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アポカリプス・ランページ⑪〜汝偽りの神と為れ

#アポカリプスヘル #アポカリプス・ランページ #フィールド・オブ・ナイン #デミウルゴス #アポカリプス・ランページ⑪

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●偽神の嘆き
「……煩い……煩い……煩い……!」
 フィールド・オブ・ナインの一体、偽神デミウルゴス。
 救いを求める声は決して止むことなく、しかし彼には決してかなえられぬ。
 声を発するもの全てを殺し尽くす。そう考えるのも無理からぬ事なのかもしれない。
「俺を殺してくれ……!」
 彼を蝕む声から逃れる術は二つに一つ。

●覚悟せよ
「諸君! 偽神デミウルゴスがその姿を現わしたぞ!」
 ゴッドオブザゴッド・ゴッドゴッドゴッド(黄金存在・f16449)の声が響く。その声量は普段と変わらないが、どことなく浮かない表情だ。
「奴は無敵の偽神と呼ばれている! あらゆる攻撃を完全に無効化し、殺せる者など存在しない!」
 それが例え猟兵であったとしても。
 と、そこでゴッドはためらいながらもずらりと何かを机に並べた。
 ひょっとすればこの液体を見たことがあるものがいるかもしれない。これは、ソルトレークシティーから回収された、偽神細胞液。
「いや、いないはずだった、と言うべきか! 正確には偽神細胞を持たない存在からの攻撃を無効化するものであるのだから!」
 ゴッドは続ける。この偽神細胞を注射し、一時的に偽神化することができればデミウルゴスを倒す事も可能だ、と。
 逆に言えば偽神細胞がなければ傷一つ負わせることすらできないのだ。
「しかし、その危険は大きい。いかに諸君であっても、これを接種すれば激しい拒絶反応をもたらし、絶命の危機さえある!」
 機械であろうが死体であろうが神であろうが、だ。
 攻撃が通じるようになったとしても、拒絶反応に耐えながら戦い抜かなければならない。
 唯一例外と言えるのはストームブレイド。元々偽神細胞を持つものならば、注射しなくてもデミウルゴスと戦う事は可能だ。
「非常に苦しい戦いとなるであろう! だが奴を逃せばこの戦争に勝利したとしても憂いを残すこととなる……どうか、強い信念と覚悟を持って臨んでもらいたい!」


納斗河 蔵人
 お世話になっております。納斗河蔵人です。
 今回はアポカリプス・ランページ、偽神「デミウルゴス」との戦いになります。
 下記のようにプレイングボーナスがありますので、偽神細胞の拒絶反応に耐えながら戦い抜いてください。また、デミウルゴスと同様に皆さんにも祈りの声が響き続けるでしょう。精神的にも肉体的にもきつい戦いです。

 プレイングボーナス……「偽神化」し、デミウルゴスを攻撃する。

 ストームブレイドの方以外はかなり大きな影響が出ているものとして描写します(判定とは別)
 それでは、プレイングをお待ちしています。よろしくお願いします。
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第1章 ボス戦 『デミウルゴス』

POW   :    デミウルゴス・セル
自身の【偽神細胞でできた、変化する肉体】が捕食した対象のユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、[偽神細胞でできた、変化する肉体]から何度でも発動できる。
SPD   :    偽神断罪剣
装備中のアイテム「【偽神断罪剣(偽神細胞製の大剣)】」の効果・威力・射程を3倍に増幅する。
WIZ   :    デミウルゴス・ヴァイオレーション
自身が装備する【偽神断罪剣(偽神細胞製の大剣)】から【強毒化した偽神細胞】を放ち、レベルm半径内の敵全員にダメージと【死に至る拒絶反応】の状態異常を与える。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

マリア・ルート
死をも厭わず進む。
やってやろうじゃない、偽神化。
デミウルゴスーー造物主。『創造』の力使う者として、あんたは許せない。

…相当な苦痛ね。
理性がたまに飛びそうだし、体が焼けそうなほど血が熱い。
というか何よこの祈りの声!
…私は祈られる天使なんかじゃない。私に祈られる資格なんてーー!

ああもう、こうなったら狂ってやる!
必要最低限の『オーラ防御』と『残像』による回避だけ考えてあとは【指定UC】で大勝負!インファイトで速攻あるのみ!

息が詰まりそう。体が焼けそう。
感覚がなくなりそうーーああ、そうだ。
痛覚も何もないんなら、痛みとか気にせず存分に奴を殴れる!

