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アポカリプス・ランページ⑧〜虚妄の隣人

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 セントメアリー・ベース。カナダとの国境にほど近い場所に存在し、人々が比較的平和に共同生活を送っている巨大拠点の名だ。
 アポカリプス・ランページの戦いを続ける猟兵たちは、進軍の途中、その拠点を訪れていた。

「いやー平和で何より……とも、言ってらんなくなってきたわけ」

 アザレア・シエヴェール(羽衣人のスカイダンサー・f32749)は困ったように眉を寄せ、拠点で暮らす人々に視線をやりつつ声を潜めた。

「まだみんな気づいてないみたいなんだけどさ、どうも、ここの住民の中に敵が混ざってるらしいんだよな」

 巨大な拠点ゆえに、ここには避難者たちも多く訪れる。それに混ざって内部に侵入する者もいれば、もっと乱暴に、本物の住民を殺してこっそりと成り代わっている者もいるのだという。
 彼らは今はまだ、普通の人間のふりをして平和な暮らし続けているが、いずれはこの拠点の破壊のために行動を起こすだろう。

「てことで、それより先にそいつらをぶちのめしちまおう……って話になります」

 ただし、とアザレアは続ける。

「さっきも言った通り、奴らは見た目は人間そっくりで、住民として暮らしてるんだ。それを大々的に知らせちまうと、本当の住民たちに無用な疑心暗鬼を引き起こしかねない。なるべくこっそり片をつけてくれ」

 それとなく人々の様子を見て回り、怪しげな人物がいればマークする。オブリビオンと連絡を取り合っている証拠や現場を押さえ次第排除、という流れだ。

「証拠とかなくても、怪しいの殴ればいいと思うじゃん? 意外といるんだわ、怪しい普通の人」

 人口数が多い場所の宿命である。まあ敵じゃなきゃ人それぞれだし……と肩をすくめながら、アザレアは猟兵たちを送り出すのであった。


posso
 はじめましてこんにちは、possoと申します。
 こちらはアポカリプス・ランページの戦争シナリオです。
 一章しかなく、完結までに必要な🔵数も少ないため、早期の〆になる可能性もございます。
 プレイングをいただいた方はできる限り採用できるよう頑張りますが、不採用となってしまう方が出てしまったら申し訳ありません。

 ★プレイングボーナスは『住民に敵の存在を気付かせないよう調査を行う』となっております。

 なるべく目立たないように情報を収集し、間者を見つけ出してください。
 敵を探すための工夫や、秘密裏に行動するための工夫などをしていただきますと、成功しやすくなります。

 複数人でいらっしゃる場合には、全員がそうとわかるような共通の記載をお願いいたします。
 失効日も揃えていただけますと、よりありがたく存じます。

 皆様のプレイングをお待ちしております。
 この度もどうぞよろしくお願いいたします。
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第1章 冒険 『ヒドゥン・エネミー』

POW   :    拠点周辺を歩き回り、怪しい人物を探す

SPD   :    人目につかないように行動し、情報収集する

WIZ   :    避難者のふりをして住民達に話を聞く

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

栗花落・澪
一旦どこかに隠れて【指定UC】
召喚した分身達(虫並みに小さい)をバラバラに散開させる
急がなくていいから、こっそり人々を監視して
怪しい人を見つけ次第共有してくれるかな
不審な行動が特に多い人に張り込みに行くよ

僕自身も念のため翼は収納して普通の人間に擬態
敢えて普通に歩いて雰囲気に溶け込むよ
話しかけられたら笑顔で対応
あ、ごめんなさい。僕姉を待たせてるからそろそろ行きますね(嘘だけど)

間者と確信したら分身をこっそり首元に貼りつかせ
【催眠術】を乗せた【歌唱】で人気の無い場所に誘導
待ち伏せしたうえで、片手に集めた魔力で雷の【属性攻撃】
ちょっと強力なスタンガンの要領で痺れ倒します
ごめんね

※連携、アレンジお任せ



「急がなくていいから。こっそり人々を監視して、怪しい人を見つけ次第共有してくれるかな」

 ユーベルコードで生み出した、小さな虫ほどのサイズの分身たちに、栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は語りかけた。
 彼と同じ姿をした分身たちは、無邪気な微笑みを浮かべながら頷くと、飛び立ち拠点のあちらこちらへと散っていく。
 それを見送ると、澪自身もまた行動を開始した。目立つ翼は収納し、ここで暮らす一般人のフリをして、怪しい人物がいないかを見て回るのだ。

