アポカリプス・ランページ⑯〜揺籃の檻
●増殖無限戦闘機械都市
フィールド・オブ・ナイン第2席であり、超巨大コンピュータの生体コアでもある「マザー・コンピュータ」は思考する。
「まさか、6体のオブリビオン・フォーミュラを圧倒するとは」
猟兵の……否、未来と希望を求める人の意志は、永遠をも破壊する「究極の力」足り得ると認識を改め、なお彼女は思考を続ける。
「私は真理を求める時間が欲しいだけだというのに」
時間停止、永遠の中、無限の思索。
あらゆる思考を止めず、この状況を打破する為には――。
「増殖無限戦闘機械都市によるグリモア必殺計画」
マザー・コンピューターは自分が出した答えに、ゆるりと頷く。
「さあ、かかってらっしゃい」
猟兵達、機械都市にて私の策と共にあなた達を待ちましょう。
●グリモアベースにて
「最後の戦場への道が開いたよ」
場所はマザー・コンピューターが待つ、デトロイトの都市。
「彼女はこの地で猟兵を待っているんだが……厄介な点がひとつあってね」
少し困ったように鴇が笑って、話を続ける。
「マザーはデトロイトの都市全てを増殖無限戦闘機械都市に変形させ、やってきた猟兵達を閉じ込めるんだ。……それも、この移動を担うグリモア猟兵ごと、だ」
つまりは鴇も同じように閉じ込められ、攻撃を受けるという事。大地も空も戦闘で埋め尽くされた戦場で、グリモア猟兵を守りながらマザーを倒さねばならないのだ。
「俺も簡単にやられるつもりはないが、ゲートを維持できなければ新たにこの戦場にやってくる猟兵はなく、帰還もできなくなる」
鴇が倒されてしまえば、一巻の終わりというわけだ。
「今はデロトイトの都市だけで済んではいるが、放っておけばアメリカ大陸の全てを機械都市へと変えてしまうだろう」
そうなれば、彼女の力は今と比較にならないほどに強くなってしまう。それは何としても阻止しなくてはならないと鴇が話を続ける。
「ま、そんなに気張らなくても大丈夫さ。お前さん方なら大丈夫だろう?」
そう笑って、鴇がグリモアに触れるとゲートを開く。
「それじゃ、よろしく頼むよ」
開いた先は、マザーが待ち受けるモーターシティとも呼ばれたデトロイト――。
波多蜜花
閲覧ありがとうございます、波多蜜花です。
こちらは戦争シナリオとなっておりますので、1フラグメントで終了します。
此度の戦場はデトロイトですが、マザーの力によって大地も空も戦闘機械で埋め尽くされた戦場となっております。
●受付期間
公開時から受付開始となります、断章は入りません。
締切は特に設けておりませんが、少人数での運営予定です。締め切った場合はタグでお知らせいたします。
戦争シナリオですので、再送なしで書けるだけとなります。また、プレイングに問題がない場合でもスケジュールの都合でお返しすることがあります、ご了承くださいませ。
●プレイングボーナス
グリモア猟兵を守りつつ、増殖無限戦闘機械都市の攻撃を凌ぎつつ、マザーと戦う。
●その他
プレイングボーナス通り、グリモア猟兵である深山・鴇を守りつつマザーを倒すという形になります。その為、グリモア猟兵についての描写が入りますが、こちらは基本必要最低限で皆様の邪魔にならないような描写になります。
プレイングにて共闘や話し掛けのお誘いがあればそのように致します、必要に応じてプレイングにどうぞ。
シリアス寄りのプレイングはシリアス寄りのリプレイに、コメディやとんちき寄りのプレイングはコメディやとんちき寄りになると思います。どうぞ、お好きなプレイングをかけてくださいませ!
●同行者について
戦争シナリオということで、三名様までのグループでお願いいたします。
プレイングの失効日を統一してください、失効日が同じであれば送信時刻は問いません。
未成年者の飲酒喫煙、公序良俗に反するプレイングなどは一律不採用となりますのでご理解よろしくお願いいたします。
それでは、皆様の素敵なプレイングをお待ちしております!
