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銀河帝国攻略戦⑪~渾身の刃を

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦

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 猟兵たちが慌ただしく動いていた。戦場から戻り、怪我をしている者やこれから戦場へ向かう者、情勢を語り合う者、情報交換する者。親しい者の帰りを待ち祈るような顔をしている者もいる。
 そんなグリモアベースの一角。
 ルベル・ノウフィル(星守の杖・f05873)が猟兵たちに説明をしていた。
「お集まりくださり有難うございます。今回の作戦はエンペラーズマインド・コアの破壊となります」

 ルベルは説明する。
「防衛艦隊とエンペライダーズを排除した事で、スペースシップワールドの艦隊は、帝国大要塞『エンペラーズマインド』に対して本格的な攻勢を開始しました。
 この攻撃により、帝国大要塞『エンペラーズマインド』に一度は大打撃を与える事ができました。
 しかし、帝国大要塞『エンペラーズマインド』の防御装甲と対艦武装は、規格外の『コアマシン』である『エンペラーズマインド・コア』によって修復され続けるため、撃破するには至らず、戦いは膠着状態に入ってしまったのです。
 この膠着状況を打開する為、猟兵による『コア』への突入作戦が行われる事となりました。
 エンペラーズマインドへの突入は、スペースシップワールドの艦隊の援護によって、比較的安全に行う事が出来ます。
 また、内部の巨大隔壁についても先行して突入した猟兵によって破壊され、コアマシンルームへ至る侵攻ルートも確保されている状況です。

 しかし、コアマシンルームへの最後の難関である古代超兵器『デストロイ・ウォーマシン』を排除しなければ、コアルームに向かう事は不可能です。
 戦闘のみに特化し、感情を持たない『デストロイ・ウォーマシン』は、かつての『解放軍』の英雄達を何人も殺害したとされる強敵です。
 猟兵であっても、油断すれば簡単に敗北しかねない強敵なので、万全の態勢で挑みましょう。そして、エンペラーズマインド・コアに渾身のユーベルコードを叩きこみ、破壊をお願いします」
 ルベルはそう言うと顔を上げ、立ち上がる。転移の準備をする。
 グリモアを光らせれば戦場への導きとなる。転移の間際、人狼は耳を伏せる。
「皆様は選ばれし者、希望の導き手。いずれも歴戦の猛者ばかり。1人も欠けることなく未来へと続く道を拓くことができると信じております。けれど、どうか無茶をなさいませんよう。お気をつけて」
 その瞳は無事の帰還を強く願っていた。


remo
 おはようございます。remoです。
 初めましての方も、そうでない方もどうぞよろしくお願いいたします。

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 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
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●エンペラーズマインド・コア
 コアマシンルーム内には、殺人ウイルス『オロチウイルス』が充満しています。猟兵であっても数秒程度しか活動する事が出来ません。
(理屈は現状不明ですが、なぜかウォーマシンやバーチャルキャラクターなど、明らかに普通のウイルスが効かないであろう存在にも効いてしまいます)
 その為、コアマシンルーム突入後は、渾身のユーベルコードを1度放つのが精いっぱいとなります。
 ユーベルコードを撃った後は、グリモア猟兵によって強制帰還させられます。

キャラクター様の個性を発揮する機会になれば、幸いでございます。
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第1章 ボス戦 『デストロイウォーマシン』

POW   :    デストロイトリガー
【一切殺戮モード】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD   :    クリムゾンバースト
【全武装から全力砲撃】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    ユーベルアナライザー
対象のユーベルコードを防御すると、それを【自身の戦闘プログラムで高速解析し】、1度だけ借用できる。戦闘終了後解除される。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

天道・あや
一撃だけ…ならあたしの出番!どっかーーん!と一発大きいのぶつけて…未来への道、開いて見せるっ!いっくよーー!!

エンペラーズマインドの内部突入後は【レガリアシューズ】をフル稼働させてコアマシンルームへ一直線!そしてそれで助走を着けたら【想いの乗った重い一撃セカンド!どっかーーん!】を発動してデストロイウォーマシンに攻撃!


箒星・仄々
心情
この世界は
遥かな過去、
オブリビオンさんがオブリビオンになる前
精一杯今を生き
それが受け継がれて、今があるのだと思います

世界を過去から救うことは
きっとかつてのオブリビオンさんたちの御心にも
叶うことでしょう

だから私たちは負けません
未来へと進んで行きます

手段
転移と同時に一瞬
魔法で宙に溶けるように姿を隠した後
一気に残像分身して連続攻撃!
小柄な体を活かし懐に飛び込んで
炎の魔力で刃が高熱を帯びたKナーゲル(=トリニティで攻撃力↑
で装甲を貫きます


ステラ・ハーシェル
ウォーマシンにも効くと言う事は、サイボーグにも効果があると考えて良いな……ならば、その1度に全身全霊をかけよう。

【ヘール・ボップ】の速度と【騎乗】でコアルームに突貫する。敵とのすれ違いざまに【見切り】で敵の装甲の薄い部分を【フェイント】を交えて【剣刃一閃】の【早業】で斬る。時間があれば【2回攻撃】で追撃を行いたい所だが、難しい様なら諦めよう。敵の攻撃も【見切り】と【騎乗】、【残像】で回避を試みる。


鞍馬・景正
須臾にして一撃。
成る程、しかし私にはそれで十分。
鞍馬の名にかけて、渾身の一太刀を馳走しましょう。

◆戦闘
転送直後から一振りの刃鉄と化し、デストロイ・ウォーマシンに向けて奔走。

敵からの迎撃は【見切り】で回避しながら間合に入り、【捨て身の一撃】で【鎧砕き】の念を込めた【鞍切】を見舞う。

間合、呼吸、刃筋──すべてを基本のまま振るう初歩にして奥義。
嘗て鎧武者の兜から乗馬の鞍まで断ちし剣、如何なる装甲も切り抜くのみ。

振り切れば、刀を鞘に納めながら帰還を受け入れましょう。

今は健在でも、後続の仲間たちが必ずその身を沈めてくれよう。

皇帝の元に辿り着くまで我らは止まらん。決してな。


胡・翠蘭
「最初から、ギアをトップにしていきましょうか」
数秒しか動けないなら、渾身の一撃……最高のものを、派手に御見舞してしまいましょう?
【SPD】
宇宙バイクに騎乗して突入しましょう
さて――私に甘露の蜜より、美味の快楽を。
ユーベルコードを発動させて、殺人機械に快楽を教えて差し上げましょう
「窮鼠猫を噛む……とは言いますが、本気になった獲物と言うのは、恐ろしく驚異になること、ご存知?」
あとは、時間が許す限り…ガジェットや鋼糸、拷問具や宇宙バイクで攻撃していき、第六感、野生の勘で敵の攻撃を見切り回避しつつ…
ダメージは激痛耐性で耐えつつ、撤退は潔く行いましょう
「時間ですわね……それではまた、お会いしましょう?」


月凪・ハルマ
おっと、強そうなのが出てきたな

◆SPD判定
まぁ俺の場合はいつもの通り、足で攪乱しながら戦おう

【見切り】【武器受け】【残像】で敵の攻撃を回避しながら
敵の関節や銃口を狙い手裏剣を【投擲】

まぁ、流石にこれだけで倒せるとは思わないんで
隙があれば【武器改造】で魔導蒸気式旋棍に雷属性を付与して
接近戦も仕掛ける

同時に【メカニック】の知識で弱点を探り
判明次第、其処を重点的に狙う
また判明した弱点は、他の猟兵にも伝達

コアマシンルーム内侵入後は【ガジェットショータイム】
召喚するのは完全に破壊力のみに特化した巨大な大砲

……なるほど、コレはキツいな。でも、一発くらいなら……!

