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アポカリプス・ランページ⑬〜黙示録の終わり

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●グリモアベースにて
「やあやあ猟兵諸君。くるるちゃんの召集に集まってくれて感謝するねっ」
 グリモアベースに集まった猟兵達を前に腕を広げ、鏡繰・くるる(属性過積載型バーチャル男の娘・f00144)は愛らしい笑顔と共に元気よく切り出した。
「アポカリプス・ランページもいよいよ大詰めだよ。フィールド・オブ・ナイン第6席、ヴォーテックス一族の長、今回の戦争における敵の首魁。フルスロットル・ヴォーテックスを打ち倒してもらう!」
 フルスロットルは、先祖伝来のユーベルコードによって、オブリビオン・ストーム……この崩壊世界の根源を生み出してきたと言う。
 今回の戦いにおいても当然、そのオブリビオン・ストームを使用してくる。
「フルスロットルは、肉体と融合した機械甲冑『ヴォーテックス・アーマー』から、オブリビオン・ストームを生み出してくる。これはオブリビオン以外の全ての存在にとって致死の毒であり、しかも無限にオブリビオンが発生するんだ」
 常人なら――いや、猟兵であっても。その中に侵入する事は、命を落とす事に等しいとも言える。
「キミ達は、まず『オブリビオン・ストームの猛毒を防ぎ』、『立ちはだかる大量のレイダーを打ち倒し』、さらに『ヴォーテックス・アーマーの守りを乗り越えて』、フルスロットルを倒さなくちゃいけない」
 乗り越えるべき3つは、全てが致命的な障害である。だがそれでも、これを越えなければフルスロットルを倒す事は出来ない。そしてフルスロットルを倒せなければ、世界を救う事はできない。

「大変な戦いになると思うけど……でも、ここまでの戦争を乗り越えて来たキミ達なら、きっと勝てる筈だ!」
 いつもどおりの、わざとらしいほど可愛い仕草の中に、僅かな緊張と期待を混じらせ、くるるは猟兵達を見渡す。
「だから、ばっちり解決してきてね。良い知らせを待ってるよ!」

●戦渦の終点
「よく来たな、異世界よりの稀人、猟兵よ」
 決戦の地。5mにも達するその改造された肉体を堂々と誇示し、その男は猟兵達を待っていた。
「ここが、我らが定めし世界の終点である。汝らはここで終わり、そしてオブリビオンという新たなる栄光の道(ストレイト・ロード)を歩むのだ」
 全身に取り付けられたエンジンが唸りを上げると、彼の足元に、微かな風が立ち上る。それはすぐに拡大し、猟兵達に吹き付ける強風となって。
「これより先に希望は不要。しかして絶望すら不要。必要なのはただ、死の安寧のみである」
 強風は暴風となり、そして嵐となる。現在と未来を否定し、生ある者全てを打ち砕く、圧倒的な暴力――オブリビオン・ストーム。
『奪え! 壊せ! 殺せ!』
『燃やせ! 砕け! 踏み躙れ!』
 その嵐の中から生み出されるのは、数多のオブリビオンレイダー達。多数の銃器や戦車によって武装された軍団が、次々と姿を現す。
 オブリビオンにとって、その嵐はただの風でしかない。だが猟兵にとっては、致死の暴風である。
「それを良しとしないのならば、かかって来るが良い。我がその意思を、」
 その暴風の中心で、この戦渦の支配者――フルスロットル・ヴォーテックスは猟兵達を待ち構える。嵐を乗り越え、略奪者を乗り越え、彼に攻撃を届かせなければ、未来はない。
「さあ、猟兵よ。汝らを骸の海へと捧げよう!」


一二三四五六
 終末世界に明日はあるか。

 ごきげんよう。アポカリプス・ランページ最終戦をお届けします。一二三四五六です。

 オブリビオン・ストーム攻略戦です。POW・SPD・WIZ、フルスロットルの3つのユーベルコードを全て乗り越え、打ち倒してください。
 なお、フルスロットルはユーベルコードの維持にほとんどの力を裂いているため、それ以外の攻撃は行いません。

 WIZユーベルコードは、オブリビオン・ストームの『嵐』としての特性を示しているものとします。致死毒云々以前に、吹き飛ばされないような対策も忘れないようにしましょう。フルスロットル周辺まで到着出来れば、台風の目の如く無風です。
 ちなみにレベルがむっちゃ高いと思われるので、時間超過では死にません。

 新システム『オーバーロード』が実装されています。使用する方は、使い方をよく読んでご使用ください。
 一二三個人としては『文字数はそれなりに増やす』『執筆期間は基本的に伸ばさない』『でもちょっとは前後するかも』ぐらいのマスタリング方針となります。
 詳細を知りたい方はマスターページの上の方をご参照ください。
 もちろん、使用しない方は、特に気にしなくて良いです。

 それでは皆様のプレイングを、楽しみにお待ちしています。
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第1章 ボス戦 『フルスロットル・ジ・アポカリプス』

POW   :    崩壊世界の覇者
レベル×1体の【オブリビオンレイダー軍団】を召喚する。[オブリビオンレイダー軍団]は【略奪】属性の戦闘能力を持ち、十分な時間があれば城や街を築く。
SPD   :    フルスロットル・ストーム
【ヴォーテックス・アーマー】から、戦場全体に「敵味方を識別する【オブリビオン・ストーム】」を放ち、ダメージと【致死毒】の状態異常を与える。
WIZ   :    ヴォーテックス・アーマー
自身の【ヴォーテックス・アーマー】から【オブリビオン・ストーム】を放出し、戦場内全ての【猟兵の接近】を無力化する。ただし1日にレベル秒以上使用すると死ぬ。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

アリス・フェアリィハート
アドリブ連携等歓迎

私が…
どこまで対抗できるのか…
けど…!

