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歪み

#サムライエンパイア

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#サムライエンパイア


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●歪み
「捧げ物が無駄に汚れていては、いけないからね」
 月光に煌めいた白刃に鮮血が飛沫く。 極まった技が痛覚より早く、それを切り落とすと、彼が不安そうに此方を見上げる。それを鬱陶しく感じて、今日はどちらにしようか考え、何時も通り、確認を取る。
「もう一人を神に捧げるか、自身のもう片方を捧げるか、選びなさい」
 問い掛けられ、彼は、涙の伝う瞳で、どうにか切り落とされた反対側に視線を注ぎ、決意する様に頷いた。彼の健気な勇気と、もう一度剣を振るえる歓喜に心が満たされる。
「良い子だ。それではもう片方も、神に捧げよう」
 剣閃すら見えぬ一刀が、先程と同じく痛覚をすり抜けて、それを切り落とした。
「君の心の強さに捧げ物。きっと喜んでおられるよ。すぐに止血をしてあげよう。帰ったら、代わりも用意しないとね」
 適当な木に切り落とした2本の物を逆さに吊しながら、男は彼に数度頷いた。
 梅の季節が終わり、桜も散ろうとする季節の早朝。じっとりと汗を掻き、男は、口を抑えて、笑っていた。

●グリモアベース
「サムライエンパイアで事件が起きとるみたいじゃけー、皆に解決を依頼するなー」
 いつもの調子で海神・鎮(ヤドリガミ・f01026)が猟兵に声を掛ける。
「まず、この世界は治安自体は安定しとるよ。オブリビオンの出現を除けばじゃけどな。お陰で、参勤交代で疲弊しとる領主にとっちゃ頭痛の種よ」
 そこで説明を区切ると、溜息を吐く。湯飲みを傾け、緑茶を半分ほど飲み干し、木を落ち着けた所で説明を再開する。
「次に、猟兵の認知についてじゃが、正しい認識はされてねえよ。幕府から天下自在符を与えられとる存在、じゃな。これ見せりゃあ大概の関所は通れるじゃろうし、普通の者なら平伏するじゃろ」
 徳川の紋所が入った符を取り出し、猟兵の所持を確認する。
「一応、盗難と紛失には気を付けてな。便利な物は容易に悪用できるけー」
 この注意については、今回の任務では余り重視しなくとも良いが、気には止めておいて欲しいと付け加えた。
「現場じゃが、桜と梅が群生しとる綺麗な山村じゃ、どっちも、もう時期は過ぎとる頃かな。桜は散ってしもうたかなあ」
 山全体が色付くのはもう少し後だ。遠景はまだ楽しめない。近景は、今の時期なら侘び寂びを楽しむのも一興だろう。時期が過ぎているのもあって、今は人も少ない。そんな村で密かに進行している事は、贄の儀式だ。
「影でやっとるらしい。神様でそんなん求めるのは荒御霊くれえじゃ。よう思うんじゃが、人身御供とか喜ぶ様な神様、崇めてえかなあ……儂は御免じゃ」
 吐き捨てて、残っていた茶を飲み干す。
「まあ元の信仰が信仰じゃから、少し歪みゃあこうもなる。供物も人によっちゃ奇妙に見えるかもしれんけど、あんま驚いてやらんでな。ええ神様じゃけー。まあその辺知るのはもう少し後じゃ。まずは山の近景を楽しんで来てなー」
 朗らかな笑みを浮かべ、そんなことを提案する。鎮曰く、偶には休養も良いだろうとのこと。現場は先程言った通り、桜と梅が群生した山中。近くには小川もある。ユーベル・コードや技能を活かして、季節の外れた花や梅を咲かせても良い、そのまま、葉も花も無い枝を見て、何かしらの思いを馳せても良い。川遊びで涼んでも良い。勿論酒盛りをしても良いし、宴会芸も歓迎だ。ただし、何をするにも準備は必要なので、そこは飛ばせない。
「ああでも、飲酒は外見年齢、実年齢共に20歳以上の者にしか許さんよ。こっそり飲むのもやめてな。天下自在符持っとる者が示し付かん事したら台無しじゃし、身体出来上がってねえと毒、無茶飲みすりゃ身体を壊すしな。送る前に都度自己申告とチェック入れるけー、そのつもりで居って」
 冗談めかして笑顔で言うが、その実、かなり本気で目を尖らせて居るようだ。そのあま、わらび餅を頬張りながら、鎮は猟兵を送る準備をし始めた。



●挨拶
 お世話になっております。紫と申します。
 7作目はサムライエンパイア。

●シナリオ構成
 異変の原因のオブリビオンを探し、退治するシナリオです。

 1章は山見(近景)+宴会です。準備して、楽しんで頂ければ幸いです。
 2章は情報収集。
 3章はボス戦です。

●飲酒について(※注意事項)
 未成年の方々はグリモア猟兵の言う通り、一切がそんな味がするジュースになります。ご了承下さい。
 悪酔い等で、過度に公序良俗に反する行為は描写出来かねます。ご了承下さい。

●その他
 精一杯頑張ってお送り致しますので、宜しくお願いいたします。
 どうでも良いですが、ようやく、グリモア猟兵が故郷に帰って来れました。
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第1章 冒険 『桜の樹木見と桜餅』

POW   :    緋毛氈引いたり、傘立てたり、会場準備を行う。桜餅を勢いに任せていっぱい食べる。

SPD   :    小物や飾りを運んで飾ったり、会場準備を行う。素早く桜餅を確保する。

WIZ   :    魔法や、いろんな力で会場準備する。桜餅は計画的に確保しておく。

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

シーザー・ゴールドマン
ふむ、休養ね。まあ、せっかくの好意だ。
素直に山の景色、そして宴会を楽しむとしようか。

村に着いたら酒や食材を買えるだけ買う。
(自分で用意しても良いが村に金を落とそうという判断。とはいえ村に売る程なければ《ラガシュの静謐》から用意)
《ローマの奔流》で悪魔の軍団を召喚し宴会会場の設営を任せる。
(異形の悪魔で村人を脅かさぬように『属性魔法:幻』で傍目には人足姿に)

設営準備中は山に入って自然を楽しむ。

宴会では用意した料理、酒は村人にも自由に振舞う。
「宴会は賑やかである方が良い」が理由。
まあ、裏で贄の儀式などが行われていれば楽しめないかもしれないがね。
自身は地酒を楽しみます。
アドリブ歓迎・ステラと同行


ステラ・リデル
人身御供を喜ぶ神、祟り神でしょうか。
村人達も好き好んで崇めている訳ではないと思いますが。
……はい、そうですね。今は山と宴会を楽しみましょう。

《悪魔召喚Ⅰ》で女性型悪魔を召喚。
(監督するのに適切な人数になる様に合体させて人数調整)
シーザーが召喚した悪魔軍団の監督を任せます。

設営準備中はシーザーと共に山へ行って景色を楽しみます。
桜がなくともその時々の景色を楽しむのが良いと思います。

宴会ではシーザーのお酌をしておきます。美味しそうに飲むので嬉しいですね。
私はお茶を頂いておきましょう。
アドリブ歓迎・シーザーと同行


有栖川・夏介
アドリブ◎

休養から始まる依頼、というのも珍しいものですね。
とはいえ、この後のことも考えて、あまり羽目を外さないように気を付けたいと思います。

お花見をします。
散った後の桜にこの言葉は適切ではないのかもしれませんが。
緋毛氈を引いて鑑賞スペースを確保。
お茶とお団子を用意して、腰を下ろしてほっと一息。

散った後の桜、というのもなかなかに悪くはないものですね。
木々がほんのり緑に色づいてきて、これはこれで良いものだと感じます。

……さて、こんなにこんなに穏やかな村でこれから一体何が起きるというのか。
いや、すでに起こっているのか……。


御剣・刀也
POW行動

緋毛氈引いたり、傘立てたり、会場準備を手伝う
体力と腕力には自信あるのでせっせかせっせか動いて準備する
準備が終わったら桜餅を取りに行って取り合えず、取れるだけ取る
大ぐらいではあるが、食べすぎて体の動きが鈍くなっても困るので腹八分目で桜餅を食べるのをやめる
お茶を飲みつつ、桜餅を食べながら桜を眺め、これだけ立派な桜なら酒を飲んでも良かったろうなぁ。とお酒を持ってくればよかったとちょっと後悔
まぁ、お茶でも十分なので、お茶と桜餅を堪能する


桜雨・カイ
アドリブ◎
お酒は多少飲めますけど、これからが本番なので大人しくお茶を飲んでおきます。

侘び寂び…詳しい人なら一句詠んだりできるんでしょうけど、難しいですね……桜、桜色、桜餅…花びら…おしべ
(桜関連の言葉を連想しようとしてあまりの語彙の無さに)
…我ながら恥ずかしくなってきました。

あぁ、確か花筏というものなら聞いた事が
見れるかどうかはわかりませんが、川辺に行ってみます
昔の人も同じようにここから花筏をみたんでしょうか
時を超えて同じ桜を…なんだか不思議な感じですね

今年もおつかれさまでした。来年もまた綺麗な花を咲かせてくださいね。桜の木をいたわるように【聖痕】をあてます
風情はないですが、この位ならできます


パラス・アテナ
連携歓迎

贄の儀式かい
サムライエンパイアの宗教は、そんな儀式を強要するようなモンじゃなかったように記憶しているがね
何かの意思が働いているのなら、捨てておけないね
連中をあぶり出すためにも、まずは花見を楽しませてもらおうか

花見には酒だろう
この辺の地酒はあるかい? あるなら試させて貰うよ
気に入ったのがあれば、何本か貰っていこうか。対価は勿論支払うよ
出てくる郷土料理にも興味はあるね。甘いものも別に嫌いじゃない
酒と肴を楽しみながら、花がほとんど無い桜の木を見上げるよ
花は散り、実がなる。そしてまた花を咲かせる
来年咲くのが楽しみだね
お猪口に落ちた桜の花びらに目を細めて、一息に干す


逢坂・宵
会場準備のお手伝いはお任せを。
精霊術でいくらかはお手伝いできます……
いえ、こんななりですが肉体労働はすこぶる苦手なんですよ
だからあまり期待しないでくださいね

水運びの代わりに水の精霊に
ものの加熱などは火の精霊に頼むなどして
ああ、風の精霊にはちょうど良い感じで木々をそよがせるのをお願いしましょうか
精霊たちは悪用・乱用は禁止ですが、ちょっとしたお願い事ならわりと聞いてくださるんです

あ、僕の桜餅もしっかり確保しておかねばなりませんね
僕も里帰りですから、なにぶん懐かしくって
……ここを離れてどれぐらいたつのだろうかと、しんみりした気分にもなるのです
そういう感傷も、たまにはいいですよね?


