7
銀河帝国攻略戦⑪~ハートブレイカー

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#スペースシップワールド
🔒
#戦争
🔒
#銀河帝国攻略戦


0




●要塞突入
 帝国大要塞『エンペラーズマインド』の映像を前に、オブシダン・ソード(黒耀石の剣・f00250)が一同の方を振り返る。
「やあ皆、準備は万端かな?」
 まずはおさらいだ、とばかりに指先を振って、彼はここまでの状況を説明し始めた。
 解放軍艦隊は帝国大要塞『エンペラーズマインド』へと攻撃を開始、大打撃を与える事に成功した。しかし、状況は膠着状態。なぜなら、規格外の『コアマシン』である『エンペラーズマインド・コア』により、この巨大要塞の装甲、武装は修復され続けているからだ。
「打開方法は、まぁ言うまでもないよね。コアの破壊に他ならない」
 要するに、突入作戦である。
 エンペラーズマインドへの突入は、スペースシップワールドの艦隊の援護によって、比較的安全に行う事が可能だ。さらに内部隔壁も先行した猟兵達によって破壊され、ルートは確保されている状態。
 そこで脅威となるのが、防衛のために存在する古代超兵器『デストロイ・ウォーマシン』。戦闘のみに特化し、感情を持たないこの強敵は、解放軍の英雄たちを既に何人も殺害してきたという。
 猟兵と言えど、油断すれば敗北を喫しかねない相手。万全の準備で挑む必要があるだろう。

「この強敵を退けたとして、もう一つ厄介な問題があってね……このコアマシンルーム、『オロチウイルス』ってものが充満しているらしいんだ」
 理屈は不明だが、その脅威からはウォーマシンやバーチャルキャラクターでさえ逃れられず、猟兵と言えど数秒程度の活動が限度だという。
「やれるとしたら、ユーベルコードを一発、だ。渾身のそれを叩き込んで欲しい。限界が来る前に、僕がそこからテレポートさせるからね」
 一度では不可能かもしれないが、この攻撃を繰り返すことで、コアの破壊、しいては帝国大要塞『エンペラーズマインド』の陥落を狙う事になるだろう。

「ある意味ここが正念場だよね。皆の手で、この壁を斬り拓いてほしい」
 頼んだよ、とそう言って、オブシダンは一同を転移させた。


つじ
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

 どうも、つじです。帝国大要塞『エンペラーズマインド』、その心臓部を目指すシナリオになります。
 警備に当たっている超兵器、デストロイウォーマシンを破壊し、コアに向けて渾身のユーベルコードを放つ、という流れです。コアへの攻撃は一撃限り、その後はグリモア猟兵が強制的に帰還させることになるでしょう。
 最後の一撃は勿論大事ですが、デストロイウォーマシンもかなりの強敵ですので、気を抜かず、全力で挑んでください。

 それでは、皆さんのプレイングをお待ちしています。
205




第1章 ボス戦 『デストロイウォーマシン』

POW   :    デストロイトリガー
【一切殺戮モード】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD   :    クリムゾンバースト
【全武装から全力砲撃】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    ユーベルアナライザー
対象のユーベルコードを防御すると、それを【自身の戦闘プログラムで高速解析し】、1度だけ借用できる。戦闘終了後解除される。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

アレキサンドラ・ミルキーウェイ
エンペラーズマインド攻略戦もいよいよ佳境なのですね
たまにはデキる猟兵であることをアピールしてやるのです

要塞内部に潜入して、敵を見つけたら殲滅です
邪封鎖と封印錠による喰命剣の【封印を解き】、魔改印で自分の身体情報を書き換える事で【災厄を招く欲望】を発動
命のみならず、全てを私に寄越してもらうのです

戦闘ではテレポートを使い、常に敵の後ろ側に回る事を意識
多少の被弾は無視して、超怪力を乗せた【捨て身の一撃】を叩き込んでやるのです
UCの代償は敵から【生命力吸収】する事でカバー
一応、致命傷だけはテレポートで回避しましょう

