アポカリプス・ランページ⑯〜時空を支配する機械の母
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「フィールド・オブ・ナインの一人、マザーコンピューターの気配を捕捉しました。場所はデトロイト。すぐに転移が可能ですの」
グリモア猟兵、ミネルバは猟兵たちに静かに告げた。猟兵によるアポカリプスヘルの攻略が進み、ついに六体目のフィールドオブナイン、マザーコンピューターのいる場所への転移が可能になったのだ。
「彼女は今回起きつつあるカタストロフの原因ではありませんが、フィールド・オブ・ナインは九体全員がオブリビオン・フォーミュラ。アポカリプスの真に救いたいならば、一体も逃がしてはならない相手です」
ミネルバはブンブンと槍を素振りし、説明を続けた。
「マザコンは二つの能力を持っているそうですが……今回は『タイムフォール・ダウン』と呼ばれる能力を使用するようです。能力の詳細は一言で説明すると、時間の『巻き戻し』と『早送り』ですの。時間を加速させて超スピードの攻撃を行ったり、逆に時間を巻き戻して自分が受けたダメージを消したり、攻撃そのものをキャンセルしたりできるようです。恐らく、現地でこの攻撃を受けたら一瞬何が起こったか分からなくなるんじゃないでしょうか。無策で挑めば、何もできずに……いえ、何もしなかったことにされて返り討ちになってしまうかもしれませんの。どうぞ対策を講じた上で挑んで下さいませ」
ミネルバはマザーコンピューターの恐るべき能力について語り、猟兵達に注意を促した。
「時間系の敵は強いと相場が決まっております。どうかお気をつけて。準備が出来た方から、どうぞ出撃を。ご武運をお祈りしますの」
ミネルバは一礼し、アポカリプスヘルへの転移ゲートを開いた。
大熊猫
こんにちは。大熊猫です。フィールド・オブ・ナインの一人、マザーコンピューター戦のシナリオとなります。マザーには2パターンのシナリオフレームがありますが、本シナリオでは時間操作の方の能力を扱います。
プレイングボーナス……敵の「巻き戻し」「早送り」を含めた先制攻撃に対処する。
●文字数省略用記号
アドリブ歓迎→☆、連携歓迎→★、何でも歓迎→◎(☆★と同じ)、ソロ描写希望→▲。
●合わせプレイングについて
グループ参加の場合は、迷子防止の為プレイング冒頭にグループ名をご記載下さい。
●オーバーロードについて
任意のタイミングで真の姿のプレイングをかけたい場合や、プレイングの文字数が足りない場合は使用をご検討下さい。
オーバーロードを使用するとプレイングの文字数が1.5倍になるので、自然な範囲で描写もたぶん増えます(星の量に比例して2倍、までは増えないかと思います)。
受付:オープニング公開時から9/19(日)23:59まで。
執筆ペースはプレイングが流れない範囲でゆっくりめです。9/21(火)15:00までの完結を目処に、可能な限りたくさん採用できるようがんばります。よろしくお願いします。
第1章 ボス戦
『マザー・タイムフォール・ダウン』
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POW : タイム・タイド・アタック
【時間質量の開放がもたらす超加速】によりレベル×100km/hで飛翔し、【速度】×【戦闘開始からの経過時間】に比例した激突ダメージを与える。
SPD : タイム・アクセラレーション
【時間の超加速】による素早い一撃を放つ。また、【時間質量の消費】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ : オールドマンズ・クロック
攻撃が命中した対象に【時計型の刻印】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【肉体が老化し続けること】による追加攻撃を与え続ける。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
菫宮・理緒
◎
時間操作はチートだよね。
と、思っていたんだけど、相手が使うなら遠慮はいらないかな!
それ、わたしもできるよ。
相手の先制攻撃は【フレーム・アドバンス】で巻き戻して、刻印をキャンセル。
そのあとは『マザー』を一時停止、それが無理そうならスロー再生して、行動力を削らせてもらおう。
マザーが時間を操ってきたら、こちらも対抗して操り返していこう。
そう簡単には、支配はさせないからね。
この場の『時間』はどっちになるかな?
