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銀河帝国攻略戦⑪~ウイルスに耐え、渾身の一撃を放て!

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦

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「皆さん、お疲れ様です。次の戦場の予知が見えましたので、皆さんに向かっていただきます。」
 そういうのはフェアリーであるファータ・カンタータ(遥か彼方の花びら・f02060)。
 元々心配性の彼女だが、今回ばかりは本当に不安そうだ。
「ご存知かもしれませんが、防衛艦隊とエンペライダーズを排除した事で、スペースシップワールドの艦隊は、帝国大要塞『エンペラーズマインド』に対して本格的な攻勢を開始することになりました。」
 しかし、帝国大要塞『エンペラーズマインド』の防御装甲と対艦武装は、規格外の『コアマシン』である『エンペラーズマインド・コア』によって修復され続けるため、撃破することが出来ない。
 戦いは膠着状態になりつつあった。
 この状態を打破するために、コアへの突入作戦が行われる。
「大要塞エンペラーズマインドへの突入は、スペースシップワールドの艦隊の援護のお陰で比較的安全に行うことが出来ます。ご安心ください。」
 コアマシンルームへ直接転移が出来ればよかったのですが、と目を伏せるファータ。
 どうやらそれは出来ないようだ。
 だが、コアマシンルームへ至る侵入ルートも、先行した猟兵たちによって確保され、そこまでは難なく行くことが出来そうだ。
「問題はコアマシンルームにいる――『デストロイ・ウォーマシン』です。」
 戦闘のみに特化し、感情を持たない『デストロイ・ウォーマシン』は、かつての『解放軍』の英雄達を何人も殺害したとされる強敵らしい。
 猟兵であっても、油断すれば簡単に敗北しかねない強さ。
「しかも、コアマシンルームには殺人ウイルス『オロチウイルス』が充満しているそうです。皆さんがいくら強靭だとしても、数秒程度しか活動が出来ません。」
 不思議なことにそのウイルス、なぜかウォーマシンやバーチャルキャラクターなど、明らかに普通のウイルスが効かないであろう種族にも効いてしまうらしい。
「そのため、コアマシンルーム突入後は、ユーベルコードを【一度だけ】使用するのが、精いっぱいです。それ以上は命の危険性があります。」
 そこまで言って、目を伏せる彼女。意を決したように顔を上げる。
「――皆さんがいくら大丈夫だと言っても、私が、無理矢理グリモアベースへ強制送還をさせますので、ご了承ください。」
 決して仲間である猟兵を信頼していないというわけではない。それほどまでに、オロチウイルスとやらが危険な存在なのだろう。
 もちろん敵からの反撃もある。避けながら、渾身の力で一撃を放ってほしいとのことだった。
「敵を撃破後もウイルスは消えません。その後もユーベルコードでコアマシンを破壊して頂ければ。」
 ここまで説明を終えた彼女は長い息を吐く。
「本当に、本当に強力な敵です。――どうか皆さん、お気をつけて。」


苗木 葉菜
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

 こんにちは苗木です。余裕がある方はマスターページを見てからプレイングを書いて頂けると嬉しいです。
 今回やや難ということで甘々の判定は無しの方向で頑張っていきます。
 OPにも書いた通り、殺人ウイルスが部屋に充満しています。
 相当な覚悟を持ち【渾身の一発】を書いたうえでプレイングを送信してください。
 基本的に敵に打つ感じでお願いします。撃破後はコアマシンへの描写に変えさせていただきます。
 一発撃った後は容赦なく強制送還されますので、そのつもりで。
 それでは、よろしくお願いいたします。お気をつけていってらっしゃい。
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第1章 ボス戦 『デストロイウォーマシン』

POW   :    デストロイトリガー
【一切殺戮モード】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD   :    クリムゾンバースト
【全武装から全力砲撃】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    ユーベルアナライザー
対象のユーベルコードを防御すると、それを【自身の戦闘プログラムで高速解析し】、1度だけ借用できる。戦闘終了後解除される。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 扉一枚向こうは、地獄。
 転送された猟兵たちは緊張した面持ちでその扉を見上げた。
 その空間にいるだけなら数秒程度は平気だ、まだいい。
 だがいる状態で、ウイルスに侵されている状態で、攻撃をまともに食らってしまったら。
 【ユーベルコードを一発撃ったことを感知されれば強制送還される】、が。その前に致命傷を負ってしまう可能性もある。
 そのことを考え、ぞっとする猟兵もいた。
 しかし、状況を打破するためには、ここの攻略が不可欠。
 自分一人で大技を放つのはもちろん、だれかと協力し複合で技を打つのもいいだろう。
 意を決すると、猟兵たちはひとり、またひとりと扉へ入っていったのだった。
才堂・紅葉
コアマシーンルームに入ればUCは一度のみが限度だ。
なので突入前に【蒸気王】を召喚し、乗り込んでおく。全長15m程の魔導鋼製の蒸気ゴーレムに、背中に二つ大きな蒸気ブースターを背負った姿だ。小回りは効かないがひたすら頑丈で力が強いのが特徴です。

