めないってだけか?」
 UDC組織のことは、蒼竜会も知っている。それだけの大規模組織が動くのであれば、一応は組長にも話を通しておこう。そう言って、眼鏡の男は政斗の同行を許可するも、しかし完全に気を許したつもりもないようだった。
「俺は蒼竜会、四竜が一人、『紅蓮の毒島』だ。妙な真似をすれば、その戦車諸共にお前を焼く。それだけは覚えておけ」
 組長さえ許せば、後は実戦でその力を見せてもらおう。そう言って、毒島は政斗を蒼竜会の事務所へと案内するのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

フレミア・レイブラッド
【虜の軍勢】で「最後の国の少年アリス」で眷属にした「閉幕のアリス」達(複数名)を召喚。

アリス達を連れて祭りを回って遊ばせてあげたり、屋台で色々食べ物を買って食べたり楽しむ事で、「解る人達」には自身がこれだけのオブリビオンを使役・統率する実力がある事を誇示。

この子達は元人間(アリス)だった子達。
たまには普通の子供らしく遊ばせてあげないとね♪
わたしの眷属集めはこういう救われなかった子達の救済も兼ねてるから。
まぁ、多分にわたしの趣味・嗜好も入ってるのは否定しないけど。

後はくじ引き屋等、組織の人間の屋台に立ち寄った際に屋台の人間にこっそり接触。

自身が猟兵であり、簡単に接触した経緯を説明して協力を要請


ティエル・ティエリエル
まずは『蒼竜会』の人達と接触だ!
マンガとかゲームみたいにいいヤクザさん達なんだね!

ふむふむ、あのクジ引き屋が蒼竜会の屋台だな!
まずは普通のお客してクジを引いてから話しかけてみようっと♪あの最新ゲーム機とか当てちゃうぞー☆

……まぁ、当たるはずがなく。
残念賞を選びながら、おじさん達もUDCをやっつけてるんだよね!って話しかけちゃうね。
ボクは歴戦の猟兵だからね!UDC退治にいくならボクも手伝っちゃうよ♪
ボクがいれば怪我なんて、ほらこんな感じに治っちゃうぞっと【小さな妖精の輪舞】を見せてお役立ちっぷりをアピールだ!

そういえば、歴代の組長さんも退魔の力を持ってたらしいけど、
今の組長さんはどうなんだろ?


螺旋・咎大蛇
【アドリブOK】
反社会勢力の人もまた、彼らなりの信念、仁義を持つものでしょう。
私は彼らのことを信じましょう。

くじ引きを行ってみましょう。
最もこの程度のくじ引きならば運勢の操作も多少は介在する余地があるでしょうね。
大吉を引き当ててみせましょう。
それを何度も引き当てて、自分が只者ではないことも多少は伝えておきます。

UDC、悪鬼を狩るのが私のなすべき役割です。
あなた方は同じ人を脅かす方々ではないことはこの賑わいを見ればわかります。
私もぜひ協力させていただきたく存じます。



●第三の竜
 祭りの屋台が広がる公園を、少しばかり奇妙な一団が闊歩する。フレミア・レイブラッド(幼艶で気まぐれな吸血姫・f14467)の引き連れる、彼女の眷属達である。
 眷属の大半は、元人間でありながらオブリビオンに堕ちた者達だった。今ではフレミアの忠実な下僕であるが、しかし奴隷というわけではない。
 オブリビオンである以上、過度に抑圧した生活を遅らせれば、それが引き金となって再び破壊の衝動に悩まされることになる。だからこそ、フレミアは彼女達を祭りで遊ばせることにした。見た目が少々場違いな気もするが、それでも定期的にガス抜きをしてやらねば、眷属達がいつ暴走するかも分からないからだ。
(「わたしの眷属集めは、こういう救われなかった子達の救済も兼ねてるからね……」)
 誰に告げるともなしに、フレミアは心の中で呟いた。蒼竜会の者達と接触するのも大事だが、今は少しばかり、眷属達の遊ぶ様子を生暖かい目で見守っていようと。
 一方、螺旋・咎大蛇(邪悪なる龍だった少女・f28038)とティエル・ティエリエル(おてんば妖精姫・f01244)の二人は、早々に蒼竜会の屋台を見つけ、彼らと接触を試みていた。
「反社会勢力の人もまた、彼らなりの信念、仁義を持つものでしょう。私は彼らのことを信じましょう」
「マンガとかゲームみたいに、いいヤクザさん達なんだね! ……ふむふむ、あのクジ引き屋が蒼竜会の屋台だな!」
 まずはティエルが、目当ての屋台を見つけて駆け出した。妖精の彼女は身の丈が20cm程度しかないのだが、猟兵であるため、周囲からは普通の人間に見えているようだ。
「よ~し、あの最新ゲーム機とか当てちゃうぞー☆」
 気合は十分。お金を払ってくじを引くが……当然、そう簡単に当たるものでもない。
「いやぁ、残念だったNE♪ ま~た、気が向いたら挑戦してくれYO!」
 妙にノリの軽い店主から残念賞を受け取って、ティエルは仕方なく咎大蛇へとバトンタッチ。完全に運任せな勝負だが、それ故に、竜神である彼女の力を以てすれば、多少の確率操作も不可能ではない。
「さて、次は君だNE! さあ、な~にが出るかな~」
 相変わらず飄々とした男の言葉を他所に、咎大蛇はくじを引いた。一回で大当たりを引ける確率は決して高くはないが、それでも纏めて数回分の金を支払い、一度にくじを掴んで取れば。
「え~、ハズレ、ハズレ、これもハズレ……ん? いや、凄いNE! 当たったYO!」
 数枚のハズレを経て、なんとまさかの大当たり。手にした鐘をわざとらしく鳴らし、男は咎大蛇に景品のゲーム機を渡した。だが、その程度では咎大蛇の猛攻は終わらない。再び金をつぎ込むと、大量のくじを引っ張りだし、その中から再び大当たりを引き当てる。
「おやおや、こいつは予想外だYO! 運命の女神様が、味方しているのかな~?」
 瞬く間に目玉の景品を奪われ、男が咎大蛇の顔を覗き込んだ。口元は笑っているが、目元は全く笑っていない。ともすれば、咎大蛇がイカサマをしているのではないかと疑っているようだが、それは彼女にとっても都合が良かった。
「どうやら、あなたは私の力が分かるようですね」
 もう、正体を隠す必要もない。自分が竜の神であることを簡単に告げ、咎大蛇は自らの目的について男に語った。
「UDC、悪鬼を狩るのが私のなすべき役割です。あなた方は同じ人を脅かす方々ではないことは、この賑わいを見ればわかります。私もぜひ協力させていただきたく存じます」
 その流れに便乗し、続けてティエルも自らの正体を明かす。認識の歪みが是正されたのか、あるいは最初から男には分かっていたのか、ティエルの姿はいつの間にか妖精のそれに戻っていた。
「ボクがいれば怪我なんて、ほらこんな感じに治っちゃうぞっ!」
 妖精の粉を撒き、ティエルは自分の価値をアピールした。それらを見ていた男は、しばし考える素振りをしていたが……既に答えは決まっていたのかもしれない。
「その二人の言っていることは本当よ。ちなみに、わたしも猟兵だけどね」
「おやおや、これはこれは、お揃いで……。まあ、そういうことなら、組長に取り付いてやるから、安心しなYO」
 最後は、遅れて現れたフレミアが後押ししたことで、男もついに二人の言うことを信じてくれたようだ。
 舎弟達に店を任せ、男は三人を蒼竜会の事務所まで案内する。その途中、ティエルが思い出したかのように、今の組長について男に尋ねた。
「そういえば、歴代の組長さんも退魔の力を持ってたらしいけど、今の組長さんはどうなんだろ?」
「今の組長かい? 勿論、力は持ってるZE! ただ……組長に何かあったら、組は終わりだからNA! 戦いは、主に俺達『四竜』の役目なんだYO!」
 何気なく語っているが、どうやら目の前の男も四竜だったようだ。
 これで三人。蒼竜会の中でも、特に強い退魔の力を持つ者との接触に成功した猟兵達は、ついに蒼竜会の組長を顔を合わせることになったのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第2章 集団戦 『欲望に飲み込まれた者たち』

POW   :    たっぷり遊んでやるぜ
レベル×1tまでの対象の【身体を抵抗できなくなるまでいたぶり、体を】を掴んで持ち上げる。振り回しや周囲の地面への叩きつけも可能。
SPD   :    一緒にいじめてやろうぜ
自身が【加虐心】を感じると、レベル×1体の【不良仲間たち】が召喚される。不良仲間たちは加虐心を与えた対象を追跡し、攻撃する。
WIZ   :    謝るのなら今のうちだぜ
対象への質問と共に、【相手の後ろ】から【ナイフ使いの仲間】を召喚する。満足な答えを得るまで、ナイフ使いの仲間は対象を【相手が最も嫌悪する嬲り方】で攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●竜の意思を継ぐ者
 蒼竜会。表向きは極道として存在しながら、しかしその実態は古来より続く退魔組織。
 そんな彼らとて、極道という形を取っている以上、組織の在り方もまた極道と同じ。故に、重要な案件は若頭と組長が取り仕切るというわけで、猟兵達は蒼竜会の組長と謁見することになった。
「ほぅ……お主らが、UDC組織とやらの者達か。儂は蒼竜会第八代組長、伊藤・吉五郎(いとう・よしごろう)じゃ」
 その身老いたりとも、眼光の鋭い初老の男。落ち着き払った様子を見せているが、今までにも相当な修羅場をくぐって来たことは、全身から放たれる威圧的な空気が物語っている。
「知っての通り、儂らはヤクザ者じゃ。魔性を狩るには、そちらの方が都合が良いこともあるのでな。邪悪な神を信仰する団体やら、訳ありな土地の供養やら……他にも、魔性の力を利用してシマを荒らすような連中を狩ってきた。最近は、『パパ活』とかいう連中も幅を利かせておるようじゃがの」
 そもそも、蒼竜会は本来であれば極道などではなかったと吉五郎は続けた。彼の話によれば、昔々、この地には邪悪な魔性から人々を守る竜神様がいたという。
「竜神様は、そりゃぁ強かった。しかし、ある時、とてつもなく強い祟り神と戦ってのぅ……。そん時に、力の殆どを使い果たして……儂の御先祖様に、自分の力を託したのよ」
 以来、蒼竜会の組長は、代々竜神の力の片鱗を宿しているという。そして、組長より直々に力の片鱗を授けられた者だけが、『四竜』として魔性と戦う定めを負うのだとか。
「お主らにも魔性と戦う力があることは、儂にも分かる。しかし、それでも気をつけるがいい。竜神様の力は、本来であれば人の手に余る代物。故に、『四竜』は戦いになると狂人となる。その身に宿した、竜の墨の力に影響されてな」
 そのため、四竜になれるのは適性のある者だけであり、必ずしも組の中での序列とは関係がない。その四竜であるが、既に猟兵達は祭りの場で三人と出会っている。
 一人目は、グレネード後藤。射的屋の屋台を取り仕切っていた、40代後半と思しきパンチパーマの男。
 二人目は、紅蓮の毒島。眼鏡をかけた優男で、礼節に厳しい一面を見せる。組長の話だと、どうやら彼が今の若頭ということらしい。
 三人目はくじ引きの屋台を取り仕切っていた男。まだ20代と思しき、やたらとノリの軽い組員で、その通り名は『デスディーラー尾崎』というのだとか。
 三人とも、その身に竜の入れ墨をしているのは同じだった。最後の一人は未だ姿を見せていないが、組長は今まで自分の隣に座っていた、やたら派手な色をした髪の女を紹介した。
「……響、UDC組織の方々に挨拶せんかい」
「伊藤・響(いとう・ひびき)だ。よろしく……」
 仏頂面のまま、女は答えた。パンクバンドでもやっているのだろうか。棘の付いたレザーの服を纏い、なんとも厳つい感じである。
「こいつは儂の孫娘でな。四竜としては若輩者だが、それでも戦う力を授かった以上、己の運命は受け入れねばならぬ」
 そういうわけで、この四人と一緒に、とあるライブハウスで行われている邪な企みを阻止して欲しいというのが組長からの依頼だった。なんでも、そのライブハウスでは違法な薬物が蔓延し、一度でもそれを使用した者は、人ならざる者になってしまうという。
「このまま放っておけば、いずれ町中の若者が魔性と化してしまうじゃろう。そうなれば、儂らにも止められん。その前に、なんとしても首魁を叩く必要がある」
 かくして、猟兵達は未だ実力の知れぬ『四竜』と共に、ライブハウスへのカチコミを決行した。

