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銀河帝国攻略戦⑬~テイルグラスパーズ

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦

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●潜む大蛇
「ムシュシュ、猟兵も中々やるねぇ。これはひょっとしてひょっとするかな?」
 実験戦艦ガルベリオン。その艦橋のモニターには猟兵達『解放軍』によって次々と突破されていく戦線の様子が映し出されていた。そこに響き渡る子供の声はいっそ場違いにも思えたが、声の主の姿はそれに輪をかけて異様であった。
 クマのパーカーを羽織った剥き出しの脳髄。彼、あるいは彼女の名を、ドクター・オロチという。銀河帝国の執政官兼科学技術総監という立場にある異形は、他に動く物の無い艦橋で一人笑う。
「ま、オロチウイルスの準備は出来てるし、義理は果たしたよね。後は高見の見物でもしてよっか、ムシュシュシュシュ……」

●ガルベリオンを発見せよ
「みんな、お疲れ様!早速だけど次の作戦が始まるよ!」
 エンペラーズマインド・コアへの道を切り開いた猟兵達が戻ってくると、そこにはイデア・ファンタジア(理想も空想も描き出す・f04404)が待ち構えていた。

「銀河帝国のドクター・オロチについては知ってるかしら?ヘリドトスの戦いに参加してた人は声を聞いてたかもしれないね」
 ヘリドトスの戦いでは、ドクター・オロチを名乗る声によって宇宙船が撃沈されてしまっている。現場にいた猟兵達の中には、あれが良くないモノだと直感した者もいることだろう、是非とも撃破しなくてはならない。この戦いが銀河帝国との決戦である以上、彼奴もどこかには居るはずなのだが。
「残念だけど、ドクター・オロチの乗る『ガルベリオン』がどこにいるかは把握できていないのよ。このままエンペラーズマインドが陥落すれば雲隠れされて、その機会は永遠に失われることになっちゃうの」
 そうなってしまえばドクター・オロチを倒せなくなるだけでなく、オロチウイルスによる虐殺を防ぐ手立てが無くなってしまう。猟兵には、特に宇宙船を解放軍に合流させるため尽力してきた者には到底見過ごせる話ではない。
「ドクター・オロチが派遣してきた戦艦に、ガルベリオンの居場所を秘匿するジャミング装置が積まれてた事が分かったの。これを破壊してきてちょうだい」
 ジャミング装置は対象のトラウマを喚起する。強い心で立ち向かわなければ破壊することは叶わないだろう。

 蛇の尻尾を掴むべく、猟兵達は過去と対峙する。


渡来あん
 初めましての人は初めまして、お久しぶりの人はお久しぶりです、渡来あんです。
 銀河帝国攻略戦、第2段階です。

 このシナリオでは、ドクター・オロチの精神攻撃を乗り越えて、ジャミング装置を破壊します。
 ⑪を制圧する前に、充分な数のジャミング装置を破壊できなかった場合、この戦争で『⑬⑱⑲㉒㉖』を制圧する事が不可能になります。
 プレイングでは『克服すべき過去』を説明した上で、それをどのように乗り越えるかを明記してください。
『克服すべき過去』の内容が、ドクター・オロチの精神攻撃に相応しい詳細で悪辣な内容である程、採用されやすくなります。
 勿論、乗り越える事が出来なければ失敗判定になるので、バランス良く配分してください。

 このシナリオには連携要素は無く、個別のリプレイとして返却されます(1人につき、ジャミング装置を1つ破壊できます)。
 『克服すべき過去』が共通する(兄弟姉妹恋人その他)場合に関しては、プレイング次第で、同時解決も可能かもしれません。

 皆様のプレイングをお待ちしています。
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第1章 冒険 『ジャミング装置を破壊せよ』

POW   :    強い意志で、精神攻撃に耐えきって、ジャミング装置を破壊する

SPD   :    精神攻撃から逃げきって脱出、ジャミング装置を破壊する

WIZ   :    精神攻撃に対する解決策を思いつき、ジャミング装置を破壊する

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

黒城・魅夜
トラウマ……ですか?
それは私の身がこの忌まわしき鎖で拘束され続けていたこと?
抉られ、斬られ、穿たれ、刺され、折られ、千切られ続けていたこと?
焼かれ、溶かされ、喰われ、剥がれ続けていたこと?
泣きじゃくり、絶叫し、吐き、喘ぎ、許しを請い続けていたこと?

