アポカリプス・ランページ⑬〜決戦!フルスロットル
●グリモアベース
「皆さん、ついにフルスロットル・ヴォーテックスへの道が開かれました。今すぐ向かってください!」
紡木原・慄(f32493)は、緊急招集に応じた猟兵たちに任務の説明を始める。
アポカリプス・ヘルのカタストロフを目論む6体のフィールド・オブ・ナイン。
一体一体が強大な力を持つオブリビオン・フォーミュラとの、熾烈な戦争は最終局面を迎えていた。
今回の依頼は戦争の首謀者たるフルスロットル・ヴォーテックスを打倒し、戦争に終止符を打つことである。
「フルスロットルは、全身に複数のV12エンジンを搭載した、身長5メートルの改造巨人です。その力、速さ、重量は桁外れ……これまでの敵とは一線を画す暴虐的な力を持っています。その強烈な突撃をまともに受ければ、決して無事では済まないでしょう……」
フルスロットルは猟兵たちがやって来れば、問答無用で突撃をしてくるだろう。
まずはそれになんとか対処し、反撃の糸口を掴むしかない。
「苛烈な戦いになりますが、強い意志は苦境を乗り越える力になります。皆さんの強い意志をフルスロットルにぶつけてください!」
世界の存続を望む強い意志があれば、どんな強大な敵をも打ち砕くことができるはずだと、慄は何故か瞳を輝かせて根拠のない精神論を大真面目に口にすると、猟兵たちをプレジデントとの決戦の場へと送り出すのだった。
●フルスロットル・ヴォーテックス
アメリカ大陸の名もなき荒野。
空には虚ろな青空と、世界を灼き尽くすが如く照りつける太陽があった。
どことなく死の匂いが漂うこの地でフルスロットル・ヴォーテックスは猟兵たちを待ち構えていた。
ヴォーテックス一族の紋章に描かれた「髑髏と渦巻」。
その意匠は一族が司る、「逃れ得ぬ死と避けられぬ宿命」を象徴していた。
古より先祖代々一族が受け継いできた「死の渦のユーベルコード」。
その圧倒的な暴力で、一族に歯向かうものを悉く飲み込み、傀儡へと変えてきた。この大陸に新天地を求めてやってきた開拓者たちも例外ではない。
太古よりアメリカに根ざし、人類の発展と生命の繁栄の歴史を見続けてきたヴォーテックス一族。彼らは暴力で民衆を支配する誇らしさも、虚しさも知り尽くしていることだろう。
そして、ヴォーテックス一族が持つ死の渦のユーベルコードは、オブリビオン・ストームへと進化を遂げ、人類に終末をもたらした――。
「我らフィールド・オブ・ナインは、オブリビオン・ストームを「終点」と定めた。この世界には、発展も、生命の繁栄も、歴史も、暴力も、これ以上不要なのだ!」
その言葉には世界への深い絶望が感じられた。
この世界には君臨し、支配する価値すらもない。
すべてを終わらせよう。この世界は「死の嵐」によって骸の海に沈めるべきなのだから。
「我らが定めた終点を【超克オーバーロード】する意志があるならば……かかってこい、猟兵よ! 圧倒的な「暴力」で、汝らを骸の海に捧げよう!」
我らが定めた終点を乗り越えたくば、我を暴力でねじ伏せてみよ。
これは暴力と暴力とのぶつかり合いだ。力無き者はただ蹂躙され、滅び去るのみ。
真っ向勝負で貴様らの「未来を望む意志」までも、木っ端微塵に打ち砕いて見せよう。
そして、フルスロットルは超赤熱連続突撃(ランページ)モードを起動させる。
複数のV12エンジンが一斉に始動し、100超えるシリンダーで燃焼ガスが発生し、熱気と排ガスが全身から発散される。
「この姿の我を止められる者は誰もいないだろう。止められるものなら止めてみせろ!」
続々と出現する猟兵たちを見据え、叫ぶフルスロットル。
全身のV12エンジンの爆音を轟かせ、排熱による熱風を周囲に撒き散らしながら、超重量級の巨体で大地を力強く踏みしだき、突撃していく――。
刈井留羽
こんにちは。刈井留羽です。お忙しい中、お越しくださりありがとうございます。
今回も一話完結の戦争シナリオとなります。
戦場はアメリカ大陸の名もなき荒野。遮蔽物も全くないただ広いだけの場所です。
プレイングボーナスは「敵の先制攻撃ユーベルコードに対処する」ことです。
OPの通り、フルスロットルはユーベルコードで【超赤熱連続突撃(ランページ)モード】に変身し、猟兵たちに向かって突撃してきます。
まずはこの『先制攻撃』に対処していただきます。
先制攻撃に対処した後は、フルスロットルとの真っ向勝負が始まります。
POW:巨大化して突進&高い威力の一撃必殺の攻撃。(力と力の勝負)
SPD:激しい連続攻撃。(速さや技での勝負)
WIZ:飛翔してチェーンソーで炎・斬撃波を放つ。(知力や特殊能力での勝負)
今回は可能な限りラスボスとの最終決戦っぽい雰囲気で描写していきます。
苦境に立たされ強い意志の力で乗り越える、絶体絶命のピンチを知略で逆転する、といったプレイングも歓迎です。
戦闘時の心情・台詞などを詳しくお書きくださればそれに応じた展開で描写致します。
もちろん、シンプルに戦うというプレイングも歓迎です。
シナリオ公開後、すぐにプレイング受付開始。完結はマザー・コンピューター撃破の後になるかと思います。プレイング受付状況はタグをご参照ください。
それでは皆様のプレイングを心よりお待ちしています!!