翼で
【空中機動】【空中戦】等で
飛行

UCは
【第六感】【見切り】【早業】【残像】
【結界術】【オーラ防御】等
と組合せ発動

POWのUCは

翼で飛行
【空中戦】から
こちらもUC発動
『重力波の地震』を起こし
レイダーさん達を
壊滅状態に

SPDのUCは

自身に
【毒耐性】も付与
【浄化】をのせた
UCの『絶対零度の竜巻』を
ぶつけ
致死毒自体を凍結

WIZのUCは

『虚無の磁気嵐』を
自身を覆う様に発動
それを
オブリビオンストームに
ぶつけている間に
【空中機動】で上昇移動
ストームの目に急降下
中心のフルスロットルさんに
ヴォーパルソードでの
【誘導弾】【斬撃波】【切断】【薙ぎ払い】
で攻撃


ティオレンシア・シーディア
わぁお、これはまた強烈ねぇ。流石は連中の総元締め、ってとこかしらぁ?

…猛毒の嵐かぁ。
ソーン(阻害)とエオロー(結界)を基礎にラグ(浄化)・風天印・孔雀明王印その他でガッチガチに固めて――多分、足りないわねぇ。あたしただの人間だもの。

ラド(車輪)と韋駄天印で機動力強化したミッドナイトレースに○騎乗してテイクオフ、後ストームの縁ギリギリの高高度から地面めがけて●轢殺・先駆で○騎乗突撃。地面スレスレで落下速度のベクトルを無理矢理捻じ曲げて中心めがけて一気に特攻かけるわぁ。…しんどいけど。
嵐の中に長々居られるわけないし、たぶん接敵は一度が限界。射撃○爆撃洗い浚い喰らわせて一撃離脱してやりましょ。



「わぁお、これはまた強烈ねぇ。流石は連中の総元締め、ってとこかしらぁ?」
 立ちふさがるストームを、片目だけ薄く開けて見やるティオレンシア・シーディア(イエロー・パロット・f04145)。シトリンの付いたペンで、ありったけのルーンと真言を描いていく。ソーン(阻害)とエオロー(結界)を基礎にラグ(浄化)・風天印・孔雀明王印、その他諸々――。
「ガッチガチに固めたけど……多分、足りないわねぇ。あたしただの人間だもの」
 とは言うが、今の彼女はほとんど超人の域に達している。ただ、それだけ強化してもなお、目の前の嵐に挑むには不足と言うだけ。
「だったらこれ、使いましょうか」
 と言う事で用意したのは一台のバイク、いや、バイク型のUFOだ。ヒーローズアースでプルトン人から奪ったそれに飛び乗ると、高高度へと舞い上がっていく。
 一方アリス・フェアリィハート(不思議の国の天司姫アリス・f01939)も、こちらは自前の翼で飛翔する。眼下に破壊の嵐を見下ろせば、硬く強張る表情。
「私が……どこまで対抗できるのか……けど……!」
 それでも世界を救うならば、立ち向かう以外に選択肢はない。高貴なる者の義務を果たすべく、その心を奮い立たせて。
「精霊さん達の力を……ここにっ!!」
 その身に纏うは、虚無の属性を持つ磁気嵐。不思議の国のあり得ない現象を世界に呼び起こすのが、神格を持つオラトリオである彼女の力だ。
 それをオブリビオンストームに叩きつけて道を切り開き、真っ直ぐに飛び込んでいく。
「いきますっ……!」
「さあ、テイクオフよぉ!」
 同時にティオレンシアもまた、ラド(車輪)のルーンと韋駄天印でUFOを強化し、嵐の壁へと突っ込んでいく。落下速度のベクトルで強行突破し、荒れ狂う機体を制御して。
「くっ、しんどいわねぇ……もうっ……!」
「精霊さん、もう1度お願いしますっ……」
 そうして強風は突破するが、続けて襲いかかるのは致死の毒。嵐の中にいるだけで、急速に生命力が蝕まれる。
 それを阻むのは、ティオレンシアが張り巡らせたルーン。さらに、そうして時間を稼いだ間に、アリスが絶対零度の竜巻を展開した。極低温の世界では、毒すら生存を許されない。
「これで毒は大丈夫……きゃっ!?」
『殺せ! 殺せ! 殺せ!』
 休む暇もなく、次は対空砲。地上のレイダー達が、戦車砲でこちらを狙ってくる。狙いは甘く、一発目は外れたが……数が多く、このままでは必然のまぐれ当たりも避けられない。
「うぅ、次から次へと……だったらこうですっ!」
『殺せ! ころ……ぐあああっっ!?』
 アリスの三度目の召喚は、重力波の地震。激しい揺れがレイダー達を薙ぎ倒し、破壊していく。それで崩れた敵陣を、ティオレンシアが轢殺しながら強行突破。
「そろそろ抜けるわよぉっ!」
 そうして三つの障害を抜けた先、ついに嵐の壁を突き破る。台風の目の中心に立つは、フルスロットル・ヴォーテックス。
「むぅ、抜けて来たか……!」
「ええ、散々苦労させてくれちゃって、お返ししないとねぇっ!」
 接敵のチャンスはおそらく一度。出し惜しみ無しとばかり、すべての武器を叩き込む。リボルバーを撃ち込み、グレネードを叩き込み、あらゆる火力を撃ち込んで。
「洗い浚い、喰らわせてあげるわぁっ!」
「ぬぅぅぅっ……!」
 アーマーと巨体で耐える相手に、ありったけをすべて撃ち込み、爆炎の中に呑み込んでいく。ダメージと共にその視界を遮った所に、今度はアリスが急接近して。
「受けてください、フルスロットルさん……っ!」
「ぐ、ぅぅぅっっ……!」
 空色の光焔を纏うヴォーパルソードが、フルスロットルのアーマーごと、その胸元に深い傷を刻む。そのままの勢いで、すれ違うように通り過ぎて。
「さぁ、離脱するわよぉ!」
「はいっ……後は他の皆さんに託しますっ……!」
 傷ついたフルスロットルを守るように、新たに生み出されるレイダー。その反撃を受ける前に、2人は嵐から逃れていく。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