ソルトレークで感じた苦しみーー全部あんたにぶつけてやる!



 偽神デミウルゴス。フィールド・オブ・ナインの一人。
 マリア・ルート(紅の姫・f15057)の目の前には、偽神細胞のアンプルが置かれていた。
「……」
 これを注射すれば無敵の守りを突破することができる。
 しかし、その代償は大きい。拒絶反応は彼女の肉体を傷つけ、場合によってはその命さえも脅かすこととなる。
「やってやろうじゃない、偽神化」
 それでもマリアは偽神細胞を手に取った。
 デミウルゴス――造物主。「創造」の力を持つ彼女にとって、その名を冠しながら滅びへと向かうオブリビオンの存在は許しがたい。
 目指すはアイオワ州デモイン。

「……黙れ……黙れ……黙れ……!」
 デミウルゴスは偽神細胞を蠢かせながら、住む人のいなくなった都市を彷徨う。
 誰も居ないはずなのに、響き続ける声。
「何よ……何よこの声!」
 そしてその声は、マリアにも。
 偽神細胞は彼女の全身を血液にのって駆け巡り、この世界に満ちた祈りを刻み込んでいく。
 どうか一滴の水を。一口の食料を。暴力に奪われぬ日々を。嵐に怯えぬ日々を。
 どうか神よ、天使よ――
「俺は作られた偽りの神……お前たちを救うことなど――!」
「……私は祈られる天使なんかじゃない!」
 その嘆きは、マリアとデミウルゴス双方を駆け巡る。
 息が詰まる。喉が焼ける。互いの苦しみが、互いをより傷つける。
「あああああ!!」
 その術を持っていたのは、果たして幸運だったのか。
 叫びと共にマリアの肉体が変質する。大きく広がる翼。
『解放、破壊の怪鳥フレースヴェルグ(リベレイト・フレースヴェルグ)』
 死を呑み込むものの目覚め。耳に響く声が少しずつ、小さくなっていく。
 マリアは理性を手放すことを。半ば狂うことさえも覚悟して、その身を明け渡すことを選んだ。
「あとは大勝負! インファイトで速攻あるのみ!」
「お前は……お前なら、俺を殺せるのか……!」
 デミウルゴスの「祈り」を聞いたのを最後に、マリアの意識は途切れた。

「うっ……ぐ……」
 全身に走る痛み。猛烈な吐き気。染みついた血の匂い。
 マリアは荒く息をつきながらようやく体を起こした。
「デミウルゴスは――!?」
 あれからどれくらいの時間が経ったのだろう? 祈りの声はもう聞こえない。
 偽神細胞とフレースヴェルグの影響で満身創痍の体を引きずって崖からデイモンを見下ろせば。
 崩れ落ちた建物。大きく穿たれた大地。削れた山肌。そこには激戦の跡が見て取れる。
「ソルトレークで感じた苦しみ――全部ぶつけてやったって感じね」
 もはや偽神の気配は一切感じられない。デミウルゴスは倒れたのだ。
 だが、意識を失う直前に聞いた最後の言葉。
「私に祈られる資格なんて――」
 マリアは街に背を向けつぶやき、もう振り返ることはなかった。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

キリカ・リクサール
苦戦描写歓迎

ふぅ…全く酷い頭痛だ
アブサンを頭に直接注ぎ込んでも、こうは酷くならないだろうな…

間違いなく偽神細胞の影響だろう
身体中をバラバラにされるような拒絶反応は激痛耐性で抑え、頭に響き続ける祈りの声は狂気耐性で耐え抜く
とは言え、与えられる攻撃は多くないだろう
まずは偽神断罪剣の太刀筋を見切りで躱しながら、攻撃の機会を待つ

