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アポカリプス・ランページ⑱〜善なるモノの狂気

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●善という名の狂気
「アポカリプスヘルでの戦争も中盤になって、かなり厄介な敵が現れたものだな」
 グリモアベースのブリーフィングルームで黒柳・朔良(「影の一族」の末裔・f27206)は、頭を抱えた様子で猟兵たちを出迎えた。
「招集に応えてくれて感謝する。
 今回はアポカリプスヘルのフロリダ州タラハシーに発生した巨大なオブリビオンストームの対処へ赴いてほしい」
 ポーシュボス・フェノメノンへの道が開いたことにより知覚できるようになったこのオブリビオンストームは、フロリダ州タラハシーを覆い尽くすほど巨大でひどく禍々しいものだ。
 現在なお拡大し続けているそのオブリビオンストームの付近に人類の拠点はないのがまだ唯一の救いではあるのだろうが、この巨大なストームがアメリカをはじめとするアポカリプスヘル全土に広がるのも時間の問題だろう。
「ポーシュボス・フェノメノンはフィールド・オブ・ナインの1体であると同時に一つの現象でもある。
 生命の「善の心」に寄生し、狂気に陥らせ、取り込むという性質を持つものだ」
 ポーシュボス現象と命されるその現象は埒外の存在たる猟兵たちにも例外なく発生する。
「唯一対抗できるのは「純粋なる悪」である『邪悪ナる者』のみだ。
 少しでも「善の心」を滲ませれば、そこから侵食される恐れがあるだけに非常に厄介極まりない」
 戦うには狂気に侵されながらも、正気を保ち続けるしかない。
 熟練の猟兵ならばそれも可能であろうが、何れにせよ強靭な精神力が必要なのは確かだろう。
 あるいは、既に狂気の中にあるものならば――。
「どちらにせよ非常に危険な戦いとなることは間違いない。
 戦いに赴くならば、取り込まれないように気をつけることだ」
 朔良の手の中で輝くグリモア越しにでも理解る程に、ポーシュボスの発するオブリビオンストームからは狂気が漂っている。
 脅威に立ち向かう猟兵たちが寄生される狂気に打ち勝つか、飲み込まれるか。
 あるいは『邪悪ナる者』として、狂気から逃れるか。
 その選択をするのは――。


綺朔
 アポカリプス・ランページも中盤、皆様調子のほどはいかがでしょうか。
 どうも綺朔(キサク)です。
 狂気と聞いて書かずにはいられませんでした、

 アポカリプスヘル戦争2本目は善に巣食う狂気、ポーシュボス・フェノメノン戦です。
 例により、戦争シナリオのため1章構成となっております。
 また、やや難かつ最低限必須事項のプレイングボーナスがありますため、プレイングの際はご注意ください。

●集団戦『ポーシュボス・フェノメノン』
 1体の「フィールド・オブ・ナイン」であるにも関わらず集団戦となります。
 狂気の寄生から逃れるためには「純粋なる悪」である『邪悪ナる者』となる必要がありますが、少しでも「善の心」があるとそこからポーシュボスの狂気が寄生していきます。
 また、狂気が寄生してポーシュボス化したとしても抗うことは可能です。
 狂気に陥った際の描写はなるべく猟兵の皆さんのプレイングに従いますが、特に記載がない場合はいくつかの候補の中からランダムに決めさせていただきます。
 なお、すでにポーシュボス化してオブリビオンストーム内にいる生命を救うことはできません。

 プレイングボーナス(最低限必須):『邪悪ナる者』になるorポーシュボス化してでも戦う。
(最低限必須事項が含まれていなければ苦戦あるいは失敗判定となります。)

●プレイング募集について
 OP公開後から随時募集します。
 なお、今回の断章の追加はありません。
 受付状況等はタグやマスターページにてお知らせいたしますため、あわせてご確認お願いします。

 その他については、綺朔のマスターページをご参照ください。
 以上、皆さんの素敵なプレイングお待ちしています。
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第1章 集団戦 『ポーシュボス・フェノメノン』

POW   :    ポーシュボス・インクリーズ・フェノメノン
【ポーシュボスによる突撃】が命中した対象に対し、高威力高命中の【新たなポーシュボス】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    ポーシュボス・ナインアイズ・フェノメノン
自身の【全身の瞳】が輝く間、【戦場全てのポーシュボス・フェノメノン】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
WIZ   :    ポーシュボス・デスストーム・フェノメノン
【オブリビオン・ストームの回転】によって【新たなポーシュボス】を発生させ、自身からレベルm半径内の味方全員の負傷を回復し、再行動させる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

