苛性シューティングスター
●風魔忍法隕石落とし
天を仰ぎ見れば、そこにあったのは夥しい数の流星降りしきる光景であった。
北関東荒野に拠点を構える人々は見上げた流星に祈りを捧げる。皆、一様に願うのは唯一。今日よりもより良い明日を。それだけであった。
この文明が荒廃した世界アポカリプスヘルにおいて、それすらも難しいものである。
明日が当然のように訪れることも保証されぬ世界にあって、より良き明日を求めることは流星に願いを掛けることと同義であったのだ。
「――……なんだ? おかしくないか?」
「何が……お、おい! あの流れ星、こっちに――!」
拠点に住まう人々は見上げた空より降りしきる流星が己たちの住まう拠点へと落ちる瞬間を見た。
それは彼らが願いを掛ける流れ星などではなかった。
凄まじい衝撃が大地を揺らし、拠点にしている建物を揺らす。
人々は何が起こったのかさえわからなかったことだろう。ただ流星が落ちてきたという事実だけがわかっていることであり、この後に起こるであろう現実を理解することはできなかった。
噴煙を上げる流星の落下地点はクレーターのようにえぐれ、中心部に存在する結晶の如き雨粒のような物体が浮遊していた。
その水晶体は、生命維持装置。
ティアドロップタイプと呼ばれる生命維持装置に保存された観賞用フラスコチャイルドを擁した存在。
「起動を確認。周囲に生体反応あり。人間の拠点であることを視認。これより……」
それは『クリスタライズ・チャイルド』。
本来であれば、鑑賞されるだけの存在。
けれど、今は違う。オブリビオン化し、生命維持装置の動力を犠牲にし周囲の機械群を操りながら生命の事事を鏖殺することを命ぜられた破壊装置。
「人類の虐殺を開始します――」
●百面鬼『風魔小太郎』
「これぞ『風魔忍法隕石落とし』。目障りな人間の『拠点(ベース)』とやらもこれで更地に出来よう」
かつてサムライエンパイアにて戦国時代最強の化身忍者と謳われた百面鬼『風魔小太郎』はオブリビオンを隕石の弾丸へと変え、アポカリプスヘルにおける人類の生活圏である『拠点』への破壊行為を敢行していた。
一度は猟兵達に敗れ、消滅したはずの強敵である彼が何故この地に在るのか。
そして、何が目的なのか。
どちらにせよ、このような破壊行為を見過ごす世界ではないことを百面鬼『風魔小太郎』は理解していた。
「このまま猟兵が出張ってこないということもあるまい。一度こそ敗れはしたが、此度もまたしくじることがあってはならぬ。『ドクター・オロチ』の信義に応えるため、為損なうことなどもってのほか。なればこそ、疾く目的を達するのみ」
その百面の眼窩が輝く。
それは嘗て己を滅ぼした猟兵たちの憎悪に染まるものであった。
「かの大戦では、徳川と猟兵共にしてやられたが此度はそうは行かぬぞ。再び味わうがいい、我が『風魔忍法隕石落とし』を――!」
●北関東荒野
グリモアベースへと集まってきた猟兵達に頭を下げて出迎えるのは、ナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)であった。
「お集まり頂きありがとうございます。アポカリプス・ランページ……大きな戦いの後ではありますが、此度もアポカリプスヘルでの事件になります」
ナイアルテは大きな戦いでの猟兵たちの戦いを讃える。それは容易ならざる勝利であったし、何よりも一つの世界を救った偉業であったからだ。
しかし、アポカリプス・ランページを制した猟兵達に体休まる暇がないことを伝えねばならぬことをナイアルテは憂いていた。
「皆さんはサムライエンパイアでの大きな戦いを覚えていらっしゃいますか?」
猟兵達はナイアルテの言葉に首をかしげる。アポカリプスヘルでの事件の説明であるというのに、何故サムライエンパイアの名前が出てくるのかと。
それは事件を予知したナイアルテにとっても同じ思いであった。
困惑した表情を浮かべているのは、彼女にも事件の詳細が判っていないからであろう。
「はい、実は嘗て皆さんが打倒した強敵、百面鬼『風魔小太郎』が復活し、アポカリプスヘルにおける北関東荒野に出現し、周囲のオブリビオンをまたたく間に制圧したのです」
彼女の言葉は紛れもない脅威そのものであった。
そう、百面鬼『風魔小太郎』はオブリビオンを隕石の弾丸に変えるという『風魔忍法隕石落とし』を持っている。それは言わば、無尽蔵に放たれる拠点破壊のための力。
その脅威は文明の荒廃した世界に生きる拠点の人類にとっては防ぎようのない災厄そのものだろう。
「彼の目的がなんであれ、『風魔忍法隕石落とし』は防がねばならぬこと。上空から降り注ぐ『隕石の弾丸』と化したオブリビオンを迎撃した上で、元の形状に戻ったオブリビオンの群れを打倒しなければなりません」
言うまでもなく迎撃に失敗したのならば、猟兵達は痛手を追った状態で無数の群れの如きオブリビオンと戦わなければならない。
それ以上に『拠点(ベース)』が壊滅してしまっては、アポカリプスヘルを救った意味もまたなくなってしまう。
「なんとかこれを迎撃する手段を講じなければなりません。このオブリビオンの群れを撃破した後、百面鬼『風魔小太郎』へと迫りましょう。ですが、彼もまた手練の強敵。容易には近づけさせてはくれません」
そう、百戦錬磨たる化身忍者である百面鬼『風魔小太郎』の持つ忍法は『隕石落とし』だけではないのだ。
オブリビオンの群れを打倒しても、そこに待ち受けるのは『風魔忍法忍者屋敷』である。
彼の周囲を『忍者屋敷』に変異させ、様々な罠や仕掛けの存在する屋敷内を利用しつつ猟兵たちを翻弄してくるだろう。
「『隕石落とし』への対処、『忍者屋敷』の踏破……やらなければならないことは多いでしょう。ですが、これを打倒し百面鬼『風魔小太郎』を止めなければ、彼の企みが開花し、さらなる混乱をアポカリプスヘルに引き起こすことは必定。どうかお願いいたします」
ナイアルテは頭を再度下げ、猟兵達に願うのだ。
未だアポカリプスヘルは人々の望む明日を得られていないのかもしれない。終わらぬ戦い、終わらない復興。
けれど、そのどれもが放り出していいものではない。
一歩一歩を確実明日へと踏み出したアポカリプスヘルの人々を救うため、猟兵達は次々と転移していくのであった――。
海鶴
マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
今回はアポカリプスヘルにおける北関東荒野に現れ、『風魔忍法隕石落とし』によって『拠点(ベース)』を破壊し、なんらかの目論見を持って行動している百面鬼『風魔小太郎』を打倒するシナリオになります。
※これは2章構成のアポカリプスヘルの戦後シナリオとなります。
●第一章
集団戦です。
『拠点(ベース)』に降り注ぐ『風魔忍法隕石落とし』によって隕石の弾丸と化したオブリビオン『クリスタライズ・チャイルド』たちとの戦いになります。
上空から降り注ぐ隕石の弾丸を迎撃した上で、元の形状になったオブリビオンを倒さねばなりません。
この『隕石の弾丸』時の『クリスタライズ・チャイルド』たちの迎撃に失敗すると隕石の落下ダメージによって大きな痛手を受けた状態で『クリスタライズ・チャイルド』と戦わなければなりません。
●第二章
ボス戦です。
百面鬼『風魔小太郎』の元に迫ると周囲を『忍者屋敷』に変異させます。
この屋敷に突入して『風魔小太郎』を打倒しなければなりませんが、この忍者屋敷には裏返る壁であったり、落とし穴、ブービートラップ、床が抜ける、天井から槍が振ってくる、毒矢が飛んでくるなどと言った、所謂忍者屋敷のからくり仕掛けのトラップがふんだんにしかけられています。
当然『風魔小太郎』は、この地形効果を利用して戦いを挑んできます。
皆さんはこれらの仕掛けにうまく対処しながら戦わねばなりません。
それでは、アポカリプスヘルにおける大きな戦いの後にやってきた新たなる争乱の種、百面鬼『風魔小太郎』の目論見を打破するため、隕石を迎撃し、忍者屋敷すらも踏破して戦う皆さんの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
第1章 集団戦
『クリスタライズ・チャイルド』
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POW : ジェノサイドコード・プロトコル
自身からレベルm半径内の無機物を【殺戮機械群】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。
SPD : ハッキングコード・プロトコル
【遠隔操作プログラム】を放ち、戦場内の【電子制御駆動】が動力の物品全てを精密に操作する。武器の命中・威力はレベル%上昇する。
WIZ : ライオットコード・プロトコル
【電子制御コード】【鎮静化薬インジェクター】【物理拘束ワイヤー】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
イラスト:えな
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
転移した猟兵たちが見た空は、無数の流星が降りしきる光景であった。
膨大な数のオブリビオンが変化した『隕石の弾丸』は、『拠点(ベース)』を破壊せんと迫っている。
あれらが地表に到達する前に迎撃しなければ『拠点』は元より、猟兵たちも衝撃波によってダメージを被ることだろう。そうなっては後に控える百面鬼『風魔小太郎』との戦いにも支障をきたす。
戦いはいつだって弱い者を虐げるものである。
仮に『隕石の弾丸』が地表に着弾しても、猟兵達は手傷を追うだけであろう。
けれど、『拠点』に住まう人々は違う。
生命を失うこともあるだろう。
そして、『拠点』が破壊されれば明日を生きることすら難しくなる。
百面鬼『風魔小太郎』は、そこまで計算に入れて『風魔忍法隕石落とし』を実行に移したのだろう。
猟兵たちが手こずるように、消耗するように。
人々の暮らしを守るために、そうせざるを得ないと理解しているからこそ、このような搦手を講じてきたのだ。
ゆえに、猟兵達はこれを打ち砕かなければならない。
どれだけ卑劣なる罠の如き所業であろうと、これを踏破し、必ずや百面鬼『風魔小太郎』を打倒しなければならないのだ――!
菫宮・理緒
サムライエンパイアでの因縁は
解らないんだけど、
やっと戦争が落ち着いてきたっていうのに『拠点』壊滅とか、
懸命に生きている人たちをなんだと思ってたるんだよ!
絶対にさせないし、ぜーったいに許さないから、ねー!
【ネルトリンゲン】で拠点の上空に布陣。
【偽りの丘】を発動して、『隕石の弾丸』を打ち落としていくよ。
でも有って114秒。
その間に【M.P.M.S】をCIWSモードで準備しておいて、
偽りの丘解除後は、対空防御で打ち落としていくね。
『希』ちゃん、全武装のセーフティロックとリミッターを解除。
拠点の防御を最優先で目標計算!
こっちは沈まなければいいからね。
ネルトリンゲンの全部をあげるよ。
叩き落としてっ!
