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アポカリプス・ランページ⑮〜恐怖心に打ち勝て

#アポカリプスヘル #アポカリプス・ランページ #アポカリプス・ランページ⑮ #プレイング受付は9/29(水)23:59まで

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#アポカリプス・ランページ⑮
#プレイング受付は9/29(水)23:59まで


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●グリモアベースにて
「アポカリプスヘルの、戦争も、中盤、ですね。皆さん、お疲れ様、です」
 集まった猟兵たちにねぎらいの言葉をかけたのはアリス・トゥジュルクラルテ(白鳥兎の博愛者・f27150)。
「今回は、ミシシッピ川に、面した、消える、ことの、ない、『黒い炎』に、覆われた、草原で、『恐るべき敵』と、戦って、ほしい、です」
 恐るべき敵とは猟兵が知る恐怖の対象となる敵の幻影だ。幻影ではあるものの実体を伴っており猟兵たちに襲いかかってくる。それは過去に戦ったオブリビオンや本来は敵ではない最も恐れているものが敵となって黒い炎の中から現れるらしい。
「強い、恐怖心を、持った、まま、では、敵に、攻撃が、当たる、ないで、すり抜ける、です。でも、恐怖心を、乗り越える、ことが、できる、だったら、一撃で、倒す、ことが、できる、ですよ」
 恐怖心さえ乗り越えることができれば強い相手ではない。しかしそう簡単に乗り越えられないのが人の心。ある意味では強敵と戦うよりも辛い戦いになるかもしれない。
「でも、きっと、皆さん、なら、恐怖心に、勝てると、アリスは、信じてる、です! たくさん、大変な、こと、乗り越えて、きた、です、から。自分は、成長、したと、恐るべき敵に、見せつける、です!」
 アリスは猟兵たちを真っ直ぐに見つめて勇気づけるように微笑んだ。そして力強くうなずくと戦場へと転送したのだった。

●死の草原にて
 そこには何もなかった。ただ地表を黒い炎が草のように覆っている。不思議と暑くはない。
 猟兵たちがそこに足を踏み入れると炎の勢いが増す。その中に何かがいる。黒い炎が再び草のような高さへと戻ればその何かが姿を現した。
 そこにいたのは――。


彌厘
 これはアポカリプスヘルの戦争『アポカリプス・ランページ』のシナリオで、1章で完結する特別なシナリオです。
 プレイングボーナスは『あなたの「恐るべき敵」を描写し、恐怖心を乗り越える』です。シナリオの性質上プレイングボーナスを満たしていないプレイングは採用できませんのでご注意ください。
 プレイングはオープニング公開直後から受け付けます。あまり筆が早い方ではないため、人数が多い場合は全員採用できないかもしれません。その場合は判定結果が良いプレイングを優先して採用します。
 一撃で倒せるので、心情をたくさん書いて頂けると嬉しいです。
 それでは、素敵なプレイングお待ちしております!
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第1章 冒険 『恐るべき幻影』

POW   :    今の自分の力を信じ、かつての恐怖を乗り越える。

SPD   :    幻影はあくまで幻影と自分に言い聞かせる。

WIZ   :    自らの恐怖を一度受け入れてから、冷静に対処する。

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

栗花落・澪
奴隷時代、僕のせいで殺された人達の影
僕を救おうとして処刑された人
ご主人様の命で、滅びの前に送る偽りの希望として僕が向かった村の住人
僕は全て知っていたのに、笑顔の仮面を被って
与えられる優しさから目を背け続けていた