第1章 ボス戦
『マザー・コンピュータ増殖無限戦闘機械都市』
|
POW : マシン・マザー
全長=年齢mの【巨大戦闘機械】に変身し、レベル×100km/hの飛翔、年齢×1人の運搬、【出現し続ける機械兵器群】による攻撃を可能にする。
SPD : トランスフォーム・デトロイト
自身が装備する【デトロイト市(増殖無限戦闘機械都市)】を変形させ騎乗する事で、自身の移動速度と戦闘力を増強する。
WIZ : マザーズ・コール
【増殖無限戦闘機械都市の地面】から、対象の【猟兵を撃破する】という願いを叶える【対猟兵戦闘機械】を創造する。[対猟兵戦闘機械]をうまく使わないと願いは叶わない。
イラスト:有坂U
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
オニキス・リーゼンガング
友と/f16930 ◎
心情)ええ、そうですね友よ。とはいえ相手は機械の群れです。
ええ、なんとか出来るでしょう。機械は素直ですからね。
ほう、お強い…なるほど。それは素晴らしい。攻撃に専念できますね。
行動)あまりに冷えると機械は起動しないとか。
ならば氷河期の中でも冷える、氷期の地球ほどに冷やせば一帯が沈黙するのでは?
試してみましょうか。雪が降り積もれば空を飛ぶ機械も落ちるでしょう。
雪と寒冷で機能を落とし、襲い来る機械の攻撃を受け流し、杖で穿ち破壊しましょう。
わたくしは盲目ですが、風の動きやオーラを感じれば、敵の動きを測るなど容易いことです。
朱酉・逢真
ダチ公と/f28022 ◎
心情)ひ、ひ。門番までコッチ来ちまうンじゃア大変だ。なぁダチ公? マ・深山の兄さんはお強いヒトさ。ガッツリ守らずともなンとかならァな。
行動)アー…つっても旦那は人間、氷期の地球にゃ対応してねェやな。念入りに結界かさねとこう。寒かねェかい兄さんや。犬をいくらか置いとくから、寒かったら暖とっとくれ。はてさて機械都市っつゥからにゃ無機物ばかりだろう。ならそれが俺の武器さァ。サールウァ、やんちゃ坊主。目覚めて暴れろ。飛ぶ機械走る機械泳ぐ機械、すべて巻き込み腐り潰せ。ひっひ、雪も巻き込んでとんでもねェ吹雪だ。こりゃア都市にも災害だろうさ。
●氷雪のテンペスト
降り立った地は既に冷たい無機質な鋼に埋め尽くされ、機械都市という名に相応しい場所と成り果てていた。
「やるこたァいつもと変わりないがね、ひ、ひ。門番までコッチ来ちまうンじゃア大変だ。なぁダチ公?」
病毒に戯ぶ神たる朱酉・逢真(朱ノ鳥・f16930)に友と呼ばれた男、オニキス・リーゼンガング(月虹に焦がれ・f28022)が本来ならばこの地には居ないはずのグリモア猟兵の気配を感じ取り、僅かに意識を向ける。
「ええ、そうですね友よ」
成程、あの人間を守りつつ戦わねばならぬのか。オニキスがさてどうするかと思案する横で、逢真がマ、と笑う。
「深山の兄さんはお強いヒトさ。ガッツリ守らずともなンとかならァな」
腰に下げた刀は伊達じゃねェよと言えば、オニキスが認識を改める。
「ほう、お強い……なるほど。それは素晴らしい。攻撃に専念できますね」
「そうさな、で? お前さんはどうする」
「相手は機械の群れでしょう」
目は閉じていようとも、それくらいはわかる。
風の動き、纏うオーラ。生命と無機物が発するそれは全く別物ゆえ、判別は容易だ。
「策があンのかい」
「ええ、なんとか出来るでしょう。機械は素直ですからね」
オニキスが杖を構えると、その名を象徴するように飾る黒石が鈍く輝く。
機械が埋め尽くさんとする空に暗雲が広がって、白いものがちらり、ほらりと舞い降りるのが見えた。
「……雪? ダチ公、お前さん」
「あまりに冷えると機械は起動しないとか」
逢真の声に頷きながら、オニキスが冷気を呼び込む。
「零度やそこらでは足りないでしょうから、そうですね。氷河期の中でも冷える、氷期の地球ほどに冷やせば一帯が沈黙するのでは?」
「俺はその辺詳しかないが」
機械が動かなくなるほどの寒さでも、暑さ寒さに関係のないこの身はなんともないが。ついでに言えば、その温度を適温だというお前さんもなんともないだろうが。
「生きるいのちにはちと拙かねェか」
