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銀河帝国攻略戦⑪~乾坤一擲

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 帝国大要塞『エンペラーズマインド』への本格的な攻勢が開始されたにも関わらず、その威容は微塵も霞んでいない――そのように思えた。
 それもそのはず、規格外のコアマシン『エンペラーズマインド・コア』による『エンペラーズ・マインド』への修復を停止させなければ、根本的な解決は望めない。そのため『エンペラーズマインド・コア』中枢、コアマシンルームそのものへ突入し停止させる作戦が急ぎ行われる事になった。

●銀河帝国攻略戦⑪~乾坤一擲
 よく来てくれたね、と水衛・巽(鬼祓・f01428)が集まった猟兵達を迎える。
「まず最初に言っておくよ。『エンペラーズマインド・コア』への突入作戦だけに、これまでの作戦とは違って危険度も相応に高いと思ってほしい」
 コアマシンルームへ至る侵攻ルートはこれまでの戦闘で確保されているので、そこまでは比較的安全に行うことができる。しかし問題はその先だ。コアマシンルームを守る古代超兵器『デストロイ・ウォーマシン』を排除しなけば、内部に入ることは不可能。
「かつての『解放軍』の英雄を何人も殺したと言われている強敵だよ。猟兵であっても油断すれば簡単に敗北しかねない」
 しかも内部には殺人ウイルス『オロチウイルス』が充満しており、このため活動限界は数秒程度と考えるべきだ。現状では理由がよくわかっていないものの、このウイルスはウォーマシンやバーチャルキャラクター等々、明らかに普通のウイルスが効くはずがない存在にも効果を及ぼす。
「突入したあとはユーベルコードを1度放つくらいが精々、だと思う。ただし、その後は責任持ってこちらが強制帰還させるから心配しないで」
 万全の態勢で挑んでほしい、と巽はやや語調を強めた。


佐伯都
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 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
=============================

 こんにちは、佐伯都です。銀河帝国攻略戦シナリオをお届けいたします。
 すべてOPに記載されている通りですので、渾身の作戦を叩きつけていただければと思います。
 成功条件は『デストロイ・ウォーマシン』の撃破。

 それでは皆様の熱いプレイング、お待ちしております。
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第1章 ボス戦 『デストロイウォーマシン』

POW   :    デストロイトリガー
【一切殺戮モード】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD   :    クリムゾンバースト
【全武装から全力砲撃】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    ユーベルアナライザー
対象のユーベルコードを防御すると、それを【自身の戦闘プログラムで高速解析し】、1度だけ借用できる。戦闘終了後解除される。

イラスト:V-7

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

マリアンネ・アーベントロート
作戦時間は数秒、敵は強敵……これは大変な戦いになるね。
とはいえ私に大火力攻撃はないから、やることは1つだね。
『催眠・万象の掌握』で相手の周囲の重力を強くして、他の猟兵が強力な一撃を叩き込むための隙を作るよ。
だから、なるべく他の猟兵複数と一緒のタイミングで仕掛けたいかな。
鍛えた【催眠術】技能を活かして、世界にだって催眠をかけてみせるから!
相手の『クリムゾンバースト』が砲撃なら、こちらの重力操作の影響で相手の狙いもブレてくれると思いたいね。
【毒使い】技能や【医術】技能は『オロチウイルス』に対しては私の腕前だと気休め程度だろうけど、ないよりはマシなはずっ。


亜儀流野・珠
オロチウイルス…殺人ウイルス…?はは!かなり嫌だな!
数秒の活動時間でできること、か。

よし、薙刀「狐の爪」を構え突入、からの…「大薙ぎ」だ!
受ける暇も観察する暇も与えん!
「怪力」にて全力で「薙ぎ払」い、周り全てを吹き飛ばし、道を作っての一撃離脱だ!

可能なら他の猟兵の作戦の手助け等をしてから離脱しよう。
時間は無いが出来る限り手を貸すぞ?

帰ったらうがい手洗い、あと風呂だな!


