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銀河帝国攻略戦⑫~黒白ばーどあたっく

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦

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●さいこふぉーすぺんぺんつどう
「皆の奮闘のおかげで『エンペラーズマインド』の防衛艦隊もエンペライダーズも総崩れ。次はコアを狙うか隠れた戦艦を探しに行きたい所、なんだけどね」
 首元にかけた鍵型のグリモアを撫でつつ、ヴィクトル・サリヴァン(星見の術士・f06661)は状況を説明する。
「突破された『エンペラーズマインド』防衛艦隊とエンペライダーズの残存兵力が集結し、再編成して戦力を整えようとしているんだ。現時点では敗残兵、だけれど再編成されれば侮れない戦力になるだろう。もしそうなれば、『エンペラーズマインド』と戦っている解放軍の艦隊に横から仕掛けてくるだろうから少なくない被害がでてしまうだろう。……そうなる前に何とかしたいよね」
 そこで、だ。そうヴィクトルは続ける。
「今回キミ達にはそんな敗残兵達に攻撃を仕掛け、残存戦力を完璧に叩き潰しに行って貰いたい。相手はアイスバーグレンジャー、見た目はマントを付けたペンギンだね」
 ぺんぎん。
「万全な状態なら速度と仲間との連携を活かした攻撃能力は折り紙付き、けれど敗北したことで優秀な隊員が減ったからなのか、はたまた数を揃えるために別の隊に居たのも集めたからか、数はいるけど少々連携に乱れがみられる。ちゃんと再編成されればその点も解消されるんだろうけれど、今から攻める分には十分その隙を突くことも出来るはずだ。存分に攻めて攻めて攻め立てて、鮮やかに勝利を決めてきて欲しい」
 そうシャチは補足すると猟兵達を見回す。
「敵も数だけはそれなりにいるけども、キミ達なら問題なくやり遂げる事が出来るだろう。――まだまだ戦いは続く。くれぐれも油断なく、確実に倒してきてくれるようお願いするよ」


寅杜柳
 オープニングをお読み頂き有難うございます。
=============================
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
=============================
 このシナリオでは『エンペラーズマインド』の防衛艦隊とエンペライダーズの敗残兵の一集団と戦って頂きます。
 基本的な流れとして、わらわらと集まっているペンギン達にどーんと当ってそこから派手に戦う流れになると思われます。

 それでは、皆様のご参加をお待ちしております。
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第1章 集団戦 『アイスバーグレンジャー』

POW   :    フォーメーション『霜』
【冷凍ビーム】が命中した対象を爆破し、更に互いを【氷の鎖】で繋ぐ。
SPD   :    フォーメーション『霰』
【隊長ペンギンの特攻体当たり】が命中した対象に対し、高威力高命中の【隊員ペンギン達の連続体当たり】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
WIZ   :    フォーメーション『雹』
【隊員全員のパワーを合わせて巨大氷山】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ウレルト・ジュペル
ここまで上手くいっているのに増援はいけないわね
ぱぱっとお片づけしちゃいましょうか

周りに他の人がいるとちょっと危ないから暴れる前に場所取りをしなくちゃ
なるべく敵が多い所に突っ込んでみるわね
敵の攻撃は武器受けで流したり頑張って避けてみるわ
少しの傷なら厭わないから

上手く位置につけたら
バウンドボディで腕を伸ばしてコマみたいにクルクルっと回りながらペンギンさんを叩き落としていくわ
ゴムみたいに反動が大きいからちょっとした竜巻みたいでしょ?

※アドリブ・共闘歓迎


遠呂智・景明
アドリブ、他の参加者との連携絡み歓迎

宇宙にもいるんだな、ぺんぎん。
さて、数で攻めてくるならこれがやりやすい。
UC【風林火陰山雷 雷霆の如く】を発動。
自分の周囲に精霊を呼び出し、雷撃を放つ。

当たりゃ斬れるぞ、しっかりかわせや。

近づいてきた敵は自分で刀を抜き、【2回攻撃】による連撃を主体に斬り裂く。
はっはー、やっぱり沢山斬れるってのは気分がいいなぁおい!

