5
アポカリプス・ランページ⑯〜デトロイトの苺狩り

#アポカリプスヘル #アポカリプス・ランページ #フィールド・オブ・ナイン #マザー・コンピュータ #アポカリプス・ランページ⑯

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#アポカリプスヘル
🔒
#アポカリプス・ランページ
🔒
#フィールド・オブ・ナイン
🔒
#マザー・コンピュータ
🔒
#アポカリプス・ランページ⑯


0




●デトロイトシティ
「まさか、6体のオブリビオン・フォーミュラを圧倒するとは。
 私は自らの理論を訂正しなければなりません」

 デトロイトシティの中心にある巨大なサーバーユニット。
 その中の透明なカプセル内に潜む裸体の女性。
 それこそが、この都市を支配するフィールド・オブ・ナインの1体『マザー・コンピュータ』だ。
 だが、戦況の悪化に伴い、マザーは自らの思索を中断する。
 世界の真理を解き明かすための永遠の思索こそが目的である彼女が。

「このままでは思索もままなりませんね。
 いいでしょう。物事はシンプルにいきましょう。
 増殖無限戦闘機械都市によるグリモア必殺計画を発動します。
 さぁ、かかっていらっしゃい、猟兵」

●グリモアベースにて
「さて、いよいよデトロイト市への道が開けました。ここにはフィールド・オブ・ナインの残る1体『マザー・コンピュータ』がいます」
 集まった猟兵達を前に、グリモア猟兵彩波・いちご(ないしょの土地神様・f00301)が説明を始めていた。
「デトロイト市は、現在マザーの力によって、都市全てが『増殖無限戦闘機械都市』となっています。もともとあらゆる物質・概念を『機械化』する能力を持ち、放置するとアメリカ大陸でさえ戦闘機械獣と変えてしまう力を持つマザーです。当然都市ひとつを機械化することなど容易いわけですね」
 いちごの言う通り、現在のデトロイトは、建物も、道路も、植物さえも、その全てがマザーの手足たる戦闘機械と化しており、言い換えるならばデトロイトという街の全てがマザーの一部なのだ。
「今回の目的は勿論、マザーを打ち倒すことですが……」
 そこまで説明して、いちごは少しだけ考え込む表情になる。
 これを伝えた場合、戦況がどうなるのか予想がつかない、だからといって伝えないわけにはいかない。そんな躊躇いだ。
「マザーがどういう手段を使ってこんな事態になるのかはわかりません。
 ですが、今回の場合、私が皆さんを転移させると同時に、私自身もまた強制的に現地へと転送されてしまうのです。つまり、マザーの胎内ともいうべきデトロイトに」
 マザーがグリモアに干渉してくる手段も理由も不明。マザー以外にこんな手段が取れるものがいるかどうかも定かではない。
 だが今問題なのはそこではない。
 現実問題として、いちごが現地への転移ゲートを開いてしまうと、いちごも現地に閉じ込められてしまうという事になる。
「当然ですが、そうなってしまうとマザーを打倒しない限り、帰還のゲートを開くこともできません。そして私が倒れてしまえば、帰還の手段が失われてしまう事になります」
 都市すべてが敵という、敵の胎内という完全なアウェーに閉じ込められた戦い。
 都市のあらゆるところから、グリモア猟兵ごと殲滅してこようと襲ってくる敵。
 簡単な戦いではないだろう。
「……とはいっても、私だってそれなりに戦える猟兵ではあります。万一にも倒されるわけにはいかないので、皆さんと一緒にマザーに対して攻勢に出るような事はできませんが、自衛くらいは何とでもなります。どうか皆さんは、私の事は気にしないで、全力でマザーを打ち倒して来てください」
 いちごはそう言って笑顔を見せるが……いちごは自衛できるとはいっても、都市すべてが敵と言えるこの状況、万が一にもグリモア猟兵を失うわけにはいかないので、いちごを守ることも多少は考えてもいいかもしれない。
 だが、もちろん、いちごを守っているだけではじり貧だ。最終的にはマザーを倒さなければ帰還は叶わないのだから。
「これから皆さんを現地へと転移させます。私も一緒に転移にすることになりますが、私はゲートを維持しつつ身を守ることに専念します。あとは皆さんにお任せします」
 猟兵達の顔を見渡し、皆が覚悟を決めたのを確認すると、いちごはデトロイトへの転移を始めるのだった。


雅瑠璃
 このシナリオは戦争シナリオです。
 ボス戦1章のみで完結します。

 というわけでこんにちは。またはこんばんは。
 雅です。

 戦争4本目はこんなシナリオになりました。
 今回はフィールド・オブ・ナイン戦。やや難になります。

 都市すべてが敵という『増殖無限戦闘機械都市』デトロイトにて、あらゆるところから襲いかかる機械兵器軍よりグリモア猟兵の彩波・いちごを守りつながら、中枢である『マザー・コンピュータ』を撃破するのが目的になります。

 敵は、都市のあらゆるところから自身の攻撃用端末である戦闘機械を産み出して攻撃してきます。建物でも地面でも木々でも草花でも、都市にあるあらゆるものが敵です。
 どんなものが現れるかは、それもまたプレイング次第かもしれません。

 今回は『グリモア猟兵を守りつつ、増殖無限戦闘機械都市の攻撃を凌ぎつつ、マザーと戦う』ことでプレイングボーナスがつくことになります。
 とはいえ、グリモア猟兵のいちごは、プレイング内で言及されなければ特に登場はしません。何もしなくても一応は自分で自分の身は守っている事でしょう。プレイングで言及されたなら、その範囲内で登場しますので、絡みなどもご自由に。
 もちろん、グリモア猟兵を守るだけでは勝てませんので、マザーに対する攻撃が主軸とお考え下さいませ。