雨咲・ケイ
なるほど……、時間との勝負というわけですね。
では限られた時間の中で、最善を尽くすとしましょう。

【WIZ】で行動。
コアマシンルームに至るまでは
極力消耗を抑えるように努めます。

突入後は、即座に敵の配置と内部構造を
理解するように努めます。
そして味方と連携を取りながら
最適解と考えられる動きで接近します。
攻撃を受けても、怯んでいる暇はありませんね。

私の攻撃の方針は、後続の味方の為に
【サイキックブラスト】による一時的な
行動不能を狙う事です。
【スナイパー】と【2回攻撃】を活用して
最も装甲の薄い箇所を攻撃してやります。


オリヴィア・ローゼンタール
ういるす……たしか病気の元、でしたっけ?
そんなものを自陣に充満させるとは、いよいよ形振り構わないようですね
活動限界は数秒、すべてを賭けた渾身の一撃を……

【トリニティ・エンハンス】により聖槍に炎の魔力を纏い攻撃力を増大
限界まで敵機の構造を観察し、弱点を探る
単なる一枚の鉄板というわけでないならば、どこかに必ず脆い部分が存在するはず……!
毒への耐性で0.1秒でも長く留まって、最も効率的な一撃を計算する
全身全霊を込めて槍を投擲
太陽の如き輝きと超高熱を以って、あらゆる障害を焼き融かし穿ち貫く
我が一撃――受けてみよ!


コノハ・ライゼ
OK、邪魔者はしっかり排除しましょうか

辿りつくまでも消耗は最小限になるよう注意していくわね
『高速詠唱』で【彩雨】を発動
正面より撃ち込む針に紛れ『だまし討ち』よろしく接近し
『2回攻撃』でつけた傷を狙い「柘榴」で『傷口をえぐる』ヨ
刃が届けば『生命力吸収』で少しでも態勢維持しときたいトコだけど
敵攻撃の隙を見出せれば『捨て身の攻撃』も厭わず懐に飛び込もう

敵の全武装が開いたら全力砲撃を警戒
【彩雨】を広範囲に降らせ相殺や威力減衰狙い
殺戮モードには【彩雨】を敵周囲へ横殴りに降らせ
その動きで敵照準の攪乱を狙って『かばう』

倒せたなら負傷は『オーラ防御』と『激痛耐性』で凌ぎ
コアへ全力の一撃叩き込みたいトコ


三蔵・迅
ようやくここまで辿り着けましたね
あの機体がどれほど人々を苦しませてきたのか、容赦の無い攻撃を見れば私にも想像は出来ましょう
けれどそれで怯むことは致しません

他の方とも連携して集中攻撃
狙うはウォーマシンが装備している火器
全力砲撃を行われる前に破壊する
敵が攻撃を受けた箇所を狙ってサイキックブラストで攻撃

機械ならその体中に命令を伝達させるコードがある筈です
この高圧電流の負荷、どれほど耐えられますか?

例え私の力及ばずとも。
共に戦う仲間の力を信じて後を託す
帰還時にもし余裕があれば、自分よりも重傷の人を支えて戻ります。

(連携・アドリブ歓迎です)


佐之上・権左衛門
【POW/アドリブ・絡み歓迎】まぁウチラが奇跡を起こせるかなんてのは判らないけどやれるだけはやってるさ。
目標を確認できたら「先制攻撃・早業・力溜め」を使い、速攻で仕留めにかかる。
接近戦の間合いをとり、愛用の斧で「鎧砕き・鎧無視攻撃・2回攻撃・怪力・衝撃波・吹き飛ばし・気合い・破壊工作」の技能でフルスイング。
「流石に硬ぇな。UCも使えないし、こりゃ一筋縄ではいきそうもないか」
と悪態をつきながらも楽しそうな笑みを浮かべてあくまで近接戦で戦いを挑む。
回避は「残像・第六感・武器受け・盾受け」で。
コアにはUC 【あんぱん爆弾】で飛来するあんぱん型爆弾を全てコアに向けて集中攻撃。
「ちっ、流石に頑丈だな」 


