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恋う人はキミ

#カクリヨファンタズム #猟書家の侵攻 #猟書家 #灯籠に照らされし夢魔・お露 #東方妖怪

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#東方妖怪


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●恋う人はキミ
 はなやかに、にぎやかに。まだほんのりと粉雪の降る街を練り歩く東方妖怪達。
 キュートなあの子も、クールな彼も。その夢魔には、誰もが魅力的に見えてしまった。

「あの方も、あの方も……ああ、あの方も素敵」

 だからつい、吐息をもらして蕩けた眼差しで呼びかける。

「もし、そこの方――ああ、あなたこそが運命の方!」

 魅了にあてられた東方妖怪達は老若男女問わずにこう返す。

「俺が」
「あたしが」
「僕が」

「「「あなたの運命の人です!!!」」」

●想い人はダレ
「もうすぐやなぁ、バレンタイン……ってぇわけでよぉ。カクリヨファンタズムで、さくーっと恋に恋しとる猟書家ちゃんを倒してきてくれんけ?」
 今日も飴屋坂・あんか(夜参曇・f28159)はうさんくさい笑顔で、猟兵達に事件のあらましを語る。

「皆に倒してもらう猟書家ちゃんは、あらゆる種族の老若男女を魅了し、生霊化させる能力を持っとる。生霊に変えられると、魂を引き剥がされた肉体が先に衰弱死してしまう。それはさすがにわしら妖怪もすっげぇ困るから、猟書家ってやべえよなぁ」
 うんうん頷くあんかが、敵を“猟書家ちゃん”と呼んでいる時点で、猟兵達は既に嫌な予感がしていた。
「東方妖怪達が街のバレンタインイベントで百鬼夜行をしとってんわ。それがまぁ老若男女問わずの美形やイケメン、美少女とかばっかりやってんけど。それに目ぇつけた猟書家ちゃんは、その百鬼夜行を『恋のお祭り会場』に変えよった。で、彼女の魅了の力でメロメロになった東方妖怪達は、全員生霊になってしまってなぁ」
 カクリヨもバレンタインで盛り上がるらしい。それもそうか、UDCアースと繋がっているのだから。
「まずりょーへーさん達には、魅了の力に負けない恋愛アプローチで東方妖怪達をときめかせて、生霊化から解放してもらう」
 恋愛アプローチってなに?
「あ、解放された時点で東方妖怪達は正気に戻るさけ、そこは嘘でも演技でもオッケーやうぇ」
 だから恋愛アプローチってなに?
「それは人それぞれやさけ、口説き方も悩殺の仕方も自由やわいね。つうかそんなんわしに聞くなやぁ、りょーへーさん達のほうが経験豊富やろ?」
 笑顔といい、こいつなんか腹立つな。何人かがそう思ったかもしれない。
「全員を解放したら、猟書家ちゃんに挑んでくれ。そん時は必要やったら東方妖怪達も助けてくれるさけ、すっげー力でちょちょいっとな」
 一応これも、へらりと笑う彼なりの猟兵への厚い信頼のつもりらしい。
「猟書家ちゃんは重度のヤンデレちゃんや。自身の配下になりかけていた妖怪達を奪われたと思って、皆のことを全力で襲ってくる。元々は侍女の骸魂に憑かれて夢魔になった東方妖怪ねんけど、彼女の命は助けられん。どうも猟書家っつうのは、そういうもんらしいわ」
 可哀想やけど、倒してあげるのが優しさやと思ってくれ。そう続けて、あんかは転送の準備を始める。

「ほや、百鬼夜行に合わせて仮装するのもいいなぁ。ハロウィンじゃねえけど、お菓子とかチョコっぽい色の衣装とか、冬っぽい妖怪の衣装を着るとかもかわいいんじゃねぇけ? そこら辺は街の妖怪達がなんでも喜んで用意してくれるさけ、楽しんできてくれや」
 なにはともあれ楽しくやれば大丈夫。そんなゆるさで、香らぬ黒百合が咲きはじめる。


遅咲
 こんにちは、遅咲です。
 オープニングをご覧頂きありがとうございます。

●プレイングボーナス(全章共通)
 恋愛アプローチで東方妖怪達を振り向かせる(生霊化から解放された時点で彼らは正気に戻るので、演技でもオッケー)。

●1章
 仮装姿で参戦する場合、ご希望の衣装を指定してください。🍫でお任せ可能です。
 恋愛アプローチ方法はなんでもOKですが、過激なものは都度マスタリングします。

