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銀河帝国攻略戦⑬~越えるべきは己のみ

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦

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「お前たちには辛いことを頼まなければならん」
 いつも以上に真剣な雰囲気でエコリアチ・ヤエ(悪魔の呼び声・f00287)はグリモアベースで猟兵を募っていた。
「ドクター・オロチが乗る戦艦を隠しているジャミング装置の場所へ攻め込めるようになったので、猟兵たちにはその場所へ向かってもらいたい」
 その内容のわりにはパッとしない表情のままでエコリアチは説明を続ける。
 ジャミング装置の数は相当数があるようで、1つずつ破壊していかなければならないのだが、ここに問題がある。
 このジャミング装置はどうやら近づいた者に対し防衛機能を発動させることがわかっている。
 その防衛機能とは『近づいた対象のトラウマとなる事件などを再現し、対象の心を怯ませる』精神攻撃を仕掛けてくようなのだ。
 心が怯むとそのジャミング装置に近寄ることができず、遠距離からの攻撃は一切効かないという酷い仕掛けとなっている。またトラウマが強ければ強いほど干渉の力も強くなるようだ。
「そんなわけでな。このジャミング装置は過去のトラウマを克服しなければ破壊可能な距離にまで近寄ることができないっつーわけだ」
 こんな内容、とてもじゃないが口に出して頼めるようなものではないのだが、ここを捨て置くとかなりの数の敵を見逃すことになってしまう。
「こんなことを頼むのは心苦しいが、どうか己の過去と対峙し、克服してきてくれないか」
 眉間にしわを寄せたままグリモアを展開し猟兵たちを現場へと送り出す。
 この先は己との戦い。どうか過去を克服し、敵へと活路を開いてほしい。


鬼騎
 敵は精神攻撃を仕掛けてきます。
 乗り越えられた後のジャミング装置破壊は簡単にできます。
 文字数全て使って過去のどういった出来事がトラウマで、それを今の自分ならどう乗り越えるか。それをお書きいただければと思います。
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 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
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第1章 冒険 『ジャミング装置を破壊せよ』

POW   :    強い意志で、精神攻撃に耐えきって、ジャミング装置を破壊する

SPD   :    精神攻撃から逃げきって脱出、ジャミング装置を破壊する

WIZ   :    精神攻撃に対する解決策を思いつき、ジャミング装置を破壊する

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

夕闇霧・空音
(アドリブ・共闘歓迎)
【辛い記憶】
風魔衆を名乗る者たちから妹の天音を守るために彼らに捕まり
苛烈なサイボーグ手術と耐久実験と称した拷問を受けたことがトラウマ。

SPDを使い、精神攻撃から逃げ切ってみせる…
「たしかにあの時の私にはとても耐え難いものがあった…
 が、おかげで妹が助かったんだから…
 それに…今は猟兵のちからを得たおかげで…
 彼らからも逃げられるほどの、足の速さを得られた!」
そう考えて自分の足のちからを最大にして
ひたすら逃げ続ける。天音のために耐えきってみせる
そう強く思うことでこれ以上のトラウマによるダメージを和らげながら
装置の元へ目指す…