時間をわたしが支配できたら、スローからの【M.P.M.S】でランチャー攻撃。
支配しきれなければ、『マザー』の時間操作をやり返して、攻撃をキャンセルしていこう。
あなたの好きにはさせないから、ねー。
ウィユ・ウィク
◎
時間自体を操る相手はなかなか相性が悪いのです・・・!
普段なら得意の速さと回避メインで戦うのですが、今回は攻撃を受ける事を前提にして【そらなかさん】達に周囲を守ってもらいながら戦うのです!
いつもくろねこさん達に踏まれて鍛えられているそらなかさん達の耐久力は凄いのです!
足を止めたら大技の餌食になってしまうので、速さで負けていても動き回るのはやめないのです!
受けに回りながら駆け廻りつつ『運命の糸』を張り巡らせていくのです!
糸は触れてもダメージはないですが、触れたマザーさんの運を奪ってボクの運にしてしまうのです!
運により起こる事象、つまり運命はちょっとやそっとの時間操作では変えられないのです・・・!
●時間と運命を巡る戦い
「来ましたね。猟兵」
猟兵の気配を感知したマザーコンピューターは孵卵器のような機械から這い出ると、全身を赤く輝かせた。彼女と対峙するのはウィユ・ウィク。幼きキマイラの猟兵である。
「子供が相手でも容赦はしません。死になさい」
マザーは最高速度である四倍速まで加速すると、恐るべき速度でウィユに殴りかかった。
「お願いします! そらなかさん!」
その瞬間、ポンッという音と共に、ウィユの目の前に白いクッションのような奇妙な生き物が出現した。この謎の生命体はウィユが運命力で生み出した生命体『空中(そらなか)さん』だ。空中さんはウィユの代わりにマザーに殴り飛ばされ、遥か彼方まで吹っ飛んでいった。
「普段なら回避メインで戦うのですが、時間自体を操る相手はなかなか相性が悪いのです……!」
「小賢しい真似を。ですが、いつまでも逃げられると思わないことですね」
ウィユは空中さんを連続召喚し、マザーの攻撃を必死に防御しつつ、逃げ続けた。スピード勝負では分が悪いのは分かっているが、足を止めれば大技が飛んできてしまうからだ。ウィユはマザーに攻撃されそうになるたび、空中さんに守ってもらい、なんとか直撃を避け続けていた。マザーに殴られまくっている空中さん達の方はというと、何度殴られても果敢にマザーに追いすがり、ウィユを守り続けていた。
「この白いクッション……! 何度も邪魔を!」
「いつもくろねこさん達に踏まれて鍛えられているそらなかさん達の耐久力は凄いのです!」
「ならば、そのクッションごと倒します」
マザーの渾身の回し蹴りが空中さんに炸裂した。空中さんはトラックに轢かれたような物凄い勢いで吹っ飛び、後ろにいたウィユごと機械工場の壁まで吹き飛んでいった。背中にも空中さんを召喚し、激突の衝撃を和らげたウィユはすぐに態勢を立て直したが、いつの間にか、目の前にマザーが迫っていた。
「あうっ!」
「さあ、とどめを刺してあげましょう」
「あ、もう始まってる! 可愛い子をいじめるのは許しません!」
その時、マザーの背後から新たな猟兵の声がした。電脳魔術士、菫宮・理緒だ。
「! 増援ですか。これで死になさい」
マザーは理緒の方に向き直ると、時計型の刻印を飛ばした。人間どころか、超人たる猟兵の反射速度を以てしても、容易には捉えられない刹那の一撃。身体的には同年代の少女と何ら変わらない理緒が躱せる道理はない。マザーが放った時計型の刻印は、理緒の額へと命中した。
「……刻印が、されない?」
だが、マザーの放った刻印は理緒に何ら効果を発揮しなかった。本来ならば、相手の体内の時の流れを加速し、あっという間にその寿命を奪い去るはずなのに。
「時間操作はチートだよね。と、思っていたんだけど、相手が使うなら遠慮はいらないかな! それ、わたしもできるよ」
マザーの先制攻撃を凌いだ理緒はにこりと笑った。理緒はマザーと同じく、限定的ながらも時間の操作を可能とする。自身の所持するコンピュータに相手の画像を取り込み、コンピューターと現実を同期させることで、相手の動きを妨害することができるのだ。
