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【サポート優先】もっと燃えるがいいや

作者：川内嘉治

※　これはサポート参加者を優先的に採用するシナリオです（通常参加者を採用する場合もあります）。

●熱くなりそう
「アポカリプスヘルのお仕事っすよ－」
　秋月・充嘉（キマイラメカニカ・f01160）がグリモアベースにて猟兵たちに呼びかけている。
　アポカリプス・ランページやそれ以前の活躍によって、ストレイト・ロードが定着してきている。
　その結果、道路に繋がる拠点が「水や薬、医療物資といった品物を求める他拠点からの救援要請」に応えることも徐々に可能になってきている。
　流通とまではいかずとも比較的安全な交通ができるようになっているのは、この世界にとって良い兆候だ。
　だが危険がなくなったかと言われれば、残念ながらそうでもなく。
　レイダーたちが道路を通過する輸送隊へ襲撃が予知された。
「まー、舗装された道があってそこに大荷物運んでいる部隊見たら『襲ってください』って言ってるように見えるんすかね。そーいうのは個々人のベッドでやってほしいっすよ」
　いらんこと言ってるが、襲われることには変わりないので輸送隊の護衛及び襲撃するレイダーの撃退が今回の依頼だ。

「襲ってくる集団は『ダーティーギャング』っす」
　卑劣な手段を使うギャング集団で今回は放火や爆薬など、火災になるものを中心に仕掛けてくる。
　火炎瓶、火炎放射器、ダイナマイトととにかくなんでも燃やし尽くす勢いだ。
　まずは奇襲によってパニックを起こしているだろう輸送隊の隊員達を落ち着かせつつ、消火活動を行ってもらいたい。
　燃え移ると大変な物資車両を中心に消火しておけば、残りは平静を取り戻した隊員達がやってくれるはずなので猟兵達はギャング達の撃退にまわってかまわない。
「ギャング達を撃退しきれば、この輸送は成功するっすよ。それじゃ、よろしく〜」

第1章 冒険 『大炎上』

POW   :    消火活動を行う SPD   :    物資の運び出しを行う WIZ   :    生存者の救出を行う 👑7 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

●
　寺内・美月（霊軍統べし黒衣の帥・f02790）の指示を受け、彼の副官であるトゥルパが現場へと急行する。
　グリモア猟兵の予知通り、輸送隊の車両が炎を上げていた。
　状況を確認したトゥルパは重要度の高いであろう車両へと駆けつける。
　爆発の影響で地面を転がったのであろう、呆然としている隊員を見つけ、肩を揺らす。
「……え、あっ？だ、誰ですか、あなた！？」
「貴官らの救助活動へ赴いた」
「救助って……」
「同時に襲撃犯たちの討伐も受けている。まずは消火活動を行う」
「え、まっ……」
　隊員の返事を待たず車両の消火活動を行いはじめるトゥルパ。
「貴官は要救助者の捜索を」
　隊員を見ずに淡々と消火活動を続けるトゥルパの声に、隊員も気をとり直して行動を開始する。
　火の手はまだ上がっている。
　爆発は少ないものの、いつ大きな爆発が起こるかはわからない。
　目前の消火を終えたトゥルパは上官の指示を完遂するため、次の車両へと向かいだした。

成功 🔵​🔵​🔴​

●
「まったく……ちょっとあんた、しっかりしな！！」
　放心している隊員を見つけてグレナディン・サンライズ（永遠の挑戦者・f00626）は叱咤する。
　叱咤された隊員は気を取り直し、声をかけた相手が老婆だということに気が付いた。
「す、すいません！おばあさん、お怪我は……」
「あたしゃ平気さね。消火はやっとくから、あんたは他のやつを助けに行きな」
「え？で、でもおばあさん一人にするのは……」
「あんたの倍以上生きてるんだ、修羅場には慣れっこさ。ほら、さっさと行く！！」
　食い下がったら撃たれそうな勢いで言われてしまえば従うしかない。
　隊員はなんとか返事を返して、他の隊員のもとへと急いで向かい始める。
　見届けたグレナディンは消火活動を始める。
「まったく、たかが放火で……」
　かつて宇宙海賊として名をはせていた彼女からしたら、この程度はちょっとした喧嘩程度の騒ぎだ。
「もう少し鍛えた方がいいんじゃないかい？」
　落ち着いたら隊員たちをしごいた方がいいかもしれないと思う老婆だった。