確かに見事な幻影。あの「悪夢」の中のことが再現されて。
けれど、一顧にすら値しません。

私の中には常に「あの方」との絆があります。
おわかりですか、私が今ここにいるということは。
「あの方」が私を助けてくださったその事実が揺るぎないということです。
その想いがある限り――我が鎖は幻影を撃ち砕く。

私こそは「悪夢の滴」。さあ、張りぼての悪夢の模造品よ、消えなさい。



 少女が囚われている。無数の鎖に絡めとられ、その身を無間の責め苦が蝕んでいる。
 肉を抉られ、骨を折られ、皮を剥がれ。
 慟哭と嗚咽と哀願ばかりが己の口から飛び出す様を、黒城・魅夜(悪夢の滴・f03522)はどこか他人事の様に感じていた。
(これは、あの悪夢の再現ですか。確かに見事な幻影です)
 かつてこれらは魅夜から全てを奪った。己を示す文字列さえ塗り潰した永遠の苦痛は、こうして客観的に見ても悍ましい物だ。
(けれど、一顧にすら値しません)
 そう、この後の出来事を魅夜は覚えている。『あの方』に救われた記憶。その絆を常に感じている彼女は今更こんな紛い物に竦むことは無い。このまま耐えて、それで。

 ――このまま耐えていれば、またあの方が救いに来てくれる。

(――!?)
 それは悪魔の囁きだった。内なる声を装った、邪悪なる脳髄の罠。慕い求め続ける者の姿をもう一度目に、声を耳にすることが出来るぞと、魅夜と同じ声音が脳裏に響く。
「ふざけないでください……!」
 悲鳴を遮り口をついて出たのは冒涜者への怒り。
「『あの方』は既に私を助けてくださった。それに唾吐く真似など許せるはずがないでしょう」
 鎖が拘束を解き、魅夜に恭順を示す。幻影を撃ち砕かんと鎌首をもたげる。
「私こそは『悪夢の滴』。さあ、張りぼての悪夢の模造品よ、消えなさい」
 そうして、悪夢とその支配者は一纏めに貫かれたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

アポリー・ウィートフィールド
ドクター・オロチ。あのオブリビオンの異物感は突き止めねばならぬ。だが…

幼い頃の記憶。ウィートフィールド家では、イナゴの顔を持って産まれた子は災いをもたらすとされ、アポリオンの名を与えられ、狭く暗い部屋に閉じ込められ、残飯のような食事で育てられたのだ。華やかなキマイラフューチャーに似つかわしくない陰惨な過去よ。長らく、記憶に鍵をかけていたが…その再現か。

だが、尋常ならざる空腹に苛まれた我は、これを己で破ったのだ。その記憶に倣えば良い。即ち、部屋を構成するコンクリート壁を「食い破る」こと。

久方ぶりのお袋の味。世界を巡って色々食べた今なら、不味いながら懐かしくも感じるものだ。



 狭く暗い部屋に男が一人。アポリー・ウィートフィールド(暴食のイナゴ男・f03529)は、自身の肉体が幼い頃のそれに変化している事に気付いた。
「これは……そうか、思い出したぞ」
 視線を下に向ければ、床に置かれた皿と残飯の様な物が目に入る。上に向ければ、窓一つない壁と僅かな明かりのみ。虐待と呼んで差し支えないこれらは、彼の生家、ウィートフィールド家の闇だ。

 災いの子アポリオン、決して世に出すべからず。

 己の顔を撫でるアポリー。持って生まれたイナゴの顔は、彼に不幸をもたらした。しかし同時に、彼に強力な武器を与えもしたのだ。
「尋常ならざる空腹、これも再現するか。ならばこちらもかつての記憶に倣うまで」
 幼かった彼は、部屋の壁を文字通り『食い破った』。今回も同様の手段でこの悪夢から抜け出せるだろう。壁の前に立ったアポリーは、しかし少し考えて床の皿に向き直る。

 キマイラフューチャーにおいて食料は際限なく手に入るが、この残飯の様な物はその範疇に無い。ならばこれは彼の親の手作り。歪ではあるが、お袋の味と称される物だ。
 ゴリゴリと皿ごと噛み砕き飲み込むアポリー。見た目に違わず不味い、だが。
「世界を巡って色々食べた今なら、不味いながら懐かしくも感じるものだ」
 ご馳走様。手を合わせた彼は、改めて壁を食い破る。穴を抜けるとそこは現実、目の前には脳髄を模した醜悪な装置。だがそれも食後のデザートに過ぎなかった。