大砲を撃ち込んだら長居は無用。さっさと退散だ


デナイル・ヒステリカル
帝国艦隊攻略ために避けられない依頼あることを理解しました。
いつか誰かがやらなければならないと言うのであれば、それは今ここにいる猟兵がやるべき事です。
加減や配慮は考えません。排除の為に全力を尽くしましょう。

艦内の限定された空間である事を踏まえると、味方の移動を阻害する可能性の高い物量召喚は得策ではないと判断します。
僕の能力と保有する攻撃手段では近付くことも非推奨です。

以上の事を踏まえ、僕は自身に光学迷彩を施し、他の猟兵の方に混ざって部屋へと侵入することにします。
ウイルスを限界まで耐えて敵の警戒半径の外側で隙を待ち、UC:ラスト・ワン・ショットで装甲の隙間から電子回路を撃ち抜こうとします。


トルメンタ・アンゲルス
こちらに万遍なく効くウイルスなら、向こうのマシンにも聞きませんかね?
頑丈なら、何とか効率よく減らしたいですねぇ。

さぁ、行くぞNoChaser!
変身!
『MaximumEngine――Mode:HotHatch』(ベルトの音声)

到着と同時にアクセルユニゾン使用。
宇宙バイクを呼び出し、防御力重視の装甲として変身合体。
ブーストを吹かし、最高速で駆け出します。
物理法則を無視した軌道で突撃し、その勢いを乗せ、追撃のブリッツランツェで突撃。
勢いと装甲に物を言わせ、デストロイウォーマシンごとコアマシンルームに突入せんとします。

突入後、自身のコアマシンの出力を最大にし、グリッタービームで敵コアマシンを撃ちます。


ルーナ・ユーディコット
無事の帰還……か
グリモア猟兵さんに任せるよ

一発に全てを賭けるのなら……私向きね

後も先も無く
最速で、最短で……「ぶち抜く」


使うユーベルコードは孤狼【彗星】
【ダッシュ】で突っ込み、こっちの攻撃の射程まで詰める
敵の攻撃に当たったとしても【激痛耐性】で怯まずに行ければいいのだけど…
攻撃の射程に入ったら【捨て身の一撃】で【鎧砕き】乗せた一撃を全霊で叩き込む
あの装甲が壊せれば……あるいは装甲が砕けたところに一撃入れられれば、勝ちの目を作り出せるはず

命を燃やす以上、当然【覚悟】も決めてある
後に繋げるにしても、これが決着になるとしても
敵の全力に、私の全力を叩き込む
それだけはどこにいても変わらない


トリテレイア・ゼロナイン
SSWに暮らす人々の安寧のため、まずはコアマシンルームを守護する同胞を破壊しましょう

「武器受け」「盾受け」で仲間を「かばい」つつ、接近し「怪力」で武器をふるい近接攻撃を仕掛けます

デストロイトリガーには早く動く物を無差別攻撃してしまう欠陥があります
相手がデストロイトリガーを発動したことを「見切った」ら、直立不動で静止し、攻撃対象から外れます。他の味方に攻撃しようとしている隙を隠し腕で「だまし討ち」し、特殊電流で行動を封じてしまいましょう

理性を捨ててただの一塊の鉄刃となる……だから負けたのです、我が兄弟

コアマシンルームに到着したら制限時間内に超高温化学燃焼弾頭を乱射して被害を与えましょう


目面・真
破壊した隔壁の先に、こんなヤツがいるなんてな。嵐の前の静けさだったわけか。
厄介なヤツみたいだが、アレを倒せなければ銀河帝国を滅ぼすなんて到底ムリな話。
やるしかあるまい。

なるほどね、暴れたら厄介そうだな。アレほど拠点防衛に適した物体もなかなかナイぞ。
あのセンサーは全周囲が見えているな。散開してヤツの狙いを分散できればイイんだが、活動限界までの時間がナイ。渾身の一撃を放つ準備も怠れないな。
コアマシンルームに突入したら一気に肉薄し、間隙から放つ絶対零度の爆轟で、ヤツを瓦礫の塊に変えてみせよう。砕け散るがイイ。


セシル・バーナード
同行:アズニード・プラネタリア(f03082)

いよいよここからは油断出来なくなってくるね。
慎重にいこう、アド。

敵が見えたらサウンド・オブ・パワーを「歌唱」して戦闘能力を底上げし、少しでも戦いが楽になるよう準備する。

「範囲攻撃」のフォックスファイアをばらまき、当たるを幸い焼き尽くす。自身は「火炎耐性」があるから、ある程度は無茶が効く。
青白い火柱を壁のように走らせて、敵の行動を制限し、逃げ場が無くなった敵にフォックスファイアの一撃を叩き込むよ。

ウイルスに汚染されたコアルームか。
「火炎耐性」状態の身体をフォックスファイアで覆い、罹患防止。
あとはエンペラーズマインド・コアにフォックスファイアを全力だ!


アドニード・プラネタリア
同行:セシル・バーナード(セイレーン・f01207)

だんだん強くなって来てるね。
踏ん張りどころかな、セシルくん♪

炎の術(全力魔法,範囲攻撃)を展開しながら「あしきゆめ、いくたびみても、みにおわじー。」と願いを込めて。

技能レベルも10以上の強めので頑張る。

セシルくんがいるけど、(祈り)も必要なら使うよ。
他にも猟兵さんはいるのだから。

コアルームに着いたら、コアのど真ん中に、炎の矢100本同時撃ち(全力魔法)します。
「必神火帝、万魔拱服!」

攻撃技能(生命力吸収,2回攻撃,衝撃波,範囲攻撃,破魔)です。

防御技能(残像,盾受け,見切り)です。

回復技能(祈り)です。


ラスベルト・ロスローリエン
要塞中枢への一矢、望むところだ。
この身を尖鋭な鏃と成し見事に的を射抜いてみせようじゃないか。

◇WIZ 自由描写・連携歓迎◇
『英雄殺しの絡繰兵……相手にとって不足なし、と言うべきかな』
これまでの手合いとは風格が違うね。
後方から彼我の動きを観察して慎重かつ苛烈に攻めよう。
兵装部分や光る瞳を狙い【高速詠唱】で《晨明一条》を射掛ける。
精神を張り詰め絡繰兵の猛攻を【見切り】つつ【援護射撃】で仲間の攻防を支えよう。

中枢に辿り着いたら【全力魔法】で残る全魔力を両手に託す。
“弓張月”を握る右手と明星の矢をつがえる左手に渾身の力漲らせ光の弦を引き絞る。
『上古の王、偉大なる父祖よ。照覧あれ――我が至大なる一矢を』


ハルピュイア・フォスター
アドリブや絡みはOK

わたしはサポート…です…一撃は皆に任せます…。
仲間の渾身の一撃を放つ、または放つまでの発動準備時間にデストロイ・ウォーマシンの注意をわたし与える様に殺気と恐怖で仲間への注意を逸らす。

Lost memoryで対象のユーベルコードを封じ込めて仲間の援護
(弱点;理性失う・範囲内のみ限定・たった1度だけ…など)

攻撃されたら残像とダッシュで回避
オロチウイルスに感染したら逃げ足で退避、わたしが居たら邪魔だから…あとはお願い…。


ユーリ・ヴォルフ
アドリブ共闘大歓迎です

あのような凄まじい化学兵器が、古代に生み出されていたというのか?
人類の叡智は素晴らしいものだな…
だが負けるわけには行かない。私達の未来を勝ち取るためにも!