コアへの攻撃もテレポートで接近してから喰命剣で【捨て身の一撃】
ぶち壊してやるのですよ


トゥール・ビヨン
パンデュールに搭乗して戦うよ

ボクとパンデュールは一緒に戦うみんなの盾になり、攻撃から守るように動く

「どうした、ボクとパンデュールが相手だ!」

先ずは戦闘知識で敵の攻撃を分析しながら対処していく

敵の全力砲撃は攻撃している仲間が狙われているなら、【かばう】ように【武器受け】と【盾受け】で防御し、仲間を射程がに逃がす

敵が一切殺戮モードに入ったら、【システム・パンデュール】を起動し、超高速で動きながらパンデュールに攻撃を引きつけ、全力で武器と盾で防御する。

仲間がユーベルコードを放つ際は、敵に防御されないよう、パンデュールが牽制で武装のドゥ・エギールで攻撃を行いながら隙を作るよ。

突破できたら、UCの斬撃。


灯璃・ファルシュピーゲル
SIRD局員として参加

ここでイタチゴッコを続けていて
解放軍将兵の貴重な命を無駄に
散らさせる事は出来ませんからね・・

要塞内到達次第
周囲で投入された味方の動きに連携して
射撃戦主体で戦闘開始

選抜射手としての経験「戦闘知識・スナイパー・鎧無視攻撃」で
敵ウォーマシンの装甲の隙間から動力・駆動系の部分
や頭部センサーユニットを狙い。
確実なダメージと味方猟兵への攻撃を妨害し
アシストするよう戦闘を行います

弱った敵が居る場合は即座に味方と集中砲火
各個撃破で数を確実に減らします

コアへの射線が通り次第
コード使用し狼達を召喚
疾走する狼達一つに合流させながら
コアへの一撃を狙います

「・・・うち戦友(狼)達の牙は鋭いですよ」


紅庭・一茶
ぐうっ、大きい!大きいです!
――ですが!紅庭は紅庭の出来る事を!

【WIZ】
(武器落とし・おびき寄せ・一斉発射)

真っ先に『とっておき☆レシピ』を使用して、
シュガースティックを複製しての攻撃をします
無差別攻撃時の標的としての誘導や妨害等の、
皆さんの援護も極力出来ればとっても幸い!
そしてそして、良い頃合いとなりましたら、
一斉発射で一箇所を狙い撃ちまして武装破壊を!
(回復が必要な時はしっかり支援します!)

誘導等で敵の隙を突けそうであったり、
コアに攻撃出来そうであれば『遠回す大人味』を!
大変単純な攻撃ですが大変重いですので、
此処は一つ思い切り破壊させて頂きましょう!

――がつんと一発!喰らって下さいっ!


ルイス・アケーディア
よう、かつての同胞。
戦闘だけではない生活も悪くないものだぞ……まあ、お前にはどうでもいいことだろうが

面倒なことに、俺のユーベルコードは火力が低くてな。
俺を囮として使え。敵の破壊は味方に託そう。

念動力での軌道逸らしとバイクでの高速移動で攻撃を回避
ライフルで射撃しつつ接近を狙い、バイクで踏みつけして離脱のヒットアンドアウェイを繰り返す

敵が一切殺戮モードに変化したら、
『燦爛たる宝物庫の管理者』で宇宙バイクを駆動させたまま自身は降り
バイクをデコイにして攻撃続行

他にも囮・盾にできるものが有れば破片でも残骸でも何でも使う

コアへの攻撃はプログラムド・ジェノサイド
時間の許す限り砲弾の連射を

アドリブ・連携歓迎


ミスト・ペルメオス
(SPD)

やるぞッ…、ブラックバード…ッ!

自前の機械鎧を駆り、作戦に参加。
補助デバイス等により情報収集を行いつつ侵攻。
念動力、最大。機体と装備の制御や敵の動作・射線の見切りに活用する。
敵を確認し次第、速度を落とさぬよう注意しつつフェイントを混ぜた戦闘機動に移行。
こちらへの攻撃に対しては回避機動を主軸に、躱しきれないものはビームシールドによる防御で対処しつつの攪乱を試みる。
折を見て急降下&急旋回を仕掛け、【ヒット&ラン】による一撃離脱戦法を実施。
可変速ビームキャノン/対機動兵器モードを使用、すれ違いざまに速度と貫通力に優れた一撃を叩き込むことで有効打を狙う。

※他の方々との共闘等、歓迎です


アメリア・イアハッター
壁を斬り拓き未来を拓く!
そういう戦いってやる気が出てきちゃうよね
行こう!