レイ・アイオライト
耳元で囀る肉塊とか鬱陶しすぎるわ。ほんと邪魔ね。
自身の不幸を他人の耳元で喋る暇があったらさっさと死になさいよ。
アンタたちがポーシュボス現象に呑まれたってのは分かるけど。その悲痛の声はただの煩わしい嵐の喧騒と同じ、いいえそれ以下よ。早く骸の海に還りなさい。

邪悪なる者になる、ね。
……その邪悪なる者なら、あたしの力の裏に潜んでる。
UC発動、出てきなさいクラミツハ。アンタに素敵な蹂躙の場を与えてあげるあたしに感謝することね。

『クハハハハハ!!!殺すか!そうか殺そう!!全部殺そう!!形なき肉塊をことごとく磨り潰してくれる!!』

自身の体をクラミツハに預けて、影を操って『範囲攻撃・蹂躙・暗殺』するわよ。



 ポーシュボス現象に飲み込まれた生命の悲痛の声は、レイ・アイオライト(潜影の暗殺者・f12771)にとってはただの煩わしい嵐の喧騒と同じ、いや、それ以下だ。
『嗚呼、こロしテ……』
『どうシてコんなコとニ』
 耳元で囀る肉塊(ポーシュボス化したモノ)達の自身の不幸を嘆く声達は、レイにとって鬱陶しく邪魔な声だ。
「本当に鬱陶しいわね、早く骸の海へ還りなさい」
 その狂気の声に飲み込まれそうになるレイの中で目覚めようとしている「邪悪ナる者」、クラミツハを、彼女のユーベルコード【影憑・闇御津羽神(カゲツキ・クラミツハ)】の力により自身に憑依させる。
「出てきなさい、クラミツハ。
 アンタに素敵な蹂躙の場を与えてあげるあたしに感謝することね。」
『クハハハハハ!!!殺すか!そうか殺そう!!全部殺そう!!形なき肉塊をことごとく磨り潰してくれる!!』
 自身の体と意識をすべてクラミツハに預けたレイの影から湧き上がる悍ましいまでの殺意は、狂気の中にいるポーシュボスを喰らい尽くす。
『全部殺そう!!全部屠ろう!!
 一時的な降臨は不本意ではあるが……。
 好きに蹂躙してい好いと言うならば許そうぞ、主殿よ!!』
 レイの口からは「善の心」など微塵も持ち合わせていない、ただただ蹂躙を愉しむ言葉の数々が発せられる。
 クラミツハにより、レイの周囲を取り囲むように蠢いていたポーシュボスたちが殺し尽くされるまで、あと――

成功 🔵​🔵​🔴​

亞東・霧亥
【UC】
千を超える残像。
ポーシュボスが幾度攻撃しようとも全てを消す事は出来ない。
俺が生きていれば無限に生み出される。
分身に襲い掛かれば必然、同士討ちも始まる。
貴様等が喰い破るのは同胞の腹よ。

『暗殺者』を極めし者は生粋の悪となり、取り込まれた人々の懇願も怨嗟も無慈悲に無感情に切り捨て、只々、対象を『切断』し『解体』する。

屍山の頂で声高に嗤い、血河を啜り喉を潤す。
正気の沙汰じゃ無い?
何、少し昔を懐かしんだけさ。



 『暗殺者』を極めた者は生粋の悪となり、人々の懇願も怨嗟も無慈悲に、そして無感情に切り捨て、只々対象を殺戮していく。
 亞東・霧亥(夢幻の剣誓・f05789)も、今はそのような『暗殺者』となりユーベルコード【分身の術(ブンシンノジュツ)】で作り出された分身のような残像とともにポーシュボスを屠っていた。
『いタイのはいヤダ』
『シにたくナい』
『モう、こロしテクれ』
「悪いが、俺が生きている限り貴様等が喰い破るのは同胞の腹よ」
 ポーシュボス達がそんな霧亥に幾度となく攻撃を加えようとするが、その全てが残像として消え失せて、別のポーシュボスへと当たる。
 周囲を埋め尽くす、千を超える霧亥は全てが残像で、どれが本体なのか皆目見当がつかない状態となっていた。
「ふふ、ははは!
 嗚呼、そうだ。これだ、この感覚だ!」
 意図せず同士討ちとなり始めたポーシュボスの中で、霧亥は高らかに嗤う。
 何故(どうして)今まで忘れていたのか。
 こんなにも甘美で、心地好い、「殺戮」という名の行い。
 屍山の頂で声高に嗤い、血河を啜り喉を潤すその様は、正気の沙汰とは到底思えるものではない。
 純粋なる悪たる「邪悪ナる者」となった霧亥にはポーシュボスが寄生することはない故に、彼がポーシュボスの狂気の中にいるわけではなく。
 ただ懐かしさに身を委ねる霧亥にとって、ポーシュボスを殺すことはただの作業に他ならない。