時間はごく僅か
ならば相打ち覚悟で最強の手札をぶつけてくれる
行けるな?ファフニール!

他の猟兵と分散する形で目標を観察しながら突撃
外装の隙間、瞳に値する部位、頭の付け根ーどこか弱点は無いだろうか?
クリムゾンバーストの範囲に入る直前に大きく跳躍し
上方から重力と共に【属性攻撃】【範囲攻撃】で自身の炎も乗せて
【ドラゴニック・エンド】を全力で叩きつける
僅かでもヒビが入れば、もしくは転倒でもさせることが出来れば僥倖だ
吹き飛べッ!!


オルハ・オランシュ
たった数秒、チャンスはほんの一度だけ
辛い状況だね……
でもオロチウイルスなんてシロモノがある以上、どうしようもないんだ
なんとかしてみせるよ
私達みんなでね!

他の猟兵と比べて素早く行動できるようなら
【捨て身の攻撃】で【鎧砕き】
約束された強制帰還に頼るみたいだけど、捨て身の構えで
後に続いてくれるみんなの攻撃を活かせるように!

でも、できれば行動順を遅らせてまず【力溜め】
【カウンター】からの【2回攻撃】を狙いたいな
この方が私が持つ技能としては、上手く立ち回れると思うから
全力砲撃には【見切り】を狙って、
間に合わないと思ったら【武器受け】で少しでも被弾を減らそう


ソラスティベル・グラスラン
この巨大要塞を落とせば、かの銀河皇帝へとまた一歩近づきます!
皆さん、いざ勇猛に参りましょう…!
この世界の未来は、この大斧で切り開いてみせますともッ!

ウォーマシン戦!
ただ只管に【勇気】を持って前へ、前へ
【オーラ防御・盾受け・見切り】それらを全てを併用しがっちり防御
そのまま強引に接近し【怪力】による蒼雷纏う大斧の一撃を!
かつてウォーマシンに挑んだ英雄たちよ……今一度、力を貸してください
理不尽を屠る力、我が手に!!

コアルーム戦
【怪力・捨て身の一撃・力溜め】を籠めた天空斧
尚足りぬなら、全力の【勇気】で補いますッ!
此処こそが、戦渦の最前線!我らの勇気は貴方を砕く!
最後に勝つのは、勇気ある者ですッ!!



●只一塊のスティールエッジ
 ひやりとした冷たい空間であった。無機質な空間に佇むは赤き装甲のウォーマシン。センサーが捉えるのは猟兵の姿。静かにアームが挙動し、砲身を持ち上げた。
 赤きデストロイウォーマシンは、淡々と侵入者を排除する。それが役目であった。

●その戦場に、仲間がいた
 転移の瞬間、目を閉じ、自分に言い聞かせるように呟く少女がいた。
「……集中! 集中!」
 少女が目を開く。
 負けん気の強そうな瞳で前を見つめるのは、情熱と決意のコーデに身を包んだ天道・あや(駆け出し猟兵・f12190)。

(「何人いる? 味方は」)
 転移と同時に宙に溶けるように姿を隠し、箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)は大きな目で周囲を見渡す。一斉に転移されてきた猟兵、少し遅れて転移されてきた猟兵、続々と仲間が増え、そして止んだ。
「これで、全員……?」
 同様にデナイル・ヒステリカル(架空存在の電脳魔術士・f03357)も自身に光学迷彩を施し、敵味方の戦力を慎重に確認する。

 彼らがいたのは、コアマシンルームの入り口の扉がある部屋に繋がる通路だ。
 宇宙バイク数台が充分に駆け回る余裕のあるほど広々とした部屋の最奥に、コアマシンルームを護る赤きデストロイウォーマシンがいる。そして、その背後にコアマシンルームへつながる扉がある。
 扉を守護する敵は部屋に足を踏み入れれば即座に攻撃を開始するだろう。猟兵たちは小部屋の外で敵の姿を確認し、視線を交差させた。

「この巨大要塞を落とせば、かの銀河皇帝へとまた一歩近づきます!
 皆さん、いざ勇猛に参りましょう……!」
 勇猛な少女の声があがった。声の主はソラスティベル・グラスラン(暁と空の勇者・f05892)。英雄譚に憧れ、勇者を夢見る幼女の瞳は決意に充ち、けれどその声はどこか自らに喝を入れるようでもある。

 マットブラックの宇宙バイク、ヘール・ポップに跨り突貫する意思を見せるのはステラ・ハーシェル(星屑のサンダーボルト・f00960)だ。
 現れし直後より戦意を高め一振りの刃鉄のように研ぎ澄まされた闘気を放っているのは鞍馬・景正(天雷无妄・f02972)。
 胡・翠蘭(鏡花水月・f00676)の声がした。
「最初から、ギアをトップにしていきましょうか」
「頑丈なら、何とか効果的な戦い方をしたいですねぇ」
 濃いサングラス越しに敵を見るトルメンタ・アンゲルス(流星ライダー・f02253)がコアルームに敵を押し込めないかと目を眇める。
 ルーナ・ユーディコット(Basilico・f01373)が感情を抑えた様子で身構えている。
 トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)は赤きウォーマシンへ静かに己のセンサーを向けていた。
 小さなお子様が2人、互いの背を守り合うようにしながら現れた。
「だんだん強くなって来てるね。踏ん張りどころかな、セシルくん♪」
 アドニード・プラネタリア(天文得業生・f03082)が言えば、セシル・バーナード(セイレーン・f01207)がコクリと頷く。
「いよいよここからは油断出来なくなってくるね。慎重にいこう、アド」
 目面・真(たてよみマジメちゃん・f02854)は微かに顔を曇らせる。スペースノイドの終わりなき戦いに身を投じて戦い続けてきた彼にはひと目で敵の強さが判ったのだ。
 (「要塞中枢への一矢、望むところだ。
 この身を尖鋭な鏃と成し見事に的を射抜いてみせようじゃないか」)
 ラスベルト・ロスローリエン(灰の魔法使い・f02822)が澄明なる眼差しで敵を見る。
 敵は英雄殺しだ。これまでの手合いとは風格が違う。ピリリと伝わる強敵の気配に理の樹冠の下の眉が寄る。
「英雄殺しの絡繰兵……相手にとって不足なし、と言うべきかな」
「この世界の過去ではあのような凄まじい化学兵器が生み出されていたというのか? 人類の叡智は素晴らしいものだな……」
 ユーリ・ヴォルフ(叛逆の炎・f07045)は目を瞠る。だが、とユーリは赤の瞳を煌めかせる。
「負けるわけには行かない。私達の未来を勝ち取るためにも!