僕の罪悪感
逃げる権利なんてない
僕の罪、それは事実だから

でも…ごめんなさい

ポケットに入れた★お守りと★ネックレス
そして左手薬指に嵌めた薔薇の指輪に触れ

死んだらきっと、僕は地獄に落ちるのだと思う
でも、今はまだ約束があるから
けじめもつけずに死んで終わりなんて
それこそただの逃げだと思うから

断罪の時はいつか来る
だからそれまで僕は
生きて、償い続ける

【祈り】を込めた【指定UC】の【破魔】で幻影を祓う



●懺悔の祈り
 栗花落・澪(泡沫の花・f03165)の前に現れたのはごく普通の村民たちだった。首から血を流している以外は。
「あ……!」
 澪は彼らを覚えていた。忘れられるはずがない。自分のせいで彼らは殺されたのだから。
「信じていたのに……」
「どうして……?」
「人殺し……!」
 怨嗟の言葉を吐きながら覚束ない足取りでこちらに迫ってくる彼らを澪はただ何もできずに見つめていた。
 澪は幼い頃に捕らわれ奴隷にされていた。その時の主の命令で滅びる運命の村へ偽りの希望として差し向けられたことがある。その村の住人が彼らなのだ。
 突然訪れたにもかかわらず親切にしてくれた人たち。そして澪を救おうとして処刑されていった人たち。
(「僕は彼らがどうなるか知っていたのに、笑顔の仮面を被って与えられる優しさから目を背け続けていた」)
 仕方がなかったのだ。奴隷である澪に拒否権などなかったのだから。命令に背けばどんな目に遭うかなど考えたくもなかった。
 けれども。
(「これは僕の罪悪感の幻影だ。逃げる権利なんてない。助けられたかもしれないのにそうしなかった僕の罪、それは事実だから」)
 だから彼らには澪を殺す権利がある。
 幻影たちの手が澪へと伸びる。
「でも……ごめんなさい」
 澪はロングパーカーのポケットに触れた。そこには顔も知らない母からもらった魔除けのお守りと子ども用のネックレスが入っている。家族の記憶はないけれども自分が確かに愛されていた証だからいつも大切に持ち歩いているのだ。
 そしてそれらに触れる左手の薬指には薔薇の装飾が施された指輪がはめられている。それを目にするだけで澪の心は温かな気持ちでいっぱいになった。
「ずるい……」
「私たちだって、幸せになりたかった……!」
「……っ」
 自分の保身のために彼らを見捨てて彼らの未来と幸せを奪ったのだ。だから自分は死んだらきっと地獄に落ちるだろう。そうあるべきだとすら思う。
(「でも、今はまだ約束があるから。けじめもつけずに死んで終わりなんて、それこそただの逃げだと思うから」)
 今はまだ死ねないのだ。
(「断罪の時はいつか来る。だからそれまで僕は生きて、償い続ける」)
 悩み苦しみもがき続けながら一人でも多くの人を救って生きる。それが彼なりの償いだ。
 澪は手を組み琥珀の瞳を閉じる。そして償いの祈りを込めた破魔の光で幻影たちを浄化したのだった。
「ありがとう……」
 そう聞こえたのは幻聴か。澪の願望か。それとも……。

成功 🔵​🔵​🔴​

鳳凰院・ひりょ
アドリブ歓迎
WIZ

幼少期に俺を虐げていた人達、それが俺にとっての「恐るべき敵」
何度これまで乗り越えてきた、と思っては脳裏に浮かんでくるその時の恐怖、苦しみ

俺が無意識に使っていた聖者としての癒しの力
それを見た周りの人達が「悪魔付きの子」だとかそういって気味悪がって…
俺は物心ついた頃には孤児だったから、偶然村に立ち寄った神父の義父に引き取られるまでは辛い日々だった

今があるのはその時の経験があるからこそ、なのは頭でもわかっている
だけど…理屈じゃないんだ、この心の恐怖心は

でも、そんな時に俺の腕が温かくなる
そこにあるのは大切な人からもらったミサンガ
俺に一歩踏み出す勇気をくれ!
UCを発動し『敵』を刀で一閃



●ミサンガに掛けた願い
 鳳凰院・ひりょ(天然系精霊術使いの腹ぺこ聖者・f27864)の前に現れたのはごく普通の一般人たちだった。彼らはひりょを指さし口々に言う。
「悪魔付きの子だ!」
「近寄るなよ、悪魔がうつるだろ!」
「気味が悪いからさっさといなくなってよ!」
「っ……!」
 彼は息をのみ身を固くして立ち尽くす。
(「乗り越えてきたと思ってたのに……」)
 ひりょは幼少期に聖者の力を発現させた。そしてその日から彼の世界は一変した。聖者の力を見た者たちがひりょを恐れて『悪魔付きの子』と呼び虐げるようになったのだ。物心ついた頃には孤児だった彼を守る者はいない。罵られ無視され石を投げられる日々にたった一人で耐えた。
 そんな日々から彼を救い出してくれたのは偶然村に立ち寄った神父だった。彼はひりょを引き取り義父となってひりょを育ててくれたのだ。
(「今があるのはその時の経験があるからこそ、なのは頭でもわかっている。だけど……理屈じゃないんだ、この心の恐怖は。だって――」)
 その義父も病で亡くなりひりょは再び天涯孤独の身の上となった。もうひりょをここから救い出してくれる人はいない。
(「俺は……独りだ」)
「消えろ、悪魔付き!」
 幻影たちが石を投げつけてくる。
 ひりょはとっさに腕を顔の前に出して頭を守った。すると手首に結んだミサンガが目に入る。
「……違う」
 それは桃、黄緑、黒のリボンを編みこんで作られた【彩結祭の三色リボンミサンガ】だ。それが切れる日に願いが叶うという願掛けアイテムでひりょが好意を寄せる女性から贈られたものだった。
「俺は、独りじゃない」
 大切な人がいる。仲間たちがいる。もう独りぼっちではないのだ。
(「俺に一歩踏み出す勇気をくれ!」)
 ひりょは心の中で彼女の名前を呟くと疑似精霊を呼び出し【携帯型破魔刀】に宿す。それで自身を斬れば傷を癒し戦闘力が増強される。そしてダンッと力強く踏み込んで破魔刀を横薙ぎにして幻影たちを切り裂く。
「俺の願いが叶うのは、これからだから」
 破魔刀を鞘に納めた瞬間に幻影たちは跡形もなく霧散した。
「こんな所で立ち止まってはいられないんだ」
 そしてひりょはまた歩き出したのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ジミー・モーヴ
さってと。なにがでるかなー♪(遊び半分)

……あ゛ー……。
そっか。お前さんが出てくるのか……よぅ、久しぶり?