第1章 ボス戦
『フルスロットル・ザ・ランページ』
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POW : フルスロットル・ギガント
【超赤熱連続突撃モード】に変身する。変身の度に自身の【V12エンジン】の数と身長が2倍になり、負傷が回復する。
SPD : V12スラッシャー
【全身のV12エンジンによる超加速】で敵の間合いに踏み込み、【V12エンジンの爆音】を放ちながら4回攻撃する。全て命中すると敵は死ぬ。
WIZ : フルスロットル・チェーンソー
レベルm半径内の敵全てを、幾何学模様を描き複雑に飛翔する、レベル×10本の【炎を帯びたチェーンソーの刃】で包囲攻撃する。
イラスト:あなQ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
蒼・霓虹
理不尽な根元を産み出した上に人や世界の終焉を勝手に決める、どこまで傲慢なんですか、貴方達はっ!
[WIZ]対策込み
【高速詠唱】で【属性攻撃(水)&オーラ防御&結界術】込めた〈レインボークローバー〉の【盾受け&弾幕】展開【念動力】操作
〈彩虹(戦車龍)〉さん【悪路走破&推力移動&空中浮遊】で【操縦】し【第六感】で【瞬間思考力&見切り】回避
被弾は【ジャストガード&受け流し】
【砲撃&レーザー射撃】と【威嚇射撃&制圧射撃】しつつ隙見てUC発動【空中戦】交え撹乱
【属性攻撃(虹)】重ね【貫通攻撃&神罰&全力魔法】〈ネオンアクアストライク〉の【範囲攻撃&神罰&浄化】フルスロットルに
[アドリブ絡み掛け合い大歓迎]
アメリカ大陸・名もなき荒野。
「凄いパワーとスピード……あれではまるで重戦車……」
戦車竜形態の「猟機人・彩虹」に搭乗し、戦場に駆けつけた蒼・霓虹(彩虹駆る日陰者の虹龍・f29441)は、地面をガリガリと削り砂礫を巻き上げながら爆走する敵を見て、率直な感想をもらす。
「彩虹さん、ここはわたしたちの出番のようです。急ぎましょう」
これは戦車同士の決戦。霓虹は彩虹を発進させ、フルスロットルに対峙する。
「暴力こそ、世界の本質! 故に、世界は暴力で理不尽に滅びるべきだ! 人類は我らの暴力にただ蹂躙され、オブリビオン・ストームに呑まれて骸の海に沈む! それは避けられない宿命だ!」
まるで世界を我がものであるかのように喚き散らし、猛然と突進してくるフルスロットル。
霓虹はハンドルを強く握り締め、身勝手なオブリビオン・フォーミュラを睨みつける。
「オブリビオン・ストーム……理不尽の根元を産み出した上に、人や世界の終焉を勝手に決める! どこまで傲慢なんですか、貴方達はっ!!」
この敵は絶対に止めなければならない。
強い意志の下に、霓虹は高速で水魔法の詠唱を開始。同時に彩虹の主砲に幸運の運気が集束し、圧縮されていく。そして、水属性の「レインボークローバー」が主砲から放たれる――。
ドドドドドドドッ!! 虹色に彩られたクローバー型の魔法弾が連射され、瞬時に魔法弾幕を形成。高密度の「水の壁」が築かれる。
対するフルスロットルはエンジンの出力をさらに上げ、排熱で体表の温度を急上昇させ熱風を噴出させる。
「こんなもの! 我がV12エンジンの前では雨粒同然だ!」
――ドォォォオオン!!