敵の氷光線に当たらねぇように【フェイント】【残像】【見切り】を用いて翻弄しつつきちっと躱すか。

1人でこの数はやれねぇし、ほかの猟兵とも連携出来りゃいいんだが。


ニコ・ベルクシュタイン
ふむ、立ち合いは強くあたってあとは流れでというお話かな?
アイスバーグレンジャーは連携が得意と聞いていたが、
今となっては足並みが乱れているというのは好都合だ。
確実に、しかし欲を言えば少しでも多く撃墜したい所にて。

少しでも多くの敵を巻き込めるように位置取りを意識しつつ
【花冠の幻】を発動、宇宙空間に舞う虹色の花を見るが良い
【フォーメーション『雹』】の反撃には「オーラ防御」で回避を図り
隙を見て離脱を狙う。立ちはだかる敵は「吹き飛ばし」で退かし
多少でも強引に道を切り拓く

機動力では流石に敵わないが、数と力での暴力ならば此方が上ぞ。
…え?どちらが悪者か分からない?それは失敬。


旗村・グローリー
アイスバーグレンジャーを狩ろう。

ペンギン……成程、水族館の人気者か。
個体でも中々のラブリーさを見せるが、群れを成すことでそれは更に高まる。
白と黒のカラーリングというところも、実に分かっている。
これは一筋縄ではいかない戦いとなるだろう。

だが当然逃げるわけにはいかない。
アニマル界のキングオブキング、ジャイアントパンダが引くわけにはいかないのだ。
良いだろう……始めようじゃないか、全宇宙アニマルバトル第二回戦、パンダVSペンギンを。

おれが狙うのは、とりあえず目についたやつだ。
フォーメーション攻撃というのは役割が設定されているハズ。
これを崩せば威力は減衰するだろう。斧を振るい、敵の数を減らしてゆこうか。


來米良亭・ぱん太
「白黒なら、負けないっすよ!」
パンダとして、ペンギンに対抗心。
「ペンギンにダジャレが通用するかは謎っすけど、氷属性攻撃でも負けやしません!」
とUC発動(詠唱のダジャレはお任せ♪)氷というか寒くなります。なんならブリザード吹かせて下さっても。
効いたら続けざまに小話やダジャレ満載のネタ帳のページを繰る。
「えっと、確かこのへんに……これだ『温暖化の影響かねえ、氷河に豹がいたってよ! ひょお~、そりゃ驚きだ!』」くだらなさによるマヒ攻撃を狙う。
どの攻撃も敵を脱力させることはできますが(?)決定打には欠けるので、他の猟兵さんにトドメはお願いしたいです。
遠慮無くスベらせてください。
※連携アドリブネタ大歓迎


フィロメーラ・アステール
「ここはド派手な攻撃で決めるか!」
ヤツらの士気をぶっ飛ばすために、あえて直接対決で打ち破ってやるぜ!

【星の遊び場】を発動だー!
お星様に【祈り】と魔力を捧げて、炎属性の流れ星を呼び出し、敵の放つ氷山に真っ向からぶつけてやる!
どっちの【属性攻撃】が上か、勝負だぞ!
あたしの【気合い】を込めた【全力魔法】が文字通り火を噴くぜ!

この【パフォーマンス】が成功すれば、たぶん敵の士気はガタガタ!
味方にも【勇気】を与えて【鼓舞】できるはずだぜ!


トゥール・ビヨン
宇宙ペンギンが相手か。

よしっ、いこうパンデュール。

銀河の平和のために!

パンデュールに搭乗して戦うよ。

アイスバーグレンジャーの群れとぶつかったら、まずは武装のドゥ・エギールでなぎ払う

敵からの攻撃は武器受けと盾受けで凌ぎつつ、次々やってくる二回攻撃とあわせてペンギンたちを倒していくよ

敵が距離をとってフォーメーションを組んだらワイヤード・マレディクションを発動して、敵を一体ずつ捕縛してこちらに引き寄せ倒していく

これで敵の陣形を崩してやるんだ

また、仲間が巨大氷山の射程内に入っているようならワイヤーを絡めて引っ張って射程の範囲外に出られるようにするね

「大丈夫?いきなりでごめんね。」


尾崎・ナオ
【拳銃早打ち】で仕留めるよ!(レベル分の1秒で【黒い拳銃】を発射できる)
「これ、見える~ぅ?」
相手を茶化しながら早打ち!技能【クイックドロウ48】も乗せて、高速の早打ちを仕掛けるよ!
弾薬が足りない?いやいや、大丈夫。拳銃自体が沢山あるから!同じ銃ちゃんと複数装備してるから!

あとは【ナイフいっぱい☆】も使って牽制していこうかなー。
こいつら、意思はあるんだよね?ちゃんと退いてくれると嬉しいんだけど!
ちゃーんと投げる前に【毒使い12】でしっかり毒を塗ってまぁす!
それを念力で【投擲11】!投擲フォームを使うって事で!