成功 🔵​🔵​🔴​

レド・ダークライト
···くだらんな。
トラウマなぞかつて故郷を襲った宿敵との記憶くらいだろうか。
だが、それはもう過去のもの。
ジャミング装置の精神攻撃など乗り越えてみせよう。

要は「気合い」だ。
俺を鍛えてくれた師匠が言っていた、「力こそパワー」だと。
この絶対的な力があれば、過去など斬り伏せることができると、あの人が教えてくれた。
だから大したことは無い。
「覚悟」を決めたならば距離を詰め、【双撃の血涙】でトラウマを斬り伏せる!
そのまま「2回攻撃」でジャミング装置のを破壊させてもらおうか!



 レド・ダークライト(紅き閃光・f01284)は貴族の跡取りだ。都で家族に囲まれて過ごす穏やかな日々は、しかし唐突に終わりを告げた。
 燃え盛る屋敷、血溜まりに伏す大切な者達。それを成した敵の姿を見て、レドはここが夢の中である事を思い出した。
「……やめろ。これは過去の話だ。くだらん幻を見せるんじゃない」
 不快を滲ませた声は、しかし眼前の光景に何の影響も与えない。このまま全てが終わるまでただ眺めているしかないのだろうか。

 その時、レドは自身の背後に佇む存在に気が付いた。それは彼が良く知る者の姿。
「先生!?どうしてここに……」
 白鱗の女性はレドの師匠だ。本来この場にいる筈が無く、悪夢が見せる筈も無い存在。幻の彼女は黙して語らず、その紅い瞳で教え子をじっと見つめるのみ。だがそれだけで十分だ、必要な事は既に伝授されている。無言のメッセージをレドは確かに受け取った。
「そうだ……要は気合い!力こそパワー!そうでしたね、先生!」
 今の彼はかつて何も出来なかった頃とは違う。師匠に鍛えられ、絶対的な力と、何より覚悟を手に入れた。眼帯を整え、己のトラウマに立ち向かうレド。

「我が双撃を持って散るがいい!どけ!」
 一息に距離を詰め、振り下ろした斧が敵の頭蓋をかち割った。そのまま振り下ろせば空間がひび割れ、ジャミング装置が露わになる。それを斬り伏せる追撃の黒剣。悪夢が消え始め、師匠の姿も薄れてゆく。
「先生……ありがとうございました」

成功 🔵​🔵​🔴​

モリ・ダニー
【POW】
過去が変えられない以上
上から強く大きな未来で清書の一部にするしかないのだ

トラウマ
モリ:過去の相棒との死別
ダニー:大きくなって可愛くなくなったという理由で捨てられた事

製作者の腐った性根がよく分かる防衛装置だな、ダニー!
(∪´ω`)クゥ~ン…
……ダニー、怖いか?怖いよな、俺だって怖い。
俺とお前で見えている恐怖は違うから確かな事は言えないけどよ
俺達、1個と1匹で恐怖が二倍なら
お前と俺で二倍の勇気と覚悟で踏ん張るしかない
ダニー、お前は俺が支えるからよ
お前は俺を支えてくれよ

俺達のユーベルコードは悪を喰らう能力だ、こんな性悪ジャミング装置
オヤツみたいなものだろう?



 ヒーローマスクのモリ。サモエド犬のダニー。合わせてモリ・ダニー(ワンワンウォー・f10971)は、それぞれが別個の光景を目にしていた。
 死別した相棒。遺族の中にモリと心を通わせられる者はおらず、ただの古ぼけたゴーグルとして捨てられたモリ。
 心無い飼い主。可愛くなくなったという理由で身勝手にも放り出されたダニー。
 別離の悲しみと孤独への恐怖。とうに消え去ったはずのそれらが、今になって蘇り襲いかかってきていた。
「製作者の腐った性根がよく分かる防衛装置だな、ダニー!」
「クゥ~ン……」
「……ダニー、怖いか?怖いよな、俺だって怖い」
 ダニーの鳴き声は力なく、そこには怯えの色が混ざっている。だがそれを責めることはモリには出来ない。彼もまた心を抉るトラウマに恐れを抱かざるを得ないからだ。
「俺とお前で見えている恐怖は違うから、確かな事は言えないけどよ」
 だが彼らはもう孤独ではない。心を通わせる相棒の存在を肌が感じ取っている。
「俺達、一個と一匹で恐怖が二倍なら。お前と俺で二倍の勇気と覚悟で踏ん張るしかないんだ」
 相棒の激励に、丸まっていたダニーの尻尾が高く上がりだす。その様子にモリもまた温かい物を感じ、活力を得ていく。
「ダニー、お前は俺が支えるからよ。お前は俺を支えてくれよ!」

