2
アポカリプス・ランページ⑱〜必要な選択

#アポカリプスヘル #アポカリプス・ランページ #フィールド・オブ・ナイン #ポーシュボス・フェノメノン #アポカリプス・ランページ⑱

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#アポカリプスヘル
🔒
#アポカリプス・ランページ
🔒
#フィールド・オブ・ナイン
🔒
#ポーシュボス・フェノメノン
🔒
#アポカリプス・ランページ⑱


0




●願い
 フロリダ州北西部の都市、タラハシー。総面積は、268.1平方キロメートル。
 その都市をすっぽりと覆ってしまうほどの、超巨大オブリビオン・ストームが、ここには存在していた。
 中に蠢いているのは……無数の、『ポーシュボス・フェノメノン』。
 九つの眼と、うねうねと蠕動する触手を持つ、おぞましき邪神の一柱が――何体も、何体も。
 それらは、口々に言葉を発する。

「俺を殺シてクれ。誰カ」
「お願イ。オ願いシまスかラ……私ヲ楽にシて……」
「うアあアぁアあァあ」
「あアぁ、ウあアあァ」

「「コろシて」」

●グリモアベース
「おそらく、人間や賢い動物が変異させられたのでしょうが……殺して差し上げる他、救う手立てはありません」
 アウグスト・アルトナー(悠久家族・f23918)は目を伏せたまま、けれどはっきりと言い切った。
 それから彼は、ふ、と目を開く。
「邪神ポーシュボスは、『フィールド・オブ・ナイン』の一体のはずですが……今からぼくが皆さんを転送する先には、無数のポーシュボスがいます。……全てがポーシュボス、ということなのかもしれません。殺して欲しいと言いながらも、全力で攻撃してくることでしょう。どうか、気を引き締めてあたってください。……加えて、申し上げねばならないことが、まだあります」
 彼が語るには。
 ポーシュボスは、生命の『善の心』に寄生するのだという。
「少しでも善の心を持つ生物ならば、寄生されてしまうでしょう。『純粋な悪の存在』でもなければ、寄生されずにポーシュボスを倒すことは不可能です。そうでなければ、ポーシュボスに寄生されながらも、正気を手放さずに戦う他ありません」
 アウグストは言い換える。
「悪になるか、寄生されるか。そのどちらかを選んで、戦ってください」
 彼はロザリオを握って十字を切り、祈りを捧げてから、羽根型のグリモアを手のひらの上に浮かばせた。
「――ご武運を」
 グリモアが光を発し、猟兵たちを戦場へと送り出す。


地斬理々亜
 地斬です。
 よろしくお願いします。

●プレイングボーナス
『『邪悪ナる者』になるorポーシュボス化してでも戦う』です。
 これに基づく行動をすると、有利になります。

●プレイングについて
 採用人数は控えめの予定です。早めの完結を目指します。
(オーバーロードしていただいても、必ず採用できるとは限りません。よろしくお願いします)
 採用は先着順ではありません。システム上、プレイング送信が可能な間は、いつでもお送りください。

 それでは、ご健闘をお祈りします。
50




第1章 集団戦 『ポーシュボス・フェノメノン』

POW   :    ポーシュボス・インクリーズ・フェノメノン
【ポーシュボスによる突撃】が命中した対象に対し、高威力高命中の【新たなポーシュボス】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    ポーシュボス・ナインアイズ・フェノメノン
自身の【全身の瞳】が輝く間、【戦場全てのポーシュボス・フェノメノン】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
WIZ   :    ポーシュボス・デスストーム・フェノメノン
【オブリビオン・ストームの回転】によって【新たなポーシュボス】を発生させ、自身からレベルm半径内の味方全員の負傷を回復し、再行動させる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

霑国・永一
●『邪悪ナる者』になる(※尚、自身は自称普通なものの、元々生粋の悪です)

おや、わらわらとまぁ。こんな狂気があるとはアポカリプスヘルも捨てたもんじゃあない。
殺して? 楽にして? うーん、そうだなぁ。
よぅし、それじゃあ君たち同士で殺し合って生き残ったやつだけ一番楽に殺してあげよう。そーぅれ!(狂気の爆弾をポーシュボスが居る方へ次々投げてまわる)
あっはっは、いいぞぅ、その調子その調子。触手が多いから攻撃回数も凄まじくて見応えあるなぁ。あっ、千切れた。
おや、苦しそうな声でまだ懇願してるねぇ。エンターテインメント性があって素晴らしい。

お、近くにはあと2体か。決勝戦だねぇ。
じゃ、両成敗射殺!俺が優勝さぁ!