成功 🔵​🔵​🔴​

●
　ギャング達の行った放火は少しずつ収まりをみせていた。
　猟兵たちの手によって正気付かせた隊員たちが動き始め各自で救助や消火活動を行っており、完全に鎮火するのも時間の問題だった。
　仇死原・アンナ（処刑人 魔女 或いは焔の花嫁・f09978）と陽環・柳火（突撃爆砕火の玉キャット・f28629）はまだ火が上がっている車両一台一台を見て、逃げ遅れの人がいないかを見てまわっている。
　幸いにも二人が今見ている車両までには逃げ遅れも死者もいなかった。
　だが、次の車両で問題が発生した。
　運転席にまだ人が乗っていた。
　火災が起こっていてなお車両から降りていないということは、降りられない理由があるはず。
　動けないほどの重傷になったのではないかという予想はしかし、外れることとなった。
　運転手だろう青年は頭から多少血を流してはいたものの、意識はしっかりしておりエンジンをかけようとしていたからだ。
「あんた、何をやってんだ。危険だから、降りろって！」
　駆け寄ったの柳火の声に気づいたようで、一瞬だけ視線を向けるもすぐに視線をエンジンキーに向きなおす青年。
「こいつを移動させないと、ヤバいことになる……！」
「どういうことだよ？」
「この車には予備のバッテリーとか、燃料タンクが積んである！このままじゃ、大爆発だ！……くそっ、エンジンがかからねぇ！」
　まったくかかる様子のないエンジンに業を煮やした青年はハンドルにきつく当たる。
「あとは俺たちがなんとかするから、あんたは車から離れなっ！」
「だが、でも……！」
「いいから！」
　なんとか降ろそうと説得を試みている柳火だが、青年は降りようとしない。
　そこにアンナが割って入ってきた。
「危険なのは、この車両だけですか？」
「あ？あぁ」
「わかりました、動かします」
「はぁ？」
　青年の声を聞き取るより前に側面に移動したアンナは顔色を変えずに車両を持ちあげ始めた。
「え！？うぁっと！？」
「は、早く降りろって！！」
　まさか女性一人で動かされるとは思ってもいなかったのか、柳火の声に押されるように慌てて車から降りる青年。
　無人になった車両を持ち上げたアンナは周辺を確認すると、誰もいない方向に向かて投げ飛ばした。
　飛んでいった車両が遠くで爆発を起こったのを横で見ていた柳火と青年。
「「……マジかよ」」
　二人の口から出た言葉は偶然にも一致していた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

第2章 集団戦 『ダーティーギャング』

POW   :    お寝んねしな！ 【鉄パイプや鎖】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。 SPD   :    催涙スプレーの時間だぜぇ！ 【催涙スプレー】から【目の痛くなる液体】を放ち、【目の痛み】により対象の動きを一時的に封じる。 WIZ   :    おらおら、おとなしくしな！ 【手錠】【スタンガン】【鎖】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

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　火災は猟兵たちが危険だった箇所を優先して対処したため、物資の焼失や人員の損害は最小限に抑えられた。
　治療や再編成は元々の隊員たちに任せ、猟兵たちは今回の首謀者たちである『ダーディギャング』達の追撃にそれぞれ向かった。
　バラバラに追い詰められたギャング達は追ってきた猟兵に抵抗を示し始めた。

