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アポカリプス・ランページ⑯〜救援要請 by バルタン!

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●予知:バルタン、デトロイトに死す!?
「HAHAHA! ワタシはまだまだ健在デスヨー!」

 デトロイトの都市を、バルタン・ノーヴェが一人で走り回っていた。
 他の猟兵の姿はなく、無数の戦闘機械がバルタンを狙って取り囲んでいる。
 積極的な攻撃に出ることなく、ひたすら防御と回避に専念し、数分間生き延びていた。

「第一席『プレジデント』、第七席『スーパー戦車』、第八席『デミウルゴス』……。
 第四席『ポーシュボス・フェノメノン』までも……。
 まさか、私たちフィールド・オブ・ナインの半数近くを撃破するとは……」

 戦闘機械たちを率いてバルタンを見下ろしてるのは、この状況を作り出したオブリビオン・フォーミュラ。
 フィールド・オブ・ナインの第二席『マザー・コンピュータ』である。
 マザーはバルタンの攻撃が届かない上空を超高速で飛行し、監視していた。

「HAHAHA! これが猟兵たちの、皆様の実力デース!
 アナタの自慢の増殖無限戦闘機械都市も、すぐに制圧されマスヨー!
 空中の飛行戦闘機械、水中の潜水戦闘機械、地中の掘削戦闘機械、全部確認しマシター!」

 戦闘機械たちとの戦闘を避けて走りながら、大声を出すバルタン。
 攻撃に転じることなく逃げ回りながら情報を収集しているバルタンの様子を眺め、その意図を察したマザーは目を細める。

「なるほど。その余裕、これはあなたたちの予知なのですね?
 情報を集めて、現在にいる猟兵たちへ送るための先行偵察のようなものと……」

「HAHAHA! イエス! この予知情報を参考に、次のワタシが皆様をお連れしてくれるデショー! なのでワタシは現場の状況を伝えるに苦心してマース!」
「……『グリモアの予知』、『究極の力(オーバーロード)』……。
 やはり、あなたたち猟兵は危険な存在です。私の願いの障害となる存在です。
 ならば、これ以上情報を知られぬよう、すぐに終わらせてしまいましょう。
 さようなら、グリモア猟兵」

 マザーは地上に降り立ち、変形したデトロイト市に騎乗して、都市の地面から大量の兵器を創造する。
 容赦のない一斉射撃。鋼鉄と熱線の嵐が逃げ場のない弾幕を張り、バルタンを襲う。

「オーウ! もはや、ここまで! 第一部完!」

 そう叫んだバルタンの手には、輝くグリモアが握られていた。

●招集:バトルスタンバイ!
「とまあ、ここまではワタシも生きてるのデース! この後は予知がないので、メイビー……」

 予知は、変えられない運命を移すのではない。このまま対処しなければそうなるという未来予想図だ。
 つまり、バルタン・ノーヴェが予知通りに動けば「ここまで」は死ぬことはないということだ。
 逆に言えば、仲間を呼び集められず単独で向かった場合「ここまで」の後に確実に死ぬということになる。

「という訳で、フィールド・オブ・ナインも後半戦デース!
 目標は『マザー・コンピュータ』!
 此奴は特殊な力場により、テレポート・ゲートを開いたグリモア猟兵も引き摺り込んできマース!」

 すなわち、バルタンも戦場に出なければならない。
 それを聞き及んだバルタンは、自分がテレポートを行った場合の予知を行って情報を収集していた。
 いつものようにプロジェクターを用意して、転移開始から現地のバルタンが限界と思う場面までの映像を投影する。

 映されたのは、戦闘機械であふれかえるデトロイト市の状況だった。
 小火器、重火器問わずの弾幕。電磁パルス、ホーミングレーザー、ビーム射撃の飽和攻撃。
 各種ミサイルや様々なキャノンの爆撃も、冷たい金属のブレードから灼熱されたブレード、多岐に渡る白兵戦闘用の兵器まで。
 猟兵が知るものも、知らぬものも、ことごとくの機械兵器の攻撃手段が展開されている。
 城塞都市というのも生温い。文字通りの、『増殖無限戦闘機械都市』であった。

「御覧の通り。
 マザーはデトロイトの都市全てを『増殖無限戦闘機械都市』に変形させていマース!
 この超巨大な機械都市の内部は、ある意味マザー腹の中。
 閉じ込められては、四方八方全部が敵!
 地下も上空も関係なしの包囲殲滅状態デスネー! これは一人では無理デース!」

 スライドを動かして予知情報を映すと、空を飛んだバルタンも、川に飛び込んだバルタンも、そこへ集る戦闘機械に埋め尽くされていた。
 建物の陰から出現し続ける機械兵器や、地面から突如溢れ出る対猟兵戦闘機械、そしてデトロイト市そのものに阻まれ、ひたすら生存に専念しても数分間しか生き残れないという。
 ただし。それはバルタン一人では、の話だ。

「マザーを倒すためには、皆様のご協力が必須であります。
 ……かなり危険デスガ、よろしければご助力くだサーイ!
 迂闊に前に出てワタシがDead! してしまうと皆様を帰還させることもできなくなるので、ワタシは自己防衛に専念しマース!」

 無骨なファルシオン風サムライソードを掲げて見せるバルタン。
 多少の攻撃なら防いでみせると豪語はするが、……予知の映像を見る感じ何とかなりそうだが、不意の一撃やマザーがまだ見せていない奥の手を受けてしまえば、もしもの万が一が起こり得る。
 あまり過信はせずに、バルタンを守る方法を用意すると良いかもしれない。

「それでは、ある程度人数が集まったらゲートを開きマース!
 よろしくお願いしマース、エブリワン!」

 いつもならばここでゲートを展開するのだが、そうするとバルタンが直ちに呑み込まれるため、猟兵が集まるのを待っている。
 看板を掲げて、マザーと戦ってくれる猟兵が集まるのをバルタンは待っている。


リバーソン
 こんにちは。リバーソンです。
 マスターとして皆様に喜んでいただけるよう、つとめさせていただきます。

 今回のシナリオは一章構成です。アポカリプスヘルの戦争シナリオとなります。
 フィールド・オブ・ナインの一体である『マザー・コンピュータ』の撃破が目的です。

 プレイングボーナスは、『グリモア猟兵を守りつつ、増殖無限戦闘機械都市の攻撃を凌ぎつつ、マザーと戦う』です。
  バルタン・ノーヴェは専守防衛に専念するため、猟兵から要請されない限り攻撃は行いません。何か要請があれば遠慮なくお申し付けください。

 オープニング公開後、断章を公開します。
 プレイングの受付期間はタグにてお知らせいたします。
 皆様、よろしくお願いいたします。
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第1章 ボス戦 『マザー・コンピュータ増殖無限戦闘機械都市』

POW   :    マシン・マザー
全長=年齢mの【巨大戦闘機械】に変身し、レベル×100km/hの飛翔、年齢×1人の運搬、【出現し続ける機械兵器群】による攻撃を可能にする。
SPD   :    トランスフォーム・デトロイト
自身が装備する【デトロイト市(増殖無限戦闘機械都市)】を変形させ騎乗する事で、自身の移動速度と戦闘力を増強する。
WIZ   :    マザーズ・コール
【増殖無限戦闘機械都市の地面】から、対象の【猟兵を撃破する】という願いを叶える【対猟兵戦闘機械】を創造する。[対猟兵戦闘機械]をうまく使わないと願いは叶わない。

イラスト:有坂U

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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●断章:予知を覆せ!

 グリモアを起動したバルタンが強制転移を受けて、デトロイト市に降り立つ。
 その傍らにはグリモアベースで準備を整え、共に転移して来た猟兵たちがいる。
 彼ら彼女らが同行した時点で、すでに見た予知から外れている。

 ここに、数分間逃げ回った末に吹っ飛ばされるバルタンはいない。
 意気揚々としているバルタンがいるだけだ。
 あるのは、猟兵たちの全滅か、マザー・コンピュータを撃破しての凱旋のみ。

「来ましたか、猟兵」

 マザーが、無数の戦闘機械を伴って空高くから姿を現す。

「私の決戦兵器、グリモア必殺計画を開始します。
 私と、あなたたち。どちらが勝ち残るか……戦いを始めましょう」
「オーケー! 第一部、開始デース!」

 都市を相手にした戦争が、始まる。
オーガスト・メルト
どこを向いても敵ばかり…か。
まぁ、要するに全部壊せばいいんだよな。

【POW】連携・アドリブ歓迎
グリモア猟兵は、あまり動かずに待ってろ。
すぐに俺たちが比較的安全な空白地帯を作ってやるから、そこへ逃げればいい。
いくぞ、デイズ、ナイツ!『うきゅー!』『うにゃー!』
UC【真竜顕現】で二匹を元の姿に戻して、俺はナイツに【騎乗】
敵の動きを【見切り】、指示を出しつつ【空中戦】を挑む。
デイズの炎とナイツの雷の【属性攻撃】によるブレスの【2回攻撃】で敵を【なぎ払い】、【蹂躙】する。

俺たち相手に街ひとつ程度の寡兵で挑もうとは、随分と甘い作戦だったな。
『うきゅるるる!』『うにゃららら!』


フレスベルク・メリアグレース
バルタンさん、わたくしのノインツェーンをお貸しします
聖教皇国最強最高のキャバリアと合体すれば、ノインツェーンの機体自体が安全圏となります

そう言ってバルタンさんが合体したノインツェーンを駆ってマザーへと対峙
ガイオウガと竜神親分の力を宿した兵装を用いて増殖無限戦闘機械都市を薙ぎ払いながらUCを起動

子に親殺しをさせるようなものですが…
ここで決着をつけさせて貰います
展開するは1070本のスーパー戦車砲
それは半径107mの敵…マザーと増殖無限戦闘機械都市の軍勢を正確無比な1070本の砲撃を持ってとどめを刺していきます


地籠・凌牙
【アドリブ連携歓迎】
俺の大事な仲間に手ェ出そうたァいい度胸だ!片っ端から返り討ちにしてやらァ!!

バルタンをいつでも【かばう】ことができる位置をキープした上で『穢れを食らう黒き竜性』で"バルタンが攻撃を受けるという不運"を喰らう。
後は【カウンター】主体で【怪力】込めて【鎧砕き】の容量で機械をぶっ壊していくんだが……バルタンが何かうずうずしてる気がする。

……そうだ。
なあバルタン、全部攻撃は俺に【おびき寄せ】られるからよ。いっそのこと攻めに出てみねえか?
奴に一泡吹かせてやろうぜ!!

同意を得たら【指定UC】発動!バルタンを乗せて突貫だ!
攻撃は全部俺が引き受けるから思いっきり暴れちまえ、バルタン!!