「おや、あんた新しく来た人かい?」

 その途中、路上で話しかけてきた中年の男に、澪は笑顔で答える。

「あ、はい。少し前からこちらでお世話になっています」
「そうかそうか。ここまで大変だったろ。ここは平和だから安心しな、お嬢ちゃん」
「おじょッ……」

 男の言葉に、一瞬絶句する澪だったが。そのとき男の背後に、周囲を確認しながら歩く不審な人影を発見した。
 それは一見、質素な服を身に纏った地味な女性だが、その眼光はいやに鋭い。彼女は足早に、建物の並ぶ狭い路地へとその身を滑り込ませると、その先へと歩き去っていった。

「ごめんなさい。『僕』姉を待たせてるからそろそろ行きますね!」

 目の前の男へと、『僕』を強調して言い放つと、澪は近くを飛んでいた分身を呼び寄せ、女性の後を追って路地へと踏み込む。
 そこで、彼は見た。その女性が、丁度建物の陰となる場所にあった拠点の外壁へ、爆発物らしきものを仕掛けているところを。

(あれは間違いないね)

 破壊した壁から、仲間のオブリビオンを招き入れる算段なのだろう。再び周囲を警戒しながら去って行く彼女の首元に分身を張り付かせると、澪はまず爆発物を回収した。
 その間に女性についた分身は、彼女の耳元でこっそりと歌った。催眠術を乗せた歌唱が密やかに間者の精神へと滑り込み、ゆっくりと人気のない場所へと誘導していく。
 そして――

「ごめんね」

 声と共に、光が弾けた。
 背後から魔力の雷に打たれた女性は、声もなく震えて倒れ伏す。分身を自らの待つ場所へ呼び寄せた澪が、待ち伏せの一撃を加えたのだ。
 これでまずは一人。女性を素早く捕らえた澪は、分身たちからの次なる報告に耳を澄ませた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

藤・美雨
せっかく平和な場所なのに、それを荒らそうとするなんて
なんて不埒な輩だろう
さっさと見つけてとっちめたいけど……どうしようかな

ごくごく普通に訪れた人のフリをして拠点を歩き回ってみよう
『防護用の外套』を着てればそれっぽいかな?
「怪しいやつがいる」って聞いたらみんな怪しく見えちゃうよねぇ
だからこそこっちは堂々と
ニコニコ笑顔を浮かべて楽しそうに進んでいく

物陰でコソコソしたり不審な動きをしている人がいればマークしよう
滾れ私の【野生の勘】!
今までの情報、ここまでの状況を踏まえあいつが怪しいかを推理するんだ
ニコニコしてた分、勘も冴え渡らないかな?

これを繰り返し、確かな証拠を掴んだら犯人確保
だいしょーりって訳!



 せっかく平和な場所なのに、それを荒らそうとするなんて。なんて不埒な輩だろう――藤・美雨(健やか殭屍娘・f29345)は、まだ見ぬ間者へ向けて、密かな怒りを抱いていた。

「さっさと見つけて、とっちめてやらなきゃ」

 とはいえ、今のところまだ手がかりはない。猟兵という素性を隠しつつ、地道に歩き回って情報を収集する他ないかと、彼女は防護用の外套を羽織って拠点を歩いた。
 怪しいやつがいる、などと聞けば、みんな怪しく見えてしまうものだ。だからこそ美雨は堂々と、笑顔を浮かべて進んでいく。
 『笑う門には福来たる』。彼女のユーベルコードでもあるその笑顔は、確かに幸運を招き寄せるのだ。

「そういえば最近、隣の爺さんを見ないのよねえ」
「あら本当? 前に足が悪くなってきたって言ってたし、ちょっと心配ね。様子見に行く?」
「あ、爺さんならさっき向こうの通りで見たぞ? 割と元気そうだったから平気じゃねえか」

 それは物々交換市場で聞こえた、ふとした世間話であった。だが話の内容に引っかかりを覚えた美雨は、その話の通りへと静かに駆け出す。
 そして見つけた。杖を突いた老人が一人、ゆっくりとどこかへ向かっているのを。

(滾れ私の野生の勘!)

 彼の後ろをマークしながら、美雨はその一挙一動に目を光らせる。 
 彼女の冴え渡る勘は、老人の姿に違和感を覚えた。杖こそ突いているものの、足を悪くした老人の歩き方には見えない。彼はよろめくこともなく、人の少ない方へ少ない方へと進んでいるようだった。
 やがて彼は、使われていない廃屋へと入っていく。更に後を追った美雨の目に、飛び込んできたのは――

「犯人確保!!」
「!?」
「なっ、猟兵……ぐわっ!?」

 その廃屋に潜んでいたオブリビオンと、先ほどの老人――恐らくは、彼もオブリビオンの化けた偽物だろうが――が何事かを話している姿を見た美雨は、躊躇わず飛び込んでその怪力で彼らを殴り飛ばす。
 さほど強力な相手でもなかったらしく、不意打ちを受けた二人は、すぐに床に伏して動かなくなった。