●
　ミロ・バンドール（ダンピールの咎人殺し・f10015）は向かってくるギャング達の催涙スプレーを目に入らないよう腕で防ぎ、攻撃が止まったところでスプレー缶を振り落とす。反射的に取りに行こうとするギャングへと『執行』する。
「裁きの時は来たれり、汝の罪を贖うべし」
　この場合、罪というのは物資の強奪と人員への傷害。
　ミロの拷問具はギャングを的確に捕らえていき、処刑が執行される。
　まだ少年と言っていいミロの攻撃は、物語にあるような英雄的な攻撃ではない。
　しかし、罪を認めないという意味でなら重なっている部分があるのかもしれない。

●
　ラムダ・ツァオ（影・f00001）へと向かったギャング達は、ラムダが女性ということもあり強気になって彼女へ襲い掛かる。
　あわよくば、と思っているのだろう。
　そんなギャング達の思惑にさせるつもりは最初からない。
　ギャング達の攻撃を危うげなくかわし、武器を構えるラムダ。
　光を吸収しているかのように黒いその武器の面を、ギャングの視界に入るように見せつける。
「映せ」
　幻影少女と名付けたこのユーベルコードの発動は一言だけでいい。
　その一言だけで、その敵にとって『最も愛おしいものの幻影』が攻撃を行うからだ。
　その幻影はラムダには見えず、他のギャング達にも見えない。
　向けられたギャングにとっての最も愛おしいものとはなんだろうか。
　ラムダにとってそれは、知る必要のない物事だ。

●
　ロバート・ブレイズ（冒涜王・f00135）に向かったギャング達はもはや不幸としか言いようがないだろう。
　見た目こそ紳士的な老人の姿であるのに、その内面が全くあっていないのだから。
　手錠やスタンガン、鎖をぶつけた一人のギャングが歓喜の声をあげた。
　しかし、その声はすぐに変わる。
　ロバートは腕にまかれた鎖を力任せに引っ張り、ギャングを引き寄せた。
　急な行動に対処できなかったギャングの首を締めあげ、持ち上げる。
「幽閉された魂よ。貴様等は『終』に解放される」
　そう呟いたロバートの精神から腕を通して、暴走した魂の群れがギャングの精神に流れ込む。
　ギャングにとってはそれだけでも恐怖を覚える現象だが、これだけでは終わらなかった。
　内側、精神、魂といっていい部分が『改竄』されていく。
　そんな経験を受けたことがあるはずもないギャングの口から狂気の声が上がる。
　ふっと声が消える。どうやら気絶したらしい。
　そんなギャングをロバートは特に何も考えず地面へと叩きつける。
　硬いものが液体と一緒になって潰れる音は、彼がただのヒトではないことを示しているかのようだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

※トミーウォーカーからのお知らせ
　ここからはトミーウォーカーの「猫目みなも」が代筆します。完成までハイペースで執筆しますので、どうぞご参加をお願いします！


「救援物資の輸送隊を狙って襲撃とは、許しがたいな……俺も力を貸そう」
　荒野の風に氷のような銀髪をなびかせて、アス・ブリューゲルト（蒼銀の騎士・f13168）は加勢に来た旨を短く告げる。既に襲撃の首謀者であるダーティギャング達は統率を失い、半ば自棄になって各個バラバラに暴れているだけのようなものだ。つまりはアスの敵でもなければ、同情を向けるような相手でもない。
「悪いが加減はしてやれないぞ」
「ひ、ヒィ……！　どこの奪還者だか知らねえが、邪魔すんじゃねえ！　こいつでのたうち回ってろォ！！」
「……チッ」
　これ見よがしに催涙スプレーの缶を掲げ、やたらめったら噴射するギャングの姿にひとつ舌打ちを零して、アスは下げていた二丁の熱線銃を引き抜いた。
「幾ら何でも見苦しいとは思わないのか？」
「ギャッ」
　最初の一射で利き手を撃ち抜かれ、ギャングはスプレーを取り落として悶絶する。そのままつかつかとギャングの傍らまで歩み寄り、その焦燥に歪んだ顔を冷たく見下ろしながら、アスは双銃の片割れを敵の胸元に突きつける。オブリビオンであり、卑劣なギャングでもあるこの男にかける情けなどある訳もない。
　ひとつ光の迸る音と共に、そうしてオブリビオンは骸へと還っていく。それを見送るでもなく振り返り、アスは次の敵へと狙いを定めた。

