3
アポカリプス・ランページ⑰〜それは統べる者

#アポカリプスヘル #アポカリプス・ランページ #フィールド・オブ・ナイン #プレジデント #アポカリプス・ランページ⑰

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#アポカリプスヘル
🔒
#アポカリプス・ランページ
🔒
#フィールド・オブ・ナイン
🔒
#プレジデント
🔒
#アポカリプス・ランページ⑰


0




●笑う大統領
 ワシントンD.C.。
 荒廃したアポカリプスヘルにも拘わらず、文明崩壊以前の整った街並みに復元されたその都市にフィールド・オブ・ナインの一体である『プレジデント』と言うオブリビオンがいた。
 彼の待ち構える地は『国立公文書記録管理局(アーカイブス・ワン)』の前、文明崩壊以前に記されたあらゆる公文書が眠るその場所こそ彼が猟兵を迎え撃つに適した場所。
 完璧な街並みに人間はいない。いるのは彼が具現化した『大統領の軍勢(プレジデントアーミー・バイ・ユーベルコード)』のみで、卓越した指揮能力はそれこそ蟻の一匹たりとも通さぬ程に堅牢な陣地を築いている。
 難攻不落の最強の軍勢を配下にプレジデントは自信に満ちた笑みを浮かべている。
 それを打ち砕く事ができるのは、多くの戦いを経て乗り越えてきた猟兵達だけである。

「アポカリプス・ランページの予知を拾ったよ。ちょっと『プレジデント』と戦ってきてくれないかな」
 グリモアベース、一匹の騎士猫クーナ・セラフィン(雪華の騎士猫・f10280)が猟兵達にそう呼びかける。
「直訳するとアレがアレなんだけど、アポカリプスヘルの世界を滅ぼしたフィールド・オブ・ナインの一体らしいプレジデントはユーベルコードで召喚した大統領の軍勢を指揮し、街並みだけ完璧に復興させたワシントンD.C.の国立公文書記録管理局の前に陣取ってる。……優れたソーシャルディーヴァとしての能力もあって統率はとにかく隙が無い。」
 厄介だね、とケットシーのグリモア猟兵は羽付き帽子を被り直しつつ言葉を紡ぐ。
「戦い方は指揮する軍勢に攻撃させる物ばかりなんだけど、とにかく高い指揮能力でこちらが動き出す前に仕掛けてくる。シークレットサービス、陸軍、果ては秘密裏に処理した宇宙人まで軍勢にいるようだよ。上手く対処法考えていかないと火だるまどころじゃすまないだろうね」
 軍勢はとにかく指揮に忠実、それこそその身を捨てる事すら惜しむことはないだろうとクーナは言う。
「大統領本人も戦闘能力は高いみたいだけど、大統領の軍勢を突破できればどうにかできると思う。油断ないよう頑張って、世界を滅ぼした神に一発ぶちかましてやるといいんじゃないかな」
 それじゃ頑張ってね、とクーナは話を締め括り灯篭のようなグリモアを取り出し転送の準備を開始する。
 光に包まれた猟兵達が辿り着いたのは非常に整った、けれど生命を感じない無機質な街並み。
 数多の記録を有する管理局の前に立ち並ぶ多種多様な一つの意志に統率された兵士たちと、それらを統べる神の一体が猟兵達を出迎えるのであった。


寅杜柳
 オープニングをお読み頂き有難うございます。
 レッツパーリィ!

 このシナリオは無人のワシントンD.C.の国立公文書記録管理局(アーカイブス・ワン)前で『プレジデント・ザ・マスディレクション』と戦うシナリオとなります。
 公文書に記載されたあらゆる事象を具現化するユーベルコードで創造した大統領の軍勢をその見事な指揮能力で統率し、先制攻撃してきます。
 また、下記の特別なプレイングボーナスがある為、それに基づく行動があると判定が有利になりますので狙ってみるのもいいかもしれません。

=============================
 プレイングボーナス……大統領の軍勢による先制攻撃に対処する。
=============================