成功 🔵​🔵​🔴​

岩永・勘十郎
「やっとワシらしくやれる」

そう言い戦場に立つ勘十郎からは肌を裂くような鋭い【殺気】が現れる。猟兵という立場ではやれる事も限られるが、今回は違う。

「最初に言っておく、ワシのそれはお前らのそれより“純粋”だ」

自らが隠し持つ純粋な残虐性。それを存分に発揮しようと敵の攻撃を【第六感】で【読心術】のように感知し、それを【瞬間思考力】で解析し、最適解を導き出しながら、それらを【見切り】【受け流し】ながら叩き斬っていく。

「その程度じゃワシは殺せんぞ?」

普段ではしない口にするのも恐ろしい斬り伏せ方と敵を【挑発】する姿からは【幸運】をも強引に味方に付けるような我田引水の立ち回り。UCの力もあって、場を支配する。



 ひりつくような肌を刺す鋭い殺気を放つ岩永・勘十郎(帝都の浪人剣士・f23816)は、現在の状況に歓喜していた。
 今まで猟兵という立場では、やれることは限られていると感じていた彼のうちに秘めた残虐性を如何ともなく発揮できる絶好の機会が訪れたのだから。
「やっとワシらしくやれる」
 ニヤリと、口元が弧を描くように笑みが止まらない。
 残虐性は、そのまま悪だ。
 今の勘十郎の心には一片の「善の心」など微塵もないかの如く、ただ冷酷に自らの敵に対峙する。
「最初に言っておく、ワシのそれはお前らのそれより“純粋”だ」
 悍ましいまでの殺気に満ちた様子の勘十郎は、この殺戮とも言える行為を愉しんでいるようにも思えた。
『まマ、ぼクはこコにいルよ……』
『あノコを殺さナいで……殺スなら、わたシを殺しテ……』
「その程度じゃワシは殺せんぞ?」
 殺さないで、と懇願しながらも襲ってくるポーシュボスを無慈悲に切り伏せる勘十郎は、それは普段の彼からは想像もつかないほど好戦的で、その斬り伏せ方は口にするも恐ろしいほどだった。
 ユーベルコード【六道・龕灯返しの太刀(リクドウ・ガンドウガエシノタチ)】を駆使しながら、幸運さえも強引に味方につけるような我田引水の立ち回りで場を支配する勘十郎に、ポーシュボス達は太刀打ちできずに文字通り切り捨てられていくのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ニクロム・チタノ
なるほど邪悪ナる者ですかならボクがぴったりですよなんせ今のボクは反抗の竜にも見捨てられた醜い悪堕ちヘドロ怪人ですからねぇアハハハ
嗚呼、心地よい空間ですねぇならボクがもっと素敵な場所に変えてあげましょう
ヨダレを撒き散らして辺りをヘドロ化させて猛毒ヘドロの海に変えてあげますよ
アハハハどうです素晴らしいでしょうここがアナタ達の終焉の地です
みんなボクの妖刀で切り刻んでヘドロの海に沈めてあげますよ
もうこの世界に神なんていらないでしょう?
アハハハハ



 無限に生み出されるポーシュボスの中で、蠢く悪臭を放つナニカ。
 ボトボトとナニカが落ちる音の中心にいるニクロム・チタノ(反抗を忘れた悪堕ちヘドロ・f32208)にとって、この空間は非常に心地が良いものだった。
「アハハハ、全部ぜぇんぶボクのヘドロでとかしてあげますよぉ。
 そうすればほぉら、もっと素敵な場所になるでしょう?」
 かつて反抗の竜の加護を得ていた彼女の姿は影も形もなく、ただただ猛毒と悪臭を放つヘドロを吐き出し続けるだけの怪物と化してしまった。
「アハハハどうです素晴らしいでしょう?ここがアナタ達の終焉の地です」
 彼女の姿はユーベルコード【ニクロムの成れ果て(ニクロムヘドロ)】の力で強化され、彼女の周囲にいるありとあらゆる生命の命を奪っていく。
 それだけでなく生物として形が残っている者たちに対しては、ニクロムの持つ妖刀により切り刻まれて、腐敗したヘドロの海へと沈んでいく。
 かつて反抗の竜チタノがニクロムへと与えた「反抗の妖刀」はすでにその力を失っていた。
「もうこの世界に神なんていらないでしょう?
 アハハハハ!」
 反抗の竜という唯一の枷を失った少女の末路。
 それはポーシュボス化した生命達をも凌駕する程の狂気にも感じられるものであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

星群・ヒカル
暗闇の中には、必ず灯火があるものだ、それは決して悪じゃない
だからポーシュボス達、己の中の光を信じろ!この超宇宙番長が、必ずおめーらを救って見せる!

