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世界の癌とは、どちらのことか。

#UDCアース #【Q】

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#UDCアース
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#【Q】


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●彼女だけが気づく。
 UDCアースに存在するとある庭園。
 秋も近い中、退魔の一族である神巫《かんなぎ》一家の者達が、何処かへ出向こうとしていた。
 日々、人々の平和を守るために未知なる存在――オブリビオンを倒す彼ら一家は、今日も同じように死力を尽くして世界を守る。

 しかしそんな中で、1人だけ今日の戦いに不安を抱く者がいた。
 彼女――優奈は戦いに出向こうとする弟達に声をかけて、彼らを止めた。

「……ねえ、銀ちゃん、夕ちゃん」
「なんだい、姉貴」

 彼女は弟達引き止めたものの、そこから先の言葉が出てこない。
 今日の仕事は危険そうだからとか、今回の仕事は割に合わないとか、いろんな言葉が頭の中に出てきているのに、それを告げるのを憚れていた。

 姉が引き止めても、今日も大丈夫だからと銀と夕は歩みを進める。
 いつものように戦って、いつものように帰ってくるからと、笑顔を残して。

●片鱗はすぐそこに。
 それからしばらく、銀と夕は街の中を探索して例の未知なる存在を見つけて倒す。
 いつものようにギリギリで、いつものようにフラフラになりながらも、世界を守るために全力で戦った。

「これで……終わりだ!!」

 思いっきり力を込めて頭をかち割って、目の前の少女の形をしたナニカを倒す。
 どさり、と倒れたそれは2度と起き上がることはなかった。

 これでひとまずの仕事は終わりだと、銀と夕がせっせと片付けを済ませる。
 少女の形をしたナニカが存在したことを人々に知らせないように、黒く散った塵を集めて丁寧に浄化作業を続けておいた。

「へえ、なかなかおもしろい奴らもいるじゃねェか」

 片付ける最中に、銀と夕は男の声を聞いた。
 この場所は一般人が入れないように立ち入り禁止の札と、見張りをつけておいたはず。それなのに、なぜ人がいるのかと焦りを見出した。

 誰がいるんだと声の聞こえた方向に目を向けた2人は、目を疑った。

 先ほど倒したばかりの少女の形をしたナニカが、男の後ろにたくさん存在していたからだ。
 この男が誰なのか? 一体なぜ少女の形をしたナニカを大量に引き連れているのか?
 それらを考える前に、銀と夕に向けて男は声をかけた。

「なァ、ガキ共。俺も混ぜてくれよ」
「な、なんなんだ、アンタ……」
「ん? 俺か? 俺は、そうだなー……」

 んん、と手を口元に当てて考えた男。
 1分ほどの思案の後、彼はこう答えた。

「癌を切り取るお医者サマってところか、ねェ?」

 ――直後、銀と夕の視界が真っ暗になってしまう。

●オブリビオンは癌である。
「ああ、胸糞悪い。すみませんが、ちょっとUDCアースの予知がヤバそうなので、そちらに出向いていただけませんか?」

 イライラした様子の金宮・燦斗(《夕焼けの殺人鬼》[MorderAbendrot]・f29268)は、集まってくれた猟兵達を前に今回の任務についての説明を開始した。

 UDCアースのある退魔の一族が殺されてしまうという予知を見た、と彼は言う。
 退魔の一族・神巫一家の人々はこれまでUDC組織とは別で、独自にオブリビオンを討伐している一家。UDC組織が出向けないタイミングで、弱いオブリビオン達を倒している一族なのだそうだ。

 今回、同じようにUDC組織が出る必要のない弱小型オブリビオンが現れたため、一族のうちの長男と次男が出向いたそうなのだが、そこでその弱小型オブリビオンを率いる強いオブリビオンが現れ、彼らを殺すという予知が見えた、と。

「そのオブリビオンは一族をおびき寄せて、多数で殺すという手法を取っているようです。……確かそのオブリビオンは、癌を切り取る医者だと言ってましたが……」

 そのオブリビオンからすれば、猟兵、そしてオブリビオンを討伐する者達は全てが世界の癌である。そう言いたいのだそうで、燦斗はコレに関して全く甚だしい、と怒りを見せていた。

「私にとってはオブリビオンこそが、世界の癌だと思っています。ので、皆様に少々お手伝いを願いたいのですよ」

 まず手始めに退魔の一族である神巫家の者と接触して欲しいと燦斗は言う。
 テレポート先の時間帯は丁度、長男の銀、次男の夕が出向く前。予知のおかげで彼らが殺されることを未然に防ごうと言うのだ。

 またそのうちの1人、長女の優奈は大群を引き連れたオブリビオンに対しての特攻能力を持っているため、彼女をどうにか連れて行って欲しいとも燦斗は言う。

「神巫一家の庭園は一般公開されてますから、そちらに出向いてもらって、彼女に話を取り付けていただければ大丈夫です」
「……彼女達と協力できなければ、きっと、おそらく……より最悪の結末が待っていると思いますから」

 神妙な声で燦斗は重要なことを告げ、猟兵達を送り届ける。
 秋の始まり、神巫家の庭園へ。


御影イズミ
 閲覧ありがとうございます、御影イズミです。
 やったー! 宿敵登録できたー! 戦争終わった!! 使お!! でコレです。
 色んな人に使ってほしいからやっぱり手本作っとこうと思って。

 初めての方はMSページをご確認の上、ご参加ください。
 オーバーロードについての記載もあります。

●第一章:日常シナリオ
 神巫一家の公開庭園の中にテレポートした猟兵達は、偶然にもOPと同じやり取りを見つけます。
 そこで会話をすることで信頼を得ることが出来、協力するかどうか、一緒に出向くかを選べます。
 なおここで「出向くのはやめたほうが良い」という選択肢を取ると、後半かなりしんどくなります。
 ちなみに選択肢は各猟兵毎に別れて持続するのでご注意下さい。

●第二章:集団戦シナリオ
 集団戦の敵『楽園の僕』との戦いです。
 この戦いでは神巫一家の人々がいるかどうかで多少動きが変わります。
 その他詳細は断章にて。

●第三章:ボス戦シナリオ
 ボス敵『ヴォルフ・E・シュトルツァー』との戦いです。
 この戦いでは神巫一家の人々が戦線離脱しますが、第二章どうよういるかどうかで多少動きが変わります。
 その他詳細は断章にて。