他の猟兵とコアマシーン突入後は、頑丈が機体で味方を庇いながら突貫。
攻撃は装甲に任せ、例え蜂の巣ボロ屑になろうが背後の猟兵の盾になりつつ敵大型に体当たり。

「こんなもんじゃないでしょう蒸気王。私に気合いを見せなさい!!」

フルブーストで飛び上がり、諸共にコアマシンに突っ込む【落下技】、更に【UC】で重力加重をかけて超質量攻撃を叩き込みましょう。

※アドリブ、連携歓迎


バーソロミュー・スケルトン
ガハハハッ!元同胞とはいえ、己の意思を持たねぇ屑鉄に負けるわけにはいかんのじゃ。わしがぶっ倒して、コアマシンごと風穴あけてやるわい!

やっかいなウィルスもあるようじゃが、海賊が弱みを見せるわけにいかん。
幸い、わしには吐くような血も、乱すような息もなし。ダメージは受けるじゃろうが、それを態度には見せぬように耐え抜いて、捨て身の突貫じゃ。

短時間しか戦えないとなれば、最速、最短で有効な一撃を与えねばならんのう。
右手に構えた黄金砲を盾にしつつ、無理やりにでも敵の懐まで飛び込んでいくぞい。
そして至近距離から左手の黄金銃で、敵の装甲の隙間を狙ったクイックドロウの一撃を叩き込むのじゃ。

♡♥


エルシー・ナイン
「同じウォーマシンとして、大先輩にあたる同胞と戦うのはいささか気が引けますが、これも戦闘機械の定め。いざ、勝負です!」

出し惜しみをしている余裕はありませんね。全ての武装を一斉発射して出鼻を挫きます。その後は距離が近ければ零距離射撃、距離が離れたらスナイパー技能を活かした狙撃で攻撃の手を緩めずにひたすら全力攻撃です。
敵の攻撃は覚悟を決めて拠点防衛、電撃耐性で耐え抜きます。
「性能はアナタに劣るかもしれませんが、ワタシの覚悟は帝国の言いなりになっているアナタを超えます!」

敵の防御を切り崩せたなら【LC式全武装一斉射撃】で最大火力の一撃を叩き込みます。
「これが、今のワタシにできる最強の一撃です!!」


ティナ・クリムゾン
ん……【渾身の一発】のためにも、突入前にしっかり準備です。
えっと、まず血液補給しておきます。
私のユーベルコードは血を使いますから……。
……ごくごく。
あと、『鮮血の薔薇』にもです(『特性血液パック(ティナの名前入り)』から血をかけるとどんどん吸っていく)
……ふと、これ、変な目で見られているでしょうか?

そして、やや緊張しつつ、突入です。
使用するのは『血の射線』で、最大距離から素早く撃ち尽くします。
……味方には、射線に被らないようにお願いしておかないと。
殺人ウイルスの不調が出ても、師匠に教え込まれたこの身は最後まで狙いを違えません。
たぶん、もっと酷い訓練も受けましたから……!(何故か涙目)

♡♥▽▲


絡繰・ビリー
怖い。けど、やる
解放軍の、みんなの期待と応援があるなら…私はやれる!
・POW行動
・突入前
【メカニック】として装備の確認と調整。特にガラクタバスターは今回のメイン、出力は最大。1発撃てれば壊れても良い
・突入後
マメタンクは自動操縦で真っ直ぐ敵に突撃、時間稼ぎ!
その間にバスターを溜める
【スナイパー】して【援護射撃】する。倒せずとも味方の道になれば良し。私は、我は戦士で非ず、作り手なのだから!
こっちに攻撃来たらガントレットやガジェットで【武器受け】する、壊れても構わない
オーバーチャージ・バスター!
「銃身が焼け焦げるまで、撃つ!」
やってやったぜ!後は、みんな任せたよ!

