3
アポカリプス・ランページ⑬〜エンジンブレイカー!

#アポカリプスヘル #アポカリプス・ランページ #ヴォーテックス一族 #フィールド・オブ・ナイン #フルスロットル・ヴォーテックス #アポカリプス・ランページ⑬

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#アポカリプスヘル
🔒
#アポカリプス・ランページ
🔒
#ヴォーテックス一族
🔒
#フィールド・オブ・ナイン
🔒
#フルスロットル・ヴォーテックス
🔒
#アポカリプス・ランページ⑬


0





「人類よ! 世界よ! 生ある者どもよ!」
 荒野と化したアメリカ大陸、その全てに響けとばかりに声を上げる男が一人。
「終末を越えたこの大地によくぞ生き残った! 心地よき狂信を支えとしたか! 奴隷に身を窶したか! 身を寄せ合い軍となったか! 力を恃みに走り続けたか!」
 それらは全て滅びの地での形振り構わぬ生き方。そうまでせねば生き残れぬ世界で、人々がそれぞれに選んだ……あるいは選ばざるを得なかった命を繋ぐ方法。
 だが、男はそれを讃えているのではない。
「そのような道を残してしまったは我が、我らが手落ちよ! そしてそれを助長させたは我が愚息拙女よ!」
 そうして生きる者がいることそのものが己にとって不本意である。男の言葉にはその意志が強く込められていた。
「今こそ我が一族の誇り、『髑髏と竜巻』をこの世界の終点と成さん! オブリビオン・ストームを持って、この世界全てに終わりを齎そう!」
 それこそが己の一族の、己が属す一団の、その全てが帰結すべきところと男は声高に宣言する。
「それに抗う意思を持つ者よ、気に入らねば阻みに来るがいい! 終点を超克せんとする汝らを! この世界最後の暴力を持って骸の海に捧げようぞ!」
 必ず来るであろう障害を見据え、男はその身に搭載された暴力的駆動機関を全開にするのであった。


「皆様方、ここまでお疲れ様にござりまする。アポカリプス・ランページ最後の依頼にござる」
 シャイニー・デュール(シャイニングサムライ・f00386)が真剣な面持ちで集まった猟兵に言う。
「皆様方のご活躍によって現れたフィールド・オブ・ナインのほとんどが倒れ、残る者の命運も最早風前の灯火。今こそ一気呵成をかける時にござる」
 現れたフィールド・オブ・ナインの内生き残っているのは既にマザー・コンピュータとフルスロットル・ヴォーテックスのみ。その内のマザーは既に多くの猟兵によって攻められ、最早早晩倒れるのではと目されている。
「故に皆様にはここにて敵の要、フルスロットル・ヴォーテックスを打ち倒していただきたくござる。この者を倒せばアポカリプス・ランページは決着。我が方の勝利にござる」
 彼を倒せばアポカリプス・ランページはそこで終結。生き残っていたフィールド・オブ・ナインは遁走を計るはずだったが、今やその生き残り自体がほとんどいないも同然の状態。ここで攻めずにいつ攻めるという程のタイミングであろう。
「フルスロットルは身長5メートルの巨漢であり、その体にV12エンジンを大量に積んでおります。これを限界まで稼働させ、『超赤熱連続突撃(ランページ)モード』となって皆様に猛攻をかけてきます」
 その勢いはまさに暴力的。それ以外の言葉が見つからぬほどの純然たる暴力と言える。
「彼の行使する暴力……ユーベルコードは三つ。己にエンジンを増設してはその都度の倍の大きさへの巨大化。超加速と共に接近し、爆音を上げながらの四撃必殺の連撃。そして己の装備するチェーンソーの刃を燃やし、周囲の生命全てを抹殺せんばかりに無数に飛ばす技。そして彼はその暴力を持って、これらすべてを先制で放ってきます」
 強敵にはお馴染みの確定先制だが、強い者がより強くなる、あるいは躱せなければ即、死に繋がるようなものが放たれてくるのだから他者の先制とは危険度がまるで違うといえよう。
「彼はこのアポカリプスヘル全てをオブリビオン・ストームに飲み込ませ、今度こそ一切の生命のない真の滅びの世界を作ろうとしております。再生の予知の一切ない真なる終点。その先には強者の変じたオブリビオンのみの約束された栄光の道(ストレイト・ロード)……そのようなもの、認めるわけにはまいりませぬ」
 シャイニーはそこまで行って一度猟兵たちの目をじっと見る。
「真に強靭なるはこの滅びより立ち上がらんとする今生きる人々。どうか終点を否定し、破壊してきてくだされ!」
 そう言ってシャイニーはグリモアを起動し、猟兵を暴力の渦の中心へと送り出した。


