アポカリプス・ランページ⑧〜時間質量論を運び出せ
●時の眠る場所
薄暗い室内に響くのは微かな機械音。他の場所とは完全に独立した電源を保有したそのコンピュータ群は、サーバーに残されたデータをただだ保存し続ける為だけにありとあらゆるリソースを用いている。
筐体についている状態を示すランプが発する、赤や緑などの光や、一部のつけっぱなしのモニターの発光が照らし出すのは本棚に所狭しと埋まった書物、デスクに置かれた無数のファイルケース。コンピュータの傍にはディスク状の記録メディアが積まれ塔の様になっている。
そして部屋の片隅に静かに存在感を放つのは、大人の背丈よりも大きな、石板群だ。
ここには、ありとあらゆる形態の記録媒体が、静かに眠りについていた。
●目覚める時
「みなさん、荷物運びををしていただけませんか?」
グリモアベースの一角で真月・真白(真っ白な頁・f10636)が声を上げる。
「ありがとうございます。アポカリプス・ランページの戦いお疲れさまです。今回お願いしたいのはオブリビオンとの戦いではなく、資料の運び出しなんです」
集まってくれた猟兵達に頭を下げ、真白は本を開く。
アポカリプスヘルの運命を決する決戦、アポカリプス・ランページ。その攻略が進み、猟兵達は現在セントメアリー・ベースへと到達している。
彼の地はカナダと呼ばれた隣国との国境にほど近い場所にある巨大拠点だ。人々が比較的平和に共同生活を行っている。
だが、この地こそが、フィールドオブナインが一人、マザー・コンピュータに組み込まれた世界最高の歌姫「マザー」という女性の出身地なのだ。
「歌姫マザー。彼女は生前ある研究をしていました。その名は、『時間質量論』」
それが具体的にどのような研究であったのか、如何なる結論に至ったのかは、今はわからない。だが、歌姫マザーはセントメアリー・ベースの一角に、それを残したのだ。
「非常に高度で複雑な研究論文は膨大なデータとなっていて、それを記録したコンピュータや記録媒体が山の様に保管されています」
サーバーや記録ディスクのような電子的データがメインだが、他にも書籍や紙束のような紙媒体の記録、さらには石板や石碑のようなものまであるらしい。
「電子的な記録は圧縮効率が高いですが長期保存には向かないと言われています。逆に原始的な石などに刻む情報保存は壊れなければ長く保つとも」
つまり、長所短所の異なるありとあらゆる『記録メディア』を利用してまで長く、永くこの研究論文を残そうとしたのだ、歌姫マザーは。
「この戦争に今すぐ直結する情報かはわかりません。けれど『過去(オブリビオン)』と戦う僕達猟兵にとって回収しておくことが出来れば何かの助けになるかもしれない」
敵との戦いで忙しい合間ではあるが、どうか荷物運びに協力してほしい、と真白は言葉を結び本を閉じる。そして転送準備に入るのだった。
えむむーん
閲覧頂きありがとうございます。えむむーんと申します。
●シナリオの概要
日常のみのシナリオフレームです。
この戦場を攻略することで、『⑯マザー・コンピュータ』への支援を止める事ができます。
セントメアリー・ベースに残された時間質量論の研究論文を回収します。歌姫マザーは様々な記録媒体に、膨大な研究論文のデータを残しています。
今回皆さんが挑んでいただくフロアには、電子データが記録されたサーバーやディスク状の記憶装置(ブルーレイやDVDみたいなものです)、紙の本や紙束のファイル、果ては石板や巨大な石碑まであります。他にも古今東西の様々な記録媒体が出てくるでしょう。もしよかったら「こんな記録媒体まであった!」とプレイングで出してみてください。地球の文明に存在したものなら何でも出てくるんじゃないでしょうか。
●合わせ描写に関して
示し合わせてプレイングを書かれる場合は、それぞれ【お相手のお名前とID】か【同じチーム名】を明記し、なるべく近いタイミングで送って頂けると助かります。文字数に余裕があったら合わせられる方々の関係性などもあると嬉しいです。
それ以外の場合でも私の独断でシーン内で絡ませるかもしれません。お嫌な方はお手数ですがプレイングの中に【絡みNG】と明記していただけるとありがたいです。
それでは皆さまのプレイングをおまちしております、よろしくお願いします!
