アポカリプス・ランページ⑬〜フルスロットル・ストーム!
「時は来た! 聞け! 人類の終末を越えてなお、黙示録の黄昏(アポカリプスヘル)にしがみつく者共よ! 我が血潮と嵐と内燃機関に懸けて、貴様らに真実の終末を告げてくれよう!」
身長5mの機械化された肉体を持つ巨人が叫ぶ。
「我が一族は太古よりアメリカにあり、代々『髑髏と渦巻』……すなわち、逃れえぬ死と避けられぬ宿命を司り、一族に歯向かう者を悉く飲み込む『死の渦のユーベルコード』の暴力によって、開拓者達さえも傀儡とし続けた。先祖伝来のこのユーベルコードこそ、我らが『オブリビオン・ストーム』の原型である」
オブリビオン・ストームの起源を語り明かした男の名は、『フィールド・オブ・ナイン』の1体にして、今回の戦争を指揮するオブリビオン・フォーミュラである、ヴォーテックス一族を束ねる『フルスロットル・ヴォーテックス』!
「我らフィールド・オブ・ナインは、オブリビオン・ストームを『終点』と定めた。
これ以上の発展は不要。これ以上の暴力は不要。
これ以上の歴史も、生命の繁栄も不要!」
ゴウッッと凄まじい音がフルスロットルを包み込んだかと思えば、次の瞬間、超巨大なオブリビオン・ストームがフルスロットルを中心として発生したではないか!
「この身に纏いしヴォーテックス・アーマーは、オブリビオン以外の全てにとって毒であり、しかも無限にオブリビオンが滲出するオブリビオン・ストームを噴出させる! 此れがどういう意味か、もう理解できるはずだ!」
それはつまり、フルスロットルが移動するだけで死が蔓延することを指す!
もしもそれが実現すれば、まさに世界が終わってしまうであろう!
フルスロットルは“こちら”を見詰めてくると、直接語りかけてきた。
「我らが定めた終点を【超克(オーバーロード)】する意志があるならば……。
かかってこい、猟兵よ! 圧倒的な『暴力』で、汝らを骸の海に捧げよう!」
漆黒の嵐の中で、巨悪が高らかに嘲笑う……!
「またしても先に言われてしまいましたわ……!」
わなわなと怒りで身体を震わせるグリモア猟兵の蛇塚・ライム(その罪名は『憤怒』/IGNITE POP DiVA・f30196)は、グリモアベースに集まってくれた猟兵たちへ発破をかける。
「この挑発、乗ってやりましょう! ここまで戦い抜いた皆様なら、フルスロットルとオブリビオン・ストームの両方を相手取ることもできましょう? この戦いに勝って、アポカリプスヘルの脅威を討ち滅ぼしてくださいまし!」
ライムは早速、猟兵たちへ敵のユーベルコードの情報が書かれた資料を配布してゆく。
「機械鎧から噴き出されたオブリビオン・ストームから滲み出てくるオブリビオンがフルスロットルの刃であり盾ですわ。オブリビオン以外を害する猛毒を帯びたオブリビオン・ストームへの対策も万全にしてくださいませ。でなければ、フルスロットルは一方的に皆様ごと森羅万象を吹き飛ばしてしまうでしょうから!」
その威力は数秒間で大地を更地にするだろう。
だが、肉薄してしまえばフルスロットルの自衛手段は乏しい。
猟兵たちは各自、知恵と勇気と武力を奮って、フルスロットルの懐へ潜り込んでから必殺の一撃を見舞ってほしい。
ライムの説明に、自然と猟兵たちは高揚感を覚える。
「これが本当の最終決戦ですの。皆様、どうかご武運を……!」
ライムの激励の言葉を受け、猟兵たちが決戦の舞台である巨大オブリビオン・ストームの中へと突入してゆく!
七転 十五起
いよいよ最終決戦、フルスロットル・ヴォーテック討伐戦です!
総力戦で参りましょう。難易度は【やや難】です。
なぎてんはねおきです。
●プレイングボーナス
オブリビオン・ストームに飛び込み、毒と敵群を乗り越える。
●本シナリオ特別プレイングボーナス
オーバーロードを利用して戦う(強制ではありません)。
オブリビオン・ストームの『終点』は、皆様の『超克』で対抗可能です。
嵐の中の毒やオブリビオンへの対処の判定が有利になります。
重ねてお伝えしますが【強制ではありません】ので、あくまで有利な条件でフルスロットルと熱いバトルを繰り広げたい猟兵の皆様向けのアナウンスです。
ご了承くださいませ。
●その他
コンビやチームなど複数名様でのご参加を検討される場合は、必ずプレイング冒頭部分に【お相手の呼称とID】若しくは【チーム名】を明記していただきますよう、お願い致します。
(大人数での場合は、チームの総勢が何名様かをプレイング内に添えていただければ、全員のプレイングが出揃うまで待つことも可能です)
それでは、皆様の空前絶後で超絶熱い戦闘プレイングをお待ちしております!
第1章 ボス戦
『フルスロットル・ジ・アポカリプス』
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POW : 崩壊世界の覇者
レベル×1体の【オブリビオンレイダー軍団】を召喚する。[オブリビオンレイダー軍団]は【略奪】属性の戦闘能力を持ち、十分な時間があれば城や街を築く。
SPD : フルスロットル・ストーム
【ヴォーテックス・アーマー】から、戦場全体に「敵味方を識別する【オブリビオン・ストーム】」を放ち、ダメージと【致死毒】の状態異常を与える。
WIZ : ヴォーテックス・アーマー
自身の【ヴォーテックス・アーマー】から【オブリビオン・ストーム】を放出し、戦場内全ての【猟兵の接近】を無力化する。ただし1日にレベル秒以上使用すると死ぬ。
イラスト:あなQ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ルパート・ブラックスミス
これは意地かもしれん。
この地獄を踏破すべき姿、当方にはオーバーロードの他にある!
UC【黒騎士体現せし竜身】形態に変身しストームに突入!
この姿は、戦争の最中で偽神細胞の力をもって進化した機械竜を取り込んで得た力!
ストームの中の敵群にはUCで創造した突撃槍で【なぎ払い】つつ短剣【誘導弾】【弾幕】。
迎撃するだけでなくストームの毒環境下で活動する生命体の【生命力吸収】することで同環境の一時的な免疫力を獲得する!(【学習力】【環境耐性】)
フルスロットルに肉薄したなら重複変身。毒に蝕まれた身体を回復し【限界突破】した戦闘力で【ランスチャージ】!
思い知れ。貴様を破るのは、貴様が齎した地獄が生み出した竜だ!
漆黒の風が吹き荒れる。
ここはオブリビオン・ストームの真っ只中。
フルスロットル・ヴォーテックスが発生させた死の螺旋を乗り越えなくては、敵の首魁に刃を届かせられない。
そのために、猟兵たちは最近獲得した【超克(オーバーロード)】を使用することも視野に入れる猟兵も多いはず。
しかし、黒騎士の鎧のヤドリガミであるルパート・ブラックスミス(独り歩きする黒騎士の鎧・f10937)はそれを頑なに拒んだ。
「これは意地かもしれん。この地獄を踏破すべき姿、当方にはオーバーロードの他にある!」
途端、ルパートの鎧に龍の力が宿る。
オブリビオン・ストームの猛烈な毒性で金属さえも腐食してゆくが、その腐食がルパートの意思でたちまち帳消しに!
新品同様になった鎧は、なぜかオブリビオン・ストームの影響を受けにくくなっていた。
「なぜあの鎧野郎はこのオブリビオン・ストームの中で平然としていられる!? ならばこれでどうだ?」
フルスロットルは青い炎の翼を羽ばたかせながら接近してくるルパートへ向けて、ストームの中から湧き出るオブリビオンレイダー軍団をけしかける。その数、実に100体以上は降らぬ数だ。
「「ヒャッハー! 覚悟しなァァァ!!」」
出現したレイダー軍団は、ルパートの鎧を引っ剥がして略奪しようと殺到!
だが、途端、ルパートの鎧が青い炎に包まれ方と思えば、更なる竜の力に目覚めてパワーアップ!
「一つ教えてやろう。この姿は、戦争の最中で偽神細胞の力をもって進化した機械竜を取り込んで得た力!」
ルパートの体内の青く燃える流動鉛が鎧の外へ流れ出たかと思えば、それは瞬時に突撃槍を模っていく。
「もうひとつ言っておく。自分が変身する度に龍属性の力は増してゆき、流動鉛から創造する部位や武器の数と身長が2倍になる上に、鎧の傷が帳消しとなる!」
流動鉛の体積が膨張してゆくことで、鎧から溢れた分は巨大な機械竜のような姿にすらなってみせる。ルパートの寿命を毎秒ごとに消費し続ける諸刃の刃だが、その効果は絶大だ!
「更に、ストームの毒環境下で活動する生命体、つまりレイダー軍団を殺害し――!」
「あぎッ!?」
数を増やした突撃槍に刺し貫かれたレイダーの肉体から血液を吸い取るルパート。
この血液から彼は『あるもの』を獲得せんとしていた。
「オブリビオン・ストームは、オブリビオン以外には猛毒だという。ならば、その環境下で活動できるレイダー達には『免疫』がある事になる。自分のこの竜の力を宿した流動鉛の中に彼奴等の地を取り込めば、一時的にストームの猛毒への『免疫』を獲得できる!」
1体だけではなく、襲ってきた100体のレイダー軍団を突撃槍で刺し貫き、または生成した短剣を突き立て、その鮮血をルパートは浴びていった。
「……うむ、偽神細胞の影響で進化した機械竜の心臓……それを取り込んだ今の自分ならば、オブリビオン・ストームを食らうまでには至らずとも、この猛毒の中を平然と闊歩できるだけの耐性を得られたと確信する!」
レイダー軍団の免疫を奪い取ったルパートは、そのまま背中の蒼翼を燃やして一気にフルスロットルへ突っ込んでゆく!
「今の自分に嵐の猛威は通用しない!」
むしろ風を読み切り、フルスロットルのもとへ旋回しながら接近してゆく!
「――そこだ!」
フルスロットルの背後へ回り込んだルパート、一気に7連変身を断行!