 グループ参加は「2人」まで。

 受付は11(金)朝8時31分から。
 1章はなるべく採用したいので、再送のお手間をおかけします。

●2章
 青丸達成次第募集を締め切る予定です。

 全編ゆるふわです、1章のみのご参加大歓迎です。
 場合によっては、14日に公開されるバレンタインシナリオを優先するため、のんびり進行になるかもしれません。
 皆さんのプレイング楽しみにしています、よろしくお願いします。
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第1章 日常 『夜行』

POW   :    力いっぱい先頭で楽しむ

SPD   :    賑やかな中ほどで楽しむ

WIZ   :    最後尾でゆるゆると楽しむ

イラスト:葎

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

曲輪・流生
アドリブ歓迎

『恋愛』ですか?何度か叶えてほしいと乞われたことはありますが僕自身はさっぱりで…。
けれど恋をするのは甘くそしてとても苦しい。
僕はそのように理解しています。

僕にどれほどの魅力があるかは分かりませんが正気に戻ってくれるよう頑張ってみますね。

『無意識【誘惑】と無意識にUC【愛すべき龍】発動』
もし…そこのお方…よろしければ僕と一緒にお花を愛でませんか?貴方と共に過ごす時間はきっと素敵になるでしょう…僕に恋を教えてくれますか?



 あちらこちらに咲くのは、偽物の恋の花。美男美女の誰もが、ただ一人の猟書家へと視線を向けている。
「恋愛ですか?」
 曲輪・流生はそれを叶えてほしいと、何度かヒトに乞われたことがある。けれど彼自身はというと、そういう感情はさっぱりで。
 ――けれど、恋をするのは甘く、そしてとても苦しい。
 竜神はそういう風に理解している。それはすごく素敵なことなんだろうな、なんて思いながら、此度のお仕事へ、いざ恋咲く舞台へ。
 自分にどれほどの魅力があるかはわからないけれど、東方妖怪達が正気に戻ってもらえるように。
「頑張ってみますね」
 ぐっ。誰に向けた決意かはわからないが、かわいいのでオッケーです。せっかくだからと、商店街の妖怪達が彼に用意した衣装は、ホワイトチョコレートのような甘ロリふわふわワンピ。なお下はドロワーズ代わりのかぼちゃパンツだから安心です。
「もし……そこのお方……」
「……ん? なんだい君、私は今お露さんに振り向いてもらおう、と……っ」
 ふわふわとした足取りで、ささやくような声で呼びかける。反応したのは、どこかクールな印象の一目入道の青年だった。一見すると人間と変わりない姿は、おでこにもうひとつ目が生えていた。
 そんな一目入道さんだが、三つ目のすべてにハートマークが浮かんでいる。えっオチるのはやくない?
 ……というのも、流生くんの無意識の誘惑によるユーベルコードは、純粋無垢ゆえに効果てきめん。あと流生くんは男の人にやたら好かれる。性別を超えたかわいさだからね。
「あの、よろしければ僕と一緒にお花を愛でませんか?」
「……君と、花を?」
 はい、と頷く仕草はなんともいじらしく、一目入道の心をざわつかせる。
「貴方と共に過ごす時間は、きっと素敵になるでしょう……それに、」
「それに?」
「……僕に、恋を教えてくれますか?」
 きらきらした瞳と一緒に紡がれたお願いごとに、一目入道がウッと呻いてその場に崩れ落ちる。
「だっ大丈夫ですか!?」
「あ、ああ……平気さ。それより、」
 ――君のすきな花を愛でに行かないか。
 めろめろ状態を上書きされた入道お兄さんに、流生は明るく、はいっと返事をした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カツミ・イセ(サポート)
「僕の神様は言ったよ。郷に入りては郷に従えと」
「僕に出来ることだからね」

神様に作られたミレナリィドール、勝ち気で大人びた僕娘。イメージは水。
口癖が「僕の神様は言ったよ」
『偽装皮膚』の影響で、球体関節が普通の関節に見えるよ。

ユーベルコードは指定した物をどれでも使用。加護で治るから、大怪我しようと厭わず積極的に行動するよ。
遠距離は『水流燕刃刀』を伸ばすよ。
近接戦では『偽装皮膚』を水のような刃にして、咄嗟の一撃を放つことがあるよ。このときは球体関節が見えるんだ。

他の猟兵に迷惑をかける行為はしないよ。
また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしないんだ。
あとはおまかせするから、よろしくね!