♡❤️▽▲


メルティア・サーゲイト
【共闘:f03155 ルルティア】
「一発だけ、か」
 厳しいなぁ。基本的に連射武器を使う私にとって継戦能力を奪われるのは手痛い。
「アレも駄目だしこれも駄目。と、なると……CODE THROUGHか」
 突入前にあらかじめMODE PANZERで戦車形態に変形。主砲の位置にリニアカノンをセット。防弾性能はコレが一番高い。それに、
「アレを言うならやっぱこの形態じゃないとなぁ?」
 まあ変形で一発と取られるならやらないが、部屋に入る前に使う分には大丈夫だろ。全速力で突っ込んで詰められるだけ距離を詰めて一発をブチ込む。
「はッ、一発あれば十分なんだよ!」
 多分足りないが、後は中の人に任せるぜ。

♡♥▽▲


ルルティア・サーゲイト
【共闘:f03470 メル】
「生憎と本命は妾である!」
 メルとコンビを組むのも偉く久々じゃのう。しかし、こ奴はこんな性格ではなかった気がするが……まあ、良い。メルの搭乗スペースに一人乗れるのは知っておる。メルに乗って距離を詰めて接近し、転送直前に脱出。
「死の閃きにて永きを断つ。そう、一太刀打てれば十分じゃ!死閃永断衝ッ!」
 メルが稼げる距離にもよるが、一度の跳躍で届くなら重畳。届かぬなら走るしかあるまいが。十分に横回転を加えてその胴体を横薙ぎに一閃する。

♡♥▽▲


バレッタ・カノン
ベア―タ(f05212)と
呼称「ベア―タ」

とにかく時間がない
少ない時間でできる限りのことをする

突入前に集中、ストレッチ、【力貯め】
突入と同時に【視力】で装甲の薄そうな継ぎ目の部分に目星をつけベア―タを【怪力】で【投擲】

その直後にUC「飽和爆撃」発動
敵の注意を突撃するベア―タや他の猟兵たちから逸らしつつ目隠しをする目的だ
敵の眼前に榴弾を大量【投擲】
【クイックドロウ】で榴弾の準備時間を限界まで短縮する
素早く動くものに反応する敵に大量の榴弾をデストロイドトリガーで迎撃させる
迎撃によって大きな爆風を起こし、爆煙で味方陣営から飛び出す【物を隠す】

陽動とはいえ目立つ【捨て身の一撃】になる
皆後は頼んだぞ


ベアータ・ベルトット
【バレッタ(f11818)と
呼称:バレッタ】

【覚悟】を決め、眼帯を外し突入
直後、バレッタに敵の装甲の薄そうな箇所に向けて全力で投擲してもらう
弾丸の如き一直線の【捨て身の一撃】を敢行
両手を後ろに伸ばし、機腕内蔵銃火器の弾丸の【一斉発射】による噴射で加速
30cm圏内まで近づけたら勢いのままBEA発動
右眼から放つ舌の一撃で、敵の身体を【串刺し】にする事を最大目標とする

速く動く物に反応するデストロイトリガーによる迎撃の可能性も考慮する
射程圏内到達前に攻撃を受けそうになったら【見切り】で対処
BEAで【武器受け】し、【カウンター】で敵の武器にダメージを与えるわ