 拘束され、身動きがとれぬまま苛烈なサイボーグ手術を受けている記憶が強制的に脳裏に再生される。麻酔を上回る激痛。体中を開かれ、機械へと置き換えられ、人ではなくなることへの恐怖。
 夕闇霧・空音(凶風・f00424)のトラウマ。それは妹を守るため、裏世界で暗躍する忍び”風魔衆”を名乗る者たちに囚われ、サイボーグ手術を受けたこと。
 またサイボーグへの改造手術を受けた後は耐久実験と称した拷問の数々を受け続けた。通常の人間ならば到底耐えられないであろう過激な拷問。
 戦うことも逃げることもできずいつ終わるか、いつ責め苦を味わうかもわからない日々が鮮明に映し出されていく。
 あの頃の感情が空音の中に渦巻いていくが、空音はあの時の自分とは違うことを自らに言い聞かせ、走り始める。
「あの時とは違う、猟兵の力を得た。妹も助かってる。今なら私はあなたたちに捕まったりしません!」
 空音を捕まえようとする風魔衆を振り切り、空音は走り始める。
 逃げ切れるだけの速さが今の自分にはある。あの時と同じようには決してならない。
 第一に、妹が自分の帰りを待っているのだ。この記憶から耐え、必ず無事に帰還しなければならない。
 ひたすら自分を鼓舞し、走り続けると突如霧が晴れたかのように辺りの景色が晴れる。眼前には破壊目標であるジャミング装置。
 空音は止まることなくジャミング装置に向かう。
「封印開放! フリーズゼロ、発射!」
 ユーベルコード、封印兵装を発動させ、絶対零度の光線を放つ。
 トラウマから逃げ切った空音は見事ジャミング装置を撃破することに成功した。

成功 🔵​🔵​🔴​

ナンシー・アラタメ
「委細承知した。任せろ。全部受け入れてやる」

ナンシー・アラタメはライターである。
強烈なスタイルから批判を浴びることも多かった。
心が折れそうになったことは一度や二度ではない。殆どが致命傷。トラウマである。
「ある人は言った。彼らを冷笑し、目を背けていいと」
「私は言った。彼らを愛し、受け入れると」
「私は決めた。悪意の虫を、暴虐の徒を、私は愛すると決めた」
知れ。痛みは力だ。
生きる涙だ。
「私の炎は、死ぬたびに大きく、強く燃え上がる。
 もっとかかってこい。
 私は何度でも愛してやるぞ!」

UC『愛の拳』をジャミング装置に叩き込む。
装置の動きを止め、仲間を助けるためだ。
そして。
「お前も愛してやるためだ」



「委細承知した。任せろ。全部受け入れてやる」
 そう言い放ちジャミング装置破壊に向かったのはナンシー・アラタメ(愛の革命家・f00736だ。
 ジャミング装置に近寄れば、ナンシーのトラウマが蘇る。
 ライターを生業とする彼女のその苛烈なスタイルから、批判の的になることが一度や二度では済まなかった。
 それは己の誇りをもって成し遂げていることへの誹謗中傷。自分だけにとどまらず無関係な人々までも巻き込んで広がる悪意ある言葉たち。
 時には存在、人格までも否定してくる言葉にナンシーは深く傷つき、自己嫌悪に陥る。
 ふと、ある人が言った言葉が再生される。それはジャミング装置によるトラウマではない、自己の中から引き出してきた記憶。
 彼らを冷笑し、目を背けていいと。
 そう言われた言葉。
 しかし本当にそれでよいのだろうか。拒絶することで生まれるものとは一体何だろうか。
 ナンシーは口元に不敵な笑みを浮かべ、言い放つ。
「私は言ったのだ。彼らを愛し、受け入れると」
 ナンシーは決めているのだ。悪意の虫を、暴虐の徒を、すべてを受け入れ、愛することを。
 今やナンシーにとって過去のトラウマもすべて愛する対象。
 悪意ある者たちは知らぬのだ。人にとって痛みとは力になるということを。
「私の炎は、死ぬたびに大きく、強く燃え上がる。もっとかかってこい。私は何度でも愛してやるぞ!」
 何度でも痛みを受け入れ、立ち上がる固い決意を口にする。
 するとジャミング装置によるナンシーへの精神攻撃が途切れ、視界が鮮明となった。
 目の前には件の装置。帝国の脅威におびえる人々や今なお戦い続ける猟兵たちを助けるため。そして――。
「お前も愛してやるためだ」
 ナンシーの愛の拳が炸裂し、ジャミング装置を見事無力化させることに成功した。

成功 🔵​🔵​🔴​

ロア・メギドレクス
ロア・メギドレクスは『恐竜の化石』を真体とするヤドリガミである。
彼の生まれは、ある世界の博物館だ。
彼の生誕は多くの人々に祝福され、職員たちを家族とし、愛され育った。