 ユーリの言葉に反応し、頷きながら声を返したのはオルハ・オランシュ(アトリア・f00497)だ。
「私はね、科学って人を楽しませたり、暮らしを豊かにするものであってほしいんだ」
 刹那、思い出すのは別世界での出来事であった。そして、思うのだ。
「帝国の科学は……そうじゃ、ない」

 そんな味方を見てハルピュイア・フォスター(天獄の凶鳥・f01741)はサポートする意志を固め。

 味方が走り出す。室内に足を踏み入れれば、同時に敵が砲撃を開始した。
 彼らの戦いが始まったのだ。

●赤き英雄殺し
 押し寄せる猟兵全てに向け、赤きウォーマシンは砲撃を全開に向かい撃つ。高威力の砲弾は赤き流星の如く迸り、接近しようとしていた猟兵の足元の床を跳ねる。
「くっ」
 一気に距離を詰めようと駆けていたあやが衝撃に煽られてバランスを崩す。そこへもう1撃が迫るが、同じく接近しようと宇宙バイクを走らせていたステラが刀で砲弾を斬り払う。

「連携して攻めましょう。敵は……英雄殺しです」
 デナイルの声がする。

 あやは頷き、立ち上がる。ステラに迫る砲撃を今度はあやが撃ち落し。
 後方から追いついたトリテレイアが大盾を構え2人の前に立った。盾を振るわせる衝撃。
(「この威力、受け止め続ければ盾が保たない」)
 冷静な機械のブレインはデータを分析し演算していたが、そこへもうソラスティベルが肩を並べ蒸気機関を搭載したスチームシールドで砲撃を受け止め。
「きゃぅっ!」
 衝撃に後ろへと飛ばされ、床を転がり、けれどバネのように素早く身を起こす。
 立ち上がる瞬間、ほんの僅かに足が震えそうになりソラスティベルはぐっと蒼空色の巨大斧を握る手に力を籠めた。そして、叫ぶ。

「力が足りなくても! 後は気合と根性で何とかなります!
 勇気あるものは負けません! この大斧に誓って!」

 その声と姿は仲間たちの心にも勇気を湧かせ鼓舞するのであった。

「さすがの英雄殺しといったところかな」
 後方からラスベルトが弦無き弓を撃つ。
「いと高き望みの星、希望の導き手たる明星の輝きを此処に齎さん」
 視線の先では、ソラスティベルと景正が敵へと走り寄るところだ。
「無明の霧を彷徨い常闇深く堕ちし憐れなる者に魂の夜明けを告げ給え」
 ラスベルトが言葉を捧げるように唱えれば光の矢が味方に迫る砲撃を撃ち落していく。さらに矢は敵本体へも注ぐが、敵もまた対抗射撃をし、至近に迫った矢は右手に捧げた青白いブレイドで矢を斬り伏せ、防いでいた。
 そしてブレイドが矢を斬り伏せた瞬間にソラスティベルが大斧を振り上げ、景正が武州康重を閃かせる。重ねた刃は敵の装甲へと浅いながらも確かな傷を付け。
「!」
 青白いブレイドが至近に振るわれる。
 2人は素早く反撃を回避しながら後方へと下がった。下がる足元へ砲撃が追いかけてくる。ソラスティベルの額には汗が滲んでいる。軽い痺れを訴える手をさすり、呟く。
「硬いですね……っ」
 共駆けした景正は瞑色の髪、瑠璃色の瞳。冷艶なる相貌した羅刹だ。表情からは感情が窺えないが、コクリと頷き同意を示した。

「全く歯が立たないわけじゃない」
 ハルマは砲弾の威力に眉を寄せながらも言う。
「ただ、砲撃と装甲の厚さが厄介だな」
 翠蘭が思案気に呟く。
「……敵もまた、後がない、と……そうですわね」
 翠蘭は敵を見据える。帝国軍も追い詰められつつある。彼女は追い詰められた獲物の侮れなさを知っていた。色違いの両目が警戒の色を強める。
「なんとか接近したいが」
 景正は一振りの刃となったが如く全身を廻転させ、都度砲弾を斬り落としていた。
 真が味方に迫る砲撃を氷弾で凍らせながら呟く。
「あのセンサーは全周囲が見えているな。散開してヤツの狙いを分散できればイイんだが」
 仲間たちが同意するように頷いた。

「わたし、敵の注意引く……」
 ハルピュイアが声をあげる。その表情からは、感情が窺えない。
「当たらなければ、いい」
 しかし、彼女が仲間のために動こうとしていることは誰の眼にも明らかだった。

 帽子のつばに触れながらハルマも名乗り上げる。
「俺も、スピードには自信があるんだ」
 それならば、と宇宙バイクに跨るステラ、翠蘭が声をあげる。その間も敵の砲撃は押し寄せ。味方が火力にて対処していた。
 その様子を見ながらデナイルは内心で思う。
 生身の猟兵には疲労が蓄積されていく。敵の砲弾には限りがある。耐久戦になった時、どちらがより保つか。
「注意を引き、隙を見て敵の武装を削っていきましょう」

「ええ」
 翠蘭は猫のような金と緑の目元に甘やかな色香を漂わせ、所作は淑やかに、しかし甘い熱の燈るような眼差しは敵を見つめ。
 たおやかな容貌に見合わぬ宇宙バイクを意外そうに見る者がいれば、つつとバイクを白魚の指でなぞり蕩けるように笑む。
「疾走する爽快感は……快感、なのよ」
 その姿を見てステラもまた自身の宇宙バイクヘール・ポップを撫でる。ステラは人と喋るのが苦手だ。だが、嫌いというわけではない。
 集まった仲間たちと砲撃に晒され、こうしている間にも仲間たちは少しずつ体力を消耗し、軽い傷を負っている者も見えた。ステラはそんな仲間たちを見て絵本で見た英雄譚を思い出す。

 速度にて攪乱し作った隙に火力を叩きこみ、削る。彼らの方針は定まった。散り、走り出す味方へとサポート役のデナイルが声をかける。
「援護します」

 そんな年上の猟兵たちの後方でそっと移し身の術を使って癒しの力で援護するアドニードはふう、と息をつく。
 幾多の戦場を駆けた尊大なるお子様猟兵はその経験ゆえに敵の能力を正確に見積もる。
「生半可な技だと通用しないかもしれないね」
「支援をするよ」
 貴公子然とした雰囲気を纏う中性的な少年セシルはこの戦争を共に走り続け、背中を預けて戦い続ける恋人だ。

「皆で力を合わせて作戦を成功させよう」

 言うと淡い蜂蜜色の狐尾と耳を揺らし、セシルが歌い出す。
 その声は甘く。
 幼き声が紡ぐ音は高く透き通るように伸びて広がり、低く甘やかに抑揚を深める。歌詞なき歌が聴くものの心に染みわたり、空気を震わせる調子がふと囁きにまで落とされれば思わず耳を澄ませて聞き入ってしまうほど。
 その眦はどこか切なく憂いを湛えて見え。
 感情を乗せてセシルが高く喉を震わせれば何故か耳にした者の身が震えて熱くなる。純粋なる音楽への感動を心の底から呼び起こすような歌声。
 それはまるで、敵味方入り乱れる戦場に曙光が差したかのようだった。
 アドニードは心地よく耳を傾け、思う。
 猟兵は、1人ではない。
 連携を得手とするアドニードはこれまでの戦いも、いつも居合わせた猟兵と力を合わせてきた。力を合わせれば、互いの弱点を補い合い、不利をひっくり返すことだって……できるのだ。

 歌が聴こえる。

 ハルピュイアは敵の注意を引き付け、走る。仲間が渾身の一撃を放つ、もしくはそれまでの準備中、敵の注意を引き付けるために殺気を放つ。敵がハルピュイアに砲口を向ける。
(「わたしには怖いモノない……」)
 ハルピュイアは思った。ハルピュイアが怖いのは、せいれいじゅつしのお姉ちゃんだけだ。
「――っ、」
 敵の砲撃が床を抉り壁を破損する中をハルピュイアは走る。足元で床が弾けた。跳ねる。跳ねた先へも砲撃が隙間のない雨のように降ってくる。
(「もっと、速度あげる」)
 ハルピュイアは加速した。速さは残像を残すほどとなり、敵の攻撃が遅れがちになる。逃げ続けるハルピュイアは息も弾み柔肌に幾つかの傷を負ってもいたが。
「時間、稼ぐ……!」
 その瞳は仲間のために強い意思を閃かせていた。
 その体には絶えず砲撃が浴びせられる。ふと足がもつれ、回避が間に合わない一撃があった。衝撃に身構えたハルピュイアはしかし、味方の火力援護により事なきを得る。
「他の味方にしばし任せ、一度距離を取って休んでください」
 デナイルの声がする。彼は一人一人の限界を見極め、下がったり前に出るように促したりしていた。