爆発のような衝撃音。同時に熱風と水蒸気が渦を巻き、砂礫が舞い上がり、視界を塞ぐ。
「何!? ぶち破れないだと! たかが水の壁ごときに!」
驚愕の声を上げるフルスロットル。しかし、レインボークローバーはだたの水の壁ではなかった。
魔法弾幕を覆うように結界を展開。さらにその内側を竜神のオーラで補強し、三重の障壁を作り上げていたのだ。
(止まった……)
安堵のため息をつく暇もなく、霓虹はレーザーのような砲撃で追撃。
だが、フルスロットルは即座を足裏から熱風を噴出させて、上空へと飛翔。左手のチェーンソーを起動して腕を激しく振り回し、炎を帯びたチェーンソー型の斬撃波で空爆を開始する。
「その機械がなければ貴様などぉおおおおお!」
怒り狂った声を上げ、容赦なく放たれる炎を帯びた斬撃波。それは複雑な軌道を描いて降り注ぎ、荒れた大地を炎の海へと変えていく。
霓虹は降り止まぬ炎の斬撃波を受け流し、被弾を防ぎながら砲撃するも、フルスロットルが放つ斬撃波で悉く相殺され、命中することはなかった。
決定打を与えられぬまま、荒野は炎に焼かれ、肌を焦がすような熱風が猟兵たちの体力を奪っていく。
絶体絶命の状況。自分がこの状況を打開する。
そして、霓虹は起死回生のユーベルコードを発動する。
――フォーチュンスケイルの幻日形態、特と刮目せよっ!
まばゆい虹色の光が放たれ、霓虹と彩虹は虹色がかった青と白の「鎧」と「装甲」を、それぞれ身に纏う姿に変貌を遂げる。鎧と装甲の材質は氷晶でできた虹龍の鱗。それは虹と幸運を司る「虹龍」の力を開放した姿だった。
標的は上空でチェーンソーを振り回すフルスロットル。
狙いを定め、霓虹は彩虹の幻日翼を展開して飛び上がると、虹色の輝きを放ちながら急上昇していく。
だが、フルスロットルも迎撃しようと、炎を帯びた斬撃波を乱打する。
咄嗟にジグザク飛行で直撃を避ける霓虹。斬撃波が幻日翼を僅かにかすめるも、機体が炎上することはなかった。
(幻日翼は凍てつく翼。たとえ炎の中でも燃えることはありません)
そして、霓虹は彩虹を巧みに操り、危なげなく敵に接近。主砲に「ネオンアクアストライク」を装填する。
「貴方には、これで落ちてもらいます!」
虹色の宝玉型魔法弾による制圧射撃。それ相殺すべく斬撃波を乱れ撃つフルスロットル。
「こんな豆鉄砲で我を倒せると思うな!」
だが、斬撃波に切り裂かれた魔法弾が弾け、絶対零度の水流が飛散。フルスロットルの放熱を冷気で相殺し、その体内のV12エンジンを過冷却状態に陥らせる。そして……。
「なんだこれは!? ぬがぁああああ!!」
突然のエンジン出力の低下で体勢を崩すフルスロットル。同時にチェーンソーが停止し、絶対零度の圧縮水流弾が直撃。全身を凍りつかせながら、フルスロットルは真っ逆さまに落ちていくのだった。
大成功
🔵🔵🔵
夜刀神・鏡介
お前がこの世界を終わらせようとする理由に興味はない
必要なのは、俺達とお前は相容れないという事実だけだ
お望みとあらば、勝負してやろうじゃないか
バイク『八咫烏』に騎乗
純粋な速度勝負であればフルスロットルの方が上だろうが、小回りの面では此方が有利な筈
エンジン追加で加速されると流石に厄介だ
今の能力でもやれると思わせる為に、バイクを巧みに動かして突進をギリギリで回避しつつ、フルスロットルの挙動(突進から減速、旋回まで)のクセを見極めていく
十分に見極めたなら、突撃を躱した後に素早く旋回してフルスロットルへ突撃
奴が加速しきる前が、最大の好機だ
走りながら神刀の封印を解放。身体能力を大きく高めて参の型【天火】
フルスロットル・ヴォーテックスは憤怒の形相で地面を激しく踏み砕き、砂礫を巻き上げながら豪快なフォームで爆走する。
「暴虐! 破壊! 蹂躙! この世界は絶対に終わらせる! 我を止めたくばかかってくるがいい!」