「僕の神様は言ったよ、人の恋路は邪魔するなって。だけどこれは、そんな素敵なものじゃなさそうだね」
 つややかなみずの髪を靡かせて、カツミ・イセは偽物の恋咲くお祭り会場に肩をすくめる。猟書家の虜になった東方妖怪達の目を覚まさせるには、恋愛アプローチが必要だというけれど。
「ま、此処に呼ばれたのは、僕に出来ることだからだろうし」
 そうしてカツミの視線が向いたのは一人の若い女性――に、見える妖怪。白い狐の耳と尻尾を生やした彼女は、通常人間の目には見えない野狐。憑りつかれた人間の家は代々呪われ廃れてしまうという噂だが、ミレナリィドールの幼い魔王には関係のないこと。
「ねぇあなた、お腹はすいてない?」
「んー? なあに、ちっこい君。確かにお腹はすいてるけど、あたしはお露様とお喋りしたいのよね」
 尻尾をふって耳をぴこぴこ、そんな彼女にカツミは更なる提案を仕掛ける。
「じゃあ、そのお露様と一緒に食べる甘味なんてどう? 僕がすぐ作ってあげる」
 途端、水の権能が発揮される。手持ちの食材をぱぱっと取り出し、その場で作り上げたのは淡く澄んだゼリーの数々。上にはホイップやフルーツ、メレンゲ菓子が素敵にセットされて、キュートな子狐が跳ねている。
「えぇっなにこれ、君ちょーすごいじゃん!」
 どうやら可愛いと甘いものに目がなかったらしい。しゅばっとスマホを取り出す野狐お姉さん、かわいい映えスイーツの撮影で連写音が止まらない。
 そんなお姉さんの姿に気がついた他の東方妖怪達も、カツミの手腕に目を輝かせる。
「あんたこれどうやって作ったの?」
「うわー俺も食いたい!」
「ふふ、任せて。皆の分も作ってあげるから」
 てきぱきと一瞬でゼリーを完成させると、その色もトッピングも各妖怪の個性に合わせて様々。ところでゼリーといえば冷蔵庫などで冷やして固める必要があるが、そこは水の権能で瞬殺である。
「さぁ召し上がれ! 遠慮なく、僕の腕に惚れこんでほしいな」
 神様は言ったよ、恋愛アプローチで大事なのは胃袋を掴むことだって。
 いや、神様は言ってないかもしれないけど。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 ボス戦 『灯籠に照らされし夢魔・お露』

POW   :    わたしの唯一人の味方・お米
【骸魂と化した黒い霧の体を持つ侍女】の霊を召喚する。これは【黒い霧から伸びる白骨化した手足】や【手に持つ牡丹の灯籠から吹き出す炎】で攻撃する能力を持つ。
SPD   :    愛しいあの方との想い出
自身の【恋愛体験を包み隠さず語ること】を代償に、1〜12体の【語りに登場した過去に魅了された者達の生霊】を召喚する。戦闘力は高いが、召喚数に応じた量の代償が必要。
WIZ   :    魅惑の下駄の音
【自分が履いている下駄】から、戦場全体に「敵味方を識別する【歩くたびカランコロンと鳴る足音】」を放ち、ダメージと【時間と共に重みが増す使用者への恋愛感情】の状態異常を与える。

イラスト:おきな

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はルネ・シュヴァリエです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 尋常ではない盛り上がりを見せていた恋のお祭り会場に、次々と異変が起きる。
 幼い竜神に惹かれていく者達、美味しいスイーツにおなかも心も満たされていく者達。