 プレイングは、今回は既に出ているシナリオとの兼ね合いもありますので、9月20日(月)の朝8:30からの受付とします。
 現在執筆中の『アポカリプス・ランページ⑤〜壊れるまで耐えきれば』完結後から執筆になりますので、ご了承ください。

 それと、今回は戦争シナリオですので、早期の完結を優先します。
 なので場合によっては全員採用にならないこともありますのでご了承ください。

 オーバーロードの使用についてはご自由にどうぞ。
 雅のオーバーロードの方針についてはマスターページに記しておきましたので、よければご確認くださいませ。

 それではプレイングお待ちしています。
206




第1章 ボス戦 『マザー・コンピュータ増殖無限戦闘機械都市』

POW   :    マシン・マザー
全長=年齢mの【巨大戦闘機械】に変身し、レベル×100km/hの飛翔、年齢×1人の運搬、【出現し続ける機械兵器群】による攻撃を可能にする。
SPD   :    トランスフォーム・デトロイト
自身が装備する【デトロイト市(増殖無限戦闘機械都市)】を変形させ騎乗する事で、自身の移動速度と戦闘力を増強する。
WIZ   :    マザーズ・コール
【増殖無限戦闘機械都市の地面】から、対象の【猟兵を撃破する】という願いを叶える【対猟兵戦闘機械】を創造する。[対猟兵戦闘機械]をうまく使わないと願いは叶わない。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

鍋島・小百合子
WIZ
他の猟兵との絡み・協力・連携可

ぐりもあ猟兵が前線に出ねばならぬ事態になろうとは誰も予想出来ぬ事
不測であろうと最善を尽くすのみぞ

「わらわ達でいちご殿を死守する!帰るべき場所を意地で守り通せ!」
UC「聖尼守護陣」発動にて110名の神官騎士を召喚し戦闘知識活用で指揮
うち70名をいちご殿の盾役・拠点防衛と敵の迎撃を徹底
残り40名を敵の中枢へと吶喊するわらわの随伴として同行さす
襲いかかるものがなんであろうとわらわと随伴の集団戦術をもってなぎ払いて行く
中枢たるまざーとの戦闘では随伴に弓での援護射撃と防御障壁展開を命じ、
我が薙刀の武技を持って推して参る!(鎧砕き、乱れ撃ち、切り込み、継戦能力併用)



●グリモア猟兵を守れ!①
 増殖無限戦闘機械都市と化したデトロイト。
 マザー・コンピュータの打倒のためにそこへの転送を行ったグリモア猟兵の彩波・いちごは、気が付くと都市の中に閉じ込められていた。
 グリモアベースから猟兵を呼び込むゲートは機能しているので、グリモアベースからの援軍はやってこれる。が、そのゲートを逆に通ってグリモアベースに行くことはできない、完全な一方通行だ。
 そこに周り中から機械の兵が沸いて出てくる。
 人型。蟲のような脚を持つ多脚型。無限軌道を持つ戦車型。その他諸々。数多の機械が、いちごを襲うために湧いて出てくる。
 それらが一斉にいちごに襲い掛かってきた。四方八方から飛び掛かってきた。
 ゲートを維持するためにこの場を離れるわけにはいかないいちごは、咄嗟に防御の魔術を使おうとするが……間に合いそうにない。
 そんな時、凛とした声が響き、同時に無数の影がいちごを守るように出現した。
「わらわ達でいちご殿を死守する! 帰るべき場所を意地で守り通せ!」
 いちごの開いたゲートを越えて真っ先に現れた女武者、鍋島・小百合子(朱舞の女丈夫・f04799)が、この地に立つと同時に【聖尼守護陣】にて神官騎士たちを呼び出したのだ。
 盾を持つ騎士たちがいちごの周りを囲むようにして庇い、メイスを持つ騎士たちが、襲い来る数多の戦闘機械を叩き壊していく。
「た、助かりました……ありがとうございます」
「なに。間に合って何よりよ。ぐりもあ猟兵が前線に出ねばならぬ事態になろうとは誰も予想出来ぬ事……不測であろうと最善を尽くすのみぞ」
 小百合子はそういうと、いちごを守る騎士たちをその場に残し、自らはマザーを倒しに向かっていく。
 100を超える数の騎士たちのうち、3分の2程をいちごの守りに残し、残り少数の手勢を随伴として率いて。
「其方らはそのままいちご殿を守り通せ。あとの者はわらわと共に参れ!」

 召喚された神官騎士たちはあくまでも霊だ。
 いちごを狙って襲い掛かってくる戦闘機械たちと戦っていちごを守る中で、1人、また1人と倒れ消失していく。
 だがその数の壁は強固で、小百合子がマザーに向けて突撃するだけの時間は十分に稼いでいた。