百鬼・甲一
私もこの仕事、請け負わせて頂きましょう。

花が散ったとはいえ、葉桜というのも悪くない。
久し振りの故郷ですし、気を緩めすぎずに楽しませてもらいましょうか。
葉桜と山の景色を肴に、一献傾けるとしましょう。お仲間がいるなら杯を交わすのも良いですね…これから共に、事に当たる訳ですし。

しかし、贄の儀式か…止めましょう、必ず。(杯を傾けつつ、決意を新たにする)

◆御座等、敷物を用意
◆宴会とはいえ、天下自在符や得物は肌身離さず、味わう程度に呑む



●行動指針
 急な村人との接触を避ける為、猟兵が送られた地点は、宴会会場予定の山中だ。村人も偶に来るのだろう、ある程度の整備がされており、宴会会場とするには申し分ない様に見える。猟兵を歓迎する様に、一陣の風が吹いた。
「ふむ、休養ね」
「人身御供を喜ぶ神、祟り神でしょうか。村人達も好き好んで崇めている訳ではないと思いますが」
「まあ、折角の好意だ。一先ずは山景と宴会を楽しむとしよう」
「……はい、シーザー」
 確認する様にシーザー・ゴールドマン(赤公爵・f00256)が呟く。葉が擦れ合い、清涼感のある音を響かせた。
 同時に送られたステラ・リデル(ウルブス・ノウムの管理者・f13273)は風に攫われそうになる青の長髪を抑え、村の現状に思考を巡らせるが、彼の言に、それ以上の勘繰りを止めた。
「休養から始まる依頼というのも珍しいですからね。まずは準備、でしょうか」
 ステラの呟きに軽く頷く白磁の肌。有栖川・夏介(寡黙な青年アリス・f06470)の薄緑が風にそよぐ。穏やかな言葉だが、ウサギの様な赤目は微動だにしない。感情の制御は訓練による所も大きいだろう。読みにくいが、宴自体は楽しみにしている様だ。
「花見といえば酒だろう? 村に降りてくる。設営はアンタ達に任せるよ」
 老人と言うのは失礼だろうか。あまりにも肝が据わっているパラス・アテナ(サトラレ・f10709)は西洋式の白い軍服を翻し、村に向かう。目的は料理と地酒だ。純粋に楽しむ腹積もりだが、ついでにもう一つ、狙いが有る様だ。
「準備はお任せ下さい。精霊術で幾らかはお手伝いできます。こんな形ですが、肉体労働はすこぶる苦手なんですよ。だから、あまり期待しないでくださいね」
 逢坂・宵(天廻アストロラーベ・f02925)はその上背と体型で誤解されそうなことを先に潰し、代わりに精霊の手を借りて手伝う事を提案する。
「私にも出来ることがあれば、手伝いましょう」
 纏め上げた黒髪と赤の和装、黄の帯。膝下まで垂らされた黒髪と狐面。左右非対称に同様の人形が並ぶ。繰糸を手繰り、桜雨・カイ(人形を操る人形・f05712)は穏やかな物腰と口調で手伝いを申し出た。
「俺も出来る事があれば手伝うぜ」
 特にゴミが溜まると放って置けない所や、料理の話題には耳がピクリと動きそうな御剣・刀也(真紅の荒獅子・f00225)は、その態度や基質からは想像し辛いが、趣味が家事の男だ。料理等になれば恐らく、誰に言われずとも、身体が動くだろう。
「私もこの仕事、請け負わせて頂きましょう。久し振りの故郷ですし、まずは気を緩めすぎずに楽しみたい所です」
 百鬼・甲一(傭兵・f16959)は愛用の銃火器と諸刃のダガーがホルダーに有ることを確認し、懐の天下自在符の感触を確かめた。しかし、会場設営があんな事にろうとは、企んでいる者達以外、知る由もない。

●あくまで会場設営、精霊を添えて
 それぞれの行動指針を確認した所で、シーザーが指を弾く。
「来たまえ」
 小気味良い音と力ある言葉。ユーベルコードによって創世された彼の統治世界、ウルブズ・ノウムから、総勢160程の悪魔の軍勢が、この地に召喚される。
「偉大なる超越者との契約に基づき、来たり侍れ」
 続くステラの言葉に、美しいプラチナブロンドの女性が数体呼び寄せられた。彼女の指示に、赤い瞳を見合わせ、同一存在が豪奢なドレスを揺らして頷き合う。
 彼女等は必要な数に自身を分けると、リズム良く2回ほど手を鳴らす。きっぱりとした拍手に、ぼんやりとしていた悪魔の軍勢の目が集中した。彼女等はそれを確認すると、テキパキと指示を飛ばす。サボりたい、面倒、戦闘じゃ無いのかー、せめていつもの訓練がいいなーとか思っていた一部の悪魔には、容赦なく鞭が飛んでいた。地獄絵図だろうか。
「では、私達も一度村まで降りる。後は彼等と宜しく頼む」
「ご安心下さい。彼女は無害ですし、きちんと皆さんと協力するよう、お願いしてあります。彼等も主たるシーザーの命には逆らえません」
 言っている間に、サボっている悪魔に鞭が飛んでいた。彼等が消滅しない程度のダメージを、良く弁えている。
「本当ですよ?」
 念を押すステラだが、疑わずにはいられない。
「有難う御座います。さて、それでは私も始めましょう。皆さんに手伝って頂きたいのですが、如何でしょう?」
 礼を言いながらも、宵は悪魔使役の術法に少し興味が湧く。冥王星や明けの明星辺りを流用すれば、悪魔使役も可能かもしれないと、会場設営を忘れて術式を構築しようとして、元の目的を思い出す。何となく咳払いをして気を取り直し、杖に魔力を宿すと、精霊に話しかけた。
 精霊は好奇心旺盛な様子で宵の声に応え、次々と寄って来る。風が宵の提案に、暇だし。いつもやってることだから良いよ、と承諾。火は、とりあえず言う通りに燃やせば良いんだよね! と、鷹揚だった。何も考えていないとも言える。水精は、火と風と離してくれればいいよ、と条件を付けた。意図せず飛ばされるのも、蒸発するのも嫌な様だ。性質から、仲間と離れたくないと言った所だろう。
「交渉からの使役は少し骨が折れますね」
「いや待て、なんだこれ。なんだよこれ」
 黒い悪魔の軍勢が、金髪のドレスの女性に指示を受け、時には鞭を受け、緋毛氈を敷き、宴に必要な数の石囲炉裏を作っていく。
「何でしょうね……人手……いえ、悪魔の手は足りている様ですし、少し足を伸ばして来ます」
「あの赤いスーツの奴……何か企んでんな……薪、集めてくるか」
 カイは一時的な思考停止状態を抜け出し、現状を正しく認識した。早々に自由行動に映る。刀也は軽く頭を掻き、枯れ枝を集めながら周辺を歩く。シーザーは恐らく、猟兵だけで終わる宴の規模を想定していない。宴会に必要な料理は、村に降りた仲間達がレシピを持ち帰ってからだ。
「緋毛氈を敷こうと思ったのですが……あ、ご丁寧に有難うございます」
「至れり尽くせり、とはこの事でしょうか?」
 夏介と甲一が準備に動こうとした所で、悪魔が悪魔らしからぬ丁寧さで緋毛氈を彼等の足元に敷くと、座って寛ぐように促した。言葉と好意に甘えるも、夏介は妙な気分だ。せめて外見がトランプ兵であれば、違和感は拭えたかもしれない。手元に持っっている札をちらりと見て、そう思う。
 出来た石囲炉裏には刀也が集めた巻が置かれ、それを見た宵が微量な魔力で火精を誘導し、火を灯す。風がさらさらと自然の風鈴を奏で、耳を楽しませる。
 準備が整うまで、穏やかな空間で一息付けそうだ。
「どうも賑やかになる様子。お好きで?」
「今の様に、少人数で語り合える程度の方が、好みではありますが」
「成程、では、準備が整うまで、葉桜を楽しみ、暫し語り合うのも一興かと」
「……ええ」
 夏介と甲一は準備が整うまで、のんびりと過ごす事に決めたようだ。

●物資と食料調達
 パラスは村に降り、ぐるりと辺りを見渡した。山村だが、生活の不自由は見られない。商店も幾らか見受けられた。酒屋の暖簾を見つけ、中に入る。
「この辺の地酒はあるかい?」
「いらっしゃいませ。勿論、売る程有りますよ。ウチ特有って程ではありませんが、姐さんには少し、きついかもしれませんね?」
 地方特有の独特の訛りと方言。要約するとそういうことだった。特産の芋から醸成された焼酎を、飲んでみてくれと、小さい猪口に注ぐ。香りを確かめてから、パラスは中身を一息で干す。酒屋の主人は、その飲みっぷりが気に入ったのか、口笛を一つ吹いた。
「確かに強い酒だね。芋焼酎ってやつかい?」
「ええ、この辺の名物ですからね。村でも作ってます。他のも、仕入れてますよ。どうします?」
「気が利くね。何本か貰って行くよ」
 有難う御座います」
 酒屋の提示した代金に色を付けて支払う。この色は情報料だ。
「郷土料理はどんなのがあるんだい? 甘い物でもかまやしない。教えてくれると助かるね」
 多い代金に合点が行ったと頷く。
「ええと、そうですね。野菜と鶏肉の煮物……この辺ではがめ煮って言うんですが。煮物や鍋物が有名ですね。詳しい作り方も教えましょうか?」
 女房が料理好きでね、良く話を聞かされるんですと、照れた笑顔を浮かべ、酒屋の主人は幾つか強度料理の作成方法を詳細に書き記した。 
「礼を言うよ」
「探るようで申し訳ないんですが、こんな辺境の村に何を?」
「大したことじゃないよ。季節外れの、宴会さ」
「物好きな人も居るもんですねえ。もう少し早けりゃ見頃だったのに」
「偶には良いだろう?」
 その言葉を最後に、パラスが酒屋を後にすると、入れ替わるように、赤いスーツの男と、それに付いて回る青髪が目に入った。
「アンタ達も降りてきたのかい?」
「ああ、山景を回って終わってね。村人全員を宴会に招待しようと、今は村を回っている所だよ。ついでに入り用の物も買い上げてきた」
「それは面白そうだね」
 パラスは期せずして利害が一致した事に、唇を釣り上げた。
「御婦人が何を考えているかは分からないが、誤解しないでくれ給え。私はただ、宴会は大勢の方が楽しいと思っているだけでね」
「分かってるさ」
 男の言に目を軽く閉じて相槌を打つ。最後に、村から見えた神社の方に足を向けた。
「成程ね。確かにアタシみたいなのには、少しばかり奇妙に見える」
 神社にあるそれは、供え物と言うには余りにも奇妙。人の手足を模倣されて作られた模型がずらりと並ぶ。良い神で有るならば、手足に関する医術の神と見るべきか。独特の信仰に興味を惹かれ、幾つか目を通して行く。
「模型だけじゃないね。本物が混じってる」
 この信仰が歪めばこうもなるだろう。パラスは僅かに眉を顰めた。突っ込んだ事は後にするべきだ。一先ずは宴会の準備だと、山中に戻る。

●約束の失効までは
 少し時間を遡る。村に降りる前、シーザーとステラは最低限の整備がされた獣道を連れ立って歩いた。言った通り、桜と梅が群生している様で、行けども行けども葉の緑。青と緑と、木漏れ日が作る黒と灰。見上げればそれだけだ。この辺りには先程見えた小川も無い。
 とは言え、地面に目を向ければ、逞しく生き抜こうとする野草が賑やかに花を咲かせている。タンポポは緑ばかりの山中で、色鮮やかに群生し、自分達の存在を主張する。
「楽しいですか、シーザー?」
「季節外れと言うのは少し間違いだ。山は近景と遠景の楽しみが有る。桜が散る頃には、遠景が賑やかになるからね」
「そうではなくて……」
「無理などしていないよ。今更、私に引け目を感じるならば、あの様な我儘を言ってはいけない。我欲を持つステラの方が、私は好ましいかな」
「有難う御座います。では、もう少しだけ我儘を貫きましょう」
「それでこそだよ。私のステラ」
 まだ遠慮をしているステラの腕を掴み、自身の腕を絡ませる。どうせなら楽しむべきだ。この私にあそこまで言えるのは、君だけなのだからと、耳元で囁く。我等にとって、契約とは絶対である。
「分かったら、もう少し歩こう。今日は楽しみが多そうだ」
「はい」