●全員狂ってます!
 ライブハウスに到着すると、そこから先は早かった。
「Hey! イカれたジャンキーども! YOU達には、確実な死をお届けDEATH!」
 最初に扉を蹴破ったのは尾崎だった。相変わらずノリの軽い口調だが、その身に宿した入れ墨の力によって、いつも以上にテンションが高く。
「なんだぁ、テメェは?」
「おいおい……バカが自分から死にに来たぜぇ」
 入口付近にいた半グレどもが、早速、こちらに向かってきた。彼らの全身から放たれる異様な気配。どうやら、既に彼らは人を辞めて、邪神の眷属になってしまっているようだ。
「フヒヒヒ……。たっぷり遊んでや……ぐがぁぁぁっ!!」
 だが、不良仲間を引き連れて襲い掛かろうとした矢先、そこに放たれたのは後藤の手にしたグレネードランチャー。ライブハウスの中に爆音が響き渡り、辺りは瞬く間にパニックに!
「な、なんだぁ、こいつ!?」
「し、信じられねぇ! こんな室内で、重火器をブッ放しやがった!!」
 それでも、邪神の力を得た半グレどもは、この程度では死なない程には頑丈だ。当然、四竜達もそれは知っており、続けて武器を取り出したのは毒島だった。
「オラァァァッ! 全員、バーベキューになりやがれぇ!!」
 ガスマスクで顔を覆った彼が取り出したのは、なんと火炎放射器である。無謀にも突っ込んで来た半グレは一瞬で黒焦げになり、そのまま二度と立ち上がらなかった。
「あー、やっぱり、こうなっちまったか。ま、いつものことだし、仕方ねぇな」
 後ろでロリポップを加えた響が、さも当然の如く言ってのける。どうやら、闘争が始まると全員がバーサーカー状態になってしまうというのは本当のようで。
「さあ、お待ちかね! 運試しのロシアンルーレットタイムDEATH!」
 両手にリボルバーを構え、尾崎が楽しそうに笑っていた。だが、ロシアンルーレットと言いながら、その手に握られた拳銃には、全て弾が込められていた。
「HAHAHA! 残念だったNE! アンラッキー! それじゃ、折角だしYOUを、素敵なサイコロにしちゃうYO!」
 そう言って、尾崎は拳銃でハチの巣にした半グレに近づくと、その全身にアーミーナイフを突き立て肉を抉り、更なる風穴を開けた。先程のリボルバーによる穴と合わせて21個。サイコロの目の和と同じ数だ。
 こいつら、マジでヤバ過ぎる。唯一、狂っていないように見えるのは響だったが、しかし彼女も四竜の一人であることに変わりはなく。
「ウッシャァァァァッ! ラストは脳汁ブチ撒けシャウトだぁ!!」
 手にしたスレッジハンマーをフルスイングで回し、息も絶え絶えな半グレの頭を情け容赦なくカチ割って、そこら中に脳漿をブチ撒けさせたのだ。
「これで終わりかぁ? 呆気なかったなぁ」
 まだ撃ち足りないのか、後藤がマシンガンを取り出して銃口を舐めながら言った。グレネードの通り名は伊達ではなく、彼はとことん重火器を愛する男のようだ。
「いや、まだだ。……おいおい、マジかよ。なんて数だ」
 震えながら、しかしどこか楽し気に指を差す毒島。見れば、ライブハウスにいる者達は全員が、全て先程の半グレ達と同じ異様な空気を纏っていた。
「この会場の連中、全部が敵ってことでいいかNA? いいよNE?」
 片手にリボルバー、片手にアーミーナイフを持って、野崎が嬉しそうな笑みを浮かべている。これが組長の言っていた竜神様の力の副作用か。圧倒的な数の差がありながら、しかし彼らは全く恐れを感じていない。
「よっしゃぁぁぁっ! 祭りの時間だぜ、野郎どもぉ!」
「「「ヒャッハァァァァッ!!」」」
 響の叫びに合わせ、奇声を上げながら突っ込んで行く極道達。このまま放っておけば、彼らは数の差に押されたところを、事件の首謀者である強力な邪神によって倒されてしまう。そうなる前に、彼らと共に眷属と化した若者達を制圧し、邪悪なる神を討伐するのだ!

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
●四竜との共闘
 この章では、退魔の力を持った極道達と一緒に戦うことになります。
 彼らはバーサーカー状態ですが、敵味方の区別はつくようです。
 ただし、四人の中の誰がボスに対する特攻能力を持っているのかは不明なので、ここで彼らが必要以上に消耗すると、次の戦いが不利になってしまうかもしれません。
 四竜の能力、性格などは、以下の通りです。

【グレネード後藤】
 重火器を愛する古参の組員。
 狭い室内でも平気でマシンガンやグレネードランチャーを使用する。
 一応、腕は確かなので、誤射の心配はないようだが……。

【紅蓮の毒島】
 蒼竜会の若頭にして、火炎放射器を武器とする男。
 敵対者を情け容赦なく焼き払う。

【デスディーラー尾崎】
 四竜の中でも最もヤバい人。
 賭け事にちなんだ殺戮技を、ノリノリで繰り出す。

【轟音の響】
 組長の孫娘。
 『脳汁シャウト』と称してハンマーで敵の頭蓋骨を粉砕し、本当に脳汁をブチ撒けさせる。
 パンクバンドやデスメタルの愛好家。
東雲・深耶
成程、外道専門の過激派か
こういった類は正直嫌いじゃないよ
そう言いながら時空間切断剣術で半グレをサイコロステーキにしていく
ああ、これか?純粋な剣術…『技術』だ
私以外今は誰も到達出来ていないだけで

しかし竜神か…ならば、私も竜を取り出すとしよう
瞬間、虚空より現れるはーー透明でありながら万華鏡の如き万色を内包する刀身を輝かせる日本刀
是成は亭竜なる邪竜を弑した権能の究極、【征竜剣・八大竜王】

万物の元素と属性を操る竜の王の力を宿す究極の殺竜兵装…少し雑魚相手には過剰だが、四竜には敬意を示してこれを取り出そう

瞬間、虚空そのものを切り裂く斬閃に属性魔術の究極が付与されるーー


叢雲・天乃
「やはり退魔の一族には代償が付き物なようですね。
私たちも行きましょう。ラスト、力を貸してください」
『あとでまた屋台で遊ばせてくれるなら、妾が力を貸してやるのじゃ』

