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アポカリプス・ランページ⑪〜偽神

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●アイオワ州デモイン砦:フィールド・オブ・ナイン「デミウルゴス」
「……煩い……煩い……煩い……!」
 聳え立つ塁壁に囲われた暗い闇の中で、苦悩する影が一つ。
 それは男であり、しかし明らかに人ではない。剥き出しの上半身のほとんどが、赤黒い獣とも兵器ともつかぬ禍々しい形状をしている。まるで、未知の生物に侵食されているかのように。
「「助けてくれ」「裁いてくれ」「赦してくれ」……」
 頭を抱えて唱える言葉は、男自身の言葉ではない。彼の頭の中に絶え間なく響く、有象無象の声たちの祈りだ。
「俺は、狂った教団に造られた偽物の神だ。なのになぜ、俺に人間の祈りが届き続ける……!?」
 偽物の神に届く本物の祈り。願いが切実であればあるほど、それは空虚で滑稽。
「……黙れ……黙れ……黙れ……! 俺に……お前達を救う力など無い……! 祈りの声が聞こえなくなるまで、俺がお前達を殺し尽くしてやる……」
 虚しく祈りを聞き続ける苦痛は、男の限界を越えようとしていた。
「あるいは、俺を殺してくれ……!」
 悲鳴じみた懇願を口走る偽神の手の中で、身の丈ほどもある大剣が、凶悪な刃にぬらりと危険な光沢を走らせた。

●グリモアベース:ゲネ
「アポカリプス・ランページもそろそろ佳境といったところだな。アメリカ中央部アイオワ州デモイン、再建されたデモイン砦にて、フィールド・オブ・ナインの一体、無敵の偽神『デミウルゴス』の討伐を頼む!」
 ゲネ・ストレイ(フリーダムダイバー・f14843)がモニターに『デミウルゴス』の姿を映し出す。
 一見してそれは、大剣を携えた勇ましい剣士のように見える。しかしその半身は得体の知れない獣のような体組織に侵食され、雄々しくも禍々しい形状に歪んでいた。
「デミウルゴスは「無敵」の偽神。その名は、偽神細胞を持たない存在からの攻撃を「完全無効化」する特性に由来する」
 つまり、通常ならば体内に偽神細胞を移植しているストームブレイド以外に対抗手段はない、ということになる。
 だが現在、猟兵はソルトレイクシティで偽神細胞液を入手している。これを体内に注射することで、一時的に「偽神化」することが可能になる。
「偽神化しなければデミウルゴスに傷一つ与えられない。が、偽神細胞の摂取は激しい拒絶反応をもたらすだろう。……かなりキツイぞ」
 ともすれば、絶命の危険さえある。
 静かな忠告に沈黙が落ちる中、ゲネは役目に従い転送術式を作動させた。猟兵の視界がまばゆい光に満ちていく。
「だが危険なフィールド・オブ・ナインを放置もできない。当人の望みどおり、偽りの神を祈りの苦痛から開放してやってくれ!」


そらばる
 アポカリプス・ランページ、うつろわざるもの。
 偽神細胞を持たない存在からの攻撃を無効化する無敵の偽神を討伐してください!

●プレイングボーナス
 このシナリオでは、特別なプレイングボーナスが発生します。
=============================
プレイングボーナス……「偽神化」し、デミウルゴスを攻撃する。
=============================
 上記に基づく行動をすると有利になります。

(※「偽神化した瞬間や容姿を描写する」「偽神化の反動に苦しむ」など、それらしいプレイングにボーナスがつくと考えてください)

●ボス戦『デミウルゴス』
 「フィールド・オブ・ナイン」の一体である、無敵の偽神。
 体内に「偽神細胞」を持たない存在からの攻撃を「完全無効化」します。

 「偽神化」することでダメージが入るようになります。
 この戦いではストームブレイド以外も、「偽神細胞液」を体内に注入することで一時的に「偽神化」することができます。