●桜の雨は廻る
 悪魔の軍勢160余りと、精霊の働きに自身は不要。そう思い、花筏を見ようと、川辺の上流に足を伸ばしたカイは、群生していた桜と、段々になって流れていく水音を耳で捉えながら、少し考えてみる。
「侘び寂び、詳しい方なら、一句詠んだり出来るんでしょうけど……」
頭に浮かぶ言葉は桜、桜色、桜餅、花弁、おしべ。難しいと頭を捻る。
「我ながら、恥ずかしくなってきました」
 芸事に携わっている身とは言え、噺屋でも無ければ、詩人でもない。そう多く言葉を知っているわけでは無かった。一度腰を落ち着かせ、川を見遣る。野山に出来た川は、土を削り、周辺を緑で覆われている。山肌が絶えず水流で削られ、掘られ、残った物が川中に岩として名残を残していた。
 散って終わるだけの桜の花弁はその姿を忘れさせまいと、川面の一面を覆うが、川の流れには逆らえない。鮮やかな花弁は、水音と共に、無慈悲にも下っていく。
「昔の人も同じ様に、ここから花筏を見たのでしょうか」
 一度葉桜に視線を移し、この地の過去に思いを馳せてみる。時を越えて同じ桜を見ていたと思うと、少し不思議な気分を抱いた。もしかしたら、同様に侘び寂びとはこういうことなのかもしれないと、同じ感慨を抱いたのかもしれない。
「もう暫くは、良いでしょうか……」
 後で礼を言おうと心に決めながら、今はもう少し、この景色に浸りたいと、カイは一度目を閉じた。
 桜雨、時を下りて、川巡る。そんな句がふと、思いついたかもしれない。

●腹が減ったら鮭握り
「ああ、そこ、また皺が出来てる。もう少し丁寧に敷こうぜ。傘立ても荒くやんなよ。倒れたら日除けも見た目も台無しだ」
 悪魔の作業精度には恐ろしいほど個体差が有った。女性悪魔も異文化なため、少々判断が曖昧になっており、そこを刀也が補っていく。女性悪魔にも確り見本を見せていくと、彼女達はそれをきちんと取り入れ、指導は少しずつ改善していく。
「報せを聞いて戻ったのですが、働き者ですね」
 カイの言葉に、残っていた夏介と甲一が頷く。
「何やってんだい」
 酒を幾つか携えて、パラスが刀也の様子に突っ込んだ。
「見ての通りだ。そっちこそ、何かあったか」
 気骨の有る老婆という印象だったパラスだが、その表情が一層、険しく思えた。気のせいかもしれない。
「今話すことじゃないね。所でアンタ、料理は出来るかい?」
「得意な方だ」
「アタシが作っても良いんだが、余り馴染みが無くてね。得意なら任せるよ」
 酒屋から貰った郷土料理のレシピを受け取り、一つ一つ眺めていく。
「こりゃ筑前煮と炒め煮……か? 煮る前に炒めんのは珍しいな」
「酒屋の主人はがめ煮と言っていたよ」
「ああ、地方によって名前が変わるなんてよく有るしな。クッキーとビスケットみてえなもんだ。材料は?」
「入り用な物は私が買い取った。村人への招待も終わっている。さあ、本格的に宴会の準備と行こう」
「やっぱそうかよ。まあ大体予想付いてたから良いけどな! こうなったら料理の腕の方、存分に振るわせてもらうぜ」
「有難う。調理器具が入り用であれば、言いつけ給え。用意しよう」
「桜餅の材料も頼む」
 シーザーの持って来たやかんを早速石囲炉裏にかけていく。宵がすぐにそれに気付き、水精に水をあそこに入れるように頼む。抵抗がなかったのは、幾らか仲間と一緒に沸騰気化するからだろう。
「これはまた、賑やかですね」
 パラスと顔を合わせていた酒屋の主人が驚いたように声を上げた。独特の方言と訛りだった。続いてぞろぞろと村人がやって来る。悪魔を怖がっていないのは、彼等がその類の誤認を与えるよう調整されているのだろう。
 用意された調理場で、まずは筑前煮と炒め煮を然程苦労せずに作って見せる。醤油の甘辛い香り、根菜が煮える独特の香りが辺りに広がり、食欲を誘う。悪魔達に後は作らせようと言う魂胆で彼等ににそれを見せると、大体の作業工程を覚え、悪魔達に指示を出していく。
「すげえな……いや、有難いんだけどよ」
「管理者は有能でなくてはね」
「そうか。じゃあ、大丈夫そうだな。桜餅も作るか」
「随分と法術に慣れた人がいる様だ。見世物として楽しめそうだ」
 やかんに入っていく水を見て、初老の男が関心関心と、愉快そうに目を細めた。子供達も呼ばれていたようで、各々好きな様に楽しんでいる。目を離せないと困っているのを、ステラが見兼ねて、悪魔数体を子守りに付けさせた。

●桜餅争奪戦
 自分で作った物を自分で確保するのは当然の権利だ。同時に分け合う必要もある。分散した石囲炉裏には炒め煮、筑前煮が続々と出来上がっていき、食器に盛り付けられていく。ついでに炊飯も行われた。村人はシーザーの金払いの良さが気に入ったようで、少し仕事をサボっても問題ない程度に村が潤ったらしく、気分良く宴会の招待に乗ったそうだ。
 精霊使役で働き詰めだった宵が、あらかた終わったと、集中を切って額を指で揉む。食事作りが終わった所で、悪魔の労力は桜餅製作に充てがわれた。刀也は予め自分が作った分を自分で確保していたが、腹八分には少し遠い。必然、悪魔の作った分を確保する必要がある。これは、今まで手を付けていなかった宵も同様だ。奇しくも、狙った台は同じ場所。密かな火花が2人の間で散る。とても小さな理由で。
 出来上がった分を力任せに腕を振るう刀也に対し、宵は軽く魔力で身体を強化し、それに対抗する。
「穏便に分け合いませんか?」
「どの程度残るか、分かんねえからな」
 2人の桜餅の争奪戦はちょっとした見世物になっていく。終いには村人同士で、どちらが多く確保するかという賭けに発展した。結果は素の体力の高い刀也に軍配が上がるが、村人から宵は健闘を称えられる。
「いえ、そんなつもりではなかったのですが……まあ、こう言うのも良いでしょうか」
 争奪を終えた後、喧騒から少し離れ、桜餅を齧る。
「この味も懐かしいですね。この地を離れて、どれ位経ったでしょうか」
 葉桜を見て、感傷に浸る。
「偶には、良いですよね」
 それを聞いた風精が、慰めるように宵の長い黒髪を揺らした。

●赤目兎は時計を持たず
「沢山あると迷いますが、まずは此方を頂きたいですよね」
 やっぱりと、桜餅を手に取り、盆に茶の入った茶器を受け取る。誰かとのんびりするのも良いが、独りで過ごすのも良い物だ。
 葉のみの桜も悪くはない。せせらぎと、子供の無邪気な声、遠い村人たちの喧騒。少し離れれば、そんな風に景色が変わる。
「本当に一見、長閑な村に見えるのですが」
 事件とは何なのだろう、独り物思いに耽り、湯呑みを傾ける。風の精霊に頼んだというせせらぎは、絶えず葉を揺らし、さあさあと耳を楽しませる。
 緋毛氈や傘の緋色と、葉桜の緑を同時に瞳に入れれば、ほんのり緑に色付いて来た木々に、もうひとつ色が付く。
「散った後の桜、というのも中々に悪くないものですね」
 茶の苦味を消す様に桜餅を噛むと、餅と小豆の甘さが口内に広がる。さっぱりした小豆餡の味の調整は刀也だろうか、幾らでも食べていけそうな甘味は、料理が得意というだけはある様だ。今度はその甘味を緩和するために茶を啜る。持参した団子は慣れた味だった。どちらも甲乙つけ難い。
「これから一体、何が起きるというのか」
 贄の儀式は、長期間続いている筈だ。既に起こっている可能性もあると、赤目を一瞬、鋭く光らせた。

●生存傭兵の里帰り
「逃げられてしまいましたか」
 のんびりと話をしていた夏介は席を離れた。自分はどうしようかと思ったが、この喧騒は慣れたもので、寧ろ活気があると言う事は、生存について前向きである証明だ。この様な部隊は生き残りやすい。染み付いた傭兵としての生存本能が、この場所を心地良いと告げている。先程の賭け事など、部隊に居れば良く見る光景で、また違った郷愁を抱かせた。村人達の豪快な笑い声、割って入る自然の風鈴。自然の息吹を感じさせるそれが、さらさらと聴覚を攫う。子供達が何をしているのか聞いてくる。のんびりしていると正直に答えると、つまらなくないのかと、きょとんとした瞳で問うてきたので、頭を軽く撫でる。疲れたら休む時もあるだろうと伝えると、大きく頷いて、でも、疲れているのかと問われる。押し問答の様だが、微笑ましい。
 久し振りの故郷は、何も変わっていない様だ。

●宴は賑やかに
 シーザーは宴の進行を眺めながら、ステラの酌を受け、豪快に地酒である芋焼酎を飲み干していく。シーザーはざるの部類だ。幾ら飲んでもそうは酔わない。甘く強い酒にステラにも酔いが回りそうだったが、それ以上に彼が豪快に飲み干す様子が嬉しい様で、人前に関わらず少しだけ顔を綻ばせた。自身は控えめに桜餅を齧り、茶を楽しんでいる。村人に茶化されるが、それも少し、彼女の独占欲を満たしたようだ。
「腹八分目にしておく」
 言いながら刀也の八分目とは底無しのことだった。炊いた白米と煮物各種、作った桜餅が見る見る内に減っていく。先程から見る者に飽きないと、村人の反応は上々だった。
「呑まないのかい?」
「……ありがとよ。芋焼酎だったよな、半分ほどにしとく」
 酒を控えるつもりだった刀也だが、立派な葉桜を肴に出来ないのは惜しいと悔やむ事になっていた彼に、パラスの提案は有難かった。桜餅を摘みに一献と言った所で、甲一が2人に声を掛けた。
「折角ですし、2人とも、杯を合わせませんか? これから、共に事にあたることになるかもしれないのでしょう」
「アタシは構わないよ」
「俺も」
 三人は杯を合わせ、猪口に入った芋焼酎を一息に干す。パラスの杯には桜の花弁が偶然入り込んだ。それを見て、一瞬だけ目を細めたのを、2人には見えただろうか。
「人柄に問題は無さそうなんですけどね」
「戻ってきましたか、贄の儀式、止めましょう、必ず」
 夏介の言に、小さな声で決意を新たにし、控え目に注いだ芋焼酎を傾けた。
 カイは宴会の賑やかさを穏やかな笑顔で見守りながら、桜餅と茶に手を伸ばした。茶を終えると、桜への礼を述べる。
「今年もおつかれさまでした。来年もまた綺麗な花を咲かせてくださいね」
 一本一本とは行かないが、カイの思惑を悟った様に聖痕が淡く光る。幹から根へ、根から土へ。周囲一体に小さな蛍火が灯った。
 