 それでは、皆様のご参加をお待ちしております。
85




第1章 ボス戦 『プレジデント・ザ・マスディレクション』

POW   :    プレジデント・アーミー
レベル×1体の【大統領の軍勢】を召喚する。[大統領の軍勢]は【アメリカ】属性の戦闘能力を持ち、十分な時間があれば城や街を築く。
SPD   :    プレジデント・セキュリティ
レベル×1体の、【眼球】に1と刻印された戦闘用【アメリカ合衆国シークレットサービス】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
WIZ   :    アーマード・ディヴィジョン
【かつてのアメリカ軍の最新兵器】で武装した【精鋭アメリカ陸軍兵】の幽霊をレベル×5体乗せた【戦車部隊】を召喚する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友

第一『疾き者』唯一忍者
一人称:私 のほほん
武器:漆黒風

さてー、参りましょうかー。
軍勢の先制攻撃は、柔軟性を持たせた結界術にて対処しましょう。ゴムみたいなものですよー。
砲弾も銃撃も包み込まれますねー。

ですが、指定UC使えるようになったら、結界切ります。わざと防御捨てますねー。
ええ、まあぐちゃっとなるでしょうが。再構築しますし、攻撃の数だけ強くなりますのでー。
貫通+風属性攻撃のついた漆黒風を投擲していきますねー。
金属だろうがなんだろうが、貫いてみせますよー。
身体で止まろうと、そこから生命力吸収しますしねー。

ええ、私は忍ですのでー。まあこういうことも仕事の内です



 整った街並み、美しい公園、知の集積たる文書館の群。
 国立公文書記録管理院の前の広い道路には軍勢が兵器を構え、それらを従えるプレジデントは堂々とした振る舞いで猟兵達を入り口から見下ろしていた。
『さあ、諸君! 大統領の軍勢を乗り越えてみたまえ』
 越えられるものならばね、とプレジデントが告げると同時、最強格のソーシャルディーヴァとしての力を発揮し指揮を開始する。
 周囲に出現した戦車部隊、アポカリプスヘルの文明崩壊前の最新兵器で武装した精鋭陸軍の霊を前に馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)はいつもののほほんとした調子を崩さない。
「さてー、参りましょうかー」
 穏やかな口調でそう言うや否や戦車の群が一斉にその戦車砲をぶっ放す。
 爆音、飛散する榴弾の破片や爆風が周囲を瞬時に戦場の空気へと変えるが、義透への砲撃は結界で防がれている。
 柔軟性を持たせたそれは銃弾や榴弾を起爆させないように受け止め、ゴムのように他所へと弾き飛ばして被害を抑えこんでいた。
 更に砲撃と同時飛び込んできた精鋭陸軍兵――通信網による指揮でタイミングや視界には問題ないのだろう、彼らが至近距離から銃撃、或いは格闘術で制圧にかかってくるが、義透はわざとその攻撃を受ける。
 血が周囲に零れ、義透の体が銃弾やナイフに撃ちぬかれ切り裂かれていく。しかし義透はそれも織り込み済み、既にユーベルコードの準備ができているのだから。
「因果は巡りて回る。どこまでも」
 悪霊の呟きに、零れた血が彼の足元に集まり肉が再構成されていき呪詛が覆っていく。受けた攻撃に比例して増強する戦闘能力、これだけ受ければ十分だろう。
 精鋭陸軍兵を呪詛で無力化し、その状態で義透は棒手裏剣を投擲する。
 増強された戦闘能力、更に風の助けを受けたそれは戦車や兵隊が撃墜する間もなく防ごうとしたプレジデントの右腕を覆う機械と右肩を貫通、国立公文書記録管理院の壁の見えない深さにまで突き刺さった。
『その位置からか! なかなかやるな!』
「ええ、私は忍ですのでー」
 顔を僅かに顰めるプレジデント、彼の生命力を奪い取りながら義透はあくまで穏やかに言いながら次なる攻撃の為移動を開始した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