 猟兵たちが息を弾ませ、汗を流し、命がけの戦場を今、生きている。

 D-9Lは善良なるバーチャルキャラクターとして構築されていた。バーチャルメガネの奥では効率的な戦術が演算処理され、彼の信念に基づいた行動指針を叩き出す。彼の信念は、すなわちプログラムだ。デナイルは、元は娯楽施設の案内役サンプルとしてランダム生成されたのであった。
 人と寄り添い、人のために。その性質は善良であれと。

 緑色の瞳は苦境に立ち向かう仲間たちを見て温かな色を宿す。

 最後の難関である古代超兵器『デストロイ・ウォーマシン』は見るからに破壊力の塊であるように感じられた。単純に戦闘力が高いのだ。しかし、帝国艦隊攻略のためには避けられない戦い。
「今ここにいる猟兵が成し遂げなければなりません」
 排除のために全力を、と呟く声は真剣だ。

 味方は精鋭揃いであった。それであれば、とデナイルは判断する。
 味方の阻害をする可能性の高い物量召喚は得策ではない。
 自らの能力と保有する攻撃手段を考えると接近も非推奨。

「援護します」
 ゆえに、デナイルは自身に光学迷彩を施し、ホルスターからスマートガンを抜き撃し援護射撃をし、同時に猟兵たちに声をかけている。
 味方へのサポート。それが彼の戦いなのだ。

●星芒乱舞
 眼前の敵を突破すれば、コアルームだ。フロントフェンダーに砲撃で散らされた床の破片が衝突して硬い音を響かせる。スプロケットが高速で廻転している。
 マットブラックの宇宙バイク、ヘール・ポップは幾多の戦場を共にしたステラの愛馬だ。
 宇宙バイクのステラはその速度で敵を翻弄する。大胆に敵の傍へと走り寄り、一瞬で離脱し、注意を引く。
(「攻撃は最大の防御だ」)
 可能ならば攻撃を、と機を窺ってはいるが攻撃するほどの余裕はなかなか得られない。
 ぎり、と奥歯を噛み。と、その目に飛び込んできたのは反対側を奔る宇宙バイク。翠蘭だ。翠蘭が同様に敵の砲撃を引き付けながら、手を振る。ステラは手を振り返す。
 2人とも、いずれは技を叩きこもうと狙っていた。それが言わなくても互いにわかっていた。瞳には同じ色が宿っていたから。

 敵の注意が引き付けられている隙に、と動く者は複数いた。

「さぁ、行くぞNoChaser! 変身!」
 トルメンタは愛車であり、自身の装甲でもある相棒に勇ましく声をかける。

『MaximumEngine――Mode:HotHatch』
 変身用ベルトが機械音声を発すると、変身ベルトの力でトルメンタは宇宙バイクを装甲として全身に装着し、戦闘形態へと変身した。厚い装甲は防御を重視している。
「全力で行くぞ!」
 トルメンタはクラウチングスタートの体勢を取り、OverDriveを始動する。ブースターにエネルギー充填し。
『OverDrive――ShootingStar』
 チャージを解放し、最高速度で疾駆する。物理法則を無視した軌道で突撃し、勢いのままに跳ぶ。脚が槍の如く敵の胸部装甲へと突き刺さる。猛烈な勢いをつけた飛び蹴りに敵がぐらりとバランスを崩し、コアマシンルームに繋がる扉へと機体を着け。胸部装甲に亀裂が入る。
 そのまま扉を破りコアマシンルームに押し込んでしまおうか、と思ったが、
「!」
 砲口が自身に向けられている事に気付き、トルメンタは急いで身を捩る。恐るべき殺傷力の砲撃が身をかすめて壁を抉った。
 トルメンタの脳裏に過去の事故がよぎる。彼女は過去に交戦中の被弾がもとで四肢を喪失し、失った部位を機械化した経験があるのだ。
「――ッ!」
 アームが振るわれて追撃の砲弾が集中する。トリテレイアの盾が大きな壁となり射線を塞ぎ、全てを受け止める。集中砲火に盾の表面に亀裂が走る。

「――帝国の守護兵!」
 姿を隠していた仄々が魔法剣を手に敵へと躍りかかる。
 その瞳に映るのは、過去と現在が戦う戦場であった。そして思うのは、世界の歩んできた道、歴史。
「銀河帝国は、過去に滅びたんです」
 赤きウォーマシンは只機械的に淡々とセンサーの緑光を煌めかせている。
「過去は、過去を生き、滅びて、……それを受け継ぐものがいて、」
 仄々は残像分身し一息に懐へと飛び込む。
「そして、今があるんです!」
 『今』を侵食しようとする『過去』を祓うことは、今に繋がる過去の肯定。だから、と仄々は赤々とした炎を纏いし魔法剣カッツェンナーゲルで刺突を打つ。
「私たちは負けません。未来へと進んで行きます」
 突き立てた魔法剣はトルメンタの突撃が生んだ亀裂を大きくし、パキパキと装甲を割り刃を進め。
(「硬い」)
 思うのはそれだった。
「負けるもんかっ」
 声がした。仄々の視線の先に走るあやの姿がある。敵のアームが迎撃しようと狙うのを見て仄々はアームへ体当たりをして軌道を変えた。
 あやはレガリアスシューズをフル稼働させ、グッと黒のグローブを握る。
(「あたしの燃えるような思いと感情、この拳に宿れ!」)
 味方2人が攻撃を叩きこんだ亀裂へと3度めの痛撃を加える。

 同時に攻撃を仕掛けていたのはルーナだ。
 少女の振舞いからは感情が窺えない。どこか己を抑制するかのような瞳はしかし、戦う理由をはっきりと持っているがゆえに強い意志を湛えている。
 ルーナはふっと前傾体勢になり急速に敵との距離を詰める。敵の砲撃には一切怯まずに猛進する頭には只、最速最短の意識があった。一撃が肩を掠め、衝撃に体が揺れるが前傾を保ち、足が床を蹴る。脚は前へと走り続ける。激痛に動きが鈍ることもない。孤狼の疾駆は命を燃やし青炎を纏いながら宵闇を切り裂く彗星となる。
(「あの装甲が壊せれば……あるいは装甲が砕けたところに一撃入れられれば、勝ちの目を作り出せるはず」)
「ぶち抜く」
 金の瞳が煌めく。血に塗れながらの一撃は全く己が身の安全を顧みぬ捨て身の猛撃にして命を燃やす覚悟を伴った全身全霊の力が篭められていた。
 4撃を受け敵の胸部装甲が完全に破損し、割れた装甲の隙間から内部構造を晒していた。
「フム。コアは視えないか」
 敵にも動力核となるものがあるだろう、あるならば胸部が最も可能性が高いのでは……と真が目を眇めながら氷弾を放った。氷弾は凄まじい冷気を纏い敵の脚部を凍らせる。

「一気に畳みかけて……」
 仲間たちが攻めようとした時だった。
 赤きウォーマシンは自身を護るかのように頭部の砲門を全開にして弾幕を張った。厚い弾幕を張りつつ緑のセンサー光が禍々しい赤へと変色する。

Beeeeeeeee!
Beeeeeeeeeee!
Beeeeeeeeeeeeee!