グッ…そろそろ限界か…
受け取れ、お前の望みを叶えてやる

UCを発動
偽神細胞を破壊する毒を銛に充填し、偽神断罪剣とデミウルゴスに撃ち込む
わざわざ偽神細胞を埋め込んだ甲斐があったよ…解析する事が出来たからな

ある意味では、お前も被害者なのだろうな…
だから、望み通りに平穏を与えてやろう



「くっ……うぐっ……」
 ガンガンと痛む頭を抑え、キリカ・リクサール(人間の戦場傭兵・f03333)は廃ビルの壁に手をついた。
 まったく、ひどい頭痛だ。アブサンを頭に直接注ぎ込んだとしても、こう酷くはならないだろう。
 この症状の理由はわかっている。偽神細胞だ。
 命をも奪いかねない拒絶反応。脳裏に響き続ける祈りの声。
 偽神デミウルゴスはそれらに苛まれつつも莫大な力を持ち、偽神細胞を持たぬものからの攻撃を無効化している。
 打ち破るために、彼女もまた偽神細胞をその身に撃ち込むしかなかった。
 如何なる激痛に耐えてきたその体でも、バラバラにされるような痛みには叫びを上げざるを得ない。
 気が狂いそうな出来事にさえ耐え抜いてきた精神さえも脅かす、祈りの声には頭を抱えてしまう。
 こんな状態でまともに戦うことはできるのか。
「その声を……止めろ……!」
 目の前に立つ偽神を討ち果たすことはできるのか。
「フッ……お前のその苦しみを終わらせてやろう……」
 激しい拒絶反応に抗いながら、キリカは銃を突きつけた。

「お前たちを殺し尽くすまで……俺の苦しみは終わらない……!」
 デミウルゴスの蠢く偽神細胞がぶくぶくと音を立てて形を為す。
 偽神断罪剣――彼の身の丈ほどもある巨大な剣は軽く振り下ろしただけで大地を抉り、衝撃が辺りを震わせる。
「甘い……!」
 とはいえ、無軌道に振るわれた一撃に当たるほどキリカは甘くはない。
 拒絶反応の影響で普段の身のこなしには及ぶまでもないが、それでもだ。
「力は強大だが、扱いきれていないらしいな」
 おそらくは大きな拒絶反応と祈りの声が本来の力を発揮できなくさせているのだ。
 こちらも苦しいが、それならばやりようはある。
「ある意味では、お前も被害者なのだろうな……」
「黙れ……黙れ……!」
 デミウルゴスにとっては同情さえも「祈り」の声と同じ。
 嘆きの怒りは叫びとなり、偽神断罪剣を通じて破壊の嵐となる。
「チッ……」
 こうなっては避けるどころではない。暴れ狂う衝撃波がほんの少しかすっただけでキリカの服を裂き、肌を裂き、偽神細胞の呪いをより深めていく。
 鼓動が早くなる。体が熱くなる。早く助けてくれと祈る声が大きくなる。
「グッ………う……」
 長期戦ではもたない。このまま拒絶反応が大きくなれば戦うことすらままならない。
「無駄だ……無駄だ……無駄だ!」
「受け取れ……お前の望みを叶えてやる」
 ゼエゼエと息が荒くなる。体がふらつき、意識も朦朧とする。
 だが、見つけだした。この状況を打開する術を。
『ク・デ・トキシック』。キリカの体内で叫びを上げる偽神細胞を乗り越えるべく、芋貝の毒は進化した。
「私ももう限界だ……だが!」
 振り下ろされる偽神断罪剣。すれ違い様に、キリカは鋭く尖った銛をデミウルゴスへと叩き込んだ。
「グッ……ハァ……ッ!!」
「この毒が、お前に……平穏を与えてやろう」
「俺に……平穏……!?」
 二人は同時に血を吐き、重なるように崩れ落ちる。
 やがて長い時が過ぎ、ようやく目を覚ましたキリカが辺りを探してもデミウルゴスの姿はどこにもなかったという。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ラブリー・ラビットクロー
このビー玉を渡すと皆笑顔になるのん
そして言う
ありがとって
だけど
その隣にはビー玉を貰えなかったヒトもいるんだ
どーしてコッチには来てくれないの?
ワタシ達もタスケテよ
って
そんな声がずっと聴こえてた

お前も多分おんなじなんな
ヒトは辛くて誰にも頼れない時にきっとカミサマを描くんだ
カミサマにならなんだって出来るって信じながら
でもホントはカミサマだって
縋りたい時があるのになん

らぶはヒトとヒトが助けあって繋がるセカイをユメみてる
そーすればお前みたいな想いをする奴もいなくなるんだ
らぶのバットは明日に向かってユメを打ち上げて
ラビットファングは未来を切り拓くんだ
ラビットブレスは暗闇を照らす希望の炎
来い
らぶが慰めてやる