「よし、だいしょーり!」

 一仕事を終えた美雨は、満足げに呟くのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

七那原・望
証拠を探すにしても、現行犯で叩くにしても、わたし一人で探すのは骨が折れるのです。
人手を増やしましょうか。あまり人々に違和感を持たれないような人手を。

アマービレでねこさんをいっぱい呼んだら二匹一組のコンビで街中の監視をしてもらうのです。
特に路地裏や潜伏しやすそうな建物は厳重に監視を。

オブリビオンと連絡を取り合ってる場面を見つけたり、証拠を見つけた場合はコンビの片方には監視を続けてもらい、もう片方にはわたしに連絡してもらうのです。

ここにいるのですね?結界術での防音はもう済ませてるのですね。流石です。

手早く乗り込み、逃げられる前に世界で飲み込みます。

出てくる気配はないですね?お仕事終わりなのです。



 七那原・望(封印されし果実・f04836)は、開けた道で鈴のついたタクトをしゃらりと振った。

「証拠を探すにしても、現行犯で叩くにしても、わたし一人で探すのは骨が折れるのです」

 だから、人手を増やしましょうか。
 白いタクト――アマービレの力で、望の前には次々と魔法猫が召喚されていく。なに? なに? と言いたげに彼女を見上げる『友達』へと向けて、望は頼み事を口にした。

「街中の監視をしてほしいのです。特に路地裏や潜伏しやすそうな建物は厳重に監視を。怪しい人やものを見つけたら、わたしに連絡してください」

 彼女の言葉を理解したらしき猫は、二匹一組で行動を開始する。
 周囲には気を払っている間者も、何食わぬ顔で歩く猫にまでは警戒していない。
 一人の青年が路地裏へと入り、通信機でオブリビオンに連絡をしているところを発見した二匹の黒猫は、片方を残して望の元へと駆け戻った。

「見つかったのです?」

 にゃーんと鳴いて訴える猫に連れられ、彼女は裏路地へと急ぐ。残った方の一匹は裏路地に結界術を張り、既に周囲の防音を済ませていた。流石です、と頭を撫でてやってから、望は間者の元へと乗り込んだ。

「っ!? なんだ、おまえは!?」

 突然現れた少女を見て、彼は慌てたように立ち上がる。だがその時には既に、望のユーベルコードは発動していた。

「これがわたしの知る世界の在り方。お前に問います。世界に希望はあるか。それは、どのような物か。答えられる物なら、答えてみなさい!」

 突然の問いに、男はうろたえ、答えを返すことができない。
 すると、不意に彼の周囲の空間が歪んだ。何もないはずの場所から、悪意と絶望に満ちた疑似世界が染み出してくる。
 それは瞬く間に男をその内に飲み込み、この世のありとあらゆる悪意でもって、彼を苛んだ。
 ――やがて、周囲に静寂が訪れる。

「出てくる気配はないですね? お仕事終わりなのです」

 そう一言呟き、視界以外の五感で間者の気配が消えたことを確認すれば。猫を連れた少女は、音もなく路地裏を後にした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

柊・はとり
怪しい普通の人すげえ知ってる
俺が遭遇する殺人事件の容疑者によくいるタイプ
大抵発言や行動がいちいち怪しいだけで無害なんだよな

まあそんな背景もあるんで
怪しい普通の人か本当に怪しい奴かは
UCと第六感で判定できる自信はある
本当に怪しい奴こそ一見善良な人間を装っている事が多い
拠点を訪れた旅の奪還者って顔しつつ
街をぶらぶらしながら情報収集
怪しい普通の奴もどんなのがいるのか気にはなるな…

人の嘘は表情に現れる
わかりやすい物は目が泳いだり瞬きが増えたりだな
一見拠点に溶け込んでいるように見えるが
無意識に居心地悪そうな動きをしている奴に注目
距離を置いて自然に歩きながら
怪しまれない程度に追跡
決定的な現場を押さえてやる



「怪しい普通の人すげえ知ってる。俺が遭遇する殺人事件の容疑者によくいるタイプ」

 大抵発言や行動がいちいち怪しいだけで無害なんだよな、と。過去の事件のことを思い返しながら、柊・はとり(死に損ないのニケ・f25213)は呆れ混じりに呟いた。
 しかし。そういった状況を幾つも経験しているからこそ、彼のユーベルコードと第六感は、怪しいだけの人間と、本当の意味での『異質』な人間を判定するだけの力を持っている。
 
(本当に怪しい奴こそ一見善良な人間を装っている事が多い)

