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アポカリプス・ランページ⑱〜悪なる者よ、善を救え

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「あああアアあアア!!」
「会いタカったよ、欲しカッタよ」
「だめダ、あんナニ殺しテモ、犯シてもダメなのか」
「知っテイる。邪悪ナる者なら我ラを殺セる。知ッていル。邪悪ナる者ナラ我らヲ殺しニなど来なイ」
「『ポーシュボス』は、殺セなイ……」


 グリモアベースに集められた猟兵たち。だがなぜかそこには誰もいない。ただその代わりに、一つのゴーグルだけがぽつんと置かれていた。
 訝しむ猟兵たち。その目の前でゴーグルから突如大量の触手が伸び、まるでそれを足にするかのようにして立ち上がった。
『ご苦労。アポカリプス・ランページの依頼をする』
 突如猟兵たちの頭に直接謎の声が響いた。発信者は目の前のゴーグル。グリモア猟兵ミルケン・ピーチ(魔法少女ミルケンピーチ・f15261)の本体のみが依頼者としてそこにいたのだ。
『今回向かってもらうのはフロリダ州タラハシー、そこにある超巨大オブリビオンストームの内部だ。そこには、無数の「ポーシュボス・フェノメノン」が存在している』
 ポーシュボス・フェノメノン。フィールド・オブ・ナイン第4席である。邪神でありながら無数にということは分裂能力でも持っているのだろうか。
 猟兵がその疑問を思い浮かべると、それを読み取ったかミルケンが答える。
『ポーシュボスは相手に少しでも善の心があればそこに寄生し、相手をポーシュボスと変える。その過程に目的や意思はない。そも、ポーシュボスを名乗る大元の存在と言えるものすらない。それはまさに『現象(フェノメノン)』というに相応しいだろう』
 善の心に寄生されポーシュボスとなってしまう『現象』、それそのものがフィールド・オブ・ナイン第4席だということだ。
『とはいえ直接戦えない存在ではない。お前たちには既にポーシュボス化した被害者たちと戦ってもらう。酷なようだが彼らを戻す手段はないし、彼らは皆滅ぼされ、ポーシュボスを止められることを望んでいる。だが、心がどうあろうと体はポーシュボス。お前たちを攻撃し、新たな寄生先にしようとする』
 半端に記憶や意識を残されポーシュボスとして生き続ける、死よりもつらい状態にあるという。滅ぼすことこそ唯一の救済ということだ。
『そして先も言ったようにポーシュボスは善の心に寄生する。これに対抗する手段は『邪悪ナる者』となるか、『ポーシュボス化してでも戦う』しかない』
 どちらも尋常でない手段だ。猟兵の間に緊張が走る。
『まず言おう。お前たちの中に『邪悪ナる者』などいない。アポカリプス・ランページ攻略の為にここに立っている、その時点でお前たちは善だ。いかに悪人や無感情を気取ろうと、猟兵としてポーシュボスの前に立った時点で寄生されるに足る善の心がある。大量殺人犯や元レイダーすらポーシュボスとなっている。その時点で察するといい』
 どんな悪人にも善の心がある。いわんや猟兵をやである。
『だが、手がなくもない。猟兵の真の姿、それは種類によっては一時的に善の心を封じ込めることができる。そうできる姿を持つ者ならば、ポーシュボスに寄生されず圧倒することができるだろう。幸いその手段は、ついこの前手に入れたばかりだ。あるいは自ら心を破壊してなお戦い続ける……ユーベルコードという反則技ならそれもできるだろう』
 強引に真の姿を引き出すオーバーロード。それを持ってすれば善悪の共存という知恵ある者の宿命すら踏み倒すことができるという。あるいは世界の理さえ書き換えるユーベルコード、それを用いることでも。
『もう一つはポーシュボス化すること。自らの体が変容していく中正気を保ち、通常の手段で相手を滅する。これには特別な準備は必要ない。ただ、変化そのものは敵の撃破以外如何な手段をもってしても止められない。ポーシュボスは存在を認識し接触した時点で寄生を開始する。機械越しなどで遠方から攻撃をかけようとしても寄生は防げぬ。速攻が求められる戦いとなる』
 心に寄生するためあらゆる防御は無意味。己の正気を奮い立たせ、変わりゆく肉体を酷使し戦うしかないという。
『ポーシュボスを滅するにはポーシュボス化した者全てを根絶するしかない。お前たちがそうならぬよう心から祈る。あるいは、善の為に真の邪悪たることを。さあ行け、猟兵よ! ……何? 我に善の心はあるのかだと? ……さあな』
 普段は真の姿として発現している単独行動状態のミルケン。その触手が器用に開いた転移をくぐり、猟兵たちは邪神の狂気の中へと向かうのであった。