そして。
彼の家族は、オブリビオンによって皆殺しにされた。
ロア・メギドレクスの瞳には、その光景が今も焼き付いている。

ゆえに。
余を衝き動かすのは、怒りだ。
余が廃墟と化した伽藍堂の博物館を居城としているのも、その怒りを忘れぬためだ。

斯様なまやかしで余が止まるものか。
余はこの魂魄尽き果て塵芥に還るその刻まで、汝らを赦しはせぬ。
余の牙が。爪が。この咆哮が!汝らを殺す!

控えよ下郎!余は最古にして最強の王竜!その化身なるぞ!



 浮かび上がる景色は歴史ある博物館だ。
 色を失ったがらんどうの博物館に、過去の記憶が色鮮やかに重なっていく。
 ロア・メギドレクス(獄竜暴君・f00398)はメギドラウディウス・レックスと呼ばれる恐竜の化石から生れ出たヤドリガミだ。
 ロアの出身世界の歴史において最大級の肉食恐竜とされ、畏敬と憧憬の念を一身に受けていた。
 そのようなロアの誕生は多くの人々に祝福され、愛されて育った記憶。
 そこから突如、血濡れた景色へとすべてが一変する。
 博物館へのオブリビオンの襲撃。それにより博物館の職員……ロアの家族たちは皆殺された。破壊される家である博物館、逃げまどい抗えぬまま事切れていく家族たち。その光景がロアの脳裏に焼き付く最大のトラウマ。
 しかし、どれだけトラウマをなぞられようがロアの心は怯んだりはしない。
「余を衝き動かす怒りを超えることなど、到底不可能である」
 今なおがらんどうとなった博物館を居城とするのも、その怒りを衰えさせぬため。
 あまねく竜の王であると高らかに宣言するのは愛してくれた人々へこの存在を誇示するため。
「控えよ下郎! 余は最古にして最強の王竜! その化身なるぞ!」
 ロアがこのようなまやかしで止まるはずがなく。
 その魂魄尽き果て塵芥に還るその刻までオブリビオンと戦うことを誓うロアの強靭な意志により、ジャミング装置の介入を跳ねのけた。
「余の牙が。爪が。この咆哮が! 汝らを最後の一匹まで必ずうち滅ぼしてくれる!」
 すべてのオブリビオンを滅するべく、ここを必ず突破しなければならぬのだ。
 眼前に現れたジャミング装置に竜槍剣メギドランスを突き刺し、見事装置を破壊した。