嘗て在りし大戦。
それがサムライエンパイアで起こったオブリビオン・フォーミュラを巡る戦いであったことをは言うまでもない。
幾度も猟兵たちが乗り越えてきた大きな戦いは、いつだって因縁を生んでは骸の海という過去の集積地にオブリビオンを還してきた。
百面鬼『風魔小太郎』もまたその一人である。
消滅したはずの存在が再び過去より染み出し、現在に仇をなすというのならば、菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)は己と百面鬼『風魔小太郎』との間に因縁が無くとも戦うことを選んだことだろう。
流星雨の如き『隕石の弾丸』と化した『クリスタライズ・チャイルド』たちが空より飛来する。
それらは言葉通りの威力を持つ質量兵器としてアポカリプスヘルに住まう人々が暮らす『拠点(ベース)』に降り注ぐのだ。
一つでも落ちれば、拠点は瓦解するであろうし、そうでなくてもその余波で猟兵達は手痛い傷を負う。戦うにせよ防ぐにせよ、猟兵は『拠点』に住まう人々を守らねばならぬのだ。
「やっと戦争が落ち着いて来たっていうのに『拠点』壊滅とか、懸命に生きている人たちを何だと思っているんだよ!」
彼女は戦闘空母『ネルトリンゲン』の艦橋に座し、己の乗艦した『ネルトリンゲン』を盾にするように『拠点』を覆うのだ。
アポカリプスヘルに生きる人々は明日を生きるのも、今日を生きるのも必死なのだ。
この文明が荒廃した世界にあって、それは懸命であることが常なるものであったし、そうしなければ生きていくことさえ難しいものであった。
だからこそ、理緒は己が守らねばならないと怒りに満ちた瞳をユーベルコードに輝かせる。
「絶対にそんなことさせないし、ぜーったいに許さないから、ねー!」
瞬間、彼女のユーベルコードに輝く瞳から広がるのは、彼女自身の潜在意識。
それを閉じた結界としての心象風景として放出し、空に広がる流星雨の如き『風魔忍法隕石落とし』の前に展開するのだ。
それこそが、偽りの丘(イツワリノオカ)。
生み出された心象風景の中にあって、『風魔忍法隕石落とし』を複製し、『偽物』として生み出す。
しかし、『偽物』であるからといって『本物』に劣るという法則はない。
勝るとも劣らぬ『風魔忍法隕石落とし』の『隕石の弾丸』が拠点を襲わんとしている『クリスタライズ・チャイルド』たちが変じた『隕石弾丸』を次々と叩き落としていくのだ。
しかし、そのユーベルコードは彼女の技量以上の時間を継続することは出来ない。
保って114秒。二分にも満たぬ時間。
けれど、それでも理緒は己の持てる力を持って『風魔忍法隕石落とし』を真っ向から相殺せしめるのだ。
「カウント……! ユーベルコードを解除……! そして『希』ちゃん、全部層のセーフティロックとリミッターの解除!」
理緒のユーベルコードが消失した瞬間、彼女のサポートAIである『希』によってバックグラウンドで実行されていたミサイルランチャーがCIWSモードで起動する。
『ネルトリンゲン』に装備された対空防御システムが起動し、一気に展開するのだ。
「拠点の防御を最優先で目標計算! こっちは沈まなければいいから!」
放たれるミサイルランチャーと対空機銃の砲火。
それらが一斉に『隕石の弾丸』を撃ち落とし、さらに地上に降り立った『クリスタライズ・チャイルド』たちを圧倒する。
電子制御コードや、それらに類する機能など使わせる暇など与えない。
そのためにこれまで『希』にバックグラウンドで指示を出していたのだ。守るためには全てを投げ打つ。
理緒にとって、それは当然のことであった。
「『ネルトリンゲン』の全部をあげるよ。『希』ちゃん、叩き落としてっ!」
理緒の叫びに応えるように『ネルトリンゲン』からの砲火が『風魔忍法隕石落とし』と真っ向からぶつかる。
『拠点』の空には対空砲火と隕石の弾丸が激突し、火球を生み出していく。
人々は見ただろう。
それが願いを掛けるべき流れ星ではなく、己たちを守らんとする理緒の意志の輝きであることを。
誰もが懸命に生きるからこそ、誰かのことを思いやることのできる意志こそが尊ばれるべきである。
理緒は己の駆る戦闘空母を沈めても構わないと思えるほどに、己の力の及ぶ範囲の全ての人々を守らんと、その意志の輝きを瞳に宿す。
それはきっとアポカリプスヘルの明日を明るく照らす輝きであったことだろう――。
大成功
🔵🔵🔵
村崎・ゆかり
『百面鬼』風魔小太郎が今更出てくるなんてね。大人しく骸の海に沈んでればいいものを。
何のために出てきたかは知らない。だけど、ようやく手に入れた平和を乱させはしないわ。
『拠点』を中心に、「全力魔法」風の「属性攻撃」「範囲攻撃」「衝撃波」「破魔」「受け流し」「なぎ払い」の風吼陣。
中心である『拠点』を台風の目として、角度を持って突っ込んでくる隕石を吹き飛ばす。
直上から来る隕石は、九天応元雷声普化天尊玉秘宝経で撃墜。
隕石がオブリビオンに変わっても、風吼陣で攻めるのに変わりはない。
攻防一体のこの絶陣に囚われた以上、もう攻めるも逃げるも叶わないわ。
吹き荒ぶ刃の暴嵐に切り刻まれて、余さず骸の海に還りなさい。
アポカリプスヘルの争乱は険しい戦いであったことは言うまでもない。
けれど、文明が荒廃した世界であっても、そこに生きる人々は明日を願う。より良い明日を。今日よりも良い明日を。
それをくじく者がいるというのであれば、立ち上がるのが猟兵である。
「百面鬼『風魔小太郎』が今更出てくるなんてね。大人しく骸の海に沈んでいればいいものを」
そう忌々しげに呟いたのは、村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》/黒鴉遣い・f01658)であった。
彼女の瞳の先にあるのは『風魔忍法隕石落とし』によって『隕石の弾丸』と化したオブリビオンが降り注ぐ空であった。
流星雨と見間違えるほどの大量の『隕石の弾丸』。
それらが一つでも『拠点(ベース)』に落ちれば、文明の残滓に頼っている『拠点』の防備などあっという間に破壊されてしまうだろう。
そうなってしまえば、『拠点』に生きる人々は明日から夜露を凌ぐことさえできなくなってしまう。
アポカリプス・ランページを終わらせた猟兵達であっても、今を生きる人々全てを救えるわけではない。
だからこそ、この『拠点』を守らねばならないのだ。
「何のために出てきたかは知らない。だけど、ようやく手に入れた平和を乱させはしないわ」
ゆかりは『拠点』を中心に風の力に己の身をみなぎらせ疾走る。
対する『風魔忍法隕石落とし』は凄まじい質量兵器と化したオブリビオン『クリスタライズ・チャイルド』たちをもって人々を巻き込んで猟兵たちを攻撃する。
だからこそ、彼女のユーベルコードは『拠点』を守ることに適していると言えるだろう。
「古の絶陣の一を、我ここに呼び覚まさん。天上までも響き渡る破壊の風よ。その身に宿せし無限の剣刃により触れるもの悉くを裁断せよ。疾!」
放たれるは、風の力にして絶陣。
風吼陣(フウコウジン)と呼ばれる無数の刀剣をはらむ暴風圏を生み出し、『拠点』を台風の目として降り注ぐ『隕石の弾丸』を吹き飛ばすのだ。
暴風圏を形成したゆかりは、あらゆる『隕石の弾丸』を弾き飛ばし、『拠点』に被害の及ばぬ大地へと叩き落された『クリスタライズ・チャイルド』たちを迎え撃つ。
「目標確認。猟兵の存在を感知。プロトコルを実行」
『クリスタライズ・チャイルド』たちの瞳がユーベルコードに輝き、周囲の無機物を殺戮機械群に変形させて、ゆかりへと迫ってくる。
しかし、ゆかりは慌てることなどなかった。
彼女が敷いた絶陣は風吼陣。
何のために『拠点』より離れた場所に敵を弾き飛ばしたと思っているのだろう。
彼女が『拠点』に座す限り。
ユーベルコードの効果が切れぬ限り、この地を守るのはゆかりの生み出したユーベルコードの暴風である。
どれだけ殺戮機械群と共に殺到しようとも、刀剣をはらむ暴風は『クリスタライズ・チャイルド』たちを『拠点』へと一歩も近づかせずに切り刻むのだ。
「攻防一体のこの絶陣に囚われた以上、もう攻めるも逃げるも叶わないわ」
ゆかりの言葉の通りであった。
吹き荒ぶ暴風がはらむ刀剣と共に乱舞し、『クリスタライズ・チャイルド』たちを切り刻み、吹き飛ばしていく。
殺戮機械群すらも寄せ付けぬ凄まじい暴風の結界は、『拠点』を守りながら同時に迫るオブリビオンの群れすらも駆逐する。
『拠点』の外は暴風荒れ狂う大地。
されど、『拠点』の中は無風の如く静かなものであった。
徒に戦いの気配を人々に感じさせることはない。ゆかりは、取り戻したであろう平和な明日を彼らの手から取り上げることはできやしないと『拠点』に座す。
「吹き荒ぶ刃の暴風に切り刻まれて、余さず骸の海に還りなさい。どのような生まれ、経緯があろうとも、今を生きる人々を傷つけてよい理由など何処にもないのだから」
ゆかりの言葉と共にユーベルコードの輝きが増していく。
そう、アポカリプスヘルに生きる人々は懸命に生きているのだ。
それを脅かすものがあってはならない。
ゆかりは絶陣の風が荒ぶ中に一歩を踏み出す。この嵐の先にこそ、己が打倒すべき百面鬼『風魔小太郎』が存在している。
嵐が切り拓いた道を走り、ゆかりは荒野に座すであろう、今回の事件の首謀者にして、新たなる争乱の種を撒こうとする存在へと迫るのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ステラ・リデル
風魔小太郎にドクター・オロチですか。
滅ぼしたはずの彼等が出現する理由を知りたいところですが……
今はまず目先の脅威を取り除きましょう。
『魔力解放Ⅲ』を発動。中空に浮かび、百を超える魔法陣を空に展開。
その一つ一つから放たれる千を超える魔力弾、総数十万発以上を以て、降り注ぐ隕石の弾丸を迎撃、破壊していきます。
隕石の弾丸化、強力ではありますが、空から来ると分かっていれば対処は容易い。あれだけの数のオブリビオンを用意できるのであれば、素直に多方面から物量で攻めてきた方が有効だったでしょう。
流星雨の如く降りしきる『風魔忍法隕石落とし』によって『隕石の弾丸』に変貌したオブリビオン『クリスタライズ・チャイルド』たち。
彼女たちに意志はあってないようなものであった。
ただ敵を殲滅する。
ただ『拠点(ベース)』を滅ぼす。
そのためだけに彼女たちは行動していたのだ。
「目標を視認。『風魔忍法』の解除と共に人類の鏖殺を開始します」
彼女たちは、元は観賞用のフラスコチャイルドであった。
ただ生み出され、鑑賞されるだけの存在。そこに生命の意義を見出すこともできず、ただ消耗していくだけの生命。
彼女たちの嘆きはない。
あるのはオブリビオンとして歪んだ存在であること。
そして、己の生命維持装置すらもかなぐり捨てて、命令を実行するためだけの存在に成り果てたという事実だけであった。
「百面鬼『風魔小太郎』に『ドクター・オロチ』ですか」
ステラ・リデル(ウルブス・ノウムの管理者・f13273)は破滅の流星雨を前にしても怯むこと無く立ちふさがる猟兵の一人であった。
彼女が見た予兆。
それは『ドクター・オロチ』によって復活させられ、彼の信義によって奔走する百面鬼『風魔小太郎』の姿であった。
嘗て滅ぼしたはずのオブリビオン。
彼らが何を目的にしているのかは未だわからぬことであった。
「滅ぼしたはずの彼らが出現する理由を知りたいところですが……今はまず目先の脅威を取り除きましょう」
彼女の瞳がユーベルコードに輝く。
魔力解放 Ⅲ(フルバースト)によって、彼女が空へと飛び立つ。
真っ向から流星雨のように降り注ぐ『クリスタライズ・チャイルド』たちに迫るのだ。
同時に空に浮かぶは百を超える魔法陣。
展開された魔法陣が次々と光を湛えていく。彼女のユーベルコードは展開した魔法陣より放たれる千を越える魔弾は、『風魔忍法隕石落とし』により放たれた『隕石の弾丸』よりも圧倒的な物量で以て空を染め上げていく。
魔法陣の一つから放たれる魔弾は千。
その魔法陣が百を超えているのだ。総数にして数十万発。
