アポカリプス・ランページ⑯〜籠の中の狼
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「マザー・コンピュータの位置が分かったっすよー」
『フィールド・オブ・ナイン』の一体『マザーコンピュータ』は旧デトロイト市にいる。
自分自身がその生体コアである彼女の能力は、あらゆる物質・概念の『機械化』。
彼女は都市全体を機械化し『増殖無限戦闘機械都市』にしている。
もし放っておけばアメリカ大陸全土すらを機械化するだろう。
そうなる前に、旧デトロイト市へと向かい彼女を撃破すること。
それが今回の依頼だ。
彼女の攻撃方法は、言ってしまえばシンプルだ。
彼女が願う戦闘機械が創造され、猟兵に襲ってくる。
なぜなら、旧デトロイト市そのものが彼女の武器なのだから。
「都市そのものが敵というとスケールがデカいんすけど、結局は本体を叩けばいいんすよ。簡単でしょ?」
言うほど簡単ではない気がするが。まぁ、そこはそれとして。
「送ったらすぐ戦闘っすよ。準備は出来てるっすか?」
言って、充嘉は猟兵を旧デトロイトへと転送した。
いつもならここまででよかったのだが。
「……は?」
間の抜けた声を出す充嘉。
まさか『転移を担当する自分ごと』デトロイト市に転移されるとは思ってもみなかった。
「はぁーーーー!?」
充嘉の絶叫が旧デトロイトに響いた。
「うるさいですよ」
女性の声が上空から聞こえた。
見上げた先には女性、『マザー・コンピュータ』が猟兵たちを見下ろしていた。
「『猟兵を支援する猟兵』ごとこちらに送る。作戦はうまくいきました。そして」
彼女によって創造された戦闘機械が、充嘉を捉えた。
「あなたを殺せば増援も来ませんね」
「やっべ……!」
初撃をかわした充嘉はとりあえず逃げた。
川内嘉治
あーまさかほんにんもてんそうされるなんてー(棒読み)
はい、川内嘉治です。
『フィールド・オブ・ナイン』の一人『マザー・コンピュータ』が旧デトロイト市にて確認されました。
いつもなら参加者である猟兵を転移するだけでしたが、彼女の策略によりグリモア猟兵ごと旧デトロイト市に転移させられました。
ここでグリモア猟兵が死ねば、援軍も呼べないし帰ることも出来ません。
グリモア猟兵を守りながらの『マザー・コンピュータ』の撃破をお願いします。
グリモア猟兵の充嘉は防御中心に行動。
指示には基本的に従いますが、
ユーベルコード『影獣变化』と『助けて!狼お兄さん』の二つはこの状況ではおもしろくn……余裕がないので使えず、『ずっと影の中にいてほしい』『狼お兄さんを呼んでほしい』は出来ません。
今回のプレイングボーナスは以下の通りです。
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グリモア猟兵を守りつつ、増殖無限戦闘機械都市の攻撃を凌ぎつつ、マザーと戦う。
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では、嘉き護衛戦を。
第1章 ボス戦
『マザー・コンピュータ増殖無限戦闘機械都市』
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POW : マシン・マザー
全長=年齢mの【巨大戦闘機械】に変身し、レベル×100km/hの飛翔、年齢×1人の運搬、【出現し続ける機械兵器群】による攻撃を可能にする。
SPD : トランスフォーム・デトロイト