「一時停止! からのミサイルランチャー!」
「甘い!」
マザーは理緒の束縛から僅かな時間で脱出し、ミサイル攻撃を回避した。
「くそっ! ほんの一瞬しか止まらないか! なら、スロー再生だよ!」
理緒はマザーにスロー再生をかけ、超加速を帳消しにせんと試みた。それでもマザーは通常の二倍ほどの速度で動き、今度は理緒に対して巻き戻しを仕掛けてきた。
「あなたも時間を扱う能力者ですか」
「そう簡単には、支配はさせないからね。この場の『時間』はどっちになるかな?」
巻き戻し。早送り。一時停止。互いに相手の時間を操作する二人は膠着状態に陥り、時間だけが過ぎていった。
「そろそろ終わりにしましょう」
マザーが何度目かの攻撃を仕掛ける為、大きくジャンプし、理緒の元に踏み込んだ時だ。突然、戦場に置いてあった機械獣の生産ロボットが暴走し、巨大なアームがマザーの腰をしっかりと挟み込んで空中へと持ち上げた。
「がはっ! こ、これは!?」
よく見ると、いつの間にかマザーの足元には光り輝く紫色の糸が絡みついていた。理緒とマザーが睨み合っている間、フリーになっていたウィユは、こっそりと戦場に『運命の糸』を仕掛けていたのだ。
「マザーさん、あなたの運はボクがもらったのです!」
「なんですって? ですがこの程度、すぐに脱出して……」
マザーはすぐに生産ロボットに巻き戻しをかけてアームから脱出し、地面に着地した。
「無駄です! 運により起こる事象、つまり運命はちょっとやそっとの時間操作では変えられないのです……!」
ガラガラガラガラ! 次の瞬間、機械工場の天井が崩壊し、マザーは瓦礫の下敷きになった。理緒が撃ちまくったミサイルランチャーが、施設にもダメージを与えていたのだろう。
ピシリ、ピシリ、と天井にさらなる亀裂が走るのを見て、理緒は青ざめた。
「ぎゃああ! 崩れるー!」
「あわわ! いったん逃げましょう! お姉さん!」
ウィユと理緒は大慌てでその場から脱出し、なんとかマザーの巻き添えを避けたのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
メンカル・プルモーサ
☆▲
…ふーむ…時間を操る…これは中々に厄介な相手だ…
対策は立てて…あとはやってみるしか無いな…
…マザーの超加速からの一撃に対しては術式組紐【アリアドネ】で結界を張って…これが巻き戻されるのは覚悟の上で…
…遅発連動術式【クロノス】により予め仕込んだ攻撃に反応する多重障壁を張って防御…
…攻撃を凌いだならば【我が身転じて災魔となる】を発動…
…時食みの力で周囲の時間を『食べる』事で時間の流れを阻害してマザーの動きを遅くするよ…
…巻き戻そうとしても私の中にも時間の流れがあるから無駄…
…【アリアドネ】で動きを封じて重奏強化術式【エコー】で効果を高めた光の槍を叩き込むとしよう…
●刹那の攻防
「貴女が、次の私の相手ですか」
「マザーコンピューター、お前を倒す」
先の戦闘の消耗から回復したマザーは、半壊した機械工場にてメンカル・プルモーサと対峙した。メンカルはいつ時間が操作されてもいいように心構えをしつつ、杖を構える。
「来ないのなら、こちらから行きます」
マザーの体がゆらりと、動いた瞬間、メンカル本人より早く、電子型解析眼鏡がマザーの動きを感知し、メンカルに警告した。
次の瞬間、マザーの姿が消失したかと思うと、拳をメンカルの腹へと叩きつける直前の状態で再出現した。否、メンカルの装備している機械類は『マザーは立っていた位置から猛烈な速度でダッシュし、アッパーを放った』と記録しているのだが、動きがあまりに早過ぎたせいで、メンカルの動体視力ではマザーが瞬間移動したようにしか認識できなかったのだ。
「速いな……」