●宇宙ペンギン達の反攻
『命ある限り敗北ではない!』
『『そうとも!』』
 宙域に念話で意思が伝わってくる。それは、敗北者達の再起の為の演説。
『先の戦いでは各々撤退する羽目になったのだろう。だが、私達は今ここに再度集った!』
『『そうだ!』』
『なればこの場より皇帝の為に、再び戦う準備はできているだろう!』
『『応!』』
 ――その念話の主達が岩をぴょんぴょんと飛んでいそうなペンギンでなければ格好よくあったのだろうけれども。

(「宇宙にもいるんだな、ぺんぎん」)
 少々場違いな位にのんびりした事を考えつつ、遠呂智・景明(さむらいおろち・f00220)はそんなペンギン達の様子を遠目に見ていた。
「立ち合いは強くあたってあとは流れでというお話かな?」
 小首を傾げるニコ・ベルクシュタイン(虹の未来視・f00324)は冷静に戦場を観る。
 デブリが周囲に散らばっていて、身を隠したり足場にするには都合がよい。
「ここまで上手くいっているのに増援はいけないわね。ぱぱっとお片づけしちゃいましょうか」
 牛の頭部を持つ女性を模ったブラックタールのウレルト・ジュペル(砂漠の守護者・f11934)は、おっとりとした口調で当たり前のように言う。
「……個体でも中々のラブリーさを見せるが、群れを成すことでそれは更に高まる。白と黒のカラーリングというところも、実に分かっている」
 冷静に分析しているようでいてどこか対抗心が見え隠れしているのは、勝負服たるスーツ姿の旗村・グローリー(ザ・ジャイアントパンダ・f04986)。
 これは一筋縄ではいかない戦いとなるだろう。が、当然逃げるわけにはいかない。
 それは猟兵としての役割? 否、それのみではなく、
「アニマル界のキングオブキング、ジャイアントパンダが引くわけにはいかないのだ」
 グローリーの頭部のパンダ(マスク)の瞳がぎらりと剣呑な色を宿す。
「白黒なら、負けないっすよ!」
 パンダのキマイラである來米良亭・ぱん太(魔術落語家・f07970)もグローリーと同様に対抗心を燃やす。此方は着流し、それは落語家としての勝負服。
 陸と海、どちらの人気者が勝つか。それはとても重大な事なのである。
「良いだろう……始めようじゃないか、全宇宙アニマルバトル第二回戦、パンダVSペンギンを」
 二本の鉄斧を構えるグローリーが、デブリを蹴り爆発的な加速と共に切り込む。
「よしっ、いこうパンデュール。銀河の平和のために!」
 そんな二人の様子を見、フェアリーの彼にとっては巨大な、けれどよく慣れた場所である超常機械に搭乗したトゥール・ビヨン(時計職人見習い・f05703)が続き、更に六人の猟兵達が続く。