 小百合子に随伴した騎士たちは、主に弓と魔法に長けた騎士たちのようだ。
「襲いかかるものがなんであろうと、わらわがなぎ払おうぞ」
 随伴の騎士たちの弓による援護を受けながら、先頭に立つ小百合子は薙刀で襲い掛かる戦闘機械を切り伏せて駆け抜けていく。
 そうして街の中枢まで進んでいけば、巨大なカプセルに入った裸体……マザー・コンピュータの躯体が見える。
『こんな短時間でここまで到達しますか。侮れませんね、猟兵』
 カプセルの中で静かにそう呟いたマザーは、周囲から戦闘機械を産み出し小百合子に向かわせた。
 だが小百合子はそれを見越し、随伴に弓での援護と、己を守る防御障壁魔術の展開を命じる。小百合子に飛び掛かっても、小百合子の身体に届く前に障壁によって動きを止められ、乱れ撃たれた矢で射られていく戦闘機械たち。
 小百合子は、そんな戦闘機械を一顧だにせず、一足飛びにマザーの入ったカプセルに突撃していった。
「我が薙刀の武技を持って推して参る!」 
 渾身の力で振るわれた刃が、マザーのカプセルに激しく叩き付けられ、その中枢に大きな亀裂を奔らせたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アリス・セカンドカラー
【花蟻】
いちごちゃんと合体したい♡あ、まってまって違うの、化術肉体改造で融合して1人になった方が護りやすいの。可能性の同時攻撃を応用すればその状態でも別行動とれるしね。
さて、つゆりんも防御捨てて無茶してるようだし、こっちも融合よー♪
多重詠唱結界術で位相をずらしつつ最善の可能性に収斂していけば出現し続ける機械兵器群はあしらえる、ならマザーの生体コアを探しましょう。感応能力(第六感、情報収集、結界術)を広げて増殖無限戦闘機械都市を精査するわ。
で、発見したら多重詠唱結界術で空間を湾曲し、つゆりんと協力してマザーの生体コアにピンポイント攻撃をしかけましょ。天候操作で114パターンからなる天災をどーん♪


栗花落・澪
【花蟻】
彩波さんの護りはアリスさんがやってくれるみたいだけど
万一の事も考えて彩波さんを基準に【オーラ防御】
僕にとっては自分の事より大切な仲間護るのが最優先だから
魔力を分散させないよう、自分の防御は捨てるね

【指定UC】を発動
【聞き耳】で常に機械の音を聞き分け
アリスさんの取りこぼしや僕を狙う武器があれば
最高速の【空中戦】で回避しつつ
【高速詠唱】で炎魔法の【範囲攻撃】を放ち
機械の暴発による破壊狙い
防御はしていない分怪我も覚悟のうえ
致命傷でさえなければ【激痛耐性】で戦闘継続

アリスさんが生体コアを見つけてくれたら
タイミングを合わせて天候操作を利用させてもらい
★杖で火力を増した落雷の【全力魔法、属性攻撃】



●グリモア猟兵を守れ!②
 増殖無限戦闘機械都市の名は伊達ではない。
 この地に閉じ込められた彩波・いちごを狙う人型、蟲のような多脚型、飛行型、無限軌道を持つ戦車型など、形状も様々な戦闘機械が、それこそ無限に湧いて出てきて襲い掛かってくる。
 先に別の猟兵が残してくれた守りの戦力もすでになく、いちごは必死に自らの防御魔術で身を守っていた。
 そこに現れたのは2人の少女のような姿の猟兵。
 いちごも見知った顔のその2人のうち、銀髪の少女……アリス・セカンドカラー(不可思議な腐敗のケイオト魔少女・f05202)は、現れるなりこう言い放った。
「いちごちゃんと合体したい♡」
「何言ってるんですかいきなりー!?」
 どこまで本気なのかはわからないが、ある意味いちごを捕食したいと虎視眈々に狙っている節もあるアリスだということは、いちごもいろんな意味でよぉく知っている。なので、別方面の敵が現れたかと身構えてしまういちごだったが……。
「あ、まってまって違うの!」
 アリスは慌てたように、いちごの勘違い(多分)を否定する。
 さすがの小悪魔アリスといっても、ふざけていい場面でない事はちゃんとわかっているようなので一安心。
 ではアリスは何を言いたかったのかというと。
「化術肉体改造で融合して1人になった方が護りやすいの」
「……はい?」
 やっぱりよく意味は分からないちごだった。

「彩波さんの護りは、アリスさんお願いしますね!」
 もう1人の琥珀色の髪の少女……のように見える男の娘の栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は、そう言いながら【マジカル☆つゆりんプリンセスフォーム】を発動させ、豪華絢爛なドレスの魔法少女に変身した。本人は恥ずかしいようだが、とてもよく似合っていて、やはりどこからどう見ても女の子にしか見えない。
 さらに澪は、変身と同時にいちごを中心としたオーラの守りを展開する。
 アリスに任せると言いつつも、万一のことを考えてという事だろう。
 もちろん、自分以外の場所を中心に展開するという事は、オフェンスとしてマザーの元へと駆ける澪自身の守りは疎かになるという事で……。
(「魔力を分散させないよう、自分の防御は捨てるね……!」)