成功 🔵​🔵​🔴​

トール・テスカコアトル
この依頼……スゴく嫌だ

「トールが行くよ。トールには、他の猟兵さん達みたいに、おっきなトラウマなんて無いもん」

でも、震えてる拳をギュッと握って、志願しちゃった……なんでかな、本当に

「あれが……ジャミング装置」

『やーい弱虫トール!』
「……あっ」

黙れ

『悔しかったら、殴り返してみろよ!』
「やめて!」

殺すぞ

『それでも、竜の一族かよ!』
「ああ、ああぁ!!」

……トールの中に確かにある
憎しみ、悔しさ……殺意

「……怖い、よ」

ガクガク震えながら、足を進める
こんな情けないのがトールだって、知ってたもん……認めるよ

「強いって、なにさ!」

ぼろぼろ泣きながら
嫌いなヤツごと

「世界を護ってやる!ざまーみろ!」

【勇気】を出して



「どうしてトールは志願しちゃったのかな……」
 トール・テスカコアトル(ブレイブトール・f13707)は憂鬱な気持ちでジャミング装置のもとへと向かっていた。
 トールには大きなトラウマなどないからと、震える拳を握りしめ、勢い余って志願したのだ。
 本当になぜ自分が志願してしまったのか、首をかしげながらもジャミング装置目掛け歩みを進めると、ジャミング装置の防衛機能効果範囲へと入り込んだ。
『やーい弱虫トール!』
「……あっ」
 ――黙れ黙れ黙れ。
 それは極寒の辺境にある生まれ故郷での記憶。
 強いことこそ正しいという因習残る里では弱いものはいじめられても誰も助けてはくれない。次々と投げつけられる心ない言葉とともに浮かび上がる己の醜い心。
『悔しかったら、殴り返してみろよ!』
「やめて!」
 ――やめろ殺すぞ。
『それでも、竜の一族かよ!』
「ああ、ああぁ!!」
 それはトールの中にある悔しさ、そして憎しみに殺意。
 いまだ克服できない弱い己自身がトラウマの元凶。
「……怖い、よ」
 それを認めるのは怖い。
「強いって、なにさ!」
 情けない。そんなことはわかっている。でもこの情けなくて、弱くて、負の感情も抱いてしまうのが自分なのだ。
 流れ出る大粒の涙を止めることなく、トールは叫ぶ。
「嫌いなヤツごと世界を守ってやる! 嫌いな人たちに潰されてなんてやらないからな、ざまーみろっ!」
 これも一つの克服の形か。気が付けば目の前には目的のジャミング装置。トールは武器を手にこれを見事破壊した。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

ハル・パイアー
「呼吸をする。肺を膨らませ、全身の血流を巡らす。これが出来れば多少の精神的軋轢は耐えられる。時にはそれすらままならないが。」

【トラウマ内容】
宇宙空間は何もない。三日の孤独でハルはそれをよく知っている。
訓練時の事故で放り投げられた後は、身を包む宇宙服以外は何もなく、
外から来るものがなければ、後は少しずつ自身の中の何かが失せるだけ。
叫び、足掻き、ひたすらに何かを失うだけの徒労を繰り返し、虚空に消える。
あの時は助けがあった。
では今回は?
【以上】

WISで判定
小官は呼吸を行い鎮静。所持するデバイスを認識してUCを使用し装置を探知。
[ハッキング][破壊工作]で無効化を図ります。
「初心忘れるべからず、だ。」



 周りに広がるのは広大な宇宙空間。スペースノイドのハル・パイアー(スペースノイドのブラスターガンナー・f00443)は過去、訓練時に事故で宇宙空間に放り投げられた時の光景を強制的に見せつけられていた。
 身を包む宇宙服以外は周りに何もなく。ただ漂うことしかできなかった三日間。
 ひたすら聞こえるのは自分の呼吸音と心臓の音のみ。
 極度の孤独、不安、恐怖。これらは人を狂わせる。
 叫び、足掻き、喪失感により狂いたくなる気持ちを感じ、ハルは大きく息を吸い込んだ。
 呼吸をする。肺を膨らませ、全身の血流を巡らす。負の感情により冷め切った体に熱が戻ってくる。
 「あの時は助けがきた。そして今の小官は身動きを取ることが可能だ」
 いまだジャミング装置の介入を受けているハルだが、再び呼吸を整え、所持するデバイスを己の感覚のみで発動させる。
 それはサイバーナビ=サポートシステムだ。事前にジャミング装置の情報を入力ずみのナビゲーションAIが召喚される。
 自己判断のみで情報媒体を伝い自在に移動するそれは、ジャミング装置の精神介入といった防衛機能は意味をなさない。
 ナビゲーションAIはジャミング装置へのハッキングし、その防衛システムをダウンさせた。
 すると強制的にトラウマの記憶を映し出していた光景は掻き消え、己の眼でジャミング装置を確認することができる。
「初心忘れるべからずだな」
 ハッキングによりダウンしていたジャミング装置を武器を手に破壊し、ハルのミッションはコンプリートだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

ジェット・ラトリオック
妻が居た
妻となる筈の女性が居た
自分との子供も、その時には身籠っていた
家族に、なる筈だった

所属していたサイトで大規模収容違反が起こった
UDC、いや、突発的なオビリビオンの出現による内部からの襲撃だった
俺は彼女を引き連れて逃げだした。逃げ切れる筈だった