●狂宴
「おや、わらわらとまぁ」
 霑国・永一(盗みの名SAN値・f01542)は、ポーシュボスの群れを見て笑う。
「こんな狂気があるとは、アポカリプスヘルも捨てたもんじゃあない」
 永一の笑みが、深まった。
「お願イ、殺しテ」
「僕ヲ楽にシてヨ」
「うん? ……うーん、そうだなぁ」
 ポーシュボスたちの声に、永一は腕組みし、考えるふり。
 どうするかは、もう決まっている。だが、永一はわざと焦らすことで、ポーシュボス化した人々の心を弄ぶ。
 『普通』を自称する、生粋の悪。ポーシュボスが寄生できる善心は、どこにもない。
「よぅし、それじゃあ君たち同士で殺し合って生き残ったやつだけ一番楽に殺してあげよう。そーぅれ!」
 永一が爆弾をポーシュボスの群れへと放り投げる。次から次へと投擲されたその爆弾は、『盗み狂う狂気の爆弾』である。理性と判断力を盗み、同士討ちを引き起こす毒の爆弾だ。
 連続で爆発が起き、毒が振り撒かれる。その毒を受けたポーシュボスの一体が、触手を別のポーシュボスの頭部へと振るい、砕いた。さらに別のポーシュボスが、全身の瞳を輝かせながら、触手を振り回す。
「あっはっは、いいぞぅ。その調子その調子」
 元々、触手の数の多いポーシュボスだ。その攻撃回数が9倍になり、怒濤のごとき連続攻撃を味方同士で行っている。永一はそれを安全圏から眺めていた。
「見応えあるなぁ。あっ」
 ぶちりと触手の一本が千切れ、地面でびちびちと跳ねる。
「もウ嫌……助けテ……」
「おや」
 苦しげな声でのポーシュボスの懇願を聞いた永一の心には、同情も憐憫も生まれない。
「エンターテインメント性があって、素晴らしい」
 ただ、楽しいだけだ。永一が純粋な邪悪であるがゆえに。
「お」
 永一の近辺にいたポーシュボスの群れは、すっかり数を減らし、残りは2体。
「決勝戦だねぇ」
 生き残りは楽に殺す。……そんな口約束もあったが。
「じゃ、俺が優勝さぁ!」
 永一の銃が光線を発し、2体のポーシュボスの胴体に風穴を空けた。
「あっはっはっは!」
 ポーシュボスの骸が無数に転がる中、永一はひとしきり、おかしそうに笑っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

マオ・ブロークン
……ポーシュボスを、取り込んで。戦うよ。
知りたいことがあるの。やつらが、どこから、来たのか。
邪神は……UDCアースと、この世界は。どう、関係して、いるのか。

オブリビオンストームに、飛び込めば。
心に、ずしりと、重い、感覚。
これが……寄生されてる、って、こと。なんだね。
正気を、噛み締めて……震えながら、群れに、立ち向かう。

沢山の、個体の。全身に、多くの、眼球。
四方から、見られる、恐怖が。心を、削って……
恐れと共に。あたしの、力も、高まっていく。
【二律背反する感情】……不思議、だよね。

回復は、させない。高まった、力で……ひとつずつ、一撃で、潰す。
怖い、怖いから、こそ。ぜんぶ、ここで、潰さないと!