「……私、何してたんだっけ」

「ん、んん? 俺は一体……」

 正気に戻った彼らはきょとんとしながらも、猟書家による悪影響はなさそうだった。

「ああ、そんな……」

 そんな会場で、一人の女性が悲しげに吐息をもらす。
 己の魅了の力から解放されていく東方妖怪に、行かないで、とせつなく乞う。

「みんな、わたしから離れていってしまうの?」

「ならば――わたしが追いかければいいだけのことね……!」

 猟書家は、ハートがめちゃくちゃ強いヤンデレだった。
ティー・セツナ(サポート)
 「あ˝あ˝?悪ぃな、ちょっと…暴れさせてくれよ」

凶悪な顔の新米執事
顔と口調の割には戦いは好きではない
好きではないが、得意ではある
何より執事の仕事を全うするためにも、定期的に戦ってスッキリする必要がある

そのため戦いの場では率先して前に出る
誰かを庇っているとなおさら戦いやすい気がする

どちらにせよ、ただひたすら殴り、暴れるのみ

一通り暴れたら、無表情で感謝を
「すっきりした、ありがとう」

戦い以外の依頼では、執事として皆のサポートを。
色々な人に仕えるのも、よい経験になると手は抜かない。でも顔はチンピラ


オウカ・ユメジ(サポート)
人間みたいな生き人形。
おもちゃや素敵な物語が好き。

常に仮面のように優しげな微笑を湛えている。
他者にあまり興味がなく、自分や自分の好きなものが無事なら他がどうなろうが気にしない。
気まぐれに人助けすることもある。
良くも悪くも素直でマイペース。

話す内容が何であれ、穏やかで落ち着いた口調。
名前を覚える気がないので、他者を呼ぶ際は見た目の特徴や「ねぇ」「君」等と相手の肩や腕に触れて知らせる。

基本戦闘には消極的だが、自分に害あるものには躊躇なく排除しにかかる。
遠距離型。想像の力で現実の敵を葬るスタイル。
UCは場面に応じて好きなものを使用。

キャラに合っていれば憎まれ役も可。
特に禁止事項はなし。



 やさしい微笑を湛えたまま、小首を傾げてオウカ・ユメジが口を開く。
「彼女はずっと多くの恋をしているの? それは、ハッピーエンドに繋がる物語なのかな?」
「……さぁ。自分にはあまり縁のない事柄なので」
 そう返したティー・セツナは、オウカに比べて随分と恐ろしげな顔つきでぶっきらぼうに語る。多くの東方妖怪を虜にしたとして、心からの愛情を得ている訳でもないのだが、それが猟書家の幸せかなんて此方にはわからないのだし。
「どちらにせよ、あれは倒していいのでしょう」
「うん、そういうお仕事みたいだからね。サポートはするよ、こういうことはあんまり得意じゃないから」
 やけに落ち着いた様子の声色で、オウカは穏やかに語る。ティーが静かに頷いて、素早く駆けだした。
「ちょうどいい、暴れたかったところなんだ」
 女が、まぁ、と声をあげてティーを見つめる。その眼差しの熱っぽさに、少々嫌な気配がした。途端、猟書家の背後から黒い霧がぞわぞわと現れて。
「お米、わたしのたった一人の味方のあなた! 獣のような烈しさを持つ彼を射止めたいの!」
 どうやらティーはヤンデレ女にロックオンされたらしい。わぁめんどくさそう、と感想をこぼしたのはオウカ。
 黒い霧から伸びてくるのは、白骨化した手足。その手が持つ牡丹灯籠を振りまけば、あかあかと炎が燃えた。咄嗟に躱すティーの動きに、もう、とどこか甘えた声色で女は残念がる。
 霧に続くように、からんころん、下駄の音を鳴らして猟書家が重力を叩きつけようとすれば、うわぁ、ともう一度オウカが微笑む。
「サポートするって言ったしね」
 さぁさぁ、めでたしめでたしで終わろうよ! そんな風にわらったまま、青年が靴音を鳴らす。こつんこつん、それだけで、猟書家が畳みかける重力の圧に対して全く同じ圧力が地面に墜ちる。
「まぁあなた、彼との逢瀬を邪魔するなんて、どういうつもり?」
「どういうつもりも何も、彼はそんな気なさそうだよ」
 こてり微笑む生き人形の言葉が終わるよりも速く、おろしたての執事服に身を包んだオウガブラッドが女の顔面に一撃を食らわせる。ふっとぶ猟書家を見て、ティーはひくりと口の端を動かす。
「これで終わりじゃねえだろ?」
「容赦ないねぇ君」
 やたらのほほんとした様子のオウカを無視して、ティーは再び女に飛びかかる。狙うのは腹部、一気に叩き壊すのみ。
 ――と、いうのも。ティーという青年は、定期的に暴れることですっきりしないと仕事に身が入らない。女を殴るのはいささかやりづらいけれど、まぁオブリビオンだし。
「ああっこんなに熱い想いは初めて……!」
 猟書家はヤンデレどころかドMなのかもしれない。うっとりとした表情は、ティーだけではなく後方のオウカにも向けられて。
「あなたもわたしを奪われるのが嫌で、彼の邪魔をしたのでしょう?」
「え、全然」
「ふふ、照れてしまうのも無理はないわよね。ねぇお米?」
 呼びだされた黒霧の侍女が、ティーめがけて白骨の手足を伸ばす。させないよ、とオウカは微笑んだまま、ふっと手をあげる。
「話のわからない人って、きっと誰にも好かれないんだよ」
 おとぎ話で教わらなかった? ただの一度も表情を変えず、オウカが尋ねた。
 猟書家に仕える黒霧と、全く同じものが現れ出でる。骨のぶつかる乾いた音がして、霧の群れが消え去っていく中から、新米執事が飛びだした。
「――ごちゃごちゃうるせえ」
 激しい打撃音は、女の腹部に彼の拳が命中したことを知らせた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