フルスロットルは、目に留めた「獲物」に向かって吠える。
「お前がこの世界を終わらせようとする理由に興味はない……必要なのは、俺達とお前は相容れないという事実だけだ! お望みとあらば、勝負してやろうじゃないか」
世界を滅ぼす宿命を持つオブリビオンと、世界を守る力を与えられし猟兵。
お互いに相容れぬ存在だ。自らの意志を貫き通すには、相手を討ち倒す以外、道はない。
悪路仕様のカスタムバイク『八咫烏』に騎乗した夜刀神・鏡介(f28122)は敵を見据え、アクセルを全開にして急加速する。
爆音を轟かせて激しく腕を振り、猛然と突っ込んでくるフルスロットル。
対する鏡介は相手をギリギリまで引きつけて、迅速な動作で右にクイックターン。衝突の寸前に突撃を躱す。
突進攻撃が空を切ると、フルスロットルは即座に高熱の排ガスを前方に勢い良く噴出させながら減速。そのまま足で踏ん張って地面をガリガリと削りながら急停止する。
(やはりあの速度ですぐに止まるのは無理だろうな)
距離を取ってUターンし、敵の動きを観察する鏡介。突撃を止められたフルスロットルは顔をしかめるが、その目には怒りではなく、好奇が浮かんでいた。
「面白い! 我と走りで勝負するつもりなのか! 単車などで我に勝てると思えんがな!」
自分よりも速い者はいない。そんな自負がフルスロットルの闘争本能に火をつける。
(……確かにあの脚力は脅威。だが、それ故の弱点もあるはずだ。これからそれを見極めてやろうじゃないか)
鏡介は敵に鋭い視線を向け、八咫烏を発進させる。少し遅れてフルスロットルも突撃を開始する。
正面から押し寄せてくるプレッシャーと熱気。直撃を受けたら、敵の「暴力」で蹂躙されるだろう。
しかし、鏡介は迅速なステアリング操作で素早く右へと方向転換し、寸前で突進を回避する。
「ぬぉおおおおお!!」
だが、フルスロットルはその動きを察知して、前方に放った熱風で減速。
今度は停止せずに、フックパンチのように右腕を外側から内側へと薙いで強引に旋回し、そのまま急加速して鏡介に追いすがる。
(腕を舵の代わりにして無理やり方向転換したのか? それでもトップスピードには程遠いか……やはり小回りの面では此方が有利だな)
ミラー越しに敵の動きを観察し確信を得た鏡介はそのまま直進し、巧みな重心移動とステアリング操作を駆使して左右に何度も急旋回を繰り返し、敵に揺さぶりをかける。
「ぐぁあああああ! ちょこまかと小狡い鼠めがぁああ!!」
獲物を前にしてお預けを食らい、肉食獣のような声を上げるフルスロットル。
鏡介は追いつけそうで追いつけないギリギリの距離を保ちながら、敵の動きのクセを見極めていく。
(……チェーンソーを持つ左腕のほうが反応が鈍い。敵は此方の重心移動に合わせて減速し、腕を振りかぶる。そのときに数瞬、此方は死角となる……それならば、狙うのは舵を切る瞬間だ!)
そして、鏡介はミラー越しに敵を見据えながら八咫烏を加速させ、敵との距離を十分に取ると、重心を僅かに右へと傾ける。
右折に入る直前の動作。フルスロットルは即座に反応して減速、さらに左腕を振りかぶった――。
(今だ!)
敵の死角に入った瞬間に高速で180度旋回する鏡介。即座に神刀の封印を解放し、まばゆい光を放つ白刃を頭上に掲げたまま、八咫烏を加速させる。
「なにぃ!」
無駄に減速させられ、遅れて動いたフルスロットルの眼前に迫るのは、八咫烏に立ち乗りした鏡介。
「ぐぬっ!!」
フルスロットルが反射的に両腕を上げてガードしようとした刹那、鏡介はすれ違いざまに神刀を上段から振り下ろす。
――参の型【天火】。その斬撃は命中した箇所を確実に破壊する。
神気が迸る神刀での袈裟斬り。激しい火花を散らしながら、改造巨人は金属鎧ごと肩口から脇腹を切り裂かれ――。
――ドォォオン!!