妻が眼の前で引き裂かれた
人に似た肉が中から零れ落ちた
眼の前で貪り食われている

ああ、ああ

何の為の鉄兜だ
何の為の覚悟だ
何の為に顔を潰した
何の為にジェットを殺した
何の為に何処までも伸びる処刑具を手に取った

二度も、二度と、俺に地獄を見せるんじゃあない
悲劇を、見せるんじゃあない

改めて分かった
猟兵となった理由
俺の地獄は俺だけの物
他の誰にも、同じ目に合わせられない



 妻が居た。正式には妻となる予定の女性。その腹には自分との間にできた愛の結晶も身籠っている。その時は家族ができる幸せに満ちていた。
 ジャミング装置により見せつけられる過去の出来事。ジェット・ラトリオック(黒玉の蛸・f01121)はその光景だけでも心臓を引き裂かれるような苦痛を感じる。
 突如場面は切り替わり、血でべったりと濡れる床や壁が映し出される。
 それは所属している組織で突如起こった大規模な収容違反。
 突発的なオブリビオンの出現によってそれを抑え込むことができず、内部から襲撃され、建物内部は瞬く間に血の海と化した。
 ジェットは迷うことなくすぐに妻の手を取り、逃げ出した。騒動が起きている場所から離れるように動き、逃げ切れる筈だった。
 ふと引く手が軽くなる。後ろを振り向けば妻であったものがぶつ切りの肉塊となり床へと零れ落ちる瞬間が目に飛び込んできた。
 妻の頭は突如現れたオブリビオンにより、噛み砕かれる。

 ――ああ、ああ……

 何の為の鉄兜だ。
 何の為の覚悟だ。
 何の為に顔を潰した。
 何の為にジェットを殺した。
 何の為に何処までも伸びる処刑具を手に取った。

「ぉ、ぉお、ぉおおおお!」
 ジェットはその身に宿る感情を燃やし、強い意志を呼び起こす。
 この悲劇を見て、改めて分かる。
 ジェットが猟兵になった理由。そして己の地獄は己だけの物だと。
 死したものも、生き残るものも、悲劇は同じではない。
 しかしその悲劇を生み出す元凶を断つことはできる。
 ジェットが拷問具、断割鉈を手にとり鞭のように変形させれば、視界は晴れ眼前にジャミング装置が現れる。
 過去の悲劇を断ち切るように武器を振るえば、ジャミング装置を真っ二つに破壊することに成功した。

成功 🔵​🔵​🔴​

黒城・魅夜
足取り重く帰途に就く。体が泥のようだ。……今度の世界でも、私は「あの方」にお会いできなかった。
幾つもの世界、幾つもの事件を越え、血を流し、傷つき、それでも歩むのは、ただひとえに「あの方」にお会いする日を待ち望んでのこと。
でも、もしかしたら……もう、二度と私は……。

「……なるほど、これが私のトラウマ、ですか」

青ざめた表情、色を失った唇、血の涙を流しながら、それでも私は笑うでしょう。
装置とやらは所詮機械。
私が「あの方」によって、真の意味で与えられたものを知らないようですね。
……それは、「希望」です。
この想いこそは、諦めから最も遠いもの。
そして、諦めない限り、私は歩き続けます。
「あの方」の元へと。



 重く感じる足を引きずるように歩く女性。体が泥のように感じる。
 幾つもの世界、幾つもの事件を渡り歩く。
 いくら血を流し、いくら傷ついても。それでも歩み続けられたのは、ただ一心に"あの方"に会いたいが故。
 しかし何度も何度も期待しては見つけることができない枯渇する日々に徐々に募るのは疲労や不安、絶望といった感情。
 いつかは見つかるはずという期待、しかしそれを超えるほどの不安が付きまとう。
「もしかしたら……もう、二度と私は……」