【色欲の魔女】で銀髪の悪魔ラストを召喚し実体化させます。
私の退魔の力の源は、この悪魔ラストとの契約です。
その代償はラストの言うことに逆らえないこと。

「屋台くらいならお安いご用です。
ラスト、毒島さんの援護を!」
『妾には炎など効かぬので任せておくのじゃ』

私は後方でラストの制御に精神を集中させますが……

「なっ、いつの間に!?
きゃあああっ」

気配も感じさせず背後に現れた若者たちにナイフを突きつけられ、服や下着を切り刻まれて嬲られてしまいます。



●退魔少女と狂人極道
 ライブハウスの中へ一歩足を踏み込めば、そこにいたのは全員が謎の薬か何かでラリってしまった、恐ろしくヤバい集団だった。
 彼らはもう、元の人間には戻れない。この世の物ではないドラッグへ安易に手を出した結果、人間ではない何かになってしまったのだから。
 だが、そんな人間を辞めた者達が相手でもお構いなしに、四竜の面々は好き放題に暴れていた。
「オラオラァ! 往生しやがれぇ!!」
「テメェら外道に、この世に存在していい理由なんてねぇんだよぉ!!」
 後藤のグレネードランチャーが火を噴き、毒島が迫り来る半グレどもを焼き払う。そんな彼らの暴れっぷりに感心しつつ、東雲・深耶(時空間切断剣術・空閃人奉流流祖・f23717)もまた刃を抜いた。
「成程、外道専門の過激派か。こういった類は正直嫌いじゃないよ」
 ならば、ここはその戦い方に敬意を表し、こちらも全力で行かせてもらおう。自分の方へ向かってきた半グレ相手に刀を振るえば、まるで空間諸共に斬り裂かれたかの如く、彼らの身体は粉々のミンチになって行く。
「おぅ、やるじゃねぇか、お嬢ちゃん。そいつが、お前の能力ってやつか?」
 人間離れした深耶の剣術に感心する後藤だったが、それに対して深耶は静かに首を振る。彼女が使ったのは、極限まで研ぎ澄まされた純粋なる技術。深耶は未だ、ユーベルコードの類を使って戦ってはいないのだ。
「サイコロステーキじゃぁん! YOU、なかなかイケてるYO!」
「アタシの分も、ちょっとは残しておいてくれよ! そうじゃないと……脳汁ブチ撒けらんねぇからなぁ!!」
 そんな中、深耶の剣術に興奮した尾崎がナイフ片手に突っ込んで行き、響もまた豪快にハンマーを振り回して暴れ始めた。
 正直、目の前の半グレどもなんかよりも、彼らの方がよっぽど狂っている。邪神の眷属相手でもお構いなしに、完全にバーサーカー状態だ。
「やはり退魔の一族には代償が付き物なようですね」
 竜神の力を得る代償として戦闘中は異常人格になってしまう様を目の当たりにし、叢雲・天乃(銀髪の悪魔ラストと契約した化身忍者・f31531)が呟いた。やはり、大いなる力には責任と代償が伴うもの。それを知っているからこそ、力の使い方を誤った半グレどもを許してはおけない。
「私たちも行きましょう。ラスト、力を貸してください」
「あとでまた屋台で遊ばせてくれるなら、妾が力を貸してやるのじゃ」
 天乃の呼び声に応え、悪魔ラストが半グレどもへと向かって行く。見た目こそ銀髪の幼女にしか見えないが、その実態は媚薬や精神操作、果ては触手に溶解液の類まで使って対象者を堕落させる、色欲の根源なのである。
「屋台くらいならお安いご用です。ラスト、毒島さんの援護を!」
「妾には炎など効かぬので任せておくのじゃ」
 天乃に命じられるままに、ラストは半グレども真っ只中へと飛び込むと、彼らの身体を触手で一斉に縛り上げた。
 そこへすかさず、浴びせられる火炎放射。悲鳴が過ぎ去った後に残るのは、黒焦げになった死体だけ。
「そうです! その調子です、ラスト!」
 後ろでラストを指揮しつつ、応援を送る天乃。しかし、次の瞬間、彼女の背後から音もなく近づいた何者かによって、天乃は強引に押し倒されてしまった。
「なっ、いつの間に!? きゃあああっ」
「へっへっへ……後ろがガラ空きだぜぇ!」
 ナイフを舌先で舐めながら、天乃を押し倒した不良達が下劣な笑みを浮かべてみせる。彼らは手にしたナイフを天乃の胸元に宛てると、そのまま一気に縦方向へと切り裂いて、制服だけでなく下着まで真っ二つにしてしまった。
「ひゃぁっ! な、なにするんですか!!」
「ヒャッハー! 御開帳だぁ!!」
 天乃の手足を仲間達に押さえさせ、リーダーと思しき不良は斬り裂いた服を左右に広げて放つ。彼らは天乃が動けないのを良いことに、手にしたナイフを突き立てながら、一斉に彼女のことを嬲り始めた。
「ひぃっ! ちょ、ちょっと……ど、どこ触って……ひゃぁぁっ!」
 胸や尻、果てはもっと敏感な場所にまで、不良どもの手が一斉に伸びて来る。全身を弄られ、叫ぶ天乃だったが、不良達は情け容赦なく彼女の身体にナイフを先さえも突き立てて。
「おいおい、あまり騒ぐと舌を切っちまうぜぇ」
「痛い思いをしたくなかったら、大人しくしているんだなぁ」
 胸の先だけでなく、股の間にまでナイフをあてがわれ、天乃は思わず青くなった。
 冗談じゃない。そんなところにナイフなんて突っ込まれたら、それこそ犯されるよりも酷い事になってしまう。
「あ……ぁぁ……」
 これから自分がされることを察し、天乃はそれ以上は動けなかった。
 周りは乱戦状態で、自分を助けてくれる者など誰もいない。このまま、自分はナイフで串刺しにされてしまうのか。そう、諦めにも似た感情が天乃の脳裏を掠めたところで……唐突に、彼女に覆い被さっていた男の頭が吹っ飛んだ。
「テメェ、なにしてんだ、この野郎!」
 なんと、天乃の惨状に気付いた響が、スレッジハンマーで不良の頭をカチ割ったのだ。
「おい、テメェ。堅気の女を手に掛けるとは、随分と外道な真似してくれんじゃねぇか」
 同じく、天乃を襲っていた不良の頭を、今度は後藤が銃身で殴り飛ばす。それだけでなく、彼は倒れた不良の口に手榴弾を突っ込んで、躊躇うことなくピンを引き抜き蹴り飛ばした。
「んぐぐ……ひゅでぶぅぅぅっ!!」
 抵抗する暇もなく、顔面を吹っ飛ばされて不良は死んだ。相変わらず、情けも容赦もあったものではない。もっとも、彼らに混ざって太刀を振るっている深耶からすれば、この程度の仕置きで驚くことは何もなく。
「しかし竜神か……ならば、私も竜を取り出すとしよう」
 瞬間、虚空の彼方より、虹色に輝く日本刀が姿を現した。それは透明でありながら、しかし万華鏡の如き万色を内蔵する必殺の刃。亭竜なる邪竜を弑した権能の究極。その名も征竜剣・八大竜王!
「万物の元素と属性を操る竜の王の力を宿す究極の殺竜兵装……。少し雑魚相手には過剰だが……」
 それでも、深耶が敢えてこの武器を取り出したのは、四竜に対する敬意を示すため。正気を蝕まれながらも戦う彼らの覚悟に応えるためには、出し惜しみなどしていられない。
「これで終わりだ……斬っ!!」
「「「ぎゃぁぁぁぁっ!」」」
 一度、深耶が太刀を振るえば、それは空間をも斬り裂く一撃となって、次々と半グレどもの頭を刎ね飛ばす。いかに邪神の力を得て強化された人間とはいえ、退魔行を本職とする者達からすれば、彼らの力など赤子同然のものだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

フレミア・レイブラッド
まぁ、どうせ全て片付けなければならないのだし、倒す事自体は問題ないわね。
ただ、この後に本命が残ってるワケだし、あまり消耗させない様に気を付けないと。

アナタ達、暴れるのは良いけど、この後にお楽しみの本命がいるのだから、暴れ過ぎない様にね

【念動力】の防御膜で四竜を包みつつ、【ブラッディフォール】発動。
「黒竜を駆る者」の「ドラゴンテイマー」の姿(テイマーの黒衣と剣を装備し、翼が生えた姿)へ変化。
【文明侵略】でライブハウスの照明や楽器、機材や瓦礫等を黒竜へ変換し、敵集団を駆逐するわ。

数が多いならこちらも揃えれば良いだけよ。
四竜達の盾にもできるし、幸い、変換対象も豊富だしね
(瓦礫は後藤が作ってくれるし)



●竜に会うては竜で応えし
 ライブハウスに突入したら、そこにいた全員が邪神の眷属だった。
 なんとも頭の痛い状況ではあるが、しかしこれは好都合。守るべき一般人がいないのであれば、好き放題に暴れられるわけでして。
「まぁ、どうせ全て片付けなければならないのだし、倒す事自体は問題ないわね」
 鮮血飛び交う戦場においても、フレミア・レイブラッド(幼艶で気まぐれな吸血姫・f14467)は冷静そのもの。実際、四竜のようなバーサーカー連中と共闘するとなれば、余計な救助対象はいない方が面倒がない。
 もっとも、この後に本命の邪神が残っていることを考えると、ここで全力を出し尽くしてしまうのは考え物だった。四竜の面々は嬉々として魔性に堕ちた半グレどもを狩っているが、万が一にも致命傷を負わされたら一大事だ。
「アナタ達、暴れるのは良いけど、この後にお楽しみの本命がいるのだから、暴れ過ぎない様にね」
 とりあえず、言葉で念を押しておくものの、それで止まる四竜ではない。相変わらず、榴弾が飛び交い、炎が噴き出し、逃げ遅れた者達をナイフとハンマーが殺戮して行く。これは、下手に止めてもこちらがとばっちりを食らいそうなので、もう諦めて彼らに被害が及ばないようにするしかない。
「骸の海で眠るその異形、その能力……我が肉体にてその力を顕現せよ!」
 念を使って四竜の身体を守りながら、フレミアはユーベルコードを発動させた。すると、彼女の身体から悪魔の如き翼が生え、その姿はかつてキマイラフューチャーの世界にて顕現した、ドラゴンテイマーの似姿となっていった。
「なんだぁ、姉ちゃん?」
「そんな恰好して、コスプレのつもりかぁ?」
 フレミアの能力を知らない半グレどもが無謀にも襲い掛かって来るが、彼らが足を踏み出した瞬間、近くにあったマイクスタンドや照明機材が、唐突に黒き竜へと姿を変えた。
「な、なんだ、こいつは!?」
「照明が怪獣に!? どうなってやがる!!」
 黒竜ダイウルゴス。あらゆる存在を食らい尽くす暴食の使途は、当然ながら半グレ達を餌と認識し、頭から被り着いて行く。
「うぎゃぁぁぁっ!」
「お、俺は餌じゃねぇ! やめ……ぐぁぁぁぁっ!」
 頭を砕かれ、次々と飲み込まれて行く半グレ達。そんな中、彼らに呼び出された一部の不良どもがフレミアの死角から襲い掛かるが……それとて、無駄な抵抗だった。
「このクソアマがぁ!」
「死ねや、コラ……げぇっ! お、俺のナイフが!?」
 フレミアにナイフを突き立てようとした瞬間、そのナイフもまたダイウルゴスに変化して、反対に不良どもの喉笛へと食らいついたのである。
「数が多いなら、こちらも揃えれば良いだけよ。さあ、今宵は竜達の晩餐会といこうじゃない」
 不敵な笑みを浮かべるフレミアが指を鳴らせば、それに合わせて更に周囲の物体がダイウルゴスへと変わって行く。そこから先、繰り広げられるのは圧倒的なまでの暴力。そして、黒竜に混ざって暴れ回る四竜達にも、やはり情けや容赦などなく。
「ハハハハ! こいつら全部、怪獣の餌ってか? だったら、俺がミンチを作ってやるぜぇ!」
 背負っていた武器ケースの中からショットガンを取り出した後藤が、何の躊躇いもなく至近距離から半グレに散弾をブッ放し。
「それじゃ、肉をこねるのはアタシがやるぜ! 料理は女子力! ヒャッハー!」
 肉片を撒き散らされて倒れた敵を、今度は響がスレッジハンマーで潰して行く。
「では、焼くのはこちらに任せてもらおう。今日のおかずは、直火焼きハンバーグで決まりだなぁ!」
 そして、全身の骨を砕かれ動けなくなった半グレどもを、毒島が火炎放射器で焼いて行った。相変わらず、こいつら本当に容赦がない。R18の極道映画でも、ここまで狂った連中は、そう登場しないだろう。
 なお、こうして作られた人間ハンバーグは、黒竜達が全て美味しくいただきました。