「わあ、きれい……ありがと、お姉ちゃん!」
 少女は手の中の小さなビー玉を転がし、空にかざす。
 厚い曇の隙間から差し込む僅かな光に小さな煌めきが灯る。
 ラブリー・ラビットクロー(とオフライン非通信端末【ビッグマザー】・f26591)は少女の笑顔にマスクの下で小さく微笑んだ。
 ヒトのユメを叶える大ショーニン。
 ここに生まれた幸せはささやかなものかもしれないが、それがいくつも重なればきっと大きなものになる。
 この荒野しかないアポカリプスヘルにだって、平和が訪れるのだ。
「どーしてコッチには来てくれないの?」
 だが、そんな彼女の耳に響く声。
「ワタシ達もタスケテよ」
 目に見えないヒトはいないのと同じ?
「ありがと」
「タスケテ」
「嬉しい」
「ナンデ?」
 笑顔の隣には絶望がある。
 その手に、ビー玉は握られていない。

「お前も多分おんなじなんな」
「黙れ……黙れ……!」
 苦しみ続けるデミウルゴスを前に、ラブリーは目を逸らすことなく真っ直ぐに立っていた。
「ヒトは辛くて誰にも頼れない時にきっとカミサマを描くんだ」
「俺は偽神だ……俺は、造られた偽物の神だ。」
 フラスコチャイルド。遺伝子操作によって造られた、超能力を操るクローン人間。環境汚染への耐性を持つ代わり、清浄な環境では生命維持装置を必要とする。 
「カミサマにならなんだって出来るって信じながら」
「俺に……お前達を救う力など無い……!」
 ストームブレイド。偽神細胞を体内に宿し、オブリビオン・ストームを喰らい操る能力を得る。細胞の拒絶反応の為、寿命は限られている
 
 ――猟兵として戦う中でカミサマのように扱われたこともある。
 迫る危機を、困難を、打ち破ってきたこともある。
「でもホントはカミサマだって縋りたい時があるのになん」
 完璧な存在なんていない。手の届く範囲は限られていて、ビー玉をもらえるヒトともらえないヒトが居る。
 困ったように眉を下げて、それでも瞳に優しさを宿してラブリーは続ける。
「らぶはヒトとヒトが助けあって繋がるセカイをユメみてる」
 ぴょこん、と頭からウサミミが生えた。
「そんな世界は……ありはしない……!」
 だが『キュリオスラビット』は確かに聞き遂げる。カミサマの助けを求める声を。
「そーすればお前みたいな想いをする奴もいなくなるんだ」
「誰かを救うものなど……いない……!」
 嘆きを乗せて振り下ろされる偽神断罪剣を、フライハイは高い音を響かせながら打ち飛ばす。
「らぶのバットは明日に向かってユメを打ち上げて……」
「だから殺す……全てを殺し尽くす……」
 偽神細胞が再び剣となって大地を穿てば、ぎゅるるるるん♥!!!ガリガリブオーーーン♥!!!バリバリバリバリー♥☠!!!!と音を立てて千切れ飛ぶ。
「ラビットファングは未来を切り拓くんだ」
「煩い……煩い……!」
 強毒化した細胞が彼女に迫る。だが、その力を発揮する前に赤き炎となって燃え上がった。
「ラビットブレスは暗闇を照らす希望の炎」
「黙れ……黙れ……黙れ……!」
 デミウルゴスの力は強大で、本来ならばここまでいいようにやられるはずはない。
 それなのに、何故こうも攻撃が通じないのか?
「来い。らぶが慰めてやる」
 その答えは――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ライカ・ネーベルラーベ
常よりごちゃごちゃの脳みそと幻肢痛まみれのこの体
細胞の影響で頭に響く声と秒単位で崩壊する肉体
「ぅ…ぁ…」
条件は最悪と言っていいかも

死体同然のひどい有様?
事実動く死体なんだ、知るもんか

「それでも…オマエは殺す…。世界を滅ぼす、オマエを殺す…!」
わたしは、世界を守るんだ

細胞が受信する祈り以外に、脳裏に響く何かの声
そう、愛剣も言っている
神を殺せ、ヒトを殺せと(【万象万殺の禍剣】)
ヒトから神に変じたオマエを殺せと!