ポーシュボス化を厭わずに、宇宙バイク『銀翼号』に『騎乗』し、攻撃を『逃げ足・早業』で回避しつつ群れに突っ込んでいく
善の心に寄生するってことはつまり、その部位がエネルギー源、つまり弱点だってことだ
狂気は『狂気耐性』でギリギリカバーしつつ、その狂気の闇の中、嘆く人々の善意の在処=光を『視力・第六感』で捉えて手を伸ばす

大丈夫だ、ちゃんとおれが見つけた、だから……独りじゃないんだ、誰一人として!
【超宇宙・真眼光波動】で焼き払い、その光が救われることを祈ろう



 暗闇の中には必ず灯火がある、それは決して悪ではない。
 それは星群・ヒカル(超宇宙番長・f01648)の持論であり、超宇宙番長としてのあり方だ。
「必ずおめーらを救って見せるからな!」
 ポーシュボス化を厭わずに宇宙バイク『銀翼号』でポーシュボスの群れに突っ込むヒカルにも、当然ポーシュボス現象が襲ってくる。
「ぐっ……まダ、まだぁ!」
 狂気に飲まれそうになる寸前で踏みとどまるが、それでも自信が徐々に狂気に侵されていくという感覚が理解る。
 自身の中にある、秘められた殺戮の衝動。
 この場のありとあらゆる生命を殺し尽くしたらどれだけ清々しいか。
「クッ、けっこうキちぃなぁ……
 でも、まだ動ケるなら大丈夫だ」
 五月蝿いくらいに頭に響く『殺せ』という声は聞こえない振りをして、ヒカルは巧みにバイクを操りポーシュボスからの怒涛なまでの攻撃を交わしていく。
『助ケて』
『殺しテくレ』
「ああ、今助けテやるカらな」
 狂気の中、嘆く人々の善意の在り処が光となってヒカルを導く。
「ちゃんとおレが見つケた、だかラ……独りじゃナいんだ、誰一人とシて!」
 その光を目印に、ユーベルコード【超宇宙・真眼光波動(チョウウチュウ・メンチバースト)】でポーシュボスを焼き払う。
 彼らの光が救われることを祈る反面、ヒカリは自身の心に一種の清々しさを感じていたことに気付くことはない。
 寄生される狂気の中で耐えることを選んだ彼が、今は抑えている殺戮の狂気に沈むまで時間の問題なのかもしれない。

成功 🔵​🔵​🔴​

ソフィア・エーデルシュタイン
善とは何か
悪とは何か
この場でそれを決めるのは、ポーシュボスという存在なのでしょう?
それならばわたくしは、挑むだけですわ
彼らがわたくしを善と見做すか、悪と見做すか
とても、楽しみ
善であろうと、悪であろうと
わたくしがわたくしであることに何も変わりはありませんもの

さぁ、さぁ、愛されるべき方々!
皆様は望まれた存在。ゆえにこの場に存在するのです
得体の知れぬものと交わろうと
我や個と言うものを失おうと
皆様が確かに存在したからこそ、この群れは存在するのですわ

だから、何も憂う事はありませんのよ
愛しい貴方。愛されるべき貴方
願うのならば、願わずとも、終わらせましょう
煌矢は、遍く全てをあいしますわ
貴方が何度、蘇ろうとも