突然、大爆発した。
「うがぁぁあああ!!」
驚愕の叫びを上げながら花火のように上空に打ち上げられるフルスロットル。
V12エンジンが何基か破壊され、爆発が起こったのだろう。
鏡介はフルスロットルに追撃を加えるべく再び八咫烏を走らせるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
黒曜・鵺
・ふむ、暴力こそ本質ですか。しかし暴力とはあくまで「物事を解決しうる手段の一つ」でしかありません。では、暴力対決を始めましょう。
・あの重量。この大地にもかなりの負担がかかっていることでしょう。ですので、突撃は止められずとも「念動力」やタールドローンを飛ばしてのタールボム投下での「爆撃」でフルスロットルの足場を急激に崩す、隆起させることで想定外の修正を行わせることで速度を落とさせ、そして目前で「ジャンプ」「空中浮遊」して回避しましょう。
・その後はすぐさま「迷彩」にて周囲に溶け込んで「目立たない」ようにし、「暗殺」技術を応用した「騙し討ち」からのUCでダメージを与えましょう。
※アドリブ・連携歓迎
アメリカ大陸・名も無き荒野。
フルスロットル・ヴォーテックスの超重量級の巨体は荒れ果てた大地を容赦なく踏み砕きながら縦横無人に荒野を爆進する。その姿はまるで「掘削機」のようだった。
「次はお前か! 暴力こそ、世界の本質! 暴力はすべてを踏みにじり、奪い去る! 我を止めたくば暴力でねじ伏せ、すべてを奪い去るがよい!」
「ふむ、暴力こそ本質ですか。しかし暴力とはあくまで『物事を解決しうる手段の一つ』でしかありません。では、暴力対決を始めましょう」
暴力をこの世界の本質と断言し、暴力で世界を滅ぼそうとするフルスロットルの前に敢然と立ち塞がるのは、黒曜・鵺(f10896)だった。
敵はオブリビオン・フォーミュラ。話し合う余地はない。それならば私も「物事を解決しうる手段」を行使するとしよう。
鵺は瞬時に「暗殺者」の目に変わり、右手を頭上に掲げ、ブラックタールである自らの体組織で生成した黒い眼球を、砲弾のように打ち上げた。
黒い眼球は上空で開眼。真っ赤な瞳で標的を捉える。
それは鵺と視覚を共有し自在に遠隔操作できる目玉型の無人航空機『タールドローン』だった。
そして、タールドローンは標的に向かって音もなく飛翔。ただ前方を見据え、猛然と突進してくるフルスロットルの行く手を遮るように、黒色の榴弾『タールボム』を撒き散らす。
――ドドドドドドドドッ!!
ハンドグレネードと同等の威力を持つ榴弾が次々と着弾し、爆発が立て続けに起こる。
耳を劈く爆裂音。さらに爆風が砂礫を巻き上げ、敵の前方を視界不良に陥らせる。
「空爆か! この程度の暴力で我を止められると思うな!!」
フルスロットルは空爆にも全く動じない。それどころか、俄然やる気が出たというように加速して爆風の嵐へと突っ込んでいく。
そして……。
「ぐわっ!! なんだこれは!」
驚愕の声を上げるフルスロットル。
空爆の中に突っ込んだ途端、まるで老朽化した床板を踏み抜いたかのように、ズボッと地面に片足が埋まる。
さらに、もう一方の足を強引に踏み出すと、そこを起点にして地面に亀裂が入り、周辺の地面が一斉に崩れ落ちる。
「どわぁああ!」
瞬く間に、下半身が地面に埋まる改造巨人。鵺は寸前で空中に逃れ、迷彩技能で身を隠す。
(……その脚力には目を瞠るものがあるが、自分の足元は見えていなかったようだな)
鵺は敵が地面を踏み砕きながら走る姿に着目していた。
縦横無尽の突進で地面は相当脆くなっているはず。それならばそこを空爆で崩してやればいい。
そして、フルスロットルは自らの脚力で足場を崩壊させたというわけだ。
「小童が! この程度で我を蹂躙できると思ったか!」
フルスロットルは全くの無傷だった。
敵の浅慮な策略をあざ笑うかのように熱風で周囲の瓦礫を吹き飛ばし、地面の陥没から脱出する。
しかし、眼前まで迫っていたはずの黒い男の姿は忽然と消えていた。
「どこに行った! 逃げたのか!」
周囲を見回すフルスロットルを哄笑が包む。
――ハハハハハ!! 俺の姿が見えないのか? 馬鹿め! お前は既に俺の術策に嵌っているのだ!