秋月・充嘉
アドリブ歓迎

今会いに行きますよ、プレジデント。
って一応言っておこう。

ふむ、プレジデント・アーミーやワシントンの街並みが実体物なら影が出来るはずっすよね?
それなら【指定UC】で影に隠れながら移動っす。
野生の勘で影から影へささっと移動してやり過ごしてみせるっす。
ちょっとやり過ごせそうにないのならアーミーは暗殺。

プレジデント本人とは正々堂々と戦いたいっすから、本人の前では影から出るっす。
いやぁ、会いたかったっすよ。
貴方のことが好きになったし、出来れば一緒にいたいっすけど…。
何にしろ、力を示さなきゃダメっすよね。
尊重はするっすけど、オレは欲張りだからね。欲しくなっちゃうっす。



 忍びの一撃を受けながらも大統領の軍勢は統率を乱さず猟兵達にその兵器を向け発砲する。
 兵隊同士が有機的に連携しているかのような寸分乱れぬ銃撃、それはソーシャルディーヴァの通信網によるものだろう。
 そんな銃撃の中、竜の尾と翼、獅子の鬣をもつキマイラの男、秋月・充嘉(キマイラメカニカ・f01160)は野生の勘で紙一重で躱しつつタイミングを窺っていた。
「今会いに行きますよ、プレジデント」
 一応そう呟いて、立てていた作戦と現状を思い返す。
 彼の影に潜るユーベルコード、その起動さえできれば建物や兵士の影を伝って一気に突破する事は可能だろうがそれにはまだ時間がかかる。
 そう考える間に飛び込んだ頑丈な建物の影、待ち構えていたらしい三人の兵士が建物の上からナイフを手に飛び掛かってくる。
 殺気を感じ取った充嘉は影で作られた投げナイフを取り出し三本投擲、同時前方に転がり襲撃を回避。
 二本は二人に命中、だが一人は回避し着地と同時最短動作で斬りかかってきた。その刃を影で作ったブラックジャックで叩き落としつつ影の鎧通しで胸を貫き暗殺。
 どうにもやり過ごせない咄嗟の反撃だったが、とりあえずは無傷でやり過ごせた。
「影そのモノになるっすかねぇ!」
 そしてキマイラの男の身体が獅子と狼と龍の合成獣となり影に沈んでいく。影と化した充嘉はそのまま影伝いに大統領の軍勢の目を掻い潜り、国立公文書記録管理院の正面――プレジデントの後ろに回り込んだ。
 影から出現したキマイラに振り返り、なお大統領はその余裕を崩さない。
「いやぁ、会いたかったっすよ」
『ふむ、私に何か用かな? わざわざ出てきたという事は言いたい事でもあるのだろう』
「そうっすね。貴方とは正々堂々と戦いたいっすから。……出来れば一緒にいたいっすけど……」
 大統領の軍勢は大統領を挟んだ向こう側、建物の中から出てくる気配もない。
 正直な所充嘉は何故かプレジデントに好意を抱いてしまっている。
 かつて合衆国を統べたカリスマ性に浮かされてしまったのか――けれど。
「何にしろ、力を示さなきゃダメっすよね」
 どうあれ猟兵とオブリビオン、認めさせるには力を示すしかあるまい。
『そうだね、キミがもし優秀であるなら――私の部下になってくれるなら話は早いのだがね』
 あくまでもプレジデントはオブリビオンとして、世界を滅ぼす為の立場を崩さない。それは尊重するが、それでも、
「……オレは欲張りだからね。欲しくなっちゃうっす」
 猟兵として、充嘉が影の合成獣としてその爪を大統領に食い込ませそのまま斬り裂いた。
 同時、大統領の軍勢が一斉に充嘉に向けて無数の弾丸を放つが、影の獣はするりとそれらをすり抜け躱し、煙が晴れた頃には忽然と消え失せていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

丑三・勘太郎
コイツが『プレジデント』とやらか。
軍勢を率いて闘うとは、統率者らしいことしてくるじゃねぇか。
多勢に突っ込むのは嫌いじゃねぇ、一発ぶち込んでやるぜ!