「……そこはあなたがなんとかなさい」
管轄外なので、とオニキスが言うと逢真が盛大に顔を顰めた。
「本末転倒って言うンだぜ、それ」
「役割分担とお言いなさい」
早くしないと機械の群れが来ますよ、とオニキスが更に杖を振るう。
「容赦がねェな……」
鴇を見遣れば首に巻いた蛇は活き活きとしているが、彼自身は吐く息も白く寒そうに見える。
「アー……旦那は人間だからな、氷期の地球にゃ対応してねェやな」
念入りに結界を重ねておこうと、彼の周囲に結界を張り巡らせる。十重二十重に張っておけば死ぬことはなかろ、と考えて、ついでに影から犬を喚び出した。
「寒かねェかい兄さんや。犬をいくらか置いとくから、寒かったら暖とっとくれ」
「犬」
「ほら、遭難とかすると犬が来るだろ」
大雑把な話だが、言いたいことはわかったと鴇が頷く。
でけぇ犬に囲まれる旦那の絵面、ちょっと面白れェな、とは思ったが人命救助ってやつさと誤魔化して逢真が笑った。
「来ますよ」
機械都市の地面から、猟兵を撃破するというマザーの願いを叶える対猟兵戦闘機械が現れオニキスと逢真、そしてその後ろにいる鴇へと襲い来る。
「わたくしには適温ですが、さて」
対猟兵戦闘機械にはどうでしょうか? とオニキスが唇の端を僅かに持ち上げた。
今の気温が何度かは知らぬところだが、-70度はくだらないであろう。それに加え、雪により認識がある程度阻害されている。放たれる攻撃は緩慢で、オニキスが軽々と受け流しては杖の先で穿ち破壊していく。
「寒いからって絶好調かよ」
放っておいても残らず倒してしまいそうだが、そういうわけにもいかないかと逢真が辺りを見回す。
「凍っちゃいるが機械都市っつゥからにゃ無機物ばかりだろう」
それならそれが俺の武器だと、逢真が歌うように呼び掛ける。
「サールウァ、やんちゃ坊主。目覚めて暴れろ」
逢真の眷属であるものが、主の呼び声に応えないわけもなく。彼の周囲にある無機物が不浄の暴風雨へと変わっていく。
「すべて巻き込み腐り潰せ」
空をいくのも、走るものも、泳ぐものも、全ての機械を!
「ひっひ、雪も巻き込んでとんでもねェ吹雪だ」
白に黒に、全てを塗り潰すかのよう。
「こりゃア都市にも災害だろうさ」
「ええ、このままマザーとやらも倒してしまいましょうか」
極寒と化した地を、人ならざるかみさまと龍神が真っ直ぐに往く。
狙うはマザー・コンピューター、ただひとり――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
栗花落・澪
致命傷にさえならなければ自分の負傷は全く気にしない
深山さんに【オーラ防御】かけます
ところでマザーさん、その恰好寒くないです?
翼の【空中戦】を主体に
【聞き耳】で機械の稼働音を聞き分け目視より速い回避行動
【高速詠唱】で水魔法の【属性攻撃】
マザーさんが入っているフラスコを狙って
まぁヒビでも入ればラッキーだけど、最低限濡らせれば充分
【指定UC】発動
一部地形を森で上書きする事で死角を増やし
花粉はヒビから入り込めば花粉症を誘発
ダメでも濡れたフラスコ表面に貼りつき視界を奪う
その隙に深山さんと大きな木の根元に隠れ
敵の攻撃による引火を狙うか
外に向けて炎の【全力魔法】
密度の高い花粉で粉塵爆発を誘発させ攻撃します
●輝く花粉の恐ろしき
機械都市となったデトロイト、その中でも栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は凛とした態度を崩さない。
「僕がきちんとお守りしますからね!」
「助かるよ」
ゲートを維持し続ける鴇にオーラによる加護を重ね、澪がマザー・コンピューターへと向かう。卵のようなフラスコを模した機械の中にいる彼女に向けて、澪がこてんと首を傾げて問うた。
「ところでマザーさん、その恰好寒くないです?」
『? 私には必要ないものですね』
お洋服くらい着たらどうかと思うけれど、生体コアである彼女には不必要なものなのだろう。そして、彼女はそんなことはどうでもいいとばかりに、思索に耽るべく対猟兵戦闘機械を創造する。
機械都市の地面から湧き上がるかのように現れた戦闘機械が、二人へと襲い掛かった。