消費される寿命の負荷がルパートの崩壊を予感させるも、彼の身長は2の7乗の身長……元の128倍まで巨大化する!
「な、なんだとっ! デカすぎる!!」
身長5mの巨体を誇るフルスロットルも、巨大化したルパートの前では型なしである。そのフルスロットルの前に立ち塞がった、青く燃える流動鉛の龍が吠える!
「思い知れ。貴様を破るのは、貴様が齎した地獄が生み出した竜だ!」
無数に出現する突撃槍をミサイルめいて射出しながら、ルパートはその巨体でフルスロットルへ突撃!
「まさか! こんな、事があってなるものかァァァーっ!?」
その恐るべき膂力を真正面から浴びせられたフルスロットルは、串刺しになりながら、為す術もなくその巨躯を弾き飛ばされてしまうのだった。
大成功
🔵🔵🔵
シズホ・トヒソズマ
アドリブ・連携歓迎
毒対策ですか
なら丁度格好のがありますね!
UC発動
ネルソン提督の力を使用
更に天使たちを見に宿し状態異常の影響を受けなくする『決戦形態(トラファルガー・モード)』を発動
これでストームの毒影響も受けません
敵のストームを放つ攻撃はデザイアキメラの◆オーラ防御と
盾型の天使武装(装甲5倍・射程半減)で防ぎ切ります
敵群は成長させたインドラの◆マヒ攻撃電撃放射で範囲攻撃
飛行形態に変形したライダを◆操縦し敵群を越えます
全身機械だらけなら更に効くでしょう!
更に時間経過で電圧強化したインドラの電撃をフルスロットルに浴びせます
貴方方が勝手に決めた終点を経ても尚諦めない人々の為
必ず貴方を倒します!
陸郷・める
☆める:エンジン連動、《リミッター解除・限界突破》……!
★7号:一応《環境・毒耐性》はある、ストームを《捕食》し《砲撃》できる『偽神兵器砲塔』もある……ホントに都合がいい事にな。
砲塔の《封印を解いて》UCだ
周囲はストーム、敵は無限湧き、なら全部食い破っていくだけ、ってなァ!!耐性はあるが過信はしねぇ、狙うは短期決戦だ
邪魔する連中を機銃に爆弾投擲、ストームを《捕食》しての砲撃に
蹴り、踏み、撥ね飛ばし、時に食い殺して強化しつつ突破を図るぜ
後は敵も嵐も食い破り、乗り越えて、
いつまでも栄光の過去にしがみ付く老害野郎の顔面に、一発デカいのをぶち込んでやるだけだ!!
※アドリブ連携歓迎です
オブリビオン・ストームへ勇敢にも突入してゆくシズホ・トヒソズマ(因果応報マスクドM・f04564)と陸郷・める(死念動力実験成功体6号・f26600)……が操縦する六脚戦車に搭載された生体制御パーツ『試製実験兵器7号』。
グリモア猟兵がブリーディングで伝達したとおり、漆黒の嵐の中は凄まじい毒性を讃えており、荒れ狂う風を浴びるだけで肉体が蝕まれそうだ。
「毒対策ですか? なら丁度、格好のがありますね!」
ユーベルコード『幻影装身(アームドオブリビオン・ミラージュ)』発動!
今回利用されるオブリビオンは……?
「ネルソン提督の力を使用します! 更に天使たちをこの身に宿し、状態異常の影響を受けなくする『決戦形態(トラファルガー・モード)』を発動です!」
シズホが操る人形からネルソン提督の幻影を出現させると、肉体に憑依させて能力を発現させる。
よもや異世界で超チート効果を持つオブリビオンが存在していただなんて、フルスロットルは夢にも思わなかったであろう。
「なんだと……? この俺のオブリビオン・ストームの毒性どころか、暴風をも跳ね除けて進んでくるか!」
シズホが操作する人形『デザイアキメラ』から出現した超巨大な翼で作った盾型の天使武装が強風の風除けとなり、飛ばされることなくジリジリとフルスロットルとの間合いを詰めてゆく。
フルスロットルはにじり寄ってくるシズホの他に、もう一組の猟兵たちの挙動に戦々恐々であった。
「そっちもお前達は……まさか、ストームブレイドか!」
「大正解だぜ、モヒカンじじぃ! 行くぜェ、める!」
7号の合図を受けた操縦士のめるは、六脚戦車『実験兵器6号改』の出力を一気に振り切ってみせる!
「エンジン連動、リミッター解除、限界突破……!」
「来たぜェ! 最初ッからフルスロットルだぜェ! 一応、この猛毒の環境下への耐性があるし、ストームを喰らって後方から砲撃できる『偽神兵器砲塔』もある……ホントに都合がいい事にな!」
ストームブレイドはオブリビオン・ストームを喰らって活性化させることが出来る。
ならば、この戦場は2人にとってボーナスステージだ。
「周囲はストーム、敵は無限湧き、なら全部食い破っていくだけ、ってなァ!! つか耐性はあるが過信はしねぇ、狙うは短期決戦だ!」
砲塔の封印を解除すると、ユーベルコード『天上に座す暴食の魔王(バアル・ゼブル)』を発動させる!
「ヒャッハー!! ストーム食い放題! つまり俺様の武器も青天井で強化されまくるぜェ!」
食べれば食べるほど、戦車の偽神兵器とヴォルテックエンジンが活性化!
「オラオラ退きやがれ!」
嵐の中を飛び交うレイダー軍団を、容赦なく機銃と爆弾で7号は木っ端微塵してゆく。
「こちらも派手にいきましょうか!」
対抗心を燃やすシズホ。
飛行形態に変形した人形『ライダ』で空中へ舞い上がり、嵐の中を乗り越えて中心部へ!
そこは嵐の目の中であり、フルスロットルが待ち受けている血栓の場だ!
「見付けましたよ、フルスロットル! その鎧が全て機械なら、これがよほど効くでしょうね?」
時間経過で電圧強化した竜人型の人形『インドラ』が激しい電流を纏っている!
「さあ、これでどうです? 貴方方が勝手に決めた終点を経ても、尚も諦めない人々の為! 私は必ず貴方を倒します!」
シズホの決意みなぎる叫日とともに、フルスロットルの頭上から創造を絶する稲光が一直線に落ちた。
あまりの高圧電流に、フルスロットルは全身を強く痙攣させて膝を付いてしまう。
そこへ浴びせられるは、信じられない速度で打ち込まれた一発の砲弾だ!
「偽神兵器の弾幕だぜ! いつまでも栄光の過去にしがみ付く老害野郎の顔面に、一発デカいのをぶち込んでやる」
オブリビオン・ストームの勢いに負けずに起動がブレない軌道が、フルスロットルの顔面に叩きつけられると……。
「ギャアァァーッ!」
おぞましい悲鳴を大声量で轟かせたフルスロットルの口から、白い歯の何本かを吐き出したのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
東雲・深耶
貴様に言う事はただ一つ
終われ――フルスロットル・ヴォ―テックス
貴様の『総て(ヴォ―テックス)』を破壊しつくしてやる
瞬間、真の姿の特徴である赤い髪へと変わり、同時に520の触れた存在を時空間ごと斬滅する雷が毒を私の体に染み渡る前に焼いて消毒し、敵軍を焦がし切り裂いていく
悪の敵として、貴様というヴォ―テックス一族の長を弑さねばならん
塵となり、灰と成り逝くが相応しい!
そこに加えて白先や黒後、蒼灯等の数多の妖刀を取り出してその刀の性質に応じた雷を複数種類放っていく
と、オブリビオンレイダー軍団か
だが……この私の雷切の前には無意味
居合斬りとして放った剣先からの520の時空切り裂く雷霆
それは真の姿となった私によって放たれる事により、オブリビオンレイダー軍団を一瞬で壊滅せしめる
終わりだ、フルスロットル・ヴォ―テックス
最後に残ったフルスロットルへ雷霆を集束
単純計算で520倍になった電気エネルギーがフルスロットルを切り裂いていく――!!
エミリロット・エカルネージュ
オブリビオンストームなんて理不尽を撒いて、人から色々な物を奪った上に
こんな世界で必死に生きてる人の
人生を勝手に終わらせるなんて
そんな事、許せる訳無いよっ!
●POW
オーバーロード解放、真の姿
エカルドに変身した上で『早業』UC発動
ここはヴァレーニキタイガーでっ!
『オーラ防御&激痛耐性&毒耐性』で備えて『空中戦&推力移動&ダッシュ』でかけて『第六感』で『瞬間思考力&見切り』『オーラ防御&属性攻撃(氷)』を込めた実体『残像』を『空中機動』も生かして置きながら回避し
それでも近寄るのや被弾は『武器受け&受け流し』で『切り払い』防ぎ
事前『料理』した〈サクラミラージュ風・特製桜モツアン餃子〉を『早業&大食い』し『覇気&誘導弾&砲撃』の餃子気弾を『範囲攻撃&乱れうち&弾幕』しつつフルスロットルに肉薄
『属性攻撃(吹雪)』纏わせた『推力移動&ジャンプ』ギョウザライダーキックから〈尻尾&健脚&発剄〉パンチのコンボを『怪力&2回攻撃』『グラップル&功夫』で繋げてボクがお前を破壊するっ!
※アドリブ絡み掛け合い大歓迎
転送直後に漆黒の嵐の中へ放り出された東雲・深耶(時空間切断剣術・空閃人奉流流祖・f23717)は、すかさずオーバーロード覚醒を果たした。
「貴様に言う事はただ一つ」
瞬間、東雲は真の姿の特徴である赤い髪をオブリビオン・ストームの中でなびかせる。
「終われ――フルスロットル・ヴォーテックス。貴様の『総て(ヴォーテックス)』を破壊しつくしてやる」
同時に、彼女の周囲が突如眩しい稲光が瞬く。
「これは触れた存在を時空間ごと斬滅する雷、その数、520に及ぶ。ふっ――!」
その雷光の一つが東雲の身体に突き刺さる。
まさかの自害か?