「さて、つゆりんも防御捨てて無茶してるようだし、こっちも融合よー♪」
「えっ!? だから融合っていったい何を……? っていうかダメですよ澪さん、私の事はなんとでもなりますから、防御捨てるとかそんな危険なことはー!?」
 目まぐるしく動く状況に、ちょっとだけ思考が追い付かないいちご。
 だけれども、アリスが見抜いた澪が防御を捨てたという話は、いちごだって聞き逃せない。守られる立場のいちごではあるが、だからって自分を優先した仲間が斃れるのは望まない。
「僕にとっては自分の事より大切な仲間護るのが最優先だから!」
「それはこちらも同じですよっ!?」
 いちごの心配を余所に、澪はそう言ってマジカルの力で空を駆ける。
「大丈夫よ、いちごちゃん。そのためにわたしが合体するんだから♡」
 そんな不安げないちごに、アリスは覆いかぶさっていった。
 いちごを捕食(意味深)するわけではなく、【多重結界術『遍在性不可思議群体収斂相』】によっていちごと量子レベルで位相を重ね、同一の座標にいるという可能性を具現化したのだ。
 と同時に、この街のあらゆるところにいるという可能性も具現化させ、街中の精査を始める。
 いちごを狙ってきた戦闘機械群に対しては、位相をずらして多重に結界術を展開させ、そのうちの最善の可能性を事象として具現化する事で、攻撃を防ぎきる。
「アリスさんがこれだけ防げるのなら、なおさら澪さんが防御捨てる事なんて……」
「あれはつゆりんの覚悟なんだし、受け止めてあげないとね。大丈夫よ。マザーまでの最短ルートは精査してつゆりんに伝えてるから、致命的なダメージ受ける前に到達できるでしょ」
 まだ不安そうないちごに、アリスはそう言って安心させるのだった。

 澪はひとり空中機動でマザーの元へと急いで最高速を保ちながら駆けていく。
 常に周りで蠢く機械の音を聞きながら、僅かな違和感でもあれば、高速の空中機動で戦闘機械の攻撃を避け続けて。
「邪魔は、させないっ!」
 進路を妨害する戦闘機械に対しては、高速詠唱から瞬時に解き放たれる炎の魔法をぶつけていく。
 広範囲に広がる炎によって、立ち塞がった戦闘機械は次々と爆発していった。
 その爆炎の中を、澪は一気に突き抜けていく。
 最短で。最速で。マザーの元へ向かうために。
「……っ。これくらいっ、防御はしていない分、怪我くらい覚悟のうえだからっ!」
 もちろんすべての攻撃を回避しきれるものではない。
 だが、致命的なダメージだけは避け、激痛が走っても歯を食いしばり、澪は進んでいく。
 そうして街の中枢まで飛び……アリスからの声が届いた。
「見つけたわ、つゆりん。合わせていきましょ」

 いちごの元で同座標に融合して存在しながら、アリスは街の精査を続け、中枢のマザーの姿を発見していた。
 と同時に、マザー周囲の空間を湾曲し、天災を引き起こす。
『猟兵、ここまで到達するとは、私の計算を上回りますか……いえ、それよりも空模様が、これはいったい?』
 中枢にある傷ついたカプセルの中のマザー・コンピュータは、突如空に広がる暗雲に戸惑いを隠せない。マザーは当然周囲の天候など正確に予測している。だから、こんなところで雷雲が出現するなどありえない。
 ありえないはずが、しかしアリスの手によってその可能性が引き出され、雷鳴が響き始める。
「今だ! 全力で終わらせるよ……!」
 その雷鳴に合わせるように、澪はマジカル化してさらに火力の増している杖『Staff of Maria』を天高く掲げ、振り下ろした。
 雷鳴とタイミングを合わせた澪の全力の落雷の魔術が、マザーのカプセルに突き刺さり、マザーを焼いていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

相馬・雷光
電磁波で【ジャミング】して、いちごを電磁的に【迷彩】(物を隠す)
あのマザーっての、素っ裸で胸がデカいからって見蕩れてんじゃないわよ?

――おっけー、今回はマジのガチでやるわ

ヴァジュラブラスターで雷撃弾(属性攻撃)を【乱れ打ち】で【弾幕】を張って【制圧射撃】!
機械制御ならショートさせてやる!

何でもかんでも戦闘機械に変えちゃうワケ?
でも残念ね、そのビル、先に爆弾仕掛けといたのよ!(破壊工作・爆撃・地形破壊)

とびっきり馬鹿デカいやつ、あいつがマザーね!
ソーマカートリッジ装填、フルチャージ(全力魔法)!
ハオマドラッグで私自身も【限界突破】!
【リミッター解除】! 【帝釈天降魔砲】!!



●グリモア猟兵を守れ!③
 増殖無限戦闘機械都市はまだまだその機能を失わず、彩波・いちごに戦闘機械群を差し向けていた。
「……っ……あ、あれ?」
 だが、不意にその戦闘機械たちが、いちごを見失ったかのように周囲を無為にうろつき始める。
 駆け付けた相馬・雷光(雷霆の降魔忍・f14459)が、いちごの周囲に電磁波によるジャミングを仕掛け、いちごを電子的な迷彩で戦闘機械群から一時的に隠したのだ。
「あ、雷光さん。ありがとうございます」
 彼女のしたことに気が付いたいちごは、礼を言って頭を下げるのだが……そんないちごを見る雷光の目が、なんとなくジト目のような気がして、いちごは首をひねる。
「あの、どうしました……?」
「あのマザーっての……」
「はい? マザーがどうかしました?」
 いちごの位置からはまだマザー・コンピュータの姿は目視できない。とはいえいちごはグリモアを通してマザーの姿は確認しているので、雷光の言葉に反応しつつ脳裏にマザーの姿を思い描いていた。
「素っ裸で胸がデカいからって見蕩れてんじゃないわよ?」
「はい!? 見惚れませんよ!? そりゃ確かにそういう姿ですけど……」
 あまりに予想外な言葉に、いちごは真っ赤になって首を横に振る。
 確かにいちごの趣味的には……というのはあるかもしれないが、さすがにこんな状況でそんなことを考える余裕はない。
 もちろん雷光も、緊張をほぐすための冗談だろう。
 慌てるいちごの様子を見てクスッと笑った雷光は、次の瞬間表情を引き締めた。
「……おっけー、今回はマジのガチでやるわ」