 執筆の進捗やプレイング締め切りなどは、マスターの自己紹介ページで呟いております。目安にどうぞ。
 それでは、皆さんの自由なプレイングをお待ちしています!
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第1章 ボス戦 『デミウルゴス』

POW   :    デミウルゴス・セル
自身の【偽神細胞でできた、変化する肉体】が捕食した対象のユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、[偽神細胞でできた、変化する肉体]から何度でも発動できる。
SPD   :    偽神断罪剣
装備中のアイテム「【偽神断罪剣(偽神細胞製の大剣)】」の効果・威力・射程を3倍に増幅する。
WIZ   :    デミウルゴス・ヴァイオレーション
自身が装備する【偽神断罪剣(偽神細胞製の大剣)】から【強毒化した偽神細胞】を放ち、レベルm半径内の敵全員にダメージと【死に至る拒絶反応】の状態異常を与える。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

シルヴィア・スティビウム
あなたには声が聞こえるのね
誰かの願い、或は怨嗟の声が
解らなくはないわ
神のように作られた哀れなひと
残念ながら、今の私にあなたを救うことはできない
でも、背負わなくていい宿業を負わされて苦しむあなたを放ってはおけないわ
だから、私も同じ宿業を背負って、あなたを倒す

(偽神細胞液を体に打ち込むと、体中からブルーアルカディアの天使の翼のような何かが生えてくるのを、自身の影から伸びる銀色の闇が抑え込もうとする)
……ひどい有様だわ。異物を入れられるのは、私の魔女も嫌がるみたい
でもこれであなたと同じ条件
砲剣でもって、戦いましょう
この銀色の闇は、あなたに生じるあらゆる障壁を遮断する
これでも、まだ、声が聞こえて?



●銀の闇
 薄闇に染み付くような異形の男を、シルヴィア・スティビウム(鉛の魔戦士・f25715)は見つめる。
「あなたには声が聞こえるのね。誰かの願い、或は怨嗟の声が」
 ひくり、と薄闇の中の男が顔を上げ、シルヴィアを見る。諦観に満ちた陰気な眼差し。
「解らなくはないわ。神のように作られた哀れなひと」
 シルヴィアの唇は、淡々と鈍色の言葉を紡ぎ重ねる。
「残念ながら、今の私にあなたを救うことはできない。でも、背負わなくていい宿業を負わされて苦しむあなたを放ってはおけないわ」
 たおやかな手の中に握り込まれているのは、不可思議な液体をなみなみ揺らすアンプル。
「だから、私も同じ宿業を背負って、あなたを倒す」
 首の根元に刺した注射器の押し子を、躊躇なく押し込む。
 たちまち全身に違和感が駆け巡った。華奢な体中から、ブルーアルカディアにおける天使の翼の如き何かが生え出ようとしているのを、シルヴィアの影から伸びる銀色の闇が抑え込もうと拮抗している。
「……ひどい有様だわ。異物を入れられるのは、私の魔女も嫌がるみたい」
 白い羽根を身体から散らしながら、シルヴィアは術式砲剣・エタンダールをかまえた。
「でもこれであなたと同じ条件。……戦いましょう」
「……貴様も、祈る者か」
 初めて異形の男──デミウルゴスが口を開き、禍々しい偽神断罪剣をやすやすと持ち上げ、切っ先をシルヴィアに差し向けた。
「ならば殺し尽くしてやる」
 ──瞬間、黒い刃がシルヴィアの視界を埋め尽くしていた。
「──ッ!」
 振り下ろされる寸前になんとか砲剣で受け止める。重い刃と刃の鍔迫り合い。
 シルヴィアはデミウルゴスの底のない闇の如き瞳を覗き込みながら、圧縮した術式を砲剣の刀身に展開した。
 デミウルゴスの瞳が警戒の色を迸らせ、砲剣に押し出される形で背後へ退いた。シルヴィアはそのまま砲撃で追撃しながら銀色の闇を戦場全体へと放出した。一瞬怯んだデミウルゴスへと飛来した術式の砲弾が爆発を巻き起こす。
「この銀色の闇は、あなたに生じるあらゆる障壁を遮断する。これでも、まだ、声が聞こえて?」
 爆煙の向こうに問いかけるシルヴィア。
 砲撃を大剣の腹で受け止めた偽神は答えず、ただ「……煩い」と苛立ちの棘を孕んだ声だけが返った。

