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アポカリプス・ランページ④〜一片の悔い無き我が生涯

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●十字に輝く白銀の星
「ハァーッハッハッハッハッハァ!!!」
 デス・バレーにて。ヴォーテックス一族の機械要塞は、数多の猟兵達の活躍により完全に機能を停止した。しかし要塞に蓄えられていたレイダーは未だ底をつくことなく、こうしてまた一人、世界へ解き放たれていく。
「我が世の春は――此処に在りィィィィッッッ!!!」
 それはまさに、忘れた頃にやってくる天災だった。

●エクストラミッション開始です
「こっそりご案内でーす」
 ロザリア・ムーンドロップ(薔薇十字と月夜の雫・f00270)は他のグリモア猟兵の邪魔にならないよう隅っこで細々と声掛けを行っていた。
「皆さん、デス・バレーを覚えていますか? ヴォーテックス一族の要塞があって、スーパー戦車のスーパーウェポンすら狂わせる禁断のコンピュータウイルスが――というやつです。もうスーパー戦車は皆さんのご活躍により討伐されてしまいましたが……実はそこに、未だ倒されていないレイダーが存在することがわかったんです」
 要塞が機能しなくなったことで晴れて自由の身になったと思い込んでいる残党だ。当然ながら、ここ数日のうちに立て続けに戦火を交えることになったフィールド・オブ・ナインに比べれば些事も些事。捨て置いても構わない、と見る者も当然居よう。しかし気づいてしまった以上、目を背けられないのがロザリアだ。
「その名は『十字皇ジュリア』。極天十字拳とかいう武術の使い手で、過去のレイダーの例に漏れず、彼女もやはり侵蝕プログラム弾で武装しています。戦術も、まず侵蝕プログラム弾で武装を無力化してくることが予想されますので、何か対策があるといいですね」
 対処法はもう出尽くしている。それらをなぞってもいいし、自ら新しく編み出してもいい。自由は猟兵達に在り、だ。
「もうこの程度のレイダーは皆さんの敵ではないと思います。ですから気楽にいきましょう。一応は戦争の一端ですから、気が向いた方はどうかよろしくお願いしまーす」


沙雪海都
 沙雪海都(さゆきかいと)です。
 ここらが戦場開放のラストスパートですかね。

●フラグメント詳細
 第1章:ボス戦『十字皇ジュリア』
 侵蝕プログラム弾は命中すると武装の形状や構造を問わず、一時的に使用不能となってしまいます。
 なので「当たらなければどうということはない」とか「当たってもどうということはない」とか、何か対策を考えておきましょう。
 戦闘場所は屋外です。まーでも岩石と乾燥した大地くらいしかないですねえ。一応要塞の近くっちゃ近くです。
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第1章 ボス戦 『🌗十字皇ジュリア』

POW   :    征天十字鳳
全身を【魔闘気】で覆い、自身の【修めた極天十字拳の技量】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
SPD   :    覇王に後退はない、制圧前進のみ!!
自身の【己が覇道を貫く覚悟】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
WIZ   :    覇王は、退かぬ!媚びぬ!!顧みぬ!!!
敵を【全身全霊を込めた一撃】で攻撃する。その強さは、自分や仲間が取得した🔴の総数に比例する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠白石・明日香です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ニクロム・チタノ
アハハまだそんなヒトいたんですか?ちゃんと骸の海に戻してあげないといけませんねぇ~アハハハ
さてまずは岩影に隠れてヨダレをばら撒いて辺りをヘドロにしてから進みましょうか
ヘドロに潜れば狙いはつけられないでしょう?その後近くまで拠ったら悪臭を出して目眩まししつつ奇襲して彼女の足場をヘドロ化しましょう
拳法がご自慢のようですが足場が悪いヘドロの海では全力も出せないでしょう?
そして猛毒でじわじわ身体をマヒさせてヘドロの海に沈めてあげましょう
ダメじゃないですか一人で生きてちゃ~
みんな待ってますよ?骸の海で、ね