いや、これは体内のオブリビオン・ストームの毒素の存在していた時空間ごと斬滅することで、擬似的な免疫を獲得させる荒業だ。
「これが私なりの消毒だ。消毒といえば、私の周りを飛び交う蛆蠅共も消毒しなくてはな?」
東雲は迸る稲妻を周囲へ拡散させた。
途端、オブリビオン・ストームから滲出してきたレイダー軍団たちが肉が焼ける音と共に“消毒”されていく。
「「ギャアァァーァッ!?」」
「悲鳴まで汚いな……」
雑魚の処理を済ませながら、東雲は荒れ狂う暴風の中をどうにか前へ進む方法を思案する。
そこへ転送されてきたのは真っ赤なファードラゴンのドラゴニアン、エミリロット・エカルネージュ(この竜派少女、餃心拳継承者にしてギョウザライダー・f21989)だ。
「うわっ! すごい暴風! それに息苦しい……これがオブリビオン・ストームの毒性?」
エミリロットはすかさずオーバーロードを解放!
真の姿へ変身するべく、彼女は腰元に変身ドライバーを巻き付けた。
『Dumpling System!』
謎の電子音声に決意を漲らせると、エミリロットはとっておきのデバイスをドライバーへ挿入した。
「餃心拳継承者として、ボクは餃子の可能性を信じる! こんな毒素、ニンニクやニラ、生姜などの生薬効果由来のボクの気功で無効化してみせる!」
あらかじめ準備してきた『サクラミラージュ風・特製桜モツアン餃子』を頬張れば、エミリロットは元気3000倍!
「うん、気合乗ったっ! 猛毒が身体を蝕む前に、これで決めるっ! ここはヴァレーニキタイガーでっ!」
デバイスの刺さったドライバーのギミックを発動!
『Varenyky Russian Revolution!』
電子音声とともに鳴り響く中華風ロック・ミュージックがデバイスから流れる!
嵐を切り裂きながら出現したのは、餃子皮で出来た純白のアムールトラ型鎧装!
「欧亜の餃菓の虎は、今此処にっ! 変身っ!」
純白のアムールトラ型鎧装が分解され、エミリロットへ合着する!
『タイガー! ギョーザ! スイーツ! トリプルベストマッチ!』
「これがボクのオーバーロード……」
纏いし純白の鎧装から放たれるは、清廉なる冷気!
「エカルド・ヴァレーニキタイガー! この姿になったボクには、状態異常など通用しないよっ!」
纏った純白の鎧装のスラスターから、餃子を蒸す蒸気を彷彿とさせる白い煙が噴射される。
その推進力を利用し、嵐の中でも自在にエミリロットは飛翔してみせた。
「ボクの前に立つと危ないよっ! シャオロン、お願いっ!」
相棒である麺棒型の竜騎士の槍に呼び掛け、身の丈ほどに伸長させた綿棒をレイダー軍団へ向けてフルスイング!
「アバーッ!」
「ゆべしっ!」
「ひでぶっ!」
迫りくる敵を薙ぎ倒しながら、エミリロットは空中へ全集中!
「いたっ! あれがフルスロットル……っ!」
空中からの索敵で、遂にエミリロットは敵の首魁の姿を肉眼で捉えた。
「フルスロットルっ! オブリビオンストームなんて理不尽を撒いて、人から色々な物を奪った上に、こんな世界で必死に生きてる人の人生を勝手に終わらせるなんてっ! そんな事、許せる訳無いよっ!」
「黙示録にしがみついているだけの臆病な愚者には理解できないようだな! この世界の終点は近い! すべてが終わり、永遠に停止する! それの何が悪い!?」
「悪いに決まってるっ! おっと!」
襲いかかるレイダー軍団を直感で回避すると、エミリロットは撹乱のために残像を空中に出現させながらフルスロットルへ自身の言葉をぶつけていった。
「餃子は4000年もの長い時間を費やして、今や様々な種類や味が楽しめるようになったんだっ! それは停止した『終点』の世界では起こり得ないっ! 人々の未来も、餃子の発展もっ! まだまだ途上なんだよっ! ここで終わらせて堪るかぁっ!」
上空から棒餃功筒をフルスロットルへ突き付けると、ビーム餃子気弾を乱射!
纏った鎧装のおかげで放たれる超低温の弾幕がフルスロットルを凍てつかせてゆく。
「ぐぬぅ! これが餃子パワーなのか! 【超克(オーバーロード)】なのか!」
「私のオーバーロードも批評願いたいな」
物体が焼き切れる音が響いた方向をフルスロットルは振り返った。
そこには、オブリビオン・ストームという『空間』ごと焼き切りながら前に進む、紅髪の東雲の姿が!
「ふう……嵐の中をどう移動するか対策を講じてなかったのは私の落ち度だったな。だが、嵐の中にいるという『時空間』そのものを焼き切ってしまえば、私は無風の中をゆっくりだが進んで行ける」
事実、東雲の後ろの空間には何故か暴風が吹き荒れていなかった。
そして、彼女の周囲には様々な効果を持つ妖刀が宙を舞っている。
そのどれもがユーベルコード『碎輝雷切・紫電は無限内包せし幻想の為に』で生み出した雷光を宿していた。
「特にこれなんかはすごいぞ。過去と未来に干渉する二振りの刃だ。これを用いれば、“嵐が起きた過去”と“これから嵐が起きる可能性”を焼き切り、一時的に無風の空間を創造できてしまうのだからな」
「嘘だ! そんなデタラメが実現するなど、冗談じゃない!」
フルスロットルは目の前の現実を容認できず、嵐から滲出したレイダー軍団をけしかけた。
「懲りずにオブリビオンレイダー軍団か。だが……この私の雷切の前には無意味……」
居合斬りとして放った剣先からの520の時空切り裂く雷霆が、一瞬で敵軍団を壊滅せしめる。
「この刀の特性は『無限進化』。どんな強敵だろうが、一瞬でその上をゆく最弱にして最強の刃だ」
「なん……だと……!」
刹那の内に蒸発した部下たちに、フルスロットルは初めて動揺を見せた。
「終わりだ、フルスロットル・ヴォーテックス。悪の敵として、貴様というヴォーテックス一族の長を弑さねばならん。ならば今ここで塵となり、灰と成り逝くが相応しい!」
言葉尻とともに放たれた520倍の雷撃の一太刀が、フルスロットルの巨体へ浴びせ掛けられた!
「ぐわぁァァァーッ!」
鎧が避け、肉が焼き切れ、焦げた血液の匂いが辺りに充満してゆく。
激痛で怯んだフルスロットルへ、空中を舞うエミリロットが追撃を仕掛ける。
「クライマックスだよ! ボクの必殺技、パート2!」
『氷結! 豪快! 一撃粉砕! ブルゥゥゥアァッ!』
物理法則を無視した角度で一気に急降下ドロップキック!
「まだ!」
フルスロットルが吹き飛ぶまでのコンマ秒単位の刹那、エミリロットは揚げ餃子の気功の尻尾、水餃子の如き靭やかな蹴り、そして鍛え抜かれた餃心拳継承者の全力のワンインチパンチから餃子パワーを叩き込んだ!
「お前を止められるのはただ一人! 餃心拳継承者のこのボクだー!!」
絶対零度の餃子発勁がフルスロットルの傷口に突き刺さると、そのままサッカーボールのように勢いよく遠方へ弾き飛ばしてみせたのだった!
大成功
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黒影・兵庫
(「猛毒の嵐なら要塞蠍に搭乗して籠城しつつ虫で削ればOKね」と頭の中の教導虫が話しかける)
せんせー!それは違うと思います!
奴の底なしの破壊衝動から生まれる嵐に対抗するには
絶対に生き抜いて見せるという不屈の闘争心をぶつけるしかないと俺は思います!
(「は?いやいや黒影、精神論とかいらないから!安全策を取りなさい」)
いいえ!これこそが確実に勝利を掴む最善の戦法です!
(『オーラ防御』で『毒耐性』効果を付与した円錐状のオーラの盾を作りオブリビオン・ストームに向かって『衝撃波』を使った『ダッシュ』で突撃する)
(「いやいやいや!ふざけんな!何やってんの黒影!嵐で吹き飛ばされるに決まってるじゃない!」)
いいえ!今の俺は嵐を穿つ弾丸です!吹き飛ばされることなどありえません!
これでも足りないってんなら超克(オーバーロード)を使うまでです!
(「あぁもう!なら全力で行くわよ黒影!」)
(UC【強制羽化】を発動し真の姿に変貌する)
はい!せんせー!超特大の風穴開けてやりましょう!
灯璃・ファルシュピーゲル
全生命を不要という前に貴方がまず“不要”だと思いますよ?
事前にMOPPレベル4態勢用のCBRNE戦闘用装備一式を用意し着用
し私物の装甲車に搭乗し出動
先ずは突入時に障壁になる物を作られないよう
(スナイパー・制圧射撃・運転)で動き回りつつ
敵レイダー群の頭・脚部狙いで機銃掃射し頭数を減らす様戦闘。
同時にストームを(見切り)で回避しつつ首魁の動きと
放つストームの間隔を(情報収集)し(戦闘経験)から
ストームの切れ間と首魁の意識が此方に向いてるか確認し
意識が完全に此方へ向いてるタイミングでUC:Zerstoeren Fluegelを起動
死角方向から首魁近辺にMOAB(大規模爆風爆弾)を投下し
爆風の壁をストームにぶつけ相殺し、その隙を突いて装甲車で吶喊
車両ごと敵首魁にぶつけつつ
指定UCで狼達と黒霧を放ち、敵の視界を奪いつつ
敵の頭部・武器を持つ腕部の装甲の隙間狙いで狼達に襲わせ
確実なダメージを狙います(スナイパー・鎧無視攻撃・鎧砕き)
「そこは貴方々の終点です。降りるなら一人でどうぞ。」
神代・凶津
遂にフルスロットル・ヴォーテックスとの決戦だぜッ!
「……この戦い、負けられません。」
「…悪しき不浄を祓いたまえ。破邪・禍祓陣ッ!」
こいつは戦場全体を聖域に変えるユーベルコード。これで毒を無効化してこっちの行動成功率を上げるぜ。
後は敵群を薙刀で攻撃しつつフルスロットル・ヴォーテックに接近していくぜ。
くそ、思った以上に敵群が多いッ!ここまでだってのかッ!?