シャーリー・ネィド
【かまぼこ】
希望も何もかも奪おうとするキミには海賊の美学なんて理解できないだろうね
ま、その頭じゃ無理っぽそうだけど
行くよ、ウィーリィくん!

【気合い】と共に【エクストリームミッション】を発動させ、スラスターノズルの噴射で猛毒の嵐を【吹き飛ばし】ながら猛スピードで飛行し、オブリビオンの軍団を【空中戦】で頭上からビーム銃と熱線銃の【乱れ撃ち】+【範囲攻撃】+【弾幕】+【クイックドロウ】で蹴散らしながら真っ直ぐボスの元を目指す
硬い装甲だけど、生身の部分と融合しているならどこかに継ぎ目はあるはず
【視力】+【見切り】でそこを探して発見したら【スナイパー】+【鎧無視攻撃】+【クイックドロウ】でそこを狙って熱線をピンポイントで集中攻撃

お望み通り、キミの意思に全力で抗ってみせるよ!


ウィーリィ・チゥシャン
【かまぼこ】
こいつが災禍の中心か。
流石に厄介な相手だけど、シャーリーと一緒ならやれる。
この世界に生きるみんなの為に、この嵐を止めてみせる!

オブリビオンストームを自前の【毒耐性】と大包丁の【衝撃波】の【範囲攻撃】で切り裂きながら進み、向かい来るレイダー軍団はその動きを【見切り】ながら敵群に飛び込み【地形の利用】と【フェイント】、【ダッシュ】でやりすごしながら同士討ちを誘いながら突破。
同時に【物を隠す】でそれに紛れてフルスロットル・ヴォーテックスに接近。
奴が気づかない隙に全身のアーマーの継ぎ目を【見切り】、そこを狙って【早業】の【鎧無視攻撃】で炎の【属性攻撃】を付与した【料理の鉄刃】を【二回攻撃】で叩き込み、生身の身体に斬りつけ、焼き切る。
「料理は魔法! 元気も、笑顔も、そして明日も作り出す!」