自身が装備する【デトロイト市(増殖無限戦闘機械都市)】を変形させ騎乗する事で、自身の移動速度と戦闘力を増強する。
WIZ : マザーズ・コール
【増殖無限戦闘機械都市の地面】から、対象の【猟兵を撃破する】という願いを叶える【対猟兵戦闘機械】を創造する。[対猟兵戦闘機械]をうまく使わないと願いは叶わない。
イラスト:有坂U
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
シエナ・リーレイ
■アドリブ絡み可
なんでいるの?とシエナは首を傾げます。
時を操る『お友達』候補と如何に仲良くなるかで考える事に夢中なシエナ、グリモア猟兵が強制連行される事をすっかり聞き逃していました
このままでは『お友達』を得るどころではないと聞かされグリモア猟兵を守る為に行動を開始します
これで怖くないね!とシエナは微笑みます。
迫りくる戦闘機械の軍勢を前にシエナは周囲の空間を素敵な玩具工場へと変質させました
蒸気世界の産物である工場の機械は戦闘機械を材料に素敵な玩具を次々と作りだします
何処に行ったのかな?とシエナは首を傾げます。
更に工場の機械はグリモア猟兵も玩具に作り替える事により戦闘機械の対象外に変えようとします
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「なんでいるの?とシエナは首を傾げます」
シエナ・リーレイ(取り扱い注意の年代物呪殺人形・f04107)は言葉通り首をかしげる。
その疑問はここにいるはずのないグリモア猟兵、充嘉に向かってのものだった。
「聞いてなかったんすか!?」
「時を操る『お友達』候補とどう仲良くなるかで考える事に夢中で、聞いていなかったの。とシエナは素直にごめんなさいと謝ります」
シエナが謝ったと同時に二人の後方の地面から、戦闘機械の群れが生えてきた。
「おっとぉ!!!」
シエナを抱え上げ、戦闘機械の攻撃を避けながら逃げる充嘉。
「シエナはグリモア猟兵さんより強いよ?とシエナは抱えられながら声を上げます」
「だからって置いて逃げるほど性根は腐ってないっすって、オレは答えるっすよ!」
このままでは『お友達』を得るどころじゃなくなると聞かされシエナは考える。
降ろしてもらい、行動する。
「わたしの素敵な工場にようこそ!とシエナは『お友達』候補を歓迎します」
言ってシエナは周囲の空間を自分の『お友達』候補のための素敵な工場に変化させる。
戦闘機械が工場アームに捕らえられ、ベルトコンベアに運ばれる。
工場にしてはあまり聞かないような音を響かせながら、戦闘機械が楽しい蒸気玩具へと一つまた一つと変わっていく。
「これで怖くないね!とシエナは微笑みます」
「おぉ。……ところで、シエナさん?」
「なあに?とシエナは首を傾げます」
「どうして俺までアームに捕まってるんすか?」
「グリモア猟兵さんも玩具に作り替えれば戦闘機械の対象外になるかもと、シエナは答えます」
「なるほどって、えーーー1?」
充嘉の二度目の絶叫と何か柔らかいものが潰れるような音がして、グリモア猟兵は蒸気玩具になった。
「何処に行ったのかな?とシエナは首を傾げます」
『お友達』候補を探しにシエナはトコトコと駆けて行った。
蒸気玩具になったおかげか充嘉はしばらくの間、戦闘機械に狙われなかった。
(すごーいほんとにねらわれなーいおれいきてるー)
大成功
🔵🔵🔵
十文字・真
【心情】うわぁ…なんだよあの敵…可愛いけど色々やばすぎ…(鼻血拭きつつ)あんなん直視できねぇよ…!でも戦うしかない…!充嘉さんを守りながら行くぞ!