『! 敵襲だ!』
(「怒りがおれを強くする、怒りがおれを奮わせる」)
 ペンギン達の慌てた思念と対照的にグローリーは冷静。黒の背広という戦闘服に身を包み、理性と野性をコントロール。捨て身でその身を攻撃に晒す覚悟を押し込んで眼前の敵を蹂躙せんと突撃する。
 突然の襲撃に照準の定まらぬペンギンの放った冷凍ビームを躱し、左の斧を叩きつけ相手の体勢を崩す。やや浅い、けれど追撃の右の斧は左より威力を増し、より鋭い機動で宇宙ペンギンの一体を両断。
 そんな彼に続くトゥールは、パンデュールに合わせて調整された双刃の薙刀『ドゥ・エギール』で薙ぎ、応戦の為集いかけているペンギンの集団を散らす。
 ――本来は連携が得意な相手、その足並みが乱れているのであれば好都合。
(「その間に道を切り開く」)
 ニコが氷と炎、時計の針を模した一対のルーンソードを振るい、進路上に立ちはだかるペンギンを斬りつけ、吹き飛ばす。
「ここはド派手な攻撃で決めるか!」
 さらにフィロメーラ・アステール(SSR妖精:流れ星フィロ・f07828)が流星の尾を引きひゅんひゅんと飛び回り、そのフェアリーの体に見合わぬ強烈な追撃の蹴りを見舞う。
 敗残兵となってなお、皇帝の為の戦力になろうとする宇宙ペンギン達の戦意を完全にぶっ飛ばす為に彼女は真っ向から直接対決を仕掛ける。
 奇襲によりいきなり崩されたけれども、宇宙ペンギン達は速やかに冷静さを取り戻し、猟兵達を迎撃せんと陣形を整えようとする。
「ペンギンにダジャレが通用するかは謎っすけど、氷属性攻撃でも負けやしません!」
 そんな敵の様子を見て、扇子をパシッと閉じ魔力を高めるぱん太。あ、いやな予感。
「こんなペンギンは冷凍庫にいれーとーこ!」
 瞬間、戦場の音が停止した。宇宙空間だからというわけではない何とも言えぬ寒さが猟兵とペンギン達を通り抜ける。それは物理的な吹雪すら幻視してしまう程。
「……丁度いいわ。行くわね」
 その空白を見逃すことなく、ウレルトがペンギン達の領域に飛び込む。連携を崩されたレンジャー達は散発的に迎撃を仕掛けるが、ブラックタールの守護者は避けられない攻撃は武器で受けつつ直撃を回避しつつ進む。
 けれど、密度が高まってくると視界外の領域も増えてくる。通り過ぎた後方、そこから猛スピードでペンギンが突進し、売れるとを弾き飛ばさんとする。
 けれど、銃弾がそのペンギンの額に風穴を開けた。
「これ、見える~ぅ?」
 くるくると黒い拳銃を回す尾崎・ナオ(人間のシーフ・f14041)。その発砲動作を視認できた宇宙ペンギンはいない。
 そして、そのまま全周にペンギン達が見える――多くを捉えられる位置まで飛び込んだウレルトは金の瞳を鋭くし、
「さあ、行くわ」
 自身の肉体をバウンドモードに変え、その腕を大きく伸ばし回転を開始する。その回転で振り回される腕は弾力も合わさりウレルトを中心とした黒い竜巻のよう。
 周りにいるのは敵ばかり、そうなるように場所取りをした甲斐あって、鞭のような攻撃を受けるのは宇宙ペンギンのみで、ばらばらに蹴散らされる。
 反撃しようと一羽が突撃する。けれど間にトゥールが割り込み、パンデュールの薙刀で上手く勢いを逸らす。そのすぐ後ろに続いていた数体には掌を向け展開したビームシールドで受け流し、それよりも遠く、薙刀の間合いにいた二羽を切り捨てた。
(「確実に、しかし欲を言えば少しでも多く」)
 その様子を見ながら、ニコもここが狙い目と判断。
「夢は虹色、現は鈍色、奇跡の花を此処に――」
 時計の長針と短針を模した長短の双剣、そして青空の表紙の魔導書と柊の魔法の杖が虹色の薔薇の花弁と化し、空間を埋め尽くす勢いで広がる。虹色の花弁は触れたペンギンの機動力を削ぎ、力を削り取っていく。
「――動くこと雷霆の如し」
 白銀の鞘より抜き放たれた自身の本体を構えた景明の周囲に精霊の姿が現れ、紫電が周囲に弾け。
「雷霆の斬れ味、受けてみな!」
 掛け声と共に雷が解き放たれ宙域を飛ぶ黒白の鳥の一体を灼き――否、切断する。
 反撃の冷凍ビームを宇宙ペンギンが放つが、
「遅い!」
 デブリの一つを蹴り軌道を変え回避。更にフェイントを交えた景明の残像混じりの動きを捉えられない。
 さらに景明は再び周囲に精霊を呼び出して電撃を放つ。
「当たりゃ斬れるぞ、しっかりかわせや」
 数の多い戦場ではこれがやり易い、そう考えた景明は遠距離から雷を放ち続ける。
 彼と同じように、中遠距離から早撃ちで援護していたナオが何度目かの引鉄を引く。けれど、銃弾が出ない。
 弾丸切れか。それを隙と見てペンギンは即座に陣形を『霰』へと変更しナオへと突撃する。ナオの顔に浮かんでいる笑みの意味を考えぬままに。
 先頭があと二秒もない内にぶつかる、そこまで引き付けたナオはすっと銃を収め、同時に別の拳銃を引き抜き先頭の宇宙ペンギンに得意のクイックドロウで弾丸を叩き込む。