鳴声海矢
 こんにちは、鳴声海矢です。なんだかんだでフィールド・オブ・ナイン全滅コース入れましたね。
 今回のプレイングボーナスはこちら。

『プレイングボーナス……敵の先制攻撃ユーベルコードに対処する』

 強敵おなじみの確定先制。他の敵と違い余計な要素はなくシンプルにこれだけです。
 ただし彼のユーベルコードは自己超強化(しかも重ね掛け可)、即死技、逃げ場なし全体攻撃ととにかく先制でやってほしくないものづくしです。この強力な先制にどうにかして対処し、彼との勝負に持ち込んでください。もちろん彼の戦闘力自体もオブリビオン・フォーミュラの名に恥じぬレベルなので、躱せただけで油断してはその暴力の前にひき潰されてしまうでしょう。

 彼は全ての生命を完全に根絶せんとしていますが、それを阻もうとする者が来ることを拒みません。己と滅びを『超克』せんとするもの、それを暴力で砕き骸の海へ送ってしまうことが彼の望みであり目指す終点でもあります。その終点を、是非破壊してぶっちぎってやりましょう。

 それでは、エンジン全開のプレイングをお待ちしています。
138




第1章 ボス戦 『フルスロットル・ザ・ランページ』

POW   :    フルスロットル・ギガント
【超赤熱連続突撃モード】に変身する。変身の度に自身の【V12エンジン】の数と身長が2倍になり、負傷が回復する。
SPD   :    V12スラッシャー
【全身のV12エンジンによる超加速】で敵の間合いに踏み込み、【V12エンジンの爆音】を放ちながら4回攻撃する。全て命中すると敵は死ぬ。
WIZ   :    フルスロットル・チェーンソー
レベルm半径内の敵全てを、幾何学模様を描き複雑に飛翔する、レベル×10本の【炎を帯びたチェーンソーの刃】で包囲攻撃する。

イラスト:あなQ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

夜刀神・鏡介
この世界を変え、そして今終わらせようとしている者か
あんたの隙にさせる気はない。終わるのは、お前たちだけだ

神刀の封印を解除。神気を纏う事で自身の身体能力を強化して、フルスロットルに向かって敢えて走る
突撃ギリギリのタイミングにあわせて大きくジャンプ、神刀をフルスロットルに叩きつけて、その反動で更にジャンプする事でフルスロットルを飛び越えて攻撃を回避

空中にいる間に素早く身体を捻って、フルスロットルの背中に素早く一閃
エンジンに少しでもダメージを与えて、加速力を奪う

多少なりとも勢いが落ちれば、捉えきれない相手ではない
奥義【無辺】による超高速連続攻撃でフルスロットルの攻撃を相殺しながらダメージを与えていく


待鳥・鎬
杞柳に本体を預けて、上空高く離れていてもらうよ
躱せるようなるべく頑張るけど……!