鳳凰院・ひりょ
アドリブ歓迎
WIZ

よし、やってやる!
バルタンさんは防御に専念するみたいだけど、多数の敵に襲われたりしたら大変だしね
光と闇の疑似精霊、力を貸してくれ!

光の波動でバルタンさん含め周囲の味方を回復
闇の波動で群がる戦闘機械を迎撃
闇の波動が戦闘機械に命中したと同時に機械の内部へ波動を侵入させ【ハッキング】
情報戦はマザーの方が上手なのは百も承知、一瞬でいい、動きさえ止まれば!

刀へ【オーラ防御】を纏わせ【武器改造】
オーラで出来た巨大な刀とする

飛翔衣で刀が振れる程度まで上昇
【怪力】で刀を振りかぶり【なぎ払い】で敵機械群を纏めて一刀両断!
返す一太刀でマザーへ巨大な【斬撃波】を放ちぶつけてやる!
覚悟しろマザー!


イザベラ・ラブレス
アドリブ連携OK

ヘイ、バルタン!
待たせたわね、アポヘルで最も腕の立つ傭兵の到着よ!

さて、実は私もグリモア猟兵だけど、こういう時は私も優先的に狙われるのかしらね…
ま、二兎追う者は云々って言うし何とかなるでしょ!

マイティー・バリーで出撃
迫ってくる戦闘機械は170mmの【砲撃+弾幕+地形破壊】で耕し、
抜けて来た敵は機体装甲で【かばう+カウンター】で蹴散らしながらバルタンを守護るわよ!

それと崩壊汚染弾頭を搭載した30mm機銃をマザコンと周囲の護衛に向けて一斉発射。ウィルス感染を確認したらフレンドリーファイアをさせて場を混乱させるわ

最後はツァーリ・ラケータの【一斉発射+重量攻撃】でマザコンに直接攻撃よ!


リアナ・トラヴェリア
助けてくれたお礼を返しに来たよ!
バルタンさんは下がっていて……って言いたいけど多分上と横からじゃなくて見えない下からも来るよね?

地面に黒剣を突き刺して潜んでいる敵をまとめて食べさせちゃおう。
私なら防衛と自己強化を同時にできるしね。
それにバルタンさん以外の猟兵の脅威度が上がれば上がるほど、こっちを狙わざるを得ない。
マザーはバルタンさんを倒すのが勝利条件じゃなくて、猟兵の全滅が勝利条件だから。バルタンさんを倒しても、私達に負ければそれで終わり。

機械の群れは私に任せて。本体を攻撃することは難しいかもだけど、隙があったら機械を喰らったエネルギーをそのまま叩き返したいな。


天御鏡・百々
バルタン殿! 今度は我が其方を護る番だ!
今こそ先日の恩を返す時ぞ!

『おおばあろおど』への覚醒によって、真の姿をとるぞ
(神の眷属→真の姿で神の一柱に)
(https://tw6.jp/gallery/?id=68841)

まざあよ! バルタン殿には傷一つ付けさせぬぞ!

先ずは防御を固める
神通力(武器)による障壁(オーラ防御、結界術)を
バルタン殿と我の周囲に展開するぞ

その後は『天之浄魔弓』から放つ光の矢にて
迫る戦闘機械を撃ち抜いていこう
(誘導弾、スナイパー)

とはいえ、凌いでいるだけでは勝つことは出来ぬ
共闘する猟兵がいれば策を伝えた後
機を見て『至上の光』を発動だ
(安全を見て使用は90秒程度に抑える)
これで全ての戦闘機械の動きが止まるはずだ

その隙に、渾身の一撃(光の矢)をお見舞いするぞ
(破魔、鎧無視攻撃、神罰)
共闘する猟兵がいれば一斉攻撃だな

まざあよ! グリモアは猟兵の絆によって護られる
如何に機械を操ろうと、単独である汝に破壊することは不可能だ!

●アドリブ連携歓迎
●本体の神鏡へのダメージ描写NG


リーヴァルディ・カーライル
…グリモア猟兵を逃さない為とはいえ、
天空を覆ったのは失策だったわね

…お陰で此方も全力を出す事が出来るもの

…でも念の為、貴女は私の後ろにいてね、バルタン・ノーヴェ

「精霊石の耳飾り」に雷の精霊を降霊して周囲の機械の索敵を行い、
自身やバルタンに向かってくる戦闘機械の攻撃を大鎌のカウンターで迎撃しつつUCを発動

…我が手に宿れ、雷の理。我に叛く心無き人形共を狂わせる病を此処に…!

吸血鬼化した血の魔力を溜め戦闘機械の支配権を切断して洗脳する"毒電波"を放ち、
電脳ウィルスのオーラで防御を無視する精神攻撃(機械)により同士討ちを行わせ、
集団戦術が乱れ体勢を崩した隙に切り込みマザーに向け「黄金の楔」の投擲を放つ


栗花落・澪
僕の代わりはいくらでもいるけど
バルタンさんの代わりは今この場においてはいないから
自分へのダメージは【激痛耐性】で耐える覚悟で
バルタンさんに【オーラ防御】をかけます

【空中戦】でなるべく攻撃の軌道上から逃げるように
【指定UC】を発動し、召喚した炎の鳥達を全方位に向かわせる
この世界の武器類の性質上、火にぶつかれば爆発しそうなものばかり
それが密集してるとなれば誘爆は免れない
さぁマザー、僕の舞台にようこそ♪

爆音に負けないよう【催眠術、誘惑】を乗せた【歌唱】を★マイクで拡声
マザーの思考を乱し、周囲の状況に釘付けにさせ
その隙にすかさずマザーの元まで急接近
【高速詠唱】で雷魔法の【属性攻撃】で雷どーんします


菫宮・理緒
相手が地上都市なら、こっちは海上都市でいくよ!

バルタンさん、お待たせー!

【ネルトリンゲン】で出撃して、できればバルタンさんを収容したいな。
無理そうなら、バルタンさんの上空に位置取りして、敵からの盾になろう。

『希』ちゃん、全周囲索敵と【M.P.M.S】【D.U.S.S】での弾幕任せるよ!

都市が相手だろうと、『希』ちゃんの弾幕は、そう簡単に突破できないからね!

わたしは【テスカポリトカの鏡】を使ってマザーへ対抗。
一射目は拡散モードで照射して、マザーとの間の敵を蹴散らしたら、
二射目は収束モードでマザー本体を狙っていくよ。

見た目だけならちょっとお持ち帰りたいけど、そうもいかないからね。
蒸発してもらうよ!


神咲・七十
アドリブ・連携お任せ

ん~、割と面白いところですね。
ゆっくり見れないのが残念……いえ、あるいは?

(UC『万花変生』を使用。グリモア猟兵と自分の周りをドーム状の粘液で囲み、攻撃を受け止め逸らし鈍らせて防御)

こういう時の戦い方はやはりあれです。内側から喰い破る……です♪

(周囲に巨大な食物植物を生み出し包囲を喰い破らせ、繁殖させていき)

え~と、後はマザーですかね。
もう、ガッと行ってしましましょう。

(防御の粘液で自身を包み、食物植物の動きの反動を利用してマザーに取り付き)

面白い場所でしたよ、また見たいので…私に喰われてください

(腕から隷属化させる力を与えた食物植物を生やして隷属化させようと喰らい付いて)


外邨・蛍嘉
人格:クルワ(男/鬼)
武器:妖影刀『甚雨』
連携歓迎。

サテ、バルタン殿は馴染み深い方デスシ。全力で行かせてもらいマス。
マザーには、容赦のない鬼の猛攻を。

陽凪、バルタン殿の護衛を任せマス。弾くための柔軟性のある結界を張ってマスネ。
ワタシは素早く指定UCを発動。機械は無機物デスカラ、材料には困りマセンネ。水鳥たちは、マザーへ突撃を。
耳に挟んだのデスガ、機械には水もダメなのがいるトカ?

まあ、ワタシ自身も切り込み、ケーブルなどがあったら切断していくのデスガ。
ああ、関節部分あったら、そこ狙いマショウ。明確に弱点デスシ。
マザー、アナタは手の出し方を間違えた。


陽凪はゆるり泳ぎながらの結界。


シャナミア・サニー
おっけー、ぶっ飛ばせば解決ってやつだね?
シンプル・イズ・ベストってところだけは気が合いそう
まぁ負けないんだけどね!

『レッド・ドラグナー』いくよ!
【指定UC】でBS-MWファンシェイプ・マルチプルビームキャノンに換装
これで攻撃回数強化、装甲犠牲だけど定点防御なら
一応バルタンの近くで彼女を背にして戦う
敵の数の暴力だけは絶対排除する!

ってことでいくよ!
適当に撃っても周辺纏めてぶっ飛ばせるビームキャノンだ
抜けられると思わないでよね!

ある片付いたらもう一回【指定UC】
今度はRS-MWロングバレル・レールライフルで射程強化、移動犠牲
つまり、一点を狙撃する!
どんな距離があろうとも…必ず撃ち抜いて見せる!


御宮司・幸村
バルタンちゃん、ハロー
いつぞやの依頼ぶりー😊

ざっと見た所10人以上は仲間が居るみたいだねー!
それなら防御に徹するタンク役がいても良いよねー🎶

てな訳でおじさんはバルタンちゃんの側でゲームしてるね!
バルタンちゃんはなるべくおじさんから離れないようにー

これには意図があって
実はそう言うUC
被保護者の安全を確保して、他の皆が戦闘に専念出来るようにする狙いがあるよー

更に得た情報はリアルタイムで仲間に共有する
これで敵の攻撃ルーティンや弱点が周知出来れば仲間が有利になるから
おじさんはアシストすると言う方法で攻撃に貢献するって訳ー
(この思考中も当然ゲームに没頭)

あっ、バルタンちゃんもやるー😆?


トリテレイア・ゼロナイン
バルタン様、共にロシナンテⅡ(機械馬)に乗って頂けますか?
護衛はお任せを

盾受けでかばいつつ、馬上槍機関砲の乱れ撃ちで対空迎撃
騎馬突撃で地上の敵を●蹂躙し疾走

さて、かの鋼鉄の母の元に馳せ参じる訳ですが
…贈り物を準備しましょう
貴女は確かパイルバンカーをお持ちでしたね?

電脳剣の電脳空間からUC弾頭取り出し
剣の電脳魔術で●ハッキング武器改造し武装規格を調整
弾頭を手渡し

都市のビルを●踏みつけ足場に騎馬のスラスターの●推力移動も併用
空中のマザー戦闘機械へ取り付き

今を生き、未来を望む人々の為に
二輪の花を捧げましょう!

UCを発射
遠隔●操縦による掘削で機械中枢へ弾頭を送り込みつつ
効果半径より速やかに退避

起爆!


兎乃・零時
アドリブ絡み大歓迎

バルタンと初めて会った時は
まさかグリモアも手に入れるたぁ思わなかったなぁ
ともあれ奴とは深い縁だ
危機が迫るのなら
俺様が行かねぇ理由はねぇよな!