鳴声海矢
 こんにちは、鳴声海矢です。
 今回のプレイングボーナスはこちら。

『『邪悪ナる者』になるorポーシュボス化してでも戦う』

 敵は猟兵の善の心に寄生し、ポーシュボス化させようとしてきます。『邪悪ナる者』となって無効化するか、この変化を受け入れつつ戦ってください。
 『邪悪ナる者』については、何らかの手段で明確に心を封じることのみで可能とします。たとえ設定でサイコパスや無感情と書かれていても、それだけでボーナスとはしません。自分の善心を破壊や隠蔽できるようなUCを使う、オーバーロードで真の姿になるなど強力な手段でのみ可能とします。特に後者は余計に★がかかってしまうのでご利用は計画的に。
 ポーシュボス化については肉体と精神の両方が変容していきますので、それに抗いながら戦ってください。あまり進み過ぎなければ装備の使用やUCの発動には影響ないものとします。ポーシュボス化中のPC様の口調につきましてはプレイングで指示や表現があれば従います。なければ侵攻度に合わせてちょっとずつ狂わせていきます。善人だから特別進行度が早い、ということは(演出以外では)ありません。

 敵はポーシュボス化した被害者たちですが救うことは出来ません。元の人格は様々ですが、元がどんな人と戦いたいか指定があればそんな人になります(なければ適当に設定します)。

 それでは、悪なる善のプレイングをお待ちしています。
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第1章 集団戦 『ポーシュボス・フェノメノン』

POW   :    ポーシュボス・インクリーズ・フェノメノン
【ポーシュボスによる突撃】が命中した対象に対し、高威力高命中の【新たなポーシュボス】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    ポーシュボス・ナインアイズ・フェノメノン
自身の【全身の瞳】が輝く間、【戦場全てのポーシュボス・フェノメノン】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
WIZ   :    ポーシュボス・デスストーム・フェノメノン
【オブリビオン・ストームの回転】によって【新たなポーシュボス】を発生させ、自身からレベルm半径内の味方全員の負傷を回復し、再行動させる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

レイ・アイオライト
耳元で囀る肉塊とか鬱陶しすぎるわ。
自身の不幸を他人の耳元で喋る暇があったらさっさと死んでくれない?
アンタたちがポーシュボス現象に呑まれたってのは分かるけど。その悲痛の声はただの煩わしい嵐の喧騒と同じ、いいえそれ以下よ。早く骸の海に還りなさい。

邪悪なる者になる、ねぇ。
……その邪悪なる者なら、あたしの力の裏に潜んでる。
UC発動、出てきなさいクラミツハ。アンタに素敵な蹂躙の場を与えてあげるあたしに感謝することね。

『クハハハハハ!!!殺すか!そうか殺そう!!全部殺そう!!形なき肉塊をことごとく磨り潰してくれる!!』

自身の体をクラミツハに預けて、影を操って『範囲攻撃・蹂躙・暗殺』するわよ。


ミリアリア・アーデルハイム
箒で高速機動、屏氷万里鏡でオーラ防御結界
はぁ~、はしたなくって嫌なんですけど・・・仕方ありませんよね。

【神威暴走】
あは、その黄色いの全部眼ですか?私のと似てますね〜・・・つまんないです。全部取っちゃいましょうよ。
それに、何でくっついちゃってるのかなぁ?
変な形!なんか私よりもでっかいのが気に入らないのでぜーんぶ小さくなるまで切っちゃいましょうか!


黄金騎士を操りルーンソードでポーシュボスを刻み始める
見ているだけでは我慢できなくなり、腕を突っ込んで目玉を引き抜き

ほら、やっぱり生意気!
善も悪も無いわ、面白いか面白くないかそれだけなの
シンプルで素敵ね?
はいって言いなさいよ!

そのうち飽きて何処かへ飛び去る


田抜・ユウナ
抜刀はNG
アドリブ歓迎

●戦
これだけは、これだけは絶対に使いたくなかったけど使わねば勝てないと悟り、《覚悟》を決め
――全《リミッター解除》、1秒

 ニィ――と口の端が三日月に歪む

歓喜の哄笑とともに〈悪刀の怨念〉を纏い《瞬間思考力》
圧縮した《斬撃波》を無詠唱で、眼前の一体を切断。更に【妖剣解放】の衝撃波と《呪詛》を放射する二段構え

●邪悪
妖刀が憑いた状態
「久しいなあ小娘!“あれ”からもう7年か!」

再封印に抵抗、封具を破壊して完堕ち、グリモアベース侵略等々、猟兵への不利を企むが、敵が来れば迎撃優先
「”待て“も出来んのか」
「残飯ごとき斬ってもつまらんなあ」