【作戦】天使騎乗で天使を呼び充嘉さんと共に乗り、【空中戦】を仕掛ける。ふはははは!行くぞ機械女神(メカニカルガール)!十字神(クロスゴッド)が相手だ!と【挑発】しつつ敵の攻撃を【見切り】や【残像】で回避。充嘉さんに当たりそうになったら【武器受け】で防ぐ。そして敵の近くにまで来たらそこを十字神の裁きや黒炎で攻める!「ふははは!我は色気などに惑わされん!行くぞ機械女神よ!(終始鼻血)」(絡み・アドリブOK)
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(うわぁ……なんだよあの敵……可愛いけど色々やばすぎ……)
十文字・真(十字神(クロス・ゴッド)・f25150)は生体コアであるマザーの姿におののく。
一糸まとわない女性の姿というのは、思春期真っ盛りの中学生にはたしかに、いろいろとやばいかもしれない。
「あんなん直視できねぇよ……!」
「言いつつちらちら見てません?」
「み、見てねぇし!?」
充嘉の言葉に鼻血を拭きながら否定する。まぁ、うん、そういうことにしておこう。
とにかく、グリモア猟兵を守りながらマザー本体に攻撃をしなければ。
「美しき天使(エンジェル)よ!共に行こう!」
真のかけ声と共に美しい女性型の天使が降臨、彼女に騎乗する真。
「乗ってください充嘉さん!」
「了解っす!……え、乗るの」
反射的に答え動いたが、3m近くあるとはいえ女性の背中に乗るのは少しばかり抵抗があった充嘉。がそうも言ってられない。
「ふはははは!行くぞ機械女神(メカニカルガール)!十字神(クロスゴッド)が相手だ!」
先に騎乗した真――十字神(クロスゴッド)は充嘉が騎乗したのを確認すると、天使(エンジェル)に指示し飛翔する。
マザーによって戦闘機械と化したデトロイト市の攻撃をひらりとかわし、充嘉に向かってきた戦闘機械は十字剣(クロスブレード)で防ぐ十字神(クロスゴッド)。
そうして突き進み、マザー本体へと肉薄する。
「ふははは!我は色気などに惑わされん!行くぞ機械女神(メカニカルガール)よ!」
止まっていない鼻血は見なかったことにした充嘉。
マザー本体へ向けて天使の一撃が戦闘機械によって防がれる。
攻撃したこと自体は良かったのだが、問題が一つ。
「え、天使(エンジェル)!?まだ指示してないのに!?」
そう、十字神(クロスゴッド)が指示する前に天使(エンジェル)自らが攻撃したのだ。
「こ、これは胸囲の格差による怒り……!」
「脅威の格差!?」
「スケールの違う女性が相対したら、いがみ合うのが相場ってやつっすよ……」
「た、たしかに天使のほうが大きいけど……」
「うん?」
「え?」
なんだか会話が噛みあってないぞ。
大成功
🔵🔵🔵
栗花落・澪
とりあえず秋月さんには【オーラ防御】を付与しておきつつ
僕も守り切れるかわかんないから
出来る範囲で防御と回避頑張っててくれますか
自分は致命傷だけは避けつつ
どんな怪我も【激痛耐性】で耐えながら護りを優先する覚悟
【指定UC】を発動し火力と速度上昇
【聞き耳】で戦闘機械の音と方向を聞き分け
自分への攻撃は素早い【空中戦】で回避主体
常に秋月さんの周囲の様子にも気を配り
攻撃用の花弁で機械武器を切断したり
【高速詠唱】で炎魔法の【範囲攻撃】を行いまとめて誘爆
破壊する事で極力秋月さんを攻撃させないように
爆発させれば煙が煙幕代わりにもなるし
★杖を用いた雷の【属性攻撃、全力魔法】
衝撃でフラスコごとマザーさんにどーん
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デトロイト市上空から落下してきた充嘉。
「……ふ、影がなければ即死だったぜ」
などとあほなことを言っているが、戦況は未だ拮抗状態。
少しでも気を抜くと。
「あぶねっ!」
壁から地面から戦闘機械が生えてきては充嘉を襲う。
急いで逃げ出し、栗花落・澪(泡沫の花・f03165)と合流。
「僕も守り切れるかわからないから、出来る範囲で防御と回避頑張ってくれすか」
「わかったっす!」
澪からオーラによる防御を施してもらい、向かってくる戦闘機械をどうにかこうにか防ぎはじめる。
澪も豪華絢爛なドレス姿にコスチュームチェンジし空中から戦闘機械を相手取る。
向かってくる音と方向を聞き分け、自分にくる攻撃は回避し、充嘉に向かっていこうとする戦闘機械を花弁で切り落とし、時には炎魔法で攻撃し誘爆させる。
そうしているうちにやがて澪の視界にマザーが見えてくる。
「どーん」
軽い口調とは裏腹に全力の魔力を込めた雷の魔法はしかし、盾として使われた戦闘機械によって防がれる。
直撃こそ出来なかったがそれでも、ダメージは通っている。盾にされた戦闘機械も爆発し、澪たちやマザーの周辺は煙にまかれた。
「一度下がりますか……」
こうも煙がたたれてはグリモア猟兵だけを狙うのは難しい。一帯全てを使って面で制圧する手もあるが非効率。
マザーはそう判断し、澪たちの前から姿を消した。
「うぇっふ……げっふ……マ、マザーは?」
「逃げられた……」
咳き込む充嘉の問いに澪は悔しそうにそう答えた。
大成功
🔵🔵🔵
ブリッツ・エレクトロダンス
(近接格闘型の軽量級キャバリア「ストレイトマン・リガー仕様」が乱入だ!)