おい、マザー!

俺様の友達を狙うんだ
ぶっ飛ばされる覚悟はできてるよなぁ!!

UC起動
全力全開でやると決めた
出し惜しむ理由は無い!

今なら魔術回路も正常に起動できる…その予感が俺様にはある!
全身に隅々まで魔力溜め
罅が如き魔術回路を隆起

体と武具全体に
火水氷風地
自然
雷闇光毒
ほぼ全属性の属性付与

藍玉の杖はどの形態でも共通して『杖』としての役割がある
つまりこの拳も足を叩きつければ魔術を直接相手に発生させる事も出来る

〖極式《極輝煌王》〗起動し
念動力で杖は掴まず操り
常時攻撃魔術複数展開
機械を魔術による光線を一斉発射でぶち壊し

敵の攻撃を喰らおうと防いでやる突っ込む
狙うは本体

俺様の友達に手は、出させねぇ!


蹴散らせ螺旋貫き抉りて破砕せよ!

鎧無視攻撃×全力魔法

俺様の全力を纏めて込めた光線を!叩き込む!

オーバーロード・カタストロフィ
逆境全部、ぶち壊せッ!!!


巨海・蔵人
◼️心情
予知ってこう言うのだっけ?
うん、こう言うのもあるんだね。
さすバル

◼️バリアでマスゲーム
僕のネットもデトロイトの外まで届かない?
みたい、流石敵のお膝元だよね。
幸村さんもいるし、僕もここでだね。
いつも世話になってるし、
バルタンさんもたまにはお休みしてね
(ゲームに集中する時間稼ぎと補助だね)

散開したテレビウムドローンで地形情報等幸村さんの情報を補強。
指定UCを幸村さんのゲームのBGMに合わせて動かすよ、
ゲームに集中しなきゃだしね。
バリアは割れるから補充しながら。
面には面、点にも重ねて。
キマフュからだと、アメリカレベルで?なんだけど。
同じ生体ユニットとしても人間やめなきゃ年増を防げないのはね?


リーゼロッテ・ローデンヴァルト
【SPD】
※アドリブ絡み連携超歓迎NG無し
※【ナインス・ライン】搭乗

バルたんは中々愉快な娘だしね
愉しみが減るのは見過ごせないさっ
…でも火力は十分?バルたんの人徳?
OK、なら…♪

◆行動
【インパクト・ボルト】で滞空
機銃やミサイルで雑魚掃除
【シリウス・マイン】も併用

【ゾディアック・プラス】で瞳をAR化
情報経路を視認して電脳魔術で攻撃(設計情報簒奪&クラッキング)
※後日ユベコ題材化?

【アダマンタイト】の電力で【ジュエル・インシュランス】
【ミネルヴァ】【(補助席の)レディ・ギガ】等も活用
「おっほっほ!御主人様は実に強欲ですわね!」

【スケイプ・セル】でカウンターハック対策
同時にバルたんのサイバネ部分も保護


ディスターブ・オフィディアン
第2人格で行動:WIZ

◆心情
これだけ人数がいれば、手数に困ることはないだろうけど、後詰にまわっておこうか。
日頃お世話になっているしね

◆行動
UCで磁力属性の魔法の矢を生み出し誘導弾で攻撃だ
可動部を磁力で吸着させて動きを封じ、機体内部の制御CPUのエラーを誘発

敵の攻撃に対しては、ノーヴェ嬢含め味方への攻撃に対しては磁力の矢で援護射撃、あとはフック付きワイヤーを磁力で操って敵と敵を縛り付けてやろう

せっかく不可視の攻撃なわけだし、磁力の矢に合わせてカードを投擲して、攻撃の本質を見抜かせないようにしておこう
「カードで機械に勝てないなんて誰が決めたんだい?」

「目に見えなくても大切なものってのはあるものさ」



●全参加者、入場!

 無数の戦闘機械を従えて、マザー・コンピュータは遥か高みから猟兵たちを見下ろしている。
 その表情には一片の曇りもなく、フィールド・オブ・ナイン第二席としての貫禄が感じられていた。

「私はあなたたちの猟兵の戦闘記録を見続けてきました。
 あなたたち情報は全て集積済みですよ。
 グリモア猟兵、雇われバトルサイボーグメイド、バルタン・ノーヴェ」

 そしてマザーは、バルタンと共に転移してきた猟兵たちを見遣る。

「竜喰らいの末裔、オーガスト・メルト」
 メルトは身長10cm程のヘンテコ白竜饅頭形態の『デイズ』とヘンテコ黒竜大福形態でいる『ナイツ』を伴い、マザーを見返している。

「メリアグレース第十六代教皇にして神子代理、フレスベルク・メリアグレース」
 フレスベルクはメリアグレース聖教皇国に伝わる伝説級のサイキックキャバリア『ノインツェーン』に騎乗し、マザーを睨みつけている。

「黒き竜の報讐者、地籠・凌牙」
 凌牙は怒り心頭だという様子で、空にいるマザーを睨んでいる。

「天然系精霊術使いの腹ぺこ聖者、鳳凰院・ひりょ」
 ひりょは刀の鞘を手に、油断なく周囲を囲む戦闘機械に注意を払っている。

「デカい銃を持つ女、イザベラ・ラブレス」
 イザベラはマザーの言葉を気に留めることなく、バルタンとヘーイ! と手を振り挨拶を交わしている。

「ドラゴニアンの黒騎士、リアナ・トラヴェリア」
 リアナはそんなバルタンを背にかばい、『黒鱗剣』を手に警戒している。

「その身に映すは真実と未来、天御鏡・百々」
 百々はバルタンに傷一つ付けさせぬと意気込み、『天之浄魔弓』を手に術式の備えをしている。

「ダンピールの黒騎士、リーヴァルディ・カーライル」
 リーヴァルディはトリテレイアの傍らに立ち、黒い大鎌『過去を刻むもの』を携えている。

「泡沫の花、栗花落・澪」
 澪は万人を誘惑する愛らしい笑顔で微笑み、上空のマザーを見上げている。

「まだ迷子中の狂食者、神咲・七十」
 七十はのんびりと、戦いが始まる前に増殖無限戦闘機械都市の景観を眺めている。

「雪待天泉、外邨・蛍嘉」
 その呼びかけに、外邨・蛍嘉の魂に封じられた鬼であるクルワは肩をすくめた。此度はワタシが出マス、と意志を示す。

「キャバリア工房の跡取り娘、シャナミア・サニー」
 試作機のクロムキャバリア『レッド・ドラグナー』に乗り、シャナミアは自身に溢れた表情で笑っている。

「いいかげんサマナー、御宮司・幸村」
 そうだよーと緩い雰囲気で返事をする幸村は、蔵人と共に準備を始めている。

「「誰かの為」の機械騎士、トリテレイア・ゼロナイン」
 騎士トリテレイアは、機械白馬『ロシナンテⅡ』に騎乗して戦いの時を待っている。

「其は断崖を駆けあがるもの、兎乃・零時」
 バルタンと初めて会った時を回想して、零時はやる気を十分に蓄えている。

「おおきなおおきなうたうたい、巨海・蔵人」
 蔵人は幸村を手伝って準備を進めている。二人はいそいそとフレスベルクの『ノインツェーン』に乗せてもらっている。

「リリー先生って呼んでよ、リーゼロッテ・ローデンヴァルト」
 リーゼロッテは重量級キャバリア『ナインス・ライン』に搭乗して、ニコニコとマザーに手を振っている。

「真実を 暴く/葬る モノ、ディスターブ・オフィディアン」
 ディスターブは紳士的な態度を崩さず、恭しい様子で一礼を見せた。

「…………」
「…………」×20人の猟兵。

 総勢、グリモア猟兵のバルタンを含めて20名の猟兵を前にして。
 マザーは静かに微笑みを浮かべたまま、すっと戦闘機械群の奥に下がっていく。

「あ! 逃げた!」
「逃がさないわよマザー!」
「待って待って! バルタンさんの護衛とマザーへの攻撃、適宜対応していこう」
「うん。これだけ人数がいれば、手数に困ることはないだろう」
「……おっとぉ? みんな気を付けて、下から来るよ!」

 幸村の忠告を聞き、歴戦の猟兵たちは素早く反応を見せた。
 地面から多数の隔壁が迫り上がり猟兵たちを分断していくも、孤立する者は出なかった。

 斯くして。マザー・コンピュータと猟兵たちの戦争が開始されたのであった。

●第一番、地下式荷電粒子砲。

 《マザーズ・コール》により、増殖無限戦闘機械都市の地面から、対猟兵戦闘機械が創造されていく。
 マザーの猟兵を撃破するという願いを叶えるための機械たちが、側溝やマンホール、地下鉄や地下駐車場の入り口から湧き出てくる。

「さて……私の用意した六つの奥の手。どこまで耐えられるでしょうか」

 猟兵たちの目の届かない場所に潜んだマザーが端末を操作し、戦闘機械たちを行動させる。
 バルタンだけに限らず、この場に招集された猟兵たちを残らず殺すために……。

●5/20。

 激しい機械兵器の攻撃を捌きながら、バルタンを中心に囲んだ猟兵が四人、デトロイトの街並みを駆けていた。

「みんなと分断されたけれど、距離はそんなに離れてはいないね」
「うむ。あちらこちらで戦いの音も聞こえている。いくらか攻撃も見えるな」

 バルタンと共に在るのは、リアナ、百々、凌牙、澪の四人であった。
 バルタンの予知になかった隔壁による分断という罠にかかったものの、直接的な被害は皆無であるようだ。

「連絡ありました、みんな無事です。っと。
 幸村さんとリリー先生が情報を収集して、くれているみたいです」
「それじゃあ、まずは、っと! 近くにいる連中に合流、しようぜ!
 立ち止まりっぱなしじゃ、囲まれるだけだし、よっ!」

 絶え間なく、ビルの上から、路地の間から、戦闘機械が出現する。
 凌牙が片っ端から殴り壊し、機械たちを砕いている。
 不測の事態にはバルタンをかばえるよう、深追いはせず遠くにいる戦闘機械への攻撃は百々に任せていた。
 百々の『天之浄魔弓』から放つ光の矢に撃ち抜かれ、戦闘機械は次々に機能を停止していく。

「ナイスだ、百々!」
「凌牙殿が抑えてくれているおかげだとも!」

 空から襲撃を仕掛ける飛行型の戦闘機械は、澪が召喚した炎の鳥たちに誘爆されて墜落していく。
 《浄化と祝福(ピュリフィカシオン・エト・ベネディクション)》
 あらゆる種の鳥の姿を模した飛翔する破魔の炎。
 火器を搭載した戦闘機械にとって、羽ばたき燃え盛る炎の鳥を撃ち落とす手段はなく、次々に炎上していった。

