アポカリプス・ランページ⑱〜絡み合う善意
●
超巨大オブリビオンストーム内部。
奇怪な姿をしたポーシュボスが、同じ姿をしたポーシュボスや、自分自身に向けて、囁きあっている。
「こンにチは、ポーシュボスデす。
ポーシュボスは、善ノ心にヨっテ増殖すル」
「どウしテこンな目に」
「かツて私ハポーシュボスを止メよウとシまシた。デ――、
も、デきルはズがナい」
「そモそモ、怪物化現象の研究ナんカしナけバ」
「私ノ心は、イつカ誰かガポーシュボスを滅ボしテくレるト信じテ語り掛ケまス。恐れナいデくダさイ。善の心ハなクなリまセん。ソ――、
れハポーシュボスに必要ダ。善ノ心が重ナり、ポーシュボスニなル。止めルこトが出来キるノは『邪悪ナる者』」
「助けテ、こンな奴ト一緒にナんカ」
「マま、どウしタの?」
「ポーシュボスデす。ポーシュボスヲ倒す――、
こトはデきナい」
●
「新しいフィールド・オブ・ナインを攻略できるようになったわよ!」
戦争の資料をまき散らしつつ、フェアリーのグリモア傭兵ネミ・ミミーニーズ(f00595)が騒いでいる。
世界は、『アポカリプスヘル』。
かつてオブリビオン・ストームをもたらし文明社会を破壊した『フィールド・オブ・ナイン』が復活し。
アメリカを舞台とした大戦争、『アポカリプス・ランページ』が始まったのだった。
向かってもらう地点には巨大なオブリビオン・ストームが発生している。その中にフィールド・オブ・ナインの『ポーシュボス・フェノメノン』がいる。いや、正確に言うと。オブリビオン・ストーム内部を埋め尽くすように、大量の『ポーシュボス・フェノメノン』がいる。ポーシュボスは増殖する力を持っている。相手に寄生し、そして『ポーシュボス・フェノメノン』に変えてしまう。そうして増殖したのがこのポーシュボスの群れなのだ。
「少しでも『善の心』があれば、そこに寄生して相手を『ポーシュボス』に変えてどんどん増えていくってわけよ!」
そうして生まれたポーシュボスも新たなポーシュボスを創り出す。放置すれば、あれよあれよという間に世界はポーシュボスだらけになってしまうことだろう。
「相手の性質上、猟兵であってもまったく寄生されずに倒すのは難しいと思う」
相手の寄生に耐えつつ、少しでも数を減らす。そういった戦いを強いられることになるだろう。
「あとポーシュボス……、いや。犠牲者の人たちが話しかけてくるかもしれないけど……。いろんな人の意識が混ざり合ってまともに会話できるかどうかはわからないわ」
例え会話できても、既にポーシュボスになってしまった人々を助けることは出来ないだろうと付け加え。
「なんだかよくわかんない状況だけど、みんなよろしく頼むわね!」
ネミは、猟兵たちを戦場へと送り出した。
背腹かえる
プレイングボーナス……『邪悪ナる者』になるorポーシュボス化してでも戦う。
●このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「アポカリプス・ランページ」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
●ご挨拶
背腹かえるです。よろしくお願いします。
戦争シナリオ、集団戦フラグメント1つで完結。
相手は『ポーシュボス・フェノメノン』となります。
善の心が一切ない『邪悪ナる者』でない限り、猟兵であっても『ポーシュボス』に変えられてしまいます。
寄生されないようにするか、寄生されながら戦うという形になると思われます。
第1章 集団戦
『ポーシュボス・フェノメノン』
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POW : ポーシュボス・インクリーズ・フェノメノン
【ポーシュボスによる突撃】が命中した対象に対し、高威力高命中の【新たなポーシュボス】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD : ポーシュボス・ナインアイズ・フェノメノン
自身の【全身の瞳】が輝く間、【戦場全てのポーシュボス・フェノメノン】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
WIZ : ポーシュボス・デスストーム・フェノメノン
【オブリビオン・ストームの回転】によって【新たなポーシュボス】を発生させ、自身からレベルm半径内の味方全員の負傷を回復し、再行動させる。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
藤・美雨
心を弾ませるのは得意だけど、心を殺す術はない
寄生されちゃうだろうなぁ
やだなぁ
それでも頑張って戦うよ
寄生の影響で色んな感情が浮かんでは上がる
このまま自分が変異してしまう恐怖
凶悪なオブリビオンなら殺してやろうという闘志
変異してしまった人達への憐憫
その全てを機械の心臓を動かす糧に
相手が増殖するのもおかまいなしに突っ込むよ
魂の衝動が途切れなければ大丈夫
寄生された部分を電気で焼き飛ばしつつ立ち向かおう
相手が侵食してくるより早く、強く
想いと衝動を滾らせるよ
そのままやるのは肉弾戦
近づいた相手に片っ端から拳や蹴りをプレゼントだ
【怪力】には自信があるよ
なるべく苦しむことのないよう、全力でぶっ飛ばしてやるから!