よぉ充嘉、手伝いは必要か?
(最初から思考操縦モード!タイムラグ無しの反応速度での戦闘だ!)
全身デトロイトだろうがなんだろうが、片っ端から切り崩してやるよ!
(両腕パーツに搭載した至近距離EMPで増殖無限戦闘機械都市の構成物を一時的にシステムダウンさせて引っぺがす戦闘スタイルだ!
対空攻撃?頭部パーツの音圧シャウトでどうにかする!)
ところで充嘉よぉ、腹減ってねえか?
ここに丁度いいメシあんだけどよ―――
(ガチキマイラで腕部パーツを変化させて引っぺがした構成物を喰いつつ、影龍の顎を使って同じ事をするように示唆する)
あん?ゲテモノ食いどころじゃねえとかそんな事言ってる場合じゃねえだろ。
もっとまともなの喰いてえってんなら、これが落ち着いてから喰わせてやるよ。
(悪い顔しつつ、敢えて何を喰わせるか、は口を濁す。)
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充嘉に襲い掛かる戦闘機械を、一機のキャバリアが殴り飛ばす。
「よぉ充嘉、手伝いは必要か?」
「その声、ブリッツっすか!?」
充嘉の眼前に電脳魔術で表示されたモニターが見知った顔を映し出す。
ブリッツ・エレクトロダンス(★3:DJ.Blitz・f01017)だ。彼が搭乗する近接格闘型の軽量級キャバリア『ストレイトマン・リガー仕様』が戦闘機械の動きを止める。
その動作は手動操作でも自動操縦でもない、タイムラグが限りなくゼロの思考操縦だ。
銃火器の持ち合わせていないタイプのキャバリアだが、その腕部には強力なEMP(電磁パルス)が仕込まれている。
その結果、殴られた戦闘機械は一時的にとはいえシステムダウンが発生。その状態からさらに草むしりのように引き抜いてちぎる。
「どうよ!」
「ちょっ、ブリッツ上!」
余裕をかますブリッツの頭上、死角から刃物と化した戦闘機械が振り落とされようとしている。
「『邪魔だっ!』」
舌打ちし頭上に向かって『叫ぶ』。ややハウリング気味なそれは襲ってきた戦闘機械をバラバラにする。
「おぉ、すごいっす!」
これには充嘉も素直に称賛した。
「まぁな。ところで充嘉よぉ、腹減ってねえか?」
「腹?まぁ減ってはいるっすけど、携帯食料とかあるんすか?」
「あ?ねぇよ。そうじゃなくてここにあるじゃねぇか、丁度いいメシが」
言ってキャバリアの腕部パーツを黒獅子の頭部に変えて戦闘機械だった構成物を喰い始める。
察するに充嘉も同じ事をするように示唆しているようだが……。
「えぇ……?さすがにゲテモノ過ぎません……?」
いくら何でも建築物はちょっと……と引いてる
「あん?ゲテモノ食いどころじゃねえとかそんな事言ってる場合じゃねえだろ」
「いやまぁ、そうっすけど……できればまともっていうか、肉というか……」
「あぁ?さらわれ系が何言ってんだよ」
もっとまともなの喰いてえってんなら、これが落ち着いてから喰わせてやるよ。
そう言って、悪い笑顔を見せるブリッツ。
その顔を見て何かさとったのか。
「……それは、期待してOKってことっすかね?」
充嘉もまた似た顔を返すのだった。
大成功
🔵🔵🔵
御宮司・幸村
☆
あっ、いつもちょいちょい依頼(主にエロ)で見かけるよっしー君じゃん!
きょうはどしたんー?