 そして彼らは耐えきった。悪夢から脱出した彼らを目にした者達は、宇宙に煌めく艶やかな毛並みに目を奪われ――咥えられたフォースセイバーが閃いた!

成功 🔵​🔵​🔴​

文月・ネコ吉
■雨の中の過去
俺は2年前まで殺し屋だった
それが当たり前の日常だった
恨みでもなく怒りでもなく
ただ生きる糧として人を殺した
何人も何人も
肉を斬り裂く嫌な感触は今もこの腕に染みついている

そんな俺が今じゃ猟兵だ
他人の未来を奪った俺が未来を護る?
全く笑い話もいいとこじゃないか
そんな資格ある筈もないのに

囁くように雨が降る
全てを忘れて楽になればいいのにと

■克服
いや違う、分かってるだろ畜生め
この過去は俺の一部だ
目を逸らしたって意味はない

彼らは確かに生きていた
消えゆく鼓動を体温を俺は一生忘れない
過去を抱えて未来を繋ぐ
その為に俺は猟兵になった

これが彼らによって生かされた
今の俺の生き方だ

■装置破壊
短刀で素早く一刀両断



降りしきる雨がネコ吉の毛を濡らす。目の前には尻餅をついた男。ネコ吉の仕事――殺し屋としての標的だ。
 その男が何をしたかネコ吉は知らない。誰かがこの男の死を望み、自分に報酬が示された、それだけで十分だった。復讐の代行者を気取るつもりなどさらさら無く、ただ生きる糧として屠るのみ。命乞いを聞き流し、何時ものように獲物の肉を斬り裂こうとして――ふと目に入った看板で我に返った。

『文月探偵倶楽部』

 そうだ、今の自分は文月・ネコ吉(ある雨の日の黒猫探偵・f04756)だった。2年前のあの日、行き倒れていた所を拾われてから、何の因果か猟兵として未来を護るために戦う事に。こんな自分が解放軍だ何だと持て囃されている。全く笑い話もいい所だ、そんな資格などある筈も無いというのに。
 体が冷える、早くあの場所へ帰ろう。相棒と盟友と、仲間達が居る温かい場所へと。

「……いや違う、分かってるだろ畜生め」
 結局、当時のネコ吉にはこれしか無かったのだ。彼が仲間達と出会えたのはあの日まで生き延びていたからであり、命が繋がっていたのは殺し屋をしていたからだ。
「この過去は俺の一部だ。目を逸らしたって意味は無い」
 標的へと近づいていく。目の前の存在が確かに生きていたのだと理解し、そしてそれを再び終わらせる為に。
「あんたの分まで未来を繋いでみせるさ。それが今の俺の生き方だ」
 短刀が閃いた後に男の姿は無く、両断された装置だけが残されていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

犬憑・転助
>過去
転助は狼に呪われた一族の出です。
しかも歴々と続く中で薄れつつあった呪いの血を色濃く受け継ぎ生まれた溜め、10の頃には二振りの刀を持たされ里を追い出されました
極寒地の地である里の外は寒く、ひもじく
しかし行く先々でキツネ耳でない事に気づかれると排斥され、石を投げられ追い回される日々

>克服
辛い過去は決して消えない
が、今の俺は生きている、生きている事が何より自分が間違っていない証拠
猟兵となりオブリビオンを斬る日々になっても、自分が生きている限り自分は間違っていないと、そう断言できる
生きている事=自分は間違っていないという信念

トラウマを超嗅覚で幻と見切り斬る

サムライに斬れないものは、ないんだぜ?