「……なるほど、これが私のトラウマ、ですか」
 黒城・魅夜(悪夢の滴・f03522)は強制的に見せられているトラウマを、どこか客観的に見ていた。魅夜の顔は青ざめ、白くなった唇、そして血の涙を流しながらも笑い、このトラウマを見下す。
 所詮は機械による画一的な防衛方法では到底、魅夜の芯を揺るがすことはできないと確信する。
 久遠に終わらない「悪夢」の中に閉じ込められ、永遠の苦痛を受けていた魅夜にとって、このような方法はあまり有効ではないのだ。
 そしてなにより魅夜が"あの方"によって与えてもらった感情。そして"あの方"を探し求めることにより得られる感情。
 それは希望である。
 希望がある限り諦めることはない。希望がある限り怯むこともない。
 見据えるのは"あの方"の元。
 魅夜が希望を胸に抱き一歩、歩き出せば眼前が晴れ渡り目的となるジャミング装置。
 魅夜は己を拘束していた鎖を操り、ジャミング装置を破壊することに見事成功した。

成功 🔵​🔵​🔴​

ジニア・ドグダラ
過去の、トラウマ……私の場合は、親友が行方不明になったこと、でしょうか……小学生の頃から一緒だった親友が、急にいなくなった。居ても立っても居られなくなり、探索者として行動し始めました。
UDC達による命の危機や、正気を失うような出来事にあっても、運よく何とか頑張れましたが、それも数か月まで。1年もたち、憔悴して、心が、折れそうに、なって、

『ワタシと、出会った。忘れおって、阿呆が』

勝手に【オルタナティブ・ダブル】が発動し、第二人格の『ヒャッカ』に殴りつけられることで正気を取り戻しましょう。
あの時、『ヒャッカ』と出会えたからこそ、私はここに居るのです。今更、精神攻撃ごときで、折れてたまりますか。



「どこに……いっちゃった、の?」
 暗い道をひたすら走る。胸に空いた親友を失った虚無感を抱いたままで。
 ジニア・ドグダラ(朝焼けの背を追う者・f01191)のトラウマ。それは小学生の頃からの親友が急に行方不明となったこと。
 居てもたってもいられず飛び出し探索者となるものの、その人生は波乱万丈のものであった。
 とても明るい道のりとは言えず、UDCたちとの戦闘に傷つき、正気を失うような出来事が走馬灯のようにジニアの脳裏に過っていく。探索者となり、死霊術師となり……。
 ジャミング装置の介入によりジニアの辛い過去が次々に映し出されていく。
 数ヶ月、半年、一年と立つにつれ当時のジニアは憔悴し、とうとう心が折れそうになる出来事が起きて……。
 そして思い出す。彼女の存在を。
『ワタシと、出会った。忘れおって、阿呆が』
 それはオルタナティブ・ダブルを発動し現れた第二人格のヒャッカ。
 ヒャッカは遠慮なくジニアの頰を叩く。
 それにより苦しかった過去から現在へと意識を取り戻していく。
 一人だったあの頃の過去の記憶などに負かされ、心を折るわけにはいかない。
 拳を握り、強く心を決めるとやがてトラウマの再生が終わり、目の前にはジャミング装置が現れる。
 ジニアとヒャッカは違いに目を合わせ、武器をとりジャミング装置を破壊した。
 どこかにいるはずの親友を探すため、世界を崩壊させるわけにはいかないのだ。
 今やジニアは一人ではない。これから先、まだ強いく歩んでいくことができるだろう。

成功 🔵​🔵​🔴​

鷲生・嵯泉
忌まわしい記憶が蘇る
軍の将としてずっと護り続けた大事な国、人……
所用で離れた僅かな隙
全て打ち砕かれ、焼き払われ、灰塵と化した
無残に蹂躙された友の、知人たちの亡骸
息絶え失せて行く、彼女の温もり
遺されたのは、絶望と後悔。只管の虚無……