 皆様の素敵なプレイング、お待ち致しております。
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第1章 日常 『彩の庭園』

POW   :    庭園を散策し、四季折々の風景を楽しむ

SPD   :    茶屋で美味しいものを食べる

WIZ   :    美しい景色を眺めてのんびりと過ごす

イラスト:シロタマゴ

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

東雲・深耶
神巫一家…ああ、あの一家か
まさか退魔の一族だったとはな
中2の時に観桜会で会った事があるが、中々に縁とは面白い

さて、神巫家の一族に接触したら率直に切り込もう
貴公らは未知なる存在を狩る者達だな?
ああ、私も2年前にそういった者になったんだよ

今回、私が貴公らと接触したのは…今日に長男と次男が狩りに出向くとの噂を聞いてな
それに同行させてもらいたい

それと、優奈嬢にも共に動向を
私は未来予知が出来てな。そうしないと最悪の結末を迎える可能性が非常に高いと見えたんだ
何、護衛は任せてくれ

そう言って庭に一つの的を置いておき、遠距離から構えをとっていない正座の状態からUC起動
過去に刻まれた斬撃を以て実力を示すぞ



●縁とはまた不思議なもので
「神巫一家……ああ、あの一家か。まさか退魔の一族だったとはな……」
 庭園に広がる緑を眺めながら、東雲・深耶(時空間切断剣術・空閃人奉流流祖・f23717)は不思議な縁だと笑った。何故ならば彼女が中学2年生のとき、この神巫家の庭園で行われた観桜会で神巫家の人々と会ったことがあったからだ。
 これもなにかの縁だと、深耶は事件解決の糸口である神巫家の人々と接触することに。

「おや」
 深耶が視線を巡らせた先に、神巫家の者――三男の詩が佇んでいた。彼はどうやら姉の優奈と共に家にいるようにと、兄達に言われているようだ。
 丁度いいと彼女は詩に接近。詩は少々怪訝そうな顔を浮かべていたが、彼女が以前来たことがあると言うと頭を捻らせた。
「うぅん、ごめんなあ。この家いろんな人が来るから、オレも銀兄ぃ達も顔までは覚えられへんのよね」
「そうか。……ああ、だったら率直に聞こう。貴公らは未知なる存在を狩る者達だな?」
「んえ!?」
 詩の動揺が激しく、彼は深耶を敵ではないかと疑い始める。深耶は自分も同じであることを伝え、誤解を解いて詫びを入れ、それなら何故、という詩の疑問に丁寧に言葉を返した。
「実は、今日に長男と次男が狩りに出向くという噂を聞いてな」
「ん、ああ。銀兄ぃと夕兄ぃがこの後出かけるんや。それが?」
「いや何、私もそれに同行させてもらえないだろうかと」
「……ふぅん?」
 ちらりと詩の目が光る。自分では判断がしきれないからと、彼は一度銀と夕の下へ深耶を連れていき、事情を説明。少々困惑気味の銀と夕だったが、優奈は同行させてもいいんじゃないかと声をかけた。
「……まあ、姉貴がそう言うならしょうがねぇな」
「感謝する。……ああ、それと優奈嬢。貴公にも共にいていただきたい」
「あら、私も? それはどうして?」
「私は実は未来予知が出来てな。今回、優奈嬢がいなければ最悪の結末を迎える可能性が非常に高いんだ」
「あらまあ……」
 じゃあ、と優奈が準備しようとしたところで夕が止めた。深耶の実力を知らないままで優奈を同行させるのは危険だから、まずはお前の実力を示せ、と。
「ほう。では、実力を示せば認めてくれるのだな?」
「姉さんを戦場に出すんだ。それなりの実力はあるんだろ?」
「まあな。……では、あの的をお借りしよう」
 そう言って深耶は的に目線を向けた後、正座の体勢を取ったまま動くことはなく――ユーベルコード『黒後斬閃・消える事無き過去から進みし者の刃』を使い、過去に刻まれたという因果を用いて的確に的を切り落とす。
 動かないまま切り落とした。そう見えた銀、夕、詩の3人は深耶の実力に畏怖の念を抱き、喉を鳴らす。

 変わらぬ笑顔を向けた深耶は、ただ一言。
「これで、同行願えるだろうか?」
 その一言に、銀も夕も反論を出すことはなく、優奈の同行を許可したのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

霧崎・紫苑
オブリビオン風情が医者を騙り、おまけに退魔の一族を『癌』だと?
これは見過ごせる事態ではなさそうだな

景色を堪能しつつ、兄妹と接触しよう
俺が普通の人間ではないことは、この義手を見せれば分かりそうなものだが……信用してもらえない場合は、近くの木でも攻撃した上で、UCを使って即座に回復させて証明とさせてもらおう
「私は医者だ。負傷した際は、私に任せてもらいたい。さすがに死者を生き返らせることはできんが……即死でなければ動植物関係なく、機械や人外の存在であっても治療してみせるぞ

念のため、姉に同行してもらいたいことも改めて告げておくか
弟が心配するかもしれんが、俺の治癒能力を見た後なら問題あるまい



●闇医者の矜恃
「オブリビオン風情が医者を騙り、おまけに退魔の一族を『癌』だと……?」
 目前に広がる秋間近の風景に、霧崎・紫苑(機械仕掛けの闇医者・f32327)は怪訝そうな顔をする。もちろん彼がここまで顔を顰めるのは風景に対してではなく、今回の任務で伝えられた情報の中に出てきたオブリビオンに対しての怒りが溢れたからだ。
 医者と名乗る以上、適切な部位を切除して患者の完治を行うのは当たり前のこと。しかし今回現れた者は退魔の一族を癌と称し、逆にオブリビオンの存在こそが患者であると言い切った。立場が違うと言われれば納得せざるを得ないが、医者という立場上、紫苑の怒りは最もなのだ。
「……まあ、最終的にどちらが癌として切除されるかはわからんがな」
 小さく呟いた紫苑は庭園の中を歩き回り、神巫姉弟を探しだした。