弾幕と呼ぶにはあまりにも圧倒的な物量。
これだけの魔力を要するのはステラであるからこそできる芸当であったことだろう。放たれる魔弾が次々と『隕石の弾丸』を打ち砕き、空より飛来するのを迎撃していく。
「確かに『風魔忍法隕石落とし』……オブリビオンを『隕石の弾丸』と化す力は強力でありますが……」
ステラは魔法陣を手繰り寄せる。
どれだけ強力な攻撃であろうと空より来るとわかるのであれば、それを迎撃することは容易い。
特に物量でこちらを圧しようというのであればなおさらである。
ステラにとって物量とは意味をなさないものである。こちらもまた無尽蔵なる魔力に寄って物量をもって的に相対することがでkるのだから。
「とはいえ、あれだけの数のオブリビオンを用意できるのであれば、素直に多方面から物量で攻めてきたほうが有効だったでしょう」
そう、例えば空と地上からの同時侵攻。
もしも、百面鬼『風魔小太郎』が全ての配下オブリビオンを『隕石の弾丸』へと変えず、地上よりもオブリビオンを放ったのであれば、猟兵は地上と空を同時に相手をしなければならず、手が回らなかったことだろう。
『拠点』を破壊するという目的だけであれば、それで事足りたのだ。
けれど、『風魔小太郎』はそれをしなかった。
「己の『風魔忍法』への過度な自信……それゆえに『隕石落とし』に頼り切ってしまう。それが敗因でしょうね」
撃ち落とされた『隕石の弾丸』と化した『クリスタライズ・チャイルド』たちが大地にて再び元の姿を取り戻して地上より侵攻しようとするがもう遅い。
魔法陣が空より煌めく。
「地上を這うのであれば、空より己たちがまた狙われるということも考えておかねば……こうなるのです」
滅びなさい、と短く告げたステラの展開した魔法陣より放たれる数千の魔弾が『クリスタライズ・チャイルド』たちを撃ち貫き、その生命維持装置を砕き、霧散させていくのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
火土金水・明
「残った隕石群をできる限り迎撃して、元の形状になったオブリビオン達も確実に倒しましょうか。」
【WIZ】で攻撃です。
攻撃は、【対空戦闘】で【継続ダメージ】と【鎧無視攻撃】と【貫通攻撃】を付け【フェイント】を絡めた【全力魔法】の【ホーリーランス】を【範囲攻撃】にして、『クリスタライズ・チャイルド』達を纏めて【2回攻撃】します(1回目で隕石の弾丸を、2回目で元の形状になったオブリビオンを攻撃します)。相手の攻撃に関しては【残像】【オーラ防御】で、ダメージの軽減を試みます。
「(攻撃を回避したら)残念、それは残像です。」「少しでもダメージを与えて次の方に。」
アドリブや他の方との絡み等はお任せします。
猟兵達は守らねばならぬものが多い。
当然のことであろう。世界を守ることと人々をオブリビオンの脅威から守ることはいつだってイコールで結ばれている。
彼らを救うことがひいては世界のためになる。
それがアポカリプスヘルのような荒廃した世界であればなおのことである。
この世界に生きる人々は凄惨なる思いをしてなお、明日を求めた。
文明が荒廃し、生きるのも難しい日々にあって、それでも明日を欲したのだ。
ならばこそ、百面鬼『風魔小太郎』の放つ『風魔忍法隕石落とし』は確実に防がねばならない。
この『隕石の弾丸』と化したオブリビオンたちの猛攻は未だ続いている。
流星雨の如く放たれる『隕石の弾丸』はそれ一つ一つがオブリビオンが姿を変えたものである。
隕石となって降り落ちる衝撃は文明の残滓である『拠点(ベース)』に降り落ちれば、灰燼に帰すことなど容易いだろう。
しかし、駆けつけた猟兵達によって、それは阻止されつつ在る。それでもなお迫る猛攻は未だ止まない。
「残った隕石群をできる限り迎撃して、元の形状になったオブリビオン達も確実に倒しましょうか」
火土金水・明(夜闇のウィザード・f01561)の瞳がユーベルコードに輝く。
彼女の手にあるのは聖なる槍。
「悪しきものを貫きし槍を」
掲げるはユーベルコードの輝きに満ちたホーリーランス。それらが千を越える槍を生み出し、明の手より放たれる。
空より迫る『隕石の弾丸』と化した『クリスタライズ・チャイルド』たちを一瞬で迎撃する飛翔する聖なる槍は、地上に迫る隕石の全てを撃ち滅ぼしていく。
だが、それは敵の第一波を防いだだけに過ぎない。
『風魔忍法隕石落とし』の恐ろしいところは此処からである。
たとえ『隕石の弾丸』を迎撃したとしても、その状態を解除されたオブリビオンたちが群れを為して『拠点』へと迫るのだ。
撃ち漏らせば『隕石の弾丸』により甚大なる被害。
討ち果たしたとしても、即座に元の姿に戻ったオブリビオンによる強襲が始まる。
二段構えの攻勢。
「ですが、それは手の内を知らぬのならばこそ。すでに手の内を知っている私達には通じぬ戦術であると知りなさい」
輝くホーリーランスの一撃が幾何学模様を描き複雑に飛翔し、『クリスタライズ・チャイルド』を貫くのだ。
「目標の戦力を見誤りました。しかし撤退など無意味。我らができることは突貫のみ」
迫る『クリスタライズ・チャイルド』たちは生命維持装置を犠牲にしても明へと突貫してくる。
それは自暴自棄というよりも、そうせざるを得ないからこその突撃であったことだろう。
どちらにせよ、生命維持装置を犠牲にして外へと飛び出した彼女たちに待つのは確実なる死である。
だからこそ、彼女たちは『拠点』へと殺到するのだ。
悪しき産物。
ただ鑑賞するためだけに創造された生命。その生命の慟哭の如き咆哮と共に大地を疾駆する『クリスタライズ・チャイルド』たちを一人たりとて『拠点』に入れさせるわけには行かない。
空に煌めくユーベルコードに寄って生み出された聖なる槍が大地に穿たれる。
それはまるで一歩も進ませぬと言うかのように柵のように打ち込まれ、彼女たちの動きを止める。
明の手が掲げられる。
其処に在ったのは、滅びの光。
空を埋め尽くす千に及ぶ聖なる槍が雨のように『クリスタライズ・チャイルド』たちの過去に歪んだ生命を終わらせるように幾何学模様が描かれ、彼女たちを霧消させるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
柊・はとり
先週フルスロットルを倒した俺は
帰国し都内の拠点で暫く休息する筈だった
急に戦国武将がすぐ近所へ乗り込んでくるなんて事あるか?
空気読めんのかこいつら
ま、まあいい…よくはないが
わざわざ俺がいる日本に来た事を後悔させてやる
今俺が受けている苦痛は言い表し難い
【第五の殺人】使うか…
地上には行かせない
偽翼で空中浮遊し上空で隕石を迎撃
封印を解除し近くの隕石や敵は直接切断
遠くの物には斬撃波を飛ばし対応
破片が無害化する程度に細かく粉砕する
偽神兵器へのハッキングは無理だろ
こいつの動力は電気じゃないんでね
コレは俺の苦痛にしか興味がない
…ほら
今だってえらく嬉しそうだ
まさかこれも俺が呪われてるせい…
いや…
考えるのはよそう
アポカリプスヘルにおける大きな戦いは終わった。
アメリカ大陸を巻き込んだアポカリプス・ランページという巨大な事件は終わりを迎え、柊・はとり(死に損ないのニケ・f25213)はアポカリプスヘルに存在する日本――嘗ての都内での拠点でしばらくの休息を得るために一時戻っていた。
しかし、いつだってそうだけれど、探偵に安息などない。
あるのは事件ばかりである。
歩み続ける限り、はとりの前には事件が転がり出てくる。
望むと望まざると、彼の道行きとはそういうものであったのだろう。これまでも。これからも。
「空気読めんのかこいつら」
思わずそう言葉にしてしまうほどであった。
北関東荒野に突如として現れたという戦国武将の如きオブリビオン、百面鬼『風魔小太郎』。
彼が齎すのは天よりの厄災たる『風魔忍法隕石落とし』である。
オブリビオンを『隕石の弾丸』として放つユーベルコードを受けては『拠点(ベース)』などひとたまりもない。
未だ文明の再興は成らず。嘗ての文明の残滓を利用して生活する人々の生命が今脅かされているのだと言われれば、はとりは見てみぬ振りができるわけもなかった。
「ま、まあいい……よくはないが。わざわざ俺がいる日本に来た事を後悔させてやる」
彼の胸の内は言い難い苦痛に苛まれている。
またかという思いが渦巻いている。いつだって己の前にはトラブルが舞い込む。避けて進むもうとすれば、もっとひどいことになることはもう経験則で知っていることだった。
ならば、避けるよりも突き進んだ方がまだ幾分ましであることもまた悲しいかな、知っていることであった。
思い出すのは、第五の殺人『吉報岬』(キッポウミサキノサツジン)。
あの事件を思い出す度に、こんな思いをしなければならない。
手にした偽神兵器『コキュートス』が笑ったような気がした。
はとりの苦痛をエネルギーに変換するバグ。
それによって彼の力は増大していくのは皮肉以外の何物でもなかった。
氷の偽翼が羽ばたき、空へと一瞬で飛び上がるはとりは流星雨の如く降りしきる『隕石の弾丸』と化した『クリスタライズ・チャイルド』たちをねめつける。
手にした『コキュートス』を握りしめる度に、心の中に苦痛が満ちていくのを感じていた。
「ほんと……最低な気分だ」
封印を解除した『コキュートス』の刀身でもって一気に『隕石の弾丸』を切り裂く。
振り抜いた刀身が放つ衝撃波が『隕石の弾丸』の群れを撃ち落としていく。
だが、『風魔忍法隕石落とし』は此処からが本番である。
「『隕石の弾丸』を破壊しても、元のオブリビオンの姿に戻るだけか……こっちの手数だけ消耗させて、自分たちは目的を達成する……ほんとに最低だな!」
はとりの瞳がユーベルコードに輝く。
氷の偽翼を羽撃かせ、一瞬で大地に飛び込む。
『クリスタライズ・チャイルド』たちは、己の偽神兵器をハッキングしようとするだろう。そうするしかない。
こちらの猛攻を止めるためには、それしか手段がないのだから。
けれど、彼女たちが操ることができるのは電気を動力にしているものだけだ。
偽神兵器たる『コキュートス』は、電力を動力にしていない。
「こいつのハッキングは無理だろ。コレは俺の苦痛にしか興味がない」
きしむ心がある。
どこまで行っても平穏などないのだと。
あるのは修羅の如き茨の道しかないのだと。その道を己の担い手が征くことをこそ望むのが『コキュートス』である。
その苦痛を甘露として味わうために彼の運命が過酷なものであるのならばこそ、『コキュートス』は――。
「――……ほら、今だってえらく嬉しそうだ」
そう、笑う。
その苦痛を贄として力を増幅した斬撃の一撃が『クリスタライズ・チャイルド』たちを切り裂く。
ただの一体ですら『拠点』には向かわせはしないと、はとりはユーベルコードに輝く瞳を伏せ、霧消する『クリスタライズ・チャイルド』たちに背をむけ、新たなる敵を求めてひた走る。
「まさかこれも俺が呪われているせい……」
この現状がもしも己の存在にあるのだとしたら。
偶然だろうか、必然だろうか。
はとりは、今は考えることをやめる。考えても詮無きことである。彼がひた走るのは探偵の道程である。
ならば、そこに事件ありきであることなど最早言うまでもないのだから――。
大成功
🔵🔵🔵
ラブリー・ラビットクロー
やっと帰ってきたのに今度はなんなんな?
日本が襲われてるんだ?
らぶのショーバイの邪魔して許さないんだぞ
【通信電波を受信しました】
『本日ハ晴天ナリ。本日ハ晴天ナリ。お前達のアメリカでの活躍見てたぜ。セカイを取り返すんだろ?協力させてくれよ』
【多数の車輌を感知しました。味方の増援です】
皆が駆けつけてくれたんだ!
ここでも一緒に戦ってくれる仲間がいる!
セカイのみんなと一緒ならゼッタイ負ける訳がねーのんな!
味方の戦車が隕石を撃ち落とそうとしてくれる
それなららぶは落ちてきた敵をぶっ飛ばしちゃうぞ
幾ら頑丈な機械だって
らぶのバットで殴ればボコボコなんなんな!
もう耐えるだけの日は終わり
ヒトの反撃の始まりなん!