●不穏
「綺麗なもんですねえ。神主様も来ればよかったのに」
 酔った酒屋の主人を側に居た女房が嗜めた。口を滑らせたと自覚するにはもう遅い。神主が何故来れないのか、余所者には言えぬ事情があるだろう。
「ああ、アタシも気になってたんだよ。奇妙な捧げ物だ」
「見た目は奇妙かもしれんが、手足の無明息災を形にした物だ。俺等が捧げとるのは、良く似た模型じゃ。他は知らんよ」
「……成程ね」
 こう言われては混じっていた事実を聞いても逃れるだけだろう。初老を迎えた老人はそう言い切った。有力者なのか、村人の大半も老人の言に頷く。果たして本当か。長閑な村の本性が、宴を食う。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『偽神退治』

POW   :    自身の力をアピールし村人達を説得する

SPD   :    儀式の場に調査に行く

WIZ   :    神様について情報収集を行う

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●流々
 剣を振り抜く。
 目が細く、頬が痩けた、蟷螂の様な印象を与える男だった。 虚空を裂いた一刀は、鋭く、陰りが有るようには思えない。
「この時期ですと、そろそろですか」
「僕の剣は……」
「儂は齧っている程度じゃが、主の剣には嫉妬を覚えてしまうのう」
「先生、いいえ、僕など、まだまだですよ」
 此処に来る以前の家系で仕込まれた、血の名残。勿論のめり込んだからこそ、神事の手隙に鍛錬に明け暮れた。逆を言えば、面影を残しただけの兵法の真似事だ。
「そろそろだね。何時も通り、模型は私が作ろう」
「いつも有難うございます」
 礼を言うと、精神統一を兼ねて、剣を振るう。

●状況整理
 折角の宴だと、村人は猟兵とのやりとりをさらりと水に流し、引き続き楽しんでいる。前述した通り、金払いは良く、どの道、今日は皆で休日を取るということにしていたからだろう。
 同時に詮索するな、という意思表示でも有った。 此処が恐らく重要な分岐点になるだろう。猟兵は思考を巡らせる。この宴の中で、異変の真相を突き止めねばならない。
 行動指針は大きく3つ。村人から情報を集める、儀式の場の調査、神様についての情報収集だ。これらから、異変の原因を探っていくことになる。
 1つ目、この場に居合わせてはいないが、神主に会う、子供達に聞く等が考えられる。神主が来ていないという彼等の言動は怪しい。
 2つ目、儀式の場はこの山中だろう。死体遺棄等を考えると、他に適した場所も無さそうだ。
 3つ目、神様は本来善神であり、村に降りた猟兵の情報によると、手足の模型を供物とする。此処は訛りと方言が有ることから、サムライエンパイアの地方に当たり、がめ煮が郷土料理として名物である。
 村ぐるみで隠しているのか、村の一部の者しか知らないか。犯人は複数か。複数だとしたら何人か。現状の整理を終えた猟兵だが、その疑問は尽きそうにない。
百鬼・甲一
宴はここ迄、狩りの時間です。
私は【儀式の場に調査】に向かいます。何か手掛かりになる痕跡が見つかるかもしれませんし…事が始まれば、其処が戦場になる可能性も高い
…こういう地味な仕事、得意なんですよ?

◆仲間と情報共有してから神社に向かい儀式の場所を調査
神社の者に見咎められたら、土着の信仰に興味が有る、といって、情報を引き出してみる
儀式の場にたどり着けたなら、儀式の痕跡、地形、オブリビオンの手掛かりなどを調べ
◆【忍び足】等を使ってなるべく隠密に。もし必要、かつ時間が許すなら夜陰に紛れて行動
◆同じ目的の仲間と連携協力するのも良い
◆万一、襲撃を受けたら【戦場の亡霊】を囮に、情報を持ち帰り仲間と合流


御剣・刀也
SPD行動

さて、どうしたもんかな。折角の行事に神主不在ってのも怪しいし、ちょっとその辺を調べてみようかね
儀式の場はこの山のどっかだろうな。死体遺棄とか考えるとしたら、この辺ほどいい場所はねぇし。

(不在の神主、村人のこの空気、どうも探られたくないことがあるのは間違いないみたいだな)
宴の場所から酔って迷った振りをしながら儀式の場所を探す
山の中を歩いてめぼしい場所を見つけたら最近掘り返した後がないかどうか調べる
そう簡単に見つかるとも思ってないので気長に
見つけたらそこを少し掘り返してみる
死体を見つけたら
「村長の前に突き出して尋ねた方が早そうだが、どうしたもんか」
と考える


有栖川・夏介
アドリブ◎

人と話すのはあまり得意ではないですし、そういったことは他の方にお任せして、私は儀式の場を調査しに行こうかと。
【目立たない】ように細心の注意をを払いながら山中を捜索。
儀式の場と思しき場所を探します。

通常は手足を模した物を捧げものとしているようですが、模型ではなくホンモノの手足を捧げものにしているとしたら……。
微かでも、血の匂いがするはず。
あとは、音…。今まさに何かが行われようとしているのなら、宴の喧騒とは異なる音がきっとするはずです。
わずかな音も匂いも逃さないよう集中して周囲を見回す。

さて、私の【聞き耳】と【第六感】、うまくはたらくとよいのですが……。


シーザー・ゴールドマン
信仰は自由であるべきだ。善神であれ邪神であれね。
ただ、オブリビオンであるならば滅ぼさなければならないね。

そうだね、神主に会いに行こうか。
《ウルクの黎明》でステラを連れて神社に飛行移動。
神主に「ここの神は模型の供物を望んでも実物は望んではいない。もし、望むとすれば神の名を騙る何者かとなる。実物を捧げている者、捧げられている者に心当たりはあるかね?」という感じで情報収集
(神情報は『世界知識』から。神学論争をしても良い)
会話から神主が黒白を判断。(『見切り』)
天下自在符の存在から隠し通す事は無理だとプレッシャーをかける。
突発的な襲撃などは直感(第六感×見切り)で対処。

アドリブ歓迎・ステラと同行


ステラ・リデル
オブリビオンに村人が加担していたとしてもシーザーにはそれを裁く意思はないようです。
オブリビオンを排除すれば、なるようになると。

シーザーの神主との面会中は近くで周囲を警戒。
(《魔眼》による未来視を活用)
オブリビオンの所在が判明した場合、宴会会場の悪魔を通じて他の猟兵達と情報共有します。
逆に宴会会場での新事実も悪魔経由で把握したいと思います。

今は村人が全員、宴会会場に集まっており、そこには複数の猟兵がいます。
例外の神主も目前にいて、シーザーと私がいる。
オブリビオンを犠牲者なく倒すには良い状況ですね。

アドリブ歓迎・シーザーと同行


パラス・アテナ
買い込んだ芋焼酎を手土産に、村に残った土地の老人に話を聞くよ
こう見えてバーテンダーもやっててね
話術を駆使して情報収集といこうか
世間話から始めて、神社を見に行ったことを話す
神社の名前や変わった供物の由来、伝承や昔話を、物見遊山を装って詳しく聞こうじゃないか
「精巧にできていたが、まさか本物……」
「そんな筈無いね。悪かったよ」
オブリビオンを倒しても、この風習が続く限り悲劇は止まらないからね
終わった後に模型だけを供える風習に改めるよう説得する材料にするよ
得た情報は他猟兵達と共有しようか

その後改めて神社を調査
第六感と情報収集を駆使して、気付くことはないか調べるよ
どうにもきな臭いから周囲の警戒は怠らないよ


桜雨・カイ
情報収集…では神主さんの元へ行ってみましょうか
私は見ての通り人形を使う者です。手足の模型というのに興味があるので、よければ見せてもらえませんか?

まずはお参りをしないといけないですね…ここは何の神様を崇めているんでしょうか?

本来の儀式を歪めてるのなら、手足に何か執着があるかもしれません
大変でしょう、たくさんの手足を用意するのは。
手足の模型よくできてますね…人の手足とか普段からよく見られたりするんですか?
できるだけ世間話をするように話をしてみます

同時に【第六感】を使い、周囲に人の気配や血の匂いやなど何か気がつくものがないか確認。贄を用意しての儀式なら…贄はもうどこかにいるかもしれません



●情報共有
「先程の件、どういった意味で?」
 まず、現段階での情報を共有したいと提案したのは百鬼・甲一(傭兵・f16959)だ。供物は模型の様だが、本物が混じっていたとパラス・アテナ(サトラレ・f10709)が小声で猟兵達に耳打ちをする。その細工は巧妙であり、保存状態も不思議なほど良い物だ。
「アタシはもう一度、村に降りて探りを入れてくる」
「どう抜ける気だ?」
 御剣・刀也(真紅の荒獅子・f00225)の疑問にパラスは唇を釣り上げる。その仕種が、彼女には嫌に似合っていた。
「見つかっても、すぐにどうこうなんて、出来やしないさ」
「これは、お褒めに預かり光栄だね。私達は神社へ向かうよ」
 それが守護の女神の名を冠する者なら尚更だ。恐らく通り名か何かなのだろうが。シーザー・ゴールドマン(赤公爵・f00256)は彼女が言外に悪魔の大群の御蔭で無茶が効くと言った事に、素直に礼を言う。
「今の、褒められたんですか。いえ、それよりも、行動の際は彼等を連れて行くのがと良いかと思います。情報が常に共有出来ますので、何が起きても迅速に対応が可能になります」
 ステラ・リデル(ウルブス・ノウムの管理者・f13273)は二人の遣り取りに付いていけず、どちらも迂遠だと感じ、戸惑うが、次には情報共有網を作ろうと提案した。
「そうかい。なら、1人連れて行くよ。なるべくで良いから、大人しいのを頼むね」
 表情は変えず、パラスはその案を良い提案だと従い、迷う事無く村に降りていく。その後を、選ばれた悪魔が追う。
「私も神社の方へ足を向けます。一応こっそり抜けますが、パラスさんに倣いましょう」
 桜雨・カイ(人形を操る人形・f05712)も周囲を軽く警戒しつつ、悪魔に紛れて村に降りる。
「ホンモノを捧げているのでしたら、匂う筈です」
「俺も山に入るか」
 有栖川・夏介(寡黙な青年アリス・f06470)は刀也は言うなり、パラスの様な真似は出来ないと、宴の席に戻って行った。
「私は、此処の留守を守りましょう。傭兵の勘、或いは悪い予感とでも言いましょうか。この感覚に従って、良い方向へ転がった事は2度や3度では有りませんので。信頼して頂けると」
「では……お願いしましょう」
 上手く良い表せないと言った甲一の感覚を、夏介は信じることにした。先程の件で彼は、猟兵以外に信用出来る者は居ないと結論付けた。村人の監視は必要だろう。
「かたじけない」
「いいえ、ではご武運を」
 夏介は悪魔に紛れて気配を消し、山中に入る。