「こいつが災禍の中心か……流石に厄介な相手だけど、シャーリーと一緒ならやれる」
「うん。一緒に行こう、ウィーリィくん!」
 恐ろしき嵐を前に、互いの存在を確かめ合う事で闘志を高めるウィーリィ・チゥシャン(鉄鍋のウィーリィ・f04298)と、シャーリー・ネィド(宇宙海賊シャークトルネード・f02673)。
 2人の肉体がオーバーロードの力を得て、真なる力を引き出されていく。
「ああ。いくぞっ、まずは……こうだっ!」
 その力に身を委ね、大包丁を振りかぶるウィーリィ。振り下ろせば放たれる衝撃波が、嵐すらも斬り裂いていく。そうして開かれた道めがけ、サメ型パワードスーツを纏って突貫するシャーリー。
『砕け! 壊せ! 奪え!』
「海賊から奪えるものなら、奪ってみなよっ!」
 それを迎え撃って来るレイダーを、熱線銃で乱れ打ち、ビーム銃で薙ぎ払う。荒れ狂う竜巻の中で、自身が小さな竜巻となったかのように暴れ回る。
 事実、パワードスーツから吹き荒れるスラスターノズルの噴射は、まさに暴風。斬り裂かれた状態から元に戻ろうとする竜巻を、抉じ開け続ける。
『壊せ! 奪え! 殺せ!』
「させるかよっ!」
 そんなシャーリーを撃ち落とすべく、対空砲を持ち出してくるレイダー達。それを阻止すべく、ウィーリィも竜巻の切れ目を駆け抜け、大包丁で砲身を切り捨てる。
 嵐の纏う致死の毒は、完全には払い切れていないが、様々な食材を扱う料理人ゆえか、毒物に耐性がある。それでも、痛みは覚えるほどの強毒ではあるが、それで歩みを止める事はない。
『殺せ! 潰せ! 踏み躙れ!』
「っ、おっとっ……!」
 当然、レイダー達は、そんなウィーリィにも銃弾を向けて来て、それを戦車や兵器を上手く利用し、壁にして凌いでいく。
 その戦車がこちらを轢き殺そうとしてくれば、今度は上空のシャーリーが、戦車のキャタピラを熱線銃で撃ち抜いた。
「さあ、ウィーリィくんっ! このまま一気に……!」
「ああっ。駆け抜けるっ!」
 空はシャーリー、陸はウィーリィ。レイダー達を薙ぎ倒し、嵐の壁を抉じ開けて進む2人。
 スラスターを限界を越えて吹かし、幾度となく刃を振るって道を拓き――見えて来るのは嵐の壁の向こう側。
「汝らも、我らが定めた終点に抗おうとするか……」
「希望も何もかも奪おうとするなんて、許せないからねっ!」
 そこに待つフルスロットルは、突破して来た2人も動じる事なく、堂々と立つ。そんな彼の言葉に言い返しながら、熱線を叩きつけるシャーリー。
「無駄だ。我がヴォーテックス・アーマーを、そのような豆鉄砲で傷つける事など――」
「そいつはどうかなっ!」
 そしてフルスロットルの視線が上空を向いたその隙に、ウィーリィも一気に接近する。何度も大包丁を振るった腕も、防ぎきれない毒に蝕まれた身体も、痛みを発するが……その痛みをねじ伏せて、踏み込んで。
「こいつを……喰らえっ!!」
「ぐぅぅぅぅぅ……!」
 握った大包丁に纏う、強火の炎。料理人の魂を篭めた一撃が、鎧の継ぎ目を狙って叩きつけられる。その巨体を灼く斬撃に、声を漏らすフルスロットル。
「ふん、まだだ……」
「おっと、そこだぁっ!」
 相手は反撃とばかりアーマーからさらなる嵐を迸らせようとして来るが、今度はシャーリーが、やはり継ぎ目を狙って狙撃する。
 ピンポイントに防御の隙間を突いて、あらん限りの射撃でフルスロットルの動きを止めて。
「ウィーリィくん、今だよっ」
「ああっ、任せろっ……!!」
 そこへウィーリィによる、返しの斬撃。さらに刃が深く斬り裂き、その肉を鎧の内側から燃え上がらせた。
「ぐっ……海賊に、料理人如き……それが我に抗うか……」
「料理は魔法! 元気も、笑顔も、そして明日も作り出す!」
 苦悶の声を漏らしながらこちらを見下しそう言うフルスロットルに、ウィーリィは堂々と言い返す。料理人如きと言われても、彼は自分の仕事に誇りを持っている。
「だから、お前に明日は奪わせない。奪われたなら、また作ってみせる!」
「そうそう、キミには、料理人の誇りも海賊の美学も理解できないだろうね!」
 そしてシャーリーもそれに続き、胸を張って言い放つ。それからくすりと、からかうような笑みをぶつけてみせた。
「ま、その頭じゃ無理っぽそうだけど!」
「ふん……小賢しく囀る……!」
 別に、それに怒ったと言う訳ではないだろうが、フルスロットルは今度こそ、鎧から嵐を巻き起こす。新たなレイダー達が生まれ出せば、その攻撃を受ける前に大きく飛び退くウィーリィ。
「シャーリー、退くぞ!」
「うん、分かったっ!」
 2人は嵐の壁を再び裂いて、飛び込んで。それ以上の追撃を受ける前にフルスロットルから間合いを取り、離脱していく。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

蒼・霓虹
下らない御託はそれだけですか?貴方達が振りかざす理不尽、ここで全て打ち砕きますっ!

[POW◆プレボ込み]
【高速詠唱】UC発動
〈彩虹(戦車龍)〉さん共々
無敵の幸運の鱗装甲纏い

【オーラ防御&結界術&激痛耐性&毒耐性】で毒と攻撃に備え【悪路走破&推力移動&空中浮遊】で【操縦】し

【高速詠唱】で【属性攻撃(重力)】込めた〈レインボークローバー〉【弾幕】を【範囲攻撃】で弾幕展開【念動力】で遠隔操作

被弾は【盾受け&ジャストガード&受け流し】

【第六感】で【瞬間思考力&見切り】回避し

【高速詠唱&全力魔法】の〈アクアネオンストライク〉の【砲撃&レーザー射撃&貫通攻撃】で回りの敵ごと

[アドリブ絡み掛け合い大歓迎]


リーゼロッテ・ローデンヴァルト
※アドリブ絡み連携大歓迎
※【ナインス・ライン】搭乗

みんな案外しぶといモンさ
アンタじゃ滅ぼしきれないよ

◆SPD
致死性でも結局は毒
ならオペ45番【ノーブル・オブリゲーション】散布
嵐全体に混ぜて毒性を奪いつつ特殊領域展開で行動支援
毒の嵐は今やアタシら猟兵の追い風さね