僅か数秒の勝負…次に繋がる一撃にできれば幸いね



 猟兵たちがコアマシンルームへ入る前。
 準備がある者は準備を、それがないものは周りの警戒を行っていた。
「ガハハハッ! 元同胞とはいえ、己の意思を持たねぇ屑鉄に負けるわけにはいかんのう!」
「同感です。私にとって大先輩と戦うのはいささか気が引けますが、これも戦闘機械の定めですから」
 警戒をしながら意気込んでいるのは、今回戦う相手と同種族であるウォーマシン、バーソロミュー・スケルトン(ウォーマシンの宇宙海賊・f03437)と、エルシー・ナイン(微笑の破壊兵器・f04299)だ。
「渾身の一発のためにも、突入前にしっかり準備です」
 そう言いながらこくこくと血液補給をするのはティナ・クリムゾン(流血の魔弾・f14110)。彼女は血液を補給しながらもう一つ血液パックを取り出す。
 ティナの名前が書かれたそれを開けると、愛銃である【鮮血の薔薇】にとろとろとかけていった。瞬く間に血を吸い込む銃。
 傍から見れば異様な光景であるそれを、気にすることも出来ずに緊張している猟兵が一人。
 絡繰・ビリー(スクラップギア・f04341)は、怖いと震える腕を宥めるように、もう片方の腕で掴む。
 だが、やらないという選択肢は彼の中に存在しない。
 解放軍のため、そしてこの世界のために私はやれる。
 決意を秘めた瞳で顔を上げると、自身の装備の調整、確認をしていった。
 手に馴染んでいるそれをいつものように弄っているだけで、心が平静を取り戻すのを感じる。
 ふと顔を上げれば、先ほど銃に自身の血液を吸わせていたティナも、緊張した面持ちであることがわかった。
 殺人ウイルスが蔓延っている部屋へ突入するのだ。しかも待ち受けているのはこれまでよりも凶悪的に強いとされる敵。
 緊張しない猟兵などいないだろう。しかも一人ひとりに与えられたチャンスは一度きりである。
「一発だけ、かー……」
 ビリーと同じことを考え言った者がいた。メルティア・サーゲイト(人形と鉄巨人のトリガーハッピー・f03470)は「アレも駄目だしコレも駄目……」となにやらぶつぶつ言っているようだった。
 連射武器を基礎的に扱う彼女にとって、今回の一発撃てば強制送還という条件は厳しいようだ。
「そうなると……“MODE PANZER(モードパンツァー)”だな」
 そう言うと彼女は傍らにいたゴーレムユニットと合体し、みるみるうちに戦車のような形態に変わっていった。主砲の位置には自身の装備である【長距離狙撃用リニアレールカノン】がセットされている。
 変形した彼女に猟兵たちの目が行く。その死角、真上から彼女の車内にルルティア・サーゲイト(はかなき凶殲姫・f03155)がすっと入っていったが、気が付いたものはいなかった。
「メルとコンビを組むのは偉く久々じゃのう」
 戦車内で座りなおしながらそう呟く彼女。しかしメルティアはこんな性格でもなかった気がするが、それは今気にすることでもないだろう。
「皆さん、中へ入ったらユーベルコードは一度のみが限度……気をつけていきましょう。突入タイミングは、それぞれ任意で」
 ユーベルコード“蒸気王(スチームジャイアント)”を使用しながら言ったのは才堂・紅葉(お嬢・f08859)。私は先行しますと、巨大なゴーレムを召喚させながら扉を見上げた。
 その横で念入りなストレッチ、そして力をためている様子のバレッタ・カノン(バレットガール・f11818)は「とにかく時間がない……」と独り言ちる。
 だから、だからこそ、少ない時間で出来る限りのことをしよう。戦友であるベアータ・ベルトット(餓獣機関BB10・f05212)を見やると、彼女も「そうね。【覚悟】を決めて行きましょう」と頷いた。