●クック・ロビンの行方
 如何にも酩酊した風な赤ら顔を見せ、刀也はふらふらと幾人かの村人に絡み酒の様に回る。鬱陶しがられるのを見て、ん、と首を傾げた。
「どうも飲み過ぎたみてえだな。ちょっと覚ましてくるぜ」
 酔っ払い特有の判然としない口調。村人の大半がやっと気づいてくれたかと胸を撫で下ろした。覚束ない足取りを見かねた2体の悪魔が肩を貸す。そうした刀也の演技は功を為し、山中に入る事に成功した。目立つ赤目を見つけ、合流する。
「どうだ?」
「まだ探り始めたばかりですが」
 成果無しと首を振る。刀也は頷き、悪魔を夏介に付けた。
「もう少し捜索範囲を広げてみます」
「ああ、頼む」
 ここからは別行動だ。夏介は耳と鼻を頼りに、刀也は直感と目を頼りに山中を探して回る。すぐには見つからないだろうと、山中を捜索していると、何故か、茫と光る場所が見える。どうするか考え、掘り返す。
「桜の下には、なんて言うけどな……マジか」
 思うより早く、風化しかかった人骨が見つかった。幾つかの樹木に分けられて埋められていたが、分散具合はお粗末だ。何れも腕か足の片方、もしくは両方が欠損しており、大きさから、成人では無く、子供だと判断できる。
「あのご老人に突き出して訪ねた方が早そうだが……どうしたもんか」
 夏介は気配を消しながら、山中を駆け回る。物音は以前無く、いつの間にか小川の方に出る。見事な花筏を作る上流は水音も相まって、綺麗な物だ。ほんのりと、微かな蛍火が灯る。
「……汚されるのは、嫌ですか」
 先の痛みを引き受けた光の礼だろうか。光を頼りに上流の先の先、誰も入らぬ道なき道に、昼間ですら仄暗さを感じる山奥。一本の木の根元にこびりついた、古くなった血痕を見つける。
「有難う御座います」
 土地の精霊か何かだろうとアタリを付け、頭を下げる。儀式は此処で行われたと見て良い。自身の仕事を思い出す辺り、儀式の体すら為していない。悪魔に伝え、手持ちの筆記具で簡易の地図を記す。
「結局物音はしませんでした。では、逆説的に、これから起こるということですね。急ぎましょう」
 動くのは夜、下手をすれば今夜ということだろう。刀也の情報から狙われるのは、子供と見て良い。
「いえ……それは……不味いだろっ」
 宴会場には子供の姿が有ったはずだ。ならば被害者は彼等の誰かになる筈だ。思わず口調が乱暴になる。悪魔を通して伝令、すぐに宴会場へ引き返す。

●滲む
 2人が山に入った頃、甲一は村人と丁度付かず離れずと言った様子で、引き続き、のんびりと残った酒と料理を嗜んでいた。偶に席を立てば、それとなく全体を見渡せる位置を取り、村人達を監視する。
「君は行かないのかい?」
 そうして、全体を見渡せる所で1人、料理を摘んでいると初老の男が隣に座る。この男が特に、甲一の頭の中の警鐘を鳴らす。確証は全く無いが、今の質問はつまり、仲間が居ないことに気付いていると言うことでも有る。
「少し気になることが有りまして。所で、何故、私の仲間が居ない事に気付いたので?」
「剣術を嗜んどってな。気配を読むのが少し、人より得意なんじゃよ。それに、1人は分りやすかったじゃろ?」
「成程、私も嗜んでいた身ですから、鋭くなるのには見に覚えがあります」
「そうじゃろう。何せこの歳じゃ、余り無理が利かん」
「信仰について、お伺いしても?」
「……またその話か。若い者は知りたがりじゃな」
「若者とはそういう者ですので」
「まあ……ええじゃろ。儂等の信仰はな」

●眩む
「足手荒神?」
「そうよー」
 パラスの、疑問符の付いた声が小さな小屋で響く。芋焼酎を眼の前の老人に追加で注ぐ。村に降りたパラスは残った老人が居ないかと民家を探り、この老人の家を見つけた。2度戸を叩き、酒を奢ると言うと、老人は快くパラスを家に上げた。
「正式な神様かって言うと怪しいらしいけどなー、そんなことは俺等にはどうでもええし、ええ神様よ。他の人が奉納した模型で患部をさすりゃあ、手足の病気や怪我を治すんだってなー」
「あの神社の名前は?」
 老人がぐっと芋焼酎を飲み干し、景気良く床に叩き付ける。
「すげえだろ、神主が来るってんで、村の皆で建てたんだぜ。残念ながら名なんて貰ってねえし、付けてもねえ。付け方もわかんねーし」
 男は建築の総指揮を取り、どうにか宮大工の技法を真似しながら、神社を建てたそうだ。
「昔話なんて、皆手足の怪我や病が一番厄介だった、てなだけの話くらいしかねえんじゃねえかなあ。お侍様なんて、生死に直結するだろ?」
「ああ、成程ね」
 この地方では余り伝承や由来は伝わって無さそうだ。男の無学も相まって良い話は聞けそうにない。然し、人ならば不自由させたくない部位でも有る。信仰が生まれるのは自然だ。飲み干された杯に、もう一杯注いでやる。
「供物について何か知っているかい?」
「そうさな、毎年、この辺りの時期なら神主様が一つ奉納する。誰かの手を借りても良いらしくて、最近は専ら、先生に頼ってるって話だ」
「先生?」
 傾けたまま、二回に分けて酒を煽り、干すと次をくれと手で催促する。何時ものように代わりを静かに注ぐ。この老人も店に来る幾人かの様に中々酒に強いようだ。いや、この前、酔って潰れかけた奴も居たか。
「初老の、村仕切ってる様な奴が居たろ、あれよ。俺は何となく嫌いじゃがな。何せ、人の良かった神主が姿を見せなくなったのは、あれが来てから少しした時よ」
「……他に知っていることはあるかい?」
「何だ、美人で景気良いと思ってたら……まあ良い気分にしてくれたしなー、あれが来てから暫くして、神主様を見たけど、随分酷い汗を掻いていたり、疲れて、やつれた顔で歩くのを見たことあるよ。村の皆も少し、何か……変わったんだよなあ。俺は馬鹿だから何でかは分かんねえけど」
 以来、余り村と関わっていないと自白し、だから、誰かと酒を飲め、寂しさを紛らわせられて、今日は良かったと、老人は口にした。
「……弁えて良く飲む客は、見てて飽きないからね」
「出来りゃあ、また来てくれんかなあ」
「いいのかい? その時は酒代だけじゃなく、出張料も込みになるよ」
「……つれねえのー」
 そのやり取りを最後に、パラスは彼の家を出た。
「……上手くやったもんだね」
 舌打ちをする。どちらが主かは分からないが、男の証言から、神主は手駒の線が濃厚だ。神主だけでなく、村人も。悪辣なオブリビオンらしい手口だ。信用出来そうな情報を伝え、最後の白黒を、神主に会って伝える事を決める。

●ヒトガタの真贋
 神社の境内には奉納所の様な所があり、そこに大量の手足の模型がずらりと並ぶ。どれも丁寧、精巧な作りであり、信仰が厚い事が容易に確認出来た。カイは更にそこから、彼女が言った本物を見分けようと。
「分かるかね?」
「……この状況で後ろから声を掛けないで下さい」
 警戒して操り糸を張りながら、目線だけを後ろにやると、そこに居たのは赤いスーツが印象的なシーザーと、付き従うステラだ。
「はっはっは、いや、済まない。気紛れに、悪戯心が疼いてね」
「ええと、あの、本当に申し訳ございません……」
「ああいえ、そこまで深く謝られても困るのですが」
 割と冗談ではないが、此処まで底抜けに笑われ、従者が本当に申し訳なさそうに謝るのを見てしまうと、怒気も何処かへ飛ぶ。良く釣り合いが取れている2人だと、カイは思う。
「もう一度聞こう、分かるかね?」
「ええ」
 良く出来ているが、カイは自身が人形であるが故、微細な違いを見出しては本物を抜き出していく。大小は有ったが、圧倒的に小さい物が多かった。
「無警戒ですが、わざわざ人形師を此処まで連れて来る方も稀でしょうから……下手に探られるよりは、という感じでしょうか」
 幾つかを振り分けて手に取る。全部とは行かないかもしれないが、神主に提示するなら、この程度有れば良いだろう。
「奇妙な信仰ですけど、此処は何の神様を崇めているんでしょうか?」
「足手荒神と言うそうだよ。多分、土着、民間信仰の類だね。創世神話にゃ居ないだろうさ」
 もう少し後方から、シーザーとは違う声が聞こえる。印象強い喋り方は、堂々と村に降りた彼女だ。
「パラスさんも来られたんですね」
「確認したいことがあってね。アンタのお陰で手間が省けたよ。2度目となると、あの冴えは難しかっただろうからね」
「ええと、有難うございます。では、神主さんを探してみましょうか」

●堕ちる
 剣を振るう。剣を振るう。迷いを裂く代わりに虚空を剣閃が駆け抜け、次には悪夢よ去れと空に向かって振り上げられる。刀を戻し、刃を上にし、顔横まで持ち上げ、自身は自身だと、誰かを貫くように剣が突き出される。 一拍、納刀は無く、男は剣を止めない。流麗な剣舞は尚続き。風切り音と金属音が周辺を支配し、剣閃が幾重にも重なっていく。20辺りになった所で、残心、血振りの型を取り、納刀。鈴音に似た金属の擦れ合う音が、剣舞の終わりを示した。静寂に包まれる筈の境内に、拍手の音が鳴り響く。
「いや、素晴らしい。これは私も鍛え直す日が来たかな」
「私もシーザーの下で身に付けましたが、凄まじいですね」
「どなたです?」
 神主は残心を終え、汗を拭い、彼等を見る。自身に有る何かが疼く。
「流れの者だよ。ああいや、こう言う時は卸問屋と名乗るのが決まりだったかな?」
「は、はあ。卸問屋の方が僕に何の用でしょうか。そちらのお嬢さんには随分と警戒されているようですが」
「ああ、彼女のは癖のようなものだ。余り気にしないでくれ給え」
 シーザーが肘で軽くステラを小突く。自然体で居ろ、その訓練だと思え、と視線とその挙動が訴えていた。
「無礼をお許し下さい。今の剣術には鬼気迫る物がありまして、少し、その……影響を受けてしまったようです」
「ああ、そうでしたか。それは……申し訳ありませんでした。此処の所、僕の体調が良くないので、剣に熱を入れすぎる節が有りまして」
「此方こそ、話の腰を折ってしまった様だ。単刀直入に聞こう。此処の神は模型の供物を望んでも、実物は望んではいない。そうだね」
「はい。手足荒神様はそう言った御方です。実物など……」
 神主が言い終わるのを待たず、シーザーは次の句を告げる。
「もし、望むとすれば、神の名を騙る何者かとなる。実物を捧げている者、捧げられている者に心当たりはあるかね?」
「何を、仰られているんです? 僕が捧げている物は……」
「さて、言い逃れは考えない方が良いよ。ああは言ったが、この符がわからない訳でもあるまい?」
 懐から天下自在符をチラつかせ、神主を脅す。
「僕は……っ」
 細い瞳が苦痛に歪む。心臓の鼓動を抑えるように強く鷲掴み、あれだけの運動の後にも関わらず、冷や汗が増え、呼吸が激しく乱れていく。
「……もう一押しと見た。ステラ、もう無理をしなくて良い」
「……あまり良い未来では有りませんよ」
「想像は付くがね。魔眼の結果は?」
「彼が喋る言葉は……」
 逃げろ、だとシーザーに耳打ちする。