最後は意味深な笑みで再封印
「ここまでか…まあ良い」



 フロリダ州タラハシー。そこにもアポカリプスヘルの例に漏れず巨大なオブリビオンストームが存在していた。
そしてそのストームの中、そこには大量の触手と光輝く目を持った、悍ましい存在が無数に蠢いていた。
「私の坊ヤ、どこ、ドコなノ……?」
「ママ! まま! ぼクはここダヨ! まマのおなカのなかにいルよ!」
 その触手の群れから響く狂った声。彼らは全て『ポーシュボス』と化してしまった普通の人間。善の心に寄生するその邪神に憑かれてしまったものは自らもポーシュボスを撒き散らす存在となる。そしてそれを解放するには、その存在を滅する以外に方法はない。
「耳元で囀る肉塊とか鬱陶しすぎるわ。自身の不幸を他人の耳元で喋る暇があったらさっさと死んでくれない? アンタたちがポーシュボス現象に呑まれたってのは分かるけど。その悲痛の声はただの煩わしい嵐の喧騒と同じ、いいえそれ以下よ。早く骸の海に還りなさい」
 その彼らを、レイ・アイオライト(潜影の暗殺者・f12771)が見下したように言う。その露悪的な言動が本心か否かそれは定かではないが、その程度の『悪』ではポーシュボスを拒絶することなどできない。
「はぁ~、はしたなくって嫌なんですけど……仕方ありませんよね」
 ミリアリア・アーデルハイム(永劫炉の使徒・f32606)も自身を守るため周囲に結界を張りながらポーシュボスの周りを飛び回りそう呟く。そこに思うのは相手への憐憫などではなく、これから自分が取る手段への僅かな嫌悪。
 傍から見れば非情、あるいは自分本位とも言えるその態度も、例えそれが本心からだったとしてやはりポーシュボスを締め出すには至らない。
 だから、より強烈な『邪悪ナる者』の力がここには必要なのだ。
「解き放て そして囚われよ “……………”の在るが儘に」
 そのような存在となるため、ミリアリアは【神威暴走】にて自分の他者を思いやり労る心、良心を『破壊』した。その代わりに組み上げられたのは、自分のしたい事にしか興味がない心。
「あは、その黄色いの全部眼ですか? 私のと似てますね〜・・・つまんないです。全部取っちゃいましょうよ。それに、何でくっついちゃってるのかなぁ? 変な形! なんか私よりもでっかいのが気に入らないのでぜーんぶ小さくなるまで切っちゃいましょうか!」
 そのどこまでも身勝手となった心で、凶悪犯罪者の善心すら探し出したポーシュボスにさえもその良心を探せぬ存在となったミリアリアは嘆き、苦しみ、狂うポーシュボスにおもちゃを前にしたかのように躍りかかっていく。
「邪悪なる者になる、ねぇ……その邪悪なる者なら、あたしの力の裏に潜んでる」
 ミリアリアのその姿に負けじと、レイも自らの力に潜む邪悪を解放した。
「出てきなさいクラミツハ。アンタに素敵な蹂躙の場を与えてあげるあたしに感謝することね」
 【影憑・闇御津羽神】。それによって呼び出されるのは『影憑き』に潜む闇黒の操者『クラミツハ』。ユーベルコードによって呼び出されたそのものは、明け渡されたレイの体を我が物のように操り始める。
 世界の理さえ書き換えるその力で『邪悪ナる者』と化した二人の猟兵。ただの露悪ではないその姿に怯えながらも、それ故に決意を固めたものがここにもう一人いた。
「これだけは、これだけは絶対に使いたくなかったけど……」