ああ、そうだ
私の心は未だ、あの時に囚われたままだ
しかし。それでも
他にも残されたものがある事を忘れてはならないのだ
絶える最後の息で、生きて欲しいと残した想いを
奴等を放置すれば、同じ事が起き続けるという憤りを
私にはまだ、戦う力が残されているという事を

故に
決して膝は折らない
折ってはならないのだ

残すは装置の破壊
ああ全く、何もかも不快に過ぎる
剣刃一閃、叩き付けて粉砕してくれよう



 鷲生・嵯泉(烈志・f05845)にとっての忌まわしき記憶。
 それは軍の将としてずっと護り続けた大事な国と、そこに住まう人々を失ったこと。
 ちょっとした所用で国を離れた僅かな時間で、全てが失われた。
 国に戻った時にはすでに時遅く、家々は焼かれ、灰塵と化し、無残に蹂躙された友や知人たちの亡骸が転がる。
 そして己の手の中で息絶え失せていく彼女の温もり……。
 遺されたのは、絶望と後悔。ひたすら襲いかかる虚無感と喪失感……。
 これはジャミング装置による記憶への介入。トラウマとなった記憶を強制的に呼び覚まされる悪夢。
「ああ、そうだ」
 嵯泉の心は未だあの時の出来事に囚われたままだ。
 しかし、俯きたくなる気持ちを抑え、嵯泉は前を向く。
 この手の中で失われてゆく時、彼女は嵯泉に生きて欲しいと伝えられた想い。
 このままでは同じような悲劇が起こり続けるという憤り。
 そして嵯泉にはまだ、敵と戦うための力があるという事実。
 それらは決して過ぎ去ってしまった過去を理由に折ってしまうわけにはいかない事象。
 故に、嵯泉は決して膝を折ることはない。
 この先を生きる固い決意を思い返せば、ジャミング装置による干渉が弱まっていき、眼前が晴れ渡る。
 強制的な記憶介入が解除されれば目の前には件の装置がある。
「ああ全く……」
 実に不快な装置だと、嵯泉は目を細め刀を抜く。
 どれだけ辛い過去があったとしても、今を生きている以上後戻りはできないのだ。
 刀、秋水を振り下ろし、見事ジャミング装置を切断し破壊した。

成功 🔵​🔵​🔴​

カラル・セクレト
【SPD】

カラルのトラウマ
動物を操り戦わせる一族の出
カラルは才能があったもののその事を嫌っており、周り、特に家族から期待と重圧と脅迫にも似た圧力をかけられていた
監禁や食事抜き、孤独を味わわされた

対策
仮面、セクレトが顔を覆う
『おいおいこんなの見てどうするんだよ、カラル?ここはお前の世界じゃないし一族もいない。ほら、深呼吸深呼吸。
目を瞑ってろ、俺が動かしてやるよ』
セクレトが身体を動かしてその場から離れる
離れてる途中は音も聴こえないように、適当に旅の楽しかった思い出を一方的に話す
『こんな楽しい世界があるんだ。まだまだあるぜ?それにお前は汚い世界も綺麗に描いてやるんだろ、しっかりしろ』