「上空からの襲撃は任せてください」
「ありがとう。……上と横からだけじゃなくて、見えない下からも来るよね?」

 地下から出現する戦闘機械は、地面に黒剣を突き刺したリアナのユーベルコードによって排除されていた。

 バルタンが面々に謝意を告げる。
 常ならば共に戦おうとするところだが、マザーの手の内が不透明な今、軽挙は控えるべくリアナの傍に立っていた。

「気にしないで、バルタンさん! 助けてくれたお礼を返しに来たんだから!」
「そうだぞ、バルタン殿! 今度は我が其方を護る番だ! 今こそ先日の恩を返す時ぞ!」

「大事な仲間に手ェ出そうってんだ! いい度胸だ! 片っ端から返り討ちにしてやらァ!!」
「バルタンさんの代わりは今この場においてはいないから。大丈夫、僕たちが護ります」

 四人の返答を聞き、バルタンが綻んだ。
 その時。
 バルタンの足元半径50mの地面が消えた。

 ホワッ!? と慌てるバルタンを、警戒していたリアナと凌牙がすばやく支える。
 二人のドラゴニアンに抱えられ、バルタンは不意の落下を間逃れる。
 百々は澪に抱えられ、有翼の三人が羽ばたいていた。

「落とし穴? 驚いたけれど、戦闘機械も落ちて行ってるから……次は上から?」

 澪が上空を警戒し、炎の鳥たちを展開してた時。
 百々の第六感が穴の底からの脅威を感じ取った。

「拙い、下だ!」
「っ!」

 百々の言葉に反応したのはリアナだった。
 凌牙にバルタンの身を託し、黒剣を構えて下へと向かう。

「みんな、防御態勢を!」

 地下から光の奔流が現れた。
 都市に開いた穴は、大口径荷電粒子砲の射出口であった。
 バルタン諸共、猟兵たちを焼き尽くそうとする光が迫る。

「黒剣! 食事の時間だよ!」

 その光を、破壊のエネルギーを、リアナが受け止めていた。
 《喰らいつく魔獣の顎(グラットンソード)》
 戦闘の最中、黒剣が食べた物体やエネルギーの量と質に応じて黒剣が大型化し、更に装備者に力が流れ込み、戦闘力が増加するユーベルコードだ。
 道中地面に突き立てては地下に潜む戦闘機械を食らい続けていた黒剣が、膨大な量のエネルギーを食らっていく。
 溢れんばかりの質量に堪えるリアナの肩に、百々と澪が手を添える。
 神通力による障壁が、魔力オーラによる防御が、リアナを支えた。

 そして、荷電粒子砲が収まった時。
 巨大化した黒剣を抱えたリアナは無傷で済み、安堵の息を吐いたのだった。

「はああ、すごいエネルギーだったよ……」
「リアナ殿、よくぞ防いでくれた!」
「三人とも、早く出ようぜ! 第二射が来るかもしれねぇ!」
「あっ、そうだね。空からの攻撃は、任せて。僕が防ぐから」

 地下からの攻撃を防いだ猟兵たちは、仲間たちとの合流を急ぐためにその場を離れていく。
 その最中、リアナは疑念を覚えていた。

「(地面に黒剣を刺してた時に妙な空洞がいくつもあったからすぐに動けたけれど……。
 もしかして、あれは全部砲口? 地下には砲口が点在しているのかな?
 ……でも、それなら地下鉄とか地下施設は、どこに……?)」

 ひとまずの疑念を先送りにして、リアナは地下の砲口が複数あるかもしれないという懸念を仲間たちに伝え、情報集積を行っている猟兵たちに共有した。

●第二番、マザー・デコイ。

「あら。地下式荷電粒子砲の対策が練られてしまいましたか」

 リアナの情報を聞いた猟兵たちが電脳ウィルスやクラッキングを行い、地下に展開していた荷電粒子砲群を機能停止に追い込んでいた。

「フフッ。それくらいでなければ。では、次の手はどう対処しますか?」

 マザーはデトロイト市の某所に用意していた出現し続ける機械兵器群の工房から、それらを出撃させる。
 マザーと同じ体格、同じ髪のようなケーブルを持つ、デコイたちを出撃させる。

●8/20。

 バルタンを連れた猟兵たちが移動している最中、フレスベルクを除いたキャバリアの操縦者たちは大立ち回りを繰り広げていた。
 かつてはチャンドラー・パークとも呼ばれていた広い場所へ入り込み、迫りくる戦闘機械を蹂躙していた。

「ハッハー! それでリリー先生、バルタンはどっちかしら?」
「もうちょっと北東かなー? フリーウェイを超えたあたりだね。
 ……よしっ、荷電粒子砲はこれで全部封鎖したから、気にせず進んでいいよ!」
「おっけー! ここからは移動優先ってことだね!
 ってことでいくよ! 適当に撃っても周辺纏めてぶっ飛ばせるビームキャノンだー!」

 イザベラ、リーゼロッテ、シャナミアの三人は、アポカリプスヘルの技術をもってしても再現することが難しいだろう、クロムキャバリアの兵器『キャバリア』を駆って戦場を闊歩していた。
 巨体ゆえに隔壁に分断され、動く地面や戦闘兵器へ対処している間にバルタンと離れてしまったが、落ち着いて行動すれば無数の機械兵器とはいえ恐るべき敵ではなかった。

 イザベラの『マイティー・バリー』が『170mm三連装ガトリングキャノン』の弾幕によって、機械兵器を紙屑のように粉々にしていく。
 リーゼロッテの『ナインス・ライン』は双発型ヘリドローン『インパクト・ボルト』で滞空しつつ、機銃や小型多弾頭ミサイル『シリウス・マイン』で対地・対空攻撃を行って、姿を見せた戦闘機械を粉砕する。
 シャナミアの『レッド・ドラグナー』はユーベルコード《メインウェポン・チェンジ》を駆使して、八面六臂の大活躍だ。
 扇の形にバレルを配置した十連装の『ファンシェイプ・マルチプルビームキャノン』が、取りこぼすことなく機械兵器を破壊していく。
 装甲能力を半減させるというリスクはあれども、攻撃回数を通常時の五倍に跳ね上げた大火力の前に、機械兵器は近づくこともできず粉砕されていく。
 圧倒的な破壊の権化である三機が縦横無尽に暴れていた。

「バルたんは中々愉快な娘だしね。愉しみが減るのは見過ごせないさっ」

 こうして三機を駆る三人が的確に戦闘機械を蹂躙している訳は、リーゼロッテにあった。
 リーゼロッテは戦闘と並行して、情報収集・操作を行うユーベルコードを使用していた。
 《Op.NULL:ZODIAC PLUS(ゾディアック・プラス)》により瞳を電脳魔術用特殊AR(拡張現実)状態に変異させて、情報処理を行っていた。
 電脳空間に溶け込んだカラダの感覚を通して、デトロイトの現実空間を観測・改変する高度プロトコルだ。
 幸村と蔵人から送られてくる情報を反映させることで、リアルタイムで全猟兵の位置情報を把握することができていた。
 当然、その情報はフィードバックされ、戦場にいるすべての猟兵たちに共有されている。

「それにしても……妙だねぇ」
「何が?」
「さっきからマザーの探知も行ってるんだけど、引っかからないんだよねぇ」

 リーゼロッテの言葉に、通りすがりの機械兵器をぶっ飛ばしながらシャナミアが尋ねる。
 サブジェネレータ『アダマンタイト』から供給した電力でいくつもの演算ユニットや情報処理ドローンも稼働させて、リーゼロッテはマザー・コンピュータの潜伏先を探っていた。
 しかし、特定に至らないどころか、類似する反応が複数検出されるという状態にあった。

「正確には似たような反応が複数あるんだけど、妙に弱めっていうか……。
 オブリビオン・フォーミュラにしては貧弱すぎるというか……。
 あ、ちょうどいいかな? イザベラさん、右手のビル陰からマザーっぽいのが出てくるよ」
「りょーかい!」

 そのマザーっぽいものは、イザベラの砲撃を受けて木端微塵に吹き飛んだ。

「……もしかしてワンパン? やっちゃった?」
「んーそうだけど……まだいるみたい」

 リーゼロッテの言葉通り、次から次へとマザーと同じ外見の戦闘機械が湧いてきている。
 もしこの中に本物が混ざっていれば、バルタンへの奇襲につながるかもしれない。

「バルたんのところに連れて行くわけにはいかないし、アタシたちで殲滅させておこう」
「マザーめ、こんな小細工してくるなんて……!
 まぁ、全部ぶっ飛ばせば解決だよね?
 敵の数の暴力だけは絶対排除する!」
「オーケー、やってやりましょう! ……アレは、ここでは温存しておこうかしら」

 イザベラ、シャナミア、リーゼロッテは砲口をマザー・デコイたちに向ける。
 バルタンたちと合流するまでのわずかな時間の間に、マザー・デコイは悉くが撃破されることとなった。

 イザベラ、シャナミア、リーゼロッテ、合流成功。

●第三番、自走式自爆人形兵器。

「しまった。工房の近くにあれほどの火力を持つ猟兵たちが……。
 せめて彼女たちが通り過ぎるのを待っていれば戦場全体に分散させ……。
 いえ、そうすると合流されて六番のチャージが間に合わないところですね。
 これはこれでよしとしましょう」

 マザーは慌てない。
 冷静に状況を判断し、幸村のハッキングに対抗しながら、次の手を打った。

「さあ、猟兵。あなたたちに人の心があるならば、これは対処できないでしょう」


●11/20。

「タスケテー」「タスケテー」「タスケテー」

 戦闘機械に紛れ、服を着た人形が猟兵たちに向かって駆け出している。
 その口からはタスケテーと機械音声が流れ、伸ばした手はまるで助けを求めているかのように思われる。
 もう少し精度を高めていたとしても、これを人間と誤認する者はいないだろう。

「これ、ボクたちを馬鹿にしてないかな?」

 人形の頭部にカードが突き刺さる。
 ディスターブの投擲したカードが鋼を貫いて制御中枢をショートさせている。
 その仕掛けの種は、磁力属性の魔法の矢を合わせて放っていたことだ。
 《エレメンタル・ミサイル》による、ディスターブの望む属性の合成強化が可能な魔法の矢を、カードの投擲に合わせて放つことで、磁力による吸着や精密機械の誤作動の原因を見抜かせないようにする、奇術である。
 人形を越えて銃口を向ける戦闘機械には、磁力の矢で操縦するフック付きワイヤーで縛りつけ、フックに帯びた磁力で戦闘機械同士を縛り付け、誤射させていく。

「驚いているようだね? カードで機械に勝てないなんて誰が決めたんだい?」

 カメラ越しに覗いているであろうマザーに対するパフォーマンスも忘れない。
 マザーと対峙した時への布石を敷きつつ、ディスターブは次々にカードとワイヤーを操っていく。