へぇ、一緒に飛ばされたんだー
おじさんにはボスへ有効な攻撃があるんだけど、🔴前提のUCでさーw
君に協力頼んでも良いんだよねー?
蔵人君と逃げつつ適当に🔴喰らってくれないかなぁ
まぁ、いざという時は【己の影は良き相棒】をデコイにすると良いよ
感覚の共有もないし、囮にはもってこいだよね!
では、健闘を祈るっすよー…って、おじさんがグリモア猟兵みたいだねーw
🔴確保後
おじさんが流すウイルスは自滅促進プログラム
ついこないだ作ったんだけど敵への特性凄いよねー!
増殖に対して感染拡大だもんね!
あっ、2人とも大丈夫だったー?
巨海・蔵人
◼️心情
あれ、このグリモアさんこの前の依頼で見た?ような
◼️特徴
蔵人は普段からネットごしでものを見てるので、距離感か近かったり直に弄られたりするとモジモジします。
配信中でないので普段より大人しい感じです。
指定UCはドローンに自己端末を仕込んで展開は長くて数秒の使用で回数を稼ぎます
◼️ドタバタ逃げながらな二人?
あ、きちんと挨拶するのは初めてですね、
愉快なバイオモンスター蔵人君です。
秋月さんってお呼びすれば良いです?
取り敢えず、僕、攻撃手段がありません。
ネットが繋がらないです、
ソーシャルレーザーの電力が足りないです。
UCで擬似的なコンコン出来るので、守るのは何とかするから頑張って逃げましょう
(若干手がプルプルしつつも、ぎゅっと手を握りしめ。キマイラだからコンコン馴れてるし通じると思ってる)
ドローンの視界も利用して随時、壁をだしたり、銃口を詰めたり、機械の間接部に鋼材を挟んだり、身を挺したり逃げながら妨害して護衛?
一緒に秋月さんも何か出して、
大体なんでも出るから。
キマフュはアメリカに負けないよ
●
「本当に大丈夫っすかねぇ……」
物陰に隠れている充嘉はそう言って同じく隠れている隣の大男――巨海・蔵人(おおきなおおきなうたうたい・f25425)に声をかける。
距離が近い気がするのは、隠れているから声を近づけるため、だけではないような。
「あ、え、えっと。だいじょうぶだと、思う」
まじまじと至近距離で見つめられて、もじもじと返す蔵人。
●
少し前。
「蔵人君と二人で、ちょっと苦戦してもらってくれないかなー?」
合流した御宮司・幸村(いいかげんサマナー・f02948)が蔵人の隣でそう言ってきた。
「えーっと、幸村さん……俺が死んだらダメっていうのは分かってます?」
「もちろんわかってるってー。おじさんが使うユベコってボスに有効なんだけど、誰かがある程度苦戦してないと使えなくてさー。よっしー君って感覚共有しないタイプの自分の影も出せるでしょー?」
最悪それを囮に使えばいいから。ね、お願いと両手を合わせる幸村。
「撃破できるっすか?」
「それは大丈夫!今までの見させてもらったし、これで王手になるなる!」
「あとで何かお礼が欲しいっすよ」
「おじさんが出来る事なら何でもしてあげるよー」
「……わかったっす、指示に従うっす」
ため息交じりで了承した充嘉に肩をポンとおく蔵人。
「さーんきゅ!では、健闘を祈るっすよー!……って、おじさんがグリモア猟兵みたいだねー」
笑いながら気づいた幸村はてへぺろした。
●
あ、とふと蔵人が声を上げた。
「きちんと挨拶するのは初めてですね、愉快なバイオモンスター蔵人君です」
こんな状況だが姿勢を正して自己紹介をする蔵人。
「なぜか飛ばされたグリモア猟兵の秋月充嘉っす、よろしく。……君、キマフュにいたっすよね?」
「あ、はい。僕、キマフュで配信してて。秋月さんってお呼びすれば良いです?」
「下の名前でもいいっすよ」
「えっと、じゃあ。充嘉、さん」
取り敢えず、僕、攻撃手段がありません。
「はい?」
普段はネット越しでどうこうするのだが……。
「ネットが繋がらないです、ソーシャルレーザーの電力が足りないです」