エンジンの加速音にも注意して
先制UCの素振りが見えたら、即座に光学【迷彩】効果のある「山吹」を纏いながら回避行動
一瞬、定石通りに振り被った腕の外側へ避けるように消えてみせたのは【フェイント】
実際にはそれとは反対側へ滑り込んで躱す

躱せたら、姿を隠したままUC発動してすぐ反撃
行くよ、杞柳!
仮にも人型だ、狙えそうなら頭か心臓を
鎧ごと【切断】してやる
一撃では倒せなくても、上空からのヒット&アウェイで何度でも

万が一先制攻撃を全て食らっても……死ぬほど痛いだけのこと
寧ろ、死んだと思って油断してくれたら【騙し討ち】し易いと思おう



 アポカリプスヘル。そこはかつて人々が栄華を極めながら、オブリビオン・ストームに包まれその全てを破壊された死の世界である。
 だが、人類は滅びではいなかった。荒野の中から使えるものを掘り出し、直し、僅かな食料を命がけで手に入れ、禁断の技術にまで手を染めながらもその命脈を繋いできた。
 その営みの全てを、否定する者がここにいた。
「来たか……やはり我らと汝らの道は並び立たぬようだ!」
 その男、フルスロットル・ヴォーテックス。フィールド・オブ・ナイン第6席にして、アポカリプス・ランページに置けるカタストロフを任された渦の中心である。
 彼の望むは全ての生命の完全なる根絶。それを終点とし、その先に選ばれしオブリビオンだけの約束された栄光の道(ストレイト・ロード)が敷かれることになる。
 生を否定するその終点を、否定する者がここにいた。
「この世界を変え、そして今終わらせようとしている者か。あんたの好きにさせる気はない。終わるのは、お前たちだけだ」
 その一人、夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)は明確な否定と破壊の意思を乗せた言葉をフルスロットルへ叩きつけた。そしてそれが言葉だけではないと態度で示すかの如く、己の持つ白鞘に封じられた刀に手をかける。
「杞柳、なるべく高く離れていて」
 待鳥・鎬(草径の探究者・f25865)も自身の本体である薬匙を有翼蛇の使い魔である『杞柳』に持たせて高空へ避難させた。
 これから相対するはこの世界最強の敵であり、圧倒的『暴力』の権化である。己の心臓とも言える本体は可能な限り遠ざけておきたかった。
「我が暴力、止めたくばそれ以上の暴力を持って答えるがいい。唸れ、我がV12エンジンよ!」
 己に抗う意思を見せたものを蹂躙すべく、フルスロットルは自身に接続されたV12エンジンをその名の通りに全開にした。その全身から暴力的なまでの爆音が轟き、巨体に過剰なまでのエネルギーが満ち満ちているのが否応なしに分かる。
「……来る!」
 敵の突進を二人の猟兵は同時に察した。そしてとった手段は、似ていながらそれぞれ真逆のものであった。
 鏡介は白い鞘から『神刀【無仭】』を解き放ち、そこから立ち上る神気を纏う。ただ清浄なだけでなく闘気として武器に数えられるまでに至ったその気が鏡介の身体能力を上げ、死の突撃をかけてくるフルスロットルに真っ向から向かっていくだけの力をその身に与えた。
 一方で鎬もまた『被衣「山吹」』を纏う。その力は、光を曲げて着用者の姿を隠す隠れ蓑。己の全てを暴力に費やしているフルスロットルは、目に見えないものを器用に見ることなどできはしない。
「散れい!」
 だから、真っすぐ向かってくる敵と消えた敵がいたと思しき所をまず纏めて叩き潰す。