大成功 🔵​🔵​🔵​

マホルニア・ストブルフ
なるほど。こう盛大に暴れるとなると、極道の役所に落ち着くのも頷ける。
ライブハウスは一般家屋の一部屋より広くはあるが、銃弾や火器が何に被弾して二次被害が出るかわからない。
四竜同士は連携に慣れてるだろうが、こちらは突発的に組んでいるからな。フレンドリーファイアは互いに不本意だろう。自分のUCにも火の海にできるものはあるが……ここで展開することは考えたくないな。
知覚端子を展開して戦場の【情報収集】。アサルトライフルで敵を狙いつつ。

――おや。失礼、一服させてもらうよ。ふふ、横着ではないので悪しからず。
わりと暴れたからな。落ちてくるんだ、――こんな風に。

丁度奴らも巻き込まれてくれれば、結果オーライだな。



●蒼き竜、青き星
 普段は極道として裏社会のルールを頑なに守り、堅気に手を出さないことを誇りとしている任侠達。
 だが、彼らはいざ戦闘となれば、その全員が異常人格になってしまう。邪神の眷属に堕ちたとはいえ、元は人間であったはずの相手を嬉々として殺戮して行く彼らの姿から、マホルニア・ストブルフ(構造色の青・f29723)は、蒼竜会の面々が何故に極道などをやっているのか納得していた。
「なるほど。こう盛大に暴れるとなると、極道の役所に落ち着くのも頷ける」
 UDC関係の事件が発生した場合、UDC組織は少しでも一般人がUDCに触れないよう、事件の隠蔽を試みる。だが、蒼竜会はそんなことなど関係なく、好き放題に大暴れ。
 これだけ派手に暴れれば、絶対に表の人間の知るところにもなるだろう。だが、彼らは徹底的に敵を殺戮するため、その大半はヤクザ同士の抗争として処理されてしまい、誰もUDC絡みの事件だとは思っていないのは幸いだった。
「さて……それでは、私も援護に回らせてもらいたいが……迂闊に銃器を使うわけにはいかないな」
 荒れ狂う四竜達を横目に、マホルニアはこの状況における最善手を考える。ライブハウスがいかに広くとも、迂闊に機関銃を使えば、跳弾がどこに飛ぶか分からない。最悪、誤射の危険もあるため、周囲を火の海にするのは好ましくない。
「オラオラァ! どうしたぁ! もっと派手にブッ飛ばされてぇかぁ?」
「俺達のシマを荒らした罰だ。地獄の窯で焼かれる前に、俺がテメェらを焼いてやるぜ!」
 現に、重火器を使う後藤や火炎放射器を用いる毒島などがいるため、これ以上の高火力は、本当に味方を巻き込みかねないのだ。仕方なく、周囲の情報を冷静に収集した後に、マホルニアはアサルトライフルを単射モードに切り替えて、的確に敵の頭を射抜いていった。
(「さて……そろそろ、頃合いだな」)
 そうして戦いながら、マホルニアは切り札を発動させるタイミングを計る。今のところ、四竜は比較的こちらの近くで戦ってくれている。ならば、今こそ彼らの力を増すための、切り札を発動させるべきだろう。
「CODE:BREAKOUT THOROUGH//LDF_ENEMY SELECT RAID.」
 特殊なコードを口走り、その後は近くの椅子に腰かけて休憩を始めるマホルニア。戦場のど真ん中で、いったい何を考えているのか。さすがにこれには、四竜の者達も首を傾げ、マホルニアの真意を問い正すばかり。
「あれあれ~? YOU、もしかして、もう息切れなのかNA?」
 ダーツの矢を半グレの両目に突き刺しながら、尾崎が尋ねた。しかし、やはりマホルニアは椅子から立とうとせず、そのまま上を指差した。
「……おや。失礼、一服させてもらうよ。ふふ、横着ではないので悪しからず。わりと暴れたからな。落ちてくるんだ……こんな風に」
 そう言って彼女が指し示すと、天井も由香も、いつしか青白い輝きに包まれていた。
 これこそ、マホルニアの用意していた最大の切り札。この中にいる限り、敵の攻撃はマホルニアにも、彼女の仲間にも届かない。そして、マホルニアが非戦闘行為を続ける限り、この効果が解除されることもない。
「一服するだけでバリア張れるってこと? なんかそれ、イカしてんじゃん!」
 敵の攻撃が通らなくなったことで更にテンションを上げ、響がハンマーを振り回す。他の三人も、それぞれマホルニアを守るような形で陣を組み、半グレどもの攻撃を物ともしないで暴れ回る。
「ひぃぃぃっ! た、助けてくれぇ!」
「お、俺は力を手に入れたんだぞぉ! それなのに……こんなの、嘘だぁぁぁっ!!」
 ついに、一方的な殺戮を前にして、一部の半グレどもは逃げ出した。が、しかし、ここで彼らを逃してしまえば、また同じような事件を起こされる可能性もある。それは当然、四竜達も分かっており、逃げる半グレどもの行く手を後藤と毒島が遮った。
「覚悟もねぇのに力を求め、自分が不利になったら仲間を捨てて逃げるだと……? 舐めてんじゃねぇぞ、クソガキどもがぁ!」
「お前達は調子に乗り過ぎたんじゃ。本職舐めたこと、あの世で後悔せい」
 毒島の火炎放射器と後藤のグレネードランチャーが、至近距離から半グレどもに炸裂する。元は人間であったとしても、今現在は化け物であるならば、蒼竜会の四竜は何ら容赦をしないのだ。
(「ふぅ……。この様子なら、しばらく私は、ここで休んでいるだけで良さそうだな」)
 この半グレどもを始末するまでは、自分は彼らのことを守るためのフィールドを維持しよう。そんなマホルニアの援護も相俟って、半グレどもは徐々にだが確実に数を減らして行ったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

螺旋・咎大蛇
【アドリブOK】
竜神の力を宿しているとは…それが言い伝えでなく本当ならば
同族とともに戦うことになるのでしょう。
私もまた力を封じられようと竜神。かの敵たちを討ち滅ぼしましょう。

【戦闘】
入り乱れた戦いになることは必然でしょう
四竜の皆様に降りかかる攻撃を防御して交わしつつ
敵に向けて斬撃を打ち込んでいきます。

…一撃が致命傷にならずとも問題ないのです。
ユーベルコードの力が発動されればもはや敵たちは逃げることは不可能
なるべく多くの的に攻撃を打ち込んだあとで一気に反撃を試みることにしましょう



●竜の血族
 蒼竜会の者達は、代々竜神の力を宿している。そんな話を聞かされた螺旋・咎大蛇(邪悪なる龍だった少女・f28038)は、どこか奇妙な親近感を覚えずにはいられなかった。
「まさか、竜神の力を宿しているとは……」
 単なる伝承ではなく、それが事実というのであれば、同族と共に戦うことになるのだろう。かつて、UDCアースにて邪神と戦い、その力の大半を失ってカクリヨの地へと身を移した、竜神達の伝承とも重なるものがある。
「私もまた、力を封じられようと竜神。かの敵たちを討ち滅ぼしましょう」
「竜神だと? そいつはいい。本物の竜と一緒に戦えるなら、俄然やる気が出るってもんだ」
 毒島が、ガスマスクの奥でにやりと笑った。彼らにとって、竜神とは信仰の対象だ。蒼竜会の者達だけの信仰心では、竜神をUDCアースに留まらせるには至らなかったのかもしれないが、それでも彼らの中では敬愛する組長と同等以上の存在であることは確かなのだ。
「ここは、私が前に出ます。皆様は、援護をお願いいたします」
 この後の戦いに備え、咎大蛇は自らが最前線で敵を引き付けることにした。だが、そんな言葉だけで引き下がるほど、四竜の者達は大人しくはない。一度でも戦いが始まってしまえば、彼らは竜神の闘争本能に刺激され、目の前の敵を徹底的に殺し尽くす戦闘狂になってしまうのだ。
「おいおい、そりゃねぇだろう、竜神様よぉ」
「アンタが本当に竜神様だっていうなら、それこそ下手に傷つけたら、爺さんから何言われるか分かったもんじゃないんだからさ」
 後藤がグレネードランチャーを構え、響きがスレッジハンマーで近くにあった酒瓶やら照明機材やらを、器用に叩いては半グレども目掛けて吹っ飛ばして行く。
「では、討ち漏らしはお任せいたします」
 もう、これは説得するのも困難だと諦め、咎大蛇は少しでも多くの敵を倒すのに集中することにした。擦れ違い様に、半グレどもを、斬る、斬る、斬る。一撃が致命傷にならずとも、一度でも傷を与えることに成功すれば、後でいくらでも倒すことができるのだから。
「ぐわっ! 畜生、やりやがったな!」
「この数を見て、突っ込んで来るとはいい度胸だなぁ! テメェ……謝るのなら今のうちだぜ」
 だが、半グレどもは斬られながらも、不敵な笑みを浮かべながら咎大蛇へと向かってくる。ならば、もう一度斬り捨ててやろうと刃を構える咎大蛇だったが、その背後に殺気を感じ、思わず振り返った。
「ヒャッハァァァ! 死ねやぁぁぁぁっ!」
「……っ! しまった!?」
 気が付いた時には、背後にナイフを構えた不良が立っており、その手に握られた刃の先が、咎大蛇の顔面を狙っていた。
 先程の半グレが呟いた言葉。それこそが、彼らのユーベルコードを発動させる条件だったのだ。このままでは確実に刺される。覚悟を決める咎大蛇だったが、しかしナイフの先が彼女の顔を貫くよりも早く、大量のダーツが不良達の背中に突き刺さった。
「ぎゃぁっ! 痛ぇぇぇっ!」
 予期せぬ方向から攻撃を受け、不良達はナイフを落としてしまった。見れば、そこにはダーツを構えた尾崎が、実に楽し気な笑みを浮かべて立っていた。
「ダメだよ、YOU達! 竜神様に手を出そうなんてさ!」
 そういう輩にはお仕置きだ。続けて尾崎はリボルバーを取り出すと、その銃口を問答無用で不良どもの口に突っ込んだ。
「お仕置きとして、YOU達にはスロットチャンスをあげちゃうYO! ヒャァ! ジャックポッドだぁ!!」
 そのまま引き金を引き、口の中に銃弾をブチ込みまくる。相変わらずのイカれっぷりだが、今は突っ込んでいる時間も惜しい。
「うげぇっ! な、なんだ、あいつ……」
「ヤベェ……マジで狂ってやがる……」
 完全にビビりまくった半グレどもは、ついに背中を向けて逃げ出した。しかし、それこそが咎大蛇の待っていた最大のチャンス。どこへ逃げようとも、一度でも彼女に斬り付けられたのであれば、その時点で逃げ場はないのだ。
「お前は蛇の腹の中の虫に同じ。この刃より逃げることは叶わぬ」
 一瞬にして姿を消し、次に現れたのは半グレどもの目の前。いきなり瞬間移動され、驚いて立ち尽くす半グレども。しかも、咎大蛇の手に握られている太刀は焔を纏って煌々と燃えているではないか。
「な、なんだとぉ!」
「テメェ、いつの間に……ぎゃぁっ!!」
 そこから先は、一方的な殺戮だった。今度は一撃などという生易しいことは言わず、相手が絶命するまで斬りまくる。
 半グレどもにとって、咎大蛇の斬撃による傷は死の刻印。一度でも付与されてしまったが最後、彼らはどこにも逃げられず、竜の焔によって焼かれる他になかったのだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