オブリビオン・ストーム。この世界を破壊しつくした暗黒の竜巻。
「寄生されちゃうだろうなぁ」
藤・美雨(健やか殭屍娘・f29345)は自分を囲む多数のポーシュボスを見渡した。
寄生されてしまう。美雨がそう発言するのは、敵の能力が厄介であることを示してか、自らに善の心があることを示してか。
「やだなぁ。それでも頑張って戦うよ」
全てがポーシュボスである空間で、美雨の戦いが始まる。
寄生を警戒し、美雨は慎重に立ち回っていた。心を乱す声とも言えない声が四方から響き、触れれば一瞬で取り込まれるような不気味な腕を躱し、攻撃を叩き込む。
なんとかなるかと思われたその時。美雨の拳を受けたポーシュボスがオブリビオン・ストームの狭間に消え、変化が訪れた。
「だメでス。あナたノ心にハ……」
「飲み込ム、飲み込ム。あナたモ……」
消えゆくポーシュボスが不気味な声を上げ、暗黒の竜巻を加速させる。黒い濁流に様々な感情が絡み合い、美雨に襲い掛かる。
このまま自分が変異してしまう恐怖に、変異していることを自覚している恐怖。
凶悪なオブリビオンなら殺してやろうという闘志に、正義の心が飲み込まれる不安。
変異してしまった人達への憐憫、みんなが同じ場所にいる安堵。
自分のものも他人のものも、一瞬のうちに美雨の中に様々な感情が入り乱れる。その全てを機械の心臓を動かす糧にして、『ヴォルテックエンジン』に収束させる。
【機械仕掛けの心臓は笑う】。美雨の力だけではない電流の拳が、目の前のポーシュボスを殴りつける。魂の衝動が直撃したポーシュボスは、驚くほど簡単に消し飛んだ。
美雨は、拳を握る。寄生の影響は――。大丈夫、まだ自分の拳だ。
「なるべく苦しむことのないよう、全力でぶっ飛ばしてやるから!」
寄生と不安の合間で、美雨はその力を使い続ける――。
大成功
🔵🔵🔵
マオ・ブロークン
……善の心を、持たない、存在。で、ないと、取り憑かれる。
世界を守る、戦いの、場に、立っている、以上は。
善の心は、少なからず、あるもの。うん、わかってる、よ。
けれど。そうでない、ものに。心当たりは、あるの。
人としての、理性を、一切合切、捨てた、悪霊。あたしの、真の姿。
ゾンビ・ボディを、自ら、丸鋸で、断ち割って。
崩折れる、身体の、中から……悪霊が、湧き出して、くる。
触れることの、できない、感情と、エネルギーの、かたまり……
幽霊にして、怨霊。世界すべてを呪う、邪悪ナるもの。
世界を救おうなんて思わない。
ただ、お前たちが、世界に成り代わろうというのなら。
あたしという悪霊は、呪ってその生命を奪うだけだ。
「……善の心を、持たない、存在。で、ないと、取り憑かれる」
マオ・ブロークン(涙の海に沈む・f24917)は、敵の特性を復唱する。
「世界を守る、戦いの、場に、立っている、以上は。善の心は、少なからず、あるもの。うん、わかってる、よ」
わかるようでわからないような。世界は守るが正義感はない。邪悪ではあるが猟兵と共に巨悪と戦ってくれる。理屈の上では、問題も答えもシンプル。だが、矛盾した存在。
マオはその答えを持って、ここにやってきた。
マオは丸鋸を構える。
「けれど。そうでない、ものに。心当たりは、あるの」
おもむろに、その刃を自らの身体に突き立てる。
「人としての、理性を、一切合切、捨てた、悪霊。あたしの、真の姿」
マオの身体が、崩折れる。ユーベルコード【虚】の力で、自分の中から無理やり悪霊を噴出させる。
「触れることの、できない、感情と、エネルギーの、かたまり……幽霊にして、怨霊。世界すべてを呪う、邪悪ナるもの」
湧き出した悪霊が、ポーシュボスに襲い掛かる。
「あアあアあア……」
ポーシュボスは声にならない声を上げて震えている。悪霊たちの中にある善の心を探し、寄生しようと試みているのだろうか。そんなポーシュボスに、悪霊たちはただただ邪悪な呪いをぶつける。
「世界を救おうなんて思わない。ただ、お前たちが、世界に成り代わろうというのなら。あたしという悪霊は、呪ってその生命を奪うだけだ」
「邪悪ナる者……」
悪霊に憑りつかれたポーシュボスが、安堵とも言えるような小さなうめき声を漏らす。
ポーシュボスと悪霊、そしてマオ。様々な意識が時間と共に崩れてゆく――。
大成功
🔵🔵🔵
黒木・摩那
寄生されるうちにポーシュボス化されるとか、困った限りです。
ここは手堅く、寄生されるまでの時間を稼ぎつつ、ポーシュボスを片付けて、早々に離脱ですね。
手持ちの中で一番攻撃力があるのはキャバリアです。
なんといっても質量がありますから。
あとはとにかく【気合い】で乗り切ります。
キャバリア『エクアトゥール』に搭乗します。
キャバリア自身の質量をフル活用。【ダッシュ】でポーシュボスを轢いたり、UC【トリニティ・エンハンス】の【炎の魔力】を付与した『BX-Sエール・ノワール』で周囲を【なぎ払い】。
暴れまわって、限界になったら、飛んで離脱します。
「寄生されるうちにポーシュボス化されるとか、困った限りです」
キャバリアに乗り込み、黒木・摩那(冥界の迷い子・f06233)はオブリビオン・ストームに突入する。
摩那に出来ること。寄生されるまでの限られた時間で、最大の火力で薙ぎ払い、離脱。
「手持ちの中で一番攻撃力があるのはキャバリアです。なんといっても質量がありますから」
最大限の火力と機動力を確保するため、摩那は超能力者専用機のキャバリア『エクアトゥール』を選んだのだ。
突入の勢いのまま、エクアトゥールによる突撃。直撃を受けたポーシュボスの1体は、塵となって消えてゆく。その攻撃の硬直に、別のポーシュボスがエクアトゥールに絡みつく。
機械であるキャバリアなら寄生されることはないか。そう思ったのも一瞬だけ。すぐに摩那は腕に違和感を感じることになった。
「くルまデ、逃げテ……。でモ、かラだガ溶け……」
「これは……」
キャバリア越しでも、ポーシュボスの浸食が来る。接触は、動きを止める行為は、危険。摩那はすぐさま纏わりつくポーシュボスを振り払う。『BX-Sエール・ノワール』に【トリニティ・エンハンス】の力を乗せ、焼き払う。
「キャバリアの中にいても寄生されてしまうようです」
キャバリア越しでも接触は避けるべき。と、わかったところで周囲はポーシュボスだらけ。完全に防ぐことなど不可能に近い。
「動きを止めることなく、出来るだけ多くのポーシュボスを巻き込む進路は――」
敵を倒しつつ、離脱するコース。それはとてもシンプルだ。
「直進です」
違和感の広がる腕を気合で抑え込み。
摩那は炎の翼で暗黒の竜巻を切り拓く――。
大成功
🔵🔵🔵
リーヴァルディ・カーライル
人間なんて私達の玩具か血袋程度の価値しか無いのに、
こんな醜い姿になったら、もう存在する価値も無さそうね?