 真正面にチェーンソーを構えての突撃攻撃。それと鏡介の体が触れると思われた瞬間、鏡介は強まった脚力で思い切り地を蹴った。
「滅べ、逝け!」
 さらに空中の鏡介を追うように一振り、そして消えた鎬が逃れたと思しき方向に一突き。
「死ねぇぇぇぇぇい!!」
 そして大地そのものすら断ち割らんばかりの、大ぶりな振り下ろしが二人を纏めて切断せんと全力で叩きつけられた。
 フルスロットルの手に確かな手ごたえ。全弾命中こそならなかったが、何かは確実に断ち割った。
 だが、その余韻を感じる間もなくフルスロットルの頭に強烈な衝撃が走った。鏡介が神刀をその頭に叩きつけ、二段目の大ジャンプをかけたのだ。そのまま体を捻り、抜き放たれた神刀の刃でその背を素早く一閃。ここと決めた時にしか抜かぬ刃がエンジンを切り、その加速力を大きく削ぎ落した。
「やる……!」
 一人は躱し、反撃までされた。だが確かにもう一人は一撃を叩き込んだ。しかし、その姿は未だチェーンソーの下には見えない。
「行くよ、杞柳!」
 聞こえた声は、やはり上から。顔を上げたフルスロットルに襲い来たのは超音速で飛び来る刃であった。
「死ぬほど痛い……けど、死んだと思って油断したなら!」
 本体が破壊されぬ限りいずれは復活できるヤドリガミの特性。もちろんオブリビオン・フォーミュラの死を齎すユーベルコードを全弾受ければどうなるか分からないが、それでも死にさえしなければ、痛みを我慢し傷も欠損も受け入れられる。
 そうして使い魔を身に宿す【穿牙】で宙に舞い、そのまま傷ついた体を押して攻撃をかけたのだ。
「どんな化け物みたいなやつでも、仮にも人型!」
 その刃が狙うのはフルスロットルの心臓。鎧ごと断ち切らんばかりの鋭い斬撃がフルスロットルの胸を切り裂き、そしてそのまま離れていく。
 しかしフルスロットルが倒れぬと見るや即座にとって返し手の今度は首狙い。相手を人と見ての殺意に満ちた急所狙いは、なんとしてもこの敵をここで止めねばならぬという強気意志の現れた。
「暴力を暴力で返す、その意気は認めよう!」
 受けた傷以上の傷を刻んでくれるという反撃。それそのものはフルスロットルにも好ましい思考。だがそんな余計なことを考えていられる状況ではないことは、なおも刀を構えた鏡介が教えた。
「是は果てなきへと至る剣。即ち――奥義【無辺】」
 超高速の連撃が、勢いの落ちたその体に叩き込まれた。それは一つ一つがユーベルコードの域に達した神刀を用いる八つの型。
「暴力を制すはより強き暴力よ!」
 その型を、フルスロットルは壊れたエンジンまで強引に駆動させチェーンソーを振り回して崩そうとする。力任せの攻撃が流麗な型とぶつかり合い相殺されて行く凄まじき後継。
「多少なりとも勢いが落ちれば、捉えきれない相手ではない」
 その八つの型を打ち終えた最後に放たれるのは、命さえ削る全て断つ終の型。それさえ暴力を持って押し返さんとするフルスロットルだが、鎬によって何度となく切り裂かれた急所、そこから流れ出た血と命による脱力がそれを成す力を奪っていた。
 そして、V12エンジンと5メートルの巨体が切り裂かれる。
「断つというか、この終点を!!」
 その終点も栄光も断絶する。その意を露にした二人の斬撃は滅びの巨漢の地で滅びの大地をしとどに濡らすのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
成程、恐ろしい相手ですねぇ。