レイラ・エインズワース
鳴宮・匡サン(f01612)と

心無い戦闘兵器かァ……
過去の夢が未来ある人たちを刈り取るっていうナラ
好きにさせないカラ
頑張って止めようネ

呼び出した魔術師と共闘
散開して狙いを絞られないようするネ
朗々と、天に響くように【高速詠唱】で【全力魔法】の紫炎に【呪詛】を籠めて放つヨ
魔術師の雷撃とタイミングを合わせて
鳴宮サンが作ってくれた隙を生かすようにたち向かうヨ
狙えるナラ、ミサイルポッドを狙って壊したいナ
鳴宮サンが攻撃するトキは魔術師に死霊魔法で回避を妨害させるネ
被弾したラ燃え盛る炎で【生命力吸収】して再生するヨ
私だって人ならざる身
このまま倒れるワケにはいかないカラ

アドリブ・絡み歓迎ダヨ
好きに動かしてネ


鳴宮・匡
◆レイラ(f00284)と
◆他、連携・アドリブもOK

心があろうとなかろうと関係ないさ
目の前に敵がいるなら、倒すだけだ

……ああ、頼りにしてるぜ
でも、無理はするなよ
こんなところで死ぬのは、馬鹿らしいからな

レイラと、彼女の召喚した魔術師の位置を確認
位置を細かく変え、狙いを絞らせないように立ち回る

序盤は動き出しや攻撃の予備動作を妨害する形で牽制射撃
レイラの攻撃が通りやすいよう相手の動きを制限

全武装斉射の動きがあれば【抑止の楔】で妨害
狙いは武装を把持する部位の関節部
或いは各火器の発射口、狙いを定める為のセンサー類
封殺できれば御の字だけどな
無理でも、僅かでも威力を削いでおきたい
他の味方への支援にもなるしな


マユラ・エリアル
全く、厄介な話だ
個体能力が高いうえに、此方の行動まで制限されるとはな…
だが、それならそれでやりようがある
この一撃に全てを込めればいい
この数秒に私の全力を注ぐさ

●戦闘
『全力魔法』『属性攻撃』でユーベルコードをブースト
『スナイパー』でデストロイウォーマシンの武装を狙って【氷刃展開】を使用
全ての氷の刃を一気に放出
数で圧倒してやろう
さあ、氷刃の嵐に呑まれろ!

例え此方の技を盗もうとも、返される前に撤退すればそれで良い
さっさとお暇させてもらうさ

●アドリブ等歓迎


クネウス・ウィギンシティ
アドリブ&絡み歓迎
旅団:全世界サイボーグ連盟のメンバーの二人と参加予定
①佐之上・権左衛門(見た目はおっさん、中身もおっさん・f00239)
②リズ・ルシーズ(Re-Z・f11009)

「例えウイルスが散布されていようと、やるべきことは変わらない」

【POW】
準備:サーチドローン(速く動く物)を囮にする
方針:マシンガンをばら撒きつつ、ドローンに注意を引いた瞬間パイルバンカーを当てる

(仲間がいれば)
「壊れても後で直せる私が突貫させて貰いましょうか」

(UC)
「マシンガンの弾幕で動きを封じて、パイルを突き刺す。呆れるほどに有効な戦術ですね」

(コアに届けば)
「パイルバンカーを突き刺しておきますか」


リズ・ルシーズ
【全サ連】や他猟兵との連携、アドリブ歓迎だよ!

【SPD】

【迷彩】状態で重力制御装置で空を飛んで【空中戦】だね、上から【情報収集】して皆に情報を展開し【地形の利用】をして戦いやすいようにするよ。【先制攻撃】は【擬似刻印】のレーザーによる光【属性攻撃】、後は皆の【援護射撃】かな

まずは先制攻撃行くよ!

敵に狙われたら、【残像・見切り・逃げ足】で距離を取ると見せかけて、【フェイント】をかけて【零距離射撃】で【だまし討ち】かな

霊距離でもすぐにはやられてあげないよ!

コアへの突撃が可能になったら、ルシーズを使うよ!【変装】で他猟兵の姿にして【時間稼ぎ】しつつ、突撃させてコアで自爆させるつもり

行って、ルシーズ!