 マジのガチという言葉に嘘はない。
 雷光はいちごにかけたジャミングが効いている間にと、辺りをうろつく戦闘機械群に次々と『ヴァジュラブラスター』を乱れ撃っていく。
 雷の属性を纏ったヴァジュラブラスターの弾幕による制圧射撃は、辺りを蠢く機械を次々とうち貫き、その回路をショートさせていった。
 銃声が響くたびにショートして動きを止める機械群があたりに産卵していく。

『思ったよりやりますね、猟兵。デスが戦闘機械は無限に生み出せるのですよ、いくら潰しても無駄というものです』

 当然マザーも次々と機械群が回路をショートさせて動きを止めていくことは察知している。
 なので、いちごやら以降の周囲に立つビルを機械化して、そこから新たな戦闘機械群を生み出してきた。
「……何でもかんでも戦闘機械に変えちゃうってワケよね? でも残念ね」
 新たに生み出された機械群が、雷光に迫ってくる……のだが、雷光はそれを見ながら不敵に笑みを浮かべていた。
 そして、その笑みがトリガーだったかのように、機械群は雷光の前にたどり着くことなく次々と爆発していく。
「そのビル、先に爆弾仕掛けといたのよ!」
 いちごと合流する前に、事前に周囲に破壊工作を仕掛けていたのだ。このあたりは忍者の面目躍如だろう。
 そして破壊工作が功を奏し、マザーからの戦闘機械の供給が途切れたこの瞬間を狙って、雷光は駆けていく。
 もちろん目標は街の中枢、マザーのあるカプセルの元だ。

「とびっきり馬鹿デカいやつ、あいつがマザーね!」
 程なくして雷光はマザーの本体の入ったカプセルのある巨大なサーバを発見した。
 発見と同時に雷光はとっておきを使用する。
 ヴァジュラブラスターに『ソーマカートリッジ』……雷撃の力を高める神酒の霊気が装填された弾倉を装填し、加えて自分自身の限界を超えるために霊薬……ドラッグである『ハオマドラッグ』を一気に飲み干した。
 二重のとっておきの力で極限にまで高まった力がヴァジュラブラスターを中心に渦巻き始める。込められた力が、解き放たれる瞬間を待ちきれないと、雷を迸らせる。
「リミッター解除! いっけえええええええ!!」
 そうして解き放たれた【帝釈天降魔砲】は、限界を超えるほどの雷の力を内包したまま、マザーのカプセルに突き刺さり、その中で眩いほどの雷鳴を響かせながら縦横無尽に稲妻を奔らせたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

神咲・七十
アドリブ・連携お任せ

流石に、何もなしで置いて行くの厳しそうですね…
これを渡して行くので何とか耐えてください(ショートケーキを渡し)

(UC『万花変生』を使用。ショートケーキとは別に守る為、木の巨人たちを大量に呼び出しその一部にグリモア猟兵の護衛と防御を任せて)

さて、残りの巨人さん達……欲しい物取ってさっさと帰りますよ。

(攻撃を受け止める巨人を再生しながら、巨人達に攻撃の指示を出し、マザー目掛けて進んでいき)

巨人さん達、あれを囲んで浸食してください。
……面白そうなので全力を出しますよ。

(巨人達で周りを蹴散らしながらマザーを取り囲んで隷属化の力を付与した巨人達でマザーを捕食して隷属化させようとして)



●グリモア猟兵を守れ!④
 増殖無限戦闘機械都市はまだまだその機能を失わず、彩波・いちごに戦闘機械群を差し向けていた。
 そんな状況に到着した神咲・七十(まだ迷子中の狂食者・f21248)は、ひとり機械群から身を守るいちごに近付いて行く。
「流石に、何もなしで置いて行くの厳しそうですね……」
「すみません……救援助かりますっ!」
 いちごも本来は経験豊富な猟兵ではあるが、今はグリモア猟兵として転移のゲートを守りながら身を護る状況のため、戦況は芳しくないようだ。なので七十の救援はありがたい……のだが。
「これを渡して行くので何とか耐えてください」
「へ?」
 七十から渡されたのは、白いクリームの上の苺が目立つ美味しそうなショートケーキだった。
「あ、あの、これでどうしろと……美味しそうですけど……」
「今日はそういう日で、今はそういう気分」
 ケーキを渡されて目をぱちくりとさせるいちごだったが、七十はそれ以上は何も説明せず、本人的には意味は繋がっているのだろうが、いちごにはさっぱりな言葉を口にした。
 なお、この言葉は、ユーベルコードの詠唱である。
 いちごが頭にハテナマークを浮かべて首をかしげているまわりで、七十が【万花変生】によって植物が急激に育ち始める。
 発芽した植物は瞬く間に大木になり、そして木でできた巨人となって動き始めた。
「さて、巨人さん達……欲しい物取ってさっさと帰りますよ」
 七十はそんな木の巨人たちを率いて、街の中枢にあるマザーの元へと急ぐ。
「え、あの、ちょっと……!?」
 戸惑ういちごの周りに木の巨人の一部を護衛に残して。
「えっと……あ、美味しい」
 いちごは木の巨人に守られながら、ショートケーキを口にするのだった。