 丁度、長女の優奈、長男の銀、次男の夕が会話しているところにばったりと出くわした。観光客としてやってきた紫苑は軽く挨拶を済ませた後、退魔の一族としての彼女らに話があるとして会話を続けた。
「アンタ、何者だ? それ知っているのは、一部の人間だけなんだが……」
「いや、実は私も同じようなものだ。協力を仰ぐように連絡を受けて、こうしてこの庭園にお邪魔させてもらったのだ」
「ふぅん……?」
 疑り深いのか、夕は頭から足まで紫苑を見定める。これまでも似たような感じで近づいた者がいたようで、夕は『お前さんは何が出来るんだ?』と何か力を示してみろと言い始めた。
「私は医者だからな。負傷した際には私に任せてもらいたい」
「負傷度合いはどのぐらいまで行ける?」
「そうだな……ああ、あの木を借りるぞ」
 丁度いい具合に育っている木を義手でねじり切り、すぐさまユーベルコード『限界突破服薬術』を使ってねじ切った木を修復させる。特殊な医療用ナノマシンの力によってねじ切ったことさえもわからないレベルにまで修復されたため、3人は目をまんまるにして驚いていた。
「これなら、銀ちゃんと夕ちゃんと同行させても、問題なさそうね?」
「姉貴がそう言うなら連れてってもいいけどよぉ……」
「即死でなければ、あらゆる存在を治してみせる。……ああ、それと、姉君にも同行してもらいたいのだがよろしいだろうか?」
「姉さんも? ……うぅん、まあ、お前が守ってくれるっつーなら?」
 少し渋っていた夕だったが、回復力の高さを見せつけられると紫苑を信頼できると信じることにした様子。また、優奈の同行の許可を得ることが出来たが、その条件は守るのを忘れないこと、だそうだ。

「いいだろう。どんな傷を負っても、お前達の傷は私が治療してみせようか」
 これで1歩、あのオブリビオンにたどり着ける。
 胸に秘めた感情を押し留め、紫苑は彼らの同行の許可を得た。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『楽園の『僕』』

POW   :    かあさまのいうとおり
【手にした鳥籠の中にある『かあさま』の口】から【楽園の素晴らしさを説く言葉】を放ち、【それを聞いた対象を洗脳する事】により対象の動きを一時的に封じる。
SPD   :    とおさまがしたように
【相手の首を狙って振るったナイフ】が命中した対象を切断する。
WIZ   :    僕をおいていかないで
【『楽園』に消えた両親を探し求める声】を聞いて共感した対象全ての戦闘力を増強する。

イラスト:まつもとけーた

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 薄暗く入り組んだ裏路地の中、優奈、銀、夕は猟兵達と共に任務を遂行していた。

「さーて、見つけたぞ。アレが今回のターゲットだ」

 銀がある少女を見つけ、指をさす。
 その手に鳥かごを握りしめ、ぼたぼたとこぼれ落ちる何かを携えた少女の姿。
 優奈が少女の姿を目視した時点で、少女は姉弟の存在に気づいたようだ。

 ……だが、その少女の様子がなんだかおかしい。
 周囲を忙しなく確認しており、何か心配事をしているようにも見える。

 銀も夕もその様子には少し首を傾げていた。
 しかしここで彼女を取り逃すことは、一切許されない。
 故に2人は刀を用いて、少女と戦いを始める。


 戦いは猟兵達の手助けもあり、彼らだけでは手こずる場面もすぐに終わった。
 これで終わり。そう思っていたのだが、優奈の小さな悲鳴が銀と夕の足を止める。

「なんだよ、これ……!?」

 気づけば辺りは道を埋め尽くす、少女、少女、少女の姿。
 素早く銀と夕は優奈を隠すように位置をとって、彼女を守る。
 少女達は皆、3人を目標に歩みを進めていたからだ。

「ぎ、銀ちゃん、夕ちゃん……ちょっと、まずいことになってない……?」
「ヤバいかも。……ガチめに」

 癌を切除するために集められた楽園の『僕』は世界の危機を知らしめる。
 それは癌が存在するからなのか、あるいは――。
 

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 プレイング受付:10/1 8:31~
 時間外のプレイングは一度お返しになります。

 集団敵『楽園の『僕』』との戦いです。うじゃうじゃいます。
 この戦いでは優奈、銀、夕の3人が猟兵のみなさんと共に参加しています。
 特にプレイングで指定が無ければ優奈は式神の焔狐の助力を得ながら戦い、銀と夕は刀を使った刀術で戦っています。

 場所は街の裏路地のため、道は少々狭いですが剣や刀を振るう程度には問題はありません。
 前後を楽園の『僕』が塞いでいるものとお考え下さい。

 この裏路地は古いビルが立ち並んでいる迷路のような場所です。
 壁を交互に蹴って高く飛び上がる事もできます。
 しかし狭いため、キャバリアなどの大きいものに関しては身動きが取れませんのでご注意下さい。

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霧崎・紫苑
どうやら、集団見合いが必要のようだな
兄妹には、こちらの後ろに下がっていてもらおうか

『武装医療鞄』の機関砲を展開し、敵の固まっている箇所へ弾をバラまく
攻撃が命中すると同時にUCを発動
オブリビオンにのみ効果を発揮する抗体感染を引き起こし、連鎖的に敵陣を崩壊させる
一体でも感染させられれば、後は勝手にナノマシンが広がり他の個体に感染して行くからな
「どれだけ肉体を強化しようと、この感染からは逃げられまい

狭い路地なら左右への逃げ場もないだろう
引き続き弾幕を張りつつ、接近して来た者は【怪力】を込めた義手で殴り飛ばす
仮に俺を抜く者がいたとしても、その時には既に兄妹の力で倒せるまで弱っているはずだ