 電子音が響いた。鳴る音に紛れるように機械的な音声が耳に届く。

 『悉く』

 『一切 ヲ 殺戮 スル……』

 音が止んだ。

 細かな破片がパラパラと床に落ちていく中を、ギギ、ギ、と赤きウォーマシンが駆動する。その動きが一度止まり。一瞬後、風を切り右のアームをギュンと振るう。
「後ろへ回避してください!」
 デナイルの声がする。あやとルーナは頷くと距離を取る。虚空を何かが通り過ぎた。
「フォースブレイド!」
 赤き機体が右のアームに携えた青白い光のブレイドを揮う。そして次の瞬間ブレイドの青白い光が矢のように型を変え。

 『絶望ノ星』

 ギギギ、キィィッィィィ、
 軋むような音と共に機械音が響く。

 光は頭上を降り注ぐ雨となり、

 『無明ノ霧ヲ彷徨い暁天を目指サんトスル憐レなル者に永遠ノ夜を告げ給エ』

 仲間たちがハッとする。
 それは、模倣されたユーベルコード。

「いけない!」
 トリテレイアが大盾を構える。
「射程にいる方は盾の後ろへ!」
 猟兵の技を模した破壊の光が大盾へと吸い込まれる。光を受け止めバキ、と音がして盾が割れる。勢いを削がれつつ光は盾を構えていた白きウォーマシンの胸部に大きな亀裂を入れつつ消えた。
「常日頃は頼もしき味方の技も自らが受けるとなると」
「なるほど、英雄殺しは伊達ではないらしい」

 任せろ、と宇宙バイクの2人が速度を増し敵を引く。負傷している者、疲労の激しい者へとデナイルはクリムゾンバーストの射程外で一箇所に集まり動きを止めるようにと告げた。
「おそらく今、敵は速く動く者のみを攻撃する状態のはずです」
 息を整える味方の前に、流弾を処理するための味方が集まる。
「隙を見て確実に削りましょう」
 仲間たちは息を整えながら頷いた。

 セシルが優しく柔らかに歌声を重ねた。祈るように。励ますように。
 歌声が仲間たちを奮い立たせる。

「大丈夫、なんとか、……なるよ!」
(「なんとか、してみせる!」)
 力を溜めていたオルハが敵の攻撃の隙を突き懐へと接近していた。手にはウェイカトリアイナを携え。
 素早く接近するオルハへと敵の砲撃が一部浴びせられるが、オルハは体を低く沈め、床に片手を付きくるりと廻転しながら跳んだ。宙でもう一度廻り勢いを活かしてウェイカトリアイナを繰り出せば敵の上部に聳えていた砲台の一部が貫かれ破損する。撃ち出そうとしていた砲弾が小爆発を起こし、敵がぐらりと揺れる。揺れながらも反撃しようとすれば返す斬撃が押し寄せる砲弾全てを薙ぎ払おうとし――、一瞬の判断で身を捩り、床を転がって避ける道を選んだ。
 砲撃が大きく床を抉り小爆発を起こす。

 一方、宇宙バイクの2人同様に敵の攻撃を引くために動いていたハルマは意外に思いながら床を蹴り走っていた。脚に力を入れ勢いをつけ、ひと蹴りごとに速度を増した。飛んできた砲撃は。
「見える!」
 ハルマは口に弧を描く。
(「こいつの砲撃軌道、思ってたよりもめちゃくちゃ避けやすい!」)
 ラスベルトは後方から敵味方の動きを観察する。戦いには相性というものがある。そして、再びユーベルコードを発動させる。同じ技であればもう真似されることもない、と。
「敵は確かに強いが、こちらは協力して不足を補い合うことができるのでね」
 ラスベルトは仲間のために高速で詠唱する。瞑捜の御手は一握の神秘の欠片を手繰り寄せる。

「いと高き望みの星、希望の導き手たる明星の輝きを此処に齎さん」

 トネリコのワンドを敵へと向ければ緑柱石のエルフの夢が光を集める。エゼルオールにて放つのは穢れなき明星の光だ。

「無明の霧を彷徨い常闇深く堕ちし憐れなる者に魂の夜明けを告げ給え」

 晨明一条。
 光は流星の如く奔る。狙うは青白のブレイドを携えた敵のアームであった。敵は理性を失い、砲撃を味方に向け続けていた。その隙間を縫うように走る一条の光はアームを灼き切り、落とした。ブレイドがカランと床に転がり光を失う。

「相打ち覚悟で最強の手札をぶつけてくれる」
 ユーリは竜騎士の槍へと視線を向けた。仔竜ファフニールが変身した槍だ。
「行けるな? ファフニール!」
 力強く名を呼べば暴れ者のファフニールが一瞬仄かに赤の光を放ち、使い手へとその意気を伝えた。
(「部位を狙うのは有効だな」)
 敵は一切殺戮モードに移行しているのだろう、とユーリは考える。
 味方がブレイドを落としていたのを見たユーリは床を爆ぜんばかりに蹴り上げて敵に迫りつつ敵を観察する。外装の隙間、瞳に値する部位、頭の付け根。アタリをつけ、大きく跳躍した。身近を奔る機敏な動きに砲門が一部釣られ。
 アレキサンドライトの耳飾りが揺れる。赤い瞳が炎のように燃え立つ。
「吹き飛べッ!!」
 勢いを乗せ重力と共に赤の光を放つセンサー目掛けて炎を纏わせた槍を叩きこむ。
「!」
 頭部の砲口が彼を狙っていた。
 ひやりと背を悪寒が走る。が、
「させません!」
 トリテレイアが脚部スラスターを噴かせて滑るように接近し、大剣を砲身に打ち込み、軌道をずらす。
「必ず当てる! 外してなるものか!」
 味方に感謝しつつユーリが槍を繰り出せば逸れた砲撃が身を掠めて血花を咲かす。だが、槍先は確かに届いた。
 煙を吐きパチパチとショートして敵の赤光が途絶する。
「流石に手強いな……」
 距離を取りつつも汗を拭う。しかし、敵も徐々に装甲を剥がされ、損耗している。

「帝国の赤き同胞よ」
 トリテレイア・ゼロナインも攻勢に出ている味方に感謝しながらユーベルコードを発動させる。
「早く動く物を無差別攻撃してしまうのは欠陥ですよ。
 今のように複数敵を相手取る際は特に。実演して差し上げましょうか」
 素早い仲間を狙っている敵へとトリテレイアは腰装甲からの隠し腕で敵へと特殊電流を放つ。電流は敵の全身を駆け巡り、一瞬動きを止める。
 ハルピュイアも肩で息をしながら同様にユーベルコードを発動させた。
「範囲内しか攻撃ができない……、理性的な判断ができない……、たった1度しかダメ……」
 ハルピュイアがユーベルコードを発動させる。Lost memoryの名をもつユーベルコードは会いたい人や恐怖の記憶を出現させるものであったが、赤きウォーマシンは記憶データを混乱させた様子でしばし動きを止めた。

「今だ」

 しばしの隙を逃さず、全ての猟兵が行動していた。

 ステラは一気に接近する。フルフェイスヘルメットの下で機械の瞳が紫水晶の如く煌めき、一瞬で狙うべき部位を選別する。接近しながらステラは恒星ミルファクの名を持つ刀の鯉口を切る。速度のままに振るう刀は神速の一撃。刀剣の一閃が左のアームの関節部位へとざくりと入り、斬り落とす。重い音と共に砲身が床に落ちる。
 追撃をする余裕はなかった。すぐに敵が動きを取り戻し全方位に砲撃を再開するだろう、と判断し距離を取る。この局面においてもステラは決して欲張らず切り取れる部分だけ切り取る冷静さを保っていた。
 翠蘭もまた疾走の快さに頬を薔薇に染め、敵へと迫る。昂り。