ウィンディ・アストレイ
全世界サイボーグ連盟メンバーや
他猟兵との連携や絡み&アドリブ歓迎

【SPD】全装備のバーニアとスラスタを全開にして
【クリムゾンバースト】ギリギリ射程外で回避運動を取りつつ
敵構造や装甲配置、機動等を観察して動力部の位置を確認

把握次第、アームドガーダーとオーラ防御や
最低限の回避運動で攻撃を凌いで敵に肉薄
全力以上でのUC【Influx Burst】を、動力部への最短部位に叩き込みます
「貴方達の時代は、もう終わりました。過去の褥で、お眠りなさい」
一撃で撃破出来なくとも、その装甲を砕いて剥がし
動力部への攻撃を容易に出来れば成功です

コアへの攻撃が可能なら、再度【Influx Burst】を撃ち込みます


リンタロウ・ホネハミ
うっへ、ウイルスってなんすかウイルスって
よく分かんねーけどえらくヤバい戦場っつーのは理解したっすわ
ま、タツミが責任持って回収してくれるっつーんなら
オレっちも猟兵としての責任を果たさなきゃだめっすね
もちろん、お賃金の範囲でっすけどね!

まずはなんとかルームとやらに全速力で突入!
どうせ数秒しかいられねぇんす、敵の攻撃は全無視
敵が一番多い所にただ一撃を放つことに集中するっす
そんでゴリラの骨を食って【〇二〇番之剛力士】を発動!
オレっちの力とテメェらの耐久力、どっちが上か見せてやるっすよ!!

そうして放った一撃で地形を変えて、敵の布陣に隙を作るのも忘れないってね!
へっ、デキる傭兵っぽいっしょ?