概念封印を解いたチェーンガンブレード4本でデミウルゴスにラッシュを仕掛けるよ
オマエのその武器も偽神細胞
つまり、神だ
「なら、それごと引き裂く…!対神概念、最大解放…っ!」
ばらばらに、なっちゃえ



「ぅ…ぁ…」
 うめき声が漏れる。
 ライカ・ネーベルラーベ(りゅうせいのねがい・f27508)――一度死んで蘇った帰還者(デッドマン)。
 記憶の混濁と存在しない痛みが常の彼女でさえも、偽神細胞がもたらす拒絶反応には抗いきれない。
 メガリスと生身の境界がじゅくじゅくと音を立てて崩壊の音色を奏でている。
 加えて脳裏に響く救いを求める声。
 乱れた精神はその体にも影響を与え、偽神細胞の浸食は声をより強くする。
 コンディションは今までにないほどに最悪だ。
「死体が……喚くな……!」
 事実動く死体なんだ、知るもんか。
 だが、それでも。どれほどに苦しくても。
「その声を止めろ……! 俺が殺してやる……!」
「それでも……オマエは殺す……。世界を滅ぼす、オマエを殺す……!」
 デミウルゴスとライカは互いに敵意をぶつけ合う。
 違いがあるとすれば、ライカには決して揺らがぬものがあること。
 ようやくにも思い出した、一つの誓い。
 わたしは、世界を守るんだ。

 呼応するようにがきん、と四本のチェーンガンブレードが音を立てた。
 神を殺せ、ヒトを殺せ。
 ぐるぐると渦を巻く祈りの中にそんな声が混じる。
 誰の声だ? いや、知っている。
「そう、愛剣も言っている」
 神を殺せ、ヒトを殺せ。
「開け、血塗れのあぎと!」
 無数の刃が回転し、空を引き裂いた。
 今こそ『万象万殺の禍剣(エイリアン・スレイヤー)』は目覚めた。神を殺せ、ヒトを殺せ!
「ヒトから神に変じたオマエを殺せと!」
 鋸剣は神殺しの概念を宿し、唸りをあげる。
 機関銃から撃ち出された人間殺しの概念を偽神断罪剣が受け止めた。
「煩い……煩い……!」
「はらからならざるモノを殺し尽くそう!」
 一気に接近し、チェーンガンブレードの一振りを振り下ろす。
 神殺しの刃がガリガリと偽神細胞を削り取り、じりじりと食い込んでいった。
「まだまだぁっ!」
 攻撃はそれで終わらない。もう一振り。左手で無理矢理に引きずり上げて十字を描くように刃を突き立てる。
「殺す……殺し尽くす……!」
 が、それと同時デミウルゴスの足がライカの腹に突き刺さった。
 続けて偽神断罪剣を細胞に分解して自身に取り込む。
 衝撃と突然に崩されたバランス。回転が暴れだしライカの体を宙に放り出した。
「……ッ!」 
 が、その手には既に三本目の剣。銃弾を無数に撃ちだし、土煙がデミウルゴスを取り囲む。
 続けて空中でぐるんと体勢を変え、四本目の剣を手に取る。
「俺は殺せない……だから俺がお前を殺す……!」
 デミウルゴスもまた新たな偽神断罪剣を精製し大きく振り上げた。
 剣と剣がぶつかり合い、激しい音を立てる。
 だが、偽りの存在であっても神である事に変わりはない。
「なら、それごと引き裂く……! 対神概念、最大解放……!」
 偽神細胞は浸食を強めるべくうごめき、チェーンガンブレードは神を殺すべく唸りをあげていく。
 解き放たれたエネルギーは光を放ち、ライカの命を削る。
 だが、構うものか。ここで偽神を滅さなければ、世界は守れない。
「グヌッ……!」
「ばらばらに、なっちゃえ」
 神を殺せ、ヒトを殺せ。
 何かが砕け散る音。振り下ろされた神殺しの刃が大地を引き裂いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

御形・菘
はっはっは、無敵とはまた大きく出たではないか
ここは発想を前向きに転換しようではないか
妾が、お主に合わせるためにハンデを背負った、とな!

状態異常もこれだけガン盛りだと笑うしかないのう
祈りの声は、妾を後押す歓声と思えば開き直る!
物理的にガリガリ来るのは、覚悟を決めて耐えるのみ!
なんせ映像に体の内部の痛みは映らんからな!

それにのう、削り合いで妾に勝てると慢心してもらっては困るぞ?
そのイカす剣の斬撃になど怯みはせんよ
真っすぐに突っ込み、全力でボコるのみ!
真なる邪神の左腕の一撃が! お主をド派手にブッ飛ばすのだ!