●集団接種
「どうやら……集団見合いが必要のようだな?」
 周囲を楽園の『僕』に取り囲まれた紫苑と神巫姉弟。細い裏路地に楽園の『僕』が1人いるという情報だったはずだが、その情報が眉唾ものだったと知らしめるように楽園の『僕』が彼らの逃げ道を塞いだ。
 銀も夕も刀を構えて幼い少女姿の楽園の『僕』と対峙するが、それを静止するように紫苑が前へ出て彼らを後ろへと下げた。
「……いいのか?」
「お前達では1体が限度だろう。それに、今回は巻き込まれては困るのでな」
 そう言うと紫苑は武装医療鞄の持ち手を変形させ、機関砲を露出。集まっている楽園の『僕』に向けて連続射撃を撃ち込んだ後、ユーベルコード『OAシステム起動』による対オブリビオン抗体ナノマシンを起動させる。
 このナノマシンは非常に優秀だ。オブリビオンであると判断された者の身体のみに入り込み、細胞単位の拒絶反応を引き起こさせて肉体の活動を停止させる。オブリビオンにしか発動はしないが、初動には攻撃が必要なため姉弟に後ろに下がってもらっていた、ということのようだ。
「とは言え、気を抜くな。奴らの攻撃はどうやら音を使うらしい」
 紫苑は機関砲による攻撃を行いながらも、楽園の『僕』の動きを注視していた。
 楽園の『僕』は機関砲の攻撃を受けながらも、必死で手をのばす様子が伺えた。楽園へと消えた両親を探し求めているのだろう、その声は悲痛なものだった。
 なるべくその声を姉弟に届けないように機関砲の音でかき消し、更にはナノマシンの散布を容易にする。楽園の『僕』が例え戦闘力を強化しようとも、ナノマシンによる拒絶反応を止める事はできないのだから。
「どれだけ肉体を強化しようと、この感染からは逃れられまい。毒を以て毒を制す……それが、俺のやり方だ」
 機関砲を止めるために近づいてきた楽園の『僕』を1体ずつ殴り飛ばしていく。すり抜けた相手は姉弟が刀で切り下ろしたり、焔狐の助力を得て倒したりと弱化した状態の楽園の『僕』を倒してもらっておいた。
「紫苑さん、向こうからも来ます!」
 優奈の声に振り向いてみれば、追加で放たれたであろう楽園の『僕』の群れ。目の前の楽園の『僕』を蹴飛ばす間際に武装医療鞄も一緒に蹴りを入れて向きを変え、同じように機関砲で連続射撃からのナノマシン散布。追加で攻撃を受けた者達も、同じようにナノマシンの感染力と拒絶反応によって蹴散らしていった。

 血管のように入り組んだ路地に群がった楽園の『僕』という病原体は、紫苑と神巫姉弟という免疫によって徐々にその身体を崩していった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

東雲・深耶
厄介そうなUCを使うようだな。3人とも後ろに下がっていたまえ
瞬間、私の手に握られるは殺竜武器……A&Wの幹部級オブリビオンを弑するための武装を日本刀の形で顕現させる
只の首を狙うナイフならば、護身術と剣術を極めた私の体捌きでなら回避するのは容易い
とはいえ、集団戦級故の数で圧倒されると厄介だ

瞬間、距離座標を無視して放たれる斬撃が縦横無尽に時空間ごと集団戦級オブリビオンを断ち切り、蹂躙していく
帝竜を滅ぼす為に作られた逸品。これによって繰り出される時空間切断剣術の前に、立ち塞がる物は全て斬滅する事だろう



●全てを屠る刃
 裏路地に集まった無数の楽園の『僕』。
 それはまるで、血管の中を走る白血球が外敵を見つけて追い込もうとしているかのようにも見えた。

 姉弟を後ろに下げた深耶はその手に日本刀――ユーベルコード『殺竜刀創・帝なる竜を屠りし刃は我が手の中に』で作り出した殺竜武器を持って、前から走ってくる楽園の『僕』を一気に薙ぎ払い、幼い胴体を2つに分ける。
「3人共、後ろに下がっていたまえ。全て捌くが、漏れがあったら許せよ」
 2つに分かれた胴体が塵へと崩れ落ちる中、冷静に姉弟達に告げる深耶は楽園の『僕』がナイフで首を狙っていることを理解した上で少ない足捌きを使って回避、軽く日本刀を降って上下左右あらゆる場所に存在する楽園の『僕』を叩き切った。
 しかし、どれだけ切っても楽園の『僕』が減ることはない。むしろ敵である猟兵が存在することを知った楽園の『僕』達は増援を要請しているようで、次々と通路の奥から現れる。
 何処から現れているのか。どれだけ存在しているのか。考えていたらきりが無いと、深耶は一心不乱に刀を振り下ろし続けた。
「うわっ、上からも来たぞ!?」
「……!」
 銀の言葉に気づいた深耶は振り向きざまに刀を振るい、距離と座標を無視して彼らに襲いかかる楽園の『僕』を叩き切る。狙われていたのは優奈だけだったようだが、深耶の素早い処理によってなんとか無事だったようだ。

 ――ふと、深耶の脳裏に「何故?」という言葉が浮かんだ。
 女子供を狙うのは、外道とは言われるが確かに戦闘を行う上では有利に進めることが出来る。しかしそれはあくまでも『弱いから』言えること。
 だが優奈は深耶よりも弱いとは言え、焔狐を呼びそれを使役することが出来る。猟兵までとはいかずともそこらの一般人よりも、何なら弟の銀と夕よりも強いだろう。
 いくらかの考察を重ねる上で、深耶は思い出す。この戦場へ赴く前の話を。
(そういえば、彼女は大群を引き連れている者に対しての特攻能力があるんだったな)
 もう一度、前の敵を一斉排除してから優奈を見る。……やはり、楽園の『僕』達は銀や夕に対しては軽く動く程度で、優奈に対してはナイフで首を切ろうとしている。どうやら敵は特攻能力を封じ込めるため、深耶を抑え込んでから優奈を倒そうとしているようだ。

「まあ、それも意味は成さないがな」
 時空も、座標も、自分には関係ない。
 そう言い聞かせるように、深耶は日本刀を振るい続けた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

外邨・蛍嘉
蛍嘉は藤色蛇の目傘を刀に。
クルワ(男/鬼)は妖影刀『甚雨』装備。『』内クルワ台詞。

ちょいと援軍に来たよ。未来ある若者を助けるのは、役目だからね。
さて、クルワおいで!