 紅葉のゴーレム、【蒸気王】が扉の前に立ち身構える。
 ぷちん、とベアータが自らの眼帯を外し、閉じた片目がゆっくりと開かれると同時に――鳴り響いたのは衝突音。
 飛んできた扉を軽く往なした『デストロイウォーマシンは、侵入者を見据え、その青緑の瞳を真っ赤に点灯させた。
《侵入者、発見。只今より殺戮モードに移行します》
 来る。
「行くわよ、蒸気王!」
 駆ける紅葉。彼女の動きを模して突撃する蒸気王。ソレは真っ直ぐデストロイウォーマシンに体当たりする、はずだった。
 次に猟兵たちが見たのは、宙を舞うゴーレム。
「なっ……ぐっ!!」
 予想していたよりも、考えていたよりも、圧倒的な強さ。ゴーレムと仲良く吹っ飛ばされる紅葉と入れ替わるようにベアータが駆ける。
 バレッタの怪力により投げられた彼女は猛スピードで殺戮機械兵器に突撃していった。
 先ほど蒸気王を吹き飛ばした際に起こったラグをものともせず撃墜しようとするデストロイウォーマシンだったが、それの視界を大量の榴弾が遮る。
 榴弾の出元はバレッタ。ユーベルコード“飽和爆撃”だ。空中から撃ったそれの量は凄まじく、いくら頑丈なデストロイウォーマシンでも当たればただでは済まないだろう。
 未知の攻撃を仕掛けてくるベアータより、その前にいる猛スピードの榴弾を処理する方が優先順位は高い。
 次の瞬間、榴弾は沢山の爆発音が重なって、重なって、一つの音となった。
 爆風と爆煙に包まれる部屋。これらはきっと、猟兵のみんなを少しの間敵から守ってくれるだろう。
 空中にいた彼女は爆風によってバランスを崩す。だがそれを気にすることもせず、バレッタは虚空へ手を伸ばし、小さく呟いた。
「っ……ベアータ、皆、あとは頼んだぞ」
 強制転移され、消える彼女の気配を背後で感じながら爆風に逆らうベアータ。
 榴弾が誘爆される前に狙うところは確認済みだ。
 チャンスは、数秒。
 彼女は両の腕を後ろに伸ばすと、機腕内蔵銃火器を一斉掃射し、自らのスピードを速める。
 爆煙の中でも、彼女は目を閉じることはしなかった。
 まだ、まだ、敵の近く――もっと近くへ!
 どうしようもない息苦しさや痛みを感じる。殺人ウイルスの影響だろうか。それとも自らを蝕む機餓獣だろうか。
 しかしその苦痛すらも些細な事のように感じる。バレッタが作り出してくれたこのチャンスを無駄にするわけにはいかなかった。
 先ほど眼帯の下で眠っていた義眼がかぱっと割れると、べろりと出てきたのは舌。
 その舌がぴんと真っ直ぐ伸ばされると同時に目の前の爆煙が晴れ、デストロイウォーマシンの肢体が見えた。
「──餌食と為れ!」
 人間でいう、片腿の付け根だろうか。
 機械兵器のそこが、ばちばちと火花を散らせる。
 ベアータは片目から放たれた舌がそこを貫通させたことをもう片方の目で確認すると、うすら笑いを浮かべ強制転移されていった。

《敵戦力、二名の消滅を確認》
 動きは鈍くなったものの、まだまだ余力なありそうなデストロイウォーマシン。
 続いて突撃していったのは戦車に変形したメルティアだ。猛スピードで突撃してきた重戦車をゴーレムと同様吹き飛ばそうとした殺戮機械兵器だったが、その重量と防弾性能からか吹き飛ぶ様子はない。さすがじゃのう。と戦車の中から声が聞こえた気がした。
 まだ距離はあるものの、その長い主砲がデストロイウォーマシンを捉える。
 射程距離圏内であり、これ以上距離を詰めれば自身の主砲は直接ひん曲げられてしまうだろ。が、それも厭わず更に突っ込むメルティア。騒々しいキャタピラの音が響いた。
 脳裏をよぎるのは、先ほど一発しか撃てないことを嘆いていた自分。
「――はッ、一発あれば十分なんだよ!」
 そんな自分を鼻で笑い、砲身に迫る敵の砲弾よりも早く照準を合わせ、放ったのはユーベルコード“CODE THROUGH(コードスルー)”。
 至近距離で放たれたそれは、惜しくも新たに撃たれた砲弾により間一髪で誘爆されてしまった。
 再び煙に包まれる周辺。折れた自身の砲身。ウイルスのせいか、それらが揺らいで見えた。
「あーあ、くそ、やっぱダメだったか……おい、早く出ろよ。私は行くから、任せるぜ」
 そうぼやきながら消えゆくメルティアの車体を、とんと蹴って敵へ跳んだのはルルティア。
「ふん、残念じゃったな! 生憎と本命は妾である!」
 敵は目と鼻の先だ。メルティアが危険を冒しここまで運んでくれたことに感謝をしつつ、彼女は自身の武器である大鎌を振り上げる。
「死の閃きにて永きを断つ。そう、一太刀打てれば十分じゃ! “死閃永断衝”ッ!」
 ぐるんと横回転のそれが、デストロイウォーマシンに襲い掛かった。
《戦力数、一名減少、一名増加。新たに迎撃を開始します》
 遠心力により勢いのあるそれに対し、頭を下げミサイル部分で受け止めるウォーマシン。がきん、と音を立てながら攻撃を止められる彼女に迫るのは、砲撃。
「っ……!」
 鎌が抜けない。光る砲口――目の前から死が来る。
 恐怖でひゅっと喉がなったが、砲弾が彼女を貫くよりも早く、強制転移が完了した。
 その際に生じたわずかな隙を突き、敵を真っ赤な銃弾が囲む。
 それはティナのユーベルコード“血の射線(ブラッディ・ライン)”によって作られたものだ。
「ん……標的、補足……撃ち抜きます」
 百にも及ぶ銃弾は正確に殺戮機械兵器へと向かっていく。
 ウイルスによる不調をものともしない彼女。もっとひどい訓練を受けたという彼女の目には何故か涙が滲んでいた。
 その訓練のお陰か彼女の弾丸の正確さは、なかなかのものだった。が、そのほとんどは敵の全方位砲撃によって相殺されてしまう。
「そんな……」
 圧倒的練度の差があったのかもしれない。
 落胆する彼女だったが、強制転移によって消えゆく瞬間、確かに見た。
 ルルティアの攻撃を受けた頭上のミサイル部分が、自身の攻撃により破壊されているところを。