 犬憑・転助(孤狼の侍・f06830)はサムライエンパイア出身の人狼だ。狼に呪われし一族、その中でも特に濃い血を発現した先祖返り。長い歴史の中で呪いを忘れかけていた里にとっての忌み子。10の頃には里を追い出された。持たされた二振りの刀はせめてもの情けか、あるいは体のいい厄介払いか。
 安住の地など無かった。寒さとひもじさと、何より周囲の者達が、転助の存在を拒絶し続けた。狼の耳を隠そうとしても、必ずどこかで露見してきた。放浪の日々。

「だが、今の俺は生きている」
 悪意の装置により再現された苦難が襲いかかる。凍え震える吹雪の中、どこからともなく飛来する石礫を容易く見切る転助。
「生きているなら、俺は間違っていない。猟兵となった事も」
 猟兵には周囲の者に違和感を抱かせない能力があるが、それは転助の様な者にとっては呪いにもなり得る。猟兵となった事で、彼が真に受け入れられる未来は閉ざされた。……未練はない。たらればに意味は無く、今が間違っていないという事実だけで十分だ。

 腰の刀に手をかける。白狼刀と白狽刀、里を出て以来の相棒達。先祖返りとして生まれたことも決して間違いで無かった。今こうして彼の力となるのだから。
「悪いが俺の鼻は特別製でね。――サムライに斬れないものは、ないんだぜ?」
 刹那、あらぬ方向へ斬りかかる。空振りに終わると思われた一閃は、文字通り『空を斬った』。空間の裂け目は瞬く間に広がり、精神世界が崩壊する。続く二閃が悪魔の脳髄を斬り捨てた!

成功 🔵​🔵​🔴​

烏丸・都留
【WIS】選択

背景
最後はアドミラリティコード「仮想敵の観察と保護(略取)」により観光艦としてある都市にいた。テロ事件で結果都市を消滅させ覚醒し、シガラミから解放された。
 なぜか心に残っていたインペリアルコード「人類種を守護せよ」これはあの方からの命令? 過去の虐殺が何よ!確かめるまであの方に会うまでここで沈むのはいやよ!

対応
 生体型宇宙戦艦を未確認なので、自身の艦隊を偽装しドクターの興味を誘うようアクティブデコイとリレイユニットで生体ネットワークを組み、態とファイアーウォールに隙を作り、ウイルス等を誘い込み処理。並行して装置を捜索、戦術アサルトユニットで破壊。自身はメンテナンスユニット内に。



烏丸型強襲揚陸艦二番艦『鶴丸』。彼女は今まさに絶体絶命の危機にあった。
「貴艦には先の都市壊滅において主犯の嫌疑がかけられている」
「直ちに武装を解除し投降せよ。従わぬ場合反逆と見なし撃沈する」
 宙域を埋め尽くす大艦隊。届けられる通信はどれもこちらを敵視するものばかり。無理もない、彼らの言っている事は正しいのだから。

 彼女が烏丸・都留(ヤドリガミの戦艦傭兵ナース・f12904)として覚醒した時、彼女が居た都市は彼女自身の手によって消滅した。覚醒前後の言わば暴走状態での事であり、決して彼女自身の意思では無かったが……それで罪が無くなる訳ではない。本来ならば素直に投降すべきかもしれないが、そうはいかない理由が彼女には有った。
(『人類種を守護せよ』……この命令は一体?誰がどうして下したのか、確かめるまで沈むのはいや!)
 最上位命令を下せるのは銀河皇帝のみ。この命令を下した彼の真意は何なのか、あるいは誰かがそのように偽装したのか。それを知りたい一心で、都留は逃亡を選択する。

(アクティブデコイ射出!リレイユニット接続、生体ネットワーク構築!)
 囮を惜しみなく放出し目くらましに。ファイアウォールにわざと隙を作り侵入を誘い、逆にハッキング仕返し相手を行動不能に。こちらからの攻撃が制限される中、都留は最善の手段を模索し続ける。
 そうして辛くも逃げ切った先でジャミング装置を発見した都留は、先ほどまでの全てが幻覚だった事を知り、本当の敵を直ちに駆逐するのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

イリア・ホワイトアイス
克服すべき過去…か
となるとやはり、これ、なのね

氷の閉ざされた城の中
ホワイトアイス家が自分を除き全滅した大規模戦闘の地
一族の亡骸
氷閉ざされたあるいは破壊された敵の姿
ぼろぼろの私
最も幼く未熟な身で無理に加わり、結局皆に守られ、生き残っただけの自分
役立たずだった無力感、家族を失った喪失感、そしてその原因である自分への怒りが蘇る

もう割り切れてるつもりだったけど、まだまだだったのね
ああ、とても苦しい
此処で私も眠りたかったと何度思ったか

でも、私は先へ行くわ
だって、覚えているのは、それだけじゃないもの
皆と過ごした日々、その中で見た笑顔
辛い過去一つで、大事な皆との思い出を塗りつぶさせたりしないわ

…消えなさい!