『中々に厄介なUCを持つようデスガ』
そうだね。でも、近づけさせないようにね!
『エエ。三人をワタシたちで挟むように』

そう、このUCは遠目の間合いにも対応するからね。
視認しだい斬撃を放って切り刻んでいこうか。

まあ、防御は密かに泳いでいる陽凪が、弾力性のある結界を敷いてるからね…簡単には近づけないよ。
『陽凪も逞しくなりマシタネ』
本当だよ。


陽凪の初陣は対『六の王笏』でした。空中を悠々と泳ぐ。



●新たなる援軍
 1人を倒すのがやっとの人ならざる者――楽園の『僕』の群れに前後を挟まれた神巫姉弟。ある程度の人数は他の猟兵達が倒しているが、それでもまだ数が減ることはなかった。
「くそ……姉貴だけでも守るぞ、夕!」
「わかってる! わかってるけど!」
 夕の弱音も最もだ。銀と夕が揃って、やっとのことで倒せる敵が無数に存在する……というのは、もはや絶望以外の言葉が出ない。

 万事休すか、と思われた矢先。――空から、人が2人降りてきた。
「よっと。ちょいと援軍に来たよ」
『大丈夫デスカ?』
 降りてきた人――外邨・蛍嘉(雪待天泉・f29452)と、ユーベルコード『斬撃舞台:雨剣鬼』で呼び寄せられた蛍嘉の別人格・クルワ。姉弟を守るようにそれぞれが楽園の『僕』の前に立ち、得物を片手に姉弟達に告げた。
「未来ある若者を助けるのは、私達の役目だからね。……持ちこたえてくれて、ありがとね」
 ふわりと微笑んだ蛍嘉は、さて、と大群の楽園の『僕』と向き合う。楽園の『僕』達は新たな増援に怒りを示すかのようにナイフを蛍嘉の首に向けて振るうが、蛍嘉は僅かに身体を反らして一撃を回避した。
『中々に厄介な攻撃方法デスネ』
「そうだねぇ。でも、近づけさせないようにね!」
 視界に映り込んだ対象をクルワに斬り伏せてもらい、自分の間合いに入り込んできた者達を刀のように振るった藤色蛇の目傘で叩き落とす。どれだけクルワとの距離が離れていようとも、それを考えて大群が押し寄せてこようとも、視認した相手であれば瞬時に切り伏せる。それが彼女達の戦い方だ。
 それを学習したのか、楽園の『僕』達は壁を伝って空から強襲する動きに転じ始めた。焦った優奈が声を上げるが、彼女を狙おうとしていた楽園の『僕』は瞬きの合間にいなくなっていた。
「……えっ……?」
 何が起こったのかと優奈が空を見上げてみれば、悠々と泳ぐ魚――ガラ・ルファの陽凪が姉弟の上でくるくると踊っていた。どうやら姉弟を守るように結界を張り巡らせているようで、ついでに近づいてきた楽園の『僕』をぺちぺちと叩いているようだ。
「ああ、あの子は弾力性のある結界を敷いてくれてるんだ。だから簡単には近づけないよ」
「はわ……すごいですねぇ……」
 空を泳ぐ魚の存在がすごいのか、はたまた蛍嘉がすごいのか。戦いの最中だというのに優奈はぼんやりと空を見上げ、陽凪の泳ぎに見とれていた。
『それにしても、陽凪、逞しくなりマシタネ』
「本当だよ。……さ、まだまだ仕事は残ってるよ!」

 振るわれる藤色と影色は、群がる楽園の『僕』を次々と斬り伏せて、滅ぼす。
 未来を新たに切り開くために。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カイム・クローバー(サポート)
『俺の手を貸りたい、だって?──言っとくが俺は高いぜ?』

アドリブ・連携歓迎

二丁銃と魔剣を使って戦う猟兵。
お喋りで軽口や皮肉な言い回しを好み、常に余裕を持って問題に当たる青年。UDCを主に活躍の拠点とし、『便利屋Black Jack』として何でも屋紛いの事をしている。
不要の人殺しは一切せず、オブリビオンであろうと女性や同情できる相手には甘い場合もあるなど、口は悪いが根は悪人ではない。

猟兵やUDCのフォロー、邪神の討伐、情報収集、必要に応じて動きますので、状況に応じてどうぞ。シリアス&ギャグのどちらも参加できますが、エッチ系な依頼はNGです。
基本的にはお任せで大丈夫です。宜しくお願いします。



●便利屋Black Jack 出勤
「この辺りか……」
 UDCアースのとある都市で集まり始めたオブリビオンを討伐して欲しい。そんな依頼を引き受けた便利屋Black Jack――もとい、カイム・クローバー(UDCの便利屋・f08018)。依頼の詳細について簡単にグリモア猟兵から聞いて、すぐに現場へと急行したのだが……。
「……なんだ、これは……?」
 おぞましい数の少女の姿をしたオブリビオン・楽園の『僕』。邪神に率いられているのか、それとも別のオブリビオンに率いられているのかまでは理解が及ばなかったが、この数は異常だと判断したカイムはすぐさま双魔銃 オルトロスに銀の銃弾を装填、行動を開始した。

「他の連中が退魔の一族を守っていると信じて、この辺りを掃討しておくか……!」
 本来であれば退魔の一族の人々を守ることが先決だ。だが、この数を相手しながら守るのは少々至難の業でもある。故にカイムは他の猟兵達が退魔の一族の人々を守っていると信じ、ユーベルコード『魔弾の射手』による一撃を楽園の『僕』へと撃ち込んだ。
 紫雷を纏った銀の銃弾は真っ直ぐに楽園の『僕』の身体を貫き、破壊する。骨が砕ける音、内臓がかき混ぜられる音が瞬時に鳴り響けば、穿たれた楽園の『僕』の悲鳴が辺りに撒き散らされる。
「残念、狙った位置には入らなかったか!」
 軽快に笑うカイムは、今度は違う標的に向けて銀の弾丸を撃ち込む。まるでルーレットを楽しむ観客のような笑い声に、楽園の『僕』達は怒りを覚えたのだろう。その手に握った鳥籠の中にいる何かの声をカイムに向けていた。
 楽園の素晴らしさを説く言葉。それがカイムの耳に届けば、脳をぐるぐると混ぜる感覚が拭いきれない。洗脳されるとわかった瞬間、カイムの口から挑発的な言葉が飛び出した。
「おいおい、自分の言葉ってのは無いのか? いつまでお母さんに縋り付いて、泣き叫んでいるつもりなんだ?」
 ――だから、置いていかれたんだろ?
 軽い挑発だったのだが、思った以上に効果が出たようだ。楽園の『僕』達はカイムのその言葉にさらなる怒りを発し、手に持ったナイフでカイムの身体を切り裂いてやろうと近づいてくる。
「ああ、そうだ。その体勢! 丁度いい感じに崩れているな!」
 泣きながら走る楽園の『僕』は、もはやなりふり構っていられないという走り方。崩れた体勢となったその瞬間こそが、彼の攻撃のチャンスなのだろう。紫雷を纏った銀の弾丸が一直線に奔った。