「ぅ…ぅう」
 それはカラル・セクレト(旅する絵描き、あるいは仮面・f13959)の呻き声。
 正確に言えばヒーローマスクであるセクレトに体を貸している少年、カラルの声だ。
 カラルの脳裏に強制的に呼び覚まされるのは過去、一族の中で過ごしていた時間。
 カラルの一族は動物を操り戦わせることを生業としていた。
 カラルには動物を操る才能があったが、この気弱な少年にはその才能はまるで鎖のように絡みつく。
 その秀でた才能は、周りの一族や家族からの期待と重圧。そして脅迫めいた過度の教育を受ける原因となっていた。思い返される厳しい指導、それに答えられないときには食事を与えられず、監禁を受けることも多々あった。
『おいおいカラル、大丈夫かよ。深呼吸しろ深呼吸。まってろ、今俺がお前の体動かしてやるからな』
 それはヒーローマスクのセレクトの言葉。今カラルはセクレトの面を身につけている状態でここに臨んでいた。
 どうやら人格のあるヒーローマスクとはいえ、無機物であるセクレトには精神攻撃は効かなかったようだ。セクレトはカラルの体を操り、ひたすらとジャミング装置に向け歩き始める。
 未だ精神干渉を受け続けるカラルに、セクレトはいままで一緒に旅をしてきた間の思い出話を語り続ける。
 繰り返しトラウマとなる過去を見せ続けられ、精神的に負荷が高まっているカラルの体を酷使するわけにもいかず、ゆっくりと歩みを進めていた。
『少し旅してきただけでこれだけ楽しいことがあるんだ。まだまだ巡ってないところだってたくさんあるだろ?』
 セクレトは絶えずカラルに語り続ける。
『それに、お前は汚い世界も綺麗に描いてやるんだろ、しっかりしろ』
 それはカラルが以前セクレトに語ったこと。それを伝えるとカラルの意識が浮上し、覚醒する。
『目が覚めたかよ、じゃあやるぞ!』
 覚醒したカラルとセクレトの意識がシンクロし、二人は一心同体となる。
 破壊すべきジャミング装置はすぐ目の前まで来ていた。武器を手に取りそれを見事破壊することに成功した。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

宮前・紅
「やっぱり嫌だね、こういうの。」

 宮前・紅はある人形遣いの一族だった。
 力が弱かった彼は馬鹿にされ軽蔑され嘲笑され。時には殴られ蹴られ、心身共に深い傷を負った。
 その恨みから親族全員を殺したのだ。

「なん、で生きてる?」

「(殺らなきゃ殺らなきゃ殺らなきゃ)」

 馬鹿にして力でものを言わせてきた最低最悪な奴らを。

『この欠陥製品が!』
『お前なんて生まれて来なければ良かったんだ!』
『一族の恥さらしめ』

「また、五月蝿い五月蝿い五月蝿い」

「こんなとこで道草食ってないで、早く殺らなきゃ」

【SPD】で判定・アドリブ歓迎



 力がない物は見下されて当たり前。そのような中で生きていたのは宮前・紅(絡繰り仕掛けの人形遣い・f04970)だ。
 紅は人形遣いの一族に生まれたが、力が弱かったが故、軽蔑され嘲笑され続けた。
 時には殴られ、蹴られ、それはまるで物を扱うかのような態度で紅のことを蔑んだ。
 紅の身体も心も、積年の不平不満、恨み辛みが募った結果、紅はその一族全員を――殺した。
 これはジャミング装置が見せる過去のトラウマ。
 しかし紅の心を支配するには十分だった。
 まるで目の前で動いているかのように見せつけられる過去の記憶。
『この欠陥製品が!』
(殺らなきゃ)
『お前なんて生まれて来なければ良かったんだ!』
(殺らなきゃ……殺らなきゃ)
『一族の恥さらしめ』
(殺らなきゃ殺らなきゃ殺らなきゃ)
 紅のことを馬鹿にし、力でものを言わせてきた奴らを見て、紅の衝動はピークに達する。
「ああ五月蝿い、五月蝿い五月蝿い!」
 紅は殺したはずのそれらを見据える。
「死んで無いならまた殺せばいい。そうだよね」
 紅はそう結論づける。蘇ってくるのならば何度でも殺してやればいい。
 一度そうしたのだから、二度三度と同じことである。
 そう決めたらあとは行動するのみ。紅は過去と同じく再び一族全員を皆殺しにした。
 すると突如視界が晴れ、眼前にジャミング装置が現れる。
 ジャミング装置の防衛システムである精神攻撃を突破したのだ。
 「こんなところで道草食わせないでよ」
 過去は過去である。今を生きている以上、わざわざ辛い過去を思い返したくなどないものだ。
 紅は武器を手に取り、ジャミング装置を破壊した。
 この送り出されたグループは各個ジャミング装置を破壊完了となった。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年02月11日


挿絵イラスト