相馬・雷光
ちょっと! 戦いでエキサイトするのも分かるけど、後先考えなさいよ!
特に後藤! あんた銃使いなんだから弾切れになったら置物よ!
こいつらは前座! 本番はこの後! 今まであんたたちが見たこともない化け物が控えてるのよ!

ヴァジュラブラスターで雷撃弾(属性攻撃)の【弾幕】を張って【制圧射撃】
雷撃は目立つから、敵を【おびき寄せ】られるハズ
数に押されて押し倒されて、あわや純潔を散らされる……寸前に【帝釈天雷迅閃】!
後藤のもとに瞬間移動
電撃で痺れて団子になってるところに、後藤のグレネードと私の爆弾で【爆撃】!
こうやってまとめて吹っ飛ばせば弾の節約になるでしょ?



●忍法、鮟鱇の術?
 猟兵達の援護もあり、邪神の眷属へと堕ちた半グレどもを、一方的に殺戮して行く四竜達。正直、このまま放っておいても大丈夫な気もするが、しかしこの後のことを考えると、相馬・雷光(雷霆の降魔忍・f14459)は気が気ではなかった。
「ちょっと! 戦いでエキサイトするのも分かるけど、後先考えなさいよ! 特に後藤! あんた銃使いなんだから弾切れになったら置物よ!」
 接近戦を得意とする響や、あらゆる物を凶器として扱う尾崎とは違い、重火器を武器とする後藤は弾切れになったらそれまでである。今後のことを考えると、少しでも残弾を温存したいところだが……残念ながら、バーサーカー状態になった後藤には、そんな理屈は通用しない。
「心配すんなよ、お嬢ちゃん。なにしろ……鉛弾は、まだまだたっぷりあるからなぁ!」
 そう言って後藤は、着ているコートの裏地を見せた。そこには代えのマガジンがズラリと並んでいるだけでなく、手榴弾のような投擲武器までぶら下がっていたが……それでも、後藤が接近戦に使える武器を持っていないことに変わりはない。
「こいつらは前座! 本番はこの後! 今まであんたたちが見たこともない化け物が控えてるのよ!」
 ここは少しでも弾の消費を抑えて欲しい。そう言って後藤を抑えようとする雷光だったが、しかしトリガーハッピー状態の後藤は、そんなこともお構いなしに銃を乱射するだけだ。
「ああ、もう! 仕方ないわね!」
 これ以上は問答しても無駄だと悟り、雷光は自ら囮になるべく駆け出した。この手の輩には、口で説明するよりも実際に動いて見せた方が早い。最悪、後藤の弾が尽きる前に、こちらが敵を殲滅すればいいだけの話。
「さあ、こっちよ! こんな女の子一人捕まえられないなんて、あんた達、それでも男なのぉ?」
「なにを! ふざけやがって!!」
 案の定、挑発に乗った半グレどもは、雷光に狙いを定めて突進して来た。もっとも、それは雷光の作戦である。近づいて来たところへ雷撃弾を放って痺れさせ、彼らの動きを次々に止めて行く。
「ぐわっ! な、なんだこりゃ!?」
「あのクソアマ……舐めた真似しやがって!」
 だが、痺れるだけで死んではいないため、半グレどもは新たに大量の不良仲間を召喚して来た。さすがに、この数は捌くことはできず、雷光は瞬く間に取り囲まれて、手足を拘束されてしまった。
「ふへへへ……さっきは、よくもやってくれたなぁ」
「お礼に、た~っぷりと可愛がってやらねぇとなぁ」
 下劣な笑みを浮かべながら、半グレどもが雷光の衣服に手をかけた。このまま服を破り捨て、彼女を代わる代わる犯し尽くそうというのだろう。
「それじゃ、最初は俺からいただくぜぇ。さあ、覚悟しな」
 数に物を言わせて抑え込んだ状態からは、反撃されないとでも思ったのだろう。完全に油断しきった半グレは、雷光の胸元に手を伸ばすが……果たして、胸を力強く掴まれても、雷光はむしろ不敵な笑みを浮かべて返し。
「かかったわね! 因陀羅耶莎訶! 帝釈天雷迅閃!!」
「なっ……うぎゃぁぁぁぁっ!!」
 瞬間、閃光が迸ったかと思うと、雷光の周りにいた半グレどもは、全て雷に打たれて悲鳴を上げた。
 いったい、何が起こったのか。慌てて周囲を見回すも、なんと雷光の姿がない。痺れる身体に鞭を打って半グレどもが顔を上げれば、雷光は既に後藤の近くへ瞬間移動した後だった。
「今よ! あそこで痺れている連中を、纏めて爆破するわ!」
「上出来た、お嬢ちゃん。さあ、吹っ飛びな!!」
 未だ感電して動けないままの半グレどもに、雷光の投げた爆弾と、後藤の手にしたグレネードランチャーの榴弾が炸裂する。下手に固まっていたのが災いし、彼らはたった一発の爆撃で、木っ端微塵に吹っ飛んでしまった。
「ほら、こうやってまとめて吹っ飛ばせば弾の節約になるでしょ?」
 忍者の戦い方のひとつに、鮟鱇の術というものがある。チョウチンアンコウが獲物を誘き寄せるが如く、味方を囮に別動隊が本命を仕留めるという忍者の兵法。それは時に、任務のためなら味方を捨て駒にすることを意味する非情な術だが、しかし雷撃からの瞬間移動が使える雷光にとっては、むしろ犠牲を減らすための手段に他ならず。
「確かにな。こいつは一本取られたぜ」
 一見して捨て身にしか思えないものの、その実は計算され尽くした雷光の動きに苦笑する後藤だったが、その顔はどこか満足気だった。雷光の作戦は見事に当たり、その後も半グレどもは身動きも取れないまま、一方的に爆破された。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ティエル・ティエリエル
ヒャッハァァァァッ!!!ボクもやってやるぞー☆
四竜の人達のテンションに合わせてボクもつっこんでいくぞー!

それじゃあ、呼び出された不良仲間たちの間に飛び込んでかく乱だ!
体が小さいことを利用して不良たちの間を【スカイステッパー】で飛び回って
「敵を盾にする」で同士討ちを狙っていっちゃうね!

十分にかく乱したところで一気に離脱!
きっとこのタイミングで四竜の人達がグレネードや火炎放射器で一網打尽にしてくれるよ♪

※アドリブや他の方との連携も大歓迎です



●外道は消毒?
 竜の力の影響により、超絶ハイテンションで半グレどもを成敗して行く四竜達。そんな彼らに便乗し、ティエル・ティエリエル(おてんば妖精姫・f01244)もまた敵の集団へ一直線に飛び込んだ。
「ヒャッハァァァァッ!!! ボクもやってやるぞー☆」
 小柄な体躯を生かし、ティエルは半グレどもの隙間を縫うようにして飛び回る。背中の翅を使うだけでなく、時に空中を蹴るだけで方向転換できる彼女の動きは、邪神の力を得た半グレとはいえ追いかけるだけでも一苦労。
「このクソチビめ! ちょこまかと!」
「数だ! 数を揃えて取り囲め!!」
 この期に及んで、まだ数の暴力でなんとかなると思っているのか、半グレどもは仲間の不良達を呼び出した。だが、それはティエル相手には悪手である。彼女にとって、敵の数が増えるということは、それだけ盾にできる者が増えるということでもある。
「この野郎! 食らいやがれ!」
「痛っ! このアホ! どこ狙ってやがる!」
 案の定、ティエルを狙って振るった拳が他の不良や半グレに当たり、戦場は瞬く間に大混乱。怒りに任せて仲間割れの同士討ちを始めてしまい、もはや敵は足並みが揃うどころか、完全に自滅へ一直線。
「うんうん、こんなものかな。それじゃ、後はお任せだよ」
 頃合いを見計らい、ティエルはライブハウスの天井近くへと避難する。それと入れ替わるようにして放たれたのは、後藤のグレネード弾と毒島の火炎。
「上出来だぜ、小さいお嬢ちゃん!」
「後の始末は、俺達に任せな」
 爆風と火炎が、次々に半グレどもを薙ぎ払って行く。それでも、中には死体を盾に辛うじて逃げ出す者もいたが、そこはティエルが逃さなかった。
「そうはいかないぞ~! それっ!!」
 天井に設置された照明のコードを切って落とせば、それは逃げ出した半グレの頭を直撃し、彼もまた追い打ちの炎で焼かれてしまった。
 迂闊に仲間など呼ばなければ良かったかもしれない。そんな後悔の念が彼らの頭を掠めた時は既に遅く、爆風と炎によって焼き尽くされる他に道はなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

高吉・政斗
■(戦車内操縦席にて…)
FECT「設定⇒入力中」
カタカタ…

A・無線機能・身体・精神安定の強化
B・壁内外の補強
C・着弾後半径10cm程爆発する
ドカーン

ってもう殺っちゃってるのぉ?
(セッカチさんだ)
しゃーねぇ…
CUBU先行、四竜の戦闘サポート、盾受け&弾丸Cをもって行って渡して。空の「α9型」は大剣変形後空中斬遊撃しながら自身を響嬢ちゃんに使わせろ…絶対気に入る。