「さて――私に甘露の蜜より、美味の快楽を」

 自らが得た快感を捧げることで妖しく蠢く触手の群れを呼び寄せる。触手はぬるりとした甘い香りを漂わす粘液を滴らせながら敵に抱きつくように絡み付き、味方が破損させた敵の装甲の隙間へと潜り込む。先端で内部の細ケーブルをなぞり、蹂躙する。翠蘭の捧げた快感を刺激として送り込めば全身を侵食し誤作動を引き起こすウイルスとなった。

 デナイルは隙を見逃さない。スマートガンを放ち、割れた装甲の隙間から電子回路を撃ち抜いた。蠢く触手も一部巻き込んだが問題ないだろう。
「駆動系を直接破壊していこう」
 ハルマは言いながら軽やかに砲撃を避け手裏剣を投擲し、敵の砲身を定める細アームの関節部位を一部破壊した。方向の定まらなくなった砲身がそれでも砲撃を吐こうとし。
「させねーよ!」
 ハルマが雷を纏わせた魔導蒸気式旋棍で砲身を叩き落すと砲撃が至近の床に跳び、跳ねた衝撃で敵の下部装甲が割れ、カラリと音を立てて床に落ちる。

(「義挙の為、馳せ参じる志のなんと壮なる事か」)
 味方の戦いぶりに頼もしげな目をしつつ一振りの刃鉄と化し疾駆するは景正。
 竜胆紋が手の甲に浮かび上がる。身の内に奮い立つ力。鞍馬一族の証であった。八幡腕が峻烈な霊気を放ち、卓越した技量と刀そのものの如き鋭い闘気が剛健なる武州康重に尋常ならざる強度と破壊力を持たせている。
 鞍馬の名にかけて揮う渾身の一太刀は間合、呼吸、刃筋──すべてを基本のまま振るう初歩にして奥義。
 嘗て鎧武者の兜から乗馬の鞍まで断ちし剣は、如何なる装甲も切り抜くのみ。剛健な刀は滑らかな断面を切り出して敵の右アームを一本落とした。砲身ごとゴトリ、と床に落ちた。攻勢により徐々に切崩され、床に幾つも転がる破片や敵の武装。それは連携により少しずつ戦局が猟兵に傾いていく象徴的な絵であった。
 
「なんとか押し込めそうかな?」
 アドニードはご機嫌な子猫のように炎の術を展開する。背では白の翼がぴょこりと揺れた。セシルと一緒に戦えるのが嬉しくて仕方ないのだ。
「あしきゆめ、いくたびみても、みにおわじー」
 ふわふわと詠唱すれば壮観なる炎の矢がずらりと宙に並ぶ。合わせてセシルも狐火を呼び出した。青白い火柱を壁のように走らせ、敵の行動を制限していく。
「アド、同時に攻めよう」
 春の草原のような瞳で視線をやれば、受け止め頷く瞳は夏の煌めく緑葉にも似て瑞々しい。
「うん、セシルくん♪」
 上から降り注ぐ炎の矢と壁のように走る火柱が敵を追い詰める。
「燃えて、尽きろ」
 セシルが大きな狐火を叩きこむ。

「空隙拡散」
 炎が包み込む敵へと真は迫る。

 赤きデストロイウォーマシンの機体が燃えている。真は此処に至るまでの戦いを思い出していた。同胞を守り、船を守り、工作員を叩き、隔壁を壊し。
 スペースノイドの戦いは果てなき戦いに思えたものだった。だが、今はどうだろう? 真は前を見る。敵の後ろにはコアマシンルームがある。帝国軍の最終防衛ライン。戦場はそこまで達し。

「銀河帝国を滅ぼす、なんて」

 ふ、と口の端をつりあげた。戦い、戦い、戦い抜いて、それが現実味を帯びる場所まで来た。それは長く遠い道のりであった。
 やるしか、あるまい。

 真は氷弾を敵へと叩きこむ。狙うのは破損した胸部の隙間、仲間が決死の攻撃を重ねて作った隙間だ。炎を掻き消し、氷漬け。急激な温度差は誤作動を誘う。パリパリと音を立て、絶対零度の爆轟を放つ。
「終わらせましょう」
 敵の警戒半径の外側にいたデナイルも隙を見逃さない。スマートガンを放ち、装甲の隙間から電子回路を撃ち抜いた。

「かつてウォーマシンに挑んだ英雄たちよ……今一度、力を貸してください。
 理不尽を屠る力、我が手に!!」
 ソラスティベルがサンダラーの名に相応しい轟音と共に巨大斧を叩きつけた。
 パキリ、と残っていた胸部装甲が完全に割れ。中身の全てが顕わとなる。
「見えた!」
 敵のコアがあった。
「ファフニール!」
 ユーリの声に応え、先刻槍撃を入れた部位に竜が牙を剥き噛み切った。
 味方にあわせて肉薄した景正がトドメとばかりに武州康重を胸部の隙間に差し入れ、内部のコアを完全に砕いた。

「皇帝の元に辿り着くまで我らは止まらん。決してな」

 骸の海へ還るのみとなった敵の残骸へとトリテレイアは目礼する。
 彼は起動時に記憶データを喪失していた。残っていたのは守護の花言葉を秘めた名前と09の名、そして子どもが夢見る騎士物語群だった。
 騎士の如き振舞いを志す白きウォーマシンは味方を護り割れてしまった大盾を持ち、儀礼用の長剣を携え。
 もはや動かぬ鉄塊となった同胞へとトリテレイアがセンサーを向け、ぽつりと言葉を投げかけた。
「理性を捨ててただの一塊の鉄刃となる……だから負けたのです、我が兄弟」
 白きウォーマシンの緑色のセンサーは無機質で、けれど温かい。
 その姿を見てオルハはいつか自分が言った言葉を思い出す。

 人は同じようには育たないの。
 びっくりするほど個性がバラバラでね、一度散ったらその個性はもうどこにも咲かない。
 ただ、散るだけ。

 周囲には、個性豊かな仲間たちがいた。
 彼らはお互いのことを深く知らない。
 彼らは、偶然この場に集まった一度きりの即席チームだった。
 ひとりひとりの代わりがいない、失われればそれきりの、たったひとりの存在だった。

●覚悟
 猟兵たちはコアマシンルームの扉の前に集まっていた。
 邪魔をする敵は、もういない。
「皆、きいてくれ」
 ハルマが猟兵たちに言う。
「このマシンルームの中にオロチウイルスが充満している」
 隣でデナイルが頷く。
「内部での活動は数秒が限界でしょう。
 ウイルスはウォーマシンやバーチャルキャラクターにも効果を及ぼします」
「それで、俺は向こうのマシンにも効くと思って中に押し込もうとしたんですが」
 トルメンタがスポーツサングラスの奥の瞳で仲間たちを見た。

(「フォックスファイアで罹患防止できればいいんだけど」)
 セシルがちらりと見る。視線の先にはアドニードが傷ついた仲間たちへと癒しの力を振舞い、自身は疲労して肩で息をしている。

 進み出たのはオルハだ。真っ直ぐに前を見るその瞳は朝露の輝く若葉にも似て。
「たった数秒、チャンスはほんの一度だけ。
 辛い状況だね……、
 でもオロチウイルスなんてシロモノがある以上、どうしようもないんだ。なんとかしてみせるよ。
 私達みんなでね!」