敵がユーベルコードを使用し、軍勢を召喚したら、
まずは『C.C.proto』を使用し、魔力を《限界突破》、自分を強化する。

戦車部隊が攻撃を仕掛けてきたら、こちらは【紅鬼灯】を使用し、
鬼火を攻撃に当てて相殺する。

軍勢の攻撃の隙を見て、鬼火を《念動力》で操作し、
戦車部隊の数を減らせるように、《範囲攻撃》する。

軍勢がある程度減ったら、『プレジデント』の眼前に突っ込み、
鬼火を1つにまとめた火球を叩きつける!

「ぶっ倒れな! 丑三流奥義!! 『日輪落とし』!!!」



 そして影の合成獣に斬り裂かれ吹き飛ばされたプレジデントは空中で回転し見事に着地する。
『中々の腕前だが――まだ私の命には届かない! 私は不滅だ!』
 力強く、どこか演技がかった仕草でプレジデントが叫び、軍勢の士気が高まっていく様子を丑三・勘太郎(妖憑依を継ぐもの・f10108)という羅刹の青年は冷静に見据えていた。
(「コイツが『プレジデント』とやらか」)
 統率者、支配者、扇動者。どれもが正しいのだろうフィールド・オブ・ナインの一人。
 軍勢を率い多数を操るこの強敵に単身突っ込み突破するのは骨が折れそうだが、
「多勢に突っ込むのは嫌いじゃねぇ、一発ぶち込んでやるぜ!」
 そして勘太郎は真っ向から軍勢に囲まれるプレジデントに突撃する。
 左右に展開された戦車群から砲弾が放たれる。その中には文明崩壊前に開発されていたと思しき最新鋭の荷電粒子砲や明らかに人道に悖るようなものもあって。
 それらが放たれると同時、左胸に埋め込んだ魔術装置を起動、全身に限界以上の魔力を流し身体能力を強化。
 着弾、爆発。派手に炎上する中、炎を突破する勘太郎の速度は緩まない。
 捨て身で飛び込んだ彼を捉えきれず僅かに着弾点がずれダメージを抑えられた事もあるだろうが、次はない。
「燃え尽きなぁ!」
 故に勘太郎はユーベルコードを起動、百近い数の鬼灯の色の鬼火を周囲に灯し、次弾を相殺する為の盾とする。
 更にいくつかの戦車の主砲の中に鬼火を飛び込ませその中の榴弾を起爆、戦車を内側から爆破し強引に隙を作り出した。
 戦車の数を減らすように鬼火を操りながら壁のように立ちはだかる大統領の軍勢の守りの薄い箇所を探り、そして鬼火で強引に薄い守りをこじ開け大統領までの道筋を確保。
 飛び込む勘太郎に兵隊と戦車が一斉に攻撃しようとするが、同士討ちを恐れ引鉄を引けない。
 そのままプレジデントの眼前まで飛び込んだ勘太郎が鬼火を手元に集め合体させ、「ぶっ倒れな! 丑三流奥義!! 『日輪落とし』!!!」
 それを全力で叩きつける。プレジデントはその両腕を交差させ直撃を避けるが、その炎による被害自体は避けられない。
 しかしその間にプレジデントは即座に戦車砲を命令、多少の巻き添えを厭わず眼前の猟兵の追撃を避ける方策をとった。
 それを悟った勘太郎は一旦全力で後退、彼を追って放たれる戦車砲弾の雨を回避しつつ、羅刹の青年は一旦この場を離れて体勢を立て直すことにした。

成功 🔵​🔵​🔴​

月夜・玲
うーん軍勢の相手か…
厄介と言えば厄介だなあ


EX:I.S.T[BK0001]に騎乗し疾走
そして模造神器4振りを『念動力』で周囲に飛ばし、『オーラ防御』で剣にシールドを纏わせて盾としよう
街並みを利用し敵軍勢の銃撃は建物で射線を切り対応
近接はバイクの速度に任せて近付かせない!
それでも届く攻撃は飛ばした剣で『武器受け』
又、『斬撃波』を周囲の建物に飛ばし破壊する事で軍勢の動きを阻害しようかな
そして走りながらプレジデントの場所、軍隊の配置を『情報収集』して攻撃の目星を付けよう

そして飛ばしている剣の2振りをキャッチして【Code:T.S】起動
最大サイズで雷刃起動
『なぎ払い』軍勢ごとプレジデントを斬り割く!