成功 🔵​🔵​🔴​

藤・美雨
偽神化しつつ戦うよ
予想以上の痛みと不快感が身体を苛むな
身体の奥底が寒くて寒くて
あは、死んじゃいそう
強がってカラカラ笑って、でもそのくらいが私らしい
さあ、神様を殺しに行こう

相手が剣を振るえば痛みが、不快感が、寒気が更に悪化する
でも負けるもんか
何が死に至る、だ
こっちは既に死んでるからね!

ずーっと苦しそうなアイツを常に笑ってる私
どっちが楽しそうかなんて明白だろう?
その想いを体現するように身体を突き動かす
振るわれる剣は大げさに避けて
偽神細胞に負けないくらい機械の心臓を滾らせ走る

さあさ、殺して欲しいなら殺してやろう!
『火尖鎗』を振るい【怪力】で相手の胴に突き刺しにかかる
灰になって、全部どこかへ行っちまえ



●苦しむ偽神、笑う死者
 偽神化の副作用は、即座に藤・美雨(健やか殭屍娘・f29345)の身を苛んだ。予想以上の痛みと不快感。身体の奥底が寒くて寒くて……
「あは、死んじゃいそう」
 強がってカラカラ笑って、でもそのくらいが私らしい、と美雨はまた笑う。
「さあ、神様を殺しに行こう」
 砦の奥へと突き進み、寒々しい薄闇の中の異形と対峙する。
 黒々と疲弊したデミウルゴスの眼差しが、身の丈より長い槍を携えて偽神化した美雨を捉える。
「死者……貴様も祈る者か」
 絶望じみた殺気を放つや、デミウルゴスが巨大な黒剣で襲いかかってくる。
 美雨は打ち下ろされる大剣をあえて大げさに躱す。偽神が剣を振るうほどに、痛みが、不快感が、寒気がさらに悪化していくのがわかる。
 けれど美雨は、笑みを絶やさない。
「負けるもんか」
 身体の不調を無視して、美雨は大きく横っ飛びに跳ぶ。
「何が死に至る、だ。こっちは既に死んでるからね!」
 ──ずーっと苦しそうなアイツを常に笑ってる私。
 ──どっちが楽しそうかなんて明白だろう?
 そんな想いを体現するように全身を突き動かす。踊るように戦場をくるくると跳ね回る。偽神細胞に負けないくらい、機械の心臓を滾らせ走る。
 避けるばかりの美雨の振る舞いに嘲笑でも感じたか、大剣の柄を握りしめるデミウルゴスの手に苛立ちが籠もった。叩きつけられた黒い刃はさらりと美雨に避けられ、深々と砦の床を抉った。
 砕かれた破片が派手に飛び散る中、デミウルゴスが大剣を引き抜こうとするそのわずかな隙を捉えて、美雨の手に握られた火尖鎗の穂先が赤く燃えた。
「──さあさ、殺して欲しいなら殺してやろう!」
 下段に構えた槍が、炎の残光を引きながら抉るように宙を滑る。
 切っ先は偽りの神の、獣の如く変質した横腹へ。
「灰になって、全部どこかへ行っちまえ」
 燃える穂先が血肉を突き破り、デミウルゴスの傷口から鮮血と炎が溢れる。
 業火に巻かれた偽神の咆哮と血肉の焼ける臭気は、やはり人のそれではなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ジュリア・ホワイト
※偽神化する