◆POW
今更ザコが群れても無意味だよ
散開前に【ユピテル】の核弾頭で焼き尽くす
放射能は継続中ユベコで即除染♪

◆WIZ
あくまで嵐の機序で動くなら中枢は凪
【マトリクス・メモリ】で『ワープゲートの発生源』を
構築して直接間近へ侵攻、他の猟兵も通すよっ

後は両腕銃器・両肩ミサイル・両脛パルス砲で一斉射撃
デカいから当て易くていいね
…ココがアンタの終点だよ


露木・鬼燈
こいつはキツイ環境なのです。
余り長居はしたくないかな。
とゆーか生身は良くないと思うです。
ここはアポイタカラ搭乗していくのが良いかな?
更に結界を展開すれば生身より大分いいはず。
邪魔なレイダーは徹甲榴弾をばら撒いて処理。
速度と質量でひき潰すのもありだよね。
強風対策もアポイタカラでおーけー。
ダークネスウイングを細かく動かして風を受け流す。
まぁ、制御が大変なのでそこはオルトリンデにお任せ。
小型ブースターもあるし姿勢制御もバッチリ。
地面スレスレを飛行して進むですよ。
無風地帯に辿り着いたら必殺技の出番っぽい!
<天彗蹴撃>
今回は脚を包むようにダークネスセイバーを展開しての一撃。
アポイタカラは劔となるっぽい!



「こいつはキツイ環境なのです。あまり長居はしたくないかな」
 破壊に満ちた嵐を前に呟きを漏らす、露木・鬼燈(竜喰・f01316)。
「とゆーか生身は良くないと思うです、ので!」
 そこから身を守るべく鎧うは、キャバリア・アポイタカラ。さらにそこから、毒素を弾く結界を展開していく。
「これで生身よりは大分いいはず!」
「ま、そうだね。こいつがあれば大分助かる」
 リーゼロッテ・ローデンヴァルト(リリー先生って呼んでよ・f30386)も、重量級キャバリア・ナインスラインに搭乗する。機体から散布するのは、毒素除染用の特殊粒子。
「それに致死性でも、結局は毒。このアタシに治療出来ない筈もない、ってね」
 その粒子の動きを指向性ナノマシンによって制御し、嵐へと流し込む。後はその暴風に乗って勝手に全体に広がり、毒素を弱めていく。
「それじゃあ、霓虹達も……いきますよ、彩虹さん!」
 蒼・霓虹(彩虹駆る日陰者の虹龍・f29441)が騎乗するのは、戦車の竜。意思を持つそれが、彼女の声に応えて唸りを上げる。
 その身を守るように創造されるのは、虹龍の鱗装甲。纏えばその身を守るのは、無敵の幸運の力だ。
「この、無敵の幸運と、彩虹さんの力があれば……どんな嵐の中だってっ!」
「よし、それじゃあ行くっぽーい!」
 機械の力をその身に纏った3人の猟兵は、同時に嵐の中へと飛び込んでいく。先陣を切ったのは鬼燈のアポイタカラ、そこに襲いかかるレイダーの砲撃。
「砕け! 壊せ! 引きずり出せ!」
「それは困るっぽい!」
 機体の暗黒の翼を広げ、地面スレスレを飛翔してそれを回避する。さらに敵陣の合間を駆け抜けながら両腕のライフルから徹甲榴弾を次々と放って敵兵器を爆破して。
「邪魔者は処理していくですよ!」
「ええ。どんどんいきましょうっ!」
 霓虹も風を巧みに乗りこなしながら、自身の周囲に無数のクローバーを生み出す。それは幸運を圧縮し、実体すら得た輝き――虹色の三葉を前に、レイダー達の弾丸など意味をなさない。
「潰れてください!」
 さらにそのクローバーを敵へと降り注がせれば、篭められた重力が彼らを大地に押し潰した。ただひとひらの葉すら、戦車をも圧潰させる重みとなる。
「やれやれ、しかしキリがないね」
 そうして倒した端から、だがレイダー達はどんどん沸いて来る。無限の敵を生み出す嵐に、なんとも面倒くさそうにため息を漏らすリーゼロッテ。
「いくらザコが群れても、無意味だよ……2人とも、衝撃に備えて!」
 仲間に呼びかけると同時に、今まさに生じた軍勢めがけて大型バズーカを構える。ナインス・ラインの砲塔から放たれる弾頭が、レイダー達の中心に着弾し――。
「わっ、彩虹さんっ……!」
「おおう、これはド派手っぽい!」
 生じる核爆発が、全てを吹き飛ばした。霓虹は慌てて彩虹にしがみつき、鬼燈もアポイタカラを翼で制御する。
「よし、それじゃあ、また沸いて出る前に、一気にいこうか」
 邪魔者がいなくなった所で、目の前にワープゲートを開く。座標をストームの中心に開くと、3人でそれを潜り抜け。
「む……?」
「さあ、まずは僕から行くっですよっ!」
 その出口から、まずいの一番に飛び出してくるのは、アポイタカラ。機体にサイキックエナジーの光剣を纏い、フルスロットルへと急降下していく。
「アポイタカラは劔となるっぽいっ! アポイタカラ・キィィィック!!」
「むぅぅんっ……!?」
 キャバリアの巨体と重量、加速と落下速度、あと気合と声量も篭めた強烈な一撃が、相手に深々と突き刺さる。血しぶきを噴き上げ、呻きを漏らすフルスロットル。
「滅びを受け入れぬ者どもめ……」
「みんな案外しぶといモンさ。アンタじゃ滅ぼしきれないよ」
 さらにそこへナインス・ラインも、ありったけの兵装を一斉発射。大型ライフルに多弾頭ミサイル、両脛からはパルス砲まで、あらん限りの火力を叩き込む。
「デカいから当てやすくて良いね……さあ、ココがアンタの終点だよ」
「ッ、否……終点を迎えるのは汝らだ、我らがそう定めた!」
 さらに血を噴き上げ、鎧のあちこちをひび割れさせながら、しかしフルスロットルは倒れない。咆哮するように叫び、新たなレイダーを生み出して――それを、キッと睨みつける霓虹。
「下らない御託はそれだけですか?」
 押し付けられた終末など、受け入れるものか。その怒りを魔力に篭め、宝玉型の魔法弾を作り出し。
「貴方達が振りかざす理不尽、ここで全て打ち砕きますっ!」
「ぬ、ぐぅぅっ……が、はっ……ま、だだ……我は斃れぬ……!」
 光と共に打ち出された絶対零度の水流が、生まれたレイダーごとフルスロットルを貫いた。さらに傷口を広げ、苦悶の血を吐き出すフルスロットル。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