「はっはっは、無敵とはまた大きく出たではないか」
 御形・菘(邪神様のお通りだ・f12350)は、その手で偽神細胞を封じた注射を弄びながら大きく笑った。
 偽神デミウルゴス。真の蛇神にして邪神を名乗る彼女であっても、無敵とまでうそぶいたことはない。
 これはなかなかに面白い相手だ、と笑みがこぼれる。
 そして、その無敵を打ち破るために偽神細胞を取り込めば、拒絶反応で命の危険まであるという。
 盛り上がる展開ではあるが……その状態で勝利を得ることは困難であることは間違いない。
 が、菘がそんな事で歩みを止めるだろうか?
「ここは発想を前向きに転換しようではないか」

「黙れ……黙れ……!」
「と、いうわけでこの状況はこういうことだ! 妾が、お主に合わせるためにハンデを背負った、とな!」
 壮絶なまでの拒絶反応の中でさえ、菘は笑った。
 影響が出ていないわけではない。
 実際に内蔵は悲鳴をあげているし、血管は今にも千切れ飛びそうでどこまで持つかはわからない。
 こんなものはやせ我慢だ。だが、映像に体の内部の痛みは映らない。
 カメラの向こうで見ている視聴者達に苦しむ顔など見せはしないと、覚悟がある!
「それに……今日は妾を後押す歓声も、いつもより多く聞こえているからのう!」
「黙れ……俺は救うことなどできない……」
 更には祈りの声をも開き直って歓声と受け止めてしまう。
 これだっていつまでもつかはわからないが――精神は肉体を凌駕する。そういうことは往々にしてあるものだ。
 ともあれ、菘は偽神細胞をその身に宿した。
 あとは真っすぐに突っ込み、全力でボコるのみ!

「煩い……煩い……!」
「はっはっは、聞こえんのか! お主を推す声が!」
 デミウルゴスは手にした大剣を振るいながらも頭を抑え、その力を出し切れない。
 その理由はもちろん、菘の戦いぶりに歓声を上げる視聴者たちの声だ。
 ただでさえ祈りの声に参っているのに、更にこんな声まで響いてきては彼にとって致命的。
「黙れ……黙れ……! 俺がお前達を殺し尽くしてやる……!」
「おっと、それは妾が許さぬぞ!」
 苛立ちが、苦しみが偽神細胞をぶくぶくと沸騰させる。
 新たなる毒が細胞を書き換え、更に死への招きを強くしていく。
「うぐっ……」
 流石の菘もこれは堪えた。体内の悲鳴はますます強くなり、祈りという名の呪詛も終わりを見せない。
 が、それでもにやりと笑ってみせる。それこそが菘なのだ。
「はーっはっはっは! 場が温まってきたではないか! 妾はここからが本当にしぶといぞ!」
 吹きだした禍々しいオーラは『ラスボスレッドゲージモード』の始まりを告げる。
「煩い……煩い……!」
 偽神細胞の毒は二人をますます蝕んでいく。
 だが、菘は傷を受けるほどにその力を増し、偽神の命を吸う力を高めていくのだ!
「真なる邪神の左腕の一撃が! お主をド派手にブッ飛ばすのだ!」
 振り下ろされた剣に怯むことなく、菘は突き進む。
「何故だ……何故だ……何故貴様は笑って……!」
 戸惑うデミウルゴスの顔面へとその拳を叩きつけるために。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カイム・クローバー
『偽神化』ね。そもそもカミサマって存在が俺は好きじゃない。偽とはいえ望んでカミサマになりたがるのは狂信者かイカレた独裁者か、只の変人か。だが…。
『俺を殺してくれ』、か。良いぜ。その依頼、便利屋Black Jackが請け負った。

祈りの声に頭を抱える。これがヤツが味わう地獄。
同じ苦しみを共有しても頭がこう煩いとお友達になる所の話じゃねぇな。
魔剣を以て。【怪力】込みで振るうつもりだが、単純に倒せる相手じゃない。
だから──切り札を切る。
瞬間的にUCを発動。理性を失ったら恐らく声も途切れる。その一瞬に致命に繋がる一撃を叩き込む。
アンタもイカレた教団に弄ばれた被害者さ。だから、もう安らかに眠ってくれ。



「偽神化、ね」
 カイム・クローバー(UDCの便利屋・f08018)は託された偽神細胞のアンプルを指で弾き、独りごちた。
 ――そもそもカミサマって存在が俺は好きじゃない。
 金ピカに光る誰かのことはさておいて、フラスコチャイルド、ストームブレイドと「作り出された」者たちの事を思えばそれも当然だろう。
「偽とはいえ望んでカミサマになりたがるのは狂信者かイカレた独裁者か、只の変人か。だが……」
 猟兵達が見た、予兆。デミウルゴスの姿。その言葉。
「俺を殺してくれ……!」
 あの姿を見てしまえば、その願いが本心であることもまた明白だ。
 ふう、と息を一つ吐き、カイムは偽神細胞を手に取った。
「良いぜ。その依頼、便利屋Black Jackが請け負った」
 