ふっ、良いとも
平和を脅かす敵と戦う為ならば!
どんな苦痛や恐怖も耐えて立つのがヒーローさ!
「ヒーロー、オーヴァードライブ出撃する!」

(とはいえ、長くは持ちそうにないな……偽神化、これほどまでとは)
ヒーロー魂込みでも、長時間の駆け引きに体が耐えられそうにない
格上の相手には無謀な戦略だが、短期決戦の一点突破狙いで行くしか無いね

「勝負だ、デミウルゴス!キミを止める!」
【ラスト・ワンエフォート】を発動
ロケットランチャー、精霊銃、機関砲、放水銃…
あらゆる武装のリミッターを外して、後先考えない全力攻撃をデミウルゴスに叩き込むよ
敵の毒細胞攻撃は同じく出力UPしたパワードスーツと蒸気で耐えるしかない



●ヒーローの全力攻撃
 ジュリア・ホワイト(白い蒸気と黒い鋼・f17335)の手の中には、偽神細胞液を満たした注射器がある。
「ふっ、良いとも。平和を脅かす敵と戦う為ならば! どんな苦痛や恐怖も耐えて立つのがヒーローさ!」
 針を迷いなく腕へ。体内に異物感を感じた瞬間にはもう悪寒が始まっていた。液体は瞬く間に全身を巡り、肉体を強引に作り変えられていくような不快感が覆いかぶさる。
「ヒーロー、オーヴァードライブ出撃する!」
 ジュリアは空の注射器を放り捨て、不調を無視して砦を駆ける。
(「とはいえ、長くは持ちそうにないな……偽神化、これほどまでとは」)
 ヒーロー魂をもってしても、長時間の駆け引きに体が耐えられそうにない。格上の相手には無謀な戦略だが、短期決戦の一点突破狙いで行くしか無いだろう。
 思案する時間もそこそこ、視界の先に偽神の姿が見えてくる。
「勝負だ、デミウルゴス! キミを止める!」
 宣戦布告するや否や、ジュリアはユーベルコードを発動した。全武装のリミッター解除、あらゆる銃口・砲口が一斉に火を噴く。
「──!?」
 デミウルゴスは驚愕する猶予すらなく反射的に対抗せざるをえなかった。間断なく打ち付けられるロケットランチャー、精霊銃、機関砲、放水銃……後先考えない全力攻撃が一気に偽神にのしかかる。
「くっ……」
 獣じみた俊足で回避し、大剣で受け止めてなお余りある弾幕。デミウルゴスは瞬間的に回避を諦め、防御のために掲げた偽神断罪剣から黒々と禍々しい強毒性の霧を解き放った。
 黒霧は瞬く間に戦場に広がり、視界をかすませていく。弾幕に毒霧を抑える力はない。ジュリアは出力を増強させたパワードスーツの防護を信じ、蒸気で中和しながら耐えるほかない。
 体内を冒す悪寒と毒霧のもたらす刺すような痛み。それら全てを受け止めて、ジュリアは攻撃の手を止めることなく何もかもを撃ち尽くしていく。
「ッ──ここで決める!」
 さらに勢い増す弾幕が二人の視界を埋め尽くす。
 着弾の爆発は偽神の姿をかき消し、異形の肉体に打ち消せぬ傷を叩き込んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

マリア・ルート
死をも厭わず進む。
覚悟はできている。偽神化、するわ。
デミウルゴス――造物主。『創造』の力使う者として、許せないから!

つってもホントにすごい拒絶反応!
体が焼けそうだし、理性ぶっ飛んで私の中のフレースヴェルグが今にも飛び出しそうだし――いっそ解放しちゃえ!

必要最低限の『オーラ防御』と『残像』による回避だけ考えて、【指定UC】で怒りのまま勝負!インファイトで速攻あるのみ!
相手がコピーしてもこれなら真っ向からのぶつかり合いよ!

徐々に感覚がなくなってくる、戻れるか怖くなる。
でも。
痛覚も何もないなら、自分の痛みとか気にせず存分に攻撃できる!

デミウルゴス、あんたは許せない!
この命犠牲にしてでも、討滅する!