アポカリプス・ランページから数日も経たずにアポカリプスヘルに訪れた戦乱の火種。
それは嘗て滅ぼしたはずのオブリビオン、百面鬼『風魔小太郎』による『風魔忍法隕石落とし』の敢行であった。
文明の残滓を拠り所として人々が集まる『拠点(ベース)』にとって、『隕石の弾丸』は言うまでもなく脅威である。
一撃でも打ち込まれてしまえば、明日を生きることすらも難しくなってしまう。同時に、これを迎撃せしめたとしても『隕石の弾丸』から元の姿に戻ったオブリビオンたちによる強襲でもって虐殺が起こることなど言うまでもない。
『風魔忍法隕石落とし』とはすなわち二段構えの攻勢。
猟兵たちが『拠点』を守ることまで勘定に入れた作戦である。百面鬼『風魔小太郎』の悪辣さは言うまでもない。
だからこそ、ラブリー・ラビットクロー(とオフライン非通信端末【ビッグマザー】・f26591)は憤慨していた。
「やっと帰ってきたのに今度はなんなんな? 日本が襲われているんだぞ?」
やっとである。
そう、やっとの思いでアポカリプス・ランページを制し、アポカリプスヘルにも希望の持てる明日がつかめるという段階まで来たというのに、オブリビオンはその小さな芽すら踏み潰そうとする。
そんなことなどラブリーには到底許容できるものではなかった。
大ショーニンになるというユメを叶えるためにラブリーはこれまで邁進してきた。だというのに、これではそのユメが遠のいてしまうではないか。
「らぶのショーバイの邪魔して許さないんだぞ!」
キー! と金切り声を挙げたく為るのをぐっと堪える。
ラブリーはこれまでの戦いで大きく成長しているのだ。癇癪を起こしたって何も始まらない。
何かを始めるためにはいつだって行動するしか無いのだ。
一歩を踏み出さなければ、頭上に迫る『隕石の弾丸』すら撃ち落とすことができないことをラブリーは知っている。
手にした金属バットを彼女が握りしめた瞬間、『非通信端末ビッグマザー』の音声が鳴り響く。
【通信電波を受信しました】
それは本来ならありえないことであった。
だが、現実だ。
the force of September(アポカリプス・ナイン)。
ラブリーが世界を奪還したいと願うのと同じ様に、今世界には彼女と思いを同じにする者たちが芽吹いている。
それを証明するようにラブリーの瞳に映るのは『ビッグマザー』が繋いだ音声の主たちであった。
『本日ハ晴天ナリ。本日ハ晴天ナリ。お前達のアメリカでの活躍見てたぜ。セカイを取り返すんだろ? 強力させてくれよ』
それはアポカリプス・ランページで猟兵たちが、ラブリーたちが奮戦した光景をソーシャル・ネットワークを介して知った日本の北関東荒野に存在する『拠点』に住まう人々が車両によって今まさに暴威に襲われんとする『拠点』を守るために駆けつけた奇跡のような光景であった。
ラブリーの瞳にあったのはユーベルコードの輝きではなかった。
そこにあったのは、確かにセカイを取り戻したいという思いを同じにする者達の姿。その瞳に輝く明日を望む希望の光そのものであった。
【多数の車両を感知しました。味方の増援です】
その車両の数は要として知れず。
けれど、言えることは一つだけある。彼らの助力を得たラブリーは金属バットを空へと向けるのだ。
「皆駆けつけてくれたんだ! ここでも一緒に戦ってくれる仲間がいる! セカイのみんなと一緒ならゼッタイ負ける訳がねーのんな!」
まるで場外ホームランを予告するようにラブリーが迫る『隕石の弾丸』に金属バットを向けた瞬間、周囲に集まった車両から次々と放たれる砲火。
これまで扱うこともできなかった多くの戦車車両たち。
それを人々が戦う意志でおって集まったことにより、『隕石の弾丸』すらも迎撃せしめる戦力へと変わるのだ。
撃ち落とされた『隕石の弾丸』が元のオブリビオンの姿――『クリスタライズ・チャイルド』となって地上をひた走る。
周囲の無機物を殺戮機械群へと変え、地上を這う戦車車両を排除せんと迫るのだ。
だが、それをさせぬのが猟兵であるラブリーである。
「幾ら頑丈な機械だって――」
振りかぶった金属バット。
煌めくのは重たい一撃の一閃であった。鈍い音を立てて『クリスタライズ・チャイルド』たちが打ちのめされる。
「――らぶのバットで殴ればボコボコなんなんな!」
勢いよくラブリーが叫ぶ。
それは鬨の声のようであった。ラブリーは一人で戦っているわけではない。そう、セカイを救う、取り返すために集まった仲間。
彼らの存在がラブリーの背中を押す。
「もう耐えるだけの日は終わり。ヒトの反撃の始まりなん!」
叫ぶ声は、伝播していくのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
佐伯・晶
人質取るような事するなんて
厄介な相手だね
さて、ガトリングガンで迎撃できるかな
数が多そうですの
手伝って差し上げますの
静寂領域を使用して降り注ぐ隕石達の時間を停めますの
今のうちに引き摺り下ろしてしまえばいいですの
魂胆は何となく読めたけど
拠点や僕に害がある訳じゃないからいいか
停まってる隕石をワイヤーガンで引き寄せ
地面に下ろしてしまおう
皆様が隕石から戻ったら
もう一仕事ですの
神気でクリスタルの彫像に変えて差し上げますの
皆様の美貌が戦いで失われるのは忍びないですの
まあ、そんな所だろうと思ったよ
神気を回避する事は至難だろうから
悪足掻きするのがいたら
ガトリングガンで機械を潰そうか
残念ながら電子化はされてないよ
『風魔忍法隕石落とし』――それは空から降りしきる『隕石の弾丸』と、たとえそれを防いだとしても地上にてオブリビオンの姿を取り戻した配下たちによる強襲の二段構えであった。
猟兵たちにとって『拠点(ベース)』とは護るべき対象である。
同時に文明の残滓に頼らざるを得ないアポカリプスヘルの人々にとっては寄す処そのもの。失ってしまえば明日を生きることさえ難しくなる。
それは言わばオブリビオンにとっての人質と同じであった。
降りしきりる『隕石の弾丸』を防がねば『拠点』と猟兵に甚大なる被害が。
仮に防いだとしても、元の姿を取り戻したオブリビオンによる人々の鏖殺が始まってしまえば、猟兵たちの戦いは敗北となる。
「人質取るような事するなんて厄介な相手だね」
佐伯・晶(邪神(仮)・f19507)は思わずうめいていた。
晶の言葉の通りであったからだ。猟兵たちにとっては護るものが2つある上に、『隕石の弾丸』の迎撃に力を裂きすぎれば地上を往くオブリビオンの侵攻を防ぎきれない。
構えたガトリングガンで『隕石の弾丸』を撃ち落とすのは難しい。
そもそも弾丸の大きさが違うのだ。
迫りくる『隕石の弾丸』を見上げ、晶はどうするべきかと考えた時、晶の体のうちに存在する邪神が囁く。
「数が多そうですの。手伝って差し上げますの」
その瞳がユーベルコードに輝く。
それは静寂領域(サイレント・スフィア)。邪神の権能にして、力の一端。
戦場を神域に似た艦橋に変化させ、虚空より森羅万象に停滞を齎す神気を放出するのだ。
「さあ、皆様を優しい微睡みにご招待致しますの」
囁く邪神。
彼女の狙いを晶は理解していた。いや、魂胆が読めたと言った方が正しいだろう。
「今のうちに引きずり下ろしてしまえばいいですの」
にこやかに微笑む邪神。
彼女のユーベルコードに寄って停滞した時は『隕石の弾丸』にさえ作用するだろう。
空中で停滞し、いつまでも地表に激突しないオブリビオンが変じた『隕石の弾丸』。それらを晶はワイヤーガンを撃ち放ち、引き寄せて大地に引きずり下ろす。
これで落下時の地表や『拠点』へのダメージは無いに等しい。
「後は、オブリビオンに戻った所を……」
晶がガトリングガンを構えるのを邪神が制する。あ、やっぱりと晶は思ったことだろう。
邪神の目的は観賞用に創造されたというフラスコチャイルドがオブリビオンへと変じた『クリスタライズ・チャイルド』たちにこそあったのだ。
神気で元の姿に戻った『クリスタライズ・チャイルド』たちを彫像へと変えていく。邪神の価値観から行けば、『クリスタライズ・チャイルド』たちは損なわれては成らぬ美貌であるというのだ。
晶には理解できないことであったが、それでも、どうせそんな所であっただろうと予測はしていたのだ。
「まあ、そんなところだろうと思ったよ。でもね」
詰めが甘い。
そういうように晶は彫像化を逃れた『クリスタライズ・チャイルド』たちをガトリングガンで打ちのめし、霧消させる。
彼女たちがどれだけ電気動力の機械を操る術を保っていたとしても、晶が手繰るガトリングガンは電子制御されているわけではない。
「悪足掻きは悪くないと思うけれど……けれど、それでも明日を生きようとする人々の邪魔はしてほしくないかな」
晶はガトリングガンの弾丸を放ち、次々とオブリビオンの姿を取り戻した『クリスタライズ・チャイルド』たちを打倒していく。
そんな最中、邪神だけが一人晶の所業にぶーぶーとブーイングを鳴らす。
「晶、そんなにやたらと彼女たちの美しさを、美貌を残ってはなりませんの」
知らないよ、そんなこと、と晶は取り合わず邪神のブーイングをかき消すようにガトリングガンの咆哮を轟かせるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!
~~~♪♪~~~~♪
[ラジオ]からさっきの戦争で聞いて以来すっかりお気に入りになったソーシャルディーヴァの放送を聞きながら
んもー
そりゃ残機制はオブリビオンの専売特許だけどさー
一度コテンパンにやられたのにまたなんてしつこーい!
●隕石対策
上から来るんなら上等だね!
普段なかなか遊ばせてあげられない子たちを[神様の影]から呼び出そう!
空を覆い尽くすくらいの超極大サイズの[餓鬼球]くんたちをポンと出してガブーッ!
ボク自身は勘【第六感】で食べ漏らしの子が落ちてくるところにダッシュして…動き出しっ端をUC『神撃』でドーーンッ!!
(ナデナデ)よしよし…美味しかった?ならよかった!
世界に歌声が聞こえる。
それはいかなる歌声であったことだろうか。
かつて文明が栄えし頃の残滓であったことは言うまでもない。ここは荒廃した世界アポカリプスヘルである。
すでに文明の繁栄はなく。
衰退と荒廃だけが支配する世界である。だが、そんな世界にあっても人々は明日を求める。
そのソーシャル・ネットワークの電波、ラジオから聞こえる歌声を耳にしたロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)はどこか上機嫌であった。
アポカリプス・ランページと呼ばれる大きな戦いの最中に聞いて以来すっかりお気に入り成ったソーシャルディーヴァの歌声、その包装を聞きながら彼は鼻歌さえ奏でながら荒廃した荒野を往く。
ここは日本の北関東荒野。
アポカリプス・ランページの舞台がアメリカ大陸であったことから、何故この日本の大地がオブリビオンの標的になったのか、その理由は未だ判っていない。
けれど、復活したオブリビオン、かつての強敵である百面鬼『風魔小太郎』の放つ『風魔忍法隕石落とし』の恐ろしさは言うまでもない。
『隕石の弾丸』と化したオブリビオンを空より放つ戦術。
たとえ、降りしきる『隕石の弾丸』の迎撃に成功したとしても、術が解け、元のオブリビオンの姿に戻った配下たちによる地上よりの強襲が人々を鏖殺するだろう。
「んもー、そりゃ残機制はオブリビオンの専売特許だけどさー」
ロニは忸怩たる思いであったことだろう。
いや、それすらも気に留めていなかったのかも知れない。
彼にとって、それは些細なことである。
ただ、オブリビオンが過去の化身であり、骸の海より滲み出る存在である以上、再び世界に姿を顕すのはあまりにも、そう、あまりにも。
「一度コテンパンにやられたのにまたなんてしつこーい!」
とは言え、ロニはやらねばならないことを理解している。
空より降りしきる『隕石の弾丸』があるというのならば、上等である。
彼の影から現れたのは普段中々お呼びをかけることのない超極大サイズの『餓鬼球』たちを呼び出す。
「さあ、『餓鬼球』くんたち、ぽんと言ってガブーッ! って感じでよろしく!」
そう呼びかけられた極大の『餓鬼球』たちが空へと飛び上がる。
空を覆い尽くすほどの数でもって降りしきる『隕石の弾丸』をまるごと飲み込んでいく『餓鬼球』たち。
それは空を蹂躙するかの如き所業であったし、ロニは地上に悠然と立ち、ラジオから流れてくるソーシャルディーヴァの歌声を聞く。
空では『隕石の弾丸』を喰らう球体たちの乱舞。
これで何か伴奏がつけられたのならば、それは文明の繁栄を示すものであったことだろう。
けれど、未だ文明の復興は相成らず。
その兆しこそが、このラジオの電波に乗って流れてくる歌声なのだろう。
ならばこそ、これを希望としないでなんとするだろう。
『餓鬼球』たちに食いこぼされた『隕石の弾丸』が地表に迫るのを見たロニは一気に大地を疾駆し、それを蹴り飛ばす。
しかし、迎撃したとしても『隕石の弾丸』は元のオブリビオンの姿を取り戻す。
『クリスタライズ・チャイルド』としての姿を取り戻したオブリビオンが生命維持装置から次々と殺戮機械群を生み出し、ロニにけしかけるのだ。
しかし、それすら無意味であるというようにロニは己の拳を振り上げる。
「どーんっ!ボクを崇めてもいいんだよ!神様だからね!」
叩き込まれる神撃(ゴッドブロー)が、殺戮機械群を吹き飛ばし、信心無きフラスコチャイルドにすら神々しさを感じさせる拳の一撃を見舞う。
それは生命維持装置をも砕き、『クリスタライズ・チャイルド』を霧消する。
凄まじき一撃は周囲の地形すらも砕くほどの一撃となって大地を砕きながら、それでも『隕石の弾丸』を食らい付くした『餓鬼球』たちを出迎え、ロニは笑うのだ。
「よしよし……美味しかった? ならよかった!」
無邪気に笑いながら、ロニは『餓鬼球』たちを撫でながら己の影へとしまう。
どれだけ文明が荒廃しても、どれだけ衰退しても、いつだって人の文明の火は消えることはない。
途切れてしまうことがあったのだとしても、紡ぎ、継ぎ続いていく。
それを識るからこそ、ロニは今もソーシャルディーヴァの歌声に耳を傾けるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
トリテレイア・ゼロナイン
この光景も【エンパイアウォー】以来ですね
嘗ては幕府軍が標的でしたが、此度は無辜の人々が暮らす『拠点』…騎士としてなおさら看過は出来ません
嘗てと同じく、打ち砕くといたしましょう
UCを装着し上空へ●推力移動で飛翔
マルチセンサーでの情報収集と瞬間思考力で隕石の軌道を●見切り
対艦砲の乱れ撃ちスナイパー射撃で片端から撃墜
隕石の迎撃など私の故郷では日常茶飯事にして生存の為の前提条件
紛い物など一つも地上の人々に辿り着かせはしません
…空中で散花して頂きます!