殺してくれ?助けてくれ?いやよ面倒くさい
どうして私が劣等共の言葉を聞かなければいけないの?
私の手を煩わせないで。ほら、勝手に殺し合いでもして…ああ、そうね
お前達にはまだ人間だった頃の意識が残っているのよね?
ふふ、なら良いわ。お前達が死ぬのを手伝ってあげる
さあ、お前達がまだ人間だと嘯くなら共喰いをして私を興じさせなさい?
遠慮する必要は無いわ、私が手伝ってあげる。ふふ、あはははは!
事前にUCを発動して戦闘終了まで自身を「純粋悪の吸血鬼」であると洗脳し、
周囲にUCを乱れ撃ち同士討ちをさせるわ
「人間なんて私達の玩具か血袋程度の価値しか無いのに、こんな醜い姿になったら、もう存在する価値も無さそうね?」
リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)の目に飛び込んできたモノは、想像以上に奇妙な存在だった。
黒を基調とした身体、乱雑に配置された瞳に、ところどころ怪しく光を放つ器官を備えている。意味も価値もなさそうな形状の生き物だというのに、それが一様な姿で無数に存在しているのである。
「殺シてクれ。ポーシュボス化ヲ止めラれナかッた私ガ生きルかチなド……」
「た……ス……」
ようやくやってきた異質な存在に、ポーシュボスたちの意思が殺到する。
「殺してくれ? 助けてくれ? いやよ面倒くさい」
永遠に続くポーシュボス化の苦しみから逃れようとすがる人々を、リーヴァルディは軽くあしらう。
「どうして私が劣等共の言葉を聞かなければいけないの?」
リーヴァルディに拒絶されたことで、比較的穏やかだったポーシュボスが狼狽える。
「れッとウ……。ポーシュボスに成リ果てタ私は、ソれデも人々ノ……」
「私の手を煩わせないで。ほら、勝手に殺し合いでもして……ああ、そうね」
こんな姿になっても、行動はポーシュボスでも。まだ人として意識は消えない彼ら。言葉だけでは、簡単には動かない。
「お前達にはまだ人間だった頃の意識が残っているのよね? ふふ、なら良いわ。お前達が死ぬのを手伝ってあげる」
リーヴァルディは【限定解放・血の薫香】の力で、人々をポーシュボスの意識から、別のものへと書き換えてしまう。
「さあ、お前達がまだ人間だと嘯くなら共喰いをして私を興じさせなさい? 遠慮する必要は無いわ、私が手伝ってあげる。ふふ、あはははは!」
「あアあアあアあア!」
ポーシュボスになっても、人としての意識が残っていた者たち。それが危険な一線を越え、互いに互いを滅ぼしあう――。
大成功
🔵🔵🔵
夜刀神・鏡介
人々を飲み込みポーシュボスと化して生きるなんて、下手に意識が残ってる分単に死ぬよりも辛いだろ
元に戻すことができないなら、倒すしかない
それがどんなに困難なことであっても、だ
ポーシュボスに寄生された後、神刀の封印を解除
金色に輝く浄化と破魔の神気を纏い、精神を統一。寄生の侵蝕を抑え込む
聞こえてくる声はちゃんと聞くけれど、だからといって手を緩めたりはしない
身に纏った神気を刀身にも宿らせて、斬撃波として一気に解き放つ
弐の秘剣【金翼閃】で周辺のポーシュボスをオブリビオン・ストームごと纏めて切り払う
攻撃後は下手に回復される前にダッシュで接近、直接の斬撃を叩き込んで止めをさして少しでも数を減らしていく
「人々を飲み込みポーシュボスと化して生きるなんて、下手に意識が残ってる分単に死ぬよりも辛いだろ」
オブリビオン・ストームに飛び込んだ夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)。その耳には、ポーシュボスと成り果てた人々の囁きが、響き続ける。
目の前でポーシュボスに変貌してしまった人たちならば、まだ可能性はあったかもしれない。しかし、今のこの状態から元に戻すためには――、奇跡にも近い手段を見つけ出すより他ない。それが出来ないなら――。
「元に戻すことができないなら、倒すしかない」
鏡介は、己が握る神刀に決意を込めた。
鏡介は神刀でポーシュボスに斬りかかる。すると驚くべき程簡単に、ポーシュボスは斬り捨てられ、塵となって消えてしまう。
「倒した? いや、これは……!」
「強い、セいぎノ……」
ポーシュボスを斬った腕から、誰かの意思が流れ込んでくる。鏡介の意識と身体を飲み込むように、その場に小さなオブリビオン・ストームが発生する。
飲み込まれかけた鏡介が黄金の神気を纏い、ポーシュボスの浸食を退ける。
「ひトりハ……。みンな、ミんナ……」
「1人は嫌か。だからって俺まで寄生されるわけにはいかない」
加速し始めた暗黒の竜巻を、神気をまとった斬撃波が2つに斬り裂く。それでもポーシュボスの増殖は止まらず、消えた竜巻の残滓から新たに2体のポーシュボスが染み出してくる。
「一気にやらないといけないな」
鏡介は意識を集中し、神刀の封印を解除する。
「神刀解放。我が剣戟は空を翔ける――弐の秘剣【金翼閃】」
鏡介の二度目の斬撃。先ほど以上の速度の斬撃波が、より広い範囲を飲み込む。新たなポーシュボスとこの戦場を覆う巨大なオブリビオン・ストームに黄金の傷が走る。
消えゆくポーシュボスから、それを解き放った鏡介にいくつもの意識が流れ込んでくる。声を受け止めたいところだが、その浸蝕を抑え込む。まだ倒すべき敵と救うべき人々がいる。
鏡介は、精神力の限界まで、神刀を振るう。
大成功
🔵🔵🔵
アマニータ・ビロサ
お任せプレ、汝が為したいように為すがよい。
*正体は猛毒寄生キノコな萌擬人化愉快な仲間
難しいことはよくわかりませんが……これはとっても苗床によさそうですね☆(めっちゃいい笑顔でポーシュボスに見惚れる)
茸ヶ島の上にいつもの私を模した小実体を出して、と。さぁ、私達、あれを苗床にして繁殖すべく頑張りましょう♪
萌擬人化胞子達「おー♪」
おや、突撃してきましたね。飛んで火にいるなんとやら、傘をばっさばっさと揺らせばたくさんの私(胞子)がポーシュボスに降り注ぐでしょう。おお、おかわりまでくれるなんて、なんて気前のいい苗床さんでしょう♡
あっちにもたくさん苗床さんがいますしいっぱい寄生しましょうね♪
「難しいことはよくわかりませんが……」
ポーシュボスの性質を聞かされていた時のアマニータ・ビロサ(殺戮☆天使・f21109)は、よくわからなそうな顔をしていた。
「これはとっても苗床によさそうですね☆」
しかし実際に現地に赴き、ポーシュボスを目にしたアマニータは、それの持つ可能性に目を光らせた。
相手を侵食し、どんどん増殖する存在。あれを苗床に出来たのなら、アマニータにとって非常に便利なもととなる。だが、仮にも相手は『フィールド・オブ・ナイン』と呼ばれるオビリビオン・フォーミュラの1体。簡単に支配することが出来るだろうか?