「――Jack pot!」
 銀の弾丸は心臓を貫き、数多の楽園の『僕』を倒していった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『ヴォルフ・E・シュトルツァー』

POW   :    じゃあ、癌は切除しなきゃな?
【医療用メス】が命中した対象に対し、高威力高命中の【医療用高圧電流】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    アンナ、助手を頼めるか?
自身が戦闘で瀕死になると【共に死んだ嫁】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
WIZ   :    俺に切除出来ねぇモノは無い!!
【怒りと憎悪】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【共に死んだ嫁の持つカバン】から、高命中力の【相手を追い続ける医療用メス】を飛ばす。

イラスト:そらみみ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠木々水・サライです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 楽園の『僕』達は猟兵達の助力もあり、討伐された。
 一時はどうなるかと思われたが、姉弟を守り抜くことが出来た。

 ……だが、本番はここからである。
 予知では銀と夕のみで出向いたことで、楽園の『僕』を操る者が彼らを殺した。
 だからこそ今、猟兵達が出向いてその未来を変えているのだ。


 雨が振りそうな灰色の空が、街を包み込む。
 しかし重苦しい雰囲気の原因となっているのは、それだけではない様子。

「……何? この雰囲気……」

 優奈が呟いたその瞬間、銀と夕の身体が震え始めた。
 何かが来る。そう叫んで、ある一点を見つめてしまって動かなくなってしまった。

 振り向いてみれば……いつの間にかそこには、女性の幽霊を引き連れた黒衣の医者がいる。
 先程の戦いでは誰もいなかったはずなのに、いつの間にか。

「おいおいおい、だらしねェなァ……。弟がそんなんで、姉ちゃん守れんのかァ?」
「……あなたは……」

 優奈は感づいた。この男こそが、今回の一連の事件の首謀者なのだと。
 強大な力を使って、少女の姿をした何かを操って自分達を襲わせていた犯人。
 ようやく見つけたと思う反面、優奈の心に恐怖心が芽生えてしまい……彼女を守る焔狐が姿を消してしまう。

「おっと、あのやべェ狐もいなくなったか。アイツがいると、どうも動きづらいんだよなァ」

 恐慌状態に陥り戦闘不能となった銀と夕。
 彼の威圧に当てられ、恐怖で足がすくんでしまった優奈。

 そんな状況下、黒衣の医者――ヴォルフ・E・シュトルツァーは宣言する。

「じゃ、いい状況が出来上がったみたいだし。癌切除開始と行こうじゃねェか!」

 ――癌手術の開始だ、と。


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 プレイング受付:即時

 ボス敵『ヴォルフ・E・シュトルツァー』との戦いです。
 戦闘場所は第二章同様、裏路地での戦いになります。
 同じくキャバリアの使用は難しいものとお考え下さい。

 この章では「優奈の恐怖状態を解除する」ことでプレイングボーナスが入ります。
 恐怖状態を解除することでヴォルフ・E・シュトルツァーへの特攻となる焔狐が復活し、攻撃の威力を下げてくれます。

 第二章で手伝ってくれた銀と夕は戦闘不能、優奈は戦闘は可能ですが恐怖状態で足がすくんでいる状態です。
 恐怖状態を解除することさえ出来れば優奈は戦闘に参加できますが、銀と夕は何をしても戦闘に参加することがありません。
 基本的に焔狐での補助を行いますが、優奈自身も脇差を持って戦う事ができます。

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東雲・深耶
癌は貴様だ……
瞬間、無限成長する紫電が時空間を焼き切りながら邪神へと迫る

優奈嬢、勇気を出すんだ
銀と夕は戦えない。だが君は戦える
君が戦わなければ、弟二人はあの邪神に殺されてしまう
生き続ける勇気と護り抜く勇気……それを出すんだ
年上は、年下を守るものだ
亡き私の母上が良くおっしゃられていた事なんだ
だから、勇気を出せ

535の紫電を解き放ちながら神巫姉弟達を守るように立ち回り、優奈嬢の支援も受けながら無限進刀・『碎雷』で無限成長する雷電エネルギーを解き放っていく
邪神よ、貴様は知らないだろう
護るべきものを守ろうとする時に生み出される奇跡……それを刮目すると良い!!



●護り抜く勇気
 銀と夕が発狂して倒れ、優奈も倒れようとしていたその瞬間。彼女を守るように目の前の空間が切り裂かれ、ヴォルフ・E・シュトルツァーを吹き飛ばす。
 何が起こったのか分からない、という様子の優奈の背後を誰かが支えていた。
「癌は貴様だ……!!」
 優奈を支えていたのは、猟兵を、そして優奈達退魔の一族を癌だと称され、怒りを顕にしていた深耶。震えている優奈の肩にそっと手を乗せ、彼女の後ろを支えながら立ち上がらせた。
「優奈嬢、勇気を出すんだ。銀と夕は……残念だが、今は戦えない」
「で、でも……あんなのが、相手じゃ……」
「大丈夫、君は戦える。君が戦わなければ……あの邪神の塊に殺されてしまう」
 深耶が放っている雷の合間を縫って、医療用のメスを持って突撃してくるヴォルフの姿。刀で弾かれるのを承知の上で、医療用メスをナイフのように扱いながら近づいてきた。
 優奈の前に立ち、刀で医療用メスを弾きながら迸る雷でヴォルフの身体を遮る。その動きに煩わしささえ感じているのか、彼は深耶に向けて辛辣な言葉を吐く。
「邪魔だなァ、おい。俺はお前さんじゃなく、そっちのレディに用があるんだが?」
「黙れ、邪神。貴様の企みもこれまでだ!」
 金属と金属が擦れ合う音がいくつも鳴り響く。合間に深耶の紫電とヴォルフの高圧電流が路地裏を支配するが、深耶は優奈に当てないよう必死で立ち回った。
 その間にも、深耶は優奈を励ました。生き続ける勇気と護り抜く勇気を出すことで、この場を共に乗り切ろう、と。
「……勇気」
「ああ! もっと言えば、年上は年下を守るものだぞ! 姉である君が、弟達の為に動かなくてどうする!」
「――……」
 ちらりと見れば、倒れ伏した銀と夕の姿。深耶の言葉に心が揺さぶられたのか、優奈は一度深呼吸をして……しっかりと立ち上がったまま、焔狐を呼び寄せる。
「なっ……?!」
 燃え盛る赤い焔が、ヴォルフの身体を焼き尽くす。焔狐は世界の異端者を排斥する力を持つようで、オブリビオンとして生まれた者に対しては絶大な力を持つようだ。
 それでも、なお、ヴォルフは猟兵と退魔の一族を排除すると言って聞かなかった。焼け続ける身体を無理矢理に動かしながら、深耶と優奈に向けて医療用メスを投げつけた。