「……まだ諦める訳にはいきませんッ!」
……ッ!ああ、そうだな相棒ッ!!
【超克(オーバーロード)発動。真の姿『霊力のオーラを纏う姿』になる】
「これは……ッ!?」
何だこの力ッ!?オーバーロードッ!?何だか分からねえがこれなら行けるぜッ!!
破魔の力を込めた薙刀で周りの敵を一気になぎ払ってやるッ!
フルスロットルに接近したら薙刀を投擲、薙刀に注意がいくだろうがそいつはフェイントだッ!
その隙に結界霊符を地面に貼り展開した結界を踏み台にしてそのデカイ図体に乗っている頭に妖刀の一撃をくらわせてやるッ!
てめえの『終点』を俺達は超えていくぜッ!
【アドリブ歓迎】
レーヴァ・アークルージュ
『終点』は不要!
この世界の生命が求めるは『発展』と『歴史』と『繁栄』!
それを否定するというなら……
『フィールド・オブ・ナイン』第六席、フルスロットル・ヴォーテックス!
貴方という理不尽なる『終焉』を『終わらせる』事で、この世界に生きとし生けるもの全てを救ってみましょう!
我が『超克(オーバーロード)』は唯一つ!
炎に始まり、炎を極め、炎で至る!
即ち、『炎属性究極魔法』成り!
オブリビオン・ストームが迫りくる中、UCを起動させる
それは私の『時間質量』を燃焼させる事で『燃えているが存在しない無』そのものへと至る御業
私の存在そのものが『存在していない無』であると同時に『燃え上がっている現象そのもの』となっている以上、『オブリビオン・ストームの影響を『無』故に一切受けないと同時、燃え上がる『虚無の炎』がフルスロットルごとオブリビオン・ストームにまつわる全てを焼き尽くす』!
この御業を持って、終わりを終わらせましょう
真の姿の『虚無の九尾の狐』となり、フルスロットルへと挑んでいくわ
荒れ狂う漆黒の破壊を齎すオブリビオン・ストーム。
その中を果敢に突き進む猟兵たち。
「遂にフルスロットル・ヴォーテックスとの決戦だぜッ!」
「……この戦い、負けられません」
朱塗りの鬼面たるヒーローマスクの神代・凶津(謎の仮面と旅する巫女・f11808)は、彼を被って共に戦う相棒の巫女こと神代・桜と共に嵐の中を突き進む。
すぐさま桜が破魔弓に矢を番って巫女の祷りを込める。
「……悪しき不浄を祓いたまえ。破邪・禍祓陣ッ!」
桜は四方へ矢を立て続けに放ってみせた。
嵐の暴風で矢が真っすぐ飛ばないのでヒヤヒヤしたが、無事に効果が発言できたことを確認した凶津は安堵の声を漏らした。
「ふう! うまく言ったようだぜ、相棒ッ!」
「おや? なんだか息苦しさがなくなりましたが……これはあなた方が?」
日独クォーターの戦場傭兵である灯璃・ファルシュピーゲル(Jagd hund der bund・f02585)は、事前にMOPPレベル4態勢用のCBRNE戦闘用装備一式を用意し着用した上で、軍事UDC工学で強化した耐地雷伏撃防護車M1248/JSXF(M-ATV)に乗り込む徹底ぶりを披露していた。万全を期して戦闘に臨むことにかけて、軍人の右に出る者はいないだろう。
そんな彼女は神秘的なことにも興味を強く持つ。
故に、鬼面を被った巫女が矢を放ったことで周囲の毒性を無効化させたユーベルコードを聞き出してみる。
灯璃のこの問いに凶津が答えた。
「すげェだろ、俺の相棒の霊力! こいつは戦場全体を聖域に変えるユーベルコード。これで毒を無効化してこっちの行動成功率を上げるぜ」
「なるほど、そのようなユーベルコードも可能なのですね」
興味が尽きないと感心する灯璃だったが、すぐに嵐の中心部へ目を向ける。
毒性を無効化させたとはいえ、嵐の中から滲出される大量のレイダー軍団を超えなければ首魁であるフルスロットル・ヴォーテックスへは辿り着けない。
「超えてゆきましょう。この嵐の中心部に、倒すべき敵がいます」
「そうだね、この世界はまだ終わらせる訳にはいかないからね」
レーヴァ・アークルージュ(超学園級の烈焔魔導士・f29627)は深く首肯すると、その赤い髪と狐火を焔のように逆立てながら大声で宣言した。
「『終点』は不要! この世界の生命が求めるは『発展』と『歴史』と『繁栄』! それを否定するというなら……『フィールド・オブ・ナイン』第六席、フルスロットル・ヴォーテックス! 貴方という理不尽なる『終焉』を『終わらせる』事で、この世界に生きとし生けるもの全てを救ってみましょう!」
途端、レーヴァ自身の身体が真っ赤に燃え上がってゆく!
「我は存在せず、ただ燃え上がる。我は燃え上がらず、ただ存在する。二重の矛盾を抱き時を駆ける事で、我は真に聖炎を司る者となる!」
ユーベルコード『虚炎神録・虚ろにして燃え上がるかの時司りし聖炎(バーニング・ヴォイド・タイムフォーラー)』!
このユーベルコードはレーヴァをオーバーロードへ至らせるトリガーだ。
「これは私の『時間質量』を燃焼させる事で『燃えているが存在しない無』そのものへと至る御業」
嵐の中を悠然と闊歩する今のレーヴァに、オブリビオン・ストームの強風で飛ばされる心配はない。
「私の存在そのものが『存在していない無』であると同時に『燃え上がっている現象そのもの』となっている以上、『オブリビオン・ストームの影響を『無』故に一切受けないと同時、燃え上がる『虚無の炎』がオブリビオン・ストームにまつわる全てを焼き尽くす』! レイダー軍団も、吹き飛ばさんとする暴風も、『焼き尽くして無に帰す』のだから、私には『無意味』!」
ひとり歩いて中心部へ向かう姿を見て、灯璃はレーヴァを呼び止めた。
「よかったら、この車の上に乗っていただけませんか? 移動速度とあなたのユーベルコードがあれば、迅速な作戦行動を実現できるものと提言します」
灯璃の申し出にレーヴァはすかさず快諾。
防護車両の上に腕を組んで仁王立ちするレーヴァの姿は、オーバーロードの影響で『虚無の九尾の狐』へと変貌を遂げていた。
「あの立ち方、どこかで見たことありますね、せんせー!」
一連の流れを見守っていた黒影・兵庫(不惑の尖兵・f17150)は、レーヴァのかっこいい仁王立ちに思わず指差して喜んでいた。
黒影の頭の中から、寄生している教導虫『スクイリア』の声が響く。
『あれは某アニメでよく見られる、強者感を演出するための立ち方よ』
「なるほどー! 俺もアレやったら強そうに見えますか、せんせー!?」
『ふふ……ええ、とっても強そう、じゃなくて黒影は強いわよ』
「本当ですか! やったー!」
黒影の頭の中の教導虫は、黒影の親に等しい存在だ。
故に、黒影の無邪気な言動を、脳の中で微笑ましく思ってしまうのだ。
「俺達は敵群を薙刀で攻撃しつつ、あとからフルスロットル・ヴォーテックに接近していくぜッ!」
「……後詰はおまかせを」
神代コンビは3人の後顧の憂いを立つべく、進んで殿を申し出た。
そして先陣を切るのは……。
「はいっ! 先頭は俺に任せてください!」
自信満々で挙手した黒影が務めることになった。
スクイリアは脳内から、黒影へ最適な作戦内容を提案した。
『猛毒の嵐なら要塞蠍に搭乗して籠城しつつ虫で削ればOKね』
黒影への脅威を最小限に抑えたこの作戦ならば、フルスロットルなど怖くない。
親心も含めて、スクイリアはこれしかないと断言する。
しかし、黒影はこれを即時却下!
「せんせー! それは違うと思います! 奴の底なしの破壊衝動から生まれる嵐に対抗するには、絶対に生き抜いて見せるという不屈の闘争心をぶつけるしかないと俺は思います!」
『……は?』
スクイリアは一瞬、黒影が何を言っているのか分からなかった。
『いやいや黒影、精神論とかいらないから! ちゃんと安全策を取りなさい』
「いいえ! これこそが確実に勝利を掴む最善の戦法です!」
黒影はスクイリアの教えを振り切り、体全体にオーラの障壁を生み出すと、円錐の形状へ作り変えてオブリビオン・ストームの中をライフル弾めいた速度で駆け抜け始めた!
これにはスクイリアは脳内で黒影を止めようと必死に働きかける!
『いやいやいや! ふざけんな! 何やってんの黒影!? 嵐で吹き飛ばされるに決まってるじゃない!』
だが彼女の言葉に反して、黒影の走りは強い向かい風を切り裂いてゆき、パワフルなブルドーザーを彷彿とさせる力強い踏み込みで前へ前へと進んでいるではないか!
「いいえ! 今の俺は嵐を穿つ弾丸です! 吹き飛ばされることなどありえません! これでも足りないってんなら!」
途端、黒影の身体が変化してゆく。
手足の末端は昆虫のような鉤爪へと変貌し、頭には触覚が生え、背中には大きな翅が出現し、その黒髪は伸びて金髪混じりとなってゆく!
「そうです! これが! 俺の真の姿です! つまり超克(オーバーロード)を使うまでです!」
翅を高速に震わせることで推進力を生み出すと、今までとは比にならないほどの加速度を発揮する黒影!
もはや黒影の言葉が最善だと認めざるを得ないスクイリア。
「あぁもう! なら全力で行くわよ黒影! 強制羽化するわ!」
「はい! せんせー! 超特大の風穴開けてやりましょう!」
黒影の潜在能力をスクイリアが強制的に引き出すことで、114秒間だけ全能力を6倍に強化!
嵐の中を突き抜け、その軌跡は後続の装甲車の道標となる!