 助けて、助けてと声が響く。
 祈りは止むことなく、叶うことのない救いを求めて手を伸ばしている。
「これがヤツが味わう地獄」
 思わず手で頭を抑えた。ほんの短時間でさえこれなのだ。
 この声をずっと聞き続けているデミウルゴスが狂気に呑まれないのは、むしろ不幸というべきだろう。
「煩い……煩い……!」
「同じ苦しみを共有しても頭がこう煩いと、お友達になるどころの話じゃねぇな」
 フィールド・オブ・ナイン。オブリビオン。世界を滅ぼす存在。
 どれほどに悲劇的な生い立ちであってもその心を救うための方法があるとしたら、一つしかない。
 軋む体に鞭打って、カイムは魔剣を手にする。
 それだけでぐらりと視界がゆがむ。これを使う姿をみたものはどれほどいただろうか。
「殺す……!」
「チイッ……」
 拒絶反応の影響は大きい。全身を痛めつけられている上にあの声だ。
 いかに彼が怪力の持ち主とはいえ、集中できなければそれも発揮できているとは言い難い。
 打ち付けられた偽神断罪剣を受け止めいなすことはできても、振り下ろした魔剣でデミウルゴスの守りを打ち破るには至らないのだ。
「単純にはいかないようだな」
 普段ならば感じもしない痺れに、カイムは苦笑する。
 敵は強大。ならばこちらも覚悟を決めなければ。
「黙れ……黙れ……!」
「だから──切り札を切る」
 偽神断罪剣が空を斬った。紙一重で上体を反らして交差した瞬間、カイムの背に二対四枚の漆黒の翼が現われた。
『邪神覚醒への引き金(イーヴィル・トリガー)』――解き放たれた内の存在。
 魔剣はその力の一端に過ぎない。理性を吹き飛ばし、ほんの一瞬だけ死の具現を抑えることなく力に身を委ねる。
「グッ……」
「ガハッ……」
 偽神細胞が力の解放に呼応するように牙を剥く。脳内に響く声がますます強くなる。
 だが、それだけの価値はあった。神に反逆せし傲慢なる使徒は、魔剣を違うことなく偽神へと突き立てていたのだから。
「この俺を……殺せるもの……!」
 カイムは膝をつき、かすむ目でデミウルゴスに告げる。
「アンタもイカレた教団に弄ばれた被害者さ。だから、もう安らかに眠ってくれ」
 それもまた、祈りの言葉か。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

カタリナ・エスペランサ
魔神だ偽神だと煩わしい
いずれにせよ救済には程遠い神紛い。宿す爆弾が一つ増える程度、今更躊躇するのも馬鹿げた話ね
一緒にするなと憤る魔神の魂の《封印を解く》と同時に偽神細胞を摂取
敢えて自らの中で力を拮抗させる事で強引にバランスを取り《激痛耐性+気合》とプライドで《継戦能力》を維持するわ

オーバーロード――真の姿は更に変異。
纏う装束は夜明け前のように昏い羽衣へと色合いを変え、背の六翼や伸びた尾はさながら悪魔めいて。
……この程度では止まらない。
未来を閉ざす者、希望を奪う者。オブリビオンはただ一体の例外も無く狩り尽くし、骸の海へと叩き落とす……!

敵の攻撃は《限界突破》した《第六感+戦闘知識》で《見切り》先読み、《空中戦》の三次元的な機動力を活かし回避

此方の攻め手は【神狩りし簒奪者】
地上を焼き払う黒炎は逃げ場を与えない《範囲攻撃+薙ぎ払い》
上空より降り注ぐ白雷槍の雨は《弾幕+神罰》
この白雷と黒炎が生み出す影は縛鎖へと変じて《騙し討ち+捕縛》を狙うわ
三重《属性攻撃》による《略奪+蹂躙》で滅却してあげる!