 氷に閉ざされた城の中には、誰一人動く者はいなかった。城の主であるホワイトアイス家の者も、襲撃者であるオブリビオン達も、全て地に伏し沈黙するのみ。そして唯一生き残ったイリア・ホワイトアイス(氷の魔女・f03015)もまた、後悔と自責の念に座して動けずにいた。
「……もう割り切れてるつもりだったけど、まだまだだったのね」
 守られるだけではいたくないと、無理を言って戦いに加わった。その結果がこの様だ。何も出来ないどころか足を引っ張り、あまつさえ生き残らせて貰ってしまった。何もかもが未熟だった。自分に出来る最善など、部屋に閉じこもり震える事だったというのに。

 寒い。体でなく心が寒い。父も母も兄も姉も、親戚までも全て失って、どうやって生きていけばいいというのか。このまま彼らと共に眠ってしまいたい。この苦しみから解放されたい。幾度となく繰り返された弱さが今また圧し掛かる。
「でも、私は先へ行くわ。だって、覚えているのは、それだけじゃないもの」
 重い体を無理やり動かし立ち上がる。変わり果てた城内を見渡せば、在りし日の思い出が、皆の笑顔がまざまざと蘇る。一つ一つ噛み締めながら、イリアは玄関の扉へと歩を進めていった。

 いってきます。呟きと共に引いた扉の先にあったのは悪趣味なオブジェ。彼女の道を塞ぐ、倒すべき敵。
「邪魔……消えなさい!」
 アンテナの刺さった脳髄が凍り付き――粉々に砕け散った。

成功 🔵​🔵​🔴​

アカネ・リアーブル
兄様は、グリモア猟兵でした。
あの日、兄様が出された依頼は、母様を殺したオブリビオンの討伐。兄様は残るようおっしゃいましたがアカネは強引についていきました。
依頼は失敗。アカネのミスで味方が総崩れとなり、撤退することになりました。
猟兵の皆様方を撤退させた兄様は、アカネを救うために禁を破り戦闘へ参加されました。
……気がついたら、アカネはテアトル・リエーブルのベッドの上でした。
その後、兄様の行方は杳として知れません。

アカネは決めたのです。
兄様をお探し申し上げると。
必ずお探し申し上げて、お救いいたしますと誓いました。
このような場所で立ち止まる訳に参りません!
幻影など、消えておしまいなさいな!



 アカネ・リアーブル(とびはねうさぎ・f05355)は、自身がグリモア猟兵となった日を忘れた事は無い。あれは母親の仇、あるいはその同種の討伐依頼だった。
 担当のグリモア猟兵は彼女の兄だった。渋る兄を言い負かし強引に参加したアカネは、しかし致命的な失敗を犯し戦線を崩壊させてしまう。不運は続く。猟兵達が撤退する中、戦場に取り残されてしまったアカネ。そして今、彼女は同じ状況に立たされていた。

「兄様……来ないで……!」
 願いも空しく戦場に現れる兄の姿。妹を助けようとするその行動は、しかし悪手に他ならない。敵の支配下にある戦場で逃げ場を失えば、後は嬲り殺しにされるのみ。奮戦空しくアカネは意識を手放して――

 目が覚めた。
「ここは……」
 目に映るのは無限の星海。遥か遠くに見えるジャミング装置は、彼女が悪夢を突破できなかった事を意味する。
「そうです、あの後アカネは……」

 あの後、彼女が目覚めたのは拠点のベッドの上だった。兄が転送してくれたのだと直感したが、傍に姿は無く、自身が兄と同じグリモアを得ている事に気が付いた。
 グリモア猟兵が戦闘中に転送を行うなど自殺行為だと後から聞いた。姿を現さないのはそういう事なのだろうとも言われた。けれどもアカネは信じなかった。
「アカネは決めたのです。必ず兄様をお探し申し上げて、お救いいたしますと。そう誓いました」
 悪魔の機械に再び挑む。今度こそ兄を助ける為に。そしていつか、それを現実にするために。

苦戦 🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年02月11日


挿絵イラスト