 だが、投げられたメスは刀の一閃によって全て撃ち落とされる。
 深耶は一呼吸置くと、優奈に目配せをして攻撃のタイミングを図り、雷を呼び寄せた。
「護るべきものを守ろうとする時に生み出される奇跡……それを刮目すると良い!!」

 赤い焔と紫の雷の2つが、漆黒の医師を切除した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アス・ブリューゲルト(サポート)
「手が足りないなら、力を貸すぞ……」
いつもクールに、事件に参加する流れになります。
戦いや判定では、POWメインで、状況に応じてSPDの方がクリアしやすいと判断したら、そちらを使用します。
「隙を見せるとは……そこだ!」
UCも状況によって、使いやすいものを使う形です。
主に銃撃UCやヴァリアブル~を使う雰囲気です。剣術は相手が幽霊っぽい相手に使います。
他人の事は気にしない素振りを見せますが、基本、不器用なので、どう接したらいいのかわからない感じです。
ですが、合せるところは合せたり、守ってあげたりしています。
特に女性は家族の事もあり、守ってあげたい意欲が高いです。
※アドリブ・絡み大歓迎、18禁NG。



●危機に駆けつけた者
「なんだ、これは……」
 グリモア猟兵に話を聞き、急遽駆けつけたアス・ブリューゲルト(蒼銀の騎士・f13168)。彼の目の前に広がる光景は、まさに絶望とも言える光景だった。
 1人のオブリビオンに対し、3人の退魔の一族が倒れ伏している状況。どう見ても退魔の一族――神巫姉弟がなぶり殺しにされようとしている瞬間。アスはこの状況を見ただけで危険を察知し、姉弟を助けるためにヴォルフ・E・シュトルツァーの前へと躍り出た。
「あ? まーた癌が増えたのか……厄介だなァ、切除しねぇと」
「切除されるのはお前の方だ! 撃ち抜け、イーグルショット!!」
 大きくため息をついたヴォルフに向けて、アスは素早くブルーブラスターの照準を向けてユーベルコード『イーグルショット』を放つ。熱線となった弾丸は真っ直ぐにヴォルフのもとへと奔り、肩を掠めて一気に破壊する。
 ヴォルフもまた熱線が放たれる前に医療用メスを投げつけ、アスの身体を切り裂く。薄皮一枚を切り裂いた程度の痛みだったのが、攻撃を行うにつれて身体に電流が迸りアスの身体の機能を徐々に壊していく。
 お互い引けを取らない戦いだったが、ヴォルフは嬉しそうに立ち回る。身体を熱線の弾丸で幾度となく破壊されようとも、それが手術の工程の一部ならば問題ないと言わんばかりに。
 やがてヴォルフはアスの両腕が機械の腕だと知り、更に歓喜の声をあげた。今までにない患者、今まで切り取ったことのない部位を切除できるという喜びが彼を突き動かしているようだ。
「おーおーおー! テメェ、サイボーグだったか! だったらどっちが先にぶっ壊れるか勝負しようぜ! 俺はテメェとそこのガキ共もぶっ壊すからよォ!」
「くっ……」
 高圧電流による機能不全が、じわじわとアスの動きを封じ込めていく。倒れている姉弟に被害が出ないようにサイバーアイで視覚情報を演算、飛び交う医療用メスの中から彼女達に被害が及ぶものだけをブルーブラスターで撃ち抜きながらヴォルフの足止めを行う。
 破壊、破壊、破壊。何度破壊したのかはもう覚えていない。それなのにヴォルフという医者は施術を止める様子はなく、むしろここからが手術の楽しいところだと言って止まる様子はなかった。
「だが、それでも……」
 アスも、止まることはない。姉弟を死守し、次に来る仲間へ引き渡すまでしっかりとこの場を護り切ると誓ったのだから。


「―――、もう少しでそっちに行くからなァ?」
 ヴォルフは小さく呟いて、アスの連続射撃をその身に受けた。

成功 🔵​🔵​🔴​

霧崎・紫苑
病巣に堕ちた医者が、他者を癌細胞と断ずるか?
その傲慢、ここで断ち切ってやろう

敵のメスにはコートを脱いで投げつけることで対応
メカニカル・フィストより煙幕弾を発射し、相手の視界を塞いで時間を稼ぐ
その隙に、優奈を説得

「やつが怖いか? だが、それは相手も同じことだ
「敵はお前の狐を恐れている。それでも不安だというのなら、私の力を授けよう

UCによるナノマシン付与で優奈を強化し恐慌状態を解除
多少の負傷にも耐えられる状態にして攻撃に参加させる

敵が狐の攻撃に怯んだところを狙い、こちらも武装医療鞄から炸裂弾を発射
メディカル・チェーンソーによる追撃で敵の腕や足を【切断】する
「貴様に医者を名乗る資格はない……消えろ