「前方注意です! 俺の前に立つレイダー軍団は全部弾き飛ばしてやります! 見ててください、せんせー!」
黒影は宣言通り、嵐から湧き出るオブリビオンレイダー軍団を次々と体当たりで蹴散らしていってしまう。
全ての能力が6倍まで強化されているので、突進力も当然6倍に強化されている。
もはや弾き飛ばすというよりも粉砕しながら突き進むといった表現が正しい。
そして、その後ろを追尾する灯璃の防護車に搭載された無人銃塔からの機関銃が炸裂する!
BATATATATATATATATATA!
「黒影さんが突撃していただけたおかげで、ストームの影響をさほど受けずに運転できる上に最短距離で走行できます。作戦の連携、感謝します」
スリップストリーム!
『風圧シールド走法』とも呼ばれるモータースポーツ等でのテクニックで、直線で先行する車両の背後に潜り込む事で風圧の抵抗を受け流すもの、というイメージでだいたい合っているが、正確には先行車が空気を乱すことで後ろに空気の渦が発生し、これに後続車が引っ張られる性質を利用するものである。
更に黒影と灯璃の距離が近くなると空気の渦自体が発生しにくくなり、その結果、黒影のスピードアップにも繋がるのだ。
更に更に、防護者の上でガ●ナ立ちしているレーヴァのユーベルコードの恩恵で、周囲のオブリビオン・ストームの影響はゼロである。
「このままフルスロットルへ突撃だよ!」
「もちろんですとも、レーヴァさん! 残り40秒ちょっとで決めてみせます!」
「目標、目視確認済み。黒影さん、フルスロットルへ弾幕を張ります。3カウント後に脇へ逸れてください」
「わかりましたー!」
黒影は3秒数え終わると、フェイントめいたステップで右へ身体を逸した。
途端、防護車の銃塔からマズルフラッシュと銃声が立て続けに発生した!
「うぐッ! 汝等、まだ懲りずに終点を阻止するか!」
「当然です。そして、ようやく向けてくれましたね、私への敵意を」
灯璃はこの瞬間を待っていたのだ。
「Sammeln《集え》! Praesentiert das Gewehr《捧げよ銃》! 仕事の時間だ、狼達≪Kamerad≫!」
途端、全ての光を飲む漆黒の森の様な霧が周囲を充満すると、その中から獣の唸り声が聞こえてきた。
それも1頭だけではない、群れだ。大群だ。
フルスロットルがそれを認識した次の瞬間、防護車よりも早く影の狼の群れが暗闇めいた霧の中から飛び出す!
これがユーベルコード『Schwarzwald Wolfsschanze(シュヴァルツヴァルト・ヴォルフスシャンツェ)』だ!
「全生命を不要という前に貴方がまず“不要”だと思いますよ?」
「このっ、犬畜生ごときが我を愚弄するか!」
フルスロットルが完全に狼に気を取られている間に、灯璃はフルスロットルの背後へ向けてMOAB(大規模爆風爆弾)を投下!
凄まじい爆風がフルスロットルの纏うヴォーテックス・アーマーへダメージを与え、吹き飛ばす勢いを弱めてみせた。
狼達は爆風にめげずに鎧の隙間や露出部を狙い、執拗に爪や牙で切り裂いてゆく。
そして黒影の強化された肉体から、目にも留まらぬ高速連撃が炸裂する!
「あと20秒しかありません! 全力で行きましょう、せんせー!」
右フックからの連続ジャブ、右飛び膝蹴りから懐へ飛び込んでの頭突き、そして左の延髄直撃のジャンピングローリングソバット!
フルスロットルの膝がよろめく!
『す、すごいわ! これがオーバーロードの力……!』
スクイリアは黒影の戦闘面・精神面の成長に驚嘆し続けている。
フルスロットルもそれに気付いたようで、狼の群れを振り払うと、凶悪な形状のチェーンソーのエンジンを起動させた。
「ふははは! これが貴様らの【超克(オーバーロード)】! 我が終点を乗り越えんとするか! ならば纏めて骸の海へ沈めてみせよう!」
「いいえ、ここが貴方々の終点です。降りるなら一人でどうぞ」
アクセルベタ踏みの防護車をフルスロットルへ突っ込ませる灯璃!
凄まじい衝撃が灯璃とフルスロットルを襲う!
「どぉわッ!?」
サッカーボールのように吹っ飛ばされたフルスロットルの巨体が地面に転がってゆく。
そこへレーヴァ『虚無の炎』がフルスロットルの全身を覆い尽くす。
「我が『超克(オーバーロード)』は唯一つ! 炎に始まり、炎を極め、炎で至る! 即ち、『炎属性究極魔法』成り!」
「ぁがッ! これはただの焔では、な、ぬぐぅッ!?」
時間質量を焼却させることで存在自体を過去から消し去る焔、そして黒影の肉弾戦に、フルスロットルが苦悶の表情を浮かべて必死に堪える。
だがここで、黒影が時間切れ!
1分間の昏睡状態に陥ってしまう。
フルスロットルは当然、無防備な猟兵へ狙いを定める。
「愚かな! 戦場で眠りこけるとはな!」
大型チェーンソーが黒影の身体を両断せんと振り下ろされた!
だが、それは横から突き出された薙刀によってインターセプト!
「ま、間に合ったぜチクショーめッ!」
「……間一髪でした! ハァ、ハァ――!」
息も絶え絶えに、神代コンビが合流完了!
「なんつー数のレイダー軍団だっつーの!」
「……ですが、諦めなくてよかったです」
「ああ、【超克(オーバーロード)】に目覚めたおかげでなァッ!」
神代コンビの身体から、霊力のオーラを纏うように発散されている!
……少し遡ること、猟兵たちがフルスロットルと接敵する直前。
神代コンビは後詰めとしてオブリビオンレイダー軍団を退け続けていた。
「くそ、思った以上に敵群が多いッ! ここまでだってのかッ!?」
だが、その数に凶津も桜も苦戦を強いられていた。
「…………でも、まだ諦める訳にはいきませんッ!」
桜の視線の先にはフルスロットルの姿が!
もうすこし、もうすこしだけ耐えられれば!
「……ッ! ああ、そうだな相棒ッ!!」
凶津もそれを理解していた。
この瞬間、2人の霊力が完全にシンクロした。
途端、全身から湧き上がる未知の霊力の奔流!
「これは……ッ!?」
桜は荒々しくも心地良い霊力に活力が漲ってくる。
「何だこの力ッ!? まさか、こいつがオーバーロードかッ!?」
凶津も優しさと苛烈さを併せ持った霊力に勇気が込み上げてくる。
「何だか分からねえがこれなら行けるぜッ!! 破魔の力を全開だッ!! オラ、邪魔だ退きやがれッ!!」
「薙刀の錆にして差し上げます……ッ!」
覚醒した神代コンビが、嵐を切り裂きながら突撃を開始した。
「……ってことで、こいつはやらせねぇよッ!」
「……お覚悟をッ!」
神代コンビがフルスロットルへ薙刀を振り下ろす!
ハヤイ!
だがフルスロットルも反応してチェーンソーで受け止める!
GIRIRIRIRIRIRIRIRI!
「おう、フルスロットル? そんな簡単に懐へ潜り込ませていいのかよ? 相棒ッ!」
「……吹き飛んでください」
結界霊符の応用!
零距離から霊力を逆噴射させることで、フルスロットルの巨体を弾き飛ばしてみせた!
「ぬぅっ!?」
よろけるフルスロットルの心臓目掛け、薙刀が投擲されてきた。
「小癪な! ふんっ!」
それを裏拳で弾き飛ばしたフルスロットル。
だが、目の前にいたはずの神代コンビの姿が何処にもいないことに気が付いた。
「ど、どこだ! 何処へ消えた!」
「「――ここにいるッ!」」
フルスロットルの背中に神代コンビの姿が!
あの一瞬で空中に結界を張って上空へ駆け上がって敵の背後に回り込み、ここまで肉薄していたのだ!
何たるオーバーロードの底力よ!
そして、その手には輝く霊力を纏った妖刀の刃が煌めく。
「てめえの『終点』を俺達は超えていくぜッ!」
「この距離、外しません……ッ!」
フルスロットルの延髄目掛けて妖刀の切っ先を深々と突き刺す。
噴き上げる鮮血とともに、フルスロットルは嵐の中で絶叫を撒き散らすのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
カシム・ディーン
機神搭乗
…やれやれ…でっけぇモヒカンならもう少し派手にヒャッハーすればいいのによ
何気取った言い方してんだ
「ヒャッハー☆メルシー達も負けないぞ☆」
真の姿
…ん?なんだこれ?(背中に龍の翼の片翼と体の一部に龍の鱗。そして…最新の宿敵絵の様な服
……?(フラッシュバックする無意識に閉じた遠い記憶(最新ピン参照)…頭痛に顔を抑え
「大丈夫ご主人サマ!?」
…問題ねーよ。ちょいやな夢見ただけだ(なんだこれは…?
【情報収集・視力・戦闘知識】
敵の攻撃の性質と周囲の戦況を冷徹に収集分析
その竜巻が弱まる間隙を捕捉
【属性攻撃・念動力・浄化・医術】
念動障壁展開
更に生命属性を己と機体に付与
致死毒への耐性を高めつつ
更に毒を浄化してダメージを最小に抑え込
後は体の状態を確認し見守る
UC発動
【空中戦・弾幕・スナイパー】
超高速で飛び回りながら浄化光線を乱射して蹂躙
【二回攻撃・切断・盗み攻撃・盗み】
鎌剣で襲い掛かりチェンソーや資源や金になりそうな物は強奪!
ヒャッハー!お前の集めた宝は僕が有効活用してやります!
「貯金も大事だぞ☆」
夕闇霧・空音
【アドリブOK】
オーバーロード…
終点なんて命ある限り続いていくものなのよ。
その道を無理やり閉ざそうとする行為なんて私が許さないわ。
【戦闘】
オブリビオンストームを突破する前にオーバーロードし
敵のオブリビオンストームに対処する。
(真の姿では口調が荒っぽくなり、一人称も俺になる)
自分の能力を越えていくか…
今まで以上の力が湧いてくるぜ!
ユーベルコード発動!
インフィニティゼロモード…!