嘲りの声はすべての方向から聞こえ、発生源は特定できなかった。
「我を愚弄するのか! 近くにいるのはわかってるぞ!! あぶり出してくれる!」
フルスロットルは全身から高熱の排ガスを発散し、肌を焼くような熱気を周囲に充満させた。すると…‥。
ガタッ。不意に聞こえた物音は背後の瓦礫の中からだった。
「そこにいたかぁあああ!!」
フルスロットルは歓喜の声を上げ、チェーンソーを起動させて斬撃を放つ。
だが、瓦礫の中から飛び出したのは、黒い大きな目玉。タールドローンだった。
「うぐっ……何だ……動けん!」
突然金縛りにあったかのように動きを止めるフルスロットル。
その足元に黒い影が忍び寄り、ぬうっと人の形を成す。
「まさか卑怯だとは言わないだろうな……騙し討ち、暗殺も『暴力』の一つだろう」
ユーベルコード『サイコアーツ・エンド』。
強力な念動力で既にフルスロットルは捕縛されていた。
鵺は姿を隠したまま地を這い、声で撹乱しながら急接近。
ドローンに気を取られた一瞬を狙い、念動力を放ったのだ。
「お前が言う、この世界の本質とやらをとくと味わってもらおうか」
冷ややかに言うと、鵺は握りしめた拳を風船のように膨張させ、硬質化。渾身の力を込めた、素手での一撃を敵の顔面へと放つ。
――ウゴォオオオオ!!
理不尽な暴力。痛みと悔しさで表情を歪めたフルスロットルが、獣のような絶叫を上げながら遥か後方へと吹き飛ばされていく――。
大成功
🔵🔵🔵
鳳凰院・ひりょ
アドリブ歓迎
WIZ
フルスロットル、残るはお前だけだ!覚悟しろ!
俺の限界の力を見せてやる!いくぞ、オーバーロード!
翼が顕現した真の姿となりフルスロットルに戦いを挑む
真の姿となっても敵の先制攻撃を回避出来るわけじゃない
だが、飛行が出来れば地上で敵の攻撃を回避するよりは動ける範囲が広い!
チェーンソーの刃を【空中機動】を駆使し回避する
回避しきれない分は【オーラ防御】を纏わせた刀で【受け流し】
敵の先制攻撃を凌ぎきったら護符を体に張り付けUC『疑似精霊の加護』を発動!
自分の回復を行うと共に自分の攻撃力を特化で強化!
【オーラ防御】を纏わせたままの刀へ自身の波動を伝達、【武器改造】を開始
オーラで出来た巨大な刀を生成し【怪力】で振るう!
【破魔】を施した【全力魔法】力を込めたこの一撃、受けてみるがいいフルスロットル!
これが…俺の…全力の力だぁぁっ!
敵の【鎧砕き】、肉体へ【貫通攻撃】を叩き込む
十字を切るように【2回攻撃】
こいつで、ジ・エンドだ!フルスロットル!
●熱戦!
「フルスロットル、残るはお前だけだ! 覚悟しろ!」
最終決戦の戦場に駆けつけた鳳凰院・ひりょ(f27864)は、フルスロットル・ヴォーテックスを真っ直ぐに見据え、気勢を上げる。
「この世界は我らの『世界の破滅を望む意志』と、我が暴力によって終わらせる! 我らが定めた終点を乗り越えたくば、限界を超えた力で我をねじ伏せるがいい!」
圧倒的な「暴力」でこの世界を終わらせる。その執念を体現するかのように改造巨人・フルスロットルは、フル稼働のV12エンジンから噴き出す猛烈な排熱を纏い、地面を蹴る。
ひりょは自らの意志を示すかのように両腕を広げ、敵の進行方向に立ち塞がる。
「お前はここで絶対に倒す! この世界を守るために!」
そして、ひりょは今持ちうる力のすべてを解放する。
力を封印する「見えない枷」がバチリと弾け、彼を取り巻くように白き渦と黒き渦が二重螺旋を描く。
光と闇との相克。全身を包み込む2つの力の渦は一瞬で晴れ、ひりょの背中に翼を顕現させる。
左翼が純白。右翼が漆黒。白と黒、一対の翼は、陽と陰、光と闇、善と悪、希望と絶望、様々な対立概念を象徴しているかのようだった。
(これが俺の真の姿……今の俺の限界の力だ!)