『FAS』により飛行し『FMS』のバリアを周囲に展開、フルスロットル氏の突撃の方向を『FGS』の重力波で『下側』に押さえると共に、自身に掛かる重力を軽減し最速で『上』へ離脱し回避しますねぇ。
巨体の分重力の影響は強い筈ですし、掠る程度ならバリアが有りますぅ。
『連撃』には更に出力上昇し再回避、【UC】発動まで凌ぎましょう。

そして【処檻】を発動、『超重力の檻』で捕えますねぇ。
内部の『棘』の威力は『相手の強さ』に比例、連続強化すればその分威力を増しますし、過去の一族との会話や巨体の影響も有りますぅ。
後は、全力の[砲撃]&[爆撃]で[追撃]しますねぇ。



 その体を深く切られてなお、フルスロットルは無法の大地に膝をつかない。
「この地に伏せるは滅ぼされる運命たる弱き者のみ! 栄光の道をはその両の足で踏みしめ立つものよ!」
 決して浅手ではなかろうその体を充満する覇気、暴力は周囲を圧倒して余りある。
 そしてその威圧感はただの気配だけではない。フルスロットルの巨体を覆うようにさらなるV12エンジンが接続され、その体を倍の大きさへと巨大化させていった。
「成程、恐ろしい相手ですねぇ」
 目に見える物理的脅威を伴ったその威容。夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)はその姿、その力に相手の恐ろしさを垣間見る。
 なれどその威に潰されるわけにはいかない。るこるは自身に『FAS』の翼と『FMS』のバリアを纏い飛び上がった。
 だがそれでも巨大化したフルスロットルの眼前からは外れられない。フルスロットルのエンジンが爆音を上げ、その体に数と勢いに相応しい力を流し込んでいく。
「潰れるがいい!」
 その力に満ちた『超赤熱連続突撃モード』による突進。その力は直撃すれば一撃で命さえ持っていかれないほどのもの。
 そのはずだが、突進の勢いはよそうよりは遅い。
「ぬぅっ!?」
 避けるるこるの前に展開されたのは重力操作システム『FGS』。それでフルスロットルにかかる重力を強め、自分の方は軽減することでるこるは相手の減速と自身の加速を計った。それが功を奏し、その巨体がぶつかる直前にるこるは彼の頭上に離脱する。
「下らぬ小細工! 暴力の前には無意味なり!」
 フルスロットルの一喝と共にその体のV12エンジンがさらにヒートアップした。それに伴いフルスロットルの身長もまた倍加する。
 当然それほどの巨体、重力の影響はさらに強くなるが、巨大化とエンジン増設によって満ちた力はそれ以上。超赤熱連続突撃モードの名に恥じず繰り返される突撃が、重力を踏み越えとてつもない速度でるこるに再度迫る。
 それも辛くも躱すが、バリアの一部がフルスロットルのモヒカンヘアに掠り削り取られた。冗談のような状況だが、頭髪にすらそれほどの威力を持たせるエネルギーだ。チェーンソー部分の突撃を受ければどうなるかは想像に難くない。
 それからも重力を振り切らんばかりに巨大化し突進を繰り返すフルスロットル。るこるは懸命に避けるが、倍々になっていく身長から逃れきることは難しく防御は少しずつ砕かれていく。
 そしてついに、刃の一つ一つが人の身長以上となった超巨大チェーンソーの刃がFMSのバリアを全て切り刻んだ。
「最早羽虫よ……潰れよ!」
 まさに人と羽虫ほどの大きさの差となった相手を、フルスロットルは手を伸ばし一気に叩き潰さんとした。
 そしてその連続突進が止まる瞬間こそが、るこるの待っていた瞬間だった。
「大いなる豊饒の女神の名に於いて、仇なす者達に厳格なる裁きを」
 【豊乳女神の加護・処檻】で波動をぶつけ、フルスロットルを重力の折に閉じ込める。
「同じ手を……最早飽いたわ!」
 それに構わずとどめをかけようとするフルスロットル。だが、その手はがくんと落ち、そのまま地面を殴りつけた。
「なにぃっ!?」
 さらにその手、そして全身を無数の棘が刺し貫く。
「このような力に、何故だ!」
 扱うのは同じ重力。だが、これは相手の強さや経歴によって威力を増すユーベルコード製の重力。装備製の重力は振り切れたその巨体も、この埒外の威力の前では枷となる。
 相手の巨大化を誘いつつ先制攻撃が止む瞬間、その一瞬を見極め放たれた力がついにフルスロットルを捕らえたのだ。
 さらに動けぬフルスロットルに、ありったけの装備を差し向け砲撃と爆撃を重ねるるこる。
「これしきの力……これしきの暴力で!」
 強さに比例する棘さえ己の強さで弾き飛ばさんとするフルスロットル。あるいは、彼ほどの強さならそれもできたかもしれない。だがそこに巨体にかかる重力というもう一つの枷が加わることで、出来たはずのことができなくなった。
「強きは……巨大なるは力のはず……!」
 その巨大さによって動きを止められたフルスロットル。その大きすぎる的に対し、るこるは真なる暴力は言葉に非ずと言わんばかりに、ただ無言で倒れるまでの攻撃を重ね続けるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アリス・セカンドカラー
お任せプレ、汝が為したいように為すがよい。