・方針
相手の弱点は光る瞳と細い足ではないかと判断
転けさせることで正面に火力を集中しにくいようにして、味方が攻撃しやすいように
転ばせた後は瞳を踏み砕く

・行動
自身にUC【氷上妖精】使用
敵に向け滑走しスピードをつけた後スライディングの姿勢で突撃
敵の視線が下に向き他がおろそかになればよし、こちらを見失ってもよし
攻撃がきたら手足を使って方向転換しながら

接近したら相手に向かってもUC使用
摩擦を奪った所に足にスライディングをかまして転ばせよう
転んだらジャンプして瞳を踏み砕く

コアには【マジック・ミサイル・ダンス】使用
可能な限り撃ち続けよう


アーノルド・ステイサム
デストロイ・ウォーマシンね…
俺もそうなる可能性はあったのかもしれんが
だが俺はもうすでに心を持った“人間”だ
心の強さ、心を殺して戦闘力を向上させる非効率さ
お前らに証明してやろう

強敵なら単身挑む理由はない
仲間と連携して着実に各個撃破だ
前衛に立つが…舐めてかかれば一撃で沈みかねんな
ヘルパー・オン!防御支援アクティブ!
役目は盾 攻撃<防御だ
致命傷を食らわんよう防御に専念
仲間たちが攻撃に集中できるよう配慮
仲間に攻撃が向く場合、可能ならカバーに入ろう
このでけぇ斧は盾代わりにもなるんだよ

道中が処理できればあとはコアマシンルーム
渾身の一撃を見舞ってとっとと退散だな
攻撃支援アクティブ!出力最大ッ!!


ギド・スプートニク
ねも嬢と

さて、強敵とは言うが少しは楽しませて貰えるのだろうか
手を抜いてる相手ではないか、と魔眼を発動
見えざるものの、意志無き者の支配こそが我が魔眼の能力
空間を支配し、敵の動きを鈍らせる
ねも嬢の攻撃が刺さる範囲では出力を上げ、完全に動きを封じよう

敵の殺戮モードや全方位砲撃は支配を一時的に強め、一瞬停止させる
ひとときもあれば、回避に支障はないだろう

中・遠距離では魔法、本命は近距離での剣杖による斬撃
遮蔽や囮は有り難く利用
攻撃時は武器を支配し出力を上げる


コアルームでは『高貴なる赤』も重ねて使用
出し惜しみは無しだ
反動も、枯渇も気にせず持てる力のすべてを込めて斬撃を放つ
我が魔力、今だけは存分に喰らうが良い


蓮花寺・ねも
ギド君(f00088)と

手早く油断なく行くとしよう。
まずは目の前のアレを叩き潰す。
ギド君が動きを鈍らせてくれるなら、その隙を衝こう。

アレを止めるのか。流石だな。
嗚呼、これなら、よく観える。

墜ちろ。【星の雨】。
ぼくは、お前の存在を認めない。
防御なんて考えてくれるなよ。潰れろ。

潰し切れたら上々だけれど、一撃で片が付くとも思ってはいない。
周囲の破片を念動力で動かし、囮と遮蔽に利用する。
敵の攻撃を凌いでギド君が接近できるまでの道を作ろう。
行く手に障りが無ければ、早々遅れは取らんだろう。


そうだな。出し惜しみはしない。
これはお前が、お前達が、踏み躙り砕いてきた星の欠片だ。
コアへは全力で最大の星を墜とそう。


アリン・フェアフィールド
古代超兵器かあ……ジッとしててくれたら分解して中見てみたかったかも。
今は一刻も早く要塞を落とさないと。
手荒にバラバラにさせて貰うしかないよね!

敵の攻撃や砲撃は、スクラップハンドを分厚く張って盾にして防ぐ!
近くに他の猟兵も居たら庇えそうだったら庇うよ!

「スクラップ・ジャイアント・ハンド! ビッグ・パンチモード!」
攻撃力マシマシにしたハンドで、思い切りぶん殴る!
装甲は生半可じゃなさそうだけど…
武器のアームはちょっと細めだよね。ヘシ折ってやるー!

D・ウォーマシンを倒せたらコアにも一撃パンチ!
な、なるべく息を止めて…!
うう、なにこれ、苦、しい…ドクター・オロチって一体何者なの……!