エインセル・ティアシュピス(サポート)
【アドリブ連携歓迎】
※子猫なのでエログロ系はNGでお願いします!

「にゃーん!おてつだいしにきたよー!」

○口調
一人称:ぼく 二人称:相手の名前
語尾:だね、だよ、だよね、なのかな?
せりふはぜーんぶひらがなかカタカナだよ!
むずかしいことばはまだあんまししゃべれにゃいのー。

○技能
【式神使い】でしきがみさんによくおねがいするよ!
こうげきするときは【属性攻撃/浄化/破魔】、
ぼうぎょするときは【結界術/オーラ防御】をよくつかうよ。
ほかは【幸運/鼓舞/多重詠唱/全力魔法】がとくいだよ!

○立ち回り
じぶんでもたたかえるけど、ほかのいぇーがーのひとをおてつだいするほうがとくいだよ!
ぼく、せーいっぱいがんばるねえ!


川村・育代(サポート)
バーチャルキャラクターの悪霊×ゴーストキャプテン、12歳の女です。
普段の口調は「 年相応の少女口調(あたし、~くん、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」、偉い人には 慣れない敬語(あたし、あなた、~さん、です、ます、でしょう、でしょうか?)」です。
普段は明るく元気な性格で年相応の考え方、行動をします。
戦闘では自分から積極的に攻撃するよりは呪詛で自爆させたり、同士討ちさせるなど、相手をおちょくるような戦い方を好みます。(Sっ気があるようです)
ユーベルコードは状況に応じて使用します。
エキストラ感覚であらゆる状況で使い倒して頂いて大丈夫です。
描写に関するタブーは一切ありません。