 七十と木の巨人の軍団は、周囲から無限に湧いて出てくるさまざまな機械群のナカを突き進んでいく。
 獣のような機械が突撃して来たら、木の巨人がその身体を盾にして防ぐ。
 人型の機械が襲い掛かってきたら、木の巨人がそれを受け止め投げ飛ばす。
 木の巨人が傷つけば、七十の術でその傷ついた部分を再生させる。
 そして木の巨人に指示を出し、周りの機械を攻撃していく。
 こうして進んでくと、やがて巨大なカプセルの中にいるマザー・コンピュータの姿が確認できた。
『あの物量の中、ここまで来ますか、猟兵……』
 ここまでの戦いの中で傷ついているマザーは、新たに現れた敵に顔をゆがめつつも、周囲の機械群に更なる攻撃指令を出してくる。
 それに対して七十も……少しだけ楽しそうな笑みをわずかに浮かべながら、木の巨人たちに命じるのだった。
「巨人さん達、あれを囲んで浸食してください。……面白そうなので全力を出しますよ?」
 七十の指令を受けた気の巨人たちは、周りの機械群を蹴散らしながらマザーのカプセルへと迫る。
 そして七十の本気……隷属化の力を付与した巨人が、マザーを捕食して隷属させようと、その本気の一撃をぶちかますのだった。
『猟兵……これは、私の意識が……くっ、一瞬途切れて……』
 完全なる隷属化はできなかったものの、マザーの演算領域を侵食したこの一撃で、マザーの力は大きく削られることになったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

宮村・若葉
【恋華荘】
●心情
(ハイライトのない目で)
無防備な彼を狙うなんて許せない許セなイ許せなイゆるせナいユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイ
―滅しましょう
(そしていつもの物静かされ)
とはいえ、私の特技は潜入か防衛
どちらも器用に行う機能は、この強化された身体にはないのです
なので、手を組みましょう
●戦闘
理緒(f06437)さんが鉾、私が盾、そして愛里(f34610)さんが支援という役割分担です

私はUCで腕のメガリスのシールドを拡大させていちごさんを守ります
範囲3倍の半ドーム状のシールドです
これは味方の避難先にもなります
味方が回避し損ねそうな時は『内蔵ワイヤー』で味方を巻きつけ、盾の裏へ回収するなどして緊急回避を手伝います

そして【肉体改造】由来の丈夫さと【怪力】で【盾受け】して、あとは執念で耐えるのみ
この力こそ…未来と希望を求める人の意志、時に永遠を破壊して時計の針を進める究極の力、『愛』!!!
(予兆で見たマザー・コンピュータの言葉のオーバーロードを誤認している)


霧沢・愛里
【恋華荘】
真の姿発現:現状は普段の姿から変化なし

お父様、もう心配は要らないからね。
あいりと皆で、お父様を危険な目に晒すオブリビオンは■しちゃうんだから♪
(罪業邪樹禍『狂信』発動、同行者共々強化)

あ、若葉さん。お父様のチア写真、後であいりにもくださいな♪

お父様の護衛は若葉さん、直接攻撃は理緒さん。
あいりは二人の援護をメインにするね。
若葉さん、お父様のことお願いね。
理緒さん、あいりがお手伝いするから、攻撃に専念しても大丈夫よ!
あいりの術(UC)で皆の力も高まってるはずだから、思いっきり敵を皆■しにしちゃいましょうね♪

『怨恨想忌』を地脈に接続して【情報収集】、敵が出てくるのを早めに察知しつつ、マザーの居場所を探るよ。
並行して機械兵器の排除も頑張るよ。小物は『超重潰理』の【範囲攻撃】【重量攻撃】で押し潰し、大物は『万象斬裂』で【切断】しちゃうわ。

さあ、お父様を危険な目に遭わせた罪は重いわよ、おばさま?
骸の海にも残れないぐらい滅茶苦茶に■してあげる!
(『万象斬裂』でバラバラに【解体】)


菫宮・理緒
【恋華荘】

今回いちごさんはお姫さまポジションだからね。
若葉さんの側から離れないで、しっかり守られてないとだよ。

悪いなー、とか思うなら、応援してね!(チアの衣装を渡しつつ)

いちごさんが、若葉さんの盾の後ろに隠れたことを確認したら、
【リオ・セレステ】で攻撃に出るよ。

あ、若葉さん、いちごさんのチア写真はあとでメールでね。

前に出てみたら、セレステの出力ゲージがぐんぐん上昇していって……。
愛里さんありがと! うん。これならいける!

愛里さんにさむずあっぷして【テスカトリポカの鏡】を発動。
周囲に群がってきていた『建物ロボ』や『木人』などを灼き払うね。

さて……『マザコン』だか『ファザコン』だか知らないけど、
わたしたち以外でいちごさんを呼び出すとか、覚悟完了ってことでいいんだよね?

『希』ちゃん、第二射準備!

AIの『希』ちゃんは出力オーバーを懸念して止めるけど、
そこは愛里さんを信じていくよ!

第二射、準備!

再度宣言して、戦闘機械が再び群がる前に、マザコンに向けて熱戦を照射。
いちご狩りは、わたしがするんだから!