※アドリブ歓迎



●デストロイウォーマシン
 開かれた、または破壊された隔壁を超えて、猟兵達は要塞の深部へと進む。確保された道中を阻むものは何もない。この前に起きたのであろう戦いの痕跡だけが、壁や床に残されていた。
「壁を斬り拓き未来を拓く! そういう戦いってやる気が出てきちゃうよね」
「解放軍将兵の貴重な命を、無駄に散らさせる事は出来ませんからね」
 足早に歩みを進めながら、アメリア・イアハッター(想空流・f01896)と灯璃・ファルシュピーゲル(Jagd hund der bund・f02585)が言葉を交わす。ここでの戦い、要塞のコアを打ち砕くことこそが、戦争の膠着を打開する鍵となるだろう。だが通路の先、コアルームの前には、最後の障壁が猟兵達を待ち構えていた。
 デストロイウォーマシン、赤い装甲の超兵器。少し広くなった通路の真ん中、待機状態で鎮座していたその機体は、猟兵達の存在を察知し、立ち上がった。卵のように全身を包んでいた装甲が割れ、機械仕掛けのその眼に光が灯る。
「警告します。それ以上の接近は許可できません」
 がしゃんと音を立てて現れた砲塔付きのマニピュレータが、真っ直ぐに猟兵達に向けられた。
「一応警告はしてくれるんですね」
 帰るつもりはありませんけど、と呟いて、灯璃が銃の引き金に指を置く。その後ろに追いついて、アリン・フェアフィールド(Glow Girl・f06291)は左腕のスクラップハンドを確かめるように、強く握った。
「古代超兵器かあ……ジッとしててくれたら分解して中見てみたかったかも」
 スクラップビルダーらしい感想はさておき。敵は心を排したウォーマシン。猟兵の側としても、それぞれそこに思うところはある。
「よう、かつての同胞。戦闘だけではない生活も悪くないものだぞ……まあ、お前にはどうでもいいことだろうが」
「デストロイ・ウォーマシンね……俺もそうなる可能性はあったのかもしれんが」
 ルイス・アケーディア(ストーンヘンジ・f08628)、そしてアーノルド・ステイサム(天使の分け前・f01961)は、機械の体の同胞と自らの差異を実感する。それは立場の差だけではない、決定的なもの。
「だが俺はもうすでに心を持った“人間”だ。心の強さ、心を殺して戦闘力を向上させる非効率さ、それをお前らに証明してやろう」
 大斧を手に、前へ。巨大な刃は、同時に堅牢な盾にもなる。最後通告から続けて発射された熱戦が刃の上で弾けて、刃を赤く染め上げた。
「排除します」
 ブラスターに続いてレーザー。シンプルな言葉と共に、デストロイウォーマシンの銃口が矢継ぎ早に火を噴く。踊る赤光と白光、しかしその間を縫うように、二つの機影が飛び出した。
「ボクとパンデュールが相手だ!」
「やるぞッ……、ブラックバード……ッ!」
 トゥール・ビヨン(時計職人見習い・f05703)、そしてミスト・ペルメオス(新米猟兵・f05377)、機会鎧で武装した二人が共にスラスターを噴かせ、別々の軌道で飛行。ブラックバードからのビームキャノンを目くらましに、パンデュールの双刃『ドゥ・エギール』が閃く。
 赤い装甲でビームを弾き、それでも動じた様子もなく、デストロイウォーマシンは光刃を手にしたもう一本の腕でパンデュールの攻撃を受け止めた。
「四本目。腕はこれで全部かな?」
「……だと良いんですが」
 もう一度ミストが引き金を引くのに合わせて、トゥールは深追いせずに一旦退く。射撃の雨が彼に迫るが、そこは後方からの銃弾と魔法矢――灯璃とアメリアの援護射撃が遮った。情報を引き出すための数度の接触、いつまでも回避し続けられるものではないが、直接の接近で得られる情報は質、量ともに多い。
「なるほど、少しは楽しませて貰えそうだ」
 分析するように言うギド・スプートニク(意志無き者の王・f00088)に、「まだ?」という目を蓮花寺・ねも(廃棄軌道・f01773)が向ける。
「もうしばらく、待ってもらえるだろうか?」
「良いけど」
 ねもが簡単に頷いたのは手を出すタイミングを計っているから。混戦じみた現状では彼女の手は少々大きすぎる。せいぜいできるのは、そう、念動力で銃身の狙いを外してやる程度。
 そんなやりとりを耳にして、アーノルドが軽口を叩く。
「サボるなよ?」
「そちらも」
「ほう、サボってるように見えるか。まとも食らうと一撃で終わりかねない相手なんだが」
 敵の射撃は正確無比にして高威力。お節介な妖精……そう名の付いたプログラムを走らせ、防御支援に全回ししているのがアーノルドの現状だ。巨大な体躯の彼がそうすることで、この開けた場所に味方のための安全地帯が生まれる。
「そのまま場の確保を頼む。俺も前に出る」
 ルイスがそう声をかけて、バイクの動力部に火を入れる。高速機動で飛び回る鎧装兵二人に加わる形になるわけだが。
「面倒なことに、俺のユーベルコードは火力が低くてな。……俺の事は囮として使え」
 能力と役割は理解している。そんな様子で仲間達に声をかけた。それに呼応したのは、紅庭・一茶(いばらゆめ・f01456)も同様で――。
「紅庭も、お手伝いします!」
 巨大かつ強大な相手でも、自分のできる事を。彼の唱えた言葉に合わせて、シュガースティック……そう名の付いた、結晶のように煌めくメイスが複製され、空中に並ぶ。鈍器の群れと考えればそれなりに凶悪ではある。
「囮、ということでしたらありがたく使わせてもらうのです」
 そしてアレキサンドラ・ミルキーウェイ(強欲の貧者・f13015)は、大剣に絡みついた鎖と錠を解除する。
 喰命剣ロヴァリスを解放。そして、自らの身体情報を書き換えることでユーベルコードを発動。
「たまには、デキる猟兵であることをアピールしてやるのです」
 災厄を招く欲望。望み求める心はアレキサンドラに力をもたらし、同時に毒となって彼女の身体を蝕み始めた。