眼鏡のおかげでなんとか反応が間に合ったメンカルは、術式組紐『アリアドネ』に大急ぎで魔力を注ぎ込む。アリアドネは一瞬にして布状に広がり、魔力の盾となってメンカルの全身をマザーから覆い隠した。
「甘いですね」
だが、メンカルの用意したアリアドネの盾は一瞬にして消え去り、マザーはそのまま拳を突き上げた。アリアドネは発動前の状態に戻されたのだ。
パキキキキン! ガラスが砕けるような音が機械工場に響き渡った。
「これは……!?」
マザーの目が驚愕に見開かれる。メンカルの胴を捉えたはずのマザーの拳は、何層もの魔力の防壁に阻まれ、メンカルまで届かなかったのだ。
「よし」
メンカルは、アリアドネが巻き戻されることは予測していた。アリアドネは囮で、遅発連動術式『クロノス』を使って事前に用意しておいた多重障壁の展開こそが、メンカルの本命だったのだ。
「我が盟友よ、結べ、混ざれ。汝は合身、汝は災禍、魔女が望むは流転を阻む悪食の怪」
マザーの動きが止まった一瞬の隙を突き、メンカルは呪文を高速詠唱した。
「『我 が 身 転 じ て 災 魔 と な る』(コンバート・タイムイーター)」
「これは……あなたも、時を……!?」
マザーには、メンカルの言葉がとてもゆっくりに聞こえていた。メンカルが災魔『時食み』と化したことで、周囲の時間を食らっているからだ。言葉だけではない。閃光のように素早かった動きも見る影もなく衰え、まるで老人のようだ。
「ならば、時間を巻き戻して……」
「……巻き戻そうとしても私の中にも時間の流れがあるから無駄……」
マザーはユーベルコードを発動する前までメンカルの時間を巻き戻そうとしたが、うまく行かなかった。
「くっ!」
「今度はこちらから行く」
メンカルが再びアリアドネに魔力を籠めると、ほつれた組紐はマザーの全身にぐるぐると巻き付いた。
「これは……まずい……!」
「「光輝なる刃よ、瞬け、貫け。汝は聖槍、汝は神罰。魔女が望むは咎人誅す天裁の槍」」
二重詠唱で強化されて放たれたメンカルの光の槍の術式は、アリアドネごと、マザーを飲み込んだ。
大成功
🔵🔵🔵
フェイルシア・インパーサ
「猟兵はアポカリプスを救う、貴女は世界に構わず探究を続ける
ならば力で押し通すより他にはございません」
●対策
生身で行きましょう
時間の巻き戻し、早送り、どんなタイミングで行うのかを想定すれば対策は取れる
迎撃の構えを取り[見切り][決闘]で回避
…巻き戻しますわよね!
ですので回避直前[フェイント]で空を斬っておきますわ
巻き戻れば貴女が急所を狙って打ち出した先に私の剣がそこに在る
こうして[カウンター]を差し込みます
不意を突けましたら紅貴舞
速さでは劣りますが多重結界はそれだけでは破れませんわよ?
巻き戻したいならどうぞご自由に
放射された炎の刃が戻ってくるだけです
貴女に熱烈なキスをするために、ね?
●フレイム・プリズン
「……あくまで私の邪魔をしますか、猟兵」
「猟兵はアポカリプスヘルを救う、貴女は世界に構わず探究を続ける。ならば力で押し通すより他にはございません」
巻き戻し能力で受けた傷を癒していたマザーコンピューターと対峙したフェイルシア・インパーサは、敵に剣を向け、静かに告げた。世界を守護する猟兵と、世界が滅びようとも叶えたい目的を持つマザー。相容れない行動理念を持つ者同士である以上、もはや戦いの中で決着をつける以外に道はない。
「行きます。『タイム・アクセラレーション』」
先に仕掛けたのはマザーだった。いきなり四倍速まで加速したマザーはフェイルシアの左胸目掛け、全体重を乗せた拳打を放った。瞬きすらも許されるぬ凄まじい速度の攻撃だったが、防御に意識を集中していたフェイルシアは剣を振りながら横に飛び、かろうじてマザーのパンチを躱した。だがほっとする暇もなく、フェイルシアは自分の体がマザーに引き寄せられるような感覚を得た。マザーがフェイルシアに時間の巻戻しを仕掛けたのだ。マザーは自分の方へと巻き戻ってくるフェイルシアの動きに合わせ、左脚で二撃目を既に放っている!