●継戦能力重視の為に冷却中の対艦砲をマウントし、剣と盾を抜き放ち
隕石から元の形状に戻ったチャイルド達を無機物が無い空中で強襲
UCの加速力を活かし近接攻撃
嘗て在りし大戦。
エンパイアウォー。この文明が荒廃した世界アポカリプスヘルではなく、戦国の世が続くサムライエンパイアにおける戦いでもトリテレイア・ゼロナイン(「誰かの為」の機械騎士・f04141)は、同じ光景を見上げていた。
空を埋め尽くす『隕石の弾丸』たち。
配下オブリビオンたちを『隕石の弾丸』へと変異せしめ、空より全てを灰燼に帰す力。
その名をトリテレイアは知っている。
『風魔忍法隕石落とし』。
凄まじい力であることなど百も承知である。
「嘗ては幕府軍が標的でしたが、此度は無辜の人々が暮らす『拠点(ベース)』……騎士としてなおさら看過は出来ません」
トリテレイアは戦機猟兵用全環境機動型大型標的攻撃試作装備(プロトマルチアームドフォート・イェーガーカスタム)を装着し、大型化した背部ブースターをもって空へと飛び上がる。
馬上槍のごときビーム砲を携えた彼はまさに空を自在に駆け抜ける騎士そのものであった。
あらゆる艦橋に適応するスラスターが『隕石の弾丸』迫る空へと飛び立てば、万に一つもありえぬというように彼の騎士としての矜持が空を席巻するのだ。
「嘗てと同じく、打ち砕くといたしましょう」
マルチセンサーで空より飛来する『隕石の弾丸』のをロックしたトリテレイアは、その落下起動を読み切って馬上槍の如きビーム砲から光条を迸らせる。
背部ブースターに装備されたあらゆる武装と共に降りしきる『隕石の弾丸』を次々に撃ち落としていく。
「隕石の迎撃など私の故郷では日常茶飯事にして生存のための前提条件」
銀河の海を征くスペースシップワールドにおいて、それは確かにそのとおりであったのだろう。
発展した科学技術があるからこそなせる業である。
だからこそ、それだけの技術を生み出す可能性があるのが人。アポカリプスヘルに置いても、それは変わることはない。
いつだって人は己たちの足で困難を乗り越えていけるのだ。
今はまだその萌芽でしかないのかもしれない。
それでもトリテレイアはアポカリプスヘルの人々が己たちの力で文明を復興することができると信じている。
「だからこそ、紛い物など一つも地上の人々にたどり着かせはしません……空中で散華していただきます!」
放つビームの光条が次々と『隕石の弾丸』と化した『クリスタライズ・チャイルド』たちを討滅していく。
しかし、その砲撃は何度も行えるわけではない。
大出力のビーム砲は冷却の時間を必要とする。冷却時間を考慮し、トリテレイアはマウントしたまま剣と立てを抜き放つ。
すでに多くの猟兵たちの活躍も在って、『隕石の弾丸』は全てが迎撃されつくしている。
ならば、後は地上にて元の姿へと戻った『クリスタライズ・チャイルド』たちの打倒をもって、この人々の安寧を損なう攻撃を相対するのみである。
「目標確認。猟兵……障害の排除を」
『クリスタライズ・チャイルド』たちが放つ無機物を変性させた殺戮機械群がトリテレイアを襲う。
しかし、トリテレイアにとってそれは無意味なことであった。
『クリスタライズ・チャイルド』たちの優位性は『風魔忍法隕石落とし』があればこそである。
それがない今、トリテレイアを圧倒することなど不可能。
背面ブースターとスラスターによる圧倒的な高機動形態に至った彼を止める術など『クリスタライズ・チャイルド』たちにないのだ。
「造られた存在。その存在意義を問うことはいたしません。ですが……!」
人々の生活を脅かす存在であるというのならば容赦はない。
そこにあるのは人々の敵を穿つ騎士としての矜持のみ。振るう剣が凄まじい三次元機動から放たれ、次々と『クリスタライズ・チャイルド』たちの体を斬り裂き、霧消させていく。
どれだけ脅威が迫ろうとも、トリテレイアは人々を護る騎士。
その盾としての在り方を知らしめるように荒野に残る敵を凄まじい加速と共に掃討せしめるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『百面鬼『風魔小太郎』』
|
POW : 風魔忍法『風魔面』
自身の【身に着けた『面』】を代償に、【召喚した風魔忍者の軍勢】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【忍者刀と手裏剣】で戦う。
SPD : 風魔忍法『六道阿修羅面』
自身の【髑髏の面の瞳】が輝く間、【六本の腕から繰り出す忍具や格闘】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
WIZ : 風魔忍法『死鬼封神面』
【歴代風魔小太郎たち】の霊を召喚する。これは【極めて俊敏な身体能力を持ち、手裏剣】や【鎖鎌】で攻撃する能力を持つ。
イラスト:カス
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
百面鬼『風魔小太郎』は、何かを探していた。
何か、とは猟兵たちの与り知らぬものであったが、彼にとってそれは些細なことであった。猟兵たちが己の目的を知ったところで、できることは己を打倒することだけである。
「やはり『風魔忍法隕石落とし』は破られるか。とは言え……打つ手がなくなったわけではない。『風魔忍法忍者屋敷』……!」
迫る猟兵たちの姿を認識した百面鬼『風魔小太郎』の周囲に広がっていくのは、奇異なる光景であった。
アポカリプスヘルの荒野にありながら、彼を包み込んでいくのはサムライエンパイアにおける『忍者屋敷』の様相であった。
一歩を踏み出せば、そこはあらゆる罠が存在する『忍者屋敷』。
「これぞ『風魔忍法忍者屋敷』。この領域こそが我が忍びの業を駆使するに相応しい場所。猟兵共よ、ゆめゆめ忘れるな。これが忍びの戦いである」
笑う百面鬼『風魔小太郎』。
彼が潜む『忍者屋敷』は、彼の技量と相まって凄まじい罠となって猟兵たちを襲うだろう。
落とし穴、裏返る壁、ブービートラップ、床から競り上がる竹槍、天井から落ちる槍、毒矢を飛ばす装置などなど、枚挙に暇がない。
それほどまでに罠が満載された『忍者屋敷』の中で百面鬼『風魔小太郎』と相対するのは分が悪いと言わざるを得ない。
けれど、それらの全てを踏破し、彼を打倒しなければ彼の目的を止めることはできない。失敗すれば後に起こるであろう未曾有の厄災が再び人々に降りかかる。
それだけはさせてはならぬと猟兵達は百面鬼『風魔小太郎』との決戦のために、敢えて敵地へと踏み込むのであった――。
村崎・ゆかり
目には目を。忍者には忍者を。
アヤメ、ここに仕掛けられた罠、解除しながら進める?
どうあっても駄目なら、力押しで進むけど。
アヤメの指示を聞きながら、慎重に前進、最奥部へ。
あなたとは初めましてね、『風魔小太郎』。
わざわざ骸の海から蘇ったところで悪いけど、また蹴り落とさせてもらうわ。
薙刀で「なぎ払い」「串刺し」にして、風魔の身体に傷を刻んでいくわ。
アヤメもクナイでの援護よろしく。
攻撃回数が厄介ね。慎重に薙刀の間合いを守り、敵に懐へ入られないように。
あたしとアヤメで交互に攻撃して、風魔の注意がどちらかに逸れたら、もう一方が攻めかかる。
所詮、誰の力も借りられない存在に、あたしたちが負けるはずはない!
眼前に広がるは『風魔忍法忍者屋敷』によって作り上げられた百面鬼『風魔小太郎』の領域。
それは荒廃した世界にあってなお、場違いなまでの武家屋敷のような様相であったし、同時にそこに踏み込まねば百面鬼『風魔小太郎』を取り逃がすことを意味していた。
オブリビオンである『風魔小太郎』にとって、猟兵を今、打倒することに意味はない。言う成れば降りかかる火の粉は払わねばならぬというだけの話であった。
「だが、それでもやってくるのが猟兵であることを己は知っている。油断も慢心もない。この『風魔忍法忍者屋敷』にてお主らを討ち果たすことこそが、己の信義に通じるのなれば」
百面鬼『風魔小太郎』が『忍者屋敷』の影に沈む。
此処に座すつもりはない。あらゆるからくり仕掛けを以て、猟兵に当たるのだ。
そんな『忍者屋敷』の中を村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》/黒鴉遣い・f01658)は愛奴召喚(アイドショウカン)によって召喚された式神のアヤメと共に進む。
「アヤメ、ここに仕掛けられた罠を解除しながら進める? どうあってもダメなら力押しで進むけど」
「そういうセリフは出来なかったときに言ってください。誰だと思っているんですか、私を」
そう言ってぷりぷりしているのを可愛く思いつつも、ゆかりは式神のアヤメが『忍者屋敷』に仕掛けられた罠を解除しているのを見ていた。
そう目には目を。忍者には忍者を。
エルフのクノイチである式神のアヤメにかかれば、全てを解除することができなくとも、どこにどのような仕掛けを施すのかなど同種であるがゆえに理解することなど造作も無いのだ。
「確かに罠の仕掛けは複雑怪奇。時間をかければ解除できないこともないですが……もしも、私が襲う側ななら……――ッ!」
アヤメの視線がゆかりに向く。
何を、と思うこともなかった。
アヤメがそうしたのならば、自分はどう動くべきかをゆかりは知っていたのだ。
己の手にした薙刀を己の背後に薙ぎ払うようにして振るう。
そう、罠を解除しようとするのならば、必ず背面への警戒が疎かになる。それを式神のアヤメは知らせてくれたのだ。
「ほう、見事。己の奇襲を躱すか」
刃と刃が激突する音が響いて『忍者屋敷』の板間に降り立つ百面鬼『風魔小太郎』がカタカタと百面を揺らす。
奇妙な姿。
しかし、コレ以上に奇妙な存在などオブリビオンには掃いて捨てるほどいるのだ。今更取り立てて背後に経たれたからと言って取り乱すことはない。
「あなたとははじめましてね、『風魔小太郎』。わざわざ骸の海から蘇ったところで悪いけど、また蹴り落とさせてもらうわ」
対峙するゆかりと『風魔小太郎』の間には、僅かな時間さえ許されなかった。
今此処で打倒すべき存在として認識している。
このアポカリプスヘルの大地で彼が何をしようとしているかなど関係ない。
「そうはさせぬ! 風魔忍法『六道阿修羅面』!」
百面の髑髏の眼窩が輝き、その奇妙なる体躯、その六本腕から無数の忍び道具が放たれる。
一斉に放たれた攻撃は相対するゆかり一人では防ぎきれぬものであった。
だが、召喚された式神のアヤメがいるのを忘れてはならない。
彼女は己の主人を護るようにクナイでゆかりが撃ち落とせなかった手裏剣を弾き飛ばしながら、クナイを投げ放つ。
「今です!」
「ありがとね……! 二対一で卑怯などとは言わないわよね!」
ゆかりが薙刀をもって、『風魔小太郎』を己の間合いにいれさせない。
手数が厄介であるが、その分こちらはアヤメとのコンビネーションで戦えばいい。互いの存在を保ってどちらかへの注意を散漫にさせる。
そうすることで付け入る隙が生まれるはずだ。
「所詮、誰の力も借りられない存在に、あたしたちが負けるはずはない!」
ゆかりが駆け出す。
アヤメに放たれた手裏剣を薙刀で払い、己の姿を『風魔小太郎』に晒す。
自分の背中を壁にしてアヤメが背後から飛び立ち、クナイを投げ放ち、さらに選択を強いる。
そこにあったのは主従を超えた関係だからこそなせる連携があった。
互いを護るのではなく、互いを信じるからこそ背中を預ける戦い方。一人ではただの苛烈な攻めでしかなかっただろう。