●機動戦
 一瞬で敵の後ろを取り、アレキサンドラが巨大な刃で敵の背を斬り裂く。目にも止まらぬ速さ、とはまた違う、それはユーベルコードの効力による転移である。デストロイウォーマシンの砲塔がこちらを向くその前に、再度転移してもう一太刀。肩部に傷を負わせてそのまま離脱する。
「せっかく囮があるんだ、無理して突っ込み過ぎるな」
 疾走するバイク上から射撃で敵の気を引き、駆け抜けたルイスが彼女の傍らでターンする。二人を追おうとする銃身を、シュガースティックの複製品が叩いて逸らすのが見えた。
「いやあ……これ、止まると逆にまずいのですよ」
 体を蝕む毒、それに抗する手段が、この生命力を啜る刃である。ゆらりと、大剣を薙ぎ払う体勢に移り。
「この際だから、命のみならず、全てを私に寄越してもらうのです」
 もう一度、彼女の姿が掻き消えた。
「進路予測。撃ち落とします」
 対する敵の戦術プログラムは対応が早い。概ねの予測地点に銃口を置き、照準を動かす範囲を誤差修正のみに留める。果たして、その近辺に転移したアレキサンドラの斬撃が装甲を深く削り取る、が、こちらも射撃から身を躱せるかは紙一重。
「……!」
 若干忌々し気に片眉を下げて、しかしアレキサンドラは振り切った大剣をもう一度振りかぶる。生命力を奪う事に重点を置いた以上、多少の被弾は問題ない。覚悟の上の、捨て身の一撃は、しかし予想外にあっさりと装甲の一部を斬り飛ばした。
 何があったのか。簡単な話だ、上からバイクが降ってきた。
 ルイスの駆るそれは、攻撃寸前だったデストロイウォーマシンを上から踏みつけにして、頭部に轍を刻んで駆け抜けていく。がくん、と一度大きく体を沈み込ませて、しかし敵は攻撃をやめない。その辺りを察してまた転移したアレキサンドラではなく、迫り来る鎧装騎兵へと照準を移動。光線が二条、そして一番巨大な砲塔からの熱線。空間を切り裂くそれらを螺旋機動で振り切って、黒い鳥が疾走する。
「(――仕掛ける)」
 ヒット&ラン。火を噴いたスラスターで、断続的に光の花を咲かせながら、降下の勢いと共に光弾が放たれる。貫通力を重視した光の槍は、しかし防御のために構えられた敵の光刃と接触し、眩い光を放つに終わった。
 それでも一撃離脱、反撃を許さぬ速度で突破したミストが急旋回する合間に、もう一機の黒い機体が刃を手に襲い掛かる。パンデュールの振るう刃が光刃で防がれるのは先程までと同様、だが膝関節に仕込まれていた刃が敵腹部に刺さり――。
「トゥールくん!」
「借りるね……っ!」
 一茶の操作により手元に飛んできたメイスを掴み取り、追加の一撃。そしてこちらも反撃が来る前に、後方に飛び退る。アレキサンドラの転移からの斬撃が追う足を止めた。
「無駄、なのですよ」
 アレキサンドラの短距離テレポートが続く。連続しての転移を阻める者は誰もいない、はずだったが。
「――解析完了。リリース」
 戦術プログラムが相手のユーベルコードを解析、模倣する。デストロイウォーマシンのスラスターが爆発的な出力を発揮。高速機動を行う彼等のように、一瞬の加速でアレキサンドラに迫る。さらに置いてきぼりされたシュガースティック達を連続射撃で撃墜し、周りの猟兵達をまとめて照準。がしゃがしゃと音を立てて、背負ったミサイルポッドから弾頭が顔を出した。
「ああ、これは――」
 まずいですね、と呟く間もなく、ブラックバードはシールドを展開しながら降下、ルイスと一茶の前へ。アーノルドが後ろの者達が影に隠れるように胸を張る。
 射線を、躱せる位置は、あるのか? 転移すべき場所を探すアレキサンドラに、超高速で急降下してくるパンデュールから声が響いた。
「僕の後ろへ!」
 地面に足をぶつけるように着地し、武器を、盾を、とにかく前面に。アレキサンドラがテレポートしたその刹那。
「――CrimsonBurst!!!」
 光、熱、尾を引く煙と爆炎。デストロイウォーマシンの、全ての砲火が一斉に放たれる。音の無い武器と轟音を上げる兵器、それらの全てが赤い輝きとなって猟兵達を襲った。