 田抜・ユウナ(狸っていうな・f05049)は震える手で決して抜かれることのない刀を握りしめる。
「使わねば勝てない……!」
 覚悟を決め、その刀の中に込められた怨念、それを解放した。
 【妖剣解放】。妖剣士の基本的なユーベルコード。だが、その解放する妖剣が危険すぎた。
 全てのリミッターを一秒間だけ解放する。そのたった一秒後。
 ニィ――と口の端が三日月に歪む。
 そして斬撃波がポーシュボスの一体を襲い、容易く両断した。
 刀を抜いたのではない。解放された『悪刀の怨念』、それが振り回されただけで、大業物が振り回されたかの様な斬撃が生まれたのだ。
「久しいなあ小娘!“あれ”からもう7年か!」
 そして哄笑。重ねられた斬撃が呪詛を撒き散らし、ポーシュボスの群れを滅していく。
「あぁアアアァぁぁぁ、痛い、イタい……?」
「死ぬ、の、死ネル、の……?」
 突然の暴力の嵐にのたうち回るポーシュボスたち。まるでそれに競うかのように、レイとミリアリアもポーシュボスたちを蹂躙しはじめた。
「ほら、やっぱり生意気! 善も悪も無いわ、面白いか面白くないかそれだけなの。シンプルで素敵ね? はいって言いなさいよ!」
 黄金騎士のルーンソードを操りポーシュボスを切り裂いていくミリアリア。膾に、微塵に、だがやがて見ているだけでは我慢できなくなり、自らの剣を押しのけ素手で目を掴んで力任せに引きずり出す。
「クハハハハハ!!! 殺すか! そうか殺そう!! 全部殺そう!! 形なき肉塊をことごとく磨り潰してくれる!!」
 それを押しのけ影が立ち、実体ある損であるかのごとくにポーシュボスたちを蹂躙し、捻り潰していく。それを成しているのはレイの体。なれどそこにレイの意識は最早一かけらもなく、彼女を操るクラミツハがまるで久方ぶりの遊興に興じるかの如くポーシュボスを嬲りものにしていった。
「”待て“も出来んのか」
 ユウナが文句をつけるのは二人にか、ポーシュボスにか、あるいはユウナ自身にか。あるいはこれにかこつけて他二人の肉体を滅してやろうとも考えるが、奇しくも群れ来るポーシュボスの迎撃に追われそれはならない。
「いたいたいたイイタイイタイイタァァァァァァ!!」
「びゃぎイぃぃぃ! コワイよ、イタイよ、ウレシイよォォォォォ!!」
 善意など欠片もなき『邪悪ナる者』たちからの虐殺。この場には最早正気も、正義も、一切が残っていなかった。
 寄生のよりどころを失くしたポーシュボスたちは思いのほか脆い。蠢く触手は全て粘液の塊と化し、その汚濁諸共消えていく。
 それを最後まで見届けることなく、殺戮に飽きたミリアリアは何処かへ飛び去って行った。
 同時にレイも封印が再度元に戻り、クラミツハを鎮め底から立ち去る。
「残飯ごとき斬ってもつまらんなあ」
 次の獲物と目していた二人が消え拍子抜けしたユウナ。封印を壊し刀を抜き放ってやろうか、戻ったふりをしてグリモアベースへ攻め入ってやろうか。
 考えるが、『ユウナ』が刀を抑え、強引に再度封印を強める。
「ここまでか……まあ良い」
 最後に意味深に笑い、そして膝をつくユウナ。その表情は疲労の色が濃いが、間違いなく元の彼女のもの。最後は邪悪の成した殺戮の後に、彼女だけが疲れ果てた様子で残るのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
了解致しましたぁ。
それでは、参りましょう。