けれど、二人であればそれは疾風怒濤たる連続攻撃と成って『風魔小太郎』を逃さず、じりじりと追い詰めていくのだ。
放たれたクナイを弾く六本腕。
されど、そのクナイをガードするために胴ががら空きだ。
「誰も信じられないからこそ、単独行動をするんでしょうけれど! あたしたちの敵じゃない!」
ゆかりが走り込み、『風魔小太郎』の懐に飛び込む。
放たれた裂帛の突きは『風魔小太郎』の六本腕の一本を串刺しにし、ひねりを加えたことによって腕を引きちぎるようにして吹き飛ばすのだ。
怨嗟の如き咆哮が忍者屋敷に木霊し、ゆかりはアヤメと共に『風魔小太郎』を追い込むのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ステラ・リデル
隕石落としの次は荒野に忍者屋敷ですか。
……忍者というよりはニンジャですね。
レクリエーションには良いかもしれません。
(外から家屋ごと破壊した方が早いという気がしながらも頑張って作ったのだからと)忍者屋敷内部へ。
満載の罠を見切って、オーラセイバーで破壊したり躱したりしながら進みます。
(見切り×第六感×瞬間思考力)
多分その内百面鬼が奇襲とかで出現すると思いますのでその瞬間に『蒼と青の奔流』を発動。
百面鬼自身と周囲の仕掛けを瞬時に破壊します。
その後、オーラセイバーの斬撃で百面鬼に追撃。
(最初から発動しておかないのは忍者屋敷を楽しむためかも)
……奇襲をかければ忍びというものではないですよ。
突如として荒野に出現した『忍者屋敷』。
それは百面鬼『風魔小太郎』が生み出した『風魔忍法忍者屋敷』によるものであることをステラ・リデル(ウルブス・ノウムの管理者・f13273)は理解し、足を踏み入れる。
「隕石落としの次は荒野に忍者屋敷ですか……忍者というよりはニンジャですね」
その語感の違いにいかなる違いが存在しているのかを理解する者であれば、ステラの言葉の意味も理解出来たことだろう。
どこかパチもんくささを感じてしまうのは仕方のないことであったのかもしれない。
言わば、本流にある者ではなく、外様から眺めた『忍者』らしさというもの、その認識の差異を今ステラは感じているのかも知れなかった。
「レクリエーションには良いかも知れません」
彼女の佇まいは冷静そのものであった。
どれだけ『忍者屋敷』が数多の罠を満載したからくりじかけを持つのだとしても彼女にとっては脅威とは思えなかったのだ。
むしろ、外から家屋ごと破壊したほうが速いという気がしないでもなかったが、がんばって作ったものだからという感想すらあった。
というよりも、おそらく外部からの攻撃は寄せ付けないユーベルコードの類と同じであろう。
試みてもいいかもしれないが、おそらく内部に踏み込んで百面鬼『風魔小太郎』を打倒したほうが早い。
「とは言え、からくりじかけ。あらゆる場所に罠が存在しているのは、やはりレクリエーションですね」
ステラは輝くオーラセイバーを振るい、放たれた毒矢を切り捨てる。
さらに踏み込んだ床板が何かスイッチを押したような感触を受けた瞬間、ステラの眼前に迫る振り子の鉄球を一刀のもとに両断する。
それは確かにレクリエーションであったが、猟兵以外の者であれば、即座に死を迎えるようなものばかりであったことは特筆しておかなければならない。
そして、同時にこれだけの罠をかい潜った彼女を百面鬼『風魔小太郎』が放っておくわけがない。
「となれば、そう来ますよね」
背後より迫る気配を受けてステラはオーラセイバーで奇襲を掛ける影を一瞬に切り捨てる。
それは風魔忍法『死鬼封神面』によって生み出された歴代『風魔小太郎』の霊であった。
「よくぞ、己が風魔忍法『死鬼封神面』を見破った。あっぱれであるが、それでも貴様は此処で果てる運命よ!」
ステラが振るったオーラセイバーの輝きが映すのは、彼女の周囲にある影から現れる無数の歴代『風魔小太郎』たち。
彼らが一斉に彼女に襲いかかり、手裏剣や忍者刀、鎖鎌で攻撃を仕掛けるのだ。
彼らが全て『風魔小太郎』であることは言うまでもない。
けれど、それがユーベルコードによって齎された囮である。オーラセイバーで切り結び、次々と歴代『風魔小太郎』たちを切り捨てるステラ。
その背後より迫る気配をステラは見過ごさなかった。
「罠と霊たちによる波状攻撃。その背後を取ることなど――」
お見通しであると言うようにステラの瞳がユーベルコードに輝く。
蒼と青の奔流(ブルー・ライト)が如きあらゆるものを消滅させる蒼い光が『忍者屋敷』の内部に疾走る。
それは歴代『風魔小太郎』たちを霧消させ、さらには己の背後に迫った百面鬼『風魔小太郎』にさえも迫るのだ。
「何っ……!? 己が忍法は完璧だったはず……!」
迫る蒼い光の本流に傷を負いながらも『風魔小太郎』が飛び退る。
しかし、それをさせぬと追撃を仕掛けるステラのは鳴ったオーラセイバーの斬撃が百面鬼『風魔小太郎』へと繰り出される。
「……奇襲をかければ忍び、というものではないですよ」
そう、すでに奇襲を仕掛けてくることなど事前の情報で得られているもの。
それらを考えれば、二重三重に罠を仕掛けてくることなど予想することは容易い。ステラは、あえて『忍者屋敷』という相手の領域に踏み込んで、奇襲を誘ったのだ。
彼女の放ったオーラセイバーの斬撃の一閃が百面鬼『風魔小太郎』の胸元を袈裟懸けに切り裂く。
ステラの唇の端が微笑みの形を作っていたのは、策や駆け引き以前にこの『忍者屋敷』というレクリエーションを楽しむためのものであったのかもしれない。
底知れぬ実力を前に百面鬼『風魔小太郎』は後退を余儀なくされたのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ラブリー・ラビットクロー
マザーのお絵描きアプリはらぶの想い出日記
今まで出会ったヒトや風景に猟兵
何でも描き貯めてるんだ
全部今のらぶをカタチ作るタカラモノなん
面白いお城
木と土で出来てるんだ?
それならお城も罠も
ラビットファングで解体しちゃえ!
らぶはそんなに動き回る必要は無いかもなん
だって沢山壊したら
きっと敵の方からやってくる
お前がコタロウなんな?
腕が沢山強そーだけどらぶにはセカイのみんながついてるんだ
一人に見えるって?
えへへ
沢山のビー玉ばら撒くぞ
それはきっとマザーの中のらぶの絵を投影して映し出す
現れるのは沢山のヒトやアカプルコの白い壁
らぶを守るように立ちはだかってくれるんだ
一人じゃ敵わないかもだけど
皆が居れば怖くねーのんな
百面鬼『風魔小太郎』の用いた『風魔忍法忍者屋敷』は『風魔忍法隕石落とし』同様に恐るべき力である。
荒野に築かれた『忍者屋敷』は内部全てがからくりじかけの罠に溢れている。
猟兵たちが足を踏み入れれば、そこは必ず悪意でもって彼らを罠に陥れようとあらゆる罠が作動するだろう。
しかし、百面鬼『風魔小太郎』は知らなかったのだ。
万難の如き罠を前にしても猟兵達は怯むこと無く踏破し、己を必ずや打倒しようと迫ってくることを。
そして、ラブリー・ラビットクロー(とオフライン非通信端末【ビッグマザー】・f26591)の振るい上げた『ラピッドファングアンドハッピーチェーンソーエッジ』が唸りを上げる。
それは若者特有の咆哮出会ったのかも知れないし、未成年の主張であったのかもしれない。ともかくラブリーの振るうチェーンソー剣が『忍者屋敷』の罠を尽く食い破る。
兎が穏やかで狩られるだけの草食動物など誰が決めた。
今此処に在るのはラブリーというチェーンソーエッジ。あらゆる障害を食い破る凄まじき刃。
「面白いお城。木と土で出来てるんだ?」
それならばと解体しちゃえというのがラブリーの凄まじい考えであった。
【ラブリー。敵が接近してきます。反応あり】
『非通信端末ビッグマザー』の警告にラブリーが反応する。彼女は自分が百面鬼『風魔小太郎』を探し回る必要はないと考えていた。
こうやって暴れていれば、必ず向こう側からやってくるだろうと彼女は確信していたし、『ビッグマザー』の言葉通り百面鬼『風魔小太郎』が彼女の背後より奇襲を仕掛けてくるのだ。
「己に気がついたか、猟兵! だが遅い! 我が風魔忍法『六道阿修羅面』によって放たれる忍び道具の疾風怒濤なる攻撃を躱せるか!」
六本腕の全てから放たれる忍び道具たち。
先行した猟兵に寄って、その腕の一本は喪われているが、それでもまたたく間に放たれる手裏剣や鎖鎌といった忍び道具の攻撃は凄まじい勢いでラブリーに迫る。
チェーンソー剣を振り回して、攻撃を躱しながらラブリーは沢山のビー玉をばらまく。
それは通信端末である。
いや、世界と繋がる世界投影型の小型端末。その端末が生み出すのは、ラブリーのお絵かきアプリの中に存在する彼女の想い出日記。
今まで出逢った人や風景に猟兵。
なんでも彼女は描き貯めている。
それはなぜかなどと問う必要はない。
想い出こそが彼女を形作るかけがえのないタカラモノであるからだ。
「ぬぅっ! 何を……ッ!?」
「これはらぶのセカイ。一回見たら忘れない。だって勿体ないなん。みんなみんなスゴくきれーでスゴくいー感じだからちゃんと覚えておくのん。らぶはセカイが好き」
好きで溢れている。
ラブリーの思い描くセカイにはいつだって愛が溢れている。
自分を愛する愛もあるだろう。他者を愛する愛もあるだろう。言葉にしてしまえばこっ恥ずかしいものばかりであるかもしれない。
けれど、それを否定する理由など何処にも存在していないのだ。
頭の中のセカイの全て(ピュアデックス)を以てラブリーは『忍者屋敷』の中の全てを凌駕する。
『ビッグマザー』の中にあるラブリーの描いた絵が投影されていく。
沢山のヒトやアカプルコの白い壁。
それらはあらゆる攻撃を防ぐ城壁であり、同時にラブリーにとってはかけがえのない援軍。
「馬鹿な、我が『風魔忍法忍者屋敷』の中に、新たに世界を作り出す、だと!?」
それは外側からでは決して破壊することの出来ない『忍者屋敷』において、内側から塗りつぶすような規格外なるユーベルコード。
ラブリーにとって、それは日常であり、世界そのもの。
ゆえに彼女はこのセカイの中にあってオブリビオンに負ける道理などないのだ。このセカイの中で人々が願うのだ。
「一人じゃ敵わないかもだけど、皆がいれば怖くねーのんな」
疾走る。
ラビットファングが唸りを上げるようにエンジン音を奏でる。
それは滅びへの一撃。
オブリビオンという明日を阻む過去を切り裂く兎の牙。
「だから、コタロウ、お前なんて怖くない。腕が沢山強そーだけど、らぶにはセカイのみんながついてるんだ」
放つ一閃が『風魔小太郎』の腕を両断しながら袈裟懸けにふるわれる。
それはラブリーの描いたセカイを描く一閃であった――。
大成功
🔵🔵🔵
柊・はとり
お前は何も分かってない
殺人屋敷を得意の領域とするのは
忍者だけだと思うなよ…!
俺のUCは既に発動している
外は嵐
この屋敷は陸の孤島
『探偵』が『犯人』を追い詰めるまではな
変な殺人装置が仕込まれた館にも
犯人からの突然の奇襲にも慣れがある
第六感と学習力で自らに迫る危険を察知し
罠を発動寸前で見切って逆に利用する
やられたと見せかけて風魔を襲い
裏返る壁に隠れる
壁をすり抜けて来る霊は
偽神兵器に破魔属性を宿し切断
邪悪には邪悪をってな
極めつけに地形破壊で部屋を破壊
北関東忍者屋敷殺人事件も被害者ゼロで終了
これが黙示録の黄昏だ
正しい世界観に帰れ!