●グリモア猟兵を守れ!⑤
 猟兵達とマザー・コンピュータの戦いはまだ続いている。
 マザーもかなりのダメージは負ってはいるものの、それでもまだ増殖無限戦闘機械都市の機能に衰えはない。ということはつまり、この街に囚えられているグリモア猟兵の彩波・いちごの危機もまだ去っていないという事だ。
 だが、いちごの危機となれば、彼女たちが動かないわけもない。
 いちごが管理人を務める女子寮、恋華荘の面々が。
 今回は寮を代表して3人の猟兵がこの場に訪れていた。

「くっ……しまっ!?」
 他の猟兵とはぐれ、1人機械群の攻撃を避け続けていたいちごだったが、足元の瓦礫に躓いて体勢を崩してしまった。
 そこに襲い掛かってきた機械群。大型の獣のような機械が、大口を開けていちごに飛び掛かってくる。
 だがその前に立ちふさがる人影が1人。
 腕に装着したメガリス製のガントレットシールドを【メガリス・アクティブ】にて巨大化させ、それを掲げて立ち塞がった宮村・若葉(愛に飢えた脳筋お嬢さん・f27457)だ。
「……さない」
「わ、若葉さん!? 助かりました……ありがとう」
 助けてくれた人を確認して、いちごは安堵の息を漏らすが……肝心の助けた人、若葉の方はまだ何かを呟いたままだ。何かと耳を澄ませてみると……。
「無防備な彼を狙うなんて許せない許セなイ許せなイゆるせナいユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイ……大丈夫ですか、いちごさん。何があっても、私が護りますね」
 ……と、ハイライトの無くなった目でぶつぶつぶつぶつと呪詛のように呟き続けていた若葉だったが、いちごの礼の言葉が聞こえたのか、何事もなかったかのように、普段の物静かな笑みを浮かべた。
「は、はい、ありがとうございます……」
 呪詛(?)が聞こえてしまったいちごは、少しだけひきつった笑みを浮かべつつ、改めて若葉に礼を言う。
 どことなく闇を感じる監視系ストーカー気質のヤンデレな若葉なのだった。

 若葉のシールドはそのまま大きく広がり、若葉といちごを中心としたドーム状の半球となって、まるで移動式のシェルターのようになって、2人を守っている。
 とはいえ、守っているだけでは埒が明かない。
 それは若葉自身も自覚はある。若葉は守護かあるいは潜入捜査は得意とするが、攻撃には向かない。だから、一緒に来た他の2人と役割分担をするのだ。
「お父様、もう心配は要らないからね!」
 そういちごに声をかけたのは、未来から来たいちごの娘を自称する霧沢・愛里(ヌーベル・エルダー・f34610)だ。いちご自身はさすがに父呼ばわりはやめてくれというものの……娘ができることについては心当たりはありまくりなので、未来から来た娘という事はなんとなく受け入れ始めている……かもしれない。
「愛里さんも……!」
「あいりと皆で、お父様を危険な目に晒すオブリビオンは■しちゃうんだから♪」
 無邪気な笑顔を浮かべたまま、頃しちゃうなんて口にする愛里。
 お父様とお母様とそのお友達以外には関心がない、無邪気に残酷な邪神系ヤンデレ気質な愛里なのである。
 そんな愛里は、そのまま【罪業邪樹禍『狂信』】を発動させる、
 これは自身だけではなく、自身同様にお父様を愛するもの全てを強化するという、愛理という邪神の加護だ。当然若葉ともう1人、菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)にもそのバフはかかる。
「今回いちごさんはお姫さまポジションだからね。若葉さんの側から離れないで、しっかり守られてないとだよ」
「すみません。よろしくお願いしますね」
 というわけで現れた3人目は、理緒だ。
 ヤンデレ気質のある前の2人に比べればまだまとも……かと思いきや、実を言えば一番やばいのが理緒だったりするかもしれない。なぜなら……。
「悪いなー、とか思うなら、応援してね!」
 こんなことを言いつつ、いちごにチアガールの衣装を渡したりするからだ。どこから出したのか。
「へっ?」
「ほら、いちごさん、着替えて着替えて」
「や、ちょっと待ってください、理緒さんー!?」
 護衛対象のいちごに襲い掛かって服を引ん剝く女、理緒。
 一応若葉の盾のドームの中なので、この間敵には襲われなかった。よかったね。
 とはいえ結局は、いちごはそのままチアガールの衣装に着替えさせられてしまったのだった。
「ふぅ。いい仕事したね。若葉さん、いちごさんのチア写真はあとでメールでね!」
「あ、若葉さん。お父様のチア写真、後であいりにもくださいな♪」
 そして理緒と、便乗した愛里は、当たり前のように若葉にいちごの写真を頼むのだった。……若葉は特にカメラとか持っていないはずなんだけど、ストーカー気質な若葉がいちごの貴重なチア姿を撮るという事には全く疑いがないらしいです。
「うぅ……」
「任せてください。攻撃も防御もと、どちらも器用に行う機能は、この強化された身体にはありませんが、守りだけなら心配いりません。もちろん愛しい人の絵姿も……うふふ」
 そう言って笑みを浮かべる若葉に守りを託し、理緒は六輪駆動の高速戦闘車『リオ・セレステ』を呼び出して、愛理と共に乗り込み、出撃していった。