●怖くとも
 マオ・ブロークン(涙の海に沈む・f24917)がオブリビオン・ストームに飛び込むと、彼女は自身の心に、ずしりと重い感覚を覚えた。
(「これが……寄生されてる、って、こと。なんだね」)
 マオの精神は、生前と同じ『ただの女の子』のままである。邪悪ではないがゆえに、寄生は発生した。
 いつも以上に、両目からは止めどなく涙がこぼれる。けれど、ここまでしてでも知りたいことが、マオにはあった。
 ――ポーシュボスは、どこから来たのか。
 その疑問をマオが思い浮かべたと同時に、あるイメージがマオの脳裏に浮かんだ。
「宇宙……?」
 遥か、星辰の彼方。
 そこからポーシュボスが来たというのが真実かどうかは現時点では不明だが、ポーシュボスに寄生されたマオはその時、確かに『宇宙』のイメージを抱いた。
 遠くに見える青い星は、アポカリプスヘルがある星だろうか。あるいは、あれはUDCアースなのか。そこまでは分からなかったが、これ以上このイメージに没入するのは危険だと、マオの本能が警鐘を鳴らした。
 まだ残っている正気を噛み締め、マオはポーシュボスの群れを見据えた。
 体が震えるが、それでもマオは邪神へと立ち向かう。
 沢山のポーシュボスの個体。そのそれぞれが、全身に多くの眼球を持っている。四方からマオを見下ろす、眼、眼、眼。
 見られる恐怖が、マオの心を削る。
 その恐怖は具現化し、目立つオーラとなってマオを覆う。マオがポーシュボスの無数の視線を集めるに従って、マオの力は高まっていく。
「……不思議、だよね」
 『二律背反する感情』を抱えて、マオは地面を蹴った。
 マオは腕を振るい、渾身の一撃をポーシュボスの一体に叩き込む。邪神はぐしゃりと潰れた。
「怖い。怖い、けれど。だから、こそ」
 いつにも増して舌がもつれるのは、おそらく恐怖のせいだろう。だが、
「ぜんぶ、ここで、潰さないと!」
 この存在を放置するのは、『もっと怖いこと』だ。それゆえに、マオは戦う。
 オブリビオン・ストームを回転させての回復など、させない。マオは一体ずつ、確実な一撃で邪神を潰してゆく――心がポーシュボスに侵食されてゆくのを感じながらも。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ニクロム・チタノ
アハハなるほど純粋な悪ですかまさに今のボクにぴったりですねぇアハハハ
醜い悪堕ちヘドロ怪人に成り果てた今のボクは猟兵のクズも同然反抗の加護も導きも無くしてしまいましたから
さあ邪神さまボクの姿を見てください
ヨダレを撒き散らして辺り一帯をヘドロの海に変えてあげましょう!猛毒と悪臭の漂うヘドロの中にズタズタに切り裂いて沈めてあげますよ
みんなで沈めば寂しくないでしょう?ヘドロの海でも住めばなかなかに住み心地もいいものですよアハハハハ



●悪に堕ちた者
「アハハ。なるほど、純粋な悪ですか。まさに、今のボクにぴったりですねぇ。アハハハ」
 ニクロム・チタノ(反抗を忘れた悪堕ちヘドロ・f32208)の、自虐的な乾いた笑いが響き渡る。
 青い肌の、悪臭を放つ何者か。それが、今のニクロムであった。
「醜い悪堕ちヘドロ怪人に成り果てた今のボクは、猟兵のクズも同然。反抗の加護も、導きも、無くしてしまいましたから」
 以前の、『反抗者』の少女であったニクロムを知る者が、今のニクロムを見たならば、ぎょっとするかもしれない。
「さあ、邪神さま。ボクの姿を見てください」
 ポーシュボスたちの無数の眼がニクロムに向けられる。
 寄生は起きない。それは、今のニクロムは『悪』であるということを示していた。
 悪に堕ちたことが、このような形で活きることになるとは、ニクロム本人も思っていなかっただろう。
「アハハ」
 ニクロムは虚ろに笑った。
 その口から、大量の唾液が溢れ出す。ヘドロ化の毒素を含むそれは、周囲に撒き散らされ、たちまちのうちに一帯をヘドロの海へと変えた。
 ユーベルコード、『ニクロムの成れ果て』だ。
 猛毒のヘドロの中での戦いは、今のニクロムにとってはホームゲームのようなものだ。
「ナんなンだ、こレは!」
「臭イ! 痛い! 助ケて!」
 一方、ポーシュボスたちは、突撃しようにも足場がないため、猛毒の海の中でもがいている。
 滑らかな動きでヘドロの海を進んだニクロムは、刀を振るう。ポーシュボスがずたずたに切り裂かれ、ヘドロの海へと沈んでいった。
「みんなで沈めば寂しくないでしょう?」
 沈んでゆくポーシュボスを、ニクロムが見下ろす。その瞳に、優しさの色はない。ニクロムはひたすら、他者をヘドロでいたぶる快楽に溺れている。
「ヘドロの海でも、住めばなかなかに住み心地がいいものですよ。アハハハハ」
 反抗者であったモノが、笑う。かつての彼女は、今はどこにもいない。
 それでもニクロムは、猟兵なのだ。
 『邪悪ナる者』にして、猟兵なのである。
「あリ得なイ……」
 ポーシュボスが呻く。
 ニクロムの刀が再び閃き、ポーシュボスの首が飛んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