「ぐぉおおおおおおおお!!」
猛り狂う雄叫びを上げながら地面を激しく踏みしだき、突進してくるフルスロットル。
ひりょはすかさず両翼を広げて飛び立ち、垂直に急上昇して空中へと逃れる。
だが、フルスロットルはその動きを読んでいた。
「甘いわぁ!!」
大地を強く蹴り、突進の勢いのままに跳躍。足裏から高熱の排ガスを噴出させながら体を旋回させて強引に方向転換すると、左手のチェーンソーを起動。それを乱暴に振り回し、炎を帯びたチェーンソー型の斬撃波を上空のひりょに向けて放つ。
不規則な軌道を描いて飛翔する炎の刃による対空砲火。灼熱の刃の群れはまたたく間にひりょを包囲してしまう。
だが、ひりょは落ち着いていた。両翼を羽ばたかせ、炎の斬撃波の隙間を縫うように飛翔。
対空砲火の包囲網を危なげなく突破すると、仕込み杖の鞘から破魔刀を抜き放つ。
煌めく白刃。さらに持ち手を通して伝達したひりょのオーラが刃を補強する。
これで簡単に折れることはない。この攻撃を凌げばおのずと活路は見えてくるはずだ。
先を見据えて空を翔るひりょ。だが、制圧射撃のように間断なく襲来する炎熱の刃。それを最小限の羽ばたきで小刻みに旋回して躱したひりょは、複雑な軌道で飛行して敵の狙いを逸らし、包囲網をくぐり抜けていく。
だが、敵は虎視眈々と機をうかがっていた。
「馬鹿め! これで貴様は終わりだ!」
フルスロットルは地上で叫び、退路を塞ぐように斬撃を乱打する。
眼前に迫る炎の斬撃波の壁。
その刹那、ひりょは破魔刀を振るう。
――ガキン!!
キリモミ回転とともに円を描く破魔刀の軌跡が炎の壁を引き裂き、その隙間をオーラを纏った翼で体をガードしながら離脱。ひりょは間一髪で事なきを得るも、敵の追撃は更に激しくなっていく。
「遅い! 遅いぞぉおおおお!!」
フルスロットルは敵を撃墜する「ゲーム」に熱中していた。
猛烈な熱風。肌を焼くような熱気が炎の斬撃とともに押し寄せてくる。
それでも、ひりょは縦横無尽に飛翔し、炎の斬撃を破魔刀で受け流し続けるも、敵の攻撃が止む気配は全くない。
じわじわと体力を奪われていくひりょ。やがて手脚に斬撃波がかすめるようになり、体中に切り傷と火傷が増えていく。
(くっ! このままでは埒が明かない! リスク覚悟で突っ込んで元を断つ!)
意を決し、ひりょは落雷のようにジクザクに空中機動をしながら一気に降下すると、低空飛行でフルスロットルへと突撃していく――。
「今度は無謀な特攻か! 貴様の動きなど手に取るようにわかるぞ!」
フルスロットルは即座に反応。敵を迎撃すべく、全身から熱気を噴出させながらチェーンソーを振るう。
熱風とともに烈火の如く襲いかかる斬撃波。
だが、ひりょは全く怯まずに、劫火の中を両翼に纏わせたオーラでガードしながら、更に加速。破魔刀を振り回し、強引に道を切り開きながら突っ込んでいく――。
(最初から多少の被弾は覚悟の上だ! 行くぞ!)
敵に近接し、破魔刀の斬撃を繰り出すひりょ。それをフルスロットルはチェーンソーで受け止め――。
――ドゥゥウン!!
激突した両者を中心に波動が迸り、激しい衝撃波が両者を後方へと弾き飛ばす。
そのまま地面に強く叩きつけられ、しばし両者は動かなかったが、フルスロットルはパチパチと関節部から火花を散らせながらもすぐに立ち上がり、余裕たっぷりの笑みを浮かべる。数秒遅れて、ひりょも奥歯を食いしばりながら立ち上がる。
「ハハハハッ!! 我はほとんど無傷! 貴様はボロボロ! これが我と貴様との力の差だ!」
勝利を確信するフルスロットル。だが、ひりょの目から戦う意志は全く失われてはいなかった。
「……まだだ! 俺はまだ戦える!」
息を切らしながらも、ひりょは自らを鼓舞するように声を発する。
そして、懐から取り出した護符を自分の体に貼り付けると、ユーベルコード『疑似精霊の加護』を発動させる。
周囲に召喚される無数の疑似精霊。それは加護の光を放ち、全身の傷を瞬時に癒やし、攻撃特化の力を施していく。
「ほぅ、自己修復もできるのか。だが、それもただ死を先延ばしにしたに過ぎん!」
相手が回復したのを見て取ると、フルスロットルは体から再び高温の排ガスを噴き上げる。
V12エンジンがフル稼働。そして、足裏から猛烈な熱風を噴射させ、そのままロケットのように飛翔した改造巨人は、無尽蔵の力を誇示するかのようにチェーンソーを振るい、炎熱の斬撃波による空爆を開始する。
「そうはさせない!」
ひりょは追いかけるように地面を蹴り、両翼を大きく羽ばたかせて一気に上昇。大地に降り注ごうとする炎の刃の中へと飛び込んでいく。
(この刀ではパワーが足りない!)