アマニータは早速、【茸ヶ島】で無数の萌擬人化胞子を産み落とす。
「さぁ、私達、あれを苗床にして繁殖すべく頑張りましょう♪」
「おー♪」
ノリノリの本体に導かれ、人の形をしたキノコがポーシュボスに食べられてゆく。
アマニータの菌糸が、蠢く苗床を捕らえ。ポーシュボスの精神が、アマニータの精神を汚染する。互いの攻撃が複雑に絡み合い、その場に産み落とされたのは――。
体中からアマニータが生えた状態で動きを止めた、ポーシュボスと思わしき未知の塊。しばらくその場に留まっていたソレは、オブリビオン・ストームに飲み込まれて消えてしまった。相手を苗床にすることは出来たものの、こちらも相手の侵蝕を防ぎきれずに崩れてしまったようだ。
最初の攻撃は半分成功で、半分失敗。でも大丈夫。なぜなら、周囲に苗床候補のポーシュボスはいくらでもいる。
「おお、おかわりまでくれるなんて、なんて気前のいい苗床さんでしょう♡」
アマニータがキノコの傘を揺らすと、周囲に胞子が広がり、新たな萌擬人化胞子が生まれてくる。一方、ポーシュボスからもポーシュボスが枝分かれし、数を増やしている。
「あっちにもたくさん苗床さんがいますしいっぱい寄生しましょうね♪」
どちらに転んでも恐ろしい結果にしかならない。
不気味な戦いは、続く――。
大成功
🔵🔵🔵
ポーラリア・ベル
【ドヴェルグ】アドリブ歓迎
真っ黒まっ黄っ黄お目目さんだわ!
邪悪…邪悪…
ちょっと待って善って何?
あたし、冬(の妖精)。雪を降らせて、皆を凍えさせるのが役目でー…
何が悪い事で何が善い事…?
善とは…悪とは…
とりあえずこの結界に入ればいいのね!
後はとりあえず辺り一面にエレメンタル・ファンタジアの
氷属性のオブリビオンなストームを放つわ!
対抗してカチンコチンに凍らせて、ここも冬に染めるのよ!もうちょっとで冬だし
結界で大丈夫だけど、何か狂気っぽいのがついたら、とりあえず耐えてみるわ!
【幸運】【呪詛耐性】あとこの戦場の【環境耐性】
色んな声のするぽしゅぽ雪だるまとか、作るー♪
皆帰るの?飽きたの?ポーラも帰るね!
ラウラ・シュトラウス
【ドヴェルグ】
うぅん…
流石に数が多いから、これ以上増える前に何とかしてみよう
ポーシュボスによる影響を受けないようにゆかりの張ってくれる結界内から、前衛で戦ってくれる仲間を遠距離からの攻撃で援護しよう
最初に、この”Death Wish”を使って前衛が攻撃をしやすくなるよう【パラライズレイン】で麻痺させてポーシュボスの動きを止める・鈍らせるなりしてみる
撃ち込めたなら
弾のある限り「スナイパー」「援護射撃」で前衛を援護しながら、「制圧射撃」「2回攻撃」で迅速にポーシュボスを倒そう
その場にいるポーシュボスをだいたい倒したことを確認したら、一刻も早く立ち去ろうか
残っても良いことは無さそうだ
村崎・ゆかり
【ドヴェルグ】
うあ、これきっついなぁ。
「高速詠唱」で「狂気耐性」「呪詛耐性」「破魔」「浄化」を重ねた「結界術」を張って、仲間を守る。
あたしはポーシュボスを寄生させた上で(どうなるかはお任せ)、「呪詛耐性」「狂気耐性」で理性を守りながら戦うわ。
とりあえず、時間稼ぎ。「式神使い」で折紙を禽獣の式神の群にして、ポーシュボスにけしかけ足止めを。
それで稼いだ時間で、「結界術」「全力魔法」酸の「属性攻撃」「範囲攻撃」「破魔」を重ねた紅水陣を展開。
アヤト、陣には入らないで! あなたまで溶けるから!