藤・美雨
殺人鬼とは言うけれど殺す相手は選んじゃうからね
きっと寄生されてしまうだろう
お気に入りの身体がグロテスクに化けていくのは辛いな

でも折れてなるものか
私はデッドマン
身体はあとで修復できる
寄生された部分がしんどければ匕首で遠慮なく切り落とすし
それでも衝動が滾る限り私の身体は崩れない
狂気に侵される心も衝動で守り抜くよ

身体を削っていけばより陰の気配も漂わせられるかな
お前もこっちにおいで
その方がきっと楽だ
一足先にあの世で待ってて
陰の気配で弱らせた相手を【怪力】で引きちぎり殺していこう
相手が増えるより早く
ひたすらに

その間も精一杯ニコニコしていれば
陽の気配も振り撒けるかな
みんなで帰りたいからね
楽しくいこう!



●陰にして陽、死者にして生者
 戦場に立ち、ポーシュボスの群れと相対した途端、藤・美雨(健やか殭屍娘・f29345)の脇腹から、数本の太い触手が飛び出した。
「……ああ、やっぱり寄生されちゃったね。お気に入りの身体なのにな」
 美雨は殺人鬼だが、殺す相手を選ぶ。『純粋な邪悪』とは言いがたい、という自覚があった。その予想どおり、ポーシュボスの寄生は発生した。
「でも、折れてなるものか」
 服の袖から取り出したお気に入りの匕首を、逆手に握る。
 美雨はその刃を、ためらいなく自分の脇腹に突き立て、肉を深く抉った。
(「身体はあとで修復できる」)
 彼女がデッドマンであるがゆえに。
 たとえ肉体がバラバラになろうとも、復元が可能なのだ――魂に、激しい『衝動』が滾り続ける限り、美雨の身体は崩れない。
 ポーシュボスが美雨の心を狂気で侵食せんとしても、美雨を繋ぎ止めている『衝動』がそれを阻む。
 腿からも触手が生え、ただちに美雨はそれを切り落とす。片腕も触手と化し、美雨はそれも切り落とす。肩にポーシュボスと同じ眼が開き、美雨はそれを抉り取った。
 美雨の身体が、どんどん美雨自身の手によって削られていく。
 それでも、精一杯に美雨は笑っていた。みんなで帰りたい、そう願っているから。
 彼女は視線を、ポーシュボスの群れへと向ける。
「お前もこっちにおいで。その方がきっと楽だ」
 美雨が漂わせる陰の気配が、濃くなった。
「うゥ……あアぁァ!!」
 その死者としての気配にあてられたポーシュボスたちが、苦悶の声を上げる。
「一足先にあの世で待ってて」
 駆けてポーシュボスに接近した美雨は、まだ無事な方の手でポーシュボスの身体を掴み、ぶちぶちと引きちぎった。
 ポーシュボスがユーベルコードによって増えるよりも早く、美雨はポーシュボスを引きちぎってゆく――殺してゆく。
「楽しくいこう!」
 美雨はなおも笑う。生者としての陽の気配が振り撒かれ、美雨自身を癒やし続けた。

「あとは、お前だけだよ」
「あ……アあァ」
 やがて、最後に残ったポーシュボスの頭部を、美雨はつかんでいた。
「――あリ、がトう」
 ポーシュボスが言葉を漏らす。
 美雨は、笑った。
「うん。おやすみ」
 頭部をつかむ手に、力を込める。
 ――ぐしゃり。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年09月18日


挿絵イラスト