ネット環境が著しく低いこの世界だと、ほとんど何もできない。
それを申し訳なさそうに蔵人が言った。
「そ、そうだよね……。ここ、ネット環境ないもんね……」
呼んだ自分が言うのもなんだが逆に申し訳ない気分になった充嘉。
もはやこの状態が苦戦状態なのでは?そう思ったが、たぶんそれだけではダメだろう。
「あ、でもですね」
なんとか話題を明るくしようと蔵人は続ける。
「僕のユベコで疑似的ですけど、コンコンできるんです」
「お?コンコンってあの?」
「はい、あのコンコンです」
コンコンコンと叩けば物が出てくるキマフュの不思議システム。
それを疑似的とはいえ再現できるとは。
ユーベルコードもそうだが、それを実現する蔵人もすごい。
「どれくらい使えるっすか?」
「回数は稼ぎますけど、合わせて一分以上は使えないです」
「ちなみに一分以上使おうとすると?」
「僕が死にます」
「おぅ……」
伸ばした手は若干プルプルしてしまったものの、唖然とする充嘉の手をぎゅっと握りしめる蔵人。
「死なない程度に何とか守ったりしますので、頑張って逃げましょう」
「……そこまで言われちゃ、頑張るしかないっすね」
笑って、充嘉は蔵人の手をがしりと握り返した。
逃げ始めた充嘉と蔵人に戦闘機械が群れてくる。
「3秒ずつ使います!一緒に充嘉さんも出して!」
「了解っす!」
蔵人の合図と共にコンコンと叩きはじめる。
事前に言われていたとおり、本当に何でも出てくる。
乱暴に火を点けた発煙筒を大量に投げて煙幕をはって逃走。
閃光弾を撃ちまくって目くらまし、そして逃走。
トリモチランチャーを撃って逃げる。
時折、戦闘機械の銃口が充嘉に向くことがあったが、壁を出したり銃口になにかを無理矢理詰め込んだりと蔵人がカバーする。
「キマフュはアメリカに負けないよ」
荒れた息を整えながら蔵人は、マザーに対して言い切った。
●
幸村が常に装着しているHUDに『使用可能』の文字が表示された。
「よーし、自滅促進プログラム起動!」
ウィンドウの『OK』を押して生体にすら影響を及ぼすコンピューターウイルスを適当にハッキングした車に流し込む。
容量で言えばほんの数バイト程度のウイルスだが、特筆すべきはその感染速度。
一つが二つ、二つが四つ、四つが八つとネズミ算式に拡大していく。
無限に増殖する都市と無限に感染拡大するウイルス。
どちらが優勢かは言うまでもないだろう。
偶然か必然か。
マザーの近くに幸村はいた。
「やっほー、マザーちゃん。お具合はって聞くまでもないか」
「……完全にしてやられました。まさかこんな手段でこられるとは」
「グリモア猟兵にだけかまけて、他をないがしろにしたのが敗因だねー」
いろいろと問いただしたかったが、この手のボスは何も答えないのが定石だ。
ならば、これだけは聞いておこう。
「マザーちゃんが死んだら、この都市はどうなるのかな?」
「このまま廃墟に戻るだけです……自爆はしませんよ」
「そっかー、それなら安心だ」
「他に聞きたいことがあったのでは?」
「聞いたら答えてくれた?」
「答えませんよ」
「だよねぇ」
マザーが消滅したのを確認すると幸村は充嘉と蔵人を探しに行った。
「あっ、2人とも大丈夫だったー?」
ただの壁にもたれて息を整えながら座り込んでいる二人を見つけ、手を上げる。
「幸村さん、マザーの撃破できたっすか?」
「うん、消滅も見届けたよー」
「よかったぁ……」
言って、蔵人に倒れこんだ充嘉。一瞬、ビクッとしたが特に何もしなさそうだったのでそのままにした蔵人。
「お、ラッキースケベかなよっしー君?」
「返す余裕はないっす……あ、幸村さん」
なんでもしてあげるって話し、期待するっすよ。
言って、グリモア猟兵はにへりと笑った。
成功
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