【往結】を発動し『霊薬』を形成、『感情喪失』と『短距離瞬間移動』を付与しますねぇ。
これで、一時的に『善心』を含む全ての『情』を封じることが出来ますし、『疑念』の情を抱くことも有りませんから『弱体化条件』もほぼ無意味ですぅ。
『インクリーズ』に対しても、初撃を『短距離瞬間転移』で回避してしまえば問題無く対処可能でしょう。
後は『FAS』で飛行しつつ『FMS』のバリアと『FGS』の重力結界で守りを固め、『FRS』『FSS』による[砲撃]と『FDS』による[爆撃]で[範囲攻撃]を行い、『霊薬』の効果が続く間に可能な限り叩いて参りますねぇ。



 猟兵は『邪悪ナる者』ではない。なれど、その身に宿す何かが邪悪であればそれに全てを任せることができる。
 では、そう言った者を飼わぬ者はどうするか。
「了解致しましたぁ。それでは、参りましょう」
 夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)がその答えを示すべくオブリビオンストームの中へと飛び込んだ。
「大いなる豊饒の女神、その古の書に記されし知と力をお貸しくださいませ」
 【豊乳女神の加護・徃結】で作り出した霊薬を服用し、その心にある感情全てを喪失、同時に自身に短距離瞬間移動の能力を付与した。
 元よりるこるは余り相手に情を移す方ではなく、態度は柔和でこそあれその行動理念はある種の冷徹さに裏打ちされたものですらある。だが、それと善心の有無はまた別の話である。猟兵として任に答えた時点で善心が存在するのならば、数多くの任に挑む彼女は猟兵屈指の善人とすら言えた。
 そのるこるを、ポーシュボスたちは触手を伸ばして迎え撃つ。
「来たヨ……来タんだ……!」
「早く殺シテ……早く早クハヤく!」
 無数のポーシュボスが一つの塊となり、るこるへ迫る。彼らは心では滅びを懇願しながら、その行動は善心に寄生し無限に増殖戦とするポーシュボスのもの。その突撃を、るこるは短距離瞬間移動することで回避した。
 初撃が当たらなければ続くポーシュボスの群れをなだれ込ませることもできない。勢いあまって反対側へ突っ切っていったポーシュボスに対し、るこるは大量の浮遊兵装を展開し殲滅にかかる。
 『FMS』『FGS』でバリアと結界を張り、自身は『FAS』で空中へ避難。そのまま『FRS』と『FSS』で砲撃し『FDS』で爆破する。彼女が普段から得意とする完全封殺の戦法だが、感情を封じ込めているが故にそれはより機械的であり、効率よくポーシュボスたちを滅していく。
「アツイよ! いたイヨ! パパ! ママぁぁぁぁぁ!!」
「俺ノからダ、腕ガ、腹に通っテ……くび、ガ、うしロ……」
 加えられているのは攻撃。例え死を望んでいようと、その過程にあるのはダメージであり苦痛。とりわけそう言ったものに無縁だった者が元となるポーシュボスはその痛みに泣き叫ぶが、感情を消したるこるはそれに何も感じない。
 後は薬の効果が切れるまでに殲滅し切れれば。そう考えるこるが攻勢を強めた瞬間、突如としてその体に違和感が走った。
 見れば腕の端が黒ずみ、中央には光る点が着き出している。これは紛れもないポーシュボス化の兆候。
 るこるは霊薬で間違いなく感情を消した。ならばこれはなぜ。
 感情はなくても思考は消えない。霊薬の効果が切れる前に仕留め切れるか、その無感情な計算は億千万に一つ、薬の効果時間が間に合わないかもしれないという可能性を考慮してしまう。楽観も悲観もないからこそのあらゆる可能性の想定。感情ではなく理論に裏打ちされたごく僅かな懸念。その無敵の隙間をポーシュボスは見逃さなかったのだ。疑念を抱かぬ限り無敵の続く霊薬で疑念の心を消してしまう、ユーベルコードによってそのユーベルコードの弱点を消すということはかくも難しいのかもしれない。
 だが、るこるは焦らない、慌てない。既に完璧な策はなっているのだ。それに従いただ相手を殲滅するのみ。あくまでわずかな隙間にねじ込まれただけのポーシュボスの寄生は遅く不完全。これなら効果時間内に殲滅能うと、るこるは無感情に、そして冷静に結論付けた。
 痛みは警報であり、恐怖は警告だ。本来それをなくしているの言うのは守勢に置いては致命的。だがそうであるから、るこるは絶えず攻勢に出続ける。そうなればそれを感じぬことは最適な行動を阻害するものを排しているに等しい。
「あぁァァァァ……やっと、死ネ、るよ……」
 砲火の中崩れ行くポーシュボスの心からの感謝。心には届かぬが耳には確かに届いたそれを聞きながら、るこるはただ時間まで淡々とポーシュボスを滅し続けるのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

マオ・ブロークン
迷うことは、なにもない。
あたしは……とっくに、本来の、姿かたちを。失って。
ボロボロの、冷たい、身体に。なっちゃった。
侵食されて、変容されて、破壊されたって。今更、だ。

こころに、無数の、狂気が、繋がった、声が、響いて。
涙が、とめどなく、溢れてくる。こぼれおちて、いく。
ふらついてしか、歩けない、のは……いつものこと、だけど。
向かってくる、ポーシュボスの、群れに。丸鋸を、構えて……

【見えざる海月の抱擁】。
振りまいた、涙を、布石に。電撃を、放つ。
攻撃の、倍数が、増えても……感電して、動けないなら。
ゼロは、ゼロのまま。

敵だけを狙う、電撃が。
あたしが、辛うじて、踏み留まってる、ことを、証明して、くれる。


木霊・ウタ
心情
正に邪神
恐ろし現象だ
野放しには出来ないぜ

それに被害者を元に戻してやれないのは悔しいけど
せめて安らかな眠りを贈ってやりたい

戦闘
ポーシュボス化で戦う

寄生のポーシュボスを
体内の獄炎で適度に燃やして変容の速度を遅くする
心にも地獄の炎は燃えてるぜ
…けどこの意志さえも
いつかは喰われちまいそうだ
確かにこいつは速攻が必要だ