オブリビオンストームの時間を凍結させることで
ほんの数秒でも嵐の流れを止める。
その間に中心へと突撃していく!
フルスロットルと言ったか…
言っとくが俺たちはフルスロットルを遥かに超えていくぜ。
ここはお前らの終点だ!
ユーベルコードを発動させて
周囲の敵の動きを凍結させる。
そして狙うはヴォーテックスのみ。
ここが終点だって言っただろ?
文字通り「止めて」やったぜ。
トドメを打ち込んでやる…!
テラ・ウィンディア
機神搭乗
真の姿発動
炎の巫女としての姿も魅せるぞ
お前が暴力の化身として世界を殺すというならば
「私達もまた暴力で応え貴方を冥府に送ります!」
【戦闘知識】
今迄のフルスロットルの動きと癖と今の動きとの差異を分析
【属性攻撃】
重力属性を機体全身と武器に付与
その毒と嵐もまた焼き払ってやる!
【見切り・第六感・残像・空中機動・武器受け・オーラ防御】
対毒オーラを展開
更にストームの中でも突破しやすいルートを看破
UC発動
【弾幕・貫通攻撃・遊撃】
ガンドライド・ドリルビット展開
銃撃で動きを止め
ドリル攻撃で猛攻
【二回攻撃・早業・串刺し】
超高速での連続斬撃と槍による刺突
そのまま空へと飛びあがり
【重量攻撃・砲撃】
たっぷりと味わえ…星の暴力を
マイクロブラックホール発射!
周辺ごと収束し…圧縮し五臓六腑どころか全てを押しつぶす勢い
…これがお前の望んだ滅びだ
お前の終末だ
星の終焉の力で消え失せるがいい!
…恐ろしいものだな…終焉って
「ええ、とても恐ろしい物…だから皆はそれを恐れます」
…終焉を知ったなら抗う事をお前は択ぶべきだったんだ
かなりのダメージを負ったフルスロットル・ヴォーテックス。
だがやはりそこはオブリビオン・フォーミュラ、非常にタフだ。
あれだけの攻撃を浴びてなお健在である。
「汝らの【超克(オーバーロード)】をもってしてでも、我が終点を超えることなど不可能! 骸の海へ沈めてくれる!」
フルスロットルが嵐の中心で轟き叫ぶ。
これにカシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)が界導神機『メルクリウス』に搭乗したまま、これ見よがしに大きな溜息を吐いた。
『はぁ………やれやれ……でっけぇモヒカンなら、もう少し派手にヒャッハーすればいいのによ、レイダーの親玉なんだろう? 何、気取った言い方してんだ?』
『ヒャッハー☆ 悪者らしさならメルシー達も負けないぞ☆』
メルクリウスは機体の周囲に念動障壁を生成、更に生命魔法を発動させ、オブリビオン・ストームの致死毒への耐性を得ている。
「コクピット内に毒は滲み出てないようですね。メルシー、お前は大丈夫か?」
『賢者の石は生命力の塊だからね☆ メルシーは殺しても死なないもん☆』
「うん、知ってた。だいたい、頭を息子に潰された上に持ち去られても生きてる神様だもんな、やべー奴ですもんねお前」
『こらー! メルシーは清純系機神であって、ヤベー奴じゃないもん! ご主人サマでもメルシーのトラウマを持ち込むのはメッだぞ☆ プンプン☆』
『そういうわざとらしいぶりっ子スタイルが反吐が出るんですよ……』
同じ戦場に居合わせた神機ヘカテイアが回線に割り込んで毒吐いた。
『ったく、足引っ張らないでくださいね? この色ボケメンヘラ糞ビッチ雌雄同体ウンコの変態ウンコのメルクリウス?』
「ヘカテちゃん? なんでウンコを2回言ったの? 糞も合わせれば3回だよね? メルシー、そんなにウンコなの? ねぇねぇねぇ?』
『やめなさい、ここには他にも猟兵さんがいますので。そういうノリは不要です』
ヘカテイアの声に混じって、テラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)が誰かに呼びかける声が聞こえる。
『おーい、生身で突入して大丈夫なのかー?』
その視線の先には、夕闇霧・空音(凶風・f00424)の姿が。
「サイボーグの身体ですので、すぐには市に至ることはなさそうですが、これは……」
フルスロットルが放出するオブリビオン・ストームの死の暴風の前に、空音はぎりりと奥歯を噛み締めて耐えている。
「長くは持ちそうにないですね。でしたら……オーバーロード……! 終点なんて命ある限り続いていくものなのよ。その道を無理やり閉ざそうとする行為なんて私が許さないわ」
空音のオーバーロード覚醒、それは鋭い氷で出来た鋭利な爪を手足の先に生やした白猫めいたサイボーグの姿であった。
「なるほどな、自分の能力を越えていくか……今まで以上の力が湧いてくるぜ!」
覚醒した空音は、口調も荒々しいそれに変わる。
味方のオーバーロードを目の当たりにしたテラは、自身もオーバーロードを行う決意を固めた。
『フルスロットル! お前が暴力の化身として世界を殺すというならば!』
『私達もまた暴力で応え、貴方を冥府に送ります!』
『『そのための【超克(オーバーロード)】ッ!!』』
外部スピーカーから響く主従の熱い想いが、搭乗しているテラの衣装が燃えるような赤い仙女のような服装へと変化してゆく。
そして神機ヘカテイアは、その凄まじい焔の魔力を浴びて黒いオーラを噴き上げる。
「ヘカテ、致死毒への耐性は?」
『完全ではありませんが、最弱化は可能です! バリア展開済みです!』
毒への耐性を持っていない2人だが、それでも持てる技能をフル活用して致死毒を弱めてみせた。
ルート検索などもはや不要。
最短で、最速で、真っ直ぐに突っ込むだけだ。
「おいメルシー! 僕たちもオーバーロードだ!」
『ラジャったよ☆』
カシムとメルシーは、互いの魔力回路をより密に接続させようと試みる。
だが、途端、カシムの肉体に変化が起きる。
(うぐッ! 痛ってーな! 身体か何かが飛び出てくるような違和感と痛みが……ん?)
カシムが目を開けると、自身の顔の半分に何かが覆っている感触があった。更に背中に大きな何かが付いており、バランスがよろける。
『ご主人サマ、大丈夫!? てか、その格好……!』
「ん? なんだこれ?」
背中に生えた黒い龍の片翼、体の一部が龍の鱗で覆われている。
そして、真っ白な宗教然としたローブをいつの間にか纏っていた。
途端、カシムを激しい頭痛が襲いかかる。
「あ、ガッ……!」
『しっかりして、ご主人サマ!?』
メルクリウスの言葉が朦朧として聞こえる中、カシムは気付けば死体の山の真ん中で呆然とへたり込んでいた。
――降り注ぐ雨と曇天の空、冷たくなった同胞の身体。
――誰を揺り動かしても反応せず、息もせず、流れる涙は豪雨に紛れ……。
『――サマ! ご主人サマってば!』
「え、あ……?」
相棒の声で我に返ったカシム。メルクリウスのコクピット内だと再認識すると、肺の中の空気をゆっくり吐き出した。
『大丈夫、ご主人サマ? 顔色悪いよ……?』
「……問題ねーよ。ちょい、やな夢見ただけだ」
あの光景は何だったのだろうか?
カシムは自身の“知らない記憶(?)”に困惑しつつも、目の前の巨悪を倒すべく行動し始めた。
「って、もう戦闘始まってるじゃねーか!」
『もー☆ ご主人サマのお寝坊さん☆』
カシムが悪夢にうなされている間に、戦況は大きく動いていた。
「いい加減、斬り裂くのも飽きてきたな! そろそろ行くぜ! ユーベルコード発動! インフィニティゼロモード……!」
サイボーグ腕から展開される超硬度の氷の爪の封印を解除!
空音は己の寿命を代償に、更なる戦闘力向上を図る。
「凍て付きやがれ!」
ブンッと大振りな爪の一撃が空を斬る。
見事な空振りかと思いきや、その瞬間、爪で引き裂かれた空間が“凍り付いた”のだ。
「なんだと! 汝、今、何をした?」
「見て分からねぇのかよ? 空間を“凍らせて”やったぜ! これで毒素も風も、俺には届かねぇ! 凍った空間が防壁になるからなぁ!」
それは軸を凍結させる超絶対零度の爪。
一度引き裂かれれば、物質はおろか時間さえも凍え付く。
……否、『時間も物質』と証明されている今だからこそ、切り裂かれた空間の時間は凍結“可”能!
「って言っても、すぐに溶けちまうが……3秒だ! 3秒あれば十分だぜ! お前の首筋を掻っ切るには、お釣りが来るくらいになぁ!」
凍結した時空の壁を盾にして、フルスロットルの死角へ回り込もうと試みる空音。
フルスロットルもオブリビオン・ストームを放出し続けてそれを牽制する。
だが、そこへ飛んでくる砲撃!
「ガンドライドとドリルビットが強風で操作が難しいのか……だったら地面を走らせればいいだけだな!」
自律駆動戦車と化したガンドライドと、巨大掘削機として突貫するドリルビットがフルスロットルの行動を阻害してゆく。
「星刃剣『グランディア』……紅龍槍『廣利王』……巨大化顕現……!」
人間サイズの2つの武器に魔力を注ぎ、キャバリアサイズの武装へ変化させると、ヘカテイアはキャバリアと同じサイズのフルスロットルへ連撃の早業を叩き込んでみせた。
『フルスロットル……これがお前の望んだ滅びだ……お前の終点だ……終焉を知ったなら、抗う事をお前は択ぶべきだったんだ!』
「笑止! 我はオブリビオン・フォーミュラ! フィールド・オブ・ナイン第6席! その願いこそ『終点』! 我がヴォーテックス一族が受け継ぐ『逃れえぬ死と避けられぬ宿命』と一族に歯向かう者を悉く飲み込む『死の渦のユーベルコード』の暴力こそが、終点へと導く! 故に抗うなど不毛! なぜならば、これ以上の暴力は不要だからだ!」
繰り出される剣と槍の連撃を、フルスロットルは巨大なチェーンソーで弾き返してゆく。
『まずいです、これでは空中へ突き飛ばせません!』
「なんて反応速度なんだ……!」
ヘカテイアとテラが攻め手にあぐねていると、フルスロットルの背後へ飛びかかる空音の姿が!