●食らう(He is Me)
「へえ、面白いね。」
 容態の変化した神主の前にゴトゴトと音を立て、本物である供物が神主の眼前に置かれていく。
「大変でしょう、たくさんの手足を用意するのは。私でも少し見ただけでは見分けが付かない程、良い出来でした。普段から、良く見られていなければ難しい」
 カイのそれは穏やかに、神主の技術を褒め称えるだけのものだったが、神容態からして、彼がきちんと受け取れるかは怪しい。
「……や、めてくれ。違う、僕じゃない」
 ずくずくと心臓ではない何かが疼く。脳裏に夜の出来事が巻き起こる。あの手はあの子のだ、あの足はあの子のだ。山中、川の上流、誰も来ない道なき道で、切って捨てる。無慈悲で、享楽的な、窪んだ頬と細目の男。切るのが好きだと月光の下、にやけた口で語っていた。狩られるだけの彼等のささやかな勇気を嘲笑う。ああは言ったが代わりなど、用意するものか。首を撥ねる人が変わるだけだ。
「やめろ、やめろ、違う。それは僕じゃなお。夢だ。あれは夢だ。悪夢だった……筈だ」
 イイヤ、チガワナイネ。ボクハキミデ、キミハボクダ。自身の内から声が響く。腰に提げた剣へ、独りでに手が伸び、鯉口を切る。
「逃げて……下さいっ!」
 居合一閃、シーザーが、その刃を寸での所で見切り、刃を噛み合わせ、すぐさま、もう一方の腕でオドを開放し、懐へ返す一閃。人外の速度で繰り出されるそれを、神主は大きく後方に跳んで回避するが、衣服の胸元を掠めた。
「白だ、伝令。向こうが本命だった様だね」
「はい。仰せのままに」
「興味が湧いた。逃げるのは後にしよう」
「間違ってないんだろうけどね、素直に欲しいから治療すると言いな!」
 神主の顕になった胸元へ埋め込まれた歪み。濃い妖気が感じられる短刀、接合部周辺が赤紫の肉腫のように腫れ上がり、妖刀自体に血管の様な気管が見て取れ、血液を流し込む様に脈打っている。
「そう、僕が欲しいなら、まずは力を見せて下さい。次に着る喜びを、次に血を浴びる喜びを。与えて下さい。ただ僕は僕が居心地が良い」
 止まった所を容赦なくパラスの小口径セミオートマチックが神主を縫い止めようと火を噴いた。
「ああ、楽しいですね。此処は戦場ですか、戦場ですね。皆様は足軽だ、武士だ。ですが、温いですよ、御老体。矢はもっと早くなければこの様に」
 口数多く喋る様になった妖刀が、パラスに迫る。それをカイの念糸が腕一本を絡め取り、その行動を封じる。
「青髪のアンタ、差してる銃は飾りじゃないんだろう? 構えな!」
「言われなくても!」
「これが、あの主同様、外枠の皆様ということですね。いや感慨深い。僕もなれるのでしょうか、なれるのでしょう、なりたいですねえ!」
 無殺傷、対人用衝撃に抑えた魔力を込め、3発の無形の弾丸が神主に放たれる。2発は身を捻ってかわされ、1発が肩に命中する。コキリと外れた様な音がするのと同時に、パラスの小口径が更に肩口の傷を広めていく。意に介さない。念糸を力ずくで抜け出そうとした所で更に、残った四肢をカイが縛り上げる。力は相当に強いが、暫くなら持ちそうだ。
「あまり長くは持ちません、よ!」
「だそうだ。アンタ、欲しいなら早くしな」
「悪いね、さて、私が何か分かるかな。君の様な小物は、私の掌の上で精々、血肉を求めて彷徨うと良い」
 オドを腕に集中し、妖刀に触れる。魔王紋の呼応、その幾何学模様はこの地の妖刀には理解できないが、感じる力は悍ましい。血肉どころか赤い池すら見える、輝かしい。誘蛾灯に誘われる羽虫の様に、強く癒着していた筈の妖刀が、神主の身から解けた。
「あ……アア……」
 シーザーの手に吸い寄せられ、その掌に短い刀が収まった。鞘は無いようだ。意識はシーザーの手によって眠りについた。
「ステラ、使うかい?」
「要りません。いえ……今はと付け加えましょう。頂けるのは珍しいので」
 治療と浄化の魔力を込めて、神主の身体を至近で撃ち抜く。効果はすぐに見えた。
「こっちは終わったね、戻るよ」
「急ぎましょう」
 足早に神社を去る。その際に、ステラは悪魔達に一つの命令をだした。

●凶日
 甲一は暫く初老の男を警戒しつつ会話を続けていた。傍から見れば普通の雰囲気だが、どうも様子がおかしい。
「ほう、手足荒神。成程。そう言った信仰でしたか」
「普通の何処にでも居る八百万じゃろう?」
「ええ、しかし。先程から、これはどう説明されるおつもりで?」
「気付いておったか」
「私も嗜んでいたと言った筈ですよ。ああ、どうやら、神主様に何かあったご様子。私の仲間は実に頼もしい」
 ぴくりと、初老の男の指が動く。
「さて、あちらは白と申されました。他の証言も頂きましたよ。確かに村は貴方が来てから、おかしくなったのでしょう。号令一つで、村人のこの御様子。何もしていない私を囲むのです。迎合しなかった老人の感覚は正しかった」
 こくりと頷き、手元にある茶を流し込む。
「続報を。どうやら、山中で白骨と、血痕が見つかった様です」
「……成程、で、君はこの状況を、意識を保ったまま、どう切り抜ける気かな?」
「言った筈ですよ。私の仲間は頼もしい、と」
 周囲の悪魔が活動を開始する。割いたとは言えその数は今も100を越えており、それが村人を程々の力で殴っていく。気付いた老人が逃げようとした所でナイフを一閃、しかし虚しく、空を切るのみだ。
「逃げられましたか」
「状況は把握してるよな?」
「現場も、大まかな目標も把握していますね?」
 いち早く戻って来た刀也と夏介の言に、生真面目に頷く。
「ええ、伝達とは実に重要な要素です。彼等は十全に役割を果たしてくれました。お陰で、今回も生き残る事が出来そうです」
 村人を3人で手分けして気付けていく。刀也と甲一は活の入れ方を良く知っていた為、それを活用し、夏介は治療者としての技能を遺憾なく発揮していく。その内に、村人達に軽い催眠が掛かっていた事に気付き、応急処置を施した。
「きちんと治療するには時間が惜しいですね」
 そうして次に、子供達が全員居るか、女性達に確認する。反論は自在符を見せる。1人の女性がうちの子が居ないと、声を上げた。
「守に入るのは此処まで、狩りの時間と参りましょうか」
 村に降りた猟兵も、治療行為の間に戻って来ている。陽が沈む、逢魔ヶ時だった。

●逢魔ヶ時
 さらさらと流れる小川を、1人の子供が歩く。神様が呼んでいる。神様が呼んでいる。足を下さいな、手を下さいな。勇気を持って、それが有れば、皆が治るんだ。耳元で囁く声に、子供は二度ほど頷いた。綺麗な桜の筏を越えて、誰も居ない裏の裏、神様が待っている。
「ああ、君でしたか。さて帰りましょう」
 あまり聞いたことのない男の人の声、ああ確か。
「でも……いかなきゃ」
「その必要はありません。失礼」
 軽く首に何かが当てられる感触。あ、と声が漏れて、それしきり。
「手間が掛かりましたね」
「いやいや、よくも私の実験をこうも見事に台無しにしてくれたものだ」
 口調は違うが、初老の男の声が何処からか響く。
「漸く黒幕のご登場と言うわけか、大層に時間まで調整してくれたようだね。姿を見せ給え」
「ええ、見えなければ追いますが」
「君達には特にしてやられたね。あの悪魔の軍勢の包囲網には舌を巻いた。妖刀を浄化するくらいは考えたが、まさか、手懐けるとは。猟兵は恐ろしい。ぜひ解剖させてくれ。そうでないと、割に合わない」
「アンタをやれば終わるってだけなら、話は早いね。こちとら後のことまで考えたってのに」
「それはそれは。お詫びに、老体に効くオペをあげよう。痛みという喜びで、貴方を埋め尽くそう」
「作ったのは貴方という事ですね」
「君は意外だった。ヒトガタであるのにこの地に私が与えた精霊の痛みを引き受けた。君に内蔵はあるのかな?」
「鬱陶しい野郎だ。たたっ斬る」
「地道な捜査、お疲れ様、お陰で私が逃げる決定打だ。苦痛を設けて解体しよう」
「判決は下りました。首を跳ねよ、と女王は仰りました」
「さて、変わり者のアリス。夢から覚めさせてあげるよ。まあ暖炉の前ではなく、手術台の上だがね」
 初老の男が猟兵に下す言葉は聞く価値がなく、全てが解体、解剖、痛覚などの偏執的な医療行為に終止している。山中に隠れている筈だが、未だに姿は見えない、保護対象の子供の安全の確保を先んずるべきか。猟兵は考える。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『渡来医フランツ・ツェルン』

POW   :    診察
【医学的見地により筋肉動作を観察することで】対象の攻撃を予想し、回避する。
SPD   :    執刀
自身が装備する【嘗ての『実験台』から入手した妖刀の数々】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ   :    移植
対象のユーベルコードを防御すると、それを【医学的見地から分析・解析・模倣し】、1度だけ借用できる。戦闘終了後解除される。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は一駒・丈一です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●渡来医フランツ・ツェルンの実験的日常
 いつもの様に人を解体していたが、増えた妖刀を見て、捨てる程あり、もう要らないが、しかし捨てるのは惜しいと、惰性で持ち歩いていたそれを見て、実験が1つ思い浮かぶ。何の奇縁か幸運か、とある山村で興味深い信仰を発見し、かつ神主は剣の才に恵まれ、努力を惜しんでいなかった。物は試しと神主に近付き、妖刀を外法と外科的手術で埋め込んだ。
 妖刀は概ね予想通り、神主との二重人格を確立する。見えていた結果ではあったが、神主の苦痛に歪む顔と、それを緩和すると見せ掛け、妖刀の自我を強化し、洗脳を進める自分を信頼し切った、あの目は愉快だった。
 次に村人を限定的な催眠洗脳に掛けていく。自分に逆らえぬ様、此処で何が起きていても無関心になる様に。彼等は何も知らぬまま、この実験の加担者となる。1人、抵抗力の高い老人が居たが、様子の変わった村人を見て、早々に繋がりを放棄したので、放っておく。 儀式とは実験体の選別だ。解剖したい獲物を選び、満足するまで解体する。桜花筏の先、小川の最上流に、子供等が贄が捧げられるというのは、中々洒落が効いていると我ながら唸ったものだ。滝を登って龍になど、なれるはずもない。
 手駒の妖刀に、腕もしくは足を斬らせ、神主の僅かな理性を誤魔化す為に、私に預ければ代わりを用意すると刷り込んだ。義手と義足代わりに与えるのは、私の実験体になるという栄光だ。これほど素晴らしい物は無いだろう。思う存分に解体して、気付けば実験体は事切れ、それをまだまだと、飽くまで、弄ぶ。儀式の体を取っているので、手足の模型は物のついでに作っていたが、これも凝り出すと中々楽しい。いつの間にやらささやかな趣味となった。同好の士が居ないかと交えて置いてみたが、理解出来る者は現れなかった。 ここ最近は神主が起きる度に汗を掻き、壊れた様にあれは夢だと笑うのを遠目で見ては、手懐けた犬や、躾の出来たペットを見る様な気持ちになり、毎朝の楽しみになっていた。
「思うまま好きな事をやるというのは、非常に人間的だろう? 私はまだまだ続けるとも。君達も加えてあげよう」
 それを、彼等は壊しに来た。オブリビオンは見えぬ姿で未だ猟兵を憎み、嘲笑う。