到着
まず弾丸Bで建物補強!
戦闘中の4人に戦杖で弾丸Aを撃ち込む
チョイと落ち着いてはくれか?説明を更っと。
あ、自分も手伝いますよ?
M230を遊撃護衛設定で自身防衛
TYPE64で建物内中距離からの狙撃。
(使用弾丸C)

でわ!お手伝いしますよ~



●戦車は遅れてやってくる?
 ライブハウスの内部にて、血で血を洗う凄まじい激闘が繰り広げられる中……高吉・政斗(剛鉄の戦車乗り・f26786)は、独り戦車のセッティングに勤しんでいた。
「無線機能、身体及び精神安定の強化……クリア。壁内外の補強……クリア。……砲撃開始」
 ようやく準備が終わり、改めてライブハウスの壁を戦車の砲でブチ壊す。ライブハウスは地下にあるため、わざわざ近くの下水道から穴を掘る形で戦車を乗り入れることになったのだが……。
「……ってもう殺っちゃってるのぉ?」
 政斗が戦場に駆け付けた時には、既に大半の敵が無力化された後だった。バーサーカー状態の四竜には、『仲間を待つ』などという概念は存在しないのだ。
「しゃーねぇ……CUBU先行、四竜の戦闘サポート。空の『α9型』は大剣変形後、空中斬遊撃しながら自身を響嬢ちゃんに使わせろ……絶対気に入る」
 とりあえず、砲撃で壁が崩れないよう補強しつつ、戦車が援護している間に四竜を強化だ。そう考え、暴れ回る彼らに強化弾を撃ち込んだのだが……肝心の四竜達は、何をされたかも分かっていない様子。
「ん? なんだぁ?」
「何だか知らんが、身体の奥から力が湧いてくるな。こいつはご機嫌だ!」
 後藤と毒島が、更に見境なく重火器や火炎放射器を乱射し始めた。ライブハウスは業火に包まれ、広がるのは阿鼻叫喚の地獄絵図。
「チョイと落ち着いてはくれないか? 説明をサラっと……」
「ウッヒャァァァァッ! 斬る、キル、KILL!!」
 説明をしようとする政斗を他所に、今度は尾崎がナイフ片手に突っ込んで行く。あれに関わるとこっちまで殺されそうなので、もう放っておくしかなさそうだ。
 そんな中、自動操縦で敵を薙ぎ払いながら突き進んでいた『α9型』が、響の前に突き刺さった。あたかも、自分を使えと言わんばかりの行動だが……果たして、ハンマー使いの響は、この大剣を手に取るのだろうか。
「へぇ、随分とデカい剣だな。……気に入ったぜ」
 そう言って剣を引き抜くも、なにやら構え方が少々おかしい。普通は刃を床と垂直になるよう構えるはずなのに、響は水平に構えており。
「ウラァァァッ! テメェの脳みそ、ブチまけやがれぇぇぇっ!」
 なんと、大剣の刃でハエ叩きの如く、半グレの頭を叩き潰したではないか!
「あ~……いや、それは使い方が違……」
「ヒャッハー! テメェの脳汁は何色だぁぁぁっ!!」
 正しい使い方を教えようとする政斗をガン無視し、響は半グレどもの身体を大剣で叩きまくり、ノシイカのようにペチャンコにしてしまった。こいつら、マジで狂っている。同じヤクザに殺されるのでも、ドスや拳銃で一思いにやられた方が、どれだけ綺麗な死に様だろう。
「……あ、自分も手伝いますよ?」
 もう、説明するのも面倒になったのか、政斗も迫り来る不良達の迎撃に専念することにした。幸い、彼らの武器はナイフや鉄パイプといった間に合わせの代物ばかりだったので、機銃や対戦車ライフルで吹っ飛ばすのには苦労しなかった。
「でわ! お手伝いしますよ~!」
 周りの不良を片付け、遠間からライフルで狙撃する政斗。もっとも、その際には既に殆ど半グレが、血の海に沈んだ後だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『邪悪なるロッカー』

POW   :    D.I.J.シューター
【自傷行為】を代償に自身の装備武器の封印を解いて【楽器を銃】に変化させ、殺傷力を増す。
SPD   :    殺しの調べ
【ギターを掻き鳴らして衝撃波】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    黒キ夢
【毒々しいメイク】【呪いのタトゥー】【血の六芒星】を宿し超強化する。強力だが、自身は呪縛、流血、毒のいずれかの代償を受ける。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠七瀬・麗治です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●邪神系バンドVS脳汁ソング!
 猟兵達と四竜の活躍によって、ライブハウスに屯していた半グレどもは、漏れなく全員が討伐されていた。
 彼らは全員、邪神の眷族と化しており、もはや人間には戻れなかった。それでも、そこら中に血が飛び散り、死体が転がりまくっている光景を目の当たりにすると、どちらが悪者なのか分からなくなってくる。
 この世に地獄があるとすれば、彼らこそが地獄なのだろうか。いや、それは違う。本当の地獄とはもっと苛烈で、危険な空気を放っているものだ。
 果たして、そんな事実を証明するためなのか、ライブハウスのバックヤードから、ふらりと一人の男が現れた。その身体は半グレどもに比べても痩せっぽちで、随分と貧相なものだったが、それでも全身を覆っている異様な空気は、それだけで彼が人ならざる者だということを理解させるのには十分だった。
「なんだぁ? まだ、生き残りがいやが……っ!?」
「くっ……! こいつは……マジで、ヤバいやつが出て来たな……」
 先程まで嬉々として半グレどもを殺戮していた後藤や毒島の足が止まった。極道として、常に修羅場を掻い潜って来た彼らでさえ、目の前に立つ男の気迫に、ともすれば飲み込まれそうになっていた。
「Oh……これは、かなりDANGERな感じだNE……」
 四竜の中では最も狂っているとされる、尾崎でさえも足が震えている。見た目は痩せっぽちなロッカーに過ぎないにも関わらず、あの男には自分の死さえも恐れないバーサーカー達でさえも震え上がらせる程の何かがある。
「あぁ……なんてことだ……。これでは……折角の余興が……台無しだ……」
 抑揚のない声でロッカーが呟いた。その声を聞いただけで、後藤も毒島も、そして尾崎も動くことができなくなってしまったが、しかし響だけは違っていた。
「はぁ? 柄にもなくビビッてんじゃねーよ、てめーら! こんなやつの腐った音楽より、アタシの脳汁シャウトの方がイケてるに決まってんだろーが!!」
 なんと、響はロッカーの奏でる邪悪な音楽に対抗し、ライブハウスに転がっていたマイクを握ってソロライブを始めたのだ。
 ぶつかり合う音と音。狂気の曲が響の声で相殺されたことで、残る三人も我に返る。
「助かったぞ、お嬢。後藤の旦那! それに尾崎! 全員で、お嬢を守るんだ!」
 毒島の号令に合わせ、後藤と尾崎も響を守るようにして彼女の前に出る。強大な力を持ったロッカーを前に、戦うことはできなくとも、せめて肉壁として響を守ることができれば良いという覚悟だ。
「へっ……そうこなくっちゃな! さぁて、それじゃ聞かせてやろうじゃん! 人間辞めて、邪悪な神様に魂売ったアホ野郎に、本当の脳汁シャウトってやつをさぁ!!」
 血に染まったライブハウスの中、音と音が激しく反響する戦いが始まる。響の声がロッカーの曲を抑えている間に、背後に強大な邪神の力を携えたロッカーを撃破するのだ!

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
●特攻能力
 邪悪なるロッカーの繰り出す楽曲は、聞いているだけで周囲の者の精神を破壊します。
 響の歌が特攻能力となっており、ロッカーの曲の効果を弱めていますが、彼女は歌に専念しているので戦闘行為はできません。
 残る四竜達も、響を守るだけで手一杯なので戦えません。
 また、響がやられてしまうと特攻能力による補正が解除されてしまうので、猟兵であっても毎ターンの開始時に邪悪な曲による精神ダメージを受けます。
叢雲・天乃
「響さんが!
あれが四竜に伝わる伝説のお経ですか!?」
『いや、あれ、別にお経のような、ありがたいものじゃないと思うのじゃが……』

退魔の家系の私も知らないような響さんのお経(?)に驚愕します。
ラストが何か言っていますが、それどころではありません!

「ラスト!
響さんを援護しましょう!」
『よかろう。ならば妾にいい考えがある!』

ラストに言われるまま【デビルズ・ディール】で響さんの頭部に角を生やします!
……なんでですか!?

『くふふ、ロックと言えばデーモン!
悪魔の角は定番じゃ!』
「よくわかりませんけど、まあ、響さんの戦闘能力はあがるからいいですかね……
このまま、天叢雲剣で敵を攻撃して援護しましょうっ!」