●足元を奪う
「皆さん、大丈夫ですか……!?」
 駆け寄る前に、こちらも出来ることを。一茶は動揺を押し殺すようにして、治癒のための甘い曲を歌い上げる。回復効果が行き渡るのを待つことなく、敵は銃口を猟兵達に向けて追撃を始めるが、そこに。
「大人しくしていてもらいましょうか」
 間隙を縫うような、狙撃。狙いに問題はなかったが、灯璃の放った銃弾は、しかしカメラを隠すように閉じた装甲に弾かれた。
「カメラか、関節くらいなら狙えるかと思いましたが、守りが固いですね」
 飛んでくる反撃の光弾からコンテナを盾に身を隠し、灯璃は次の狙いを付ける。動力やら駆動系にダメージを与えられれば話は早いのだが。
「やっぱり狙うならアームかなぁ? 細いし、わたしの『腕』ならへし折れそう!」
「足も細く見えるわ。それから、引き続きカメラ狙いも良いかも」
 戦闘の経過で生じたスクラップを、自らの腕に継ぎ足しながらアリンがそう口にし、アメリアが次の一手に迷うように首を傾げた。重装甲なのは依然変わりないが、猟兵達の攻撃により、そこかしこに綻びが生じている。今ならば。
「それじゃ、試してみよう。……大丈夫、わたしがこの手で守るから!」
 軽く応じたアリンは、一層巨大になったスクラップハンドを構える。掌を開いたまま、前面へ。機械の腕を盾代わりにしながら、彼女はアーノルドの影から跳び出した。
 前が見えるように指の隙間をわずかに作り、そのまま後続のアメリアを守りながら突進。降り注ぐレーザーがスクラップハンドを突き刺していくが、この短時間では焼き貫くには至らない。そこで。
「ありがとうアリンちゃん! ここからは氷上のダンスよ!」
 氷上妖精を発動。氷魔法により、アメリアの行く手に真っ直ぐ、極薄の氷の絨毯が敷かれる。そして彼女は走ってきた勢いそのまま、スライディング。要塞内を高速で滑っていく。
「――あっぶな!?」
 迎撃のために振り下ろされた光刃は紙一重で外れた。その間に敵の足元へと滑り込んだアメリアは、敵の細い足に一撃を加えた。
 ……柱を蹴ったような重い手応え。アメリアの表情が笑みのまま固まる。
 細く見えた足も、通常の人間サイズのアメリアから見れば十分にしっかりしており、何より足先の爪がアンカーよろしく床面に突き刺さっていた。恐らくは先程の一斉射撃のために体を固定したせいだろう。
「跳弾に気を付けて」
 代わりに、狙いを汲んだのは灯璃だった。短い言葉と共に、ライフルが二度火を噴いて、敵の左足先、爪に繋がる部分を貫き、破壊する。
「あなたも、一緒に踊ってみる?」
 今。好機を見て取ったアメリアが再度床に冷気を這わせる。また真っ直ぐに伸びた氷の膜は、敵の足と、床面を走って摩擦を奪い去った。
 ――先程の、スライディングによる突撃。足払いにこそ失敗したが、敵の注意を足元に引き付けることには成功している。ゆえに。
「――仕掛けます」
「さあ、倒れてね!」
 上方を舞うミストとトゥールを認識するのが遅れる。傷付きながらも高速で迫る二機は、射撃と体当たりで敵の上半身に重い衝撃を加えた。
「!?!?!?」
 敵の、爪を失った片足が、どうしようもなく滑る。そして無様に、デストロイウォーマシンは天を仰ぐようにして倒れ込んだ。何が起きたか認識が追い付いていないウォーマシンのカメラが、迫るブーツの底を映す。
 転倒した者とは対照的に、軽やかに宙を舞ったアメリアが、その隙を逃さず、敵のカメラ部分を踏み砕いた。