「こちらです!」
鴇に攻撃が行かぬよう、澪がその翼をはためかせ空中へと戦場を移す。空を飛び回りながら、機械の稼働音を聞き分けて銃撃を難なく避ける。
そのままマザー・コンピューターに接近を試み、戦闘機械を巧みに躱しながらマザーの入っている機械のガラスを狙い、交差する瞬間に圧縮された水の弾を撃ち放った。
「さすがにヒビまでは入らないか」
ヒビが入ればラッキーくらいの気持ちだったけれど、澪からすれば最低限濡らせられれば充分だ。
「ここからが本番だよ」
澪が祈るように手を組んで己の力を開放すると、機械に覆われた地形が新緑に侵食されていく。見る間に機械都市の一部が美しい森へと姿を変え、生い茂る木々から虹色に輝くきらきらとした花粉が放たれた。
きらきらと光る花粉がマザーのガラス表面に張り付いて、瞬間その視界を奪う。
「今だよ、深山さん」
澪の指示に従い、鴇が彼と共に大樹の根元に隠れる。
「ここから動かないようにしてくださいね」
危ないですから、と言い置いて澪がマザーの周辺へ花粉を密集させていく。
「さて問題です、あの花粉が集まっているところに」
そこで言葉を切って、澪が指先に炎を灯す。
「僕の全力魔法を叩きこんだらどうなるでしょうか?」
鴇がぱちりと目を瞬かせ、それは面白そうだと笑う。
「はい!」
密度の高まった花粉はきらきらと虹色に煌めいて幻想的な雰囲気だけれど、澪の指先に灯された炎は一層燃え上がって。
「それじゃあ行きますよー!」
しっかりと狙いを定め、澪が撃ち放つ。
放たれた炎は真っ直ぐにマザーの方へと向かい、煌めく花粉に引火する。
後は一瞬の出来事で、マザーの入っている機械を包むかのように大爆発を引き起こしたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
柊・はとり
◎
身に覚えがない話かもしれないがピザの恩を返しに来た
深山はとりあえず後ろで煙草でも吸っててくれ
一本吸い終わる頃にはもうやる事なくしてやる
【第三の殺人】
深山の前に陣取り偽神兵器を構える
無限に機械都市が増殖するなら
それ以上の速さで壊せばいいと思わないか
偽神兵器をなぎ払う風圧により
街の地形を破壊しながら放射状に前進する
氷属性の斬撃波を発生させ連射
この理不尽な暴力は建造物を破壊し
地面という地面を凍てつかせる
戦闘機械を俺より後ろには行かせない
もし接近されても
身に纏う蒼炎を延焼させ冷凍する
その他予想外の攻撃には第六感で対処もできるが
そこは深山を信頼する
あんたも探偵なら
推理で敵の動き位見破ってるだろ
任せたぜ
●探偵の恩返し
転送された先は機械都市と化したデトロイト、さて目的の人物はと柊・はとり(死に損ないのニケ・f25213)が眼鏡の奥に光る青い瞳を瞬かせる。
「あそこか」
既に幾重かの防御術が掛けられている鴇を見つけ、ざっくばらんに声を掛けた。
「身に覚えがない話かもしれないが、ピザの恩を返しに来た」
「なんて?」
ざっくばらんが過ぎたか、とはとりが今一度掛ける言葉を探し、再び唇を開く。
「……ピザアーミーの」
「ああ、ピザアーミー……」
あったな、と鴇が頷くとはとりも大きく頷いて。
「一宿はないが、一飯の恩は返すべきだと思ってな。深山はとりあえず後ろで煙草でも吸っててくれ」
律儀だな、と思いつつ指示通りに後ろに下がる。ついでに、煙草も吸わせてもらうことにした。
「よし、吸い終わる頃にはもうやる事なくしてやる」
有言実行とばかりに、はとりが動く。
偽神兵器である薄氷の如き刃を持つ大剣を手に、鴇の前に陣取ると機械都市を見渡して誰に語り掛けるでもなく言葉を紡ぐ。
「無限に機械都市が増殖するなら、それ以上の速さで壊せばいいと思わないか」
暴論のように思える言葉だが、猟兵たる者であればやってのけるであろうことを唯一人聞いていた鴇は知っている。肯定するかのように紫煙を吐き出せば、はとりが己の力を発動させた。
――第三の殺人『十三階段峠』、被害者は生きたまま焼け死んだ。
それはそのままはとりの力となって、彼の身を蒼い炎で包み込む。偽神兵器を構え、一刀両断とばかりに横薙ぎに振り払うと、その風圧が街の地形を破壊し放射状に前進していく。