その意志に呼応するようにひりょから溢れ出す波動が破魔刀の持ち手を通じて伝達され――爆ぜる。
オーラの爆発。飛散したオーラは新たな刃の輪郭となり、巨大な刃を顕現させる。
そして、ひりょはその巨大な刃を、炎刃の嵐の中でぶん回す!。
「これならどうだぁああああ!!」
巨大なオーラ刀での豪快な回転斬り。
空中で旋回しながら、竜巻状に描かれる巨大な光の軌跡は炎の刃をすべて薙ぎ払い、消滅させた。
(次はお前の番だ!)
空爆を退けたひりょは標的に鋭い視線を向ける。
そのとき、彼の脳裏には、この世界で出会った人々の笑顔がいくつも浮かんでいた。
苛酷な環境下でも力強く生きるアポカリプスヘルの人々。
目の前の敵を倒さなければ、人々の笑顔が永遠に失われてしまう。
俺はみんなの笑顔を守るんだ!
今だけでいい。もっと力を、この世界を守れる限界を超えた力を――。
そして、ひりょから溢れ出す「思いの力」が、超克の力を呼び覚ます。
(体の奥から力が溢れている……今なら俺は限界を超えられる!!)
「まさか、貴様、『オーバーロード』に到達したというのか? 貴様らの『未来を望む意志』はそれほどだというのか……」
ひりょの体から迸る力の波動を認識し、驚愕の表情を浮かべるフルスロットル。
猟兵たちは新しい力に覚醒しつつある。オーバーロードを発揮するのは目の前の男だけではないだろう。
焦燥に駆られたフルスロットルは、体内のV12エンジンの数を強引に増やし、風船が膨張するかのように、急激に巨大化していく。ところが……。
――ピシリ!!
突然、フルスロットルの体に亀裂が入る。猟兵たちとの戦いで蓄積され続けたダメージが、ここにきて弾けたのだ。それは泡が弾けるが如く、あっけないものだった。
「俺たちはお前の暴力に屈したりはしない! こいつで、ジ・エンドだ! フルスロットル!!」
フルスロットルに向かって一直線に飛翔しながら、ひりょは破魔の力をオーラ刀に流し入れる。
すると、巨大な白刃が光輝を放ち、邪悪な暴力を打ち砕く力が宿る。
「貴様はここで我が暴力で沈むのだぁぁああ!」
それでもフルスロットルは極大化した暴力を振りかざすべく、炎を帯びた巨大なチェーンソーを振り上げる。
全身から光を発しながら飛翔するひりょ。そして、振り上げた刀に全身全霊の力を込める。
「これが俺の、限界を超えた、全力の力だぁあああ!」
覇気の込もった叫びとともに上段から振り下ろした光刃が巨大なチェーンソーを粉砕。追い打ちをかけるように水平斬りを放つ。交差する二筋の剣閃が、フルスロットルの巨躯に光の十字架を描き――。
――ぎゃぁぁ……ドォオオン!!
断末魔の絶叫は、直後の爆発音に遮られる。さらに全身に内蔵されたV12エンジンが連鎖的に爆発を起こし、爆散した肉片を粉塵へと変えていき――フルスロットル・ヴォーテックスはなんの余韻もなく消滅していくのだった。
●終戦
猟兵たちは激戦の末に、6体のオブリビオン・フォーミュラを撃破し、アポカリプスヘルにひとときの平穏をもたらした。
しかし、この世界にはまだカタストロフの懸念がくすぶっている。
この世界にはまだ3体のオブリビオン・フォーミュラが潜伏しており、その所在はまだ判明していないのだ。
その一方で、猟兵たちは新たな力に覚醒した。
オーバーロード。それは溢れる思いを力に変え、限界を超えるための手段。
この力をどう使うかは猟兵たちに委ねられるが、猟兵たちが『未来を望む意志』を貫き、平穏な未来を紡ぐ一助になるのは確かだろう。
世界の破滅への種子を残しながらも、世界に希望を与える力をその身に宿し、猟兵たちはそれぞれの日常へと戻っていくのだった。
大成功
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