「……巻き戻しますわよね!」
だが、ここで巻き戻されることはフェイルシアも想定内だ。事前に空に向かって剣を振っていた。マザーが放った二撃目のミドルキックはフェイルシアの剣に阻まれ、急所を貫くには至らなかった。すかさずフェイルシアは手首を返し、マザーの肩口を切り裂いた。
「くっ!」
一旦後ろに下がったマザーは今度は自分の体に巻き戻しをかけた。物凄い勢いでマザーの傷が塞がっていくが、その隙を見逃すフェイルシアではない。
「紅く染まれ、春蘭よ!我は汝と共に舞う者なり!その身の理、太陽の紅炎の如く!!」
陽光のように紅く燃える春蘭の花びらの多重結界を纏ったフェイルシアは、結界に防御を任せ、つむじ風のように回転しながらマザーへと突っ込んだ。
「『紅貴舞』(シンビジウム・プロミネンスダンス)!」
フェイルシアのルーンソードが紅く燃え上がり、演舞のような流麗な軌道で幾度も斬撃が放たれた。マザーは超加速にものを言わせ、フェイルシアの高速連撃を回避したが、フェイルシアが一閃するたびに刀身からあふれ出た無数の炎の刃が、斬撃と共にマザーを追撃する。
「点ではなく、面を攻める攻撃というわけですか」
超高熱の炎が幾度も体を掠め、マザーの顔に僅かな焦燥が浮かぶ。時間を操る能力を持つとはいえ、徒手空拳で戦わざるを得ないマザーはフェイルシアの対処に文字通り手を焼き、巻き戻し能力を試みた。
「巻き戻したいならどうぞご自由に。放射された炎の刃が戻ってくるだけです。貴女に熱烈なキスをするために、ね?」
「……!」
マザーはフェイルシアの言葉にハッとなり、慌てて巻き戻しを中断したが、もう遅かった。フェイルシアの時間を巻戻してしまったことで、放たれた炎の刃が、ブーメランのようにマザーに向かって戻ってきたのだ。マザーは全力で炎の刃の檻からの脱出を試みたが、マザーの攻撃の手が止まった瞬間、フェイルシアは渾身の力でマザーへと一閃した。
「かはっ……! この場はあなたに勝ちを譲りましょう」
燃える剣で片腕を根本から切り落とされたマザーは、傷を癒す為、全速力で機械工場の奥へと逃げていった。
成功
🔵🔵🔴
アリス・セカンドカラー
◎
あー、時間操作かぁチートよねぇ……なぁんて言うとでも思ったかしら?そんなもの私のギャグ補正(結界術、継戦能力)の前には無意味☆化術肉体改造でカートゥーンキャラ化すれば即死攻撃受けても即時リポップ出来るわ。
そして、時間が質量を持った物質というのであれば、それは略奪可能な物でありカートゥーンキャラ化することも可能(召喚術、式神使い)。つまり、時間は私の味方♪「早送り」されても、「巻き戻し」されても、キンクリされたって、何事もなかったかのように元通りになれるわ☆
先制攻撃を凌げたら先制対策でマザーから略奪した時間を大黒天で食材として料理しちゃうわ。私はエナジーを糧とするサイキックヴァンパイア(真の姿)、ならば時間もれっきとした食材よ。さて、時間を奪われ料理されてしまったあなたにこれ以上時間操作ができて?
ああ、そうそう。料理には物事をうまく収めること、敵対者をやっつけることって意味もあるわ。そういう意味でマザーは食材で敵対者はある意味私の物だから大黒天の能力内。カートゥーン的悪戯で料理してあげる
●Alice overload
「時を操る私に対し、暗殺とは無謀でしたね。消えなさい」
後ろから接近してきたアリスを返り討ちにしたマザーは、アリス・セカンドカラーの首を掴んだまま天井をぶち破り、成層圏まで上昇すると、超高速で地上へと落下しながらアリスを放り投げ、地面へと叩きつけた。
「きゃー☆」
ドゥン!