成功 🔵​🔵​🔴​

「初めに言っておきますと、わたくしあなた方のような人は大っ嫌いですの」
「へ、へぇ～？　随分勝気なお嬢様じゃねえの、だが……」
「お黙りなさいませ！　物資を求める街がある、それ即ちわたくし共の販路が生まれうるということですのよッ！　これ以上彼らを虐げようというのなら……」
　そこでたっぷり間を取って、クロエ・ボーヴォワール（ボーヴォワール財閥総裁令嬢・f35113）はかっと目を見開き、ギャングどもを一喝した。
「カネの力でぶっ飛ばしますわよ～！！！」
　カネこそ力、力こそパワー。しかしてそのパワーは、等しく人々の為に振るわれるものであってこそ。ぶっ飛んだ自由さの持ち主ではあるが、クロエは同時にノブレスオブリージュの精神にも満ちていた。
「な……なんだこのイカレ女！」
「やっちまえ！　殺さずふんじばって売り飛ばせばこっちのカネだ！！」
「ふッ」
　殺さず無力化するという目論見は嘘でもなんでもないのだろう、催涙スプレー片手に（でもだいぶ及び腰気味に）詰め寄ってくるギャングを鼻で笑って、クロエは蒸気機関式拡声器を口元に当てる。
「では、実演販売のお時間ですわ！！　お覚悟はできていまして～～～！？」
『ボーヴォワール魔法蒸気技術』製蒸気機関式拡声器『ヴェイパーウェイヴァー《ヤーデⅢ》』、あなたの歌声を世界の果てまで。
　そんな訳でアルダワの蒸気魔導文明技術の粋を尽くしたシンフォニックデバイスによって増幅されたクロエの華麗な魔術は、ギャングどもを無事に捻じ伏せるのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

「いいねえ、舗装路が出来れば車も走りやすい！　うんうん、実にいいことだ」
　愛騎でギャング達の目の前に割り込むなり、櫟・陽里（スターライダー ヒカリ・f05640）は太陽のような笑みでそう言い放った。
「な、なんだテメェ……」
「だがなぁ、そこを狩り場にされるってのは気分が悪い。そういうのは俺の好みじゃないんでね。って事で」
　ブォン、と激しく唸るエンジン音。やっぱりキラキラ明るい笑顔のまま、『走り』を最大の武器とする男はこう宣言した。
「ハイウェイの正しい楽しみ方ってやつを教えてやるよ！」
　言うなりアクセルを吹かして走り出せば、シールド展開バイクは豪快にギャングのひとりを撥ね飛ばしながら風になる。流石に相手もオブリビオン、撥ねられたくらいで死にはしないものの、その顔には明らかに『こいつヤベェのでは……？』という恐怖の色が浮かんでいた。
「……ッ怯むなァ、アイツもぶっ殺せ！」
「おおっと」
　それでも果敢に向かってくる敵をハンドル一つでひらりとかわし、時には同士討ちを誘うように急ターンやジャンプを決めて、陽里は軽々と戦場を支配していき、そして。
「さて、お前で多分最後だが。何か言うことはあったかい？」
　問うてもギャングは答えず、ただ命乞いの形に唇を震わせるばかり。それならと目の前の敵に拳銃を向ける陽里の表情を、僅か一瞬メットの影が隠して。
　乾いた銃声ひとつの後、ややあって彼はぐっと腕を伸ばし、後方の輸送隊員達に歩み寄って笑いかけた。
「さて、終わったぜ。どうだい、よければ輸送の方も手伝おうか？」

成功 🔵​🔵​🔴​

最終結果：成功 完成日:2022年04月13日