●状況整理
 オブリビオンの正式名称は渡来医フランツ・ツェルン。悪質な解体狂であり、偶然手に入れた妖刀を得物として扱う。神主に埋め込まれていた物に関心が無い辺り、放浪し、持て余しているのだろう。
 猟兵側には保護対象の子供が一人、村か宴会会場まで抱えて帰らせるか、この場で留まらせて戦うか。オブリビオンはどうも目立たず、足音もない。集中すれば高い催眠術技能も持っている様だが、戦闘中は精々睨みで一瞬動きを止める程度だろう。剣を嗜んでいたという言から、二回攻撃を持っていると推測が出来る。
 戦闘場所は夕焼け時の山中、邪魔をされてそれなりに腹立たしいらしく、猟兵と現場に居る子供以外は眼中に無い。それでも、瀕死になれば村人を盾にする位は考えるだろう。少しは警戒しておくべきだ。

 最後に、オブリビオンが使用するユーベルコードは三つ。加えて、目立たない、忍び足に、低度の催眠術と二回攻撃の技能を有している。ユーベル・コードは以下の通りだ。

 医学的見地により筋肉動作を観察することで、対象の攻撃を予想し、回避する診察。緻密さとは裏腹に、肉体能力に頼った技だ。
 技によって、嘗ての実験台から入手した妖刀の数々を複製し、念力で個別に操作する執刀。
 対象のユーベルコードを防御すると、魔法かと思える程の正確さで、それを医学的見地から分析・解析・模倣し、1度だけ借用する移植。
 
 整理を終え、猟兵はオブリビオンとの戦闘を開始する。
百鬼・甲一
さて、不快なモノを見せてくれた御礼に、その目論見を徹底的に潰すとしましょう

子供を護ります。安全な場所に避難させるか…敵が子供を狙ってくるようなら仲間たちと共にその場で守ることになるでしょう。身を挺してでも、傷つけさせませんよ
【シーブズ・ギャンビット】で敵に先んじて攻撃し、妨害を狙ってみましょう
横槍を入れてやれば、私に目標が向くかもしれませんしね
傭兵らしく、ずる賢く戦わせて貰います

刀で御相手できなくて申し訳無いですが…幼子しか斬れない貴方にはこれで十分でしょう?
(ダガーを構えて、安い挑発と内心苦笑しつつ)

◆戦闘後
終了、ですね。子供が覚えてるようならフォローしつつ、親元に送りましょう


御剣・刀也
胸糞悪い。ほんとに胸糞悪いぜ
もういい。喋るな。お前は潰す

怒りが臨界点を超えて逆に冷静になる
相手が筋肉の動きを見て此方の攻撃を回避するというならば、見てからでは遅い速さの一撃を打ち込んで斬り捨てる
妖刀を操って来たら邪魔な奴、狙ってきたやつは弾き落として他の物は無視して突っ込んで斬り捨てる
防御して模倣しようとしたらあえてもう一度同じ技を打ち込んで相手との練度の差を見せつける
「どんなに優れていようが模倣は所詮模倣。本物の独自性、創造性を前にすれば容易く地金をさらすもんだ。お前はもう喋るな。お前の一言一言が不快だ。黙って俺達に殺されろ」


宴・段三郎
アレは妖刀にできそうじゃな。

【目的】
敵、渡来医を鍛刀して妖刀にする


【行動】
まずは妖刀の斬撃による衝撃波を使い、間合いを取りつつ、【目潰し】、【吹き飛ばし】、【気絶攻撃】を搦め手に敵の体力を落としていく。
その際使用する妖刀は『木枯丸』

何度か打ち合うさいは妖刀『戎』で敵の妖刀の【生命力吸収】。

隙を見せた際は刃の透明な妖刀『七葉隠』で【串刺し】を行う


相手が疲労したところで妖刀『化生炉』に持ち替えユーベルコード【地国炉開闢】発動し、白き炎を展開。敵を妖刀へと鍛刀する


そう、生きたまま鍛刀し、怨嗟と呪恨たっぷりの妖刀になってもらう


桜雨・カイ
理解、できません…したく、ないです
(怒りよりもまず敵の考えが理解できない)

子供の安全確保を優先。【錬成カミヤドリ】で錬成体に子供をかかえさせ村に戻ります(他の人が対応の場合敵からの守り役につく)

子供を引き渡し後は、村の入口で待ち構えます
怖いものはここへは来させません、心配しないで下さい。

ここから先は行かせませんよ
草や地面を踏む音に加え【第六感】で敵の気配を察知
複製と【二回攻撃】はこちらも得意ですよ。
それに人形なら筋肉ないので動きが読めないでしょう。

戦闘後は儀式の場へ。できる限りの浄化を。
痛かったでしょう。精霊も神主もそして何より贄にされた子供達も。
大丈夫ですよ、もう怖いものはいませんからね。


シーザー・ゴールドマン
【POW】
ふむ、言葉は通じても会話は出来ないタイプのようだね。
まあ、オブリビオンは多かれ少なかれそういうものではあるが……
戦術
《ウルクの黎明》を発動。
ステラ(あるいは他の猟兵)が子供を連れ去った後、直感(第六感×見切り)でだいたいの場所に見当をつけてその範囲を吹き飛ばします。
(衝撃波×範囲攻撃)
「いい加減、出てきたまえ」
姿を把握したら、飛翔能力で神速で間合いを詰めて斬撃。
(空中戦×先制攻撃×怪力等々)
手足を切り落とした上でトドメを刺したいところです。
敵POWUC対策
身に纏うオドをちょっと細工。光を屈折させて敵からは歪めて見せる事で筋肉動作の観察に誤差を与える。

アドリブ歓迎・ステラと同行


ステラ・リデル
【SPD】
悪趣味なオブリビオンですね。

戦術
シーザーの無言の指示を受けて子供を連れて宴会会場、親元へ。
シーザー達を掻い潜れるとは思えませんが、万全を期する為、悪魔たちに宴会会場の村人達と神主、村外れの老人の護衛を差配します。
※子供の避難時に邪魔された場合は《青の魔王》を発動。
 回避を重視して子供を安全圏に連れ去ります。
戦後は妖刀を回収。二次被害が起こらぬように破壊なり浄化をシーザーにお願いします。

アドリブ歓迎・シーザーと同行


有栖川・夏介
医師としての力がありながら、なんて悪趣味な。
絶対に奴を許すわけにはいかない。
「判決はくだった。貴方はここで処刑する」
処刑人の剣を構えて睨む。

【戦闘知識】と【第六感】を頼りに敵の動きを読んで攻撃を回避。
動きを読ませないように、こちらも【目立たない】ように立ち回る。
【残像】で敵の気を引き、死角からの【フェイント】攻撃。
音もなく、暗器のように処刑人の剣を振るい【恐怖を与える】

敵が怯んだら、UC【黄泉へと誘う紅の乙女】を発動。
「恐れを抱いたなら、貴方の負けです。『…首をはねよ、と女王が言った』さあ、サヨナラの時間です」



●開
「随分と不快なモノを見せてくれましたね」
 百鬼・甲一(傭兵・f16959)は嫌悪に眉を顰め、視線を反らす。保護の為に気絶させた子供の保護を最優先にする、と言外に仲間に伝え、頷いた猟兵に子を託す。この山中、前に出るよりは後の先を狙うべきか。
「幼子しか斬れぬ貴方に、打刀も太刀も必要ありませんか。これでお相手致します」
 我ながら不出来な挑発だと自嘲しながら、ホルダーからナイフを抜き、半身気味に構え、持ち手を伸ばす。
「乗るとでも思っているのかな? ああ、然し、君には随分と煮え湯を呑まされた。安い挑発だと分かっていても、私の欲は抑えられそうに無いよ。まずはその自慢の腕を裁きたい。傭兵くん?」
 ゆらり、地面の影が増える。ざり、と土が擦れる力有る刹那の踏み込み。研ぎ澄ました勘と聴力がどうにか、その挙動を捉え、喉元を狙ったナイフの切っ先が、先んじて渡来医の身体を掠め、甲一の腕を切り落とそうとする凶刃を、御剣・刀也(真紅の荒獅子・f00225)の獅子吠が、上段から叩き切る。
「胸糞悪い、ああ本当に。胸糞が悪いぜ。もういい、喋るな」
 臨界を超える程の確かな怒りを瞳に湛え、しかし心技共に流水の如く、剛剣は冴えていく。
「お前は潰す」
「おお、怖い怖い。その様な目を折ってしまうのも、年寄りの楽しみだよ」
 折れた妖刀を気にも留めず、2人を妖刀の群れが八方から囲い込み、襲う。刀也は目でそれらの動きを見切り、自身を狙った妖刀のみを弾き飛ばし、気配を消そうとする老人に突っ込み、一太刀を浴びせようとするが、軽い催眠で止められ、一歩違いで気配を隠された。舌打ち、次いで、神速の打ち込みで甲一が妖刀の群れから脱出する。
「もう一度言う。判決はくだった。貴方はここで処刑する」
 有栖川・夏介(処刑人は白いうさぎの夢をみない・f06470)は切っ先の無い、切断に特化した処刑人の剣を構え、自身が夢見た医師という職業でありながら、悪趣味だと怒気を顕にし、睨み付ける。勘を頼りに一閃、敵の体を軽く裂く。同時に気配を薄め、潜む。
「ふむ、あれは良い妖刀になりそうじゃな。しかし、鈍らばかりじゃの。つまらん」
 高速で向かう妖刀の群れをそう言い捨て、自らが鍛刀し、銘を打った戒で、妖刀の根幹を成す部分の尽くを食らっていく。宴・段三郎(刀鍛冶・f02241)は老人の精神性を話から鑑みて、鍛刀に相応しいと判断を下した。
「中々面白い事を考えるお嬢さんだ。オブリビオンは多かれ少なかれ、そういうものだが、言葉は通じても、会話は出来ないタイプだからね。とても理に叶っている処理だと思うよ」
 2人を囲み、なお残った妖刀の群れが、残った猟兵と幼子に向けられる。シーザー・ゴールドマン(赤公爵・f00256)は血色に輝くオドを纏い、自身に向かったそれと、子供に向かう軌道の尽くを打ち払う。
「……おんし、まともな神経してねえの。あれと同じで、良い妖刀になりそうじゃが……どうじゃ、打たれてみんか?」
「それはとても面白い冗談だ。臆病な老人と遊んでいる今より、ずっとね」
 同時に、自身を鍛刀されたなら、それは神剣にも匹敵する魔剣になるだろうと想像して、一瞬だけ目を瞑る。
「戦術としては理に適っておるがの。打った後、臆病になってしまわんか、不安じゃ」
「これはこれは、散々な評価だ。私が話を聞く余地を無くしたのは君達が私の邪魔をしたからだ。これでも私は頭に来ていてね。臆病だと罵るなら、この数の差をどうにかして欲しいものだ」
 老人は重なる挑発に一瞬、子供から意識を反らす。猟兵にはその隙だけで十分だった。 子供の保護を最優先とした桜雨・カイ(人形を操る人形・f05712)とステラ・リデル(ウルブス・ノウムの管理者・f13273)は、共に宴会場への撤退を開始する。