「まだまだ」
大剣を振るう度に氷の力を乗せた斬撃波があちらこちらへ飛び、建造物を破壊する。それは理不尽なまでの暴力で破壊と共に地面という地面を凍てつかせた。
地面から創造された対猟兵戦闘機械もその餌食となって、片っ端から動きを止めてガラクタへとなり下がる。はとりより後ろへ行こうとする戦闘機械を抑え、近付くものは纏った蒼炎が延焼させ冷凍し、動きを止めた。
中には予想外の動きを見せる機体もいたが、はとりを抜いた機体は鴇が一息に斬り伏せる。
「お見事」
それくらい、探偵なら推理で敵の動きを見破るだろうと考えたのは間違っていなかったな、と小さく唇の端を持ち上げて、遠慮なく前だけ見させてもらおうと偽神兵器を再び振り上げた。
標的はフィールド・オブ・ナインが第2席、マザー・コンピューター、ただ一体――。
大成功
🔵🔵🔵
新山・陽
荒れた市街戦で要人保護ですか。これも仕事のひとつと思えば気合いが入りますね。まぁ、手際が良い理由などは企業秘密ですが、この局面で役に立ちさえすれば良かろうなのです。
はいではこれをと『暗号の帳』を取り出し、さっと鴇さんに【早業】で【物を隠す】ように被せると、背に【かばう】
「私を倒さなければ、真の的は見えませんよ?」
UC『圧潰の更紗』を展開し、敵UCに対処します。
更紗は、できるだけ機械の関節部での【部位破壊】を狙います。
倒れた機械を【ハッキング】でロックし、再起できないよう情報凍結を仕掛け、こちらですよと【挑発】しながら戦います。
待鳥・鎬
※連携歓迎
いつもお世話になっていますからね
アーム一本触れさせるものかっ
相手が物量で来るなら、こっちも数が要るかな
UC発動
解体屋ガジェットロボ軍団、出動!
壊されても常に最大数維持
ドライバーに鋸にバールに……鴇さんに近付く奴は、君達の【メカニック】な【早業】で切って分解してバラバラにしてやれ!
杞柳もそっちのサポートをお願いね
解体屋さんの一部は、僕と一緒に対マザー戦だ
【迷彩】効果のある「山吹」を纏って、ロボ達の攻撃に紛れて接敵
まずは移動力を担う脚部を【切断】して、動力部や基幹部分を狙う
マザーに隙が生じたら、逃さずロボ達と一斉攻撃
外殻ごと【貫通する攻撃】を
さぁ、「鋼切」
その名に恥じぬ斬れ味を見せてよね
●メカニカル・テクニカル
どこもかしこも機械化された都市の中、新たに転送されてきた猟兵が二人。
「どこを見ても機械だね……!」
「ふむ、荒れた市街地かと思いましたが、機械化された都市とは」
パッと顔を見合わせて、待鳥・鎬(草径の探究者・f25865)と新山・陽(悪と波瀾のお気に入り・f17541)は此処にいるということは、目的は同じだと視線を交わし合う。
「よろしければ協力致します?」
人数は多い方がいいとは言わないけれど、二人であれば死角も減ると陽が提案する。
「是非! 今回は突撃すればいいだけじゃないですし、助かります!」
ね、杞柳? と、鎬が有翼の蛇に話し掛けると、杞柳が翼をパタパタとさせて同意した。
「あら、かわいらしい……っと、それは後で。今は要人保護が先です」
「はい、いつもお世話になっていますからね」
今回ゲートを開いた鴇に限らずだが、猟兵であればテレポートの世話になる者は多い。その恩が返せればと鎬が笑った。
「ええ。それでその警護対象は……あ、いましたね」
陽がざっと辺りを見回し、ゲートを維持し続けている鴇を見つける。
これも仕事のひとつと思えば気合いも入るというもの。鎬と共に鴇の傍に向かい、挨拶もそこそこにどこからともなく取り出した垂れ布を鴇へと被せた。
「はい、ではこれを被って付いてきてください」
「ああ、わかった」
「あっ何か見え難いというか、認識し難いというか……!」
確かにそこにいるのはわかるのだが、薄紗の向こうにいるような感覚で視線が外れる。そのまま自然な動きで陽の方に視線が向くのだ。
「不思議です、すごい!」
「ふふ、企業秘密というやつです」
手際の良さも含め、というやつだ。
けれど、こういった局面でも役に立つのだから、日頃から何が使えるかわからないものですね、と陽が独り言ちる。
「陽さん、敵が来ます!」