スラムでガキ同士つるんで
クソッタレの大人どもに使われ死にかけ
売ったり売られたりが当たり前だった頃。
政変か何かで落ちぶれ、クソの掃き溜めに紛れ込んで来た女
売られてきたそいつが、底辺の分際で偉そうな口を利くもんだから
さんざ揶揄っておちょくって遊んでやってたんだが

たまに、話してると冷や水ぶっかけられたような気分になった。
それが、確かに怖かったのかもしれないな。
俺らみたいのは野良犬みたいに死んでくのが当たり前なのに。
今更アンタみたいなのに人間扱いされてもな
殊更ひでぇことされてたみたいで、心が冷えてくんだよ。
ありがとうもごめんなさいも要らない。
心配なんかしてくれなくて良かったんだ。

お前さんなら、いつかもっとマシな場所に帰る……帰れと思ってたから。
あーあー。逃げてばっかりで悪かったよ。どつくなよ。

もう一度会えたらと思うが、残念だけど偽物なんだよな。

あー。心が痛むぅー。(嘯きながらショットガン接射



●心の鍵を開いて
 ジミー・モーヴ(人間の脇役の泥棒・f34571)は自分自身の恐るべき敵が何なのか気になるという興味本位で黒い炎の前に立った。
「さってと。何が出るかなー♪」
 軽薄な笑顔を浮かべて炎を眺めていたジミー。だがその中から現れた質素な身なりの女性を見てその笑顔は消えた。あまりに予想外な幻影の姿に頭が真っ白になる。心が冷えていく。
「……あー……」
 彼女はジミーの頬に優しく触れる。
 びくりと体が震えた。
「まさか、私の事忘れてたの? ひどい人」
「……いや、驚いただけだ。……そっか。お前さんが出てくるのか……よぅ、久しぶり?」
「久しぶりね」
 ジミーは某国のスラム街出身である。そこではある時は私利私欲に塗れた大人にぼろ雑巾のように使われ死にかけた。またある時は子ども同士で売ったり売られたりしたこともあった。
 そんな場所にある日突然彼女は現れた。政変か何かで落ちぶれたのだろう。その立ち居振る舞いはこの場所に似つかわしくないものだった。
(「売られてきたそいつが、底辺の分際で偉そうな口を利くもんだから、散々からかっておちょくって遊んでやってたんだが」)
 そんな扱いを受けても彼女はジミーを対等な人間として接した。外から来る人間など皆彼らの事を使い捨ての道具として扱っていたというのにだ。不当な扱いをすれば怒り気まぐれで食べ物をほんの少しだけ分けてやれば礼を言われた。
(「たまに、話してると冷や水をぶっかけられたような気分になった。それが、確かに怖かったのかもしれないな。俺らみたいなのは野良犬みたいに死んでくのが当たり前なのに」)
「元気そうね。背、伸びたんじゃない?」
「……俺、もう二十三だぜ?」
 いくら人間扱いされた所で彼を取り巻く環境が変わる訳ではない。道具として使い続けられるのだ。余計にみじめな気分になるだけだった。
(「有難うもごめんなさいも要らない。心配なんかしてくれなくて良かったんだ」)
 彼女の優しさがたまらなく恐ろしかったのだ。そう認めれば不思議と心が軽くなった気がした。
(「もう一度会えたらと思うが、残念だけど偽物なんだよな」)
 スラムを出た今となってはもう彼女がどこで何をしているのかわからない。
「お前さんなら、いつかもっとマシな場所に帰る……帰れと思ってたから」
「もう、どうしてもっと早く言ってくれなかったのよ? 本当にひどい人」
 そう言って彼女はジミーの胸を殴る。
 何故か妙に痛かった。
「あーあー。逃げてばっかりで悪かったよ。どつくなよ」
 もう一度殴ろうとしていた彼女の腕を掴んで止めた。そして今度は彼が彼女の胸に【マスターキー(ソードオフ・ショットガン)】の銃口を押し当てる。
「あー。心が痛むぅー」
 困った人と言いたげに微笑む彼女。
 ジミーは軽薄な笑みを浮かべながらそれを見つめて引き金を引いた。
「私に会えたら、ちゃんと言ってあげてね?」
 黒い炎の中に消えていきながら聞こえてきた言葉に苦笑して答える。
「……会えたらな」