目につくポーシュボスは討滅出来たかしら? オブリビオン・ストームを突っ切る体力が残ってるうちに引き上げよ。
エリザベス・ファールバッハ
【ドヴェルグ】
なんて巨大で禍々しい、なんて悍ましく物哀しい
少しでも多く勢力を削り、一人でも多く取り込まれた人達に死を取り返してあげないと
ゆかりの作ってくれた結界の中から、ロゼによるレーザー弾幕に浄化を乗せてポーシュボスを削って支援するわ
集団戦術の要領で、仲間の行動を阻害せず、それぞれの行動がより身を結ぶ様に
帰路は私が開くから、皆、思い切り暴れて頂戴
念には念を、結界の中でも狂気耐性、呪詛耐性で万が一にも悪に染まらない様気を付けるわね
皆が十分暴れられたら、プシュケー達を生贄に全力魔法を込めたロゼを使って清輝蒼嵐を発動
ポーシュボスの壁を穿ち、迅速に、きっちり誰一人欠けずに帰りましょう
伊川・アヤト
【ドヴェルグ】
ポーシュボス、邪悪ナる者のみ戦う事を許された怪物ですか、何を邪悪と呼べば良いのかさっぱりですが討滅するだけです。
私が前で戦いますから、後ろは頼みますよ。
来なさい、殃禍。(MONOLITHを地面に放りUC発動し眼鏡が仮面に変化し厄神の力を纏う)ポーシュボス、貴方を斬る。
味方の攻撃に当たらない様にしつつ【狂気耐性】と【呪詛耐性】を発動し【切断】を使い斬り合っていき【空中軌道】も使い回避も織り交ぜ攻撃していく。
防御として体に【呪詛】を纏い被弾しそうな攻撃は結界で【見切り】【カウンター】していく。
最後に呪詛を【多重詠唱】と【高速詠唱】により剣に集め切断する。
たかが怪物が勝てると思うなよ。
旅団『蒸気飛行船 -空中工房ドヴェルグ-』の一行。ポーラリア・ベル(冬告精・f06947)、ラウラ・シュトラウス(放浪者(ワンダラー)・f32573)、村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》/黒鴉遣い・f01658)、エリザベス・ファールバッハ(人間のレトロウィザード・f32574)、伊川・アヤト(天蓋の探究者/蒐集家・f31095)。
5人の猟兵は一斉にオブリビオン・ストームの中へと飛び込んだ。
相手は『ポーシュボス・フェノメノン』1体。本来ならこちらが数で勝るはずである、だが、ここにいる1体の敵は彼らを取り囲んで余りあるほどの数であった。
「うぅん……、流石に数が多いから、これ以上増える前に何とかしてみよう」
ラウラが、敵を押さえるための手を準備する。事前にきちんと作戦は用意してきた。それでも一手間違えば、瞬く間にポーシュボスは増殖し、自分たちを飲み込むことだろう。
「うあ、これきっついなぁ」
ゆかりは皆を守るための結界を張る。強力な結界に式神も合わせたところで、どれほどの時間が稼げるかは不明だ。場合によっては――。
「なんて巨大で禍々しい、なんて悍ましく物哀しい。少しでも多く勢力を削り、一人でも多く取り込まれた人達に死を取り返してあげないと」
エリザベスの耳は、苦しみ続ける人々の声で溢れている。既に彼らを助けることは出来ない。それでも、苦しみ続ける人々を放置するわけにはいかない。
「ポーシュボス、邪悪ナる者のみ戦う事を許された怪物ですか、何を邪悪と呼べば良いのかさっぱりですが討滅するだけです」
そう、例え戦うために条件を突き付けられ。自分がそれに合わないとしても、アヤトのするべきことは変わらない。
最初の一手。
ラウラは『F1/AR-15 “Death Wish”』を構え。結界の中から、【Paralyze Rain】で敵の動きを封じる特殊な弾丸を放つ。
「このプレゼントは少しばかり”響く”よ」
頭部、と思われる部位を撃ち抜かれたポーシュボスが蠢き、その場で動かなくなる。動かなくなった敵から新たな敵へと標準を合わせ、続く味方が戦いやすい戦場を作る。
何体かの敵を無力化し、とあるポーシュボスに銃口を向けたところで。ラウラは不思議な感覚に襲われた。ラウラの攻撃は敵味方を識別する。今、捉えている相手は、敵だ。それなのに、ポーシュボスに対して引き金を引けなくなる。
結界越しの遠距離攻撃でも、ポーシュボスの侵蝕を防ぎきれてはいないらしい。ラウラは一旦攻撃をやめ、合図を送る。
ラウラに代わり。
「私が前で戦いますから、後ろは頼みますよ」
今度はアヤトが、結界から飛び出す。飛び込んできた獲物に、周囲のポーシュボスが殺到する。
「来なさい、殃禍。ポーシュボス、貴方を斬る」
『AWD【MONOLITH】』を地面に突き刺し、【AWD【殃禍】顕現:八十枉禍津日神】の力を発動する。アヤトの眼鏡が、厄神の仮面に変化する。
直接の攻撃を空中で躱し、すれ違いざまに浴びせられる呪詛を仮面で肩代わりする。呪詛の力を吸い取られたポーシュボスを、アヤトの刃が斬り捨てる。
「たかが怪物が勝てると思うなよ」
まず1匹。アヤトは顔を覆う仮面に手をかける。仮面で受け続けることが出来る呪詛にも限りはある。弱った敵を確実に滅ぼし、限界を迎える前に結界の中へと引き返す。
アヤト1人で庇いきれない範囲のポーシュボスを、エリザベスがフォローする。
ロゼの放つレーザーがポーシュボスを貫く。暗い身体に淡い光が広がり、ポーシュボスの輪郭が失われ、消えてゆく身体がゆかりの結界に覆いかぶさる。
ポーシュボスがうめき声をあげている。結界によってその言葉は遮られているが、一刻も早く引きはがさなければ皆に危険が及ぶかもしれない。
「あなたは澄み渡った天より注ぐ光――」
エリザベスは【清輝蒼嵐】の力を開放する。精霊たちのちからをロゼに集め、浄化の光を展開する。
結界の周囲にいたポーシュボスが強力な光に照らされる。変わり果てた人々が元に戻ることは、ない。それでも、永遠に続く苦しみから解放され、その意識が霧散してゆく――。
皆を結界で支えていたゆかり。
皆の果敢な攻撃で順調に敵を減らしているものの。守りの方はかなり危険な状態になっていた。
このままでは結界を守り切れないと判断し、ゆかりは決意する。
敵の力を取り込み、自分のものとする。ゆかりはポーシュボスと同化するため、暗黒の竜巻の中に飛び込む。
「みンな……守ル……」
「でキなイ……、ポーシュボスを止メるコとハ……」
いくつもの意識がゆかりの中に流れ込み――、ゆかりの意識が揺らいでゆく――。
戦う4人の後ろで。
「邪悪……邪悪……」
ポーラリアは、ポージュボスを滅ぼすために必要だという『邪悪ナる者』について考えていた。
「ちょっと待って善って何?」
そもそも『善』とは何なのか。自然の世界には善や悪といった感覚は、ない。冬の妖精として生きてきたポーラリアにとって、何が悪い事で何が善い事なのかというのは、捉えにくい感覚のようだ。
「善とは……悪とは……」
わからないものを考えても仕方ない。ひとまず――。
「とりあえずこの結界に入ればいいのね!」
ゆかりの作り出した結界に逃げ込むポーラリア。そして、おもむろに【エレメンタル・ファンタジア】の力を思いっきり開放する。
ポーシュボスによる暗黒のオブリビオン・ストームの中に。ポーラリアによる冬のオブリビオン・ストームが巻き起こる。
「色んな声のするぽしゅぽ雪だるまとか、作るー♪」
何を思ったのか、吹雪の中で動きの鈍ったポーシュボスを転がすポーラリア。これを2つ重ねれば、ポーラリア特製しゃべる雪だるまの完成だ!