「にゃーん! おてつだいしにきたよー!」
 ぴょんこと跳ねて飛び出したエインセル・ティアシュピスの声をきいて、吹っ飛ばされたはずの猟書家がむくりと起きあがる。彼の姿を目にした瞬間、口から血をだくだく流したままうっとりとした表情を見せた。
「まぁ、なんてふあふあの愛らしい仔猫かしら! わたしが大切に育ててあげなくては……!」
「にゃーん? ぼくはおねーさんにかわれたりしないよ。こーいうときは、まにあってますっていうんだよね」
 にゃごにゃごぽやぽやしつつも、しっかりお断りの意志を見せつけるエインセル。いいえいいえと首を横に振って、女は彼に近付かんとする。
「こんなにちいさくて愛らしい子は大切にしまってしまわないと、そうでしょう?」
「だいぶ重傷だと思ったけど、十分元気そうね」
 気の多すぎるめげない猟書家の姿に、川村・育代はちょっぴり皮肉めいた言葉をなげかける。しかし女はそれを素直に受け取ったらしく、あらあらと笑顔を見せた。
「わたしのことを心配してくれるなんて、心の優しいお嬢さん……! もしかしてわたしを姉と慕いたいのかしら、ああっでも駄目、それは禁断の恋よ!」
 だめだこりゃ。話が通じない大人に、自分よりもちいさな仔猫の少年を触れさせる訳にはいかない。ここでさっと育代が取り出した魔法少女のステッキがきらんと光った!
「マジカル・チェンジ!!」
 軽やかなBGMと効果音を鳴り響かせて、作画枚数が尋常ではない変身バンクが始まった。幼いこども達が一度は憧れた、ピンク色の魔法少女がててーんと現れると、エインセルはぱちぱち拍手。
「きみ、とってもすてきだね!」
「ありがとう、お手伝いをお願いできるかしら」
「もちろん!」
 ほのぼのとしたやりとりを見て、猟書家は恍惚とした表情のままため息ひとつ。
「まだ恋を知らないのね……いいわ、わたしが教えてあげる。あれはわたしが七百二十八回目の恋をした、とても暑い夏の午後のこと……」
 女がつらつらと自分の恋愛遍歴を語り始めれば、その話に現れた哀れな過去の亡霊達がぞろぞろと湧き出てくる。わわ、と焦る仔猫を守るように、魔法少女はステッキを揮う。
「その話長くなるんでしょう? あたし達にはただの雑音だわ」
 きらきらかがやくプリズムと共に、夥しいほどの呪詛が女へと襲いかかる。それを防ごうとした亡霊達を邪魔するように、巨大なネコチャンロボットが起動した!
「がんばれーニャンゲイザー!」
 がしゃーんがしゃーん、説明しよう。鋼鉄猫帝ニャンゲイザーは優しき意思を持つロボットである。古代魔法帝国時代の技術が使われており、エインセルの指示に従って悪者をやっつけるのだ!
 えいえいおーとエインセルが魔法のペンライトを振ると、ニャンゲイザーが亡霊達を薙ぎ倒す。さらにペンライトの応援を受けた育代の呪詛が猟書家へと見事命中し、彼女の得意とする呪詛魔法が女の身体に蔓延る。
「あなた達、お仕置きが必要なようね……!」
 ひどく苦しむ猟書家が、くっと二人を睨みつけるも、頭上からどがしゃーんとニャンゲイザーが落下。そのままぺしゃんこに潰される猟書家はちょっと可哀想かもしれないが、いたいけなこども二人に近付く不審者はこれくらいの扱いでいい。
「きみ、ちょっとだけつかれてない? あのね、ぼくすっごいまほうがつかえるんだよ!」
 そう言って、仔猫はもふもふな耳を育代へくっつけて。
「まほーしょーじょさん、おつかれさま! すっごくかっこいい!」
「あら、とってもふわふわで素敵なお耳ね」
 こうして育代は十分間、エインセルのもふもふを堪能したのだった。
 ちなみに猟書家がそれを羨ましそうに見ていたので、ニャンゲイザーがもっかい踏み潰しときました。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ジミー・モーヴ
「神剣先輩、出番だゾ!」
「……」
「フハハ。聞いたか? 今宵の神剣先輩は血に飢えておるわ……」

幽世出身(出身?)の神剣にぶん投げる気持ちで遊びに来たでござる。
お? 何か局所的に雨がさめざめと…。

まあそれはそれとして、

唐突な回想(思い出語り)を入れて自ら死亡フラグ立ててくるお露に

「ハハッ。おもしれー女……」

とか言いながら一応ユーベルコードを使いますが
(このそもそも幸薄そうな女から吸い取れる運とかないのでは?)
と内心でちょっとビビり始めたりしつつ、生霊を神剣で相手します。

「さて……いいとこのお嬢さんって感じに見えるが、いつまでもこんなとこで迷ってないでさっさと帰んな。送ってやるから」

銃器類は使わず、幽霊相手に頸動脈圧迫が有効か実験。
首を刎ねるには長い髪が邪魔そうだが、神剣先輩で首を突いても良いか。
なるべく穏当な方法で還したいが……まぁ、祭りの最中のようだしな。

……結果はアレだが、好きな奴に好きだって気持ちを伝えることができただけアンタは上等だろうよ。

(牡丹灯籠の灯りに物言わぬ幽世の蝶が戯れる)