殺気を込め顔面に飛び蹴りを放つ
なりてえな…普通の高校生に
やっぱ今更無理か…
『風魔忍法忍者屋敷』の力は荒野に一つの忍者屋敷を生み出すものであった。
この領域に在って百面鬼『風魔小太郎』の力は、忍者としての技量を以て恐るべきオブリビオンへと昇華される。
しかし、猟兵達は恐れないだろう。
この領域に踏み込むことでオブリビオンとして蘇った百面鬼『風魔小太郎』が何らかの目的で動いていることを阻むことができるのならば、恐れる理由にはならない。
そして、同時に柊・はとり(死に損ないのニケ・f25213)は言い放つ。
「お前は何も判っていない。殺人屋敷を得意の領域とするのは、忍者だけだと思うなよ……!」
はとりは己の瞳がユーベルコードに輝いているのを自覚していた。
事件は現場で起きている(ウォーキングデッド)とは誰が言った言葉であったか。
すでに『忍者屋敷』は外界との行き来を遮断するが如き嵐に包まれている。この屋敷はすでに陸の孤島であった。
いかなる理由があったとしても『忍者屋敷』の外に逃れることはできない。
それこそがクローズドサークル。
閉鎖環境にあってこそ探偵は疾走る。そう、『探偵』が『犯人』を追い詰めるまで、このクローズドサークルは維持され続ける。
そういうユーベルコードなのだ。
「妙な殺人装置が仕込まれた館にも、犯人からの突然の奇襲にも慣れがある……もうわかりきっていることだ」
はとりにとって、それは日常であったことだろう。
往く先々で事件に巻き込まれる。それが彼の日常である。望んでいないことであっても、世界が彼を放ってはおかないのだろう。
迫る巨大な振り子斧。
それらを既のところで躱し、はとりは疾走る。
「機敏な猟兵であるが! 己の風魔忍法『死鬼封神面』の敵ではないわ!」
無数の歴代『風魔小太郎』たちが四方八方から、はとりに襲いかかる。
その絶命の一撃は仕掛けられた罠に飲み込まれた羽鳥を追って、暗がりへと飛び込む。しかし、それは罠であった。
はとりが見切った罠。
踏み抜いた板間は罠の起動スイッチであるというのならば、裏返る壁を背にした彼が歴代『風魔小太郎』の霊ごと壁の奥に消えていく。
「――ッ!」
絶叫が聞こえた。
それは、はとりのものではない。
彼が手にした偽神兵器『コキュートス』の刃が『風魔小太郎』の霊を両断したのだ。
「邪悪には邪悪をってな」
はとりは霊である歴代『風魔小太郎』たちであれば、仕掛けすらも通り抜けてやってくるであろうということを見越して、偽神兵器の刀身を床に叩きつける。
凄まじい衝撃波が走り抜け、『忍者屋敷』の壁を吹き飛ばす。
「ぬぅっ! 己が忍法を打ち破るか!」
すでに六本腕の大半を失った百面鬼『風魔小太郎』が鎖鎌を以て、はとりへと襲いかかる。
激突する刃同士が火花を散らす。
大きな戦いが終わっても、はとりは未だ普通の生活に戻れては居ない。
一時の休息すら許されていない。これが呪いでなくてなんだというのだろう。はとりは、大きくため息を突きながら鍔迫り合いをする。
「北関東忍者屋敷殺人事件も被害ゼロで終了させてもらう。これが黙示録の黄昏だ」
お前のいる場所ではないと、はとりが叫ぶ。
そう、ここはアポカリプスヘルであってサムライエンパイアではない。
目の前にいるような骸骨面の奇っ怪な忍者が居ていい世界ではないのだ。
ぎりぎりと刃がきしむ。
力では負けては居ない。けれど、勝ってもいない。
互角なる力比べの近郊を崩したのは、はとりであった。刃を一瞬引いた瞬間に彼の身体が飛び上がる。
「ヌッ!?」
「正しい世界観に帰れ!」
もう懲り懲りなのだ。事件が自分の往く先々で起こることなどもう在ってほしくない。けれど、それでもオブリビオンは、事件は己を放ってはおかないだろう。
だからこそ、彼は渾身の力を籠めて飛び蹴りを百面鬼『風魔小太郎』の髑髏面へと叩き込む。
盛大に吹き飛ばされる『風魔小太郎』をみやり、はとりは独りごちるのだ。
「なりてえな……普通の高校生に」
けれど、それは今更であると彼は自嘲する。
それは無理な話であると。
望むにはあまりにも多くを失いすぎた。
喪って、喪って、それでも前に進まなければならない。いつだって事件は起きている。望まれぬ死者が生まれる限り、はとりは『探偵』としてひた走るしかない。
ゆえに、彼は己の踏み出す先にある事件を解決していくのだ――。
大成功
🔵🔵🔵
トリテレイア・ゼロナイン
…衰えましたね
大盾をワイヤーアンカーで鉄球の如く保持
UCも併用し●怪力で振り回し●地形破壊
忍者屋敷を●蹂躙し仕掛け罠を纏めて粉砕
マルチセンサーで動体反応探知
●瞬間思考力で軍勢の●騙し討ちを●見切り
四方八方に格納銃器での乱れ撃ちで迎撃
手裏剣や忍者刀を剣で打ち払い砕き斬り
サムライエンパイアではこちらのユーベルコードの使用を許す暇を与えはしませんでしたよ
ですが嘗てより力衰えようと蘇生への信義に応える忍びの矜持は見事、と言わせて頂きます
ですが、勝ちを譲る気は毛頭御座いません
新たな歩みを始めたこの世界の為、討たせて頂きます
剣戟の最中に敢えて剣を手放し視線誘導
推力移動で距離詰め鉄拳による●騙し討ち繰り出し
百面鬼『風魔小太郎』が顔面を蹴り飛ばされて、その身体を吹き飛ばされる。
しかし、即座に体勢を整えて『風魔忍法忍者屋敷』によって生み出されたからくりじかけの罠が存在する屋敷の中を疾走る。
彼に撤退はない。
そう、彼には信義がある。
「ぬぅ……! ここは致し方なし……! 時を稼ぐには風魔忍法『風魔面』を使わざるをえまい!」
己の面を代償に呼び出される風魔忍群。
それを以て百面鬼『風魔小太郎』は、猟兵たちを退けようとしたのだ。
だが、そのユーベルコードを発現する前に彼に振り下ろされたのはワイヤーに接続された大盾を鉄球のごとく手繰り放ったトリテレイア・ゼロナイン(「誰かの為」の機械騎士・f04141)の一撃であった。
「ぬぉぉぉッ!?」
大盾の一撃が、今まさに風魔忍群を呼ぼうとした『風魔小太郎』へと叩き込まれる。
それは予想だにしない一撃であったのだろう。
これまで『風魔小太郎』は猟兵たちを奇襲していたのだ。けれど、それは此処に覆る。
今まさに彼は奇襲される側に成り代わってしまった。
「……衰えましたね」
トリテレイアはワイヤーアンカーに接続された大盾を引き戻し、保持しながら彼の進撃を阻もうとするからくりじかけの罠の全てを蹂躙するかの如き突進で保って踏み抜いてきていた。
毒矢が飛ぶ仕掛けすらウォーマシンたる彼には意味をなさない。
どれだけ巨大な振り子斧が襲い来るのだとしても、彼の突進を止める事はできないのだ。
「以前の貴方はこちらのユーベルコードの仕様を許す暇を与えませんでしたよ」
トリテレイアは先制を警戒する必要がないのならばと、戦場の騎士(ナグレリャナンデモイイ)として『忍者屋敷』を駆け抜ける。
「猟兵……! これほどまでとはな! だが、己も信義によってひた走る走狗そのものである。目的だけは果たさせて頂く!」
髑髏面を砕き、溢れる風魔忍者の群れをトリテレイアは大盾の殴打でもって吹き飛ばす。
彼を止めることはできない。
どれだけの数を揃えたとしても、トリテレイアは今やあらゆる障害を踏み抜くウォーマシンとしての戦術兵器そのものにして騎士である。
「嘗てより力衰えようと、蘇生への信義に応える忍びの矜持は見事、と言わせていただきます」
それはトリテレイアが騎士を掲げるのと同じことであったことであろう。
生き方、信条などの違いがあれど、そこにあったのは矜持である。
相手がオブリビオンであったとしてもトリテレイアには、それは変わりないものであり、己と『風魔小太郎』が敵であるということは関係ないのだ。
「願わくば、お主がオブリビオンであったのならばと願わずにはいられまいよ、機械じかけの騎士よ!」
「ですが、勝ちを譲る気は毛頭ございません。新たな歩みを始めたこの世界の為、討たせて頂きます」
トリテレイアは己の剣を抜き払い、『風魔小太郎』と打ち合う。
鎖鎌の一撃と剣が激突し、剣戟の音を響かせる。力は互角。トリテレイアは『風魔小太郎』のことを衰えたと言ったが、それでも騎士と打ち合うオブリビオンとしての力は十分であった。
気を抜けば、即座に剣を打ち払われてしまう。
しかし、それこそがトリテレイアの狙いであった。剣戟の最中、トリテレイアの駆け引きが始まる。
打ち据えられた一撃によってトリテレイアの振るう剣が腕より吹き飛ぶ。
「――ッ!」
さらに大盾も吹き飛ばされてしまう。ワイヤーアンカーに接続されているとは言え、その一撃によって手元から放たれてしまえば、トリテレイアは無手になってしまう。
「――獲った! その素っ首頂く!」
『風魔小太郎』が鎖鎌をトリテレイアへとふるわんとした瞬間、彼のアイセンサーが輝く。
そう、それは彼の狙いであった。
敢えて武装を吹き飛ばさせ、勝利を確信した瞬間を狙う一撃。
無手?
いいや、違う。騎士にありては、洗浄において道具や手段を選ばぬものである。ゆえに、彼の腕部こそが最大の武装である。
脚部スラスターが噴射し、一気に距離を詰めた鉄拳の一撃が鎖鎌の刃すらも打ち砕いて、百面鬼『風魔小太郎』の顔面を捉える。
ひしゃげる音と共に『風魔小太郎』が吹き飛ばされる。
「貴方が何を求めていたのかを識る必要はありませんが、人々のために騎士として拳を震わせて頂きます。それがこの世界の歩みを阻む者に対する私の答えです――」
大成功
🔵🔵🔵
菫宮・理緒
忍者屋敷……ネルトリンゲンで押し潰してみるっていうのもある気はするけど、
『能力』で作ったお屋敷だし、さすがにそれは無理かな。
そうなると、正面からいくしかないか……。
電子制御の罠ならなんとでもなるんだけど、アナログ系は、ねー。
解除したり躱したりっていうのが苦手分野だから、ここは思い切ってこれだね!
【E.C.O.M.S】でユニットを展開して、進行方向にある罠を先に作動させちゃおう。
罠は見えてないから怖いんだもんね。動いちゃった罠は近寄らなければいいだけ!
罠を全部動かして忍者屋敷を突破したら、残ったユニットを小太郎さんに叩きつけよう。
近寄ったらあぶなそうだから、接近戦はしないように気をつけるね!