1体のポーシュボスがオビリビオン・ストームに乗せ、紅い雨を撒き散らしている。全方位への無作為な攻撃。ポーシュボスの攻撃に対応できないポーシュボスが、酸の雨を受けて融解してゆく。
無差別に攻撃すればいい。そのはずなのに、何かが目に留まって、叫ばずにはいられなかった。
「アヤト、陣には入らないで! あなたまで溶けるから!」
紅い雨を浴びながら、アヤトは変貌しかけていたゆかりの一部を斬り捨てた。
「きっちり誰一人欠けずに帰りましょう」
「一刻も早く立ち去ろうか。残っても良いことは無さそうだ」
「皆帰るの? 飽きたの? ポーラも帰るね!」
5人は互いを庇い合い、オブリビオン・ストームから離脱していった。
大成功
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唐桃・リコ
アドリブ、マスタリングは大歓迎だ
ここまで戦いを繰り返して
『人』としてのオレ自身が削れてる
…なら、オレの中の人狼は、力蓄えてまだ働けるだろ
ただ食いてえ、壊してえ、殺してえしか考えてねえ人狼なら
『邪悪ナる者』って言って良い筈だ
さあ、オレからやった分、働けよ人狼!
【Howling】!
人狼は白く大柄な狼の形をとって
触手も何もかも飲み込んで、砕いて、殺して回るだろう
オレはぼんやりした中で見ている事しか出来ない
…このままオレ自身も飲まれてしまった方が楽なのかな
いや、駄目だ
オレ、何があっても帰るって約束した
菊と、約束したから
全てを倒し終わった人狼は
次の獲物を求めるかもしれない
てめえ、そろそろ返しやがれ!!
巨大なオブリビオン・ストームの内部。ポーシュボスで埋め尽くされたこの空間のあちこちで猟兵たちが戦っていた。
猟兵の1人、唐桃・リコ(Code:Apricot・f29570)。
既に何度、何体のポーシュボスとの戦闘を行ったかわからない。倒し、寄生され、自分を失う前に元に戻る。その繰り返し。
戦い続けるリコは、少しずつ疲弊していった。それと同時に、リコはある感覚を確認していた。
「『人』としてのオレ自身が削れてる」
ポーシュボスが寄生してくるのは『善の心』、リコの人としての部分のみ。
「……なら、オレの中の人狼は、力蓄えてまだ働けるだろ」
寄生の危険がある人としての消耗だけなら、ポーシュボスと戦う上では好都合。リコは、自分の中にある人狼の力を開放することを選ぶ。
「さあ、オレからやった分、働けよ人狼! 【Howling】!」
それが、リコが自分の意思で発した最後の言葉。
暗黒の竜巻の中に、1頭の白い狼が現れた。
「悪い子ハ狼に食ベらレるンだ。まマ、ボくイい子ニす――」
何事か言いかけたポーシュボスの喉首を、大きな牙が噛み千切る。蠢く触手は狼に寄生することなく、その脚で踏み抜かれる。
「野生の獣デはナい……。アの心ハ『邪悪ナる者』」
滅ぼされること理解したポーシュボスが、なりふり構わず攻撃を繰り出す。出鱈目なポーシュボスの攻撃でポーシュボスが倒れ、暴れるポーシュボスが巨大な人狼に食い殺される。
そんな光景を、リコは不思議な意識の中で眺めていた。
……このままオレ自身も飲まれてしまった方が楽なのかな
いや、駄目だ
オレ、何があっても帰るって約束した
菊と、約束したから
新たなポーシュボスを飲み込もうとした大きな口。それが、直前で止まる。
「てめえ、そろそろ返しやがれ!!」
リコは叫んだ、つもりだった。
開いたままの口は、声を発することなく、哀れな人々の頭をかみ砕くこともなく、閉じた。
人としての意識が戻った状態で戦い続けるのは、危険。
リコは、戦場を後にするのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
アリス・セカンドカラー
お任せプレ、汝が為したいように為すがよい。
*真に邪悪ナる者は自覚がない。
まいったわね、秩序ー善たる私だと寄生に耐えながら戦うしかないわね。
『お前はいったい何を言っているのだ。ソレよりもうまそうな連中だ』
オリジンたん悪食だったものねぇ、あ、全部は捕食しないでね?私も何匹かペットに欲しいから♪
『あぁん? お前もお前で趣味が悪いではないか。まぁ、聞いて欲しければ対価をよこせ!』(ばくん)
やぁん♪ いきなり食べるだなんてオリジンたんたら大胆♡
『……平然と人の身体乗っ取って作り変えてるじゃねぇよ』
あ、オリジンたんリポップ(継戦能力)おつかれー。ところで、そろそろポーシュボスに寄生されてないとおかしいのだけど、一向にその気配が無いのは何故かしら?
『……お前が邪悪だからだろ』
はっはっは、オリジンたんは冗談がお上手ね♪光の陣営である私が邪悪なわけないじゃない☆
『……そうか。ところでお前が放ってるそれは?』
え?『夜(デモン)』(結界術)だけど?