アドリブ大歓迎



 コアマシンルームへ至る長い長い通路を、猟兵達は走っていた。
 既に侵攻ルートは確保されていると請け負われただけあって妨害らしい妨害もない。時折遠く低く、宇宙空間での戦闘音と思しき轟音のような爆音のようなものが聞こえてくる程度だ。
「あれだね」
 共に突入作戦へ挑んだ【全世界サイボーグ連盟】のメンバーはもとより、それ以外の参加メンバーをも大きく敏捷度で上回るリズ・ルシーズ(Re-Z・f11009)の目に、コアマシンルームと思しき通路の終端に居座る朱赤の装甲が見えた。
 鮮やかなグリーンのモノアイ――ライトも兼ねるただのカメラレンズだと理解していても、それを『目』と感じてしまうのは何故だろう。
 赤い傘を被ったようにも見える頭をわずかに傾げ、デストロイウォーマシンはリズを『見る』。背負ったミサイルポッドと腕のように見えるビームライフル、その全ての銃口に光が走ったのは一瞬だった。
「――伏せろ!!!!」
 リズのすぐ背後にいた鳴宮・匡(凪の海・f01612)が後続の猟兵、かつレイラ・エインズワース(幻燈リアニメイター・f00284)に向け叫ぶ。凶悪としか表現しようのない一斉射撃が無差別に猟兵達を襲った。しかし、まだその大半がコアマシンルーム前ではなく通路にいたことが幸いしたのだろう、被弾した者はいない。
 イィィイイと小さく耳障りな、しかし鋭い音。それでグリーンのモノアイが己に照準を合わせようとしているのをリズは知る。
 朱赤の装甲はかつて幾人も屠られたという英雄達の血の色を写しているような気がして、ふと怖気が走った。しかしリズを追っていたはずのレンズが急に別の対象、高速で飛び来たサーチドローンを追い始めたことで我に返る。
「皆、まずは先制攻撃いくよ!」
 ここで足踏みしている暇などないのだから。
「お待たせしました、敵戦力の解析を開始――把握次第、攻撃に入ります」
「了解。壊れても後で直せる私が突貫させてもらいましょうか」
 リズの声に応えるように、コアマシンルーム前へ到着したウィンディ・アストレイ(W-ASTRAY・f09020)、そしてクネウス・ウィギンシティ(鋼鉄のエンジニア・f02209)の2名が素早くウォーマシンを囲んだ。言葉通りクネウスがマシンガンの薬莢を盛大にばらまきはじめ、ウィンディがリズと共に全装備のバーニアとスラスタを全開にしてレーザーをばらまき、攪乱にまわる。彼等より一足早く戦場に到着していたサーチドローンは、どうやらクネウスのもののようだ。
 一瞬距離を取ると見せかけてのフェイント。速度にものをいわせ懐に飛び込んだリズの零距離射撃が、赤い装甲に火花を散らした。
 青く光るビームサーベルの斬撃をかいくぐり、匡はいつでも抑止の楔を放てるようウォーマシンの挙動を注視する。その視界の端、すでに戦端が開かれていることに気付いたオリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)と佐之上・権左衛門(見た目はおっさん、中身もおっさん・f00239)の二人が、咄嗟に散開していくのが見えた。
「うっへ、よく分かんねーけどえらくヤバい戦場っつーのは理解したっすわ」 
「はは、違いないな! だが奴さんには受ける暇はもちろん、観察する暇も与えん!」
 慌てて全身を通路へ引っ込めたリンタロウ・ホネハミ(Bones Circus・f00854)の頭ぎりぎりを、ビームライフルの斉射が薙いでいく。通路からあえてマシンルーム前に飛び出すことでそれを躱した亜儀流野・珠(狐の恩返し・f01686)が、やや引きつった笑みを浮かべた。
 これでコアマシンルーム前に到着した猟兵は8名。ウォーマシンの情報を宙へテロップ状に忙しく展開しながら、リズは反撃の機会を探っていた。粘るべき戦いならばいざ知らず、勝ちにいかなければならないならもう少し、数がほしい。
 胸のように見える朱赤の装甲の、さらに下。全体のサイズに対し妙に細い印象のある、まるでむきだしの脊椎のような腰部にウィンディは狙いを定める。
 ビームサーベルの斬撃をアームドガーダーで受け流そうとするものの、途中から角度を失敗したのか楯下半分がすっぱり切断された。
「貴方達の時代はもう終わりました。過去の褥でお眠りなさい」
 怯まずそのまま懐へ潜り込み、至近距離から渾身のインフラックス・バーストを叩き込む。満足できる手応えが返り、ウォーマシンが数歩たたらを踏んだ。
「まだまだいくよっ! 『すべて私の意のままに』!!」
「もう、好きにさせないカラ」