「陽凪にはバルタン殿の護衛を任せマシタ。無事に合流できたようデスネ」

 クルワはほっと、息を吐く。
 苔と間違えてメガリスを食べたガラ・ルファである巨大熱帯魚『陽凪』は、空中を泳ぎ戦場を縫ってバルタンに合流していた。
 『陽凪』にはクルワが張った柔軟性のある結界によって保護をかけている。
 リアナ、百々、澪のオーラ防御と合わせれば、そこらの戦闘機械の攻撃ならば弾くことはできるだろう。

「なればワタシたちはマザーを討つ為、用意を進めマショウ」

 クルワは迫りくる戦闘機械に向けてユーベルコードを発動させる。
 一瞬の抵抗の後、戦闘機械が形を崩し、液状へと変換されていく。

「ほほう。これは見事な技ですね」
「鋼鉄の塊が水の鳥に? これは面白い」
「ちょっと実家の技を進化させマシタ。機械は無機物デスカラ、材料には困りマセンネ」

 ディスターブと七十の賞賛を受けながら、クルワは次々に戦闘機械を変換させ、凍らぬ水の鳥を作り出していく。

 《雨剣鬼の記憶・水鳥(ムツデノミズドリ)》
 クルワから105m半径内に存在する任意の無機物を水鳥へと変換させるユーベルコード。
 ここが戦闘機械の都市である以上、材料に不足はない。

「耳に挟んだのデスガ、機械には水もダメなのがいるトカ? 試してみマショウ」

 人形へ向けて水鳥が殺到し、包み込む。
 内部の電子回路がショートし、人形たちは機械音声を上げながら機能を停止していく。

「バルタン殿と合流するまでに、どれだけ大きくできマスカネ」

 戦闘機械と人形たちを無力化させていくディスターブとクルワの傍らで、七十もまた動き出す。

「ん~、いろいろな催し物がありますね。時間があればゆっくりと見たいところですが」

 七十は目の前の戦闘機械や先ほどから伝えられてくる仲間の見聞きした情報を知って、好奇心を刺激されていた。
 そして、血の通わない機械が相手であっても、七十は躊躇することなくユーベルコードを起動する。

「今日はそういう日で、今はそういう気分」

 敗北・屈服・服従といった感情を与える事に成功した対象に、召喚した隷属した存在と多種多様な未知の植物から、高命中力の隷属させ取り込み、召喚対象へと変貌させる植物を飛ばす《万花変生(バンカヘンジョウ)》が戦闘機械に突き刺さる。

 血も涙もない機械兵器に通用するはずもない……そのような予想を裏切り、ディスターブとクルワが破壊した人形たちから、無機物を食む植物が生えていく。
 人形たちをコントロールしているのは、マザー・コンピュータである。
 用意した戦闘機械が破壊された、そのマザーの敗北感を糧に繁殖が行われているのだ。

「さてさてさて。こちらに兵力を避ければその分戦力が増える訳ですね。
 こういう時の戦い方はやはりあれです。内側から喰い破る……です♪」

 この段階に至れば、三人の連携は整ってきていた。
 ディスターブが動きを止め、クルワが水へと変化させ、七十が植物を飛ばして隷属させる。
 必然として、半端な戦力を送ることは猟兵たちの戦力を増やすことにつながる。
 マザーは三人に戦闘機械を差し向けることを躊躇い、バルタンとの合流を許してしまうこととなった。
 猟兵たちに囲まれているバルタンが、七十たちに手を振る。

「ああ、バルタンさんですね。あちらも無事なようです」
「よかったよかった。ノーヴェ嬢には日頃お世話になっているしね」
「バルタン殿は馴染み深い方デスシ。全力で行かせてもらいマス」

 七十、クルワ、ディスターブ、合流成功。

●第四番、スーパー戦艦。

「別に? 負けていませんが? 倒されることは想定の上ですが?」

 澄ました顔でマザーは次なる奥の手を繰り出していく。
 切り札である六番のチャージが完了するまで、残り半分を過ぎていた。
 しかし、マザーは全く危惧はしていなかった。
 五番を用いる必要もない。
 この四番で猟兵たちの足を止めることが、もしかしたらそのまま蹂躙することができるだろう。
 それほどの自信がある切り札だった。

 デトロイト市の北東に存在するセントクレア湖。
 五大湖のうち、ヒューロン湖とエリー湖を結ぶ大きな湖から、巨大な船が水中より現れる。
 予知のバルタンが川に逃げ込んだ時に殺到してきた潜水戦闘機械群の旗艦。
 潜水戦艦である。

「スーパー戦車には劣りますが、水中戦闘と水上戦闘に特化した自慢の子です。
 その主砲の射程は13km。あなたたち猟兵の発揮できる有効射程距離は1kmにも満たないはずです。
 キャバリアという戦闘機械は確かに目を見張るものがありますが、同じような戦艦や空母が無ければ水上のスーパー戦艦に打撃を届かせることはできないでしょう。
 生半可な攻撃では正面装甲を貫くこともできませんよ。
 そう、このデトロイトが水辺に隣接していることを失念したあなたたちの敗北」

 水上からの砲撃でバルタンたちを一方的に蹂躙しようとしたその時。
 自慢のスーパー戦艦が破壊された。

「えっ」

●14/20。

「忘れる訳ねーだろ。グリモア猟兵の予知をよ!」
「バルタンさん、お待たせー!
 相手が地上都市なら、こっちは水上都市でいくよ!」
「俺様もいるぜ!」

 メルトと理緒、零時の声が拡声器から高らかに放たれる。
 セントクレア湖に現れたのはスーパー戦艦だけではなかった。
 理緒の保有するミネルヴァ級万能型戦闘空母、『ネルトリンゲン』もまた水上に降臨していた。
 『M.A.R.E(希)』という理緒専用のサポートAIが管制する『M.P.M.S(多目的ミサイルランチャー)』と『D.U.S.S(指向性超音響攻撃装置)』が出現したばかりのスーパー戦艦を後ろから攻撃して、木端微塵に吹き飛ばしていた。

 残存した水中の戦闘機械たちも『ネルトリンゲン』の攻撃を受けて吹き飛ばされ、残らず破壊されていく。
 『ネルトリンゲン』は浮上し、デトロイト市の上空から地上へ向けて弾幕を形成し始める。
 そのまま自由にさせてなるものかと、マザーは残存するすべての航空戦闘機械を『ネルトリンゲン』に殺到させる。

「どこを向いても敵ばかり……か。まぁ、要するに全部壊せばいいんだよな」

 『ネルトリンゲン』の甲板に出たメルトが、相棒たちと共に空を見上げている。
 バルタンが逃げ込む場所を護るために、この空の安全を確保するために。
 メルトはユーベルコードを起動する。

「デイズ、ナイツ、真竜顕現だ!」
『うきゅー!』『うにゃー!』

 メルトは『デイズ』と『ナイツ』を元の姿へと戻す。
 《真竜顕現》
 宝石【竜焔石】に込めた魔力を代償に『デイズ』と『ナイツ』の封印を解いて、『陽白竜王デイズ』と『月黒竜帝ナイツ』として活動させるユーベルコードだ。
 メルトは大きくなった『ナイツ』に騎乗して、空中戦を開始する。
 メルトが戦闘機械の動きを見切り、指示を出す。
 『デイズ』の炎のブレスが機械のエンジンを爆破させ、『ナイツ』の雷のブレスが精密部位をショートさせて爆破する。
 強力な竜騎士と竜たちの連携は、デトロイト市の上空を飛び交う戦闘機械を薙ぎ払い、蹂躙していき、制圧していく。

「すぐに俺たちが安全な場所を作ってやる。
 だから安心してこっちまで逃げてこいよ、ノーヴェ嬢」
「…………」

 一方で、零時は迎撃に出ず、魔力を溜め込んでいる。
 マザーが出現した瞬間に備えて、一撃に全力全開を叩き込むために。
 戦闘機械との戦いを仲間に任せ、意識を集中させている。
「(今なら魔術回路も正常に起動できる……その予感が俺様にはある!)」
 罅が如き魔術回路が、零時の体表に隆起していた。

 概ね、近隣の戦闘機械を掃討して、『ネルトリンゲン』は接舷する。
 集まってくる戦闘機械を砲撃や射撃で防ぎつつ、バルタンたち猟兵の面々を収容していく。
 地面からの対猟兵戦闘機械はリアナが防ぎ、マザー・デコイはシャナミアたちが殲滅させた。
 機能停止したマザー・デコイを手土産に載せながら、イザベラとリーゼロッテは甲板に整列する。
 甲板に並ぶ『マイティー・バリー』、『レッド・ドラグナー』、『ナインス・ライン』。
 圧倒的な火力支援を搭載して、『ネルトリンゲン』が残る猟兵たちとの合流を目指して空を駆ける。
 キャバリア部隊の砲撃と、澪やメルトの空中戦により、デトロイト市の制空権は確保されたように見えた。

 メルト、理緒、零時、合流成功。

「……んんー? どうも妙だぞぉ……。マザー、どこに隠れてる……?」

 地上にいる幸村は、マザーのデコイのパターンを確認し、本物のマザーが最初から視界にいなかったことを突き止めた。
 地下にもなく、水中にも見当たらないマザーを探して、敵影の見えなくなった空に違和感を覚え、リーゼロッテと共に情報精査を続けていた。


●第五番、猫を被った戦闘機械。

「…………フッ。いいでしょう、猟兵。そうこなくては」

 虚ろな目で、マザーは幸村のハッキングを防いでいた。
 あと数分、あと少しの時間を稼げばグリモア猟兵を始末できる。
 幸村と蔵人が護るフレスベルクの『ノインツェーン』を物理的に破壊できない以上、三人がバルタンと合流できないように足止めの戦力を注ぐ必要があった。
 そのため薄くなった戦線を食い破られ、次々に合流を許してしまったが……。

「それもまた計算通り。一網打尽にするための作戦。荷電粒子砲は防げてもこの六番は防げないでしょう」

 数分の時間を稼ぐために用意していた五番は、すでに無力化されていた。
 五番を無力化した三人の猟兵が、『ネルトリンゲン』に向かっていた。

●17/20。

『にゃー』『みぃー』『にゃぁん』

 リーヴァルディ、ひりょ、トリテレイアの三人の猟兵は、愛らしい猫の群れを伴って走っていた。
 正確には、それらは猫ではない。猫の外見を模した戦闘機械である。
 可愛い姿で油断させ、近づいたところを殺傷力のないモフモフの肉球で拘束し、他の戦闘機械に攻撃させるための、足止めのための捨て身兵器。
 猫好きを殺すためにマザーが用意した卑劣な戦闘機械だ。