『……そうか』
ええ、そうよ♪えっちなのうみそおいしいです♡
「まいったわね、秩序ー善たる私だと寄生に耐えながら戦うしかないわね」
アリス・セカンドカラー(不可思議な腐敗のケイオト魔少女・f05202)は、厄介な能力を持つ相手への対処法を考えていた。
善の心があれば、ポーシュボスに寄生されてしまう。世界のために戦う猟兵であるアリスは、もちろん寄生されてしまうだろう。そうなれば、少なからず消耗しながら戦うことになる。このオブリビオン・ストームを埋め尽くすポーシュボスを相手に消耗戦は危険だ。
と、本来ならそういう流れだが――。『自らの手で世界の法則さえ生み出すこの魔少女』が善であるか邪悪であるか。それを判断するのはアリス自身ではない。
『お前はいったい何を言っているのだ。ソレよりもうまそうな連中だ』
アリスの背後から声がする。声の主は『オリジンたん』、アリスがユーベルコード【人工未知霊体『オリジンたん』】で呼び出した存在だ。
オリジンたんはアリスに軽くツッコミを入れつつ、目の前に現れたポーシュボスを貪り食う。顔があるはずの場所、真っ暗な闇の中に、ポーシュボスの不気味な体が音もなくするりと飲み込まれて、消えた。
『ふむ……。個性などという雑味を取り除き、人の旨味を凝縮した食べやすい味わいだ。どれ、もう1ついただくとしよう』
オリジンたんによる、飲み込んだポージュボスの品評。今でこそあのような姿に成り果てているが、人間であったものを涼しい顔で飲み込む少女の姿をした存在に、恐怖を覚えぬ人間はいないだろう。
「あアあ……」
他のポージュボスがオリジンたんから距離をとっているのは、仲間が食べられたから、というわけではないだろう。
「オリジンたん悪食だったものねぇ、あ、全部は捕食しないでね? 私も何匹かペットに欲しいから♪」
アリスはオリジンたんがポーシュボスを全滅させてしまうことを心配する。オリジンたんの捕食で怖気づいたポーシュボスの1体を、アリスは手早く結界の中に閉じ込める。閉じ込めてはみたももの、どうやって大人しくさせて持ち帰ろうか?
『あぁん? お前もお前で趣味が悪いではないか。まぁ、聞いて欲しければ対価をよこせ!』
無限に増殖するポーシュボスという存在、単純に全滅させればいいだけなら話は早い。だが相手は仮にもオブリビオン・フォーミュラ、そう簡単に全滅させられるわけもない。その困難な状況の中で、アリスは更に条件をつけてきたのだ。まずは、この無礼な小娘をわからせてやる必要があるだろう。
オリジンたんの顔のない顔が、アリスの顔に迫る。2人の唇が重なる――、はずであったその間合いになったところで。アリスの顔は闇に飲み込まれ、魂を引き抜かれるような不思議な感覚に襲われる。
「やぁん♪ いきなり食べるだなんてオリジンたんたら大胆♡」
オリジンたんによる捕食。だがアリスは相手の捕食行動を逆手に取り、オリジンたんの中に妄想エネルギーを流し込む。今のオリジンたんはちょっと反抗的だけど、一緒にお食事を楽しみながら優しくお願いすればきっとわかってくれるはず。いや、わからせる。
オリジンたんはアリスのお願いを受け、苦しみながら倒れる。そして、何事もなかったかのように、『アリスに説得されたオリジンたん』が立ち上がる。
『……平然と人の身体乗っ取って作り変えてるじゃねぇよ』
アリスの『交渉』から、オリジンたんが解放される。
「あ、オリジンたんリポップおつかれー。ところで――」
オリジンたんと仲良くじゃれ合いつつ。アリスはふと思い出した。そういえば、今は戦闘中だったのだ。
アリスとオリジンたんは、多数のポーシュボスに囲まれている。
「そろそろポーシュボスに寄生されてないとおかしいのだけど、一向にその気配が無いのは何故かしら?」
鞭のようにしなる腕による物理的な攻撃が繰り出されているも、最も警戒していた寄生からのポーシュボス化を仕掛けてくる様子がない。
『……お前が邪悪だからだろ』
「はっはっは、オリジンたんは冗談がお上手ね♪ 光の陣営である私が邪悪なわけないじゃない☆」
ぶっきらぼうに言い放つオリジンたんに、アリスは笑って応える。
そう。正義の猟兵たるアリス・セカンドカラーさんが寄生されないはずがない。元かわいい男の子なポーシュボスたんに寄生されて自分もポーシュボスになって自分と相手の境界が曖昧になってなんやかんやでかわいい男の娘が2人出来上がるのだ。全然邪悪な要素なんてない。
『……そうか。ところでお前が放ってるそれは?』
「え?『夜』だけど?」
一般的な結界術です。ポーシュボスになった人々を助けたいという綺麗な心の現れです。私利私欲のためにポーシュボスたんを捕食してペットにしたいとかそういうのじゃないです。敢えて言えばそう、“なかよし”になるためのものです。どこからどう見ても『善』です。
『……そうか』
「ええ、そうよ♪」
アリスは結界術を放ち、ポーシュボスの1体を封じ込める。
「一度に多数のポーシュボスを相手にするのは危険ね。まずはこの1体に狙いを定めるわ」
それっぽいことを言ってアリス自身も結界に入ってゆく。
『このわたしに面倒事を押し付けて、自分は結界の中で“お楽しみ”か! 嗚呼! あまりの怒りで折角のご馳走の味がわからなくなってしまう!』
1人残されたオリジンたんは目の前の敵に飛び掛かり、不気味な音を立てて獲物を飲み込んでゆく。
今頃――。寄生もされんのに寄生されちゃうだの私のポーシュボスたんがポーシュボスたんのポーシュボスたんと仲良くなっちゃうだのとわけのわからん事を言っているに違いない。そして、最後に言うのはこうだ!