ミサイルが炸裂したような凄まじい音がデトロイトの無人の市街地に響き渡り、地面にはアリスの形をした大きなクレーターが出来てしまった。アリスは即死だろう。
「……? ナニコレ」
地上へと戻ったマザーは怪訝そうな顔をした。少女(アリス)の形をした穴?
「あー、痛かった」
即死だと思われたアリスだったが、何事もなかったようにひょっこり穴から這い出てきた。いや、さすがに無傷ではない。なんとアリスは、ペーパークラフトのようにペラペラになっていた。
「これは……!?」
「あなたの攻撃でこうなっちゃったのよ」
「嘘を吐きなさい!」
カートゥーンではあるまいし、衛星軌道上から超高速で地面に叩きつけられた人間が、五体満足であるものか! ましてや、ペラペラになった人間が元気に動いているなどありえない!
マザーは再び超加速を発動し、超高速でアリスに殴る蹴るの暴行を加えたが、アリスはまるで軟体動物のように体を伸ばしたり、ぺっちゃんこになったり、風船のように膨らんだりと、摩訶不思議な形態変化でマザーの攻撃を躱し切った。
「この! ならば巻き戻しで……!」
業を煮やしたマザーがアリスに巻き戻しをかけようとすると、後ろから二体目のアリスが出現し、マザーを後ろから抱きすくめた。それだけではない。いつの間にか、マザーの周囲には大量のアリスが出現していた。狼狽するマザーを見て、先程からマザーと対峙していたアリスはくすりと笑う。
「これは……!?」
「いつから、わたしが式神ではないと錯覚していた? あなたの論文には目を通させてもらったわ。時間が質量を持った物質というのであれば、それは略奪可能な物でありカートゥーンキャラ化することも可能。つまり、時間は私の味方♪」
大量発生したアリス達は、アリスがマザーから奪った時間を材料にして作り出された、式神。本物はこの中の一人だけだ。
「さあ、お料理教室の時間よ、マザー。えいっ。オーバーロード☆」
黒く、熱く、甘いオーラがアリスの周囲を渦巻き、アリス達は真の姿となった。
「わたしはエナジーを糧とするサイキックヴァンパイア。ならば時間もれっきとした食材よ。さて、時間を奪われ料理されてしまったあなたにこれ以上時間操作ができて?」
宙へと舞い上がったアリスはコックさんの帽子とミトンを装備すると、マザーの攻撃を受けた際に略奪した『時間』を食材代わりに、お料理を始めた。
フグ鍋、Tボーンステーキ、エッグタルト、スターゲイザーパイ、etc……。時間をどう調理すればそうなるんだというお料理の数々が、一瞬で戦場を埋め尽くしていく。
「ああ、そうそう。料理には物事をうまく収めること、敵対者をやっつけることって意味もあるわ。そういう意味でマザーは食材で敵対者はある意味わたしの物だから大黒天(マハーカーラ)の能力内。カートゥーン的悪戯で料理してあげる」
アリスがパチン、と指を鳴らすと、機械工場の景色が、アメリカの片田舎の畑へと置き換わった。
「さあ、狩りの時間よ、ウサギさん♪ ミートパイにしてあげる☆」
アメリカンな農夫に着替えたアリス軍団は、農具を振り上げてマザーへと襲い掛かった。
「くっ……!」
時間操作を封じられ、ただの光るお姉さんになってしまったマザーは畑を逃げ回るが、数十分に渡る追いかけっこの末、アリス軍団に捕らえられ、ぐつぐつ煮えたぎる大鍋に放り込まれてしまった……。
「オブリビオン・フォーミュラはどんな味がするのかしら☆」
成功
🔵🔵🔴
アルトリウス・セレスタイト
◎
悪手だぞ、それは
戦況は『天光』で逐一把握
守りは煌皇にて
纏う十一の原理を無限に廻し阻み逸らし捻じ伏せる
破壊の原理から逃れる術、無限の先へ届く道理いずれも無し
己を無限加速すれば巻き戻しも無意味。攻撃も受けん
要らぬ余波は『無現』にて否定
全行程必要魔力は『超克』で“世界の外”から常時供給
破界で掃討