機械都市の地面から対猟兵戦闘機械が創り出され、陽と鎬の道を塞ぐかのように群れを形成していく。
「鴇さん、私達の後ろから出ないようにお願いします」
陽の言葉に頷き、鴇が二人の邪魔にならぬよう後ろへ下がる。それを目の端で確認しつつ、まずは陽が仕掛けた。
静かな動作で力を展開し、変幻自在の暗号の布を張り巡らせる。まるで更紗を操っての演舞のような動きで、戦闘機械に向かって布を放つ。
「布と思って侮ると」
命中した敵に生き物のように絡みつき、関節部をぐしゃりと破壊する。
「ひと捻り、というやつです」
そのまま倒れた敵には再起できぬように情報の凍結を仕掛けながら、前へと進む。目指す先には卵のような形をした機械の中に入る、フィールド・オブ・ナイン第2席のマザー・コンピューター。
近付くにつれ、敵の攻勢も激しくなっていく。
「さすがに数が多いですね」
「相手が物量で来るなら、こっちも数が要るかな」
鎬が任せてと微笑んで、己の力を開放する。
「解体屋ガジェットロボ軍団、出動! なんてね」
鎬が召喚した百数体の自立型ガジェットロボットが彼女達の行く手を阻もうとする戦闘機械へ、躊躇いなく向かって。
「ドライバーに鋸にバールに……マザーに近付くのを邪魔する奴も、鴇さんに近付く奴も、君達のメカニックな早業で切って分解してバラバラにしてやれ!」
指示を出す鎬はどこか楽しそうで、マザーの戦闘機械より自分のガジェットとの方が強いんだ! という気概に満ち溢れていた。それは召喚したガジェット達にも十二分に影響しているようで、いつもより解体速度が速い。
「うんうん、良い調子! 杞柳もそっちのサポートをお願いね」
くるんと宙返りで返事をして、杞柳が鴇の方へ向かうのに頷いて、鎬がマザーを目指す。
「素晴らしい技術ですね」
「ありがとうございます! このままマザー戦といきましょうか!」
鎬の言葉に陽が頷き、ついでに解体された戦闘機械にも情報凍結を仕掛けながらパンプスの踵を鳴らしてマザーの前へと立つ。
「初めまして。そしてさようなら、ですが」
『猟兵、よくきましたね。ええ、すぐさようならとなるでしょう』
陽の言葉にマザーが答え、無駄な話は無しだとばかりに機械都市の一部を変形させて騎乗すると戦闘が開始された。
「ふむ、無駄のないそれは好感が持てますが」
更紗を操り、陽がマザーの攻撃を凌ぐ。その間に、鎬は八重山吹の花紋を織り込んだ紗の羽織、山吹を羽織って解体屋ガジェットロボ軍団の一部と共にマザーへと接敵していた。
「うん、山吹の迷彩効果はマザーにも効いてるみたいね」
そうとなれば電光石火、とばかりに移動力を担っている脚部の解体を試みる。手にするは打刀『綱切』、その切れ味は鋼をも断つ逸品。
「ハァッ!」
気合と共に脚部を一刀両断すると、動力部や基幹部分を狙い解体を試みる。
鎬に向かう攻撃は陽が受け流し、解体されたものを片っ端から情報凍結させていくという、即席ながらも息の合ったコンビネーションをみせていた。
『く……ッ』
ガタン、という音と共に、マザーの入っている装置が傾く。
「今です!」
「はい!」
鎬が走る道を陽が作り出し、そこを鎬が駆ける。
「さぁ、『綱切』その名に恥じぬ斬れ味を見せてよね――!」
ガジェットロボ達と共に一斉攻撃を仕掛けた鎬の刃が、マザーの外殻ごと貫いた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
藤・美雨
◎
戦車とか邪神とかと戦ってきたけど、いよいよ都市が敵かぁ
私一人ならワクワクするシチュエーションだけど、鴇まで連れて来られちゃってるからね
生きて帰れるように頑張っていこう!
基本的に鴇の盾になれるように行動
見た目より頑丈だから心配しないで
デッドマンの特性と【激痛耐性】でしっかり盾役を果たすよ
攻撃の起点は基本的に地面だ
目に見えるものだけじゃなくて音や気配にも気をつけて
邪魔なものは『火尖鎗』で薙ぎ払いつつ進むよ
猟兵に狙いを定めてくるなら全部私が対応すればいいのさ!
そうやって進んでいけばきっとマザーのところにも辿り着ける
ここまで大変だったんだよ!もう怒ってるからね
その怒りを槍に乗せ【怪力】でぶち抜くよ!