播州・クロリア
凄まじい…これほど攻撃的なリズムは初めてです
感じ取るだけで破壊されてしまいそうになる
これに抗う方法はただ一つ
ダンスしかありません
(オブリビオン・ストームの前で肩幅ほどに足を開き、両手で太ももをなぞりながらゆっくりと上体を起こした後{紅焔の旋律}で『ダンス』を始める)
目の前に死が迫っているのに
逃げも隠れもせず踊り続ける
踊りたいからという欲望の炎が
私を前進させるのです
(『オーラ防御』で『毒耐性』の効果を付与したオーラのバリアを身に纏い{紅焔の旋律}で生み出した炎を纏った『斬撃波』を蹴りと共にオブリビオンに叩き込む)
破壊しか喜びを知らないなら「教導」して差し上げます
踊ることは喜びであると
そして破滅を望むのであれば
せめて踊りながら死ねる喜びを
嵐から生まれたオブリビオンの貴方に
そして他の方々に教えてあげてください
この喜びを
(UC【蠱の慶び】を発動し、倒したオブリビオンによる自爆攻撃の連鎖を起こさせる)
無限の慶びで生まれた爆風が嵐をかき消したら
その源を欲望の炎で燃やし尽くして差し上げましょう


黒玻璃・ミコ
※真の姿:黒騎士な美少女勇者

◆行動
ほーう、九大の一角とは言え
崩壊世界を破滅に導く存在に相応しい威容
とは言え永遠の稀人である私の歩みを止められる筈がないのですよ

賢いミコさんは閃きました
オブリビオン以外には致死毒となる嵐が立ちはだかるなら
死さえ生温い激痛をもたらす毒を調合し服用しておけば
毒が牽制し合うカクテル効果で戦闘中ぐらいは何とか持つのでは?と
毒を以て毒を制すと言うアレです、戦闘終了後の反動が怖いですがブッ込みますよ

オブリビオンレイダー軍団も雲霞の如くやって来てますが入れ食いですね
何しろ私を中心にヤバい毒塗れの体液が現在進行形で飛散してますからね
死神の誘い……私から遠慮なく奪って骸の海に還ってくださいね

何より厄介なこの嵐
痛覚とか色々な感覚がふっ切れてる今なら大地に四肢を楔の様に打ち込みつつ
一歩ずつ進めば吹き飛ばされないことに気づきましたよ
泥臭いですけど倒れるのが先か、辿り着くのが先かの我慢比べですね

最後は【黄衣の秘印】で決戦兵器としての双剣の封印を解いてぶった切ります

※連携&アドリブ歓迎


ユーフィ・バウム
これこそこの崩壊世界を生み出した源ですか
ならばこそ。これを乗り越える!

自慢の【オーラ防御】で体を包み込み、
猛毒をなるべく体に影響を及ぼさないように

そして風の【属性攻撃】を纏う武器を
【なぎ払い】、【衝撃波】を見まいつつ
レイダーたちを蹴散らすと同時に、
風でこちらへのストームを吹き飛ばしつつ進む

そして迅速な行動を!【ダッシュ】で
フルスロットルの間合いまで入ります。

【グラップル】で組み付き、肉弾戦をっ!
【功夫】を生かした打撃で、【鎧砕き】の打撃をねじ込みますが

ストーム対処で自慢のオーラ防御を使っているため、
攻撃を凌ぎきれないでしょうか…
【激痛耐性】で堪え、戦っていきますが

「きゃぁぁっ!」
ついに強烈な一撃に屈し、悲鳴を上げ倒れ込みます

けれど
けれど負けることはない!
至れオーバーロード、《真の姿:蒼き鷹》を解放ッ!
人々の、やっと掴める明日がそこにある
ならば、何度でも【限界突破】してみせましょうっ!

フルスロットルに組み付き、めいっぱい【力溜め】た
《蒼翼天翔》の一撃で、マットという地面に叩き込みますわっ!