 拠点を訪れた旅の奪還者を装い、あちこちを歩いて回りながら、はとりはさりげなく情報収集を行う。
 人の嘘は表情に現れるものだ。隠し事のある者は、目が泳ぐ、瞬きが増えるなど、無意識に落ち着かないような振る舞いをしてしまうことが多い。はとりは人々を観察し、そういった人物を探した。
 ――その途中、「私は関係ない! あの子が勝手に……!」と泣き出す女性(一般人)やら、「ヤツが動き出したというのか……?」と突然空を仰ぐ青年(一般人)やら、「今見たことは妻には内密に……」と懇願してくる壮年男性(浮気者)やら、『怪しい普通の奴』に次々と遭遇もしてしまったが、ひとまず今回の件とは関係ないので置いておく。
 そんな中でまた一人。どこにでもいるような中年の女性が、どことなく周囲を気にするような動きで歩いていた。
 距離を置いて自然に歩きながら、彼女の後を付けていくと、前方にひとつの井戸が見えてくる。彼女はさりげなくそこへ近づいていき――。

「そこまでだ」

 女性の隠し持っているものに気づいたはとりは、背後から彼女の腕を捕らえた。
 小さなカプセルが手からこぼれ落ち、井戸の脇の地面に転がる。恐らくは何らかの毒だろう。

「毒を撒いて混乱させ、騒ぎに乗じて仲間を呼び込むつもりだったんだろうが……残念だったな」

 この女性の正体も、当然ながらオブリビオンだ。他に人がいないと確認した彼女は正体を現し、彼の口を封じようと襲いかかる。
 しかしその行動も、はとりは既に見切っている。
 首を狙う一撃をかわした彼は、そのまま隙を晒した相手を、カウンターで叩き伏せるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ブラッツ・クルークハルト
広い拠点はそれだけ人の目を掻い潜り易い
敵にとっては好都合だろうな
奴らを追う俺達にとっても、だが

UC使用
周囲の無機物を変化させた
ワタリガラスの姿持つドローンで
上空からベース内の人々を監視、【偵察】
怪しい素振りを見せた者が居れば追跡させ
自分もその方へ向かう

俺自身もこの世界に暮らす人間だから
何気なく過ごす分には
不自然な振る舞いはしない自信はあるが
怪しまれたり、話しかけられたりしたなら
不審に思われないように対応しよう

…人間そっくりの、オブリビオンだったか?
間者を見つけ出して追い詰めたなら
すぐに排除して良ければ
アサルトライフルで急所を狙い、殺す
あるいは――
捕らえて、他の仲間の居場所でも吐いてもらおう



 広い拠点はそれだけ人の目を掻い潜り易い。
 それは敵にとっても、それを追う自分たちにとってもそうだ。そんなことを思いながら、ブラッツ・クルークハルト(隘路に・f25707)はワタリガラスのドローンを周囲へと飛ばした。
 それらは周囲の無機物を、彼の持つユーベルコードで変化させたものであり、上空から拠点の人々を監視し始めた。ドローンから送られてくる情報を頼りに、不審な人物を探し出すという算段である。
 ドローンの映像を確認していたブラッツは、やがて、一人の男性が奇妙な行動を取っているのを発見する。
 人目を避けるように歩いていた彼は、拠点の外壁へと近づき、そこに居た男と何事かを話し始めた。流石に音声までは拾えなかったが、壁に触れて何かをしようとしている風にも見える。

(こいつか?)

 ブラッツは自分の銃を確認すると、彼らの元へ足早に歩き出す。
 この世界に暮らす人間の一人であるブラッツは、この世界の人々の振る舞いもよく知っている。一般人に不審に思われないよう、急ぎながらもごく自然な動きで、人気のない外壁付近へと近づいた。
 やがて、彼の目は捉える。先ほどドローンで見たのと同じ二人組が、壁にこっそりと、壊れやすくなるような細工をしている様子を。

(……人間そっくりの、オブリビオンだったか? 遠慮することはなさそうだな)

 ブラッツはアサルトライフルを構え、物陰から男の一人に狙いを付ける。壁際に屈んだ男へ向けて放たれる銃弾は、狙い違わず彼の頭部を撃ち抜いた。

「え?」

 声もなく倒れた相棒を見て、もう一人の男が間の抜けた声を上げた。彼が仲間の絶命に気づくよりも先に、ブラッツはその足へ向けて再度銃の引き金を引く。
 わけもわからぬまま足を撃たれ、逃げることの出来なくなった間者へと、ブラッツはゆっくりと近づいていった。

「……さて、おまえには聞きたいことがある」

 この拠点に潜り込んだオブリビオンは、この二人だけではない。残る仲間の居場所を吐かせられれば、まとめて一網打尽にできるだろう。

「知っている全て、今すぐ吐いてもらおうか」

 うずくまる男の額に銃を突きつけ、ブラッツは静かにそう言った。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年09月17日


挿絵イラスト