●出
 薄暗い夕焼けの山中に、土を踏み締め、風を切る音が響く。
「悪趣味ですね」
 ステラは表情を変えずに吐き捨てながら、悪魔達に指示を出す。
「いやいや、老後のささやかな幸福と日常を奪う、君達には負けるね」
 どの口が言うのかと虚空を睨みつけ、山中を疾駆。留まった前衛へ妖刀の大部分が集中しているが、それでも老人の貯蔵は膨大な様だ。
 無形自在の光剣を鞭の形状として、向かう刃を効率良く打ち払い、絡め取る。妖刀が身体の一部に触れる度、不快感の増す哄笑や、血に飢えた怨嗟と欲望が叫びを上げる度、黙れと青い瞳で冷酷に告げながら、魔術強化を施した黒のブーツで踏み砕いた。
 カイはそんなステラと並走しながら、無形の繰糸を手繰る。出現させた33体の人形が、飛んでくる妖刀の尽くを掴み、祓い、踏み壊す。時には子を庇うために止む無く、囮として犠牲にしながら、宴会場までの死の舞踊はお非ない。意識を持ち、半自律で駆動する妖刀は厄介だ。本体から離れても、気配だけで何時までも追尾する。
「理解、出来ません……したく、ないです」
 カイは、そうして人形を手繰りながらも、渋面を浮かべ、一度、ぎっと強めに歯を噛み合わせた。怒りよりも敵への無理解と、単純な嫌悪感。
「人と人形、両方の要素を持つ君は、もしかしたら同好の士かもしれないと思ったんだがね、非常に残念だよ。良く出来ていただろう?」
 カイのそれらを無視した老人の声。半ば程まで聞き取れたが、以降も聞き取る必要など無い戯言だと切って捨てる。人形の残数と妖刀の残数を冷静に確認し、複製の腕で良く眠っている幼子を見て、胸を撫で下ろすと、更に念糸を手繰っていく。感情の昂ったステラの不意を突くように、3振りの妖刀が光剣の包囲を抜け、彼女を斬らんと迫る。
「しま……っ」
 間一髪、全て念糸で絡め取る。しかし、足が止まったのを、残りの妖刀が見逃す筈もない。一瞬の魔力開放。契約がステラの青い魔力身体能力を強化し、凶刃を一刀残らず、青の鞭が叩き落とす。身に余る魔力が寿命を食らうが、秒にも満たないそれは、気に留めない。
「有難うございます」
「いえ、此方こ。もう少し気を引き締めますね」
 難を逃れ、足を早めながら、頷き合うが、未だ残った妖刀が、2人を付け狙う。宴会会場まで、息を吐く暇は無さそうだ。

●打
「ステラ達は、行ったね。ではそろそろ、炙り出しと行こう。妖刀についてはお嬢さんが適任だろう、任せよう」
「任されよう。戒よ、まだおんしの手番じゃ。嬉しいの?」
 妖刀殺しは宴の言葉に、カタカタと刀身を震わせた。まだ食える、まだ殺せると、まだ、まだまだ、一杯、一杯と歓喜に打ち震えた。
「では、参ろうか。代わりにしっかりと、剣としての役を果たしてくれんかの?」
 妖刀の所作に何時も通りだと段三郎は無表情に一つ頷いて、妖刀の打ち払いに集中する。
「好い加減、出てきたまえ」
 返答代わりに無数の妖刀がシーザーに向かって飛ばされ、それらを段三郎と戒が祓い、無効化し、射出から辺りを付けたシーザーが、オドの剣を振るい、周辺を吹き飛ばす。僅かな足音を感知し、刀也が上段を振り被るが、掠めるに終わり、更に追撃に出た甲一の一撃が、操作される妖刀に阻まれる。
 猟兵との攻防は耐久戦となっていく。一進一退を退けるには、彼の目を此方に集中させなければならない。
「多勢に無勢、逃げたくなるね」

●隙
 猟兵達は、山中で気配の薄い老人を相手に、持久戦を展開していく。
「何処を狙っているのかな?」
 からかう声、気付けば前と背後に妖刀の群れ。何度目か。僅かな足音、妖刀の軌道を頼りに、吹き飛ばすが致命の一打は与えれない。それでも、徐々に天秤は猟兵に傾いていく。
「地金をさらすのが早かったな。お前はもう喋るな。お前の一言一言が不快だ。黙って俺達に殺されろ」
「うん、この程度だったとは。少々期待外れだね」
「気配を隠すのは上手いですが、それだけですね」
「妖刀の扱いは褒めても良いがの。それも、及第点程じゃな」
 後は妖刀頼りだ。猟兵達の剣技に老人は及ばない。純粋な剣の腕であれば、先程の神主の方が上だった様だ。渡来医のそれは、生来の隠密性を壁としているだけと見て良い。オドを強め、噛み合わせた刀を怪力で押し切り、弾く。気配を消そうとした所で、二閃。医学的見地からそれを見切っていた渡来医が始めて、衝撃の一刀を浴び、シーザーを睨め付けた。
「……狂わせたな」
「ご名答。さあ、そろそろこの遊興も終わりのようだ」
 仕掛けは光の屈折誤差による筋肉動作の誤差、人体ばかりを見ていれば、気付くはずもない。
「うむ、妖刀も品切れじゃろう。戒、満足したか?」
 満腹と伝えるように緩く段三郎の手中で刀身を揺らした。
「ええ。僕をお忘れの様ですし、ね?」
「アリス……っ!」
 足音を消し、気配を消し、好機を待った夏介の騙し討に、咄嗟に妖刀を振るが、それは残像。背後からの一閃に音は無く、しかし、どうにか刃で受け止めるも、軽い。もう一刀が、首に迫る幻覚。渡来医は、確かに命を失う恐怖を覚え、飛び退いた。
「……恐れましたね。マッド・ティー・パーティに幕引きを。さあ、サヨナラの時間です」
 首を跳ねよ、と女王は言った。呪い言葉に赤いドレスの少女が舞い降り、スカートから、悲鳴ごと切り裂く大鎌が、渡来医の身体を一閃する。首を狙った一撃は、しかし、背を裂くに留まった。鮮血が緑に落ちる。
「誘導、有難うございました」
「いや、見事な手際だった。ご協力有難う」
 程なく、1つの足音が駆けつける。

●狩
「子供の保護は滞りなく。ステラさんが送り届けました」
 カイは折り返す際に、減った人形を錬成し、補充してから此方に合流したようだった。段三郎は満足した様子の戒を納刀し、黒漆紅波紋の木枯丸と銘打った刀に持ち替える。
「ネタは切れたな?」
 刀也が挑発すると、耳煩わしそうに渡来医は気配を薄めた。それを皮切りに、シーザーが衝撃波を飛ばす。目印に段三郎が軌道から避ける方向を読み、山中の木ごと吹き飛ばす。目前に飛んできた丸太を妖刀が幾重もの剣閃で切り飛ばし、そこをカイの人形が囲い、目印とし、脱出口を無くす、加えて念糸で不可視の天幕を作り、包囲網とする。
「こちらも、こういったことは得意ですよ」
 それでも逃れようと渡来医は跳躍する。読んだ刀也が追う様に飛び上がり、精神集中。刀也の剣術は一刀に重きを置く一撃必殺、故に。
「この切っ先に一擲をなして、乾坤を賭せん……! 避けてみろ」
 その剛剣は神速を併せ持つ。全力で叩き込まれる跳び上段からの一閃が、渡来医を唐竹に打ち、地に落とす。筋肉運動から、どうにか肩にずらすが、すかさず、夏介の処刑人の剣が、同様の場所を切断し、段三郎の木枯丸の刀身が溶け、濃い血の匂いを持った紅葉が、敵を膾切りにせんと、渡来医の身体を更なる血を求め、舞い斬っていく。
「うむ、思う存分に啜ると良い」
 どうにか肉が繋がっている状態だが、満身創痍と言って良いだろう。
「縫い付けるかの。七葉隠、出番じゃ」
 カイに目配せ、道を作って貰い、11尺5分に達する透明な刀身を持つ妖刀を構え、渡来医の腹を串刺す。血を吐き出すのにも構わず、妖刀を7つに分け、昆虫標本をそうするように、身体を縫い止め、抵抗する間もなく、とうとう、渡来医は縫い止められ、眼前の段三郎を憎しみの宿る目で睨み付ける。
「く、くくく、猟兵がすることとは、このようなものか、やはり、私と変わらぬ存在ではないか。」
「うむ、その恨みが有れば良い妖刀になるの。世の不条理ををもっと嘆くと良い。鍛刀した後であれば、儂は受け止めてやるからのう。行き先は墓場じゃが」
 もう動けぬと確信を持ち、最後の妖刀、化生炉と銘打った大太刀を持つ。
「ふうむ、医術、解体、足手荒神、やはり小太刀かのう。四肢切断に用いられたのじゃし、四肢忌……うむ、銘打ちの方向性はこの辺りで良いじゃろ」
 鍛刀、と色のない声で呟き、1片の創作意欲、それを口にしながら纏い、化生炉の炎に放り込む。声ならぬ怨嗟を上げ続け、魂鋼となった魂を大槌で鍛え上げると、一本の小太刀が出来上がった。オブリビオンの末路は、想像以上に悲惨な末路を辿る事になった。
「……終了、ですね。子供はもう、送られていましたか」
 甲一の声で、ようやく、殆どの傭兵が力を抜く。サムライエンパイアの奇妙な事件は、猟兵達の手によって、此処に終わりを告げた。

●終幕
 甲一は子供が先程までの事を覚えているか気掛かりで、子供に会いに行ったが元気そうで、胸を撫で下ろした。
 シーザーは鍛刀されたオブリビオンを興味深く眺め、技術にも興味が出たようだが、ステラはそんな彼を見て、少し頭を悩ませながら、二次被害が起きないよう、渡来医がばら撒いた妖刀を全て回収する。当初はシーザーに預けようと思ったが、より専門家である段三郎の方が相応しいと考え、彼女に全てを預けた。当の段三郎は一瞬渋い顔をするも、刀の墓場に刺すだけだ。気に入った物があれば、鍛え直すのも良いだろうと、考え直してステラの要望を受け入れた。
 カイは儀式の場、川の最上流で、念糸で陣を描き、聖痕の力を強化して、被害者全てを深く、労った。もう怖いものは居ないから大丈夫だと、出来る限りの浄化をする。宴の時と同じ様に、精霊は淡く、微笑んだ。
 刀也は仕事終わりを祝い、余っていた芋焼酎を多めに飲む。嫌なことを忘れる、という意味合いもあったのだろう。
 夏介はシーザー、ステラ、カイと協力し、村人と神主の催眠術を丁寧に取り除いていった。身に付けた医療知識は無駄ではなかったと、思えたかもしれない。
 そうして、猟兵はいつもの日常へと戻っていく。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年04月20日


挿絵イラスト