 マリアンネ・アーベントロート(ゼーブスタスの催眠術師・f00623)の声と共に殺戮兵器周辺の重力磁場が狂い、リズが表示させている数値が急転直下の乱降下を繰り返す。重しをかけられたように鈍くなったかと思えば、それに抗するように出力を上げたウォーマシンの動力機関が赤熱し、束縛を振り切ったように動きが暴発した。
 勢い余ってマシンルームの壁に激突したウォーマシンへ、狂気の魔術師を従えたレイラが現れその繊手をかざす。間髪入れずの高速詠唱でその頭上に紫色の炎が現出した。
 魔術師の雷撃と紫の炎が絡み合い、ウォーマシンを灼く。かなり早めに先行していた匡へちらりと視線を投げ、レイラは小さく笑った。
「皆脚はやいナア……頑張って止めようネ、匡サン」
「ああ、頼りにしてる。でも無理はするなよ」
 こんな所で死ぬのは馬鹿らしい――と、そう続けかけて匡は呑み込む。あのいかにも堅牢そうな壁の向こうに充満しているはずの殺人ウイルス、その存在を思い出したからだ。いくら死ぬ気はないとは言え縁起でもない。
「さすがに硬ぇ。こりゃ一筋縄では行きそうにないか……どうする?」
「次で仕掛けましょう。ドローンで注意を惹きつつ、パイルバンカーを撃ちこみます」
 通路脇の壁でミサイルの嵐をやりすごしつつ、クネウスはがつがつとマシンガンの弾を補給する。その傍らに、やはりミサイルから逃れてきたマユラ・エリアル(氷刃の行方・f01439)と三蔵・迅(遠き夕の灯・f04775)がなかば転がり込んできた。きっちり90度だったはずの壁の縁は、なにやらずいぶん角がとれて丸くなっている。
「やれやれ、個体能力が高いうえ厄介な相手だ。ただ無闇に撃って勝てる相手とも思わなかったが――存外硬い」
「ウォーマシン自身が装備している火器が狙い目でしょうか。次の全力砲撃が来る前に何とかしたいですね」
 マユラと迅の言葉に、権左衛門は小さく鼻を鳴らした。せめて動きを多少なりとも止めるか、あるいは絡め手があればそれを取っかかりにできたかもしれないという考えが頭をよぎる。マリアンネが頑張ってくれているのは事実であり素直に有り難かったが、彼女の催眠術だけで完全に黙らせられる相手でもなかった。
 ミサイルの斉射が止み、ビームザーベルの特徴的な音が聞こえはじめたマシンルーム前から、コノハ・ライゼ(空々・f03130)と雨咲・ケイ(人間のクレリック・f00882)が合流する。
「無事みたいだな。今どんなもんだ、ライゼ」
「リズが負傷したので、オリヴィアがあちらの通路へ。命に関わることはないと思うケド、ウイルスに触れさせるのハ、さて?」
 到着が速かった者たちの負傷はこれからさらに積み上がるだろう。クネウスがゴーグルの向こうで軽く眉根を寄せるのを見て、ケイはやや語調を強めた。
「ここで怯んでいる暇はありません。攻撃は最大の防御とも言います、搦め手が乏しいなら打って出るしかないでしょう」
「まあ、殺戮モードになったら攪乱に出るのガ良いのかナ。幸い速く動くものに、猟兵は事欠かナイシ」
 わかりました決まりですね、と迅が首肯する。マユラにも異存はないようだった。
「いくらでもやりようはあるさ。今ここにない手をせがんだって何も始まらない」
 マユラはうすく笑い、飛び出すタイミングを計るようにウォーマシンの様子を伺う。
「要するに、こちらが一人だけでも残ってコアに一撃くれてやれば勝ちなんだ。そう考えれば随分簡単な作戦だと思わないか?」
「違いない」
 言ってしまえば極論のたぐいではあるものの、さりとてマユラの指摘は間違ってもいないので、権左衛門は喉の奥で笑う笑い方をした。迅は我が意を得たりという顔をしているし、コノハは面白いものを見たように笑っているだけなので、どうやら何もその方針に問題はないらしい。
 弾薬装填を完了したクネウスが、あえてウォーマシンへの突進を仕掛けた。意図を察したのだろう、すぐにケイが後に続き、コアマシンルーム前ではウィンディが援護に入っている。
「レイラ!」
「分かってる、任せテ」
 ウォーマシンが一つ目でいてくれてよかった、とレイラは浅い息をこぼしながら考えた。視線をこちらに向かせさえすれば、ウォーマシンはクネウスに気付かない。
 匡はレイラを、それでいてレイラは匡を、互いに援護し支援するようにウォーマシンの注意を惹きつづける。レイラの被弾も彼女自身が古代超機械のエネルギーを頂戴することである程度カバーできていた。
 ――ユーベルコードという驚異的な力を、猟兵達はそれぞれ行使する。それこそ亡者を操ることさえ。
「行っテ」