星野・祐一
随分派手な歓迎なこって
プレジデントの名は伊達じゃないって事ね…
さて、いっちょ御目通りに行くとしますか!

[SPD]
テスタロッサに騎乗

軍勢の先制攻撃は【見切り、瞬間思考力】で
攻撃の隙間を縫うように【運転】して避けるか
【オーラ防御、盾受け、受け流し】で対処な

【迷彩】で隠れつつ【残像】で攻撃対象を分散させたら
周囲の敵に流星の【誘導弾の弾幕】を浴びせて
進行方向にいる敵をBRTの【砲撃で吹き飛ばし】て
最短最速でプレジデントの所へ全速力で向かうぜ

接敵するのと同時にUCを発動
雷鳴の雷属性・貫通攻撃で体勢を崩させて
速度を乗せたEKの炎属性攻撃ですり抜け様に切断するぜ(騎乗突撃
切捨御免…ってな!

アドリブ歓迎



 追撃をこそ指示したものの爆破、無力化された戦車部隊は数多く。
 そしてプレジデント自身の火傷をはじめとした負傷も大きい。これ以上攻撃を受ければ耐えきる事は出来ないだろう。
 だが、それでもプレジデントは堂々と立ち、軍勢へと指示を飛ばす。
 合衆国をかつて背負った者としての誇り――それが彼を奮い立たせ更なる大統領の軍勢を召喚せしめる。
 軍勢は国立公文書記録管理局の周囲に展開、猟兵達に銃弾の雨を降らせ一旦距離を取らざるを得ない状況へと追い込んだ。