迦楼羅を炎翼として顕現
爆炎で一気に間合いを詰めて
獄炎纏う焔摩天で薙ぎ払う

可哀そうに
辛いだろうな
今、海へ還してやる

UC発動
被害者達にとっての理不尽な未来
即ちこの先もずっとポーシュボスとして存在する未来を焼却
灰に帰す

犠牲者らを還した後
残った「現象」そのものも紅蓮で塵と化す

事後に鎮魂曲
安らかに



 他者に意識を委ねる、心を組み替える、心を封じる、様々な手段でポーシュボスの付け入る隙を猟兵たちは消してきた。
 そう言った手段を持たぬ者はポーシュボスに挑む資格すらないのか。
 そうではない。ポーシュボス化しないこととポーシュボスを倒すこと、これは決して不可分なことではない。ただ、それを成し得る存在が今までいなかっただけなのだ。
 当然である。善心を持たぬ者でさえ十分あり得ぬ存在と言えるのに、その善心に寄生され肉体を異形とされた上でなお戦い続けられるものなどいるはずもなかろう。
 どんな尺度から見ても埒外、規格外と言える存在である猟兵を除いては。
「正に邪神、恐ろしい現象だ。野放しには出来ないぜ」
 だから、木霊・ウタ(地獄が歌うは希望・f03893)は恐れることなくポーシュボスたちの群れへと向かっていける。心を閉ざすことではなく、その善心を躊躇なく露にしながらでも。
「それに被害者を元に戻してやれないのは悔しいけど、せめて安らかな眠りを贈ってやりたい」
 目の前のポーシュボスたちは全てこの『現象』に捕らわれた被害者たち。彼らへの憐みを忘れぬその心は、しかしポーシュボス・フェノメノンにとっては恰好の餌でしかなかった。見る間にウタの腕は黒く染まり、そこに金色に輝く目の様な発光体が現れ始める。
「迷うことは、なにもない」
 動揺にその変化を受けながら、それに一切頓着せぬものがもう一人いた。
「あたしは……とっくに、本来の、姿かたちを。失って。ボロボロの、冷たい、身体に。なっちゃった。侵食されて、変容されて、破壊されたって。今更、だ」
 切れ切れに、たどたどしく言うその言葉。恐怖や狂気で切れているのではない。実際に声を出すための器官や思考が鈍っているのだ。
 マオ・ブロークン(涙の海に沈む・f24917)は一度死に、このアポカリプスヘルの地でデッドマンとして蘇った。その時から、頭は鈍り心臓はならぬ死した体。
 それでも、例え脳が鈍っても、運動や発声に問題があっても、その心はただの少女。他者の悲劇を哀しみ、非道に憤り、命と引き換えに得た力をそこにぶつけることを厭わない泣き虫だけど善なる少女。
 そんな心を持つ彼女だから、ポーシュボスはその善心に嬉々として入り込んだ。血の通わぬ青い肌が黒く染まり、隣にいる男とまるで同じように骨のない触手の塊へと変わっていく。
「いくぜ」
 その男、ウタは一度マオに顔を向けて頷いた。その瞳には狂気に飲まれる意思の炎。
 ウタは自身の操る獄炎を自分の中で燃やし、ポーシュボス化していく自らの肉体を焼いた。心に寄生された結果である変容をその程度で止められるはずもないが、それはいわば決意の表れ。心にも地獄の炎は燃えていると、その心に入り込んだポーシュボスへの宣戦布告でもあった。
「…けどこの意志さえもいつかは喰われちまいそうだ。確かにこいつは速攻が必要だ」
 ポーシュボスとて全てがオブリビオン・フォーミュラであるフィールド・オブ・ナインである。猟兵の心をもってしても、その浸食に晒され続ければたどる道は目の前のものたちと同じ。一刻も早く全てを終わらせねば。その意思に答えるかの如く、『迦楼羅』がその背に翼のように取り付き、そして一度羽ばたいて背で地獄の炎を爆発、変わりゆく足の変わりをするかのようにその爆破の勢いでウタを強引にポーシュボスの群れの方へと吹き飛ばし、その勢いのままウタは『焔摩天』をなぎ払った。
「あついアツいあつイアツイぃぃぃィィぃぃぃ!!」
 その爆炎に炙られただけでポーシュボスは泣き叫ぶ。まるで恐怖と狂気に食い尽くされるかのように見開いた眼が光り、それに応じるように他のポーシュボスたちの目も金色に輝いた。そして大量の触手が一斉にウタへと殺到する。
 その殺到に、マオが躊躇なく踏み込んでいく。
「ふらついてしか、歩けない、のは……いつものこと、だけど」
 その心に繋がった無数の狂気が響く。ポーシュボスと向き合い、ポーシュボスになるのは初めてではない。その度に彼らの狂気と悲鳴は彼女を蝕んできた。それに涙をとめどなく流し周囲を濡らしながら、それでもマオは丸鋸を構える。
 既に丸鋸に添えた片手は触手になりかけ。それを迎え入れるかのようにポーシュボスたちは彼女に触手を絡める。その触手に、たった二つの目からも涙が零れ落ちた。そして。
「……漂う、網、に。引っかかった、ね」
 その涙を伝い、電流がポーシュボスを焼いた。その電流で触手は痙攣し、マオの体に添えたままそれ以上は動けなくなる。
「あぁぁばばばバババばばばBABABABABABA!!!???!?」
 涙を触媒に放たれる【見えざる海月の抱擁】。敵味方を識別できる電撃で敵の攻撃を止めれば、その攻撃回数は何倍になろうとゼロのまま。
 動けなくなった触手から解放されたウタは自らも解放を齎さんと、その身から炎を湧き上がらせる。
「そんな理不尽、灰にして消し飛ばしてやるぜ!」
 【ブレイズアッシュ】の炎は理不尽な未来だけを焼き尽くす炎。涙にぬれ、電流に痺れたポーシュボスたちを今度は炎が焼き尽くしていく。
「炎が、ホノオが……もえル、ヤケる……おわ、る……?」
 ポーシュボス化した者は生き続けることそれそのものが理不尽な未来。その命を絶ち、ここで全てを終わらせてやることこそが唯一の救済なのだ。
「敵だけを狙う、電撃が。あたしが、辛うじて、踏み留まってる、ことを、証明して、くれる」
 ポーシュボスの意によってその炎から逃れることのないよう、マオはそこに涙を流し続ける。敵の為に、己の為に、涙を流し電流を放っていられるうちは自分が自分だと確信していられる。既に丸鋸を持っているのは手か足かも定かではなく涙流さぬ光る瞳が全身に輝いていても、電流がマオがマオであると証明してくれていた。
「灰ニなレ、『ポーシュボス・フェノメノン』……!」
 声に奇声を混ぜながら、ウタは獄炎を巻き上がらせ続ける。彼らを苦しめた『現象』、それさえもが灰燼となるよう願って。
 やがて電流と炎の嵐が去り、そこにポーシュボスの姿はなくなった。
 黒から青へと戻った……あるいは二度と戻らぬその手を、マオはじっと見つめている。
 そしてその隣では人の声で朗々と、ウタがようやく死ねたものの魂が安らぐための歌を歌うのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