ふむ、このアポカリプス・ランページもいよいよクライマックスね。
こちらも最初から飛ばしてイキましょう、リミッター解除限界突破オーバーロード!真の姿『夜』(デモン)となり、周囲を『夜』(結界術)で覆いましょう。多重詠唱で『夜』を重ね位相をずらす。さらに『夜』へとV12エンジンが放つエネルギーを捕食しエネルギー充填。赤熱を冷却させましょう。
もちろん無傷とはいかない、しかし、『夜』となった私は化術肉体改造と継戦能力ですぐさま傷を修復し、あるいは空間から影が滲み出るようにリポップするわ。
首の皮一枚でも繋がっていればいい、それだけ残っていれば……タイムフォール・ダウンで自分の時間をオーバーロード直後まで巻き戻しなかったことに出来るわ♪
そして、フルスロットルの時間も巻き戻し経験を捕食し略奪し化術肉体改造で男の娘化ナーフを仕掛けるわ☆
何度変身しようと巻き戻しでなかったことにするから無駄よ無駄、いただきます♪魂まで吸い尽くしてあげる☆
えっちなのうみそおいしいです♡



 フルスロットルは己の終点を超克して見せよと宣言した。そしてその言葉通り、猟兵たちはフルスロットルを攻め、打ち崩し、彼を窮地へと追い込んだ。
 なれどフルスロットルの膝は未だ地についていない。この膝が折れ、土に汚れるまでは己の栄光は約束されていると、そう言わんばかりにその巨躯をアポカリプスヘルの大地に聳えさせていた。
 その前に、超克せし者が現れた。
「ふむ、このアポカリプス・ランページもいよいよクライマックスね。こちらも最初から飛ばしてイキましょう、リミッター解除限界突破オーバーロード!」
 アリス・セカンドカラー(不可思議な腐敗のケイオト魔少女・f05202)、その姿を見た時、フルスロットルは待ちかねた何かが来たとでもいうかのように口の端を上げた。
「来たか……超克に至りし者よ!」
 フルスロットルは超克と呼び、マザー・コンピュータは究極の力と当てたオーバーロード。猟兵の新たなる力として得られたそれを、アリスは発現してこの場へと現れていた。
 アリスの身がオーバーロードに至っていると確信したフルスロットルは、満を持して己の体にV12エンジンを増設、その体を倍の大きさに膨れ上がらせアリスを潰しにかかる。
 その先制に、まずは挨拶代わりと言わんばかりに、本来発現には多少なりとの交戦と苦戦を必要とするはずの真の姿『夜』(デモン)となって、周囲を『夜』(結界術)で覆い迎え撃つアリス。
 無法の荒野一体が暗闇に包まれその位相を変えていくが、それくらいは出来て当然とフルスロットルは慌てない。
「我が暴力を如何に超克するか、見せてみよ!」
 アリスがいると思しき当たりにエンジンの力を全開にして突っ込んでいくフルスロットル。その唸る突撃は、確かにアリスのいる場所を捕らえた。
 チェーンソーがそこを切り裂き、ばらばらにする。確かにチェーンソーはアリスのいる場所を通り過ぎた。
 だが、次の瞬間、アリスの姿は変わらずそこにあった。
「ほう……!」
 種は分からぬ。だがオーバーロードならそれくらいしてこようと、フルスロットルさらにエンジンを増設、巨大となったチェーンソーでその場を切り裂いた。
 再び切り裂かれるアリスの体。だがやはり確実に切り裂いたにもかかわらずその身はそこにある。
 そして重ねられるさらなるエンジン追加とチェーンソーによる斬撃。最早刃が大きくなりすぎ切るというより潰しているような状態だが、それでも効果があるような様子はない。
 そうしているうちにフルスロットルを支配する一つの違和感。増設している割にはエンジンの出力が弱いのだ。