「随分派手な歓迎なこって」
 新たに出現した目を疑うような数の軍勢、バイクで逃れつつ星野・祐一(シルバーアイズ・f17856)は吐き捨てるように呟く。
 かつてプレジデントと呼ばれた男、その名は伊達じゃないということだろう。
「うーん軍勢の相手か……」
 大量に出現した軍勢から一旦逃れつつ、並走する月夜・玲(頂の探究者・f01605)は国立公文書記録管理局を振り返る。
 戦車こそ見えないが地を埋め尽くすような大軍勢、優れた指揮、通信能力で運用されるそれを突破するのは厄介と言えば厄介である。
 しかしこれを突破できなければプレジデントの撃破は成し得ない。
 玲が騎乗するバイク【EX:I.S.T[BK0001]】をUターンさせ、特製のガジェット【System[Imitation sacred treasure]】より四振りの模造神器を念動力で抜いて周囲に展開する。
「さて、いっちょ御目通りに行くとしますか!」
 同じく都市迷彩を施した本来真紅の二輪バイクをUターンさせた祐一もアクセルを全開にして、そして二人は別れ別々のプレジデントを守るよう布陣する軍勢の陣へと切り込んでいった。
 全身に迷彩を施した祐一を迎え撃つのは眼球に数字が刻印された数十人の黒服達、明らかに人間相手に向ける者ではない口径の拳銃で真紅のバイクを狙う。
 引鉄が引かれる瞬間を見切った祐一はほぼ横倒しにバイクを傾けターン、拳銃での精密な狙撃に対し的を小さくした上でバイクと自身を保護するようにオーラを展開。
 オーラでコーティングされたバイクを銃弾が滑り他所へと逸れていく中、祐一は黒服目掛け流星という熱線銃を乱射する。
 放たれた熱線は曲線を描きながら黒服の男たちを撃ち抜き次々に打倒していくが、それで終わりではない。
 国立公文書記録管理局の周囲はあまり多くの建物が立ち並んでいるわけではないが、それでも幾らかの大きな建造物は存在している。
 そんな建造物の一つから殺気を感じ取った祐一は、残像すら残る速度で方向を切り替え高所からのスナイパーライフルによる狙撃を回避する。
 他の建物からも同じように狙撃されるが、この地形に合わせた都市迷彩を施して残像を散らす祐一を正確に撃ち抜く事は酷く困難。
 回避する祐一に狙撃手が手こずっていると、突如建物が斜めに傾き崩壊。斬撃波により切り崩されたと理解する間もなく黒服はその崩落に飲み込まれた。
 その間に祐一は一直線に国立公文書記録管理局を目指していく。
 一方の玲は横殴りの銃弾の嵐を模造神器を盾にし攻撃をやり過ごしていた。
 剣に纏わせたオーラを盾に自身とバイクを守るように念動力操作、そうして銃弾を避けつつ建物と建物の間に最大加速で飛び込んでいく。
 圧倒的に多い敵、拓けた場所では射撃の格好の餌食になってしまう。建物を盾にその視界を遮りつつ、進行方向に立ちはだかろうとする少数の兵はバイクの加速で振り切っていく。
 模造神器の刃を一閃、その斬撃波は建物の高層階を切り崩し狙撃手を妨害すると共に崩壊した建物は軍勢の動きをも阻害していく。
 ただこれだけやってもプレジデント自身の指揮と通信のせいか、猟兵達を見失わず軍勢はすぐに態勢を立て直し追い縋ってくる。
 しかしこれだけ暴れればどこを中心に守ろうとしているのか、どこが突破しやすいかが見えてくる。
 プレジデントは相変わらず国立公文書記録管理局の正面から動いていない――プレジデントとして、その場所で迎え撃つと決めたからだろうか。
 遠目に祐一が軍勢を極太の熱線で蒸発させながら突っ込んでいく光景が見える。
 最短最速を目指す彼、その前に一人の黒服が立ちはだかった。
 極太の熱線すら受け止めプレジデントへの攻撃を通さぬその黒服は、召喚されたシークレットサービス全てを束ねた最強の一。
 このまま時間を稼がれては散らした軍勢が集結してしまう、そう判断した祐一がユーベルコードを起動。
「この一撃雷で終わりにしようぜ……!」
 リボルバーへと瞬時に持ち替え、青白い光弾を発射する。
 貫通力を高めたその一射は最強化したシークレットサービスを貫通するが致命傷にはならない。
 しかし、その光弾の余波で起こった衝撃波に黒服は体勢を崩し、更に光弾の雷気に麻痺して動きが停止、突破する為の隙が生まれた。
 それを遠くから視認した玲は、バイクの速度を緩めず盾として操っていた模造神器のうち二振りを手元に引き戻し掴みユーベルコードを起動。
「出力上昇、雷刃形成」
 【Code:T.S】――自身の力量に応じて長さを出力できる雷刃を創り出すそれを限界サイズで起動すれば、13キロ弱もの雷刃が模造神器を柄とするように出力される。
 プレジデントに届かせるには十分すぎる長さのそれを、玲は全力で横薙ぎに振るった。
 全てを切断する雷刃は阻もうとした米軍精鋭達やその太刀筋上にあった建造物をも易々切り裂き、ガードしたプレジデントの両腕を切り飛ばした。
 だがプレジデントはまだ立ち続ける。両腕を犠牲に致命傷を避けたのだ。
 反撃の命令を軍勢に下す――が、その寸前、祐一を乗せたバイクが飛び込んでくる。
 小型実体剣、その刀身にエネルギーを纏わせ伸長させた刃を手にした祐一がバイクの加速を加えてプレジデントの真横を高速で通り過ぎた。
「切捨御免…ってな!」
 すれ違いざま、熱帯びた刃にプレジデントの胴体は深々と切り裂かれ、そしてその膝を地に付ける。
『ああ、終わりか……気に入ってくれたかい?』
 パーティーの終わりを告げる言葉、それを最後にプレジデントと召喚された軍勢はそのまま倒れる事無く消失していく。

 かくして合衆国を背負ったこともあるフィールド・オブ・ナインの一体は撃破され、全人類のオブリビオン化演説の企ては阻止されたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年09月22日


挿絵イラスト