《敵戦力、二名の消滅を確認》
 これで、いくらか戦力を削ぐことが出来た。
 そこへ突撃していったのはさきほどよりも小さな戦車。それはビリーが自動操縦を施している【宇宙戦車マメタンク】だ。
 マメタンクが時間稼ぎをしている間、渾身の一撃のために片腕に装着されているバスターの力をためようとするビリーだったが、先ほどのゴーレム、蒸気王より小さい小型戦車はいとも簡単に往なされてしまう。
 潰されてしまいそうな小型戦車。それを全身武装したエルシーが狙撃によってフォローした。
 後方にいる彼女だが、その傍らにゴーレムと、そして紅葉が倒れているのが見える。
「う……ごほっ……!」
「気が付きましたか」
 むくりと起き上がる彼女。どうやら大分ウイルスに侵されてしまったようだ。
 扉を蹴破ったせいか後方のほうはいくらかウイルスが少ない。もし紅葉がコアマシンの近くで倒れてしまったとしたら、すでに命はなくなっていただろう。
 目が霞む、呼吸が乱れる。痺れるような痛みをぐっとこらえ紅葉は立ち上がる。
 そしてそんな紅葉が流れ弾に当たらないよう、途絶えることなく牽制砲撃や誘爆砲撃を打ち込んでいたエルシーにお礼を言った。
「初めから後方にいたワタシはまだいいですが、アナタは一度コアマシンに近づいています。撤退したほうがいいでしょう」
 淡々という彼女に対し、紅葉はこのままでは引き下がれないと顔を上げる。
 そしてどうやらそれは、彼女の蒸気王と呼ばれるゴーレムも同じらしい。
 戦況をみれば、丁度バーソロミューがデストロイウォーマシンに向かって突撃しようとしているところだった。
 右手に構えた【黄金砲・ウィールカノン】を盾にしながらとはいえ、その砲撃をしのぎながら近付くのは容易ではない様子だ。
 そんなバーソロミューから注意をそらすように、再び紅葉は、蒸気王は駆けた。
 先ほどは砲身により軽々と吹き飛ばされたが、次はそうはいかない。床を踏みしめ腕で受け止めるとそのまま抱きしめるように殺戮機械兵器を捕まえた。
 離せと言わんばかりに吐き出される銃弾。至近距離で受けるその威力は強力で、みるみるうちに蒸気王の身体は穴だらけになっていく。
 意識まで、朦朧としてきた気がする。
 紅葉はふらつきそうになる足をぐっと踏みしめると、堪えるように力を籠め、叫ぶ。
「……っ、こんな、もんじゃ……ない、でしょう……――蒸気王!!」
 気合を見せなさいと言う彼女の声に応えるよう殺戮機械兵器と共に飛び上がった蒸気王。
 そのままコアマシンの方へ急降下し、ユーベルコード“ハイペリア重殺術・落星”で諸共破壊をするはずだった、が。
 落下に差し掛かろうかというところ、もう紅葉は膝を突き、もう立っていられなくなっていた。
 殺戮機械兵器がその隙を見逃すわけもなく、身をひるがえすと砲撃を打ち込み、ゴーレムをクッションに無事着地してしまう。
「蒸気、王……っ!」
 悔しさと、遣る瀬無さと、辛さで奥歯ががちがちと震えた。
 そんな彼女の頭を、骨のような機械の手がぽんと叩く。
「よぉくやった。あとはわしらに任せとくれ!」
 ごめんなさい。ありがとうと、彼女の口が動いた気がした。
 紅葉が強制転移されると同時に再び敵へ駆けていくバーソロミュー。
 先ほどの落下でいくらかの隙が生じているかと思いきや、すでに臨戦態勢が整っていた。
 防御も間もなく、全ての砲身が骸骨に向く。が、突如それらは熱線に包まれた。
 デストロイウォーマシンとバーソロミューの間を抜けるように狙撃したのは、ビリー。
「私は、我は戦士で非ず、作り手なのだから!」
 だからこの力、敵を倒すためではなく、仲間への道を切り拓く為に使おう。
 “オーバーチャージ・バスター”。