「フルスロットルと言ったか? 言っとくが俺たちはフルスロットルを遥かに超えていくぜ。ここはお前らの終点だ!」
ヘカテイアとの応酬で空音への意識が逸れていたフルスロットルが振り返る。
「しまっ……!」
「もう遅ぇよ!! ブソリュートゼロ・インフィニティゼロモード・フルスロットル!!」
最大解除状態で繰り出した超絶対零度の爪が、フルスロットルの首筋を斬り裂いた!
だが、傷口から血飛沫は噴き上がらず、フルスロットルは“凍結”してしまった。
「ここが終点だって言っただろ? 文字通り『止めて』やったぜ! さあ、やっちまえ! キャバリアならコイツの巨体をなんとか出来るだろ!?」
空音のアシストを受け、ヘカテイアが槍をフルスイング!
『『かっ飛ばせぇぇぇぇっ!!!』』
槍の穂先がフルスロットルの胴体部を強打すると、打ち上げ花火めいて天高く飛翔!
すかさずテラはヘカテイアへ魔力を急速充填開始!
「たっぷりと味わえ……星の終焉の力で消え失せるがいい! マイクロブラックホール発射!」
『“冥界の炎『ギガスブレイカー』(キョジンヲウチヤブルモノ)”、発射!』
ヘカテイアがマッハ11でフルスロットルのいる空まで飛び上がると、至近距離から超重力弾をぶち当てた!
「ぬぐッ! あがぁぁぁーッ!?」
フルスロットルの時間停止が解け、途端、全身を圧縮される痛みに悶え苦しむ!
そこへ飛び込んでくるのは、カシムが乗り込むメルクリウスの白銀の機体!
『汚物は消毒です!』
『ヒャッハー☆ 神様ビーム☆ ずきゅんばきゅーん♥』
万能魔術砲撃兵装『カドゥケウス』から乱射される聖なる神の光線がフルスロットルの巨体を撃ち抜いてゆく。
『ヒャッハー! ヴォーテックスシティにお前が集めた宝は、僕が有効活用してやります!』
『ご主人サマ、貯金も大事だぞ☆』
カシムとメルクリウスの夫婦漫才が炸裂!
同時にビーム鎌剣ハルペーでフルスロットルをザクザクと刈り込み、超重力に押し潰されながら地面へ墜落していった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
地籠・凌牙
【地籠兄弟】アドリブ歓迎
終点?これ以上の発展も生命も不要?
それを決めるのは今この世界を生きる人たちであっててめえら過去の存在じゃねえ!
骸の海から未練がましく出てきておいて世界の支配者気取ってんじゃねえぞ!
今までこの世界の人たちを散ッ々苦しめてきた報いを受けてもらうぜ!!
いくぜ陵也、覚悟はいいな!
オーバーロード!
真の姿を解放してオブリビオン・ストームに突っ込む!
『穢れを喰らう黒き竜性』で体内を蝕む毒という穢れを喰らい【毒耐性・継戦能力】で耐えられる程度に抑えるぜ。
敵の群れが俺の穢れに【おびき寄せ】られて襲いかかってくるだろうが逆に返り討ちやすいと考えりゃ儲けものだ。【カウンター】で片っ端からぶっ飛ばす!
フルスロットルの姿が見えたら【指定UC】を発動、さっきまでたっぷり喰った穢れをぶつけてやる!
【挑発】で敵のUCを誘い、陵也のUCでコピーさせたら持てる【怪力】全部込めて【鎧砕き】の【捨て身の一撃】を当てて後は託す!
当てようとしても避けようとしても無駄だぜ、てめえの運はとっくに尽きたからな!
地籠・陵也
【地籠兄弟】アドリブ歓迎
この世界の人たちは今も尚一生懸命生きている。
その人たちの人生を決める権利は俺たちにもお前たちにもありはしない。
お前たちオブリビオンが世界を終わらせようとし続けるように、俺たち猟兵は何度だって世界を終わらせない為に戦い続ける!
もうこれ以上お前たちに何も奪わせない!!
オーバーロード!真の姿を解放するぜ!
『穢れを清める白き竜性』で体内に取り込んだ毒素を【浄化】しながらオブリビオン・ストーム内を突き進む。
敵の群れは【高速詠唱】からの【属性攻撃(光)】魔術による【範囲攻撃】でぶっ飛ばす!凌牙が【おびき寄せ】てくれてるおかげでまとめて叩きやすいってもんだ。
凌牙がフルスロットルに向けてUCを使い、挑発で攻撃を誘ったら【かばう】体勢に入るぜ!
【結界術】と【オーラ防御】の術を【多重詠唱】して万全にした上で奴のUCを受け止めて【指定UC】発動!
凌牙のUCで奴の望み通りになる【幸運】は尽きた、コピーしたUCに【破魔】の魔力を纏わせて凌牙がブチ抜いた箇所目掛けて4発叩き込んでやる!
鳳凰院・ひりょ
アドリブ歓迎
WIZ
フルスロットル、他のフォーミュラは全て討伐された
後はお前だけだ!お前を倒し、この地に平和をもたらす為、全力で行く!
いくぞ、オーバーロード!
真の姿を解放、翼で飛翔しフルスロットルの元へ接近試みる
道中の毒は【毒耐性】を付与した【オーラ防御】を前面に張り出し耐えながら進む
ライダーの群れは上空より護符を【乱れ撃ち】、撃破した敵から【生命力吸収】し毒のダメージを回復
フルスロットルと交戦するまでに回復出来る分は回復しておこう
無限湧きなら、逆に言えば無限に回復する手段があるという事、前向きに考えるさ!
フルスロットルを目視出来る位置まで来たら攻撃開始
とはいえ、相手の放つオブリビオン・ストームの効果で真面にこれ以上は近付くことが出来ないか…
なら、ここから狙い撃つのみだ!
フルスロットル、俺が新しく編み出した力、食らってみろ!
いくぞ精霊光照射!疑似精霊達の力を一つにまとめたこの一撃、一気に削ってやる!
相手がオブリビオン・ストームを放てなくなったら一気に肉薄
【破魔】付与した刀の【貫通攻撃】!
――何故だ?
――終点は目前なのに、何故だ?
「汝らは、何故に終点を拒む!? この世界は閉じる! それはもう定められた宿命である! ならば、何故、何故に終点を越えようとする!?」
満身創痍のフルスロットル・ヴォーテックスが猟兵たちへ叫ぶ。
これに真っ先に反論したのは地籠・凌牙(黒き竜の報讐者・f26317)だった。
「終点? これ以上の発展も生命も不要? それを決めるのは今この世界を生きる人たちであって、てめえら過去の存在じゃねえ! 骸の海から未練がましく出てきておいて、世界の支配者気取ってんじゃねえぞ!」
「凌牙の言うとおりだ。この世界の人たちは今も尚一生懸命生きている。俺たちはそれをずっと見てきた。その人たちの人生を決める権利は、俺たちにもお前たちにもありはしない」
地籠・陵也(心壊無穢の白き竜・f27047)は胸に拳を押し当てて想いを馳せる。
「……お前たちオブリビオンが世界を終わらせようとし続けるように、俺たち猟兵は何度だって世界を終わらせない為に戦い続ける! だから、もうこれ以上お前たちに何も奪わせない!!」
「凌牙さんと陵也さんの言うとおりだ。この世界の人々を守るために、終わらせないために俺達はここにいる!」
地籠兄弟と同じ飛空戦艦ワンダレイ所属の鳳凰院・ひりょ(天然系精霊術使いの腹ぺこ聖者・f27864)も力強く首肯する。
「フルスロットル、他のフォーミュラは全て討伐された。後はお前だけだ! お前を倒し、この地に平和をもたらす為、全力で行く!」
鳳凰院は赤銅色の破魔刀を鞘から抜き払うと、全身から黒白の波動を発散し始めた。
これは、よもや!
「いくぞ、オーバーロード! 俺はお前の終点を超える!」
鳳凰院の背中に一対の黒白の翼が生え、人からオラトリオへと変身を遂げた。
「これが俺の真の姿だ!」
「ぐぬぬ……! おのれ! ならば我も最後の力を振り絞るまで!」
途端、今までとは桁違いの勢いを誇る漆黒の死の暴風が吹き荒れる!
「この程度……!」
鳳凰院は吹き飛ばされるも、背中の翼で風を受け止めて天高く飛翔してみせた。
「俺たちも行くぜ! 陵也、覚悟はいいな!」
「ああ、覚悟は既にできてる! 勝つぞ、凌牙!」
地籠兄弟は互いの拳をぶつけて健闘を祈り合う。
そして、拳を重ね合ったまま、2人の魔力の波長を一致させ……。
「「【超克(オーバーロード)】ッ!」」
陵也と凌牙もオーバーロード覚醒を果たし、それぞれが真の姿に至った。
その姿は半人半竜。
もとよりドラゴニアンである地籠兄弟ではあるが、その真の姿はそれぞれの特性を更に特化させたドラゴンの特徴がより色濃く現れる。
兄の陵也は黒い頭髪は穢れなき輝く白髪へと変わり、側頭部から純白の角が左右1本ずつ出現する。そしてその出で立ちは神を彷彿とさせる純白の装束を纏っていた。
一方、弟の凌牙は漆黒の霧を纏ったかのような禍々しい姿へと移り変わっていた。角は消えた代わりに黒曜石めいた鱗がびっしり生えた黒光りする尻尾をくねらせ、同じような鱗を纏った両腕は竜とも悪魔とも形容できる異形を見せつける。
「……行けるか?」
「……当たり前だぜ」
言葉少なに意思疎通させた2人は、揃ってクラウチングスタートの姿勢!
「位置について……」
「よーい……」
地籠兄弟の顔がフルスロットルへ向けられた、その時!
「「――どんっ!!!」」
2人は猛烈な嵐の中を全力で駆け出し始めた!
「「っぅらああァァァーッ!!!」」
裂帛の気合の雄叫びを上げながら、ライフル弾めいた突破力で嵐を穿ってゆく!