 真が頷く。
 その赤茶色の瞳は宇宙を流離うこの世界の民が夢見る地上の土の色だ。
「やるしかあるまい? ヤツを瓦礫の塊に変えてみせよう」

「ここに誓うは不退転の意思、勇者とは誰より前に立つ者! これがわたしの勇者理論!!」
 勇ましく言うのはソラスティベルだ。煌めく夏の青空のような笑顔を浮かべ。

「どっかーーん! と一発大きいのぶつけて……未来への道、開いて見せるっ!」
 あたしだって! と、あやも強きな笑顔を浮かべて言った。

 翠蘭も艶やかに微笑む。遊戯に誘うかのように悪戯めいて。
「数秒しか動けないなら、渾身の一撃……最高のものを、派手に御見舞してしまいましょう?」

 ステラが静かに頷いた。
「……ならば、その1度に全身全霊をかけよう」

 ルーナも呟く。
「一発に全てを賭けるのなら……私向きね」
 周りを見れば、命を燃やす覚悟は決めてある、と全員の瞳が言っていた。

 景正が研ぎ澄まされた刃のような気を纏う。
「須臾にして一撃。
 成る程、しかし私にはそれで十分」

 ラスベルトも頷く。彼は元々星界に不慣れな森人であった。機械の終了方法に頭を悩ませた事もあった。宇宙服を着た時は窮屈だと思ったものだ。
 彼の故郷は過去、滅びていた。この宇宙世界もまた、滅びに瀕しているという。
「成し遂げてみせよう。そのために僕はここにいるんだ」

「わたしも最後まで。……そのために。サポートをしに、きたのです」
 ハルピュイアが言う。それは、この戦場に到着した時と変わらず。
「ああ! 頼りにしているよ!」
 ユーリが太陽のように笑顔を浮かべた。手には頼もしきファフニールが共に在る。彼は世間知らずであったが、人間の温かさと強さをよく知っていた。

「この世界を暮らす人々の安寧のために」
 トリテレイアが剣を掲げる。

 仄々はそんな仲間たちの背中を見て、言う。
「未来へと進んでいくこの宇宙を、私たちの手で守りましょう」

●『渾身の』
 コアマシンルームに踏み込むと途端にぞわりとした悪寒が身を苛む。息苦しさ。強い虚脱感。頭痛。吐き気。

「オロチウイルス……!」
 数人が苦しげに呻く。頭を抑える者、がくりと膝を付き、それでもと身を起こす者。皆が体を蝕まれ急激に体力を奪われていた。
 けれど、目の前にはコアがある。そして、同様に苦しみながらもコアを破壊せんとする仲間が周りにいた。

「全員で! 一撃を……!」
 もはや誰が言ったのかもわからない。だが、仲間の声がする。
 彼らは前を見た。

 エンペラーズマインド・コア。

 帝国大要塞『エンペラーズマインド』の防御装甲と対艦武装を修復し続けている防衛の要だ。彼らはこのコアを破壊するために作戦に身を投じた精鋭たちだった。彼らには人々のために身を危険に晒す覚悟があった。彼らには銀河帝国を打倒する強い意思があった。そして彼らには、志を共にする仲間がいた。

 全員が力を振り絞る。
 コアへ叩きこむのは最初で最後の一撃。全力の一撃だ。

 オルハは全身に風を纏いウェイカトリアイナの一撃を捨て身の構えで繰り出す。
「後に続いてくれるみんなの攻撃を活かせるように!」

「あとはお願い……」
 ロストメモリーを撃ち込み退避しながらハルピュイアが青い顔で仲間へ後を託す。

「窮鼠猫を噛む……とは言いますが、本気になった獲物と言うのは、恐ろしく驚異になること、ご存知?」
 翠蘭がウイルスに耐えながら淫蕩の触手を放つ。
「時間ですわね……それではまた、お会いしましょう?」

「いっくよーー!!」
 あやが肩で息をしながら、想いの乗った重い一撃を叩きこんだ。

「私たちは負けません。未来へと進んで行きます」
 ねこのほしの飾りがついた帽子を揺らし、仄々は再度言う。
 そして、渾身の魔法剣を叩きこむ。

「1度に全身全霊をかけよう」
 ステラがミルファクを全力で鞘走らせた。その閃きは流れる星の如く。
(「私は星になりたい。人々の希望の星に」)
 想うのはそれだった。

「鞍馬の名にかけて、渾身の一太刀を馳走しましょう」
 景正が武州康重に渾身を籠め、斬りつける。仲間が共に一撃を叩きこんでいる。
(「ひとりの刃で足りなくとも、皆の刃が合わされば必ずその身を沈めてくれよう」)
 それは確信だった。

「……なるほど、コレはキツいな。でも、一発くらいなら……!」
 彼は先の戦いにて思ったのだった。守ろうとして戦い、死んでしまった者がいて。だから、守らないと、と思ったのだった。
 はあ、と息を吐きながらハルマは破壊に特化した巨大大砲を召喚し、一撃を放った。

「量より質なんて趣味ではないのですが……今回は例外としましょう」
 ウイルスを限界まで耐えながらデナイルもスマートガンを構える。援護射撃で装填された弾丸を撃ち尽くした後だったが、すっと目を細めてとっておきのラスト・ワン・ショットを撃った。

 ウイルスに苦しみながらもトルメンタは自身のコアマシンの出力を最大にする。胸部からは鮮烈なビームが迸る。
「グリッタァァァ、ビィィィィム!!!」

「私の全力を叩き込む……!」
 ルーナが荒い息の下で最後の力を振り絞り、青の炎を燃やす。文字通り命を燃やす疾駆は宵闇を切り裂く彗星となり、全身全霊の一撃を撃つ。

「鋼のこの身、災禍を砕く剣とならん」
 トリテレイアもウイルスに汚染されエラーの止まらないボディを辛うじて制御しながら超高温化学燃焼弾頭を乱射する。

 真はウイルスにより急速に脱力する体を奮い起こす。名を変え、鎧装に腕を通し戦争に身を投じた日からの誓いがあった。立ち向かうという誓いだ。
「砕け散るがイイ」
 万感が篭る。真は氷弾を放った。

 セシルが炎に身を包み、全力の狐火を叩きこむ。
「全力だ!」
 寄り添うアドニードも100本の炎の矢を全力で撃ちこんだ。
「必神火帝、万魔拱服!」

 ウイルスに苛まれながらもラスベルトは残る全魔力を両手に託す。月桂樹の精が化した弦無き大弓、弓張月を握る右手と明星の矢をつがえる左手は震え、しかし意思を振り絞り渾身の力で光の弦を引き絞る。
「上古の王、偉大なる父祖よ。照覧あれ――我が至大なる一矢を」

「燃やし尽くせ!」
 玉のような汗を拭うこともなくユーリが炎の竜槍を叩きこみ、ファフニールが声に応え、追撃をする。

 ソラスティベルは天空斧に全力を籠め。
「足りぬなら、全力の勇気で補いますッ!」
 叫ぶ。
「此処こそが、戦渦の最前線! 我らの勇気は貴方を砕く!
 最後に勝つのは、勇気ある者ですッ!!」
 仲間と共に、渾身の刃を振り下ろした。

 コアマシンルームに個性豊かな彩の光が一斉に迸る。
 全員の一撃を受け、エンペラーズマインド・コアが砕け散った。
 彼らの作戦は、成功したのだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年02月12日


挿絵イラスト