 偽神デミウルゴス。狂った教団に造られた偽物の神。
 カタリナ・エスペランサ(閃風の舞手(ナフティ・フェザー)・f21100)がその名を聞けば、自身の内に宿る存在のことを考えずにはいられない。
「魔神だ偽神だと煩わしい」
 彼女の目の前には、無敵の守りを突破する唯一の手段が示されている。
 偽神細胞――打ち込めば猟兵の命をも脅かす拒絶反応を示す、人の作り出した狂気の産物。
 はぁ、とため息をつく。
 救いを求めて作られた神は救う力など持たないと苦悩し、祈りの声を上げるもの全てを殺し尽くすと宣言した。
 とんだ笑い話だと言えるかもしれない。
「宿す爆弾が一つ増える程度、今更躊躇するのも馬鹿げた話ね」
 どうせデミウルゴスを討つにはその力を使わなければならないのだ。
 今も一緒にするなと脳内で喚いている声が増えたとしても。

「黙れ……黙れ……!」
 偽神断罪剣を引きずり、デミウルゴスは街を彷徨う。
 果てることなく続く祈りを絶つために。
「救済には程遠い神紛い、か」
 そんな彼の下へ、カタリナが降り立つ。
「邪魔だ……邪魔だ……殺す……!」
 が、デミウルゴスは顔すら見ずにそう呻くだけ。
 全ての生あるものが、彼の苦しみなのだ。
 しかし、フィールドオブナインで、オブリビオンで、敵だ。その事に変わりはない。
「あなたのような存在を許すわけにはいかない。これしか手段がないっていうなら……!」
 どくん、と心臓の鼓動が大きくなった。
 その身に宿した魔神を解き放つと同時に、偽神細胞を自らへ打ち込む。
 魔神と偽神。あえて双方をぶつけ合い、無理矢理にも抑えこもうというのが彼女の狙いだった。
「うグッ……ゲ、ェッ……」
 だが、どちらも神ならざる身には過ぎたるもの。
 暴れ狂う神々はカタリナの内で支配権を奪い合い、体を傷つける。
 拒むか、受け入れるか、抗うか、屈するか。
 常人ではとても耐えきれない程の激痛が全身で叫びを上げる。
 助けてくれと、救ってくれと手の届かぬ場所から祈りの声が響く。
「殺す……殺し尽くす……」
 そうする間にもデミウルゴスはゆっくりと彼女へと迫っている。
「くッ……こんな……程度で――!」
 この強大な二つの力を抑えこむことはやはり無謀だったのだろうか?

「何……だ……?」
 デミウルゴスは、突然の衝撃に吹き飛ばされていた。
 苦痛に声を上がるばかりの、自分を殺しに来たはずの猟兵の声を止めるために偽神断罪剣を振り下ろしたはずだったのに。
 顔を歪めながらも視線を戻す。そこにいたものは、先ほどまでは別の存在。
 背の翼は六枚に数を増やし大天使の気配を漂わせているのに、伸びた尾は妖しくうごめき悪魔の如く。
 纏った衣服もいつしか黎明を思わせる昏き羽衣へとその姿を変えている。
「オーバーロード……」
 真の姿の向こう側。超克。究極の力。
 魔神と偽神。二つの神を超えるべく、カタリナはついにそこに至ったのだ。
「殺す……殺す……!」
 偽神断罪剣が切っ先を鋭く延ばし、命を刈り取るべく振るわれた。
 しかし、開かれた翼は当然のようにその身を宙へと躍らせる。
「……この程度では止まらない」
 両の手を広げデミウルゴスを見下ろすと、その掌には黒炎が灯る。
 ゆったりとした動きでそれを放ると、すさまじい熱と共に嵐が巻き起こり辺りを包み込んだ。
「この戦場はもう――掌の上」
 手を掲げればその手に産み出されるのは、白雷を纏った鋭い槍。
 軽い様子で放り投げると、瞬時に槍は消え失せ――
「が……ッハァ!」
 デミウルゴスの体に突き刺さり、墓標のように大地へと縛り付けた。
 この戦場に現れた『神狩りし簒奪者(プレデター・セイクリッド)』は告げる。
「未来を閉ざす者、希望を奪う者。オブリビオンはただ一体の例外も無く狩り尽くし、骸の海へと叩き落とす……!」
 黒炎が取り囲むように白雷の槍を照らし、作り出された影。
 影は形を変えて鎖となりデミウルゴスを縛り付けると、引きずり込むように強く引き寄せる。
 その先に待つものは骸の海。時間と共に捨て去られる、過去。
「俺を……俺を……」
 デミウルゴスは何かを言おうとするが、その続きが紡がれることはない。
「――滅却」
 カタリナの宣言と共に偽神デミウルゴスの姿は消え失せたのだから。
 
 

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年09月19日


挿絵イラスト