 ただ短く一言、レイラはピジョンブラッドの瞳で命じた。彼女が召喚した魔術師が大きく腕を振り、そこから爆発的な勢いで亡者の群れが湧きだしてくる。
 けたたましい金属音。ウォーマシンの可動部が悲鳴をあげた。無数とも表現できそうな亡者の群れは、やみくもに撃ち放たれるライフルの光条に射抜かれてもなお数を減らした気配がない。
「これで」
 手脚にも見える可動部にむしゃぶりつかれたウォーマシンの目の前、果たしてどのような手段で数メートルの距離を一瞬で詰めたものか――【Schwarzer Teufel】をかざした匡の姿があった。
「――動かないでくれると楽なんだけどな!」
 瞬く光を宿らせたウォーマシンの『目』を、渾身の力をこめたダガーが割り砕く。
 機械であるウォーマシンに痛覚はない、ないはずだ、しかし機械にとって視覚とも言えるセンサー類が集まったモノアイを破壊されウォーマシンは凄まじい咆哮をあげた。
 もはや本来の用を成さないモノアイは、ただのライトと化しているはず。しかし何かの箍が外れたように、古代のからくり人形は狂乱に陥った。
 容赦のない全方位砲撃が猟兵達を呑み込む。ウィンディがなんとか至近距離からの直撃をうけた匡を回収し物陰に転がり込んだものの、レイラの姿は見えなかった。
 機動力にものを言わせてきたウィンディではあるが、すでに数度の砲撃を受けている。ここが自身の限界と認めざるを得ない。
「ヤバい戦場っつーのは理解してたっすけど、ここまでヤバいとはねえ」
 リンタロウもまた咄嗟にレイラの襟首を掴んで通路脇に飛び込んだものの、紅い瞳のヤドリガミはぐったりと動かない。一瞬誰か助けを呼ぶべきか逡巡するものの、すでにリズが運び込まれている場所でもある。ここに残していってもそのまま置き去りにされる心配はない。
「ま、何かあってもグリモア猟兵が責任持って回収してくれるらしいっすからね」
 万が一という事もないだろうと考えつつ呟いたリンタロウの目の前に、ごきゃ、となかなかの音がしてウォーマシンのライフルが一本飛んできた。思わず顔を出すと、マリアンネを庇うようにマユラがビームサーベルの間合いから離脱していくのが見える。その向こうにやや小柄な、珠の背。
「ふん、他愛ないな!! 俺の【狐の爪】の味はどうだ!」
 いわゆる視覚を失ったウォーマシンは音声か何かを頼りにしているのか、珠へ銃口を向けるものの明らかに距離感がおかしい。方向は合っているが珠よりかなり手前に着弾するか、あるいはその頭上をこえてはるか遠くまでミサイルが飛んでいたりする。
「次は受ける暇も観察する暇も与えん。全力で薙ぎ払ってやろう!」
 あらためてよく見れば、朱赤の装甲はいつのまにか傷や凹み、焼け焦げたように塗装が黒ずみ泡立っている箇所も多い。向かいの通路の角ではオリヴィアが己が槍を小脇にして、クネウスと共に今一度飛び出すタイミングを伺っている所だった。
 その目はいまだ勝利を諦めていない。
「オレっちも猟兵としての責任を果たさなきゃだめっすね……もちろん、お賃金の範囲っすけど」
 やれやれと呟き、珠が薙刀を下段へ据えた瞬間にリンタロウはすっかり煤けた床を蹴った。骨剣【Bones Circus】を携え振りかぶるも、……どういうわけかどこからどうみても美味しそうな照りと焼き色のあんぱんにしかみえない何か、を周囲に浮かばせた権左衛門と目が合った。
「俺のあんぱんは美味ぇぜ、たらふく喰らいな!」
 人を食ったような笑みのまま、権左衛門はウォーマシンの背へ据えられているミサイルポッドめがけ右手を大きく振りぬく。その声でようやく彼の存在に気付いたように殺人機械が振り向くがもう遅い。
 背へアンパン爆弾の直撃を受けたウォーマシンは、爆風に煽られるように転倒した。もがきつつ起き上がろうとするものの、腕のように据えられていたライフルがいくつかなくなっているせいでうまく上体を支えられない。
「殺人マシーンも、こうなると憐れなものね」
 重力操作で何度も機銃掃射を逸らしていたものの、さすがにマリアンネの限界も近かった。それでも、恐らく次が最後の機会だろうと冷静に判断し、力が抜けそうになる己が膝を叱咤する。
「どこかに必ず脆い部分があるはずです。そこを狙えば」
 もはや立つ事そのものを諦めたのか、自らライフルを封印し四つ這いになったウォーマシンが暗い眼窩をオリヴィアに向けてきた。砕けたレンズの奥からちらちら漏れだしている火花がまるで血か、あるいは苦痛の涙のようにも見える。
 無闇に近付けばミサイルの直撃をもらいかねない。オリヴィアはもう一度薙刀を大きく振り回しはじめた珠から、静かに離れた。