 それらはすべて、リーヴァルディの支配下に落ちていた。

「……グリモア猟兵を逃さない為とはいえ、天空を覆ったのは失策だったわね。
 ……お陰で此方も全力を出す事が出来るもの」

 一行の前に立ちふさがる戦闘機械が現れる。
 すべての属性の精霊と交信することができる『精霊石の耳飾り』に雷の精霊を降霊させて、周囲の機械兵器を認識・索敵していたリーヴァルディは、出会い頭にその大鎌で斬り伏せていた。
 そして再び、ユーベルコードが起動される。

「……我が手に宿れ、雷の理。我に叛く心無き人形共を狂わせる病を此処に……!」

 《限定解放・血の教義(リミテッド・ブラッドドグマ)》
 吸血鬼のオドと精霊のマナを一つにして、属性と自然現象を合成した現象を発動する。
 吸血鬼化した血の魔力を溜め、戦闘機械の支配権を切断する。
 洗脳する毒電波を放ち、電脳ウィルスが戦闘機械を汚染していく。
 動きを止めた戦闘機械を、トリテレイアの機関砲付き馬上槍が撃破する。

 空から飛来した戦闘機械も、地下から放たれようとした荷電粒子砲も、リーヴァルディの電脳ウィルスによって汚染され、洗脳されて自壊していた。

『にゃー』『みぃー』『にゃぁん』

 同様の手法で洗脳した愛らしい猫を被った戦闘機械は、破壊されずに着いてきていた。
 ひりょのメカニック技術とトリテレイアの武器改造スキルによって、戦闘力のオミットは完了している。
 今はただの愛玩用にゃんこロボットである。

「『ネルトリンゲン』まで直線距離300mです。このビルを乗り越えて、ショートカットしましょう」
「わかった。移動中の迎撃は俺に任せてくれ」

 トリテレイアはひりょとリーヴァルディを『ロシナンテⅡ』に乗せて、推力移動でビルを登攀していく。
 地上から攻撃を仕掛ける戦闘機械たちは、ひりょのユーベルコード《絶対死守の誓い(ヒカリトヤミノシエン)》のもたらす闇の波動で倒されていく。
 光と闇の疑似精霊の力を借りて攻撃と治癒を両立させるこのユーベルコードを保ったまま合流すれば、他の猟兵たちの損傷を回復させることができる。
 そこからが猟兵たちの反撃の時だ。

 リーヴァルディは、眼下で鳴き続けるにゃんこロボットたちに命令を送る。

「……あなたたちは、ここまで。マザーの支配から離れて、自由に生きて」

 リーヴァルディに解放されたにゃんこロボットたちがデトロイトの街を駆けていく。

 『ロシナンテⅡ』がビルを乗り越え、その先にいる『ネルトリンゲン』へと向かってスラスターを噴出させて水平飛行をしながら降下していく。
 分断されていた猟兵たちの大半が一堂に集結し、未だ姿を見せないマザーとの決戦に備えていた。

 ひりょ、リーヴァルディ、トリテレイア、合流成功。

●第六番、偽・殲禍炎剣。

「よし、間に合った! ベストタイミング! これも計算通りです!」

 ガッツポーズを決めるマザーが、チャージしていた砲の射出口を開放する。
 この段階に至っては、隠蔽する必要もない。
 バルタンを含めた多数のグリモア猟兵を一掃する好機である。

「あなたたちの情報は集積済みと言ったでしょう。クロムキャバリアの兵器も当然。
 本物に勝るとも劣らない、偽・殲禍炎剣をとくと堪能してください」

●20/20。

 索敵能力を持つ猟兵たちは、上空の巨大なエネルギー源を察知した。
 探知能力を持たない猟兵であっても、『ネルトリンゲン』の上の空が不気味に揺らぐのを見た。
 そこに現れたのは、巨大なマザー・コンピュータの姿。
 身体中を機械で構成された、数百メートルにおよぶ巨大戦闘機械《マシン・マザー》の姿であった。

 『ノインツェーン』に搭乗していたフレスベルクは急いで『ネルトリンゲン』に向かっていた。
 その中でゲームをしていた幸村と蔵人が『ノインツェーン』を保護しているため、物理的に行動を阻害されない限り、戦闘機械の銃撃も攻撃も気にすることなく走り続けていた。
 《Die Wichtelmänner(ジョウホウヲセイスルモノハタタカイヲセイス)》
 幸村が非戦闘行為、すなわちゲームに没頭している間、情報の妖精さんが敵対象を解析して攻撃や弱点を見破るユーベルコードだ。
 さらには外部からの攻撃を遮断し、生命維持も不要になるため、『ノインツェーン』は防御を考慮することなく迎撃に専念できていた。

 蔵人は幸村がゲームに集中するための時間を稼ぎつつ、展開したテレビウムドローンと召喚した電磁シールド発振式総天然色スクリーン《セイブ・ウィンドウズ》を用いて地形情報の集積や仲間たちとの情報共有を補佐していた。
 幸村、蔵人、そしてここにはいないリーゼロッテのサポートもあって、マザーがガッツポーズを決める直前に、幸村はマザーの正体に辿り着き、情報共有を行っていた。

「急いでくれフレスベルクちゃん! マザーは上空だいたい200kmくらい!
 空中に巨大戦闘機械として飛翔し続けてやがったんだ!」
「デトロイト市の空から、わたくしたちを見下ろしていたということですか……!」
「あー、これたぶん、地上や地下の設備をいくつか接収して盛ってるね。
 何百年かわからないけど、歴史があるデトロイト市を年齢の基準値に設定して、
 増殖無限戦闘機械都市のパーツを組み合わせることで、
 《トランスフォーム・デトロイト》の発動条件を満たしている訳か……うわぁ」
「大丈夫! おじさんが合流出来たらあんな砲撃くらい遮断できる!
 ……あ、ちょっと間に合わないかも」

 光学迷彩を施していたマザーの姿が、明らかになる。
 デトロイトの街の上空に、もう一つのデトロイトが飛翔していた。
 これが、マザー・コンピュータ増殖無限戦闘機械都市モードである。
 その手に握られた大砲から、破壊の光が放たれようとしていた。

「さあ、お別れです猟兵たち!」

 天空から放たれる、破壊の光。フレスベルクには覚えがある。
 地上を薙ぎ払い、都市を焦土と化す殲禍炎剣の劣化版。
 規模こそ劣るものの、直撃を受ければ『ネルトリンゲン』であってもひとたまりはない。

「だめぇ!!」
「「させねぇよ!!」」

 フレスベルクの悲鳴に呼応するように、『ネルトリンゲン』から一騎の黒竜が飛翔した。

「何がこようが関係ねえ! "バルタンが攻撃を受けるという不運"!
 俺の『穢れを喰らう黒き竜性』で食らってやらァ!!」
「おいマザー! 俺様の友達を狙うんだ!
 ぶっ飛ばされる覚悟はできてるよなぁ!!」

 凌牙が、零時を載せて飛んでいた。
 《飛翔せし煉獄の黒竜(フェーゲフォイエ・リンドブルム)》の発動により、凌牙は全長20mの黒竜に変身して、マッハ9に匹敵する速度で飛翔した。

「来るぜ零時! 覚悟決めろよ……!」
「もちろんだ! 出し惜しむ理由は無い! 全力全開でやると決めたんだ!!」

 放たれた偽・殲禍炎剣が、射線上にあった『ネルトリンゲン』から"不運"にも凌牙へと向かう。
 バルタンたち猟兵の"不運"を食らった凌牙に破壊の光が直撃する。
 その直前に、零時が動く。

「身体と武具全体に。
 火、水、氷、風、地。 自然。 雷、闇、光、毒。
 ……ほぼ全属性の、属性付与、完了」

 溢れんばかりの魔力の本流が凌牙の上に巻き起こる。

「藍玉の杖はどの形態でも共通して『杖』としての役割がある。
 アクアマリンが核にある。
 つまり、この拳も足を叩きつければ、魔術を直接相手に発生させる事も出来る!」

『藍玉の杖・改』が零時の拳と脚の外装武具形態に変化して、纏われる。

「《〖極式《極輝煌王》〗(リ・アクロフォス)》、起動……!
 常時攻撃魔術複数展開! 光線収束! 一斉発射を、一本に!」

 バルタンが固唾を飲んで見つめている。竜の上の輝きを。
 フレスベルクが祈り、幸村が鼓舞し、蔵人が声援を上げている。
 ひりょは光の疑似精霊の光の波動による治癒を仲間たちに施している。
 リアナが見守り、百々と澪が二人にオーラ防御を施して生還を願う。
 イザベラとシャナミアが二人の行動の後に備えて、武装を換装する。
 リーゼロッテが衝撃に備えて大盾を展開し、生身の仲間たちの盾となる。
 クルワは水鳥の群れを展開して『ネルトリンゲン』への衝撃を和らげようとしている。
 七十は目を爛々と輝かせ、ディスターブは何の憂慮もなく微笑んでいる。
 メルトは『ナイツ』を上昇させて、事後の強襲を行うべくマザーへ近づいていた。
 リーヴァルディとトリテレイアは、マザーへの攻撃法についての算段を固めた。
 そして理緒は、『ネルトリンゲン』の形態を変形させていた。防御形態ではなく、攻撃形態へと。

 この場に集まったすべての猟兵が、凌牙と零時を信じていた。
 マザーの奥の手を打ち砕くと信じていた。
 その後に動くために。
 全身全霊、己の力を出していた。

「俺様の全力を纏めて込めた光線を! 叩き込む!
 ……此れが、これこそがッ!! 限界切り拓く可能性の化身ッ!

 俺様の超克《オーバーロード》だッ!!」

 零時が、偽神×純化形態を完全制御した真の姿、宝神と化す。
 全術式が超強化され、クリスタリアンの力が完全に覚醒している。
 真の姿を開放した零時が、偽・殲禍炎剣と衝突する。

「俺様の友達に手は、出させねぇ! 蹴散らせ螺旋貫き抉りて破砕せよ!
 俺様の全力を纏めて込めた光線を! 叩き込む!

 オーバーロード・カタストロフィ
 逆境全部、ぶち壊せッ!!!」

 凄まじい衝撃が、デトロイトの空中を奔る。

 白い破壊の光が、虹色の宝石の光と混じり合い、視界を覆い尽くす。

 そして。

 全身から出血する零時と、衝撃を至近距離で受けて鱗が裂けている凌牙の姿があった。
 凌牙が零時の足場として踏ん張ったことで、勢いに負けることなく偽・殲禍炎剣を消し飛ばしたのだ。
 損傷が激しい零時を載せて、凌牙が『ネルトリンゲン』へと帰艦する。

「……嘘」

 マザーが忘我する。
 すでにマザーの姿は目に見えている。奥の手も防ぎ切った。
 ここからは、猟兵たちの反撃の時間だ。

「みんな、やっちまえっ……!」

 零時の叫びに、誰ともなく応答の声が上がった。

●猟兵フルアタック!