第1章 日常
『時間質量論を運び出せ』
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POW : 腕力に任せて一気に運ぶ
SPD : 乗り物や道具を利用する
WIZ : より重要そうなデータを優先して運ぶ
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ゲニウス・サガレン
私もオーシャンの隅っこ出身とは言え学者の端くれ。
その立場から考えると、研究の雑記や思索のメモはノートに、そこから観測記録などを計算・グラフ化したデータを電子媒体に、それをまとめたものをまた電子媒体・書物・石板に残すと思う。
電子系に強い猟兵は他にいるだろうから、私は馴染みのある石板や書物をあたろう。
石板に刻むには時間がかかるから、ここに残されているのは研究のエッセンスや要約かな。
アイテム「フライングシュリンプ」&「C式ガジェット」
UC「ゴーイング・マイウェイ」
一人では運び出すには手が足りないので、私の有翅エビとタコ型ガジェットの手を借りよう。動かせない石板は、その表面の拓本を取ろうか。
●学者は思索する
「なるほど、ね」
ゲニウス・サガレン(探検家を気取る駆け出し学者・f30902)は柔和な表情を崩すことなく、ゆっくりとした足取りで部屋を一周する。
(「私もオーシャンの隅っこ出身とは言え学者の端くれ」)
共に探求し学ぶ者、歌姫マザーと同じ観点に立った時に、彼は一見無秩序にも思える無数の研究資料それぞれの意味が立ち上がってくるのを感じた。
ゲニウスは改めて無数の紙資料やノートが積み重なる机へと向かう。
「研究の雑記や思索のメモはノートに」
山の頂となっている一冊を手に取り、表紙を指でなぞる。如何なる技術によるものか、長年誰の手にも触れていない筈のノートに埃は殆どついていない。その表紙には短く簡素に『雑記 No.1200375』と記されている。
「そこから観測記録などを計算・グラフ化したデータを電子媒体に、それをまとめたものをまた電子媒体・書物・石板に残すと思う」
ゲニウスはそう言葉をつづけながら、視線をコンピュータ、そして壁際の本棚や石板へと向ける。
ゲニウスの経験に基づいた推測が正しかったか否か、その正確な答えは研究資料を調べる時間が無い今は出ない。だが、彼の言葉に説得力を感じた猟兵達はそれを参考に効率よく作業を行っていく。
当のゲニウス自身は電子系よりも石板や書物に馴染みがある、とコンピュータ等の扱いを他の猟兵に託し、彼は用意してきたタコ型ガジェットを近づける。さらに羽が生えてその辺を自由に飛びまわる有翅エビの群れも招き寄せた。
「一人では手が足りないからね、よろしく頼むよ」
有翅エビたちに餌を与え、ガジェットの出力を上げたゲニウスは彼らに書物や書類の運搬を命じる。タコ型ガジェットが複数の触腕を器用に動かして書類を縛り上げると、数匹の有翅エビが強力してそれを空輸していく。
問題無く仕事を続ける様子を確認したゲニウス本人は石板の前へ。
「石板に刻むには時間がかかるから、ここに残されているのは研究のエッセンスや要約かな」
重要なのは刻まれた文章にある、と判断したゲニウスは表面の拓本を取る準備に入るのだった。
大成功
🔵🔵🔵
宮落・ライア
この時代に石板でまで……と思ったけれど、レーザー彫刻の亜種みたいな技術があれば刻む精度や時間はそれほど掛からなくなるのかね。
態々やる意義はそれほどないだろうけれど。
とりあえず力に自信があるから巨大な石板とか重い物を担当しようかな。
えっさほいさとどんどん担いでいくぞー。
プレジデントが猟兵は時間質量論だけじゃ説明つかないとか言ってたし、なんか言及があるかもしれないからな。
それにしてもある程度一般的な論文だったのか?
それにそれほど後世に残しておきたかった程の知識なのか。
●刻み込まれた物に根源(ルーツ)の影を求めて
この時代に石板まで……と宮落・ライア(ノゾム者・f05053)は立ち並ぶ石板を前に唸る。
……いやでも、と刻まれた文字を指でなぞりながら考えを改めるライア。石板と言われて文字を刻む姿を原始的な手法でイメージしてしまったが、ある程度科学の進んでいたかつてのアポカリプスヘルならレーザー彫刻の亜種のような技術もあったはず、であれば刻む制度や時間はそれほどかからなかったのだろうか、と。
(「態々やる意義はそれほどないだろうけれど」)
兎にも角にも、これらもまた記録媒体だというならば放置しておくわけにはいかない。ライアはこの見るからに重い石板を担当しようと考えた。
一見すればか弱き少女にもみえるライアだが力には自信があるのだ。
「私は出来ます、出来ますよぉ!」
自らの言葉で自信を鼓舞するライア。その精神力に応える様にその両腕はゆっくりと石板を持ちあげる。
そのまま周囲にぶつけないように気を付けながらえっさほいさと運び出すライア。しばらくすれば空手になって戻って来て次の石板を持ちあげる。
照明に照らされキラキラと輝く美しい銀糸の、豊かな髪を左右に揺らしながらライアは元気いっぱいで石板を運ぶ。
疲れは一切見せないが、同じ作業を繰り貸すある意味で単調な行動なので、その分思考は自由になっていく。
今彼女の頭の中を占めるのは行使て運んでいる時間質量論の事。数日前の予兆にてフィールドオブナインの一人であるプレジテントも言及していたそれ。そして同時に彼の口から出たのは自分達猟兵の事。
時間質量論だけでは説明がつかないという猟兵(ボクたち)について何か言及があるのではないか、そんな期待をライアは持っていた。
(「それにしてもある程度一般的な論文だったのか?」)
ライアの脳裏に浮かぶのはそんな疑問。『時間とは質量を持つ物質である』『私達は時間を消費して生きている』それは猟兵であればだれもがいつかどこかで聞いたこの世界の仕組み。けれど、それに関する研究というものは今回の戦争に至って初めて表に現れたもの。この世界が一度滅んだという歴史的経緯を考慮したとしても一般的なものだったかは怪しい。
(「それにそれほど後世に残しておきたかった程の知識なのか」)
かの歌姫がそれほどまでに重視した知識、そう考えた時ライアの背負う石板の重さがひときわ増したように感じられた。
大成功
🔵🔵🔵
藤・美雨
単純作業&力仕事ならまっかせて!
難しいことは分かんないけど、それは分かる人に投げちゃえばいいし
私は運ぶ方をがんばるぞー
【怪力】には自信があるから重いものを運んじゃおうかな
えーっと、これはサーバーってやつだ
中にデータがいっぱい入ってるんだっけ?
本当は吸い出すんだろうけど、ここでやるのは時間がかかるね
だからサーバーごと抱えて持っていっちゃおう!
機械だから扱いは繊細にね
最悪私をクッションにするよ
【激痛耐性】にも自信があるし!
他にも重そうなのは……うわっ、石碑だ!
モノリスとかそういうやつ……?
これも頑張って運んでいこう
サーバーよりは雑に扱っていいから楽だね
……何が書いてあるのかな
気になっちゃうなぁ
●期待を運ぶ
「えーっと、これはサーバーってやつだ」