「凄まじい……これほど攻撃的なリズムは初めてです」
 暴虐の嵐の威容を前に、息を呑む播州・クロリア(踊る蟲・f23522)。全ての事象を色とリズムで感じ取る彼女だが、目の前のリズムは、感じるだけで身体がバラバラになりそうとすら思えてくる。
「これに抗う方法はただ一つ……ダンスしかありません」
 頷いたクロリアはそのストームの前に肩幅ほどに足を開いて立ち、風の柱を真っ直ぐに見据える。両手で太腿をなぞりながら、ゆっくりと上体を起こしていき。
「さあ、今こそ……私の中の情熱のままに……!」
 そして彼女は、言葉の通り、情熱に身を委ねて踊りだした。激しく燃え盛るような、炎のリズム。
 目の前に死の象徴が迫っていようとも、逃げも隠れもしない。ばかりかその死の中に、自ら足を踏み入れる。
「私は! 踊りたいから! 踊るのです!」
 その欲望のままに、ただ激しく舞うクロリア。するとその身体から、赤いオーラが立ち昇る――その肉体が、限界を超克(オーバーロード)する。
 巻き起こる風を、命蝕む毒を、沸き起こる紅焔が阻んでいく。
『壊せ! 殺せ! 潰せ!』
「ああ、あなた方は、破壊しか喜びを知らないのですね」
 そんな彼女の前には当然、風と毒のみならず、レイダー達は立ちはだかる。ただ破壊の為だけに生み出された彼らに、クロリアは踊りながら、哀れみの視線を向けた。
「ならば『教導』して差し上げます。踊る事は喜びであると」
『潰せ! 砕け! 殺――がっ!』
 こちらに銃口を向けるそのレイダーに、蹴るような動きのダンスを披露する。その足から放たれる紅焔は、斬撃となって飛び、相手の身体を両断した。
『燃やせ! 殺せ! 焼き尽くせ!』
 だが、仲間が殺された所で、今更レイダーが止まる筈もない。次々と銃口を、戦車の砲塔をクロリアに向けてくる。
 無論、それらを踊りと共に葬っていくが、敵は無限と湧き出して。
「はあああっ!」
『っ……!』
 そこへ、嵐とはまた違う突風が、勢いよく叩きつけられた。荒れ狂う衝撃が、レイダー達を蹴散らしていく。
「これこそ、この崩壊世界を生み出した源ですか……」
 その風を起こしたのは、ユーフィ・バウム(セイヴァー・f14574)。銀髪の愛らしき蛮人は、巨大な斧を振り回し、次々と突風を巻き起こす。
 武器に組み込まれたエンジンもフル稼働で唸りを上げ、戦車をも噴き散らして。
「ならばこそ。これを乗り越える!」
 このストームの中では、彼女は本当にちっぽけな存在で、だがなればこそ、引く訳にはいかない。もはや風を巻き起こすと言うより、自らが風となり、立ちはだかる者を吹き飛ばしていく。
 それはさながら、大きな嵐の中の小さな嵐。その身を蝕む毒も、僅かな布地がもたらす抗魔のオーラで耐え、足を止める事なく前進する。
「どんどんいきますよっ。退いてくださいっ!」
「さて、この程度では、永遠の稀人である私の歩みを止められる筈がないのですよ」
 黒玻璃・ミコ(屠竜の魔女・f00148)もまた悠然と、嵐の中を進んでいく。愛らしい少女の姿ながら、その一歩一歩は、まるで大地に楔を撃つかのように重い。
「賢いミコさんは気づきました。しっかりと、一歩ずつ進めば吹き飛ばされないと」
 若干脳筋めいた理論に聞こえなくもないが――実の所、ミコがしている事は、そんな生易しい事ではない。彼女は致死の嵐を耐えるため、自らに致死の毒を服用している。
「毒を以て毒を制す、ですよ」
 死さえ生温い激痛をもたらす毒と、生者の存在を許さない毒。2つが混じり合う事で互いの効果を牽制し、その効果を抑制する。当然、それは無茶すぎる対策だs.
 そのバランスを少しでも誤れば、待っているのは死だ。ついでに言えば、バランスを誤らずとも、この戦いが終わる頃には恐ろしい反動が待っているだろう。
「まあ、戦いが終わるまで持てば良いんですよ」
 だがその極限状態が、彼女をオーバーロードさせる。漆黒の鎧を具現化し、勇者は死を恐れずに前に進む。
「あ、でも私に近づかないでくださいね。でないと……」
『奪え! 砕け! 殺――』
 そしてそんな彼女に近づく者は、もれなくその死毒によって消滅する。混じり合った毒の体液が、周囲に飛散し、迫るレイダー達を殺戮する。
「ああ、やっぱり。まあ、折角です。私から遠慮なく奪って骸の海に還ってくださいね」
 いや、レイダーばかりか、その装備や、戦車すらも溶解させていく。まるでそれは、死に誘う死神が如く。彼女の歩みを阻む者は、もはや何もない。
「まあ、後は、私が倒れるのが先か、辿り着くのが先かの我慢比べですね」
 無論、それは彼女を苛む毒を除けば、の話だが。それでも歩みを止めず、真っ直ぐに突き進むミコ。その視線の先に、嵐の中心を見据え続ける。
「お前達もまた、終点を望まぬか……」
「当然ですっ! わたし達は、こんな所で立ち止まれないっ!」
 そうして進んだ先、嵐の中心で猟兵達を待ち構える、フルスロットル。その姿を見るなり、まずユーフィが地を蹴って間合いを詰める。取り回しの悪い斧は捨て、その巨体の懐に入り込み、相手の巨体へ繰り出すは渾身の拳。