対象は戦域のオブリビオン及びその全行動
それ以外は「障害」故に無視され影響皆無
高速詠唱を『刻真』『再帰』にて無限に加速・循環
瞬刻で天を覆う数の魔弾を生成、周囲全方向へ斉射
更に射出の瞬間を無限循環し討滅まで一切止まらず継続
戦域を魔弾の軌跡で埋め尽くす
時間制御は俺の領分でもある
超えるに容易くはないぞ
●時を越えた詠唱
完全に猟兵に捕食されてしまう寸前になんとか巻き戻しでの蘇生を果たしたマザーは、デトロイトの市街地を彷徨っていた。
「お前がマザーコンピューターだな」
マザーの前に立ち塞がった青年の名は、アルトリウス・セレスタイト。『原理』を扱う異能者にして、オブリビオン達にとっての死神である。
「ええ。そうです。私をマザーコンピューターと知ってなお挑むのなら、相応の覚悟はあるのでしょうね」
マザーは薄く笑うと、アルトリウスへと向けて寿命を奪い去る時の刻印を放った。生物の体内時間を加速さえ、寿命を奪い去って崩壊させる時計型の刻印。直撃すれば、猟兵といえどただではすまない。直撃すれば、だが。
「悪手だぞ、それは」
蒼い光に包まれたアルトリウスはマザーの『オールドマンズ・クロック』を、身に纏った『断絶』、『全知』、『否定』、『希望』、『無限』、『破壊』、『時』、『因果』、『創造』、『自由』、『創世』の十一の原理で否定し、遮断し、霧散させた。如何に時の流れを操る術といえど、顕理輝光『煌皇』に守られ、無限の先に立つアルトリウスには届かない。時を操る術理は、マザーだけではなく、アルトリウスの内にも存在するのだ。
「……? 防御など、私には無意味です!」
マザーはアルトリウスに巻き戻しをかけ、戦場に現れる前の状態にまで戻そうとしたが、それも彼には届くこと能わず。アルトリウスは己を無限に加速させ、マザーの時間干渉を無効化した。
「時間制御は俺の領分でもある。超えるに容易くはないぞ」
さらにアルトリウスは加速した魔力を己の内で循環させ、敵を討つ力へと変えて解き放つ――!
「行き止まりだ」
アルトリウスが呟いた直後、彼の周囲に創世の蒼き光が満ちていく。天を覆うほどの膨大な数となった蒼き光は、全てを滅ぼす災厄となって、マザーへと降り注ぐ!
「これは……!」
直後、魔弾の嵐がマザーを襲った。降り注ぐ蒼き光はデトロイトの一角ごとマザーを吹き飛ばし、機械工場を更地へと変えていく。時と無限の原理を己の内で加速・循環させるアルトリウスは、息も切らさぬまま延々と包囲攻撃を続けた。
天災の如き破壊は一分以上も続いたが、マザーはアルトリウスの攻撃に耐え切り、猛烈なスピードでアルトリウスの前から姿を消した。決して逃れ得ぬはずの破壊の原理にすら耐え切ったのは、秩序の敵対者たるオブリビオン・フォーミュラ故か。
「……仕留め損ねたか。だが、奴の滅びはもう決まっている」
『天光』で戦場の全域を把握し、マザーが逃亡した先にも猟兵がいることを確認したアルトリウスは巨大クレーターと化したその場から離れた。
成功
🔵🔵🔴
天御鏡・百々
まざあなる者よ
時を自在に操るとは、流石はオブリビオン・フォーミュラだな
しかし、いやだからこそ、そんな恐るべき能力を持つ其方を放置しては置けぬ
我が全霊を持って、討ち滅ぼそうぞ!
『おおばあろおど』への覚醒によって、真の姿をとるぞ
(神の眷属→真の姿で神の一柱に)
(https://tw6.jp/gallery/?id=68841)
例え先制攻撃をされようとも
『オールドマンズ・クロック』ならば殊更に対策は不要だ
我はヤドリガミ、仮の身体は本質では無く、本体は古き物ほど力を持つ
なれば老化など如何ほども恐れようか!
まざあが機械の制御を手放したのであれば
彼らには我が友となってもらうとしよう!
『神は万物に宿る』にて、この機械都市を付喪神へと変えてしまうぞ
そして、彼らに頼んでまざあに集中砲撃だ!