●ヘドロの海においでませ
「アハハ……まだそんなヒトいたんですか? ちゃんと骸の海に戻してあげないといけませんねぇ~アハハハ……」
 宿敵を追うでもなく、仇敵を追うでもなく、しかしレイダー――即ちオブリビオンを執拗に狙うニクロム・チタノ(反抗を忘れた悪堕ちヘドロ・f32208)は岩陰に身を潜め、辺りにヨダレを撒き散らす。それにより乾いた大地はシュウシュウと音を立ててヘドロに変わり、じわじわとその海を広げていく。
「ハァーッハッハァッ……ん? この気配……敵かっ!」
 振り返ればヘドロが迫っていた。ジュリアはヘドロの中に白銀の侵蝕プログラム弾を放つ。どぷ、どぷと撃ち込まれたそれは当たったのか当たらなかったのか。不明だがヘドロの海は大地を侵食し続けていた。
 やがて、ずぷり、とジュリアの足元が沈み込んでいく。
「これがヘドロの海ですよ……御自慢の拳法も、ここでは全力が出せないでしょう?」
「なんのッ! 我が極天十字拳の奥義を見よ! ハァッ!」
 ヘドロの海からにゅっと伸びた腕。ニクロムがジュリアを捕まえて沈めにかかるが、ジュリアとて簡単にやられはしない。ニクロムにしがみつかれたまま魔闘気を纏い、音など遥かに抜き去る勢いで空へと飛び立った。
 ヘドロを振り切り、ニクロムまでも振り切らんとするジュリア。対しニクロムはヘドロの海に沈めることこそ叶わなかったが、猛毒ヘドロをその身からジュリアへと擦り付けて麻痺を与えんとする。
 どちらの根気が先に尽きるかという勝負。何度か空を旋回飛翔していたジュリアだが、徐々にその高度が落ちていき――。
「征天……十字鳳ッッ!!」
 ニクロムを引きずったままの決死の地上ダイブであった。墜落した二人はついに分かれ、転がりながら倒れていく。
「……我……未だ健在、なり……ッ!」
 先にジュリアが立ち上がる。だが麻痺がいくらか効いているのか、言葉ほどの威勢は感じられない。
「……アハハハハ……ダメですよ? 一人で生きてちゃ~……みんな待ってますよ? 骸の海で、ね……」
 ゆらり。ヘドロの怪もまた立ち上がる。掴みどころのない振る舞いは、果たしてダメージを負っているのかどうか。
 何にせよ、戦いは始まったばかりだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友

第一『疾き者』唯一忍者
一人称:私 のほほん

最近、武器使わずにどう戦おうか考えてましてねー。まあいい機会なので。
陰海月と霹靂はお休みですよー。

あえて不利な行動をするそうですが、思う壺です。
指定UC発動。呪詛塊は、武器ではないですからねー。ついでに生命力吸収もつけておきました。
一度でも受ければ、身体能力が高くなろうが避けるのは難しいのです。私たちが悪霊である限り、何発でもいけますよー?

ま、私自身は結界術で防衛してますし、何なら結界に風のトゲ生やしますのでー。


陰海月&霹靂「Zzz」



●覇王にも意地はあるが
 ありとあらゆる武装を手足のように操る猟兵の技量たるや。しかし侵蝕プログラム弾とはそれを封じるレイダーの秘密兵器であり、一介のレイダーでも武装すれば対処もしにくくなる。
(最近、武器使わずにどう戦おうか考えていましたから……まあいい機会なのでー)
 そこへ現れた馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)は敢えて武装を使わずジュリアと対峙する。義透の盟友である陰海月と霹靂は如何に生物の形をしていると言えど武装と扱われてしまうものであり、侵蝕プログラム弾は天敵。故に今は義透の影の中で眠っている。
「我に……生身で挑むその心意気や……良し!」
 白銀の弾丸を放ち義透に命中させたジュリアだが、全く動じないのを見て義透の狙いを悟る。自身も侵蝕プログラム弾は持てど、己が身一つ、修めた極天十字拳で戦いを繰り広げている。
「だが――覇王に後退はない!」
 麻痺の残る体ながら、ジュリアは両手を翼のように広げて前傾で走り出した。何の奇も衒わない愚直な突進は容易く見切られそうな拙攻だが、この不利を甘んじて受け入れることこそが狙い。覇道を貫く覚悟はジュリアの身体能力を増大させ、突進の威力を高めていた。
「来ましたか……まあ、こちらの思う壺なんですけどねー」
 義透は右手を掲げると、呪を唱える。
『四悪霊が圧縮した呪詛……敵への贈り物』
 掲げた手の先に生み出されたのは暗黒の呪詛塊。禍々しい瘴気を放つそれを、標的と定めたジュリアへと押し出すように撃ち放った。
 ジュリアには退く手は無い。平凡に撃ち出された呪詛塊はその胸元へと命中し、白き装束を暗黒が包み込む。勢いのあった足が止まり、苦痛に顔が歪む。
「ぐぅっ……覇王は、制圧前進ある、のみ……!」
 義透が放ったのがただの呪詛塊であれば、ジュリアはさらに不利からの身体強化を継続させていた。しかしその呪詛塊には生命力吸収の呪が込められている。身体強化は発生しているが、それを暗黒が吸収し、義透の力へと変えていた。
 一度は止まった足が重々しく動き出す。身体強化と生命力吸収が拮抗し、麻痺が文字通りジュリアの足を引っ張っている。
 それでもジュリアには前進しかない。不利を覚悟する意志を固めて強引に前に出ると、右拳を強く握り締めた。
「ハアアァァッッ!!」
 吼える。繰り出される拳は義透の顎を狙っていた。だが義透は顔色一つ変えず、動じない。
 そのまま命中するかと思われたジュリアの拳は――しかし義透の張る結界に阻まれる。風のトゲを生やした無形の刃が逆にジュリアの拳を傷つけていた。
「ここまで近づいてしまったら、どんなに身体能力を高めても避けるのは難しいでしょうねー。私も、あなたの『力』は覚えましたので、絶対に外しませんよ?」
 ぼわっと手に浮かべた呪詛塊を、至近に迫ってきたジュリアの腹へと叩き込む。見えてはいたが――避ける術がない。
「ぐああっ!!」
 腰をゴム紐で引っ張られたような、綺麗な「く」の字に折れてジュリアは吹き飛んでいった。生命力吸収が重ねられ、いよいよジュリアの身体強化を上回っていく。
「うぅぅ……覇王は退かぬ……決して退かぬぞ……!」
 言うは易し。だが前へと進もうとするジュリアの足には震えが走り始めていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