「う、うぅ……これで何度目の恋かしら。でも諦めないのがわたしの長所!!」
 猟兵達によって蓄積されたダメージに血を吐きつつ、猟書家はそれでも次の恋のお相手を探している。しぶとい。
 そんな彼女にトドメを刺すためにやってきたのはジミー・モーヴだ!
「神剣先輩、出番だゾ!」
「……」
「フハハ。聞いたか? 今宵の神剣先輩は血に飢えておるわ……」
 意思持つ剣に話しかけてみたものの、先輩は返事ひとつしてくれない。とはいえ、めげないのは彼も同じだった。此度はこの世界出身の先輩に全てをまる投げして遊びにきたのだけれど、途端にぽつぽつと雨粒が滴り落ちる。
「お?」
 局所的に雨がさめざめ降り始めれば、剣に話しかける男とヤンデレ猟書家から一般妖怪は全員距離を置いたので、ちょっと二人だけの運命的なシーンみたいになった。軽薄そうでも相手はイケメン、リアルにとぅんくと胸を高鳴らせる猟書家。
「まぁまぁ、突然の雨が呼ぶ新たな出会い……そこのあなた、濡れてしまってはいけないわ。さ、わたしの傘の中に」
「いやあそういう訳にはいかねえ、俺が入るとお嬢さんの肩を濡らしちまう」
 どこからともなくささっと和傘をさす女に、手をひらひらと遠慮の仕草を見せるジミー。しかしその程度でへこたれるなら、多分彼女は今頃猟書家とかになってない。
「彼もあなたのように硬派で優しかったわ、あれは三千二百八十一回目の恋をした、秋の霧雨が烟る日のこと……」
 滔々と自分語りを始めた女の回想は、哀れな登場人物達の亡霊をぞろぞろと呼び覚ます。一体何人に当たって砕けて犠牲にしたのかはこの際問い詰めないほうがいい。長くなるから。
「ハハッ、おもしれー女……あんたみたいのには今まで逢ったことがないな」
「えっ!?」
 一方ジミーもそれっぽい乙女ゲーフラグを立てていた。彼の言葉に回想を中断して、わりとガチの眼になる猟書家。
「アンタにとって、俺が最後の男になるのも悪くねぇ。なぁ、どうだい?」
 青年がぐっと一気に接近すれば、女に至近距離での壁ドン。こうなってしまえば、もはや猟書家とて過去の恋愛遍歴など語っている場合ではない。
 とはいえ内心、彼はビビっていた。今現在ジミーが使っているのは、見え見えの死亡フラグを立てて、敵全員の思考コントロールと運気を奪うユーベルコード。しかし、
(そもそもこの幸薄そうな女から吸い取れる運とかないのでは――?)
「ああっあなたが添い遂げてくれるなら、わたし……!」
 どんがらがっしゃん。なんの因果か、不幸を招かれた壁が崩壊すると女は下敷きになった。めちゃくちゃ効いている。
 慌てながら起きあがる女の背中にまわって、神剣を素早く彼女の首へと充てた。
「さて……いいとこのお嬢さんって感じに見えるが、いつまでもこんなとこで迷ってないでさっさと帰んな。送ってやるから」
「そんなっあなた! わたしを騙したのね!?」
「悪いね、なるべく痛くはしない」
 頸を刎ねるには長い髪が邪魔をする。そっと神剣先輩の突きを与えたならば、女の頸はがくりと折れた。たった一撃であったから、痛みは一瞬だったろうか。
「祭の最中だ、首が墜ちても騒ぎになるだろ」
 これ以上余計な事件は起こさないのが最善策。ふわり、女の手からぽとりと落ちた牡丹灯籠の灯りに、物言わぬ幽世の蝶がひらひらはらはら。
「……結果はアレだが、好きな奴に好きだって気持ちを伝えることができただけアンタは上等だろうよ」
 脇役は、猟書家主演の物語の終幕をしっかり見届けてやった。


 すっかり正気に戻った美男美女の東方妖怪達は、自分達の窮地を救ってくれた猟兵達へと感謝を述べる。
 ついでにお茶のお誘いだの、SNSのフレンド申請など諸々あったのは、まぁ仕方のないことで。
 その後再び、バレンタインの仮装行列は楽しく再開された。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年04月01日


挿絵イラスト