「もう一度これを味わってみるか? 四つ足になったお前には似合いだがな!」 
 ミサイルポッドが一斉に珠へ向かって火を吹く。渾身の力で薙刀を振り回してミサイルを吹き飛ばし、あるいは叩きつけて破壊し、あるいは受け流した珠が得物を大上段に振りかぶった。
 瞬間、もはや捨てたと思われたライフルの銃口に赤光がともる。
 避けようもない至近距離からの全力砲撃。珠は思わず目を閉じた――が。
 その目蓋の裏に、とりどりの色をした光の雨が飛び込んできた。はっと我に返ると、コノハの彩雨が、マリアンネの物理法則を改変する光線がウォーマシンの砲撃を食い止めている。
 ぎりぎりまで奥の手を温存していたクネウスが動き、さらにマシンガンの弾幕を張った。珠を見失ったと考えたのかウォーマシンがクネウスの方向へ向き直ろうとする。
「まだまだ!」
 しかし、そこへさらにマユラが氷の刃を放った。残っていたライフルとミサイルポッドの銃口めがけ、剃刀じみた鋭さの白刃が収束する。
「さあ――氷刃の嵐に呑まれろ!!」
 銃口で凝った熱とマユラの氷刃の拮抗は続いたが、ついにマユラに軍配があがる。銃口とミサイルポッドの射出口が白く凍りつき、出口をなくしたミサイルとビームがポッド内部、そして銃身を粉々に破壊する。次いで、クネウスのパイルバンカーが三回轟音をとどろかせ、その強靭な装甲を破壊した。
 最後の足掻きとばかりにビームサーベルを振り回し、なりふり構わず襲いくるウォーマシンをオリヴィアはどこか憐れみの目でながめやる。
「貴方もここで終わりです。我が一撃、受けてみよ!」
 太陽をそのまま具現したような強い輝きと、超高熱。トリニティ・エンハンスがもたらす強化はそのようなものだった。オリヴィアが繰り出す聖槍の軌跡は、力強く、そしてどこか年経た機械人形へ終焉を告げる慈悲さえにじませていた。
 オリヴィアの槍がとらえたのは、ウォーマシンの装甲の下に隠されていた胸部。クネウスが引きはがした装甲の下には、動力源と思しきエネルギー体を納めた箱状のものが見えた。
 動力源を刺し貫かれたウォーマシンが苦悶の叫びをあげる。否、このウォーマシンに発声機能はない。しかし凄まじい断末魔の叫びを迸らせたように、猟兵達には思えた。
 ビームサーベルの刃が、全身全霊でもって槍身を支えるオリヴィアの頭に迫る。しかしそれも、最後の力を振り絞ったマリアンネの重力操作で叩き落とされた。
 ばちん、と大きな火花を飛ばしてウォーマシンはようやく動かなくなる。中途半端な高さに上げられたままだったビームサーベルから光が消え、暗い空洞と化したモノアイの跡からこぼれていた火花も止まり、――駆動音も、消えた。
 息を詰めていた迅がほっと溜息を吐き、まさかの事態があればサイキックブラストで介入するつもりでいたケイもまた胸を撫で下ろす。
「……さあ、仕上げにかかりましょう」
 誰もが傷だらけで、疲れきっていた。しかし最たる目的はウォーマシンの撃破ではなく、その先にある。
 比較的余力を残していたリンタロウとコノハ、ケイ、そして迅がコアマシンルームの扉の前へ進んだ。誰もが無言のまま、その突入を見守っている。
 何のてらいもないコノハの足蹴がコアマシンルームの扉を吹き飛ばす。
 どうやら件の殺人ウイルスは、息を止めていようがどうしようが関係がないらしい。薄く開けていたはずの迅の目はすぐさまひりつくような痛みに襲われ、リンタロウは古びた革鎧の隙間から死が忍び入ってくる錯覚すら覚えた。
「なるほどこりゃあ、正しく殺人ウイルスだ……オレっちの力とテメェらの力、どっちが上か見せてやるっすよ!!」
 がりりと骨を噛み砕き、リンタロウは骨剣をコアマシンに向けて振りかざす。視界の端に、不吉な黒い染みが浮かんだ。
「行きましょう」
 最善を尽くすと、そう決めてきた。ケイの両手の間へ見るからに超高圧の電流が、ぎりぎりまで濃縮され球状に凝る。殺人ウイルスが嵐のように吹き荒れる薄暗いコアマシンルームを、コノハの彩雨の色彩があざやかに染め変えていった。しかし、その色も、ぼたぼたと墨を落とすように増えていく黒い染みの向こうに消える。
 ケイとわずかに色を違えた迅のサイキックブラストがひときわ強い光を放った。視界の何もかも闇に塗り替えられるその一瞬前、猟兵達はコアマシンが粉々に破壊される爆発音を聞く。熱風、爆風、風で吹き上がった埃やガラス片。その温度や感触、すべてが強制転移によって遮断され、はるか遠くのものとなった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年02月12日


挿絵イラスト