城田・紗希
愛用武器を守ろうとすると、拾った杖しか使えないじゃない!(瓦礫から引っこ抜いた鉄パイプを頭上で振り回しつつ)

侵蝕プログラム弾は鉄パイプ…じゃない、即席の杖を犠牲に受け止めるよ!
そして杖を手放して、ウィザードミサイルを思いっきり撃ち込むよ!!
…くっ、杖があれば、もうちょっと連射できるのにっ!

…ところで、この杖って鈍器としても使えないの?
(鉄パイプで殴ったり投擲で攻撃したり、物理攻撃に使って試そうと)



●覇道を後退するという意味
 城田・紗希(人間の探索者・f01927)は兵装の取捨選択を迫られていた。ジュリアが放つ侵蝕プログラム弾は問答無用で兵装を一時使用不能にしてくる。使いたい兵装があるなら、他の兵装を犠牲にしなければならないが。
「愛用武器を守ろうとすると、拾った杖しか使えないじゃない!」
 拾った杖とは如何な物か。それは一部崩れた要塞の瓦礫の中から発掘した鉄パイプだ。頭上でカウガールの投げ縄の如くぶんぶん振り回しながら紗希はジュリアへと特攻を仕掛ける。
「うぐぅ……覇道は……未だ……ッ!」
 生命力をかなり削られていたが、ジュリアはまだ立っている。右手を正面に掲げて白銀の弾丸を発射し、紗希の兵装の無効化を狙っていた。
「その弾は……即席の杖で受け止める!」
 弾丸を打ち返すように紗希は鉄パイプを薙ぎ払った。カカカン、と弾丸の軍勢が鉄パイプに命中すると同時にそこだけ急激に重力が強まったかのように鉄パイプが重くなり、思わず紗希は鉄パイプを取り落とす。
「鈍器として……なんか無理ぽい!」
 紗希は鉄パイプを拾い上げようとしたが、とにかく重い。まるで瞬間接着剤で地面に貼り付けられたかのようだ。魔法の触媒として役に立たなくても鈍器としてなら、と望みを懸けたがそれは叶わなかった。
「仕方ない……ウィザード・ミサイルを思いっきり撃ち込む!」
 紗希は人差し指で宙に模様を描く。するとその軌跡に炎の球が無数に生まれ、細長く伸びて矢の形へと変化した。
「覇王は……退かぬ! ……媚びぬ!! ……顧みぬ!!!」
 麻痺が何だ、生命力吸収が何だ。ジュリアは眼前の炎の矢群をキッと見据えていた。
 躱す選択肢はない。打ち消す選択肢もない。ジュリアにあるのは、ただ覇道を突き進むという覇王の精神。全身全霊の一撃を以って炎の矢群を迎え撃つ。
 炎の矢群は真っ赤に燃える。ジュリア一点狙いで集中させた矢は火竜の突進となって襲い掛かっていた。
「ハアアアァァァッ!!!」
 火竜の顎を打ち砕かんとする拳が突き上げられる。炎の矢群の先端に直撃した拳は矢の一群を弾き散らしていたが、紗希も物量で圧力をかける。
「……くっ、杖があれば、もうちょっと連射できるのにっ!」
 紗希は炎の矢を絶えず叩き込んでいたが、もう一歩、ジュリアの拳を打ち破れない。だがジュリアもまた、全身全霊を籠めながらも消耗の激しさ故に、圧力に屈しかけていた。
 ずず、とジュリアの足が滑り下がる。ひたすらに前進を掲げていたジュリアが見せた苦渋の末の後退。支えきれぬと頭のどこかで悟ってしまった瞬間、雪崩れる矢群に全身を射抜かれていた。
「ぐあああぁぁぁ!!」
 折れた覚悟が倒れていく。その攻防が紙一重の決着であったことは、肩を上下させて脂汗を流す紗希の険しい表情に克明に現れていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