「これならどう!?」
「えっと、まだみたい!」
「敵ノセンサー稼働ヲ確認。離脱シマス」
 トゥールの声にパンデュールが応え、アメリアを掴んで飛び退く。一瞬前まで二人が居た場所を熱線が貫き、レーザーがさらに追撃をかける。大斧でそれを受け止めたアーノルドの後ろに逃げ込んで、猟兵達は敵の様子を窺う。
「カメラの他にもセンサー積んでるみたいだよ?」
「でしょうね。レーダーの類があるとすると……」
 スクラップハンドを盾にしたアリンの見立てに、灯璃が頷く。そうなると、ここからも敵の射撃性能に変わりはないと考えられる。
「良いと思ったんだけどなあ、カメラ狙い……」
「いや、手自体は悪くない」
 若干気落ちするアメリアに、アーノルドが言う。促すような声音に顔を上げれば、スラスターを吹かせたミストと、テレポートを駆使したアレキサンドラが両方向から敵へと攻撃を仕掛けていた。
 高速機動からの射撃に、転移しての斬撃。続くそれらへの対応が先程よりも――。
「反応が遅い?」
「カメラとは処理系が違うのかも」
 アメリアの疑問にアリンが推測を挙げる。当たらずしも遠からずか、戦闘に置いてその一瞬の遅れは勝敗を左右しかねない。ゆえに、と言うべきか。
「一切殺戮モードに移行。周辺の職員、部隊員はただち離脱を」
 生じたエネルギーフィールドが、装甲を、銃身を包み込む。マニピュレーターが素早く蠢き、今までとはランクの違う出力のレーザーで、ミストを撃ち抜いた。
「くっ……!?」
 デストロイトリガー。このウォーマシンは理性を、思考を放棄し、ただただ素早く動くものを壊す戦闘機械へと自らを変じた。
「強化されちゃったけど!?」
「なに、無駄なものを切り捨てれば良いってものではない」
「付け入る隙はあるということだ、アメリア嬢」
 アーノルドの言葉にギドが頷く。これもまた、想定の裡の出来事に過ぎないのだから。