「理緒さん、あいりがお手伝いするから、攻撃に専念しても大丈夫よ! あいりの術で皆の力も高まってるはずだから、思いっきり敵を皆■しにしちゃいましょうね♪」
「セレステの出力ゲージがぐんぐん上昇していってる……! 愛里さんありがと! うん。これならいける!」
 運転席の理緒がハンドルから片手を離して愛里にサムズアップをする。
 愛里の力は猟兵のみならず、その愛機にも及ぶようだ。愛里が同乗したことにより出力の増したリオ・セレステは、理緒たちのいちごへの想いを乗せたかのように高速で飛び出していく。
「道案内は、あいりに任せて!」
 助手席の愛里は、そういうと、地面に向けて術を放つ。罪禍術式「怨恨想忌」というその術は、地脈に接続する鎖のような術式。リオ・セレステの底を抜けて地面へと突き刺さった術の鎖は、そこからこの地の情報を吸い上げていく。もちろん術の鎖ゆえに、車を地面に縫い付けるような事はない。
 地面を奔る鎖を通して、周囲に集まりつつあるマザーの端末の集団を察知した愛里は、理緒へそのことを告げ、カウントダウンしていく。
「……前方に小物が群がってきてる。接触まで、あと3、2、1……」
「纏めて薙ぎ払うよ! いっちゃえー!」
 そしてカウントがゼロになった瞬間、リオ・セレステの外部に装備された大口径主砲……【テスカトリポカの鏡】が火を噴いた。
 極太のビーム砲は、群がって車体に襲い掛かろうとしていた建物が変形したロボットや、動く樹である木人などを、瞬時のうちに蒸発させて、前方へと道を開いていった。
「あとはこのまま一直線に行けば、マザー・コンピュータまで行けるよ、理緒さん」
「オッケー! 飛ばすよ!」
 正面は空いた。
 横や後ろから群がろうとする敵は、愛理の術式……罪禍術式「超重潰理」による超重力の前に、リオ・セレステへと追い付くことはできない。
 リオ・セレステは、そのまま一直線にマザーへと向かっていく。

「いちごさん、危ないっ」
 リオ・セレステがマザーに向けて爆走している間も、後方でいちごを守る若葉は奮闘していた。
 当然ここにも多数の端末機械があとからあとから襲い掛かって来る。
 盾のドーム内にいちごを確保してはいても、隙をついてその中へと入り込もうとする敵もいる。
 そんなとき、若葉は内臓ワイヤーをいちごに向けて飛ばし、いちごに巻き付けて自分の傍へと回収する事で守っていた。
「うふふふふふ。私の傍から離れないでくださいねいちごさんずっとずっとなにがあってもずっとずっとお傍に控えていますからわたしのてのなかにいてくださいねいちごさんうふふふふふふふ」
「は、はい……」
 ある意味マザーの端末よりも怖いかもしれない守護者に、いちごは冷や汗を隠せないのだったが、まぁ些細な事だろう。たぶん。
 ともあれ、守護者としては若葉は優秀だ。
 肉体改造された強化人間ゆえの怪力で、ドーム状に展開した巨大な盾を自在に振るい、敵の攻撃をシャットダウンしていく。
「あとは執念で耐えるのみ……この力こそ……未来と希望を求める人の意志、時に永遠を破壊して時計の針を進める究極の力、『愛』!!!」
 気合を入れるかのように叫ぶ若葉。
 その言葉は、どことなく予兆で見たマザー・コンピュータの言葉……『究極の力(オーバーロード)』を思わせるというか、何か勘違いがありそうな気もするが、込められた想いだけは本物だ。
 若葉の愛が尽きない限り、この場は安全が保たれるだろう。
 ならばあとは、攻め手の2人がマザーを仕留めるだけ。

「見つけた。あれがマザーだよ、理緒さん」
 若葉が耐えていること、理緒と愛里を乗せたリオ・セレステは、マザー・コンピュータの中枢へとたどり着いていた。
「そう、あれが。さて……『マザコン』だか『ファザコン』だか知らないけど、わたしたち以外でいちごさんを呼び出すとか、覚悟完了ってことでいいんだよね?」
「さあ、お父様を危険な目に遭わせた罪は重いわよ、おばさま? 骸の海にも残れないぐらい滅茶苦茶に■してあげる!」
 理緒と愛里の2人の周囲から黒いオーラが燃え上がっているように見える。
 守護役の若葉にも負けぬほど闇(あるいは病み)が深い2人だ。マザーとしても、敵に回してはいけない所に触れてしまったのではないかという計算結果が導かれているかもしれない。
『……これが猟兵の力……ここまで、すさまじいものだったとは……』
 驚愕するマザーだが、たぶん一般的な力ではないと思われます。
 それはともかく。
 愛里はその宣言通り、マザーの中枢をバラバラにするべく術式を練る。
 今度の術式は、罪禍術式「万象斬裂」……空間を断裂させる断層を生み出す術式であり、理論上これで切り裂けないものなどこの世には存在しない。
『これは……私のカプセルが……!?』
 愛里の術式によって瞬時にマザー・コンピュータの中枢を包むカプセルが、十七分割に綺麗に解体さればらばらとなって、中枢の女性の姿が空気に晒される。
「今だよ、理緒さん!」
「任せて! 第二射、準備!」
 リオ・セレステの主砲へのエネルギー重点率は120%を超えてなお増大していく。
 サポートAIの『希』は、理緒に警告をするが、理緒はそれを一蹴する。
「大丈夫。愛里さんの力もあるから平気だと信じてる。第二射、いっけーーー!」
 限界を超えても尚、愛理の力……否、いちごを愛する者たちの愛の力によって守られた主砲【テスカトリポカの鏡】は、マザーが最後に理緒たちを襲うべく呼び出した端末群が集まる前に発射され、その極太の熱戦でマザーの中枢を貫き消滅させていった。
『そん、な……こと……が……』
「いちご狩りは、わたしがするんだから!」
 最後に不穏な決め台詞を叫んで、笑顔でサムズアップする理緒だった。

 というわけで、マザー・コンピュータは斃れ、グリモア猟兵いちごの危機は去った。
 ……はずなのだが、理緒の最後の宣言通り、理緒・愛里・若葉による新たないちご狩りが始まってしまうのかもしれない。
 もっとも、それはまた別の話である。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年11月07日


挿絵イラスト