夜刀神・鏡介
拳法家からしてみれば、強制的に自身の土俵に乗せる事ができる侵蝕プログラム弾ってのは、喉から手が出る程に欲しいもんかね
勝てば官軍って言葉もあるし責めることもできないけど、拳法家としてはどうなんだろうな

神刀の封印を解除し、紫紺の神気を身に纏う。参の秘剣【紫電閃】によって反応速度を大きく強化
侵蝕プログラム弾は「当たらなければ良し」として、強化した速度を用いて見切り、片っ端から避けていく

敵が身体能力を強化しようともそう簡単には此方の速度には追いつけまい
動き回って撹乱しつつ近距離なら直接切り込み、遠距離ならば斬撃波によって攻撃を叩き込んでいく
積極的に攻撃を叩き込み、再度プログラム弾を撃つ暇を与えない



●邪道に染まった拳法家
(拳法家からしてみれば、強制的に自身の土俵に乗せる事ができる侵蝕プログラム弾ってのは、喉から手が出る程に欲しいもんかね)
 夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)はジュリアが侵蝕プログラム弾を手にした意味を問う。己の拳を存分に振るうことを考えるなら、武装を無力化して敵を目の前に引きずり出すことには大きな意義があるが。
 そのために拳を封じ、自らが武装するというのは――勝者が正義となる戦場ではあるが、果たして拳法家として褒められたものなのだろうか。
 プライドを捨てたのか、それとも何か別の大義を見たか。大の字に倒れたジュリアは天を仰いだまま動かない。だが命尽きていないことは、ジュリアが「存在している」ことで証明されている。
「神刀解放。我が刃は刹那にて瞬く――」
 鏡介が神刀【無仭】の封印を解除する。纏う紫紺の神気は鏡介の闘志を表すかのように全身から湧き上がっていた。
「――参の秘剣【紫電閃】」
 鏡介は一直線に飛び出していく。倒れたまま一太刀で消滅させられるなら僥倖――鏡介は神刀を中段に構えたが、辿り着く前にジュリアの足が後方へ跳ね上がっていた。
 腹筋と腕の力を利用して後転から後方宙返りの形を作り、ジュリアは窮地を脱しながら天地を立て直すと白銀の弾丸を放つ。自らを危険に晒しながらも覇道を決して諦めぬことで残り少ない力を増幅し、決死の攻撃を見せようとしていた。
 だが今の鏡介は紫電の閃きの如く。弾丸の射角から着弾地点を見切って瞬時に脱出、武装の無力化を掻い潜っていく。当たらなければ無意味、と鏡介は体現してジュリアへと迫っていた。
 しばし滞空した後、着地したジュリア。自重が焼け焦げて穴だらけの全身に響いて苦悶の表情を浮かべる。だが苦痛を声にして逃がす暇も、覇道が何だと喚く暇もなく、鏡介の神刀が一閃放たれる。
「あっぐぅっ!?」
 右脇腹がばっくりと裂かれ、流れで斬られた長髪がばっさり落ちた。鏡介を追って振り返ろうとすれば斬られた部分から捩じ切れそうで、ジュリアの動きが目に見えて悪くなる。
 ジュリアの目には地を走る紫電が時折閃くだけ。像すら見せぬ鏡介の速度に視線は右往左往するばかりで、反撃の糸口が掴めない。白銀の弾丸も装填はされていたが、射出のタイミングを失っていた。
 鏡介はジュリアを中心に周回する動きを見せながら、攻め手が来ないと見るや、神刀を薙ぎ払い斬撃の波動を放つ。ジュリアからすればほとんど虚空から突如として現れる斬撃波。身体能力の増大を加味してもジュリアの反応速度は追いつかず、手足を好き勝手に刻まれていく。
「がはっ……我が覇道、ここで、尽くか…………否!」
 カッと見開かれる眼に宿るのは執念。覇道を歩む足は決して止めまいと、闇雲ではあったが弾丸を放つ手を掲げた刹那に。
 鏡介が現れる。放たれる寸前の弾丸の真横を嘲笑うかのように通り抜け、残した半身を掻っ捌いて過ぎていった。
「……ぁぁ…………」
 二つの斬撃の跡が繋がり、ジュリアの体は完全に二つに分かれて落ちていく。弾丸はカラカラと地面に跳ねて消滅し、間もなくジュリアも光の粒子となり消えていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年09月19日
宿敵 『🌗十字皇ジュリア』 を撃破!


挿絵イラスト