●傲慢を切除。
「病巣に堕ちた医者が、他者を癌細胞と断ずるか……」
 神巫姉弟の前に立つ紫苑は目の前に現れた新たに現れた者――ヴォルフ・E・シュトルツァーを睨みつけ、敵意をぶつけていた。そんな紫苑に向けてヴォルフは軽く笑い飛ばすと、次のように述べた。
「病巣に堕ちた……ねェ。自ら堕ちた奴もいりゃあ、他人によって突き飛ばされた奴もいるんだけどなァ。手厳しいねェ」
「黙れ。貴様のその傲慢さはおそらく切除したところで治りはしないだろう……が、切除しないよりはマシだ。ここで断ち切ってやろう」
「ハッ、やってみな! どっちが優れた医者なのかどうか、決着をつけようぜ!!」
 ヴォルフの声に合わせ、医療用メスが紫苑と神巫姉弟に向けて投げつけられる。それを素早く脱いでおいたコートで弾き飛ばすと、死角を利用してメカニカル・フィストの機能をチェンジさせて煙幕弾を投げつける。
 白く濁る視界の中では、医療用メスも投げられない。その隙を利用して紫苑は震える優奈の隣に立ち、彼女へと声をかけて説得を開始した。
「……やつが、怖いか?」
「だ、だって、あんなのは……私達でも、見たことがない……!」
「ああ、そうだろうな。だが、それは相手も同じこと。……敵はお前の狐を恐れている。過去になんらかの傷を負っているからこそ、あの恐れなのかもしれない。もう一度、力を借りられないだろうか?」
「わ、私……」
 焔狐を恐れているというのは紫苑の言葉で理解は出来ている。だが、彼女はどうしても勇気を持つことが出来なかった。
 そこで紫苑は力を貸すと伝えてユーベルコード『催眠強化療法』を使い、負傷や精神汚染を回復させるナノマシンを与えて優奈の心を補強させ、更には戦闘能力を増加させ多少の負傷にも耐えられる状態に強化させた。
 不思議と勇気をもらえた優奈は再び焔狐を召喚し、白く濁る視界を吹き飛ばす。焔狐の召喚に一瞬の怯みを見せていたヴォルフだったが、それがどうしたとメスを連続して投げつけ続けた。
「私の、この子がお役に立てるというのなら……!!」
 優奈が焔狐に命令を下すと、投げられた医療用メスも巻き込んで裏路地に赤い炎を広げる。その炎に一瞬怯んだヴォルフに向けて、紫苑は武装医療鞄から炸裂弾を発射する。
「ぐっ……!? おい、医者が兵器とかアリかよ!?」
「使えるものは何でも使えと教わらなかったか? まあ、貴様に医者を名乗る資格はないのだが、な」

 続けざまに鳴り響くチェーンソーの音は、患部の切除のために振るわれる。
 メスでは切り取りづらい傲慢な病巣を切り落とすために。

大成功 🔵​🔵​🔵​

外邨・蛍嘉
UC効果でのクルワ召喚続けつつ。
『』内クルワ台詞。

癌はそっちだと思うけどね?
『好き勝手に言うものデスネ』
本当だよ。さて、陽凪には引き続き防護結界張ってもらって…。

そうだね、こういうときに怖いのは当たり前なのさ。でも、立ち向かわなくちゃいけないときもある。
キミにとっては、それが今なんだよ。ここで取り逃したら、被害は広がってしまうしね。
『止めるために、戦えマスカ?』

斬撃は敵に集中させよう。瀕死になって呼ばれようが、手は止めないよ。
『誰も犠牲にはさせマセンヨ』
…守れなかったってね、後々までも引き摺るものなのさ。


陽凪、守りは任せろ状態。



●守れる時に、守って欲しい。
「癌はそっちだと思うけどねぇ……」
「はっ、言ってろ。俺にとっては猟兵こそが癌なんでな!」
 徒手格闘を用いて蛍嘉に殴り込みを行うヴォルフ・E・シュトルツァー。自分の主張は曲げない、覆さないという頑固な意志が彼を突き動かす。
 そんな中で蛍嘉は引き続きユーベルコード『斬撃舞台:雨剣鬼』で呼び寄せていた別人格のクルワと共にヴォルフをせき止め、陽凪の防護結界で神巫姉弟を守りながら戦い続けていた。
 藤色蛇の目傘を刀のように振るいながら距離をとり、視認したヴォルフをクルワの斬撃で斬り伏せて神巫姉弟に近づけさせないよう、動き回る。そんな立ち回りに、恐怖に震えている優奈が叫んだ。
「どうして……どうして、そんなに……!!」
 ――戦えるんですか。
 恐怖で心が埋め尽くされている優奈は、その先の言葉が出てこなかった。だが言いたいことは蛍嘉もわかっているのか、一度クルワの斬撃でヴォルフを吹き飛ばしてもらい、優奈の隣に立って彼女を励ましてあげた。
「こういうときに怖いのは当たり前なのさ。でも、立ち向かわなくちゃいけないときもある。……キミにとっては、それが今」
「今……立ち向かわなくちゃ……」
「そう。ここでアレを取り逃がしたら被害は広がってしまうし……何より、キミの弟達が死んでしまうかもしれない」
「銀ちゃんと夕ちゃんが……」
 その先の未来を想像してしまったのか、優奈の震えがますます広がる。だが、そんな彼女に蛍嘉とクルワは優しく手を添えて、自分達も共に戦う事を告げる。
「だから、手伝ってくれないかい? キミの力が必要なんだ」
『止めるために、戦えマスカ?』
「私は……」
 優奈が勇気を出して立ち上がったその瞬間、吹き飛ばされたヴォルフが幽霊である女性――共に死した嫁のアンナを呼び出して、同時に突撃してきた。同じ攻撃手段をもつ夫婦ということで、息ピッタリの格闘技を披露し、優奈にさらなる恐怖を与えて止めようとしていた。
 蛍嘉はそれを食い止めるために再びクルワに声をかけ、斬撃をもって彼らを足止めする。優奈の準備が整うまでは蛍嘉とクルワ、ヴォルフとアンナのダブルバトルが勃発した。
「――蛍嘉さん、クルワさん!」
 優奈は2人に声をかけて再び焔狐を呼び寄せると、周辺の大地を赤い炎の絨毯で埋め尽くし、ヴォルフとアンナの動きを封じ込めて蛍嘉とクルワに好機を与えた。
『ケイカ、今デス!』
「行くよ、クルワ!」
 赤い炎の絨毯で足止めを食らったヴォルフに向けて、目傘と妖影刀『甚雨』による2つの斬撃が振るわれる。アンナが前に出て彼を守ろうにも、その一撃は2人を同時に切り裂くほどの衝撃が与えられ、一気に吹き飛ばされた。



●切除完了
「ああ、畜生。しくじったか」

 猟兵達の手によって、退魔の一族は守られた。
 更には元凶となるオブリビオンも退けることが出来、彼は今、倒れ伏している。
 空を見上げ、恨み言を吐くようにつぶやく男の言葉は、少しずつ音が小さくなっているのがわかった。

「―――、――、次は、絶対に……」

 何かを言った男の身体は、塵となって崩れ去った。
 裏路地に残るのは……仕事を終わらせた猟兵と、神巫姉弟の姿だけだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年10月24日
宿敵 『ヴォルフ・E・シュトルツァー』 を撃破!


挿絵イラスト