 さらに慌てて軌道変更しようとする後続も数体連続で撃ち落とし、
「弾薬が足りない? いやいや、大丈夫。拳銃自体が沢山あるから!」
 からかうようにそっくりの黒い銃を取り出し見せびらかす。どこまでもおちょくるようなその動作にペンギン達の目つきは厳しくなり、
『フォーメーション『雹』!』
 減った分を補うよう陣形を組み直した宇宙ペンギン達が、隊員全てのパワーを合わせ巨大な氷山を生じさせ、周囲の猟兵達を飲み込まんとその体積を一気に増やす。
 軽い舌打ちと共にニコは赤の瞳を細め距離を測りつつ、オーラを前方に展開しつつニコは後退、広がる氷山との衝突の衝撃を抑え離脱しようとする。
 近くにいたウレルトも逃れようとするも、氷山の成長する速度が速い。氷山に飲み込まれそうになったその時、服をグイっと引っ張る感覚があったかと思うと、氷山の範囲外まで一気に引っ張り上げられる。見ればフック付きのワイヤーに引っ張り上げられたようで。
「大丈夫? いきなりでごめんね」
 そのワイヤーの主の人型――内のトゥールから通信機越しに声がかかり、ウレルトは手短に礼を言い、氷山をどうしようかと思案。
「あたしにまかせろー!」
 直後、その氷山に対抗するよう、フィロメーラの元気な声が通信機越しに響く。
 彼女は全力で星に祈り、魔力を捧げる。すると炎の流れ星――小型の隕石が戦場へと一直線に飛んでくる。その隕石は氷山へと直撃、猛スピードで生じた衝撃が氷山をバラバラに破壊し、ペンギン達の陣形も滅茶苦茶に崩される。
 逆転の為の氷山を真っ向から崩され、ペンギン達の表情は曇っているようにも見え、一方で猟兵達はその派手なパフォーマンスに士気を高めている。
 それでも諦めず、再びペンギン達は氷山を生じさせるための陣形を取ろうとする。
 けれど陣形が整いきる直前、一羽が急にあらぬ方向へと引っ張られる。
「捕まえた、もう逃がさない!」
 トゥールの操るパンデュールの手首から放たれたワイヤーだ。それが一羽を絡めとり、一気に引き上げ合流を阻止。軽量にして頑丈なワイヤーは暴れる宇宙ペンギンの抵抗も無視し動きを封じ、そして、ウレルトの弾力ある一撃で止めを刺される。
「えっと、確かこのへんに……」
 さらなる小話をせんとネタ帳のページを捲るぱん太。
『あのパンダを止める! これ以上言わせない!』
 ペンギン達が減った鳥数に合わせた陣形へと整え直し氷山を発生させようとする。けれど、メモ帳を捲るぱん太の方が早い。
「これだ、温暖化の影響かねえ、氷河に豹がいたってよ! ひょお~、そりゃ驚きだ!」
 決まった、とパンダの少年は得意げな表情。
 ぴしり、と集まりかけたペンギン達がマヒしたかのように動きを止める。けれど、そこまで。ぱん太には決定力はない。
 だからこその仲間。グローリーが即座に飛び出し動きを止めたペンギンを双斧で斬り飛ばす。変幻自在のフォーメーション、けれど役割はある程度は設定されている。ならば倒して数が減れば、いずれはフォーメーションの維持すら成り立たぬ。
 いや、既に。
「機動力では敵わずとも、数と力での暴力ならば此方が上ぞ」
 ニコの言う通り、状況は猟兵の圧倒的有利。それを補う為の連携もここまで数を減らされれば逆転の目もほぼなくなっている。
「当たると痛いですよ~ぅ?」
 さらにナオが黒いナイフを19本――全て複製したものを手にし、手早く瓶詰めの毒を塗り、投擲のフォームをとる。投擲されるそれを警戒するペンギンに、ナオはいつもの笑みを浮かべナイフを放つ。投擲されたそれは、けれどフォームとは無関係な軌道。念力による操作を受けたナイフはペンギン達の思いもよらぬ軌道で飛来し、面食らった宇宙ペンギンは一旦距離を取ろうとするも、景明の雷が逃れようとした一羽を撃つ。このまま遠間からやられ続けてもジリ貧、そう考えたか宇宙ペンギン達は起死回生にと猛烈な勢いで影明へと突進する。
 けれど、危地での賭けは読み易いもの。それを読んでいた景明は自身の本体『大蛇切 景明』と同僚の黒鉄を構え、先頭の隊長の軌道に合わせ一閃、さらに逆手の黒刃で両断した。続いた隊員達は先導を失いばらけ、彼から距離を取る。
「はっはー、やっぱり沢山斬れるってのは気分がいいなぁおい!」
 紅い首巻で隠した口元に浮かぶ笑みはその言葉に見合ったいい表情。
『数と力の暴力にその表情……どっちが悪役だ!』
「……え? どちらが悪者か分からない? それは失敬」
 ペンギン達の抗議にニコは軽く謝罪しつつ、黒縁眼鏡の位置を整えて再び宙域に虹の花弁を展開した。

 そして程なく。
 最後の二羽となった宇宙ペンギン。動きを虹色の花弁に封じられ、ウレルトの弾性の一撃とグローリーの憤怒の斧の連撃がそれぞれに直撃した事でこの宙域の敗残兵の殲滅は完了。
 猟兵達はグリモアベースへと帰還したのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月13日


挿絵イラスト