●獣、ふたり
 求められているのは一つ。死をも厭わず進むこと。
 覚悟はできている。
「デミウルゴス――造物主。『創造』の力使う者として、許せないから!」
 マリア・ルート(紅の姫・f15057)は燃えるような想いを込めて、偽神細胞液を自らの肉体に打ち込んだ。
「……つってもホントにすごい拒絶反応!」
 たちまち全身に負荷がのしかかる。身体が焼けそうな灼熱感。脳が炙られるようで、思考が揺さぶられる。
「このまま理性が吹っ飛んでフレースヴェルグも飛び出しそう──いや、もう、いっそ解放しちゃえ!」
 偽神の目前に躍り出たマリアは怒りのままにユーベルコードを解放した。裂けた背から飛び出したのは破壊の怪鳥フレースヴェルグの雄々しき翼。
(「インファイトで速攻あるのみ!」)
 理性を失う直前の行動指針に従って、マリアは激しい羽ばたきと共に偽神へと襲いかかった。
 不意の一撃を大剣で受け止めたデミウルゴスは、闘争本能に塗りつぶされたマリアの姿に目を細める。そこに色濃く落ちるのは、物騒な苛立ちと……かすかな羨望。
「理性を失くせば祈りも失せるか……」
 瞬間、デミウルゴスの背が裂け、破壊の怪鳥の翼が勢いよく生え出た。マリアの力をコピーしたのだ。
 理性の失せた獣が二人、真っ向からぶつかり合う。殴り合い、斬り結び、純粋な暴力の応酬だけが二人を満たしていく。
 マリアの意識は分厚い幕の向こうにあった。徐々に感覚がなくなってくる、戻れるか怖くなる。
 でも。
(「痛覚も何もないなら、自分の痛みとか気にせず存分に攻撃できる!」)
 フレースヴェルグの侵食が進行する。腕が羽毛に覆われ、手が鳥類の鉤爪へと変貌していく。
「デミウルゴス、あんたは許せない! この命犠牲にしてでも、討滅する!」
 理性を失っても、その想いだけは、確かな言葉となって解き放たれた。
 マリアの気迫が偽神を押し切り、鋭い怪鳥の爪が異形の胸を切り裂いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カタリナ・エスペランサ
異端の神、邪神、魔神、偽神。紛い物だけあってレパートリーも豊富ね
いいわ、無力な神擬き。お望み通り殺して(救って)あげる

偽神細胞を摂取。不純物の混入に激昂する魔神の魂も敢えて《封印を解く》事で強引に身体感覚のバランスを取り《ドーピング》制御
強化した《激痛耐性+気合》とプライドで《継戦能力》を維持
変異した真の姿……纏う羽衣は黒く染まり、翼や尾は悪魔のような形状に歪んで。