●星屑
 周囲の状況に反応するだけの機械は、しかしそれだけで恐るべき兵器と化した。動くものには即座に致命的な攻撃が加えられるという実感。だが。
「えーっと、これで良い!?」
 アメリアの振った腕の軌跡をなぞるように、魔力によるミサイルの群れが生まれ、順次発射されていく。高速で迫る飛行物体に、レーザーとブラスターが向けられ、その全てを叩き落していく。続けて上がる炎と煙、そこに。
「ギド君、そろそろ良いよね?」
「そうだな、ねも嬢。手を貸していただこう」
 ギドが、その眼の力を解き放つ。空間支配の魔眼。それも今ならば――。
「解析する頭もあるまい」
 がくん、と、何かに……周りの全てに縛られたように、デストロイウォーマシンの動きが一時、停止する。
「アレを止めるのか。流石だな」
 止められる時間は長くはない、それでも。
「墜ちろ。星の雨」
 指先を向けて、ねもが『それ』を呼んだ。それは、他の猟兵達が距離を取って初めて呼べるもの。
 潰れろ。そう呟きが音になる瞬間に、轟音がデストロイウォーマシンを貫いた。
 彼女の呼び声に応えたそれは、衛星の破片だ。流星、隕石、呼び方はそんなところか。速度と質量を持った変哲もない石片が、速度と質量だけで深紅の装甲をひしゃげさせる。
「ああ、一発では沈まないか」
「追撃をかける」
「では、道を開けてあげよう」
 短いギドの言葉に応じて、ねもは念動力を発揮。降り注ぎ、砕けた星の欠片を再び浮かび上がらせる。
「こちらもだ。借りるぞ、アリン」
「どうぞ、任せたよ!」
 ルイスの声に応えて、アリンが高く左腕を掲げる。機械と残骸で継ぎ接ぎにした、巨大なスクラップハンド。
「急拵え……と言っては悪いか?」
 燦爛たる宝物庫の管理者。発揮したユーベルコードの力により、ルイスの身体がバイクから浮き上がる。そして無人となったバイクと共に、アリンの腕から散っていくスクラップ達が彼の意思に従って動き始めた。
 そう、あれも、これも、全ては囮。高速で突っ走る無人のバイクに、周回軌道を描いて飛び回る残骸達に、デストロイウォーマシンの照準が持っていかれる。光線、熱線、ミサイル。それらが盛大に空振りに終わる中、猟兵達は敵に迫った。
「スクラップ・ジャイアント・ハンド! ビッグ・パンチモード!」
 先頭切って掲げたアリンの腕。細くなったそこに、再度、いや前以上の数になったスクラップが集う。星の欠片も大量に巻き込んで、一層巨大になったその腕が振り下ろされ、敵を地面に叩き付ける。
「アームを!」
「ああ、任せると良い」
 一歩遅れた位置から踏み込んで、ギドが杖に両手を添える。妖しく輝く双眸が、その杖に収められた刃に力を与える。
 三度、剣閃が走り、剥き出しになった敵の腕部を全て斬り落とした。
「ようやく、ここまで来たか」
「それでは――たんと甘さを足しましょう!」
 アーノルドの振り下ろした斧が、原型を留めぬほどに歪んだ装甲に突き刺さり、一茶がそこに砂糖を一塊。シュガースティックと名の付いたメイスでダメ押しを加える。
 砕け、剥がれた装甲の下には、脊髄にも似たサーキットと、内臓や脳に当たるそれらが仕舞われていた。
「今度こそ、全部いただいてあげるのです」
「終わりか。さして楽しいものでもなかったな」
 瞬間移動で接近したアレキサンドラと、ギドの刃がそこに続けて突き込まれる。
 内部回路をずたずたに破壊され、ついに、デストロイウォーマシンはその機能を停止した。

●終着点
 警備を担う超兵器を打倒し、猟兵達はついに、そこに至る。
 最後の、驚くほどに薄い扉が開いた先は、この要塞のコアルーム。しかし同時に、そこは致死性のウイルスで満たされた場所でもある。
「(うう、なにこれ、苦、しい……ドクター・オロチって一体何者なの……!)」
 思いを巡らせる暇はない。呼吸を止めながらもアリンは前に出る。
「……うち戦友達の牙は鋭いですよ」
 即座に攻撃に移るべきという認識のもと、灯璃がユーベルコードを発動、召喚した黒い霧から、狼の形をした無数の闇が生み出される。音の無い吠え声と共に、牙がコアへと突き立てられていった。
「神速を超えろ、システム・パンデュール!」
 こちらも高速で飛び出したトゥールがコアに刃を突き立て、傷口を広げるように全速力で飛翔。その裂け目を目掛けて、ミストとルイスが銃を構え、アメリアが爆発属性の魔法矢をずらりと並べる。
「さて、それじゃ時間一杯まで――」
「ええ、撃ち続けましょう!」
 事前にインプットされたプログラムに従い、全力の射撃に入るルイスに続き、アメリアのミサイルがありったけ継ぎ足され続ける。
 その合間を縫って転移したアレキサンドラが捨て身の一撃、刀身を深々と突き立て――。
「攻撃支援アクティブ! 出力最大ッ!!」
「――がつんと一発!喰らって下さいっ!」
 防御から出力強化プログラムに全振りしたアーノルドと、単純に重い、『遠回す大人味』を発動した一茶が各々全力一撃を打ち込んだ。
 デストロイウォーマシンをねじ伏せたアリンの巨腕ももう一度猛威を振るい、そして。
「出し惜しみは無しだ」
「そうだな。出し惜しみはしない」
 巡る血の力を最大限に発揮したギドの言葉に頷き、ねもがもう一度、『敵』へと指を向けた。
「我が魔力、今だけは存分に喰らうが良い」
 世界を断つ斬撃と、特大の星。
「これはお前が、お前達が、踏み躙り砕いてきた星の欠片だ」
 穿て、潰れろ。

 辿り着いたその場所。猟兵達の全力が、要塞の心臓へと突き刺さる。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年02月12日


挿絵イラスト