●盾となり、鉾となり
「戦車とか邪神とかと戦ってきたけど、いよいよ都市が敵かぁ」
見渡す限りの機械都市、それもデトロイト全都市だけでは飽き足らずアメリカ全土にまで増殖させようとしているのだと知って、藤・美雨(健やか殭屍娘・f29345)はいよいよハリウッド映画染みてきたね、と快活に笑う。
「私一人ならワクワクするシチュエーションだけど」
そう言いながらちらりと視線を向ける先には此度の案内役であり、テレポートを担当している鴇がいた。
「うん、鴇まで連れて来られちゃってるからね」
ここはひとつ、生きて帰れるように頑張っていこう! と、彼女がぐっと拳を握った。
「私が盾になっていくからね、見た目より頑丈だから心配しないで」
そう言って、美雨が鴇を先導するように前に出る。
可憐な乙女に見えるけれど、実際可憐な乙女だけれど。デッドマンである彼女は魂に刻んだ激しい衝動がある限り、肉体がバラバラになっても死ぬことは無い。
身体は死んでいても、心までは死にたくない。その思いが胸にある限り、私は死なないのだからと笑って前へと進んでいく。
「ふーん、敵の攻撃の起点は基本的に地面ってわけだね」
ならば、目に見えるものだけではなく、音や気配にも反応席るように精神を研ぎ澄まして。機械都市の地面から現れる対猟兵戦闘機械を手にした火尖鎗で薙ぎ払おう。
難しく考えなくていい分、私に向いているかもね、なんて呟いて身の丈より大きな槍型の宝貝を振り回す。
「猟兵に狙いを定めてくるなら、全部私が対応すればいいのさ!」
襲い来る戦闘機械を突き刺し、穂先から吹き上がる炎で焼き尽くす。
「焼き鳥? 焼き機械? になりたいやつはかかっておいで!」
全部この火尖鎗で相手になってあげると、美雨の灰色の瞳が炎を映して煌めいた。
敵の群れを薙ぎ払い、片っ端から焼き尽くして、鴇を襲おうとする敵を突き刺して遠くへとぶん投げる。その間だって笑顔は忘れず、美雨が進んでいくと卵のような形をした装置の中にいる女性が見えた。
「あれがマザー?」
その声に、マザー・コンピュータがそうですと答える。
「そっか、お前がマザー」
すっと火尖鎗を構え直し、美雨が息を吸い込んで叫ぶ。
「ここまで大変だったんだよ! もう、私すっごく怒ってるからね!」
この怒りはお前にぶつけなきゃ収まらないんだからと、美雨が腰を低くする。
『怒り、私とは縁遠いものですね』
「そう? それじゃあ私が教えてあげる!」
ぐっと脚に力を込めれば、パリパリと電気が奔る。そうして、弾丸も斯くやとばかりに飛び出すと、美雨がマザーが入っている装置に向けて火尖鎗を向ける。
怒りを乗せた穂先が装置を捉え、罅割れた表面をぶち抜いて――。
大成功
🔵🔵🔵
シビラ・レーヴェンス
露(f19223)。
私は深山の近くに極力居ようと思っている。
彼は護衛というよりも共に戦う方がよさそうだな。
他の者達も同じことを考えているはずだから協力する。
封印を解きパフォーマンスを上げ基本能力を底上げ。
そして限界突破し全力魔法後に高速で【禍の魔杖】行使。
紅の剣の全てを私と深山の周囲に展開させておこうか。
露は自分で危機回避可能…と思うが念の為に彼女にも気を払う。
これで想定外のことが起きてもある程度は対応できるはずだ。
戦闘中は剣の半分を露のサポートに。半分は私と深山の周囲へ。
他の猟兵達と連携しつつ死角からの強襲に備えておこうと思う。
神坂・露
レーちゃん(f14377)と。
わーい。今回は深山さんと一緒にお仕事できるのね♪
改めてよろしくお願いね…って挨拶するわ。
深山さんはレーちゃんが護ってくれるから安心よね。
あたしは愛剣二本携えて全力の【銀の舞】で突っ込んでいくわ!