●超絶、デビルズロック!
 邪悪なるロッカーの歌声に対抗し、即興ライブを始めた響。彼女の歌声は正気をロッカーの歌声と拮抗し、ライブハウスが異様な空気に包まれる。
「オラオラ、どうした! そんなシケッたハートじゃ、アタイ達のソウルには響かねーぜ!!」
 プロ顔負けのシャウトを響かせる響の声に鼓舞され、残る3人の四竜達もまた彼女を守るように立ち回る。そんな彼らの姿を、叢雲・天乃(銀髪の悪魔ラストと契約した化身忍者・f31531)は、しばし感心した様子で眺めていた。
「響さんが! あれが四竜に伝わる伝説のお経ですか!?」
「いや、あれ、別にお経のような、ありがたいものじゃないと思うのじゃが……」
 何か微妙に勘違いしている上に、悪魔のラストから突っ込みが入ったが、それはそれ。というか、今はそれどころではなく、目の前のロッカーを倒すことが先決だ。
「ラスト! 響さんを援護しましょう!」
「よかろう。ならば妾にいい考えがある!」
 ラストに言われるままに、ユーベルコードを発動させる天乃。使用したコードはデビルズ・ディール。対象の頭部に角を生やして能力を強化し、場合によっては頭部を自由に操ることも可能という技なのだが……それを響に使ったのは何故だろう。
「くふふ、ロックと言えばデーモン! 悪魔の角は定番じゃ!」
 どうやら、ラストは完全に雰囲気だけで技を選んでいるようだった。果たして、これで良いのかと不安になる天乃だったが、それでも響の歌声がパワーアップしてくれれば、その分だけロッカーの歌声に心を乱されることもなくなるので安心だ。
「よくわかりませんけど……まあ、響さんの戦闘能力はあがるからいいですかね……」
 神器の太刀を引き抜いて、天乃はロッカーに肉薄する。だが、彼女は肝心なことを忘れていた。響の歌声は強化されても、自分自身が全く強化されていないことを。そして、響の歌声はあくまで敵の能力を弱めてくれるだけで、完全に無効化もできないことを。
「Woooo……Haaaaa!!」
 突然、ロッカーが奇声を上げてギターを掻き鳴らせば、そこから放たれるのは全てを斬り裂く衝撃波。精神に作用する音は響の歌声が中和してくれるが、物理的な攻撃はどうにもならない。
「きゃぁぁぁぁっ!」
 真正面から攻撃を諸に食らって、天乃は吹き飛ばされてしまった。だが、ここで負けてはいられない。自分が退いたら、その分だけ四竜が危険に晒されるくらいは、天乃も理解しているつもりだ。
「よくもやってくれましたね! これはお返しです!」
 次の衝撃波が放たれるよりも先に、天乃は擦れ違い様にロッカーのことを斬り捨てた。これで、一太刀は報いたか。そう思い、残身しつつも刃を構え直す天乃だったが、気のせいか随分と身体が涼しいような。
「ふむ、少しはやりおるようじゃな。ところで……先の攻撃で服が破れておるが、そちらは気にせんのか?」
「へ……? い、いやぁぁぁぁっ!!」
 自分が殆ど何も着ていない姿であることに気付き、思わず叫びながら天乃は両手で胸元を隠す。
 半グレ集団との戦いで破られた衣服は、先の衝撃波による一撃には耐えられず、その大半が破られ吹き飛ばされていたようだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

東雲・深耶
ここは真の姿を開放するとするか
瞬間、私の黒髪が紅へと染まっていく
護衛するならこのUCか
その言葉と同時に空間そのものへと作用するサイキックエナジーにより空間障壁を四竜へと付与
響の歌を妨げることなく外部からの攻撃の身を弾いていく

助かる、響
攻撃は任せてくれ
瞬間、銀河最強のサイキックエナジーを注がれて超強化した時空間切断剣術が、無限進刀・『碎雷』を発生源とする『無限成長する雷電』を纏って解き放たれる
これは竜神を統べる最弱無敵の雷を司る『竜神を統べる者(ドラゴンロード)』の権能……
四竜を守る為ならば力を貸してくれる筈だ
そう言って銀河最強のサイキックエナジーと時空間切断剣術を繰り出していく



●竜を統べる者
 その痩せた身からは考えられない程に、強大な邪神の力を内に秘めたる邪悪なロッカー。まともに戦っては勝ち目などないと判断し、東雲・深耶(時空間切断剣術・空閃人奉流流祖・f23717)は早々に切り札を切った。
「ここは真の姿を開放するとするか……」
 瞬間、深耶の髪が紅の色に染まり、彼女を覆う気が強さを増した。彼女の使うサイキックエナジーが、空間そのものへ干渉しているのだ。
「Hyaaaaa!!」
 先手必勝とばかりに、ロッカーが自分の身体を爪で搔きむしりながら、変形したギターから銃弾を撒き散らす。だが、その攻撃が四竜に届くよりも前に、深耶は軽く手を翳し。
「護衛するなら、このユーべルコードか」
 自らの駆るサイキックエナジーの力を、空間障壁へと変えて四竜へと付与する。放たれた銃弾は、まるで見えない壁に遮られたかの如く、空中で火花を散らしながら明後日の方向へ飛んで行く。
「サンキュー! アイツの歌は、アタシに任せときな!」
「助かる、響。ならば、攻撃は任せてくれ」
 響の歌がロッカーの声を妨げている中、続けて深耶が繰り出したのは、時空をも切断する超剣術。
「Hyaa……? Hagyaaaa!!」
 無限進刀・碎雷。その刀身より放たれたのは、無限に成長する雷電だった。それは竜神を統べる者にだけ使うことが許された、最弱にして無敵の雷。矛盾する概念を一つに束ね上げた、『竜神を統べる者(ドラゴンロード)』にのみ使うことを許される権能の紅し。
「四竜を守る為ならば、力を貸してくれる筈だ」
 人の身に宿りながら、それでも竜神としての使命を未だ忘れていないのであれば。そんな深耶の読みは正しく、四竜の身体に刻まれた竜の入れ墨が、激しく発光しながら鼓動を始め。
「な、なんだぁ、こりゃぁ?」
「竜神様も、ノッてきたんだろうさ! よっしゃぁ、ガンガン行くぜぇ!!」
 呆気に取られる後藤や毒島達を他所に、響は更に盛り上がりを増して行く。その声が、一際大きく響いたところで、深耶の繰り出す刃がロッカーの身体を空間諸共に斬り裂いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フレミア・レイブラッド
あら、あの陰気なロッカーと違って響は良い歌声響かせるじゃない。
わたしも歌を嗜むからよく解るわ

聖属性の結界【属性攻撃、破魔、結界術】と【念動力】の障壁による魔術と念の二重防壁を展開して四竜を防御。

【ブラッディ・フォール】で「拳帝軍襲来・惑わしの歌は崩壊の兆し」の「愛弗雷舞術の死音」の力を使用(髪型、服装が死音と同じに変化)

【ボクの歌に痺れて逝けよ!】で歌声に【破魔】の力と聖属性【属性攻撃】を付与して敵に対抗。
更に響とデュエットする事で巨大化した「ポータブル音響セット」を通して自身の歌声【歌唱】と共に響の歌声を増幅・強化。

即興のデュエットだけど、魂を震わせる本当の歌声を魅せてあげるわ!


ティエル・ティエリエル
むむむー、相手に負けずにテンション上げていくぞー☆
響の脳汁シャウトに合わせて、空中でステップを踏んで戦うぞ♪

響が歌うのを邪魔させないようにうりゃうりゃーと圧をかけて四竜達に近づけさせないよ♪
ふふーん、なんだか戦う度にどんどん呪縛や流血、毒で自滅していってる気がするね!
でもでも、油断せずにどーんと決めるよ!
上がったテンションでレイピアに込めて【お姫様ビーム】でずどーんだ☆

※アドリブや他の方との連携も大歓迎です



●爆発、ドラゴンソウル!
 邪悪なロッカーの歌声を中和すべく、響は対抗して歌い続ける。その声は、単に狂気から周りの者を守るだけでなく、同時に内から鼓舞する力を秘めている。
「あら、あの陰気なロッカーと違って響は良い歌声響かせるじゃない。わたしも歌を嗜むからよく解るわ」
 自らの中の本能が活性化されて行くのを感じ、フレミア・レイブラッド(幼艶で気まぐれな吸血姫・f14467)は思わず響に告げた。
 彼女の歌は、ただの歌ではない。まるで、その身に秘めたる竜神が、魂に直接語り掛けてきているようだ。
 これが、真にソウルを振るわせるシャウトというやつか。ならば、その歌声を強化すべく、フレミアはマイクを拾って響の隣に立ちながら力を解放し。
「骸の海で眠るその異形、その能力……我が肉体にてその力を顕現せよ!」
 纏いし力は、アポカリプスヘルの地にて歌により人々を惑わした拳帝軍の姿。だが、その口から紡がれるは悪しき力による支配を求める歌声ではなく、聖なる光と念を込め、邪悪なるロッカーの身体を侵食する正義の鼓動。
「Wo……oooo……」
 必死に対抗するロッカーだったが、こうなってしまっては、どうにもならない。ユーベルコードの代償により肉体はどんどん傷ついているが、しかし彼の歌声はフレミア達には届かないのだ。
「ふふーん、なんだか戦う度にどんどん呪縛や流血、毒で自滅していってる気がするね!」
 ミラーボールの上から様子を窺っていたティエル・ティエリエル(おてんば妖精姫・f01244)が、ここぞとばかりに飛び出した。迂闊に敵の前に出れば、その歌声により一発で狂気に蝕まれてしまうはずだったが、相手の声が押されている今ならチャンスだ。
「Oh! Ouch!!」
 ティエルに針のようなレイピアであちこち刺され、ロッカーの歌声が完全に止まった。無視して歌おうにも、自傷によってつけられた傷口を狙って攻撃されるため、これでは歌に集中できないのだろう。
「ハッ! テメェのソウルは、そんなもんか? 邪悪な神様に頼ってるだけで、パッションが全然足りねぇぜ!!」
「そうね。即興のデュエットだけど、魂を震わせる本当の歌声を魅せてあげるわ!」
 勢いに乗った響とフレミアの声が、更に空間を支配して行く。それに合わせ、今度はフレミアのポータブル音響セットが巨大化を始め、その歌声でロッカーの肉体を骨の髄まで染めて行く。
「A……aaaa……guoooo……」
 空気を振動させる音の塊を諸に食らい、さしもの邪悪なロッカーも、身体を痙攣させるだけだった。魔性を蝕む聖なる力が、直に肉体に響いているのだから、当然だ。
「よ~し、フィニッシュは任せたぜ、ちっこいの! 今なら、脳汁シャウト全開だぁ!!」
 マイクを片手に、響が最後に指名したのはティエル。その言葉に応えるべく、ティエルもまた上がりに上がりまくったテンションを、全てレイピアの先に収束させ。
「うーー、どっかーん! 今ならビームだって出せそうだよ☆」
 テンション、オーバーフルマックス!
 放たれた極太のビームは邪悪なロッカーに直撃し、ステージの上で凄まじい大爆発が巻き起こった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

マホルニア・ストブルフ
◇アドリブ連携負傷損壊OK
【狂気耐性】はあるものの邪神の力の乗った男の呟きに顰め面になりつつ、それに対抗する響の力に感心しつつ。

最悪な事態は、抑えているお嬢さんがやられてあの耳障りな邪神の曲を聴くことになる――のではなく、『四竜の誰か一人でも欠けること』としよう。目標は高く持つものだろう?