成功 🔵​🔵​🔴​

土御門・泰花
私が1番恐怖する「敵」。
それは誰より大切な方を戦で亡くすこと。
きっと幻影は、かの方が敵に討たれる瞬間を映すでしょう。

そんな光景を見せられては、頭では幻影と理解しながらも、心底打ちのめされるでしょうね。
かの方を何故引き止めなかったのか、何故共に戦に行かなかったのか、何故護りきれなかったのか……悔いは尽きぬでしょう。

ゆえに私は「強さ」を求め続けて参りました。
戦闘経験から培う武の力だけでなく、死地へ赴くと知りながら送り出す覚悟や勇気も。

勿論、当主として一族を護る為にも……ですが、1番の恐怖を前には多少建前めいてしまいますね。

(あなたは私が必ずお護りします。されど死を覚悟しながらも、お独りで挑まねばならぬ戦もありましょう。ならば……)

今一度、密かに己へ課した誓いを思い起こしましょう。

「……ならばせめて、あなたを討った敵は私が討ちます。たとえ相討ちになろうとも」

かの方へは鎮魂を、敵へは全身全霊の憤怒を向け、容赦なくUC発動。

幻影を討伐した後はしばらく独りに。
流石に、堪えるものがありました……。



●誓いを言の葉に乗せ
 最後に黒い炎と対峙した土御門・泰花(風待月に芽吹いた菫は夜長月に咲く・f10833)の前に現れたのは黒い長髪の武人の後ろ姿だった。
「どうしてあなたが……?」
 彼は泰花にとって恐ろしいどころか愛しい人だ。だから幻影がただ彼の姿を真似るはずがない。
 こちらを振り返った彼は口と胸から血を流していた。そしてそのままその場に崩れ落ちる。
「……っ!」
 これはただの幻影だ。本物の彼がここにいる訳がない。今頃は無事に泰花の帰りを待っているだろう。
 頭ではわかっていても心がついて行かない。
 泰花は無我夢中で彼に駆け寄り抱き起した。
「しっかりしてください! どうか……どうか、目を開けて……!」
 彼の肌は白く冷たい。何度名を呼んでも瞼は固く閉ざされている。呼吸も脈もない。
 死んでいる。
「ああ……そんな……いや……!」
 この世にこんなに恐ろしいことが他にあるだろうか。
 泰花は震える手で彼の頬に触れた。
 すると突然彼の両眼がカッと開く。冷たい両手が素早く泰花の首に触れた。青い唇が動く。
「何故引き止めてくれなかった?」
「えっ……?!」
 あまりにも突然のことに理解が追い付かない。
 そんな彼女を彼の生気のない目が射抜く。首に触れた手に力が込められ泰花を地面へと押し倒した。
「……っ?!」
「何故共に戦ってくれなかった?」
 首を絞められ息ができない。泰花は必死に彼の腕を掴む。
「やめっ……ぐっ!」
「何故守ってくれなかった?」
(「これは……私の後悔?」)
 確かに愛する人を戦で亡くせばきっと自分で自分を責めるだろう。何故助けられなかったのかと。
 だが彼女は強さを求め続けてきた。それは戦闘経験によって得られる肉体的な強さだけではない。精神的な鍛練も怠らなかった。
 泰花はまだ若いながらも土御門家の当主である。一族を守るためには時に臣下を死地へと送り出さねばならない。そのためにそういった心構えも学んできた。
 とは言え当主である前にたった一人の人を愛する年頃の女性なのだ。
(「あなたは私が必ずお守りします。されど死を覚悟しながらも、お独りで挑まねばならぬ戦もありましょう。ならば……」)
 生気のない彼の目をひたと見つめ返す。そして彼の腕を掴む手にしっかりと力を込めた。
 首への締めつけがわずかに緩む。
「……ならばせめて、あなたを討った敵は私が討ちます。たとえ相討ちになろうとも……!」
 冷静になればふつふつと怒りがわき上がってきた。幻影とは言え愛しい人のこんな姿を見せられたのだ。黒い炎に対して憎しみすら感じる。
 すると泰花と幻影の周囲に【黒揚羽の式神】の群れが現れる。それは一斉に幻影へと群がると呪詛により幻影を消し去った。
「……はぁ」
(「さすがに、こたえるものがありました……」)
 彼女は幻影を倒すことができた安堵と精神的疲労感が入り混じったため息を吐く。そしてゆっくりと立ち上がる。
 しかし人知れず立てた誓いを言葉にできたのだ。もう泰花が恐怖心にとらわれることはないだろう。

 こうして猟兵たちはそれぞれの恐るべき敵を倒し死の草原を越えたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2021年10月05日


挿絵イラスト