「俺は体内を蝕む毒という穢れを喰らって耐性を作るぜ!」
「俺は自身の体内に取り込んだ毒素をことごとく浄化する! 凌牙の許容量を超えた毒素は俺が肩代わりしてやる!
「ああ! 俺も陵也の処理能力が追い付かなくなったら穢れを喰ってやるからな!」
まさに2人は一心同体!
互いが互いを補い合い、嵐に吹き飛ばされないように、毒素に冒されないように支え合って、最短距離で一直線にフルスロットへ突撃してゆく!
その様子を鳳凰院は嵐の乱気流に揉まれながら視認していた。
「さすが兄弟、息ぴったりだ。俺も負けてられないな、って、出てきたかレイダー軍団!」
鳳凰院の行く手を阻むレイダー軍団が、オブリビオン・ストームから滲出してきた!
「ヒャッハー!」
「ヒャッハー!」
「ヒャッハー!」
無尽蔵に湧き出る敵軍を前に、鳳凰院は愛刀を振るいながら精霊の護符を至近距離で解き放つ。
「穿て!」
「アバッ!」
「ゆべしっ!」
「ひでぶっ!」
護符は嵐の強風で飛ばされないようにするためにも、射程が短くなってしまう。
だが、鳳凰院はレイダー軍団に直接、護符を貼り付けてから発動させることを選んだ。
発動させたのは雷の疑似精霊。
レイダー軍団を紫電が迸れば、一瞬で黒焦げにして風化させてしまう。
「ふぅ、聖者の光を混ぜたオーラ障壁のおかげで毒の進行を送らせているけど、思っていた以上に侵食が酷い。早くフルスロットルへ肉薄して倒さないと……」
鳳凰院はブツブツと何か詠唱をしながら、必死に暴風の中を切り込んでゆく。
そんな上空の活躍を見ていた地籠兄弟も触発され、レイダー軍団を次々と蹴散らしていた。
「そうだ! 俺を狙ってこい! その穢れを俺に寄越せ!」
凌牙は『穢れを吸い込み、溜め込む』という己の特性を利用し、オブリビオンを自らの方へ誘引させてゆく。
おかげで陵也はほぼフリーに動けるようになり、弟へ集まるレイダー軍団を純白の盾杖から放たれる閃光魔法で焼き払ってゆく。
「纏めて浄化してやる! やっぱ凌牙が誘き寄せてくれてるおかげで、まとめて叩きやすいってもんだ!」
「任せろ! 俺が陵也の盾になるぜ! オラどけっつーの、この腐れモヒカンが!」
凌牙の黒竜めいた右腕から放たれたアッパーカットがレイダーの顎を爆散!
「あびゅッ!?」
「てめぇもだダボッ!!」
全体重が乗った左フックのカウンター!
「へぼォッ!?」
立ち塞がったレイダーの頭蓋骨は哀れにもスイカめいて粉々に粉砕された!
「盾というかブルドーザーなんだよなぁ!」
苦笑する陵也は、自身へ突っ込んできたレイダー軍団を盾杖で受け止めると、至近距離から太陽の如き輝きを照射!
軍団まるごと、その存在を掻き消してしまう。
「そっちこそ! やってることは大量破壊兵器じゃねぇか!」
「なんだよ凌牙? つか俺に敵が寄ってきてるぞ。穢れの溜め込みが足りないんじゃないか?」
「言ってくれるじゃねぇか、陵也! だったら早く浄化してくれよ!」
「あ? 人のせいにすんな! 気合で溜め込め!」
「うっせーな! こっちはすげぇキッツいんだからな!?」
なんと、敵を蹴散らしながら兄弟喧嘩が勃発!
兄弟喧嘩に巻き込まれたレイダーを薙ぎ払い、轢殺し、そのまま2人は猛ダッシュでフルスロットルの眼前に迫ってゆく!
喧々諤々のまま突っ込んでくる兄弟の様子に、フルスロットルは思わず嘲笑う。
「ハハハハハハッ! 大層なことを言い放って、結局は醜い小競り合いをするのか! やはりこれ以上の暴力は不要! この世界は終点に至ることは真理なり!」
「「てめぇは黙ってろモヒカン豚野郎ォォォォォッ!!」」
唐突な地籠兄弟のダブルドロップキックがフルスロットルの顔面に炸裂!
「ぷゲェーッ!?」
不意打ちを喰らったフルスロットルが後ろへ転がってゆく!
着地した地籠兄弟はハイタッチで互いを褒め合う。
「なぁ、凌牙? 俺達、やっぱ息ピッタリだな?」
「当然だろ、陵也! 俺達は36の世界で、たった2人だけの双子なんだからな!」
兄が突き出した拳を、弟が掌で受け止める。
「……さあ、締まってこーぜ?」
「これが最後だ、勝つぞ!」
地籠兄弟が共にフルスロットルの懐へ潜り込まんと突っ込んでくる!
だが、フルスロットルは今までよりも高濃度の致死毒の嵐を周囲に巻き起こし始めた。
「これで死に絶えろ! 骸の海へ沈め! 死からは誰も逃れられぬ!」
「御高説ありがとな! 聴講料はてめぇの死でどうだ?」
凌牙が猛毒の風の中へ自ら飛び込んでいった。
そして体中を覆う黒い霧……『穢れを喰らう黒き竜性』が、致死毒という穢れを限界まで取り込む。
猛毒の嵐の中で、凌牙はほくそ笑む。
「こいつはなるべく使いたくなかった奥の手だ! 今まで溜めに溜めたこの戦場の穢れを喰らいやがれ!」
だが、ユーベルコードを発動させる直前、僅かな隙を狙ってフルスロットルは巨大チェーンソーを振り下ろしてきた!
「そこだ!」
唸る回転刃!
だが、それが凌牙の身体を切り裂くことはなかった。
「フルスロットル、俺が新しく編み出した力、食らってみろ!」
上空から放たれた七色の破壊光線がフルスロットルの身体に浴びせられたのだ。
鳳凰院の周囲に疑似精霊たちが飛び交い、彼にかつてないほどの魔力を供給し続けている。
「オブリビオン・ストームで近付けないと踏んで、新たに編み出したユーベルコードだ! それが精霊光照射! 疑似精霊達の力を一つにまとめたこのユーベルコードで、一気に削ってやる!」
もう一撃、鳳凰院は七色の破壊光線を発射させると、フルスロットルの纏う鎧ごとその肉体を貫いてみせた!
鎧が破壊されたことでオブリビオン・ストームが停止!
腹に風穴空いたフルスロットルだが、それでもなお目の前の凌牙を狙ってチェーンソーを振り回す。
「させるかよ!」
これを陵也がインターセプト、盾杖でカバー!
回転刃は弾かれ、フルスロットルの姿勢が大きく後ろへ仰け反った。
今が必殺の好機だ!
「喰らえ! “【喰穢】弐ノ禁呪《精気汚染》(ファウルネシヴォア・アンクリアインフェクション)”!!!」
凌牙の体内に溜め込んだ全ての穢れを解き放つことで、フルスロットルへ壮絶な不幸を押し付けることに成功した。
そして一時的に幸運エネルギーを獲得した凌牙は、全身のバネを使って跳躍!
そのまま体高5mのフルスロットルの顔面へ、自身の渾身の力を籠めた右ストレートを炸裂させた!
「ごガッ……!?」
フルスロットルの意識が揺らぐ!
クリティカルヒット!
だがまだ終わらない!
「俺だってやってやる!」
鳳凰院が上空から急降下!
「明鏡止水! ハッ!!」
破魔刀をすれ違いざまに振るえば、フルスロットルの片腕が宙を舞った。
「我の……腕が! 腹も、臓物が、溢れて、なん、たる……これが、我が終点……!」
遂に膝を付くフルスロットル!
だが、これが彼の終点ではなかった。
「そんなヌルい結末が終点の筈がないだろ?」
今の陵也は死刑執行人だ。
フルスロットルへ死を齎すべく、一歩一歩、ゆっくりと歩み寄る。
「凌牙のユーベルコードで、お前の望み通りになる幸運は尽きた」
盾杖の先に付いた宝石から漆黒の嵐が吹き荒れる。
これはまさか、オブリビオン・ストーム!?
フルスロットルは驚愕と絶望を顔に表す。
「な、何故だ!? 何故、汝が我が一族のユーベルコードを使える! ぐぅッ!? しかも、これは!」
「気が付いたか? 俺のユーベルコード……“【昇華】姿写す鏡面結界(ピュリフィケイト・アドラジェーニェ・シュピーゲル)”は、結界で受け止めたお前のユーベルコードをコピーしていた。凌牙にお前がユーベルコードをぶっ放した時に、こっそり凌牙に結界を張らせてもらったからな」
吹き荒れる嵐を掌握した陵也は言葉を継ぐ。
「それに、これはコピーだが……オブリビオン・ストームと呼ぶのは違うな。この嵐の毒性は、フルスロットル……お前だけを蝕む。つまり、イェーガー・ハリケーンだ!」
「やはり、か……」
フルスロットルは、己のユーベルコードで自身とオブリビオンレイダー軍団に毒素が及ばぬような効果を発現させていた。
それが猟兵が使えばどうなるか?
結果は明白であった。
「お前の終点は惨殺でも爆殺でもない。苦しみ悶える中毒死だ。この世界にしてきた仕打ちを悔いながら、惨たらしく腐り死ね」
「……見事、だ! 我が終点を奪い……我を殺してみせるとは……!」
フルスロットルの肉体が猛毒で腐食してゆく……。
「汝……名乗ることを、許す。なん、じの、な……は?」
「――地籠・陵也だ。さあ、フルスロットル。其は写し身。汝が罪業、その眼に刻め!」
「ぐぬっ、ぬぐぅッああァァァーッ!!!!」
死の風がフルスロットルの肉体を全て風化させてしまうと、陵也はユーベルコードを停止させた。
アメリカの荒野には、雲ひとつない晴れ間が広がる。
地籠兄弟、それに鳳凰院は、互いに勝利を讃える気持ちを胸に懐きながら、しばし空の青さを見上げ続けていた……。
大成功
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