シャーリー・ネィド
【かまぼこ】
ボクたちのやろうとしている事はまぎれもない「邪悪」だよ
救いのためとはいえ、まだ理性の残っている相手を殺そうとしているのだから
とても正気じゃ務まらない

だからこそ、ボクたちはこの痛みから逃げたくない
良心の呵責からも、ポーシュボス化の恐怖からも
ウィーリィくんと【手をつなぐ】ことで【勇気】を高め合い、狂気に挑む

ウィーリィくんと協力して次々と発生するポーシュボスを【クイックドロウ】+【乱れ撃ち】で倒しながら【ワールド・タイフーン】で次々と片付けていく
精神と肉体の変容を【気合い】で食い止めながら全てのポーシュボスを滅ぼす事だけに専念する

最後に残るのはポーシュボスじゃない
ボクたちだ!


ウィーリィ・チゥシャン
【かまぼこ】
オーバーロードで真の姿になれば心を封じる事でそれに抵抗できる。
だけど、身勝手な感傷だけど敢えてそれは選ばない。
シャーリーと一緒に痛みと向き合い、侵蝕に抗い、心を保ったままポーシュボスに立ち向かう!

シャーリーと手分けして短時間で全てのポーシュボスを駆逐する。
敵の突撃を【見切り】、【フェイント】で回避しながら【カウンター】で炎の【属性攻撃】を付与した大包丁の【二回攻撃】を繰り出して、囲まれたら大包丁の斬撃の【衝撃波】の【範囲攻撃】で薙ぎ払い、そのまま【飢龍炎牙】で焼き払う。
ポーシュボス化は【覚悟】で変容を受け入れながらも【気合】でそれに抗い、最後まで自分自身を手放さない。