時間操作は確かに強力ではあるが、
極端な倍率で無い以上それが決め手となる事は無い
付喪神化を巻き戻しで解除されても、何度でも繰り返せば良いだけだ
さあ、根比べと参ろうぞ!
防御は神通力の障壁にて
●本体の神鏡へのダメージ描写NG
●機械の叛乱
「まざあなる者よ。時を自在に操るとは、流石はオブリビオン・フォーミュラだな。しかし、いやだからこそ、そんな恐るべき能力を持つ其方を放置しては置けぬ。我が全霊を持って、討ち滅ぼそうぞ!」
デトロイトに舞い降りた天御鏡・百々は、自らの本体たる神鏡を胸に前に掲げ、此度の戦争で覚醒したばかりの新たな力の名を口にした。
「おおばあろおど!」
眩い閃光と共に神気が立ち昇り、百々の巫女装束が黄金色に染まる! これが百々の真の姿。百々は神の眷属から、神の一柱へと位階を上げたのだ。
「いくぞ、まざあよ!」
「かかっていらっしゃい。オーバーロードに目覚めし者よ。あなたのその力が究極の力足り得るか、私が測ってあげましょう。『オールドマンズ・クロック』」
血まみれのマザーは薙刀を構えて突撃してきた百々を迎撃するべく、時の刻印を乱射した。一瞬で百々へと到達した時計型の刻印は百々の額に浮き上がり、クルクルと針を猛回転させて百々の体内の時の流れを急加速させた。しかし、百々は刻印で弱るどころか、むしろ加速してマザーの懐に飛び込み、黄金色に輝く薙刀を一閃した。
「くっ! なぜ刻印が効かないのです……!」
後ろに飛んで直撃を避けたマザーは腕から血を流しながら、百々へと問うた。
「我はヤドリガミ、仮の身体は本質では無く、本体は古き物ほど力を持つ。なれば老化など如何ほども恐れようか!」
そう。百々の本体は長い年月の間に魂を宿した神鏡だ。年月の経過で強化されこそすれ、朽ちることなどありえない!
「今度はこちらから行くぞ、まざあよ! こあから出てしまったことが仇となったな!」
百々は己の本体である神鏡を空高く掲げた。
「さあ、我が同胞達よ。この場のみではあるが、我が神通力を分け与えん」
百々の全身から、黄金の波動が迸る。百々の神通力の光を浴びた機械たちは百々の眷属たる付喪神と化し、マザーを攻撃し始めた。アポカリプスヘル世界のデトロイトは機械兵器を生み出す兵器工場。その兵力は優に百を超える――!
ブルドーザー、戦車、殺人ロボットに対戦車ヘリコプター。産みの親であるマザーを裏切り、百々の友となった機械達は、銃砲火器や怪力を駆使してマザーへと襲い掛かっていった。
「くっ……! 私の機械が叛乱を起こしたですって……!」
『タイムフォール・ダウン』の能力と引き換えに機械制御能力を失っているマザーには、裏切った機械たちを操ることはできない。マザーは仕方なく、機械達に巻き戻しをかけ、付喪神化する前に戻すことで対処を試みた。
「時間操作は確かに強力ではあるが、極端な倍率で無い以上それが決め手となる事は無い。付喪神化を巻き戻しで解除されても、何度でも繰り返せば良いだけだ! さあ、根比べと参ろうぞ!」
百々はマザーが付喪神化を解くたび、再び神通力を送り込んで味方に戻した。一見千日手に見えるが、不利なのはマザーだ。百々が付喪神化した機械の数は、優に百を超えるのだから。
「今だ! 覚悟するがよい、まざあよ!」
百々は機械に囲まれたマザーの注意が自分から逸れた瞬間、最大出力で破魔の光を放った。
「無念ですね……私はただ、永遠が欲しかった、だけなのに……」
致命傷を受けたマザーはぼろぼろと崩れ去り、今度こそ骸の海へと退場した。
「助太刀、感謝するぞ。友たちよ。……まざあ。汝の願いは多くの人を不幸にする。神として捨て置くことはできぬ」
マザーの最期を確認した百々はそう呟くと、グリモアベースへと帰還するのだった。
大成功
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