「だから、あなたを打ち砕いて、未来へ進みますっ!」
「ぬぅぅぅ……!」
 大地を踏みしめ、鎧を打ち砕くような一撃がフルスロットルの巨体に叩き込まれる。深い呻きを漏らし、揺らぐ巨体。
「その程度では……この終点は越えられぬ!」
「っ!? きゃぁぁぁっ!?」
 だが、倒れない。彼はその巨体で大地を踏みしめ、鎧からオブリビオン・ストームを噴き上げる。
 必死に踏ん張るが、為す術なく宙へと巻き上げられるユーフィ。錐揉み回転の末、受け身も取れずに地面に叩きつけられる。
「あ、ぐっっ……!」
「さあ、貴様にも死の安寧を与えよう」
 地面に倒れ、動けぬユーフィ。そんな彼女へと、新たに生まれたレイダーが銃口を向ける。
 立て直すにはまだ、ダメージが大きい。倒れた彼女へと――。
「破滅を望むのであれば、せめて踊りながら死ねる喜びを」
「むぅぅっ!?」
 その弾丸が放たれる前に、生じる大爆発。それがレイダーと共に、フルスロットルを爆炎に包み込んだ。
「この喜びを、他の方々に教えてあげてください」
 その爆発を生み出したのはクロリア――と言うのは正確とは呼べないか。爆発を起こしているのは、彼女が従える人型の昆虫。
「何より、嵐から生まれたオブリビオンの貴方に」
 そして、その昆虫の元となったのは、彼女が断ち切って来たレイダー達だ。生まれた途端に命を落とした者達を、彼女は従え、踊らせ、そして爆ぜさせる。
「喜びは、新たな慶びを。無限の慶びが、貴方を包みましょう」
「ぐぅぅっっ……」
 残酷とも思えるその戦術だが、クロリアはそれを、悪いとは思わない。むしろ心の底から、彼らの喜びを幸せを願う。踊る事が、彼女の全て。踊りながら死ねるなら、それは幸せ。彼女はそれを、信じて疑わない。
「この程度で……我を倒せると思うな……!」
「ならばっ……ならばそれは私も同じですっ!」
 その爆発にも斃れぬフルスロットルを前に、ユーフィもまた、意地で立ち上がる。ふらつく身体を支え、その身体の奥底より力を振り絞る。
「人々の、やっと掴める明日がそこにある。ならば……至れ、オーバーロード!」
 そうして彼女は、蒼き鷹へと姿を変える。蛮人から令嬢へ、完全に異なる姿となった彼女は、フルスロットルに真っ向から組み付いた。
「さあ、いきますわよっ! おぉぉぉぉっっ!」
 相手はこちらの3倍以上もある巨体。組み付くと言っても、足にしがみつく程度にしかならない。
 だが、その体格差は、諦める理由になどなろう筈もない。限界を超克し、彼女は雄叫びと共に力を篭めて。
「ぬぅぅっ!」
 そして巨体が大地から浮き上がる。さしものフルスロットルも、驚きを隠さず、目を見開いた。ユーフィはそのまま、その身体を頭上へと持ち上げて。
「いきますわよっ……ブルーバード・ボムッ!!」
「がっ……!!」
 渾身の力で叩きつければ、轟音が響き、呻きを漏らすフルスロットル。立ち上がろうとするが、そこに人型昆虫が殺到し。
「さあ、嵐の源を欲望の炎で燃やし尽くして差し上げましょう」
「ぐぉぉぉっっ!?」
 情熱的な踊りと共に、さらなる炎と爆発を生じさせるクロリア。それは嵐から生まれたレイダー達を、嵐を産んだ者へと還すかのよう。
「まだだっ……我は……斃れぬ……!」
「流石は、九大の一角とは言え、崩壊世界を破滅に導く存在に相応しい威容ですね」
 それでもなお立ち上がろうとするフルスロットルの前に、ようやく嵐を抜けたミコが立つ。真っ直ぐに相手を見据えながら、その手に構えるは光の両剣。
「なればこそ、全力を尽くして、貴方を葬りましょう」
 腰を落とし、剣を構え、黄衣の秘印を解放する。限界を越えた究極の一を、その剣の光へと宿す。
 それは、彼女の決戦兵器。オブリビオン・フォーミュラを断つ、そのための、そのためだけの、力。
「――ここが、あなたの終点です」
「っ……!」
 光が、奔る。一閃が、ただ静かにフルスロットルを通り抜ける。それに少し遅れて、巨体に、光の線が走り。
「我が……ヴォーテックスが、滅びる、か……!」
 そうして。災渦の主は、地響きと共に、大地へ崩れ落ちた。

「終わったー!」
 元の姿に戻り、地面に倒れ込むように身体を投げ出すユーフィ。喜びもあるが、しんどかったと言う思いも強い。
 ミコに至っては毒の反動で、フォーミュラを討った喜びどころではない。声も上げられない。
「ふぅ。よく踊りました」
 クロリアだけが、心なし満足げに立ち、周囲を見回す。先程までの恐ろしいリズム(あらし)は過ぎ去り、レイダー達も跡形もなく消えた。代わりに、太陽の輝きが降り注ぐ。
 晴れ渡る青空は、果たしてこの世界の未来を指し示しているのか。それは……まだ分からない。だが、この世界は明日も、その歩みを止める事なく、続いていく――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年09月20日


挿絵イラスト