「銃身が焼け焦げるまで、撃つ!」
 最大出力を超えては放たれるそれは、敵の銃口を瞬く間に熔かし埋めていく。
 そしてその熱を発射しているビリーのバスターも、そしてそれを装着している腕も焼けるように熱くなっていた。
 元はガラクタ、壊れたらまた直せる、直すことが出来る。
 ウイルスと熱に浮かされたビリーは、それでも尚最大出力のバスターを出し続けた。
 バスター攻撃は長くは続かず砲撃は終わる。熱線に包まれていたほぼすべての銃口、砲口が熔かされ、デストロイウォーマシンに残された武器はビームサーベルのみ。
 それを見届けた彼は、子供のようにははっと笑う。
「やった……やってやったぜ!」
 あとは任せたよ。みんな!
 そう言って転移されていった少年を背に、バーソロミューは【黄金砲・ウィールカノン】を構え突撃した。
 その巨大な砲身に押さえ付けられる殺戮機械兵器。
 背後には、コアマシン。
 コアマシンを守護することが何よりも優先事項であるソレは全力で押し返そうとするが、脚が負傷しているせいでそれは叶わない。
 迎撃しようにも、ミサイルも、大砲もすべてが破損してしまった。
 残ったビームサーベルで、相手の砲身を避けてバーソロミューに突き刺す。
 ビームサーベルはバーソロミューを貫通した――かのように見えた。
「ハンッ! わしのボディはほっそいでな」
 そう言いながらマントを捲るバーソロミュー。ビームサーベルは彼の肋骨下あたりを通っていた。
 そのまま左手で素早く【黄金銃・ドンデルバス】を引き抜く。
「死神の御出ましだ。死の海へと連れてってやるわい」
 そして、かちりと照準を定めた。
 バーソロミューが放った“クイックドロウ”は相手の大砲が出ている付け根、人間でいう肩辺りを貫通し、コアマシンにも直撃する。
 ばちばち!と大きな火花が上がるものの、破壊とまではいかないようだ。
 視界にノイズが入るバーソロミュー。これまで平静を装ってきたが、かなりウイルスに侵されている状態だった。
 機械兵器の破壊だけでもと思ったが、さすがというべきだろうか、まだソレは動いている。――だが、
「……ぶちかましたれや、我が同胞よぉ!」
 咆えるバーソロミューを飛び越えるように現れたのは、彼と、そして敵と同じウォーマシンであるエルシー。
「了解です。マルチプルミサイル、ロック解除。ブラスター、ガトリング照準セット」
 【LC9型フルアーマー】に身を包んでいる彼女は、そう言いながら自身の装備しているすべての武器を展開していく。
 バーソロミューに押さえつけられ、身動きが取れないデストロイウォーマシン。
 彼が強制転移されるのと、
「対象を、完膚なきまでに殲滅します。――オールウェポン、フルファイア!」
 エルシーが“LC式全武装一斉射撃”を放つのは、同時だった。
 せめてコアマシンだけでも護ろうと持ちこたえる殺戮機械兵器。しかし彼女の砲撃は終わらない。
「性能はアナタに劣るかもしれませんが、ワタシの……ワタシたちの【覚悟】は、帝国の言いなりになっているアナタを超えます!」
 彼女の持つサイキックエナジー。それが自身の砲撃を増幅させ、デストロイウォーマシンを、そしてコアマシンを焼き尽くす!
 それだけでは終わらない。反動により後退する身体に鞭を打ち、ブースターを最大出力に。
 至近距離で放たれたそれは、殺戮機械兵器を塵へと変えていった。
 当然ながらその砲撃を受けたコアマシンも破壊される。
 ようやく攻撃をやめる彼女。そしてウイルスによって機能しなくなる身体を、強制転移に任せていくのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年02月12日


挿絵イラスト