 猟兵たちの反撃が始まる。

●一番。天御鏡・百々。

「まざあよ! グリモアは猟兵の絆によって護られる!
 如何に機械を操ろうと、単独である汝に破壊することは不可能だ!
 バルタン殿には傷一つ付けさせぬぞ!
 『おおばあろおど』、覚醒ぞ!」

 百々はオーバーロードを遂げ、真の姿を開放する。
 神の眷属である姿から、神の一柱として降臨する。
 溢れ出す神気が、神々しく眩い光を放っている。

「共に闘う猟兵たちよ! 今こそ、我らの絆を見せよう!
 我が全霊を持って、悪しき者を封じ込めよう!」

 百々が、自分自身である神鏡から聖なる神光を放出する。
 全身全霊を込めた神の光はデトロイトの全体を照らし、全てのオブリビオンのユーベルコードを無力化する。
 ただし、長時間の使用は百々の生命を危険にさらす。
 《至上の光》は、それほどの力を持つユーベルコードなのだ。

「な、何ということ……! このような光に、私の増殖無限戦闘機械都市が……!」

 天上からマザーが零れ落ちる。
 巨大化していた図体のまま、飛翔能力を失って落ちてくる。
 回避も防御もままならない、隙だらけの状態だ。

「もって90秒ほどだ! 一斉攻撃をお見舞いするぞ!」

 百々が『天之浄魔弓』を引き絞り、嚆矢となる渾身の一撃をマザーに撃ちつけた。

●二番。オーガスト・メルト。

 落下していくマザーへ最初に近づいたのは、羽ばたいていたメルトたちであった。

「俺たち相手に街ひとつ程度の寡兵で挑もうとは、随分と甘い作戦だったな」
『うきゅるるる!』『うにゃららら!』

 『ナイツ』を駆り、『デイズ』を伴って、連携攻撃を行う。
 『デイズ』の炎のブレスと、『ナイツ』の雷のブレスが、巨大なマザーの全身を右から左からと、焼いていく。

「あつつつっ! やめ、やめなさい! このっ!」
「熱いのは嫌いか? なら冷たい刃でも食らいな、マザー」

 メルトが『ナイツ』から飛び出して、焔迅刀の斬撃をマザーに浴びせかけた。
 喉を切り裂かれ、重要そうな配線が溢れ出る。
 それでもなお、マザーは動き続ける。
 猟兵たちの攻撃を耐え忍ぼうと、もがき続けている。
 マザーの中枢である核が、巨大化したマザーのどこかに必ずあるはずだ。
 その部位を探すべく、メルトは『ナイツ』に戻って旋回し、攻撃を繰り返していく。

●三番。栗花落・澪。

「さぁマザー、僕の舞台にようこそ♪」
「くっ……この、あと数十秒持ちこたえれば……!」

 マザーは全身を丸めて、防御姿勢を取る。
 オラトリオの翼をはためかせ、澪がマザーにめがけて拡声マイク『Angelus amet』を向けて、歌唱を開始する。

「~♪」

 澪の魅惑の歌がマザーに突き刺さる。
 暖かく微睡を誘う優しい歌声に、自由落下中であることを忘れ、マザーが瞳を閉じそうになる。
 固くしていた身体の力が抜けていき、無防備となる。

「……っ! いや、何を……!」

 異常に気づき目を瞠るマザーの目の前には飛び上がって来た澪の姿があった。
 虚をつかれたマザーに、澪が愛らしい笑顔と共に指を刺す。

「雷どーん♪」「ぴぎゃあっ!?」

 至近距離から雷属性の全力魔法を浴びて、マザーは悲鳴を上げることしかできなかった。

●四番。菫宮・理緒。

「《テスカトリポカの鏡》、起動。射線クリア」

 理緒は『ネルトリンゲン』の船体外部に装備された大口径主砲を発射形態へと変形させ、主砲の火力を最高値まで増強する。
 『鏡』の名の通り、『ソーラーレーザー』系の光熱線砲。
 先ほどの意趣返しの形となるのは、奇縁か否か。
 射線上から仲間の猟兵たちが離れたことを確認して、理緒は発射スイッチに指を置く。

「残敵はマザーのみ。なら収束モードでいっちゃえー!」
「ちょっ、ちょっと、待ああああああ!」

 大出力のレーザーがマザーの巨体を貫通し、胴体に大きな穴を開ける。
 零れ落ちるは機械や配線といったパーツで有機物は見られないが、痛覚は十分に機能している様子だ。
 派手に蠢くマザーの表情が苦痛に染まっている。

「見た目だけならちょっとお持ち帰りたいけど、そうもいかないからね」

 解析完了したマザー・デコイなら、一体くらいもらえるかもしれない。

●五番。トリテレイア・ゼロナイン。および、六番。リーヴァルディ・カーライル。

「それでは参りましょう。リーヴァルディ様」
「……うん。お願いね、トリテレイア・ゼロナイン」

 『ロシナンテⅡ』に騎乗した二人の出撃を、バルタンが手を振って見送る。
 トリテレイアの手には、バルタンから借り受けたパイルバンカーが握られていた。
 上空で仲間達が攻撃を続ける最中、トリテレイアとリーヴァルディは贈り物の準備を行う。

「さて、かの鋼鉄の母の元に馳せ参じる訳ですが」
「……うん。これで、どうかしら?」

 リーヴァルディは魔法黄金製の短剣型拷問具を取り出す。
 『黄金の楔』という名のそれは、対象の血液を啜り最適な形状の超硬度拷問具に変形する機能を有している。

 トリテレイアは頷いて『黄金の楔』を受け取り、『電脳禁忌剣アレクシア』の電脳空間から恐るべき弾頭を取り出した。
 《小惑星爆砕用特殊削岩弾発射装置&起爆制御装置(アステロイドバスター・ウォーマシンカスタム)》
 掘削移動し、炸裂時に最大半径115mが消滅する杭による超高速かつ大威力の一撃を放つ、クエーサービーストを爆砕するための代物だ。
 電脳魔術により、『黄金の楔』の規格と調整しつつ……弾頭を取り付けて、リーヴァルディに手渡した。
 もう一つ取り出した弾頭はバルタンから借り受けたパイルバンカーに取り付け、トリテレイアはパイルバンカーを構える。
 『ロシナンテⅡ』のスラスターによる推力移動で加速し、騎乗突撃を行う。

「いざっ!」
「……うん」

 リーヴァルディは吸血鬼化した血の魔力を溜め、トリテレイアの突撃に合わせて『黄金の楔』の投擲を行う。
 トリテレイアのパイルバンカーとリーヴァルディの『黄金の楔』が、掘削移動しながらマザーの両脚部を貫いていく。

「いたたたた!? な、何を入れたのですか、猟兵!」
「今を生き、未来を望む人々の為に! 二輪の花を捧げましょう!」
「……灰は灰に。塵は塵に。過去が私の前に立たないで」
「……? あ、ぎ、ぎゃああああ!?」

 二つの弾頭が爆発し、マザーの巨体を揺るがす。
 下半身を消滅させられ、機械パーツをばら撒きながらマザーは絶叫を上げていた。

●七番。鳳凰院・ひりょ。および、八番。地籠・凌牙。

「よっしゃ治った! 行くぜ、ひりょ!」
「ああ、凌牙さん! 零時さんは、もう少し休んでおいてくれ」

 ひりょの光の波動でダメージを治癒された凌牙の黒竜形態に載り、ひりょはマザーへと向かっていく。

「ひりょのおかげで調子がいいぜ!
 合流する前にタライが頭に落ちてきて、ずっと首が痛かったんだ!」
「マザーの奴、そんな機械兵器まで動員してたのか……」

 ひりょの治癒の光は、凌牙だけではない。
 零時はもちろん、攻撃による排熱を重ねたキャバリアたちの損傷、荷電粒子砲を防いだリアナ、他にも細かな傷を負った猟兵たちが、皆、ひりょの力によって回復していた。
 彼がいるかいないかで、この戦いの趨勢は大きく変わっていたかもしれない。

 会話をしている間に、凌牙がマザーのいる高度まで到達した。

「やめなさい、やめろと言っています!」
「うるせぇマザー! 地獄への片道切符を押し付けてやる!」

 凌牙がマザーに接近し、ブレイズキャリバーの特性である憤怒の炎のブレスを顔に吐きかける。
 そして視界を覆い隠している間に、纏うと空を飛べる衣『飛翔衣』を着たひりょが、凌牙から飛び降りて『破魔刀』を抜く。
 持ち前の怪力で刀を振りかぶり、マザーの巨体へ斬撃波を放つ。

「覚悟しろマザー!」
「いたぁっ!!」

 ひりょの斬撃がマザーの左胸部位に大きな切り傷を刻み込む
 出血の代わりに配線やオイルが漏れ、マザーが痛みに悶えていた。

「心臓にはない、か……!」

●九番。リアナ・トラヴェリア。

「これだけ隙があれば、私だって」

 仲間の猟兵たちがマザーを損傷させ、翻弄させている。
 それゆえに、巨大化した黒剣を抱えてリアナは飛翔していた。

 ドラゴニアンではあるが、リアナは空中戦に精通しているタイプではない。
 それでも、背中の翼を羽ばたかせてマザーを黒剣で叩く距離まで近づくことは可能だ。
 リアナの『黒鱗剣』は、リアナの行動に応答して自動的に形状が変化する。
 この戦いの最中、《喰らいつく魔獣の顎(グラットンソード)》で吸収してきたエネルギーを、リアナの戦闘力に変換する。

「くっ、この猟兵っ……!」
「そうよ。私たちは猟兵!
 オブリビオンを倒して、世界に未来をもたらすために戦うんだ!」
「ぐああああああ!!」

 リアナの防御を考慮する必要のない捨て身の一撃がマザーの額を砕き、その奥に潜む本体を引き摺り出すことに成功した!