「『忍者屋敷』……『ネルトリンゲン』で押しつぶして見るっていうのもありな気はするけど……」
菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)はミネルヴァ級戦闘空母『ネルトリンゲン』の艦橋で展開された百面鬼『風魔小太郎』の『風魔忍法忍者屋敷』の威容を見下ろしていた。
少しばかり有りなのではないだろうかと彼女は考えたが、よく考えてみればオブリビオンの能力で作り出した『忍者屋敷』であれば、外部からの干渉を防ぐものであろう。
ユーベルコードにもまた同様のものがある。
迷宮を生み出し、その凄まじい強度によって敵を閉じ込めるユーベルコード。それに似たものであると彼女は考えたからこそ、『ネルトリンゲン』による強行策を取りやめたのだ。
「そうなると、正面からいくしかないか……」
理緒は、はっきり言ってデジタル系である。
アナログな罠に関しては苦手な分野である。解除したり、躱したり。そういった方面に至っては、不得手そのもの。
百面鬼『風魔小太郎』とは相性の悪い相手であると言わざるを得ないであろう。
しかし、それで怯む理緒ではない。
「ここは思い切ってこれだね!」
彼女の瞳がユーベルコードに輝く。
E.C.O.M.S(イーシーオーエムエス)――それは無数の戦闘用の小型八角形のユニットを展開し、敢えて進路方向にある罠を作動させてしまおうというのだ。
そうすれば、確かにユニットは喪われるが後を進む理緒には危害は及ばない。
「罠は見えてないから怖いんだもんね。動いちゃった罠は近寄らなければいいだけ!」
理緒の言葉通りであったことだろう。
罠は奇襲の意味合いが強い。不測の事態にこそ人は慌て、取り乱し、本来のポテンシャルを発揮できぬままに生命を落としていくのだ。
だからこそ、理緒はユニットたちを先行させ全ての罠を敢えて作動さえることで、後から対策を立てて『忍者屋敷』の中を踏破していくのだ。
「力押し……! 物量で『忍者屋敷』を攻略するか! ならば己もまた数で相対するとしよう! 風魔忍法『死鬼封神面』!」
完全にからくりじかけの罠を踏破された百面鬼『風魔小太郎』は己の面に封ぜられた歴代『風魔小太郎』たちの霊を以て理緒へと襲いかかるのだ。
罠は完全にユニットたちによって踏破されてしまったが、これならばと迫る『風魔小太郎』たちの霊。
しかし、それらを見据えた理緒はアナログな罠ではないのであればと、彼女の本領を発揮するのだ。
「姿が見えているなら、後は簡単! みんな、やっちゃって!」
理緒の号令と共に放たれる戦闘ユニットたちが歴代『風魔小太郎』たちの霊に叩きつけられ、さらに百面鬼『風魔小太郎』へと突撃するのだ。
理緒自身は、近接戦闘は避けるべくユニットたちに守れられて、踏破した罠の一角に座し、ユニットから送られてくる情報をゴーグルタイプのウェアラブルコンピュータを通して確認しながら『風魔小太郎』を追い込んでいく。
「ここまでくれば接近されることなんてそうそうないはず!」
理緒はユニットたちに指示を出しながら、遠隔操作でもって徐々に『風魔小太郎』を追い詰めていく。
それは本来であれば百面鬼『風魔小太郎』が猟兵を相手に行うべき戦術であった。
けれど、これまで猟兵たちが紡いだ戦いによって、それは打ち破られてしまった。
『忍者屋敷』は踏破され、罠は尽くが踏み抜かれた。
どれだけこの『忍者屋敷』が彼の領域であったのだとしても、猟兵達という規格外を中に取り込んだ時点であらゆる罠や奇襲は意味を成さなく為る。
「最初に私達を補足したときに逃げに徹していたのなら、手も足もでなかったかもしれないけれど……迎え撃つ、っていう選択肢を選んだのは間違いだったね!」
理緒は己の戦術を持って『風魔小太郎』を圧倒する。
ユニットたちの数は減ってきてはいるが、確実に『風魔小太郎』は消耗させているはずだ。
このまま押し切ってしまえば、理緒たち猟兵の勝利となるだろう。
彼女は息を吐きだし、『風魔小太郎』に叩きつけたユニットたちの操作を終えるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
佐伯・晶
直接戦った事は無いけれど
記録を見る限り使うUCは同じようだね
再生怪人という訳ですの?
一方的に先制攻撃はできないみたいだけど
気を抜いて良い相手ではないね
まずは忍者屋敷の仕掛けだね
飛んでくるものを神気で防いだり
ワイヤーガンの移動で落ちるのを避けたり対処しつつ
ガトリングガンで忍者を倒していこう
それは少々迂遠だと思いますの
そうしないと相手が警戒するからね
小太郎が攻撃に近付いて来てから
邪神の領域を使用
周囲の仕掛けを固定して真っ向勝負に持ち込もう
高速移動を利用してワイヤーによる切断攻撃を行うよ
腕の1本でも置いていって貰おうか
なんなら首でも良いよ
私は固定された忍者達を見てますの
くノ一がいれば良いのですけれど
『風魔忍法忍者屋敷』の力によってアポカリプスヘル、北関東荒野に築かれた『忍者屋敷』の中で行われる猟兵とオブリビオンの戦いは佳境を迎えていた。
すでにその六本腕の大半を喪った百面鬼『風魔小太郎』は、己の目的が達せられぬことを半ば悟っていた。
「もはや、此処までとはな。猟兵……! だが、己が信義を貫き通すために一人でも多くの猟兵を打倒しなければ。己はオブリビオンであればこそ、再び骸の海より染み出すものなれば……!」
そう、彼にとって猟兵を打倒することは二の次であった。
彼の目的は『ドクター・オロチ』によって命ぜられた唯一つのことのみ。
それを果たさぬうちは、死んでも死にきれるものではない。ゆえに彼は『忍者屋敷』に身を潜める。
機を伺うことこそ、彼がこの戦いを制するために必要なことであったのだ。
しかし、猟兵達は彼を逃さないだろう。その目的がなんであれ、アポカリプスヘルの人々を苦しめるものであることは疑いようがない。
「直接戦ったことはないけれど、記録を見る限り使うユーベルコードは同じようだね」
佐伯・晶(邪神(仮)・f19507)は踏み込んだ『忍者屋敷』の中でつぶやく。
晶にとって百面鬼『風魔小太郎』は戦ったことのないオブリビオンであったが、過去の大きな戦いにて現れた百面鬼『風魔小太郎』と同じユーベルコードを使用するようであるという情報があれば関係などなかった。
「再生怪人というわけですの?」
己の身体の内に融合した邪神がつぶやく。
しかし、単純な再生怪人という理屈でもないようであった。
以前相対した猟兵達によれば、百面鬼『風魔小太郎』は必ず猟兵達に先制してくるほどの力を有していた。
それを以て、衰えたと考えるのは当然であった。
「気を抜いて良い相手ではないね」
けれど、晶は侮ることはしない。
先制ユーベルコードのちからがなくとも『風魔忍法忍者屋敷』による圧倒的な数の罠を使った奇襲があれば、『風魔小太郎』は猟兵を凌駕する力を持つ存在だ。
だからこそ、晶はあらゆる罠を踏破する。
毒矢が飛来すれば、それを神気によって停滞させ叩き落とす。床が抜ければワイヤーガンによって脱出する。
「となれば、やっぱりこっちが罠に集中しているときに襲ってくるよね!」
晶が振り返り様にガトリングガンの銃口を奇襲せんとせまっていた百面鬼『風魔小太郎』へと向け、弾丸を撃ち放つ。
「然り! されど、奇襲を読んでいることなど、こちらも承知の上! なればこそ、力で勝る己が圧倒すべきは忍び道具による強打のみ!」
ふるわれる鎖鎌の一撃が晶へとふるわれる。
しかし、その一撃はいつまで経っても晶に降ろされることはなかった。
「そういうやりかたは少々迂遠だと思いますの」
回りくどい、と内なる邪神が言う。
そう、敢えて罠に集中して敵の奇襲を誘い込む。けれど、『風魔小太郎』は忍びの者だ。なればこそ、駆け引き、読み合いには長けた存在だ。
それを上回るためには、ユーベルコードの使用しかない。
すでに此処は、邪神の領域(スタグナント・フィールド)である。
周囲の存在を停滞・固定させる神気で覆うことによって晶は自身にふるわれる鎖鎌の一撃を固定させ躱すのだ。
「敵の動きが早い……! いや、違うな。これは……!」
呻く百面鬼『風魔小太郎』。
「そう、僕が速くなったんじゃない。君が停まってただけだよ」
晶が凄まじい速度で己の周囲を駆け抜けていると『風魔小太郎』は錯覚しただろう。
しかし、それは停滞と固定の権能司る邪神の力である。
ユーベルコードに輝く晶は、切断用のワイヤーを張り巡らせ、一瞬で『風魔小太郎』を拘束する。
強力無比為るユーベルコードであれど、代償というものはあるのだ。
晶の身体は徐々に封印によって石化していく。
「時間制限があるってわけだけれど……それでも腕の一本……なんなら首でも良いよ、置いていってもらおうか」
ユーベルコードを解除した瞬間『風魔小太郎』は己が強靭なるワイヤーに絡め取られていることを漸くにして悟るだろう。
「ぐ、こ、この! 己をまさか、っ! こんなことで!!」
憤怒の形相がわからぬのは、髑髏面故。
しかし、眼窩に輝く光が憤怒の感情を顕す。
「悪いけれど、復活しても即座に退場してもらうよ」
晶は、その憤怒すらもお門違いであるというようにワイヤーを力強く引き抜く。
瞬間、切断用のワイヤーが百面鬼『風魔小太郎』の肉体に食い込み、その残された六本腕の全てを切り裂くのだ。
絶叫が『忍者屋敷』に迸るころ、内なる邪神は『忍者屋敷』にクノイチがいないことに、心底がっかりしているのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!
フフーン、ダンジョン攻略ってわけだね!
そういうの大好き!
[ラジオ]のチャンネルをアップテンポな曲の流れるものに変えて気分をあげてこう!
●攻略
ここと~ここ!あとここ~!あ、こっちもかな~?
勘【第六感】でコースを選び取って、[スニーカー]で床といわず壁といわず天井といわず蹴りながら罠をすり抜けて駆け抜けていく!
後は最短コースのために[ドリルボール]くんを放って壁や床をぶち抜いて小太郎くんにダイレクトアターーック!
忍者くん軍団を出してきても忍者屋敷をぶちぬいたままの勢いで[ドリルボール]くんに吹っ飛ばしてもらってからのー…
UC【神撃】でドーーンッ!!
六本腕の全てを両断された百面鬼『風魔小太郎』は、その百面鬼の名の由来である髑髏面の眼窩を憤怒に輝かせながら、『忍者屋敷』にて咆哮を轟かせる。
「おのれ! おのれ! おのれ! 一度成らずとも二度までも! 己に敗北の土をつけることはあれど、己が信義すらも打ち破るか猟兵!!」
そう、己は敗れる。
それは必定であり、避けることのできぬ現実であると百面鬼『風魔小太郎』は理解していた。
けれど、己の信義が疑われることほど忍びなる者にとって不名誉なることはないだろう。
裏切り、謀略が常なる戦国にあって、その信義こそが『風魔小太郎』にとって最も大切なものであったことだろう。
ゆえにくだされた命を果たせぬことこそが、彼の信義を損なうことであった。
「許されぬ! 己が信義のため! 如何にしても果たすべしとした命を果たせぬまま霧消することなどありえぬ!!」
咆哮と共に『忍者屋敷』を駆け抜ける。
目指すは猟兵。
そう、この己を追い込んだ猟兵を打倒しなければならぬと憤怒の形相のまま『忍者屋敷』を疾走る。
しかし、彼は聞いただろう。
何処からか流れてくるアップテンポな奇妙な曲。
サムライエンパイアにて存在していた『風魔小太郎』にとって、それは馴染みのない音であり、奇妙と呼ぶに相応しい音色であったからだ。
「フフーン。ダンジョン攻略ってわけだね! そういうの大好き! 気分はあげあげだね!」
ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)はラジオのチャンネルをアップテンポなごきげんなナンバーに変えて勘で『忍者屋敷』の罠を全て踏破していた。
いや、踏破というには生易しいものであった。
あらゆる罠を踏み抜き、蹴り砕き、壁と言わず天井と言わず走り抜ける。
さらに奇妙なる切削球体を解き放ち、壁や床をぶち抜いて百面鬼『風魔小太郎』へと迫っていたのだ。
「こ、この音はなんだ……!?」
百面鬼『風魔小太郎』の困惑も当然であったことだろう。
己に向かってくる音。
コレが何を意味するかなど、言うまでもない。猟兵だ。構える『風魔小太郎』の眼前の壁が砕けるようにして吹き飛ばされ、瓦礫とともに現れたのはロニの笑顔であった。
「あっと、見つけた。小太郎くんにダイレクトアタ――ック!」
そのままの勢いで振りかぶった拳が輝く。
それは神撃(ゴッドブロー)の一撃。
切削球体が『風魔小太郎』を『忍者屋敷』の壁毎吹き飛ばし、高くロニが飛び上がる。
輝くユーベルコードの光は、滅びの光。
信心無き者にも神々しさを感じさせる拳の輝きは、まさに神の一撃。
いや、理不尽、不条理の一撃であったことだろう。
あまりにも単純明快。
猪突猛進すらも可愛げがあるような、それほどまでにあらゆる障害を笑い飛ばすようなロニの突進に『風魔小太郎』は揺らめく眼窩の輝きを明滅させる。
「馬鹿な……! こんなことが、在って言い訳がない! 己が風魔忍法が、こんな力押しで破られるなど!」
「そんなことあるんだよ。さあ、これで終わりさ。ド――ンッ!!」
放たれる拳の一撃は『風魔小太郎』を捉え、『忍者屋敷』毎一撃のもとに破壊する。
それは周囲に在りし『忍者屋敷』すらも崩壊させながら『風魔小太郎』を霧消させる一撃。
猟兵たちが紡ぎ、そして繋いだ戦いの連鎖を今此処に結実する拳の一撃は、アポカリプスヘルに生きる人々の明日を阻む『風魔小太郎』を打ちのめす。
北関東荒野に穿たれたクレーターの如き大地。
叩きつけられた拳を持ち上げると、そこにあったのは砕けた髑髏面。
ここに再び相まみえた百面鬼『風魔小太郎』は、完膚なきまでに猟兵に打倒され、その目的を何一つ達することなく骸の海へと還ることになったのだった――。
大成功
🔵🔵🔵