「素敵なエネルギーね」
 アリスが余裕を持った声でフルスロットルに囁きかけた。彼女の無傷の種、それは結界を多重に重ね位相をずらし、その場にいながらそこにいない状態で直撃を避けること。高度な結界術をオーバーロードの力でさらに引き上げたそれは、オブリビオン・フォーミュラのユーベルコードすらも立ち尽くしたまま躱すという芸当を可能にしていた。
 なれど暴力を誇るフルスロットルの斬撃、それを本当に無傷でやり過ごせるとはアリスも思っていない。だから、結界内のエネルギーを吸い上げV12エンジンの赤熱を冷却すると同時に、消しきれなかった斬撃分のダメージをそのエネルギーで回復させ、空間から影が染み出るように再びその場に現れる。
 その世界最強の相手が振るう絶対先制の力、それを躱すだけでなく奪い取りまでするなど、普通ならいかに猟兵とて能う所業ではあるまい。げに恐ろしきはオーバーロードの力。その不可能を可能にしてしまう力を猟兵に掴ませたのは、他ならぬフィールド・オブ・ナインたちであった。
「やってくれたなプレジデント! 否……オーバーロードという言葉を聞かせた、我ら全ての失態か!」
 一度目の滅びに生命を残したこと、あるいはそれさえも超える大失態とフルスロットルは悔悟にも見える言葉を吐く。
「首の皮一枚でも繋がっていればいい、それだけ残っていれば……」
 無論アリスの方とて実際は見かけほど余裕があるわけではない。オーバーロードにも限界はある。
 その限界が来て首が完全に落ちる前に、アリスはもう一つのフィールド・オブ・ナインからのギフトを放った。
「む、時間が質量を持った物質と言うのであれば干渉可能なのも道理。つまり、略奪することも化術肉体改造でキャラ化も出来る♪」
 この戦いの中、セントメアリー・ベースから持ちだされた時間質量論のデータ。それを自分なりに解析し、時間質量の操作を可能とするユーベルコードとして編み出した【模倣結界術『タイムフォール・ダウン』】。
 自分の時間を巻き戻し傷をなかったことにする、相手の時間を巻き戻しその経験だけを奪い取る、そのあまりに都合の良すぎる効果を好き放題使うなど容易いことではなかろう。
 だからこそその為のオーバーロード、その為の真の姿である。
「何度変身しようと巻き戻しでなかったことにするから無駄よ無駄、いただきます♪魂まで吸い尽くしてあげる☆」
 相手を侮辱するためか、フルスロットルの姿を男の娘に変えて生命力を吸い上げるアリス。その変化にフルスロットルは次々とV12エンジンを追加し抗おうとする。
「我らは……とんでもないことをしてしまったか……! 終点を超克した者よ、汝らの道は、どこへ通じる……!」
 最後の力で荒々しい元の姿だけは取り戻したが、既にその身に力は残っていなかった。
 暗き結界がはじけ飛ぶと同時にフルスロットルの巨体がぐらりと揺らぎ、がくりと折れた膝が地についた。
 そのまま前のめりに全身が地に倒れ、そして全てのエンジンが止まるとともにフルスロットルの命もまた尽きた。
「えっちなのうみそおいしいです♡」
 消えゆくフルスロットルの骸を最後まで嘲りながら、アリスは荒野へ消えていく。

 全てを超克した力によって、無法の荒野を無法たらしめていた者たちはここに全て倒された。
 この荒野には明日から新たな道が敷かれる。再び生の満ちた世界という、約束された栄光へ向かう道が。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年09月24日


挿絵イラスト