敵の攻撃は《限界突破》した《第六感+戦闘知識》で《見切り》先読み、《空中戦》の三次元的な機動力を活かし回避または《武器受け+受け流し》対処

狂った権能よりは“私”の技で以て手向けとしましょう
【空覇絶閃】、秒間107の斬撃で斬り刻むわ



●偽神と魔神
「異端の神、邪神、魔神、偽神。紛い物だけあってレパートリーも豊富ね」
 カタリナ・エスペランサ(閃風の舞手(ナフティ・フェザー)・f21100)は皮肉めいた言葉を唇に乗せる。
「いいわ、無力な神擬き。お望み通り殺して(救って)あげる」
 あえて掬い取るように手のひらに満たした偽神細胞液に、直接口づけて飲み下す。
 体内への不純物の混入に、その身に宿る魔神の魂が激昂するのがわかる。しかしカタリナは魔神の封印をあえて解放した。偽神の力と魔神の力、その二つを拮抗させることで強引に身体感覚のバランスを取ろうというのだ。
 だが身体は容赦なく激痛に蝕まれ、耐え抜くには相当の胆力を要した。その間にもカタリナの全身は解けるように姿を変えていく。纏う羽衣は黒く染まり、翼や尾は悪魔の如き形状へと歪む……それは、真の姿に似て非なる禍々しき姿。
「……まるで堕ちた天使だな。貴様も紛い物か」
 カタリナの変異を目撃していたデミウルゴスは、皮肉で返す。
「所詮人間。祈る頭がある者全て……潰す」
 暗い眼差しに殺気が迸り、次の瞬間大剣が思いもよらぬ速度で目の前に迫っていた。
 しかしカタリナはその軌道を完全に予期し、やすやすと回避し空中へと逃げた。追ってくる剣圧の衝撃波はシンプルな短剣に宿した魔力で受け止めいなす。
 未だ体内で荒れ狂う魔神の魂を感じる。今この力を振るうのは興ざめというもの。
「狂った権能よりは“私”の技で以て手向けとしましょう」
 小さなダガーが、偽神と魔神の力を乗せて光の刃を纏う。半分は黒き魔剣の如く、半分は白き神剣の如く。
「森羅万象、我が刃の前にこそ等しく。天命を知れ」
 ──秒間、107閃。
 概念さえも断ち切る斬撃が、デミウルゴスに降り注ぐ。
 偽神の存在に罅が入った手応えと小さな破砕音を、カタリナは確かに聞き届けた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カイム・クローバー
自分以外の誰かの声が聞こえるってのは地獄さ。
自分が自分じゃ無くなる感覚。…いっそ精神まで化物なら、言葉なんざ理解出来ないならどれだけ楽か。
良いぜ。俺が殺してやる。その依頼、便利屋Black Jackが請け負ったぜ。

内部を焦がすかのような燃えるような苦痛。
表情には余裕、額には汗。──だが。ヤツを止めるならこれぐらいの代償は必要だろ?
この世界にも大事な出会いや思い入れがあってね。アンタにぶち壊される訳にはいかねぇのさ。
魔剣を以て相対。【怪力】を以て魔剣を振るい、不利を承知で挑む。
威力と射程が3倍?ま、これぐらいの危機は何時もの事さ。
デカい剣は【見切り】でUC。懐に潜り込んで【串刺し】を放つぜ。



●紫電一閃
「自分以外の誰かの声が聞こえるってのは地獄さ」
 カイム・クローバー(UDCの便利屋・f08018)はデミウルゴスの苦しみに理解を示す。
「自分が自分じゃ無くなる感覚。……いっそ精神まで化物なら、言葉なんざ理解出来ないなら、どれだけ楽か」
 まるで経験してきたかのようなカイムの言葉に、デミウルゴスはぴくりと小さく反応を見せた。
 反響する大量の祈りに、相次ぐ連戦。もはや真の限界はすぐそこに迫っているのだろう、その全身は黒々と凶相を帯びている。
 カイムは笑う。皮肉げに。
「良いぜ。俺が殺してやる。その依頼、便利屋Black Jackが請け負ったぜ」
 魔剣を構えて偽神へと対峙する。
 切っ先を突きつけられたデミウルゴスは剣呑に目を細める。
「俺の剣を受けるというのか。……いいだろう」
 言うが早いか黒い刀身が疾った。カイムはその軌跡を視力一つで見切り、紙一重で躱していく。体内に抱えた爆弾を自覚しながら。
 偽神細胞はすでに投与してある。内部を焦がすかのような燃えるような苦痛。表情には余裕、額には汗。
(「──だが。ヤツを止めるならこれぐらいの代償は必要だろ?」)
 剣での戦いで、あの大剣に対抗するのは並大抵のことではない。不利は最初から承知の上。
「威力と射程が三倍? ま、これぐらいの危機は何時もの事さ」
 ぐん……と目前で伸びるような剣の軌道に、カイムの上体がのけぞる。が、続けざまに素早く繰り出される大剣の薙ぎ払い・振り上げ・振り下ろしも全て見極めしかと躱し、反動で敵の動きが鈍くなった瞬間を捉えて、カイムは踏み込みの態勢に入った。
 全身を迸る紫電が、カイムを稲妻の矢と化した。水平に突き抜ける紫色の稲光。
「この世界にも大事な出会いや思い入れがあってね。アンタにぶち壊される訳にはいかねぇのさ」
 腹部を貫かれた偽神の絶叫を背後に聞きながら、カイムは皮肉げに口の端を持ち上げた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月夜・玲
偽物だろうが、望まざる生だろうが
神は神
君は私が求める神域へと人の手でたどり着いた存在だ
そんな女々しい事言ってるんじゃないよ
人がその叡智で神へと至った
どんな経緯があろうとそれは1つの焦がれるべき成果なのだからね
その上で殺して欲しいと言うのならば、私の模造品で殴り付けてあげよう