 ポーシュボスとなった者は言った。
「『世界を救う』為に戦う『邪悪ナる者』。不可能ダ、あリえナい。」
 しかし、それは現れた。
「ボクたちのやろうとしている事はまぎれもない「邪悪」だよ。救いのためとはいえ、まだ理性の残っている相手を殺そうとしているのだから。とても正気じゃ務まらない」
 シャーリー・ネィド(宇宙海賊シャークトルネード・f02673)が決意を込めてそう言う。それが相手の望みであろうとも、自分たちにしかできないことであろうとも、自分たちのやることは悪だと、その罪全てを背負う覚悟を持って彼女はここに立った。
「だからこそ、ボクたちはこの痛みから逃げたくない。良心の呵責からも、ポーシュボス化の恐怖からも」
 なれどその覚悟の出所は間違いなく尊き善心。それはポーシュボスにとってはまたとない望ましい寄生先。だがまるで扱えたかのように、猟兵はそれすら踏み倒す手段を手に入れていた。
「オーバーロードで真の姿になれば心を封じる事でそれに抵抗できる」
 フィールド・オブ・ナイン第1席プレジデント、そしてカタストロフを起こさんとするフルスロットル・ヴォーテックスが口にした『オーバーロード』。未だ謎多き言葉なれど、今判明している力でさえ猟兵の真の姿を強引に引き出すという凄まじいもの。
「だけど、身勝手な感傷だけど敢えてそれは選ばない」
 その力を使うことを、ウィーリィ・チゥシャン(鉄鍋のウィーリィ・f04298)は拒絶した。
「シャーリーと一緒に痛みと向き合い、侵蝕に抗い、心を保ったままポーシュボスに立ち向かう!」
 大切な人と共に、邪神の寄生を受け入れそれでもなお心を失わず戦い抜くと、二人は誓い合い、共に手を取り合ってここに来たのだ。
 その美しき心に、ポーシュボスは寄生する。二人の体が黒く染まり、ポーシュボスへと変じ始めた。
「愛しテ……愛シて……アイ、ッテ……?」
「犯して、殺しテ……それでも、ダ、め……」
 オブリビオンストームの中にひしめくポーシュボスたち。地に伏せるものは塊となって二人に向けて突進し、その後ろのものは天へと伸びあがりストームの回転を煽るように触手を振り回し始めた。
「くるかっ!」
 その動きを見切り、フェイントを交えた動きで飛んで躱し火炎を纏った大包丁をそこに振り下ろすウィーリィ。燃え上がる刃が二度、ポーシュボスを切り裂きその体を燃え上がらせる。
「あぁぁぁァァぁああアアあああ!!」
 その痛みに絶叫するポーシュボスたち。だが、切りつけられたとはいえ当たったことで追加のポーシュボスたちが現れ、そのままウィーリィを押し潰さんとする。
「さぁ、世界サメ大戦の勃発だよ!」
 そのポーシュボスを、シャーリーが【ワールド・タイフーン】で押し返した。さらに周囲に幾何学模様を描いて飛び回る鮫は、ストームから出てくる当たらなポーシュボスたちにも喰らいついていく。
「喰われタぁ……俺の、腕、アタマ、心臓ォォォ……!」
 食いちぎられた触手から聞こえる悲愴な声。それに引き込まれるようシャーリーの体もポーシュボスへ変じていくが、その変化を少しでも抑えようと心を奮い立たせる。
 そしてウィーリィもまたポーシュボスへ変わっていく。そうなる覚悟はしてきた。だが、黙って代わり切るわけにはいかない。最後の時まで抗い続けられれば、そこに勝利があるのだ。
「喰らい尽くせ、炎の顎!」
 その時のため、ウィーリィはなおも群がりくるポーシュボスたちを衝撃波を払ってなぎ払う。そして、僅かに開いた相手との隙間に【飢龍炎牙】の炎を発生させた。
「燃え、モえ、モエルぅぅぅぅぅぅぅ!!」
「あああハハハはは、あは、アはははhaハハhaha!!」
 悲鳴を上げるポーシュボス。だが、その声に僅かな喜びが混じっているようにも聞こえてくるのは二人のポーシュボス化が進行しているせいだろうか。
 それがどうであろうと、二人の成すべきことは変わらない。
 最後まで自分自身を手放さない、全てのポーシュボスを滅ぼす事だけに専念する。その誓いを支えるのは、もう体の半分以上がポーシュボス化した二人の、未だ変わらず繋がり続けているその手だろうか。
「最後に残るのはポーシュボスじゃないボクたちだ!」
 シャーリーのその意思に、ウィーリィは手を強く握ることで答える。
「いケェェェぇぇぇぇぇぇぇ!!」
 奇声と変わった声はどちらのものか、あるいは二人同時にか。その声にこたえるかのように、炎が燃やし、鮫が食らった。黒き触手と光る目の群れが、オブリビオンストームの中から消え失せていく。
「やっと……死ねた……ポーシュボスが……殺された……」
 最後に聞こえたその声は、誰がどこから発したものか。だがそこにあったのは狂気ではなく安らぎと安堵のように聞こえたのは、ポーシュボスに同調したせいではないと信じても誰からも否定はされないだろう。
 ポーシュボスは。今ここに死んだのだ。
 そして二人はお互いの顔を見る。そこにはポーシュボスの欠片もない、見知った互いの顔があった。
 そして最初から最後まで、ずっと変わることなくつながれ続けた手を離さぬまま、二人はこの場を後にするのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年09月21日


挿絵イラスト