リミッター解除と限界突破してから一気に加速して戦うわよ♪
早業で2回攻撃しながら全部斬っちゃうんだから。
あ。向こうの攻撃は見切りとか第六感とか野生の勘で回避するわ。
他の猟兵さん達と協力したり連携するもの手よね♪
●共闘
映画のような機械都市の中、鴇を見つけて神坂・露(親友まっしぐら仔犬娘・f19223)が指をさす。
「レーちゃん、深山さんがいたわ!」
「人に向かって指をさすな」
ごめんなさい、と言う露に呆れたようにしつつも、シビラ・レーヴェンス(ちんちくりんダンピール・f14377)が彼女と二人で鴇の元へやってくる。
「今回は深山さんと一緒にお仕事できるのね♪ 改めてよろしくお願いね」
「よろしく頼む、深山」
露とシビラの言葉に鴇も笑みを浮かべて頷き、よろしくと言葉を返した。
「さて、やることはいつもとあまり変わらないが」
「そうね、あたしが突撃すればいいのよね?」
「……まあ、そうなるな」
任せて♪ と胸を張る露にシビラが頷くと、鴇の方を見る。
「そういうわけでな、私は深山の近くに極力居ようと思っている」
それに、とシビラが鴇が腰から下げる刀を見て、視線を戻し。
「深山は護衛というよりも、共に戦う方がよさそうだしな」
「ああ、いい加減身体が鈍りそうだ」
守られるのは性に合わぬという彼に、そうだろうなと返してシビラが奥にいるマザー・コンピュータを見遣った。
「あれがマザーか」
「ん~、あの入れ物みたいなの、ボロボロになってるわね」
既に数人の猟兵がマザーに向かって攻撃を仕掛けているのだろう、それなりに弱っているようにも見える。
「共闘、というわけだ」
「ふふ、あたしそういうのも大好きよ♪」
連携を取り、敵を倒す。この場に集まった猟兵であれば、目的は一緒なのだから難しい事ではないはず。
「ん-、そうと決まれば、あたし行くわね!」
クレスケンスルーナとグランドリオンを両手に構え、露が己に課したリミッターを開放する。
「心配する必要はないと思うが、露」
「うふふ、レーちゃんったら心配性ね~! 大丈夫よ、いってきます!」
レーちゃんがいるなら深山さんは大丈夫だし、全力が出せるわと露が駆けた。
「いや、肝心なところでミスをしないか……だめだ、聞いてないな」
やや心配気な視線でそれを見送り、シビラもまた自身に課した封印を解く。
「あれでもやる時はやるはずだ、うん」
鴇に視線を投げつつ言うが、自分に言い聞かせるようにそう言ってシビラが己のパフォーマンスを上げていく。魔力が巡るのを感じ取りながら、今持ち得る全力の力で禍の魔杖を行使する。
「Dezlănțuiți cu nouă taste!!」
無数の紅の剣が虚空より現れ、その全てを自身と鴇の周囲に展開させた。
「これだけあれば良いだろう」
機械都市の地面から創り出された機械兵器の群れを見て、シビラが笑う。
「この包囲網を破れるか?」
幾何学模様を描くように飛び回る紅の剣が、鴇を狙う機械兵器に突き刺さり、その箇所から機械を腐食させていく。
「私達も行こう、近付きすぎるのは危険だが」
それなりの距離を保ちつつ、シビラと鴇もマザー・コンピュータの待つ奥へと向かう。何だかんだ言っても、露を気に掛けているのがシビラらしいところ。
先行している露はといえば、マザーまでの道を塞ごうとする機械兵器を手にした二刀で斬り伏せていた。
「あ、レーちゃんの剣!」
そんな彼女を助けるように、シビラが遠くから紅の剣を半分ほどサポートとして展開させ、もう半分は変わらず自身と鴇を守る為に展開している。
「露は自分で危機回避が可能だろうが」
野生動物染みた勘の冴えがあるからな、と零しつつ念の為だと言い放つ。
「仲が良いんだな」
「……そういうことではないが」
ふ、と笑ってそれ以上は突っ込まず、鴇もシビラと共に死角からの強襲に備えるべく辺りに気を配った。
「あなたがマザーね? もう随分ボロボロみたいだけど……倒させてもらうわ」
『いいでしょう、猟兵』
何人来ても同じこと、相手をしましょうとマザー・コンピューターが再び機械都市の地面から対猟兵戦闘機械を創造する。
その攻撃を避け、時にその場にいる猟兵達の力に助けられながら、露が愛剣二本を携えて風のように舞いながら素早い一撃を剥き出しになったマザーの肌へ放った。
まだ足りない、止めの一撃にはもう一歩――!
「レーちゃん!」
「露!」
露の動きに合わせ、シビラの紅の剣が舞う。
「これで最後よ!」
青白い片刃の剣と鮮やかな赤をした諸刃の短剣が煌めき、マザーを切り裂いた刹那の瞬間。
露が素早いステップで下がると、紅の剣がマザーへと降り注いだ。
『私は猟兵に敗北するのですか』
意識が止まるその瞬間まで、マザーは思索を続ける。
『ああ、そうなのですね。私は、未来と希望を求める人の意志に……』
そうして、増殖無限戦闘機械都市はその増殖を止める。
それは猟兵達がマザー・コンピューターに勝利したことを意味していた――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