【ダッシュ】で響を守ろうとする三人の前に向かいながら、拡張義体を攻撃に特化するよう重展開。体を覆うような重厚な強化外骨格で、四竜を狙う邪悪なるロッカーの攻撃を左側面で防ぐよ。
それができれば攻撃に転換。【グラップル】【怪力】【重量攻撃】で重い単純な一撃を、その細身に叩き込んでやる。


螺旋・咎大蛇
狂気に意識を委ねるのも悪くはないでしょう。
もっとも、それがあなたの首を絞めることになるでしょうが。

邪悪なロッカーの曲…まるで遠い記憶の弱者の悲鳴のようです。
あなたのその邪悪な歌声が、封印の鍵を開きます…

【ユーベルコードを発動させ、半覚醒状態へと変貌する】
この姿になると少々手を抜けなくなりますので
残念ですが諦めてください。

歌の源となるのはその楽器によるものでしょう。
こちらが解き放つ炎でその邪悪な歌を鈍らせていきます。
うまく行ったならば一気に止めへと向かいます。



●狂気の歌声の先に
 その身に邪悪なる神を宿し、狂気に満ちた歌を歌い続けるロック歌手。
 だが、その歌声も、もはや猟兵達には届かない。蒼竜会の四竜にして組長の孫もである響の歌声が、狂ったシャウトを相殺してしまうからだ。
「Uuuuu……Woooo!!」
 およそ、人に発することのできない何かを言葉に変えて、邪悪なるロッカーは叫び続けた。だが、それは決して言葉にはならず、むしろ不快に心を蝕むだけの騒音だ。
「……まったく、耳障りな音だね。まあ、それに対抗できるだけの力を持ったお嬢さんは、さすがといったところだろうが……」
 諦めの悪いロッカーの絶叫に、マホルニア・ストブルフ(構造色の青・f29723)は思わず顔を顰めた。中和されているとはいえ、やはり聞いていて心地よいものではないわけで。
「狂気に意識を委ねるのも悪くはないでしょう。もっとも、それがあなたの首を絞めることになるでしょうが……」
 もはや、これ以上は聞いていられないと、螺旋・咎大蛇(邪悪なる龍だった少女・f28038)は一気に力を解放した。
「限定解除……総て滅する……」
 普段の冷静な口調から一変し、その身を纏う空気は尊大かつ粗暴なものに変化する。元より、咎大蛇は暴虐なる竜神。神器により、その性質を弱められてはいるものの、本質的な部分に変わりはないのだ。
「この姿になると少々手を抜けなくなりますので、残念ですが諦めてください」
 それだけ言って、問答無用で火を放つ。否、それだけではない炎に加えて毒をも放ち、それらは自らを傷つけることでギターを銃に変形させたロッカーの傷口から、彼の身体を容赦なく蝕んで行く。
「Wooo……aaaa……」
 それでも、ロッカーは苦し紛れに銃弾を乱射した。狙いなどつけていないが、それだけに軌道が読めず、どこに当たるかも分からない。
「ちぃっ! クソ野郎が……」
「後藤さん、下手に動いちゃいけねぇ。跳弾が、お嬢に当たるかもしれん」
 形振り構わずに重火器で応戦しようとした後藤を、毒島が諫める。中和されているとはいえ、それでも常人が聞いたら一発で発狂間違いなしの歌を耳にしながら、いつものように狂気に任せて暴れ回るのは無理があるのだ。
 ライブハウスの中を、ロッカーの放った銃弾が飛翔した。相変わらず的外れな方向へしか飛んで行かないが、それらが壁や設備に当たって跳ね返った場合、誰に当たるかも分からない。
「……っ!? なんだ、こいつぁ……?」
 左側から飛んできた弾が何かに弾かれたのを見て、後藤が思わず目を丸くした。そこに広がっていたのは、マホルニアの展開した強化外骨格。全身を覆うようにして展開されたそれは、四竜への跳弾を軽々と弾き、彼らをロッカーの攻撃から守って行く。
「随分と便利な隠し玉を持っていたようだな。できれば俺達よりも、お嬢の砲を守ってもらいたいのだが……」
 守る側でありながら守られたことで、毒島が苦笑しながらマホルニアに告げた。しかし、それを聞いてもマホルニアは、首を縦には振らなかった。
「悪いけど、それは聞けない。最悪な事態は、抑えているお嬢さんがやられてあの耳障りな邪神の曲を聴くことになる……のではなく、『四竜の誰か一人でも欠けること』としたいのでな」
 目標は、常に高く持たねば意味がない。そう告げるマホルニアの決意に、もはや四竜達も口を挟もうとはしない。見れば、ロッカーも咎大蛇の炎に焼かれて満身創痍。それだけでなく、いつしか声さえも満足に出せず、邪悪な歌さえ紡げていない。
「なるほど……炎で周りを焙れば、酸素がなくなって呼吸もできなくなる。まともに息もできない状態では、確かに歌など歌えないな」
 炎の威力は決して一撃必殺のものではなかったが、それでもロッカーの動きを封じるのには十分過ぎるものだった。
 このチャンスは、絶対に逃さない。防御から攻撃に転じ、マホルニアは一気に距離を詰めた。そのままロッカーの首を掴んで持ち上げると、怪力に任せて外骨格で強化された腕を振るい、盛大に拳を叩きつける。
「……ぐぇっ……!」
 カエルが潰される際の断末魔にも似た悲鳴を上げて、ロッカーの身体がライブハウスの壁に叩きつけられた。マホルニアの強烈な一撃を食らい、顔面が陥没したらしい。
「あなたは所詮、邪神と呪われし楽器の力に頼っているに過ぎません。過ぎたる力は身を滅ぼすと……その命を対価として学びなさい」
 壁にめりこみ、動けないロッカーへ、咎大蛇の繰り出す炎が殺到した。致命傷には遠くとも、動けない状態で身体を炎で焙られるのは、想像を絶する苦痛だろう。
「Gyoaaaa……!!」
 邪悪な神の言葉に耳を傾け、狂った歌で人々を惑わす存在に堕ちてしまったロッカー。彼が紡ぐ狂気の歌の先に見えていたのは、果たしてどのような光景だったのだろうか。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

相馬・雷光
もうひと踏ん張りよ! 気合い入れて守ってなさい!
私も閃光弾と音響爆弾で派手に演出(パフォーマンス)して特攻効果を援護するわ!

――銃撃? ライブバトルの片手間に? 私を相手に?
上等じゃない、ここまで来たら出し惜しみはなしよ!!

ヴァジュラブラスターで雷撃弾(属性攻撃)を【乱れ打ち】!
【早業】で一瞬でカートリッジ交換、【弾幕】を張り続ける!
あんたの本領の異能は響が抑えてる
その状態でいつまで私と銃撃で渡り合えるかしらね!!

音か銃か、どっちでもリズムが乱れてきたらダメ押しに【全力魔法】【リミッター解除】【限界突破】!
【帝釈天降魔砲】!!
ライブハウスごと、まとめて消し飛ばす!!
いっけぇー!!



●ラストは大爆発!
 邪悪な歌を魂に響く歌声で中和することで、ロッカーとの戦いを有利に進めて行く猟兵達。
 だが、それでも互いに消耗が激しいのは間違いない。敵のロッカーもズタボロだが、同時に響も歌い過ぎで、このままでは喉が枯れ果ててしまう。
「Oh……消耗戦ってやつだNe……。これ以上は、こっちの脳みその方が、先にシェイクされちゃいそうだYo……」
 四竜の中では最も狂っているとされる尾崎までが、ともすれば弱音を吐きそうになっている。それだけ、この戦いは彼らへの負担も激しいのだ。
「もうひと踏ん張りよ! 気合い入れて守ってなさい!」
 閃光弾と音響爆弾のド派手な演出で、相馬・雷光(雷霆の降魔忍・f14459)は響の演出を支えようとした。だが、それを見たロッカーも最後の力を振り絞り、果敢に楽器を武器へと変えて攻撃して来る。
「……銃撃? ライブバトルの片手間に? 私を相手に? 上等じゃない!」
 頬を銃弾が掠めたことで、雷光は覚悟を決めた。
 そうだ。ここまで来たら、出し惜しみなどしている場合ではない。響達にできるのは、あくまでロッカーの攻撃を中和して足止めすることだけ。ここで自分が敵を倒さねば、誰があのロッカーを倒すというのか。
 相手が銃撃なら、こちらも銃だ。愛銃を構え、雷撃弾を乱射しながら雷光は距離を詰めて行く。瞬く間に弾が尽きてしまうが、そこはすかさず予備弾倉を交換し、弾幕を張りながら突貫だ。
「あんたの本領の異能は響が抑えてる。その状態でいつまで私と銃撃で渡り合えるかしらね!!」
 異能の力が使えなければ、いかに邪悪なロッカーとはいえ、銃器に関しては素人でしかない。マシンガンと拳銃では火力に差こそあれど、それを埋め合わせるだけの技量を雷光は持っている。
「Aaa……Wooooo……」
 楽器を銃の形に維持するための代償として、自分の身体を傷つけることに限界が来たのだろう。
 もはや、流せるだけの血も失って、ロッカーはついにユーベルコードを解除してしまった。そして、攻撃の手が緩んだその隙が、雷光の狙っていた最大のチャンス。
「攻撃が止んだ? だったら……!」
 今こそ、最強の電撃弾を放つ時。あらゆる限界も枷も全て取り払い、最大出力の帝釈天砲をお見舞いだ。
「ライブハウスごと、まとめて消し飛ばす!! いっけぇー!!」
 その言葉は誇張などではなく、放たれた特大サイズの電撃弾が、全てを焼き払いながら邪悪なロッカーの身体を消し飛ばして行く。放たれた雷弾はライブハウスの壁にロッカーを押し付け、凄まじい閃光を放った後、部屋諸共に盛大に爆発した。

●フィナーレ&アンコール?
 繁華街の裏手から、凄まじい光が天を貫くようにして昇って行く。後に残されたのは瓦礫の山と、そこから立ち昇る微かな煙。
 そんな瓦礫を押し退けて、中から現れたのは猟兵達と、蒼竜会の四竜だった。
「……ったく、無茶苦茶しやがるな」
「俺達も、人のことは言えないですよ、後藤さん」
 ガスマスクを外し、毒島が後藤に向かって苦笑した。あれだけの爆発に巻き込まれて死んでいない辺り、やはりこの連中、猟兵ほどではないが只者ではない。
「まあ、俺はこういうのも好きだけどNe!」
 同じく全身ボロボロになりながらも、尾崎だけはどこか喜んでいた。四竜の中でも随一の狂人である彼は、やはりどこか頭のネジが吹っ飛んでいるようで。
「最高のライブだったぜ、お前達! 機会があったら、またいつでもセッションしような!」
 最後に響が、ハンマーを掲げて猟兵達に告げた。
 竜の力をその身に宿し、狂気で狂気を駆逐するヤクザ集団。果たして、そんな彼らと再び共闘することがあるのだろうか。それはまだ、今は誰にも分からない。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年11月04日


挿絵イラスト