●十番。御宮司・幸村。十一番。巨海・蔵人。十二番。リーゼロッテ・ローデンヴァルト。および、十三番。兎乃・零時。

「バルタンちゃん、ハロー😊 いつぞやの依頼ぶりー♪」

 『ネルトリンゲン』の甲板の上で、イェーイのハイタッチを交わして、幸村とバルタンが挨拶を交わす。
 上空ではマザー・コンピュータがフルボッコにされている。
 これからもされる。
 仕事を終えた後方支援者たちは、バルタンを交えて見物の構えに入っていた。
 幸村がゲームに集中している現在、たとえマザーが自爆したとしてもバルタンたちに被害は及ばない。
 バルタンはボロボロになってる零時に近づき、救助活動を開始していた。

「マザー本体は無理だったけど、デコイが手に入ったからねぇ。いろいろと面白い試みができるかも♪」
『おっほっほ! 御主人様は実に強欲ですわね!』

 情報処理を補佐していた人型ドローンの『レディ・ギガ』を伴って、『ナインス・ライン』から降りたリーゼロッテが近づいてきて、ゆっくりと腰を下ろす。

「それで幸村さん。マザーはどれくらいで落ちそう?」
「あの高度からだと、自由落下でだいたい60秒かそこらで地面に落ちるねー。
 現在50秒過ぎたところだから……そろそろ墜落するよー✨
 キャバリア部隊のお嬢さんたちは落ちたところを叩き潰す構えみたいだね☆」

 視線を向けると、甲板の際に『レッド・ドラグナー』、『ノインツェーン』、『マイティー・バリー』が整列している。
 そして。キャバリアの前には、七十、クルワ、ディスターブが並んでいる。
 歩兵である三人は、砲撃によるトドメの一撃の前に一発食らわせるために並んでいるようだ。

「うーん、圧倒的だね。さすバル。
 敵のお膝元だからか、僕のネットはデトロイトの外まで届かなかったけど、
 ドローンやバリアで幸村さんやリリー先生のお手伝いはできたね」
「蔵人さんもお疲れ様♪ いやあ、いい働きだったよ、とってもやりやすかった!
 ……ところでさ。フラグになるけれど、言ってもいいかな?」
「んん? ……ああ……、良いと思うよー😆 みんなもせーので言おうぜ!」

 リーゼロッテが落ちてくるマザーを見つめて、口にする。
 バルタンも、零時も、幸村も蔵人も、笑顔で合わせて口にする。

「「「「「やったか?」」」」」

 巨体は、地に落ちた。
 決着は、もうすぐである。

●十四番。神咲・七十。

 大地に打ち付けられ、ユーベルコードを封じられているマザーは、残骸から這い出ていた。
 頑丈なフラスコのようなポッドは落下ダメージを防ぐ強度を保っていたが、巨体の状態で累積していたダメージはマザーの心身を消耗させていた。

「くっ……この私が、地べたを這いずる羽目になろうとは……」
「さて、後はマザーですかね。面白い場所でしたよ」

 マザーが頭を上げると、周囲には七十と、七十の隷属化にある機械兵器たちが集まっていた。
 タスケテー、タスケテーと、人形兵器たちからマザーの設定した悪趣味な音声が繰り返されている。

「な……! わ、私の言うことを聞きなさい! 私の作り出した戦闘機械でしょう!」
「あー。え~と、まあ。……もう、ガッと行ってしまいましょう」

 《万花変生》に支配された戦闘機械たちが、マザーに殺到する。
 マザーを隷属させようと、大量の食物植物を飛ばしていく。
 ポッドのガラスを這い寄る植物に叩かれ、マザーは小さく悲鳴を上げる。
 ポッドを飛行させて、這う這うのていで逃げ出すマザーの足元で、残された巨大戦闘機械の残骸が、七十の食物植物に隷属されていく。

「ああ、待ってくださいよ。また見たいので……私に喰われてくださいな」
「ひぃぃぃ!?」

 大量の植物を伴って笑顔で迫る七十から、マザーは悲痛な叫びをあげながら逃げ出した。

●十五番。ディスターブ・オフィディアン。

 そして、逃げ出した先にはカードを手で繰っているディスターブが待ち構えていた。

「さて。マザー、これでも食らうといい」
「……はっ。戦闘機械たちならいざ知らず。
 ただのカード如きで私の保護容器を破れるとでも」

 ディスターブがカードを投擲する。
 カードに合わせて放たれた磁力の矢がポッドに罅を入れた。

「なんでぇ!? そんな、このカードそんなに強度は……あ、これは、魔力反応!?」
「目に見える情報ばかりに気を取られて、普段なら気づけることに気づけなくなる。
 いいかい? 目に見えなくても大切なものってのはあるものさ」

 恭しくシルクハットを手に取り、一礼するとともに、ディスターブは540本もの《エレメンタル・ミサイル》をマザーへと浴びせかけていく。
 ポッドの強度限界を超え砕かれる寸前で、マザーはポッドの緊急機能を稼働させて、ローリング回避を始める。
 予想外の挙動に驚きつつも、ディスターブはクルワが待つ方向へマザーを誘導するために、魔法の矢を撃ち続けていた。

●十六番。外邨・蛍嘉。

 魔法の矢の攻撃に耐えきれず、ポッドの外装が破損した。
 マザーは野晒しにされ、息も絶え絶えに外気を吸い込む。
 髪の毛を模したケーブルがまだポッドの土台に接続しているため、行動は可能だ。

「はぁ、はぁ、……あと、あと10秒、持ちこたえれば、デトロイトと再合体を……!」
「イイエ。アナタが10秒持ちこたえることは、できマセン」

 マザーが見上げたその場所には、クルワが大量の水鳥を伴って立っていた。

「……私は、防水加工が施されて」
「デハ、ケーブルを切断させてもらいマス」

 クルワは水鳥たちをマザーに突撃させる。
 前後左右、そして上方から殺到する水の圧を受けて、マザーは身動きを取ることができなくなる。
 踏み込んだクルワが、妖影刀『甚雨』を抜き放ち、水鳥を避けさせてマザーのケーブルを一つ残らず斬り捨てた。

「ごぼ、がばばっ、ごばっぼっ……!」
「マザー、アナタは手の出し方を間違えた。それでは、皆様。あとはヨシナニ」

 百々のユーベルコードの猶予を数秒残して、クルワは静かにマザーの元を立ち去る。
 残されたのは水鳥に包まれ、指一つ満足に動かすことができないマザーだけであった。

●十七番。シャナミア・サニー。十八番。フレスベルク・メリアグレース。および、十九番。イザベラ・ラブレス。

 『ネルトリンゲン』の甲板にシャナミア、フレスベルク、イザベラが整列していた。

「この戦況なら射程を強化、移動力を犠牲! 一点を狙撃で必ず撃ち抜いて見せる!」
「子に親殺しをさせるようなものですが……ここで決着をつけさせて貰います」
「こいつは冗談抜きでヤバいわよ。……特に一発当たりの値段が」

 クルワの合図を確認して、マザーへの最期の一撃を下すべく、三機のキャバリアがユーベルコードを伴った攻撃を開始した。

 シャナミアは再び《メインウェポン・チェンジ》を起動して、『ロングバレル・レールライフル』を展開する。
 次弾装填に時間がかかるものの、遠くに転がるマザーを貫くには最適の選択であった。

「シュート!」
「ぐええっ!?」

 水鳥のドームを貫き、マザーの本体に着弾した。
 ポッドの下部機関が完全破壊され、マザーは上半身だけで宙を舞う。

 続けて、フレスベルクがユーベルコードを起動する。
 《群生し量産される無垢なる鋼の災厄たる落とし子(マルヤ・スーパーチャリオット)》
 展開するは1070本のスーパー戦車砲。
 半径107m以内に存在する敵を全て破壊する鋼の災厄、フィールド・オブ・ナインの一角をフレスベルクが模した戦力だ。
 敵味方を区別しない無差別攻撃によって、攻撃回数が三倍になっている。

「ここに無垢なる鋼の災厄は群生する。ここに無垢なる落とし子は量産される。
 ここに無垢なる者よ、数多に生まれ出でよ……」
「E3828FE38293E3828FE38293EFBC81E38080E3818AE6AF8DE38195E38293EFBC81E38080E38395E383ACE382B9E38399E383ABE382AFE3818AE5A789E381A1E38283E38293E381A8E4B880E7B792E381ABE9818AE381BCE38186EFBC81E38080E3828FE38293E3828FE38293E3828FE38293EFBC81」
「なっ、スーパー戦車!? いつの間に、猟兵に……!」
「放てっ!」

 マザーは召喚されたスーパー戦車砲を見て驚愕に囚われ、3210門の砲撃を受けて木端微塵に消し飛んでいった。
 マザーのいた地域が砲撃により、更地と化した。

 それでも。
 ナノマシンサイズの、マザー・コンピュータのコアが戦場に残っていた。
 百々のユーベルコード、《至上の光》の効果は砲撃の最中に終わっている。
 ここからユーベルコードを起動すれば、時間はかかるが挽回はできると、マザーは勝利を確信していた。

「(勝利を確信した猟兵たちが帰還した後、身体を再構築すれば、再起ができる……!
 次こそは必ず……ん?)」

 そこへ、イザベラの特殊弾頭を搭載した長距離多目的誘導弾、『ツァーリ・ラケータ』が降り注ぐ。
 粉々になったとはいえ、相手はオブリビオン・フォーミュラ。
 油断することなく、アポカリプスヘル有数の傭兵であるイザベラは、温存してきた切り札を放っていた。

「え? 何? もう死んでるって?
 やだやだー! 私も思いっきり吹っ飛ばしたーい! ヒャッハー!」

 その特殊弾頭とは、《崩壊汚染弾頭(ダーティー・ヘッド)》と呼ばれる闇市場に極稀に出回るという曰く付きの品物だった。
 あらゆる銃砲類に使用できるこの追尾式特殊弾頭は、命中した物体に解読不能なコンピューターウィルスを流し込み、部位を爆破するという恐るべき性能を有していた。
 四発の『ツァーリ・ラケータ』がマザーの破片を残さず破壊し、爆破し、汚染して、殲滅していく。

「(そんな、あり得ない! この私が、こんな……! こんなぁぁぁ!!)」

 マザーのコアは猟兵たちに断末魔を聞かせることすらできずに、コンピューターウィルスに汚染されて爆破されていく。
 灼熱の爆撃により消毒されて、増殖無限戦闘機械都市は完全に沈黙した。

●勝った! 完!

「……オーライ! マザー・コンピュータ、撃破確認デース!」

 グリモアを見つめていたバルタンが叫ぶと、その場の猟兵たちが鬨の声を上げる。
 激しい戦いの末、ようやくオブリビオン・フォーミュラを討伐することに成功したのだ。
 互いに健闘を称え合い、それぞれの活躍をねぎらい、猟兵たちは『ネルトリンゲン』の甲板に集まり、ワイワイと騒いでいた。

「皆様のおかげでワタシもこうして無事であります!
 ありがとうございマース! 助かりマシター!」

 一人一人に語り掛け、バルタンは帰還の準備を始める。

「詳細レポートはおそらく戦争が終結した後に提出することになりマース!
 見ていない場所で何があったか、他の方がどんな活躍をしたか、ご確認してくだサーイ!」

 誰一人欠けることなく、バルタンが予知したアポカリプスヘルの戦争は無事に完遂した。
 暁が上る湖を見下ろしつつ、猟兵たちはグリモアベースへと帰還していった。

 フィールド・オブ・ナインの第2席『マザー・コンピュータ』、撃破!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年09月26日


挿絵イラスト