「えっちなのうみそおいしいです♡」
『このわけのわからん生き物のどこに脳ミソがあるというのだ!』
不吉なオブリビオン・ストームの中に、オリジンたんの叫びが木霊したという。
大成功
🔵🔵🔵
ロリータ・コンプレックス
こいつが邪神……まさに混沌ね
JK団の団長だけど……実際邪神を転がしに来るのは初めてだよ。
未知なる者は怖くて当然。其は生存本能
未知なる者がいるのは当然。神様の叡智は無限だから
恐怖で狂うのも当然。恐怖で萎縮したら戦えない
だから狂気の先に活路はある!大丈夫!狂気が【狂気耐性】になるのよ!
【UC】で天使達を召喚!天使の善性は少し特殊だよ。唯一の神以外に神無し!故に悪は無い!悪に対する相対善ではなく絶対の善!貴方の栄養になるかしらね!?
そして天使の我が名はサリエル!生と死を司る者!
私は生命であるが故に無限に殖える。
さあみんな、何度でも【UC】を重ねよう。殖えよう!世界を満たそう!それが生命だから!
そして滅ぼそう。生命を!生命は死するものだから!大鎌で切り裂こう。邪視で生命を途絶えさせよう。
私はポーシュボス!行くよ!ポーシュボス・デスストーム・フェノメノン!!
さあみんな繰り返そう。何度でも!
美しく哀しき生命に安息を!
生命を喰らう者を滅ぼして最後に生命を遺す為に!
この【祈り】がある限り負けはしない!
「こいつが邪神……まさに混沌ね」
ロリータ・コンプレックス(ロリータちゃんは以下略だ!・f03383)は、オブリビオン・ストームの中に広がる光景を見てそう囁いた。
「JK団の団長だけど……実際邪神を転がしに来るのは初めてだよ」
今回の相手は普通の邪神とはわけが違う。普通の『善の心』であれば、ポーシュボスに取り込まれてしまう。
「未知なる者は怖くて当然」
恐怖を感じれば、狂ってしまう。だが、自身が狂っていることを理解し、受け入れる。そして狂気の先に活路を見出すのだ。
ロリータのユーベルコード【襲来する天使のロリータちゃん達】により、使い手によく似た天使の一団が召喚される。
「唯一の神以外に神無し!」
「故に悪は無い!」
「悪に対する相対善ではなく絶対の善!」
「貴方の栄養になるかしらね!?」
それぞれの口で違うことを叫びながら、ロリータちゃん軍団がポーシュボスに突撃してゆく。ポーシュボスたちはその攻撃を正面から受け止め、逆にポーシュボス化を試みる。
ロリータちゃんたちの魅了の力とポーシュボスの寄生が交わったところで。ロリータ本人は、更にユーベルコードを重ねる。
「そして天使の我が名はサリエル!生と死を司る者! 私は生命であるが故に無限に殖える」
「あアあ……」
ポーシュボスに取り込まれそうになったロリータちゃんから、不思議な光が放たれる。
ロリータちゃんとポーシュボスが、どのような意思疎通を行ったのかはわからない。ただ、ポーシュボスは僅かな硬直と共に光に包まれ――。直後に全身から無数の天使の羽を噴き出し、光の粒となって霧散していった。
オブリビオン・ストームの各所で、ロリータちゃんとポーシュボスが対峙していた。そんな戦場の後方、ロリータは静かに佇む1体のポーシュボスの存在に気付いた。それは、ロリータがその存在に気付くと同時に、こちらにも視線を返してきた。
「あのポーシュボスは――!」
あれだけは違う。自らの意思で彷徨い、他の猟兵やロリータちゃんたちと戦っていたポーシュボスではない。ロリータが意識を向けるまで全く反応しなかった、1体だけの異質なポーシュボス。
「さあみんな、何度でも【祈り】を重ねよう。殖えよう! 世界を満たそう! それが生命だから!」
そのポーシュボスに狙いを定め、祈りとユーベルコードにより集中攻撃を仕掛ける。だが、相手はポーシュボス。ロリータのぶつけた善の心を取り込み、新たなポーシュボスが生まれる。それでも、ロリータは攻撃の手を緩めない。ロリータは更にユーベルコードによる攻撃を繰り返す。そのたびロリータの姿をした天使が生まれ、そしてポーシュボスが増えてゆく。
「さあみんな繰り返そう。何度でも!」
ポーシュボスで埋め尽くされた空間。その中心でロリータが叫ぶ。
「サあミんナ繰り返ソう。何度デも……」
繰り返される言葉。ロリータ自身にもポーシュボス化の影響が迫り――。
――、ふと気づくと。周囲がとても静かになっていた。
先ほどまで恐ろしく不気味に吹き荒れていたはずのオブリビオン・ストーム。いや、今もなお黒い風が激しく渦巻いている。それなのに、何も感じない。
何も感じないはずなのに。確かにあるのは、ただただ不思議な、周囲に無数の、自分と同じものがいる感覚。
これが、ポーシュボスになった感覚なのだろうか?
ポーシュボス……?
……、――ッ!
「私はポーシュボス!」
ポーシュボスは、叫んだ。ポーシュボスは、『自分はポーシュボスになった』と、はっきりと理解した。
「行くよ! ポーシュボス・デスストーム・フェノメノン!!」
1人のポーシュボスがユーベルコードを使用し、他のポーシュボスがそれに追従する。
「生命を喰らう者を滅ぼして最後に生命を遺す為に! この【祈り】がある限り負けはしない!」
【祈り】に集中する。【祈り】は、ここにいるみんなの中に、確かに存在している。なぜなら、祈る心がなければポーシュボスにはならないからだ!
祈りが光となり、ポーシュボスたちを癒す力がオブリビオン・ストーム全体に使わっていく。
「ポーシュボスを倒スこトはデきナい……」
「倒スのデはナい……」
「コれデよウやク……」
光に包まれるポーシュボスたち。自分たちが再び、ポーシュボスでないものになっていく感覚を確かに感じていた――。
「……、んー……?」
ロリータは、目を覚ました。どうやら、しばらく気を失っていたらしい。
「ポーシュボスと戦っていて、それから……」
思い出そうにも、自分の記憶と感覚がはっきりしていない。
乾いた風の吹く荒野に、天使の羽が舞っていた――。
大成功
🔵🔵🔵