《RE》IncarnationとBlue Birdを抜刀
偽神細胞液を注射し偽神化しよう
人体実験は…好きじゃないだけどね
体は軋むし、意識は飛びそう
長い時間は戦えないし、まともに斬り合うのもきつい…か
ならば
【Code:F.F】起動
高速移動しデミウルゴスに接近両剣で『なぎ払い』、『吹き飛ばし』た所を渾身のエネルギー球をぶつける!



●模造品の価値
「偽物だろうが、望まざる生だろうが、神は神」
 突如砦に響いた声に、デミウルゴスは顔を上げて目を凝らす。
 塁壁の落とす濃い影の中から姿を表したのは、静かな笑みを浮かべる月夜・玲(頂の探究者・f01605)。
「君は私が求める神域へと人の手でたどり着いた存在だ。そんな女々しい事言ってるんじゃないよ」
「何……」
「人がその叡智で神へと至った……どんな経緯があろうとそれは一つの焦がれるべき成果なのだからね」
 胡乱げなデミウルゴスに俯瞰した価値観を示してみせながら、玲はIncarnationとBlue Birdの二振りを抜刀した。
「その上で殺して欲しいと言うのならば、私の模造品で殴り付けてあげよう」
「……奇矯な」
 苛立ちとも嘲りともつかぬぼやきがデミウルゴスの口から零れる。頭に響く祈りと度重なる戦傷は、もはや心身の限界を越えているのだろう、余裕はない。
「殺せるものならやってくれ。──できねば俺がお前を殺す」
 膨れ上がる殺意と共にデミウルゴスが一気に踏み込んでくる。
「人体実験は……好きじゃないんだけどね」
 距離を詰められるまでのわずかな時間に、玲は手早く偽神細胞液を己に注射した。たちまち襲いかかる副作用。
(「体は軋むし、意識は飛びそう。長い時間は戦えないし、まともに斬り合うのもきつい……か。──ならば」)
 時間が伸長したような感覚の中、思考は瞬く間に結論を導き出した。
 敵の大剣が届く寸前、玲のユーベルコードは発動する。
「──最終公式起動、全てを零に!」
 全身にあらゆる模造神器のちからが宿ると同時、玲の肉体はデミウルゴスを上回る高速を持ってして大剣の太刀筋をかいくぐった。誰もいない虚空に大剣を振り下ろし驚愕する男の横をすり抜け、一瞬にして死角を取る。
 異形の背面を二刀が容赦なく薙ぎ払った。デミウルゴスは瞬時に身を捻ったが、あっけなく巨体は吹き飛ばされ宙に浮く。
 その無防備な間隙さえも、玲は逃さない。
「これで望みどおりだよ」
 一気呵成に編み上げられた渾身のエネルギー球体は、膨大な光の中にデミウルゴスの姿をかき消した。

●神は死んだ
 全てが無に消える寸前、偽神の顔に浮かんでいた表情は……あるいは、安堵、だったのかもしれない。
 とまれ、偽神デミウルゴスの討伐は成功した。アポカリプス・ランページは最終局面へと突入していくだろう。
 次なる戦いに備え、猟兵は各々の帰途につく。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年09月19日


挿絵イラスト