 善とは何か、あるいは悪とは何か。
 この場でそれを決めるのは「ポーシュボス」という存在なのだろう。
 それならばソフィア・エーデルシュタイン(煌珠・f14358)はただ挑むだけだ。
 彼女の歪んだ博愛が、ポーシュボスにとって善なのか悪なのか。
「とても、楽しみ」
 恍惚なまでの笑みを浮かべるソフィアにとっては、己の有り様が善でも悪でもどちらでもよいのだろう。
「わたくしがわたくしであることに何も変わりはありませんもの。
 私のあリ方が善であろウと、悪であロうとそれは些細ナことでスもの!」
 ポーシュボスによる寄生は、スフィアの気づかぬうちに始まっているよう、彼女の美しく白い肌の所々が黒くなりはじめていた。 
『あア、ボくをあイして』
『愛しイあノ子を、私が食ベてしマッた』
『モう、苦しイのはいヤだ』
「さァ、さぁ、愛さレるべき方々!
 皆様は望マれた存在。ゆエにこの場ニ存在するノです」
 それは彼女の歪んだ博愛への執着。
 この世の全ての生命達は遍く自分に愛されるべきだという、驕りにも似たその狂気は徐々にスフィアを蝕んでいく。
「何も憂うコとはあリませんのヨ。
 願うノならバ、いいエ、願わずトも、終わラせまシょう」
 気付かぬ狂気に苛まれるスフィアにより放たれたユーベルコード【煌矢(キラメキノヤ)】が、彼女の周りのポーシュボスを捉える。
 しかし、吹き荒れるオブリビオンストームの中ではポーシュボス達はすぐさま回復し、スフィアを取り込むために蠢き出す。
「貴方が何度、蘇ろウとも。
 わたクしが全テを愛してサしあゲますわ!」
 高らかに嗤うスフィアは、自身がポーシュボス化していることに最後まで気付くことなくその狂気へと沈んでいく。
 ポーシュボスと化した後も、スフィアの意識は全てを愛するということを忘れることはなかった。

成功 🔵​🔵​🔴​

二條・心春
善の心に巣食うなんて、非常に危険ですね……。ですが、ここで正気を失ってしまうようではUDCアースの邪神にも対抗できないでしょう。その狂気に打ち勝ってみせます。

私は狂気に耐性がありますが、そう簡単には耐えられないでしょう。正気を失いそうになったらタブレットにUDCの皆の姿を映し出します。ええ、彼らと共に生きるため、私はこんなところで終わるわけにはいきません……!自分の体を拳銃で撃ってでも目を覚ませます。
そのまま拳銃で攻撃しましょう。近づかれて攻撃される前に【強化UDC弾】を使い、UDCの皆の力を借りて「呪殺弾」を放ってまとめて攻撃です。狂気を掃うため、皆の力を貸してください!



 善の心に巣食うポーシュボスの危険性は、多くのUDC怪物である邪神を従える二條・心春(UDC召喚士・f11004)にはとてもよく理解できた。
 そして、このポーシュボスの狂気に負けてしまうようでは、おそらく彼女の故郷であるUDCアースの邪神達と対抗することなどできないということも。
「その狂気に打ち勝ってみせます!」
 UDC怪物を召喚し共に戦う心春には、人並み以上に狂気に対する耐性がある。
 だがそれでもこのポーシュボス現象による狂気を耐えることは至難の業だ。
『どウして、コんナことニ』
『だレか、わたシをこロしテ』
『さミしいヨぉ』
 聞こえてくるポーシュボス達の怨嗟と不幸を嘆く声に、心春は自身の中にも狂気が生まれてくるのを感じていた。
――どうシて自分はこコにいるのダろうか。
 ふと、心春の心に疑問がわきあがってきた。
 自分は猟兵で、このポーシュボスを倒すためにUDCのみんなと一緒にきて……
 あレ、なんデポーシュボスを倒サなきゃ――
「……そう、でしタね」
 狂気の思考に飲まれる寸前に目に入ったタブレットからは、仲間となったUDC達が心配そうに心春を見つめていた。
 彼らとともに生きるために、この狂気に打ち勝たねばならない。
 そう気付いたときには、拳銃を自分の足へと向けていて引き金を引いていた。
「いっ……!だ、いジょうぶデす。
 このマま、いキますよ!」
 痛みにより若干の正気を取り戻した心春は、ポーシュボス達に近づかれる前にとユーベルコード【強化UDC弾(クリーチャーズエヴォケイション)】でUDC達を召喚する。
「狂気を掃うタめ、皆の力ヲ貸してクださい!」
 この狂気の根源たるポーシュボスも、狂気の具現たるUDCには寄生することはできないようで、心春は味方を巻き込みながら攻撃をするポーシュボス達を一掃するのだった。

△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽

 ポーシュボス化を厭わない猟兵達の善戦により、オブリビオンストームが徐々にその範囲を狭めていく。
 それは、オブリビオンストーム内部のポーシュボスの減少を意味していることにほかならない。
 しばらくして、オブリビオンストームの消滅により猟兵達のポーシュボス化は解除された。
 全てのポーシュボスが消滅し、生命の反応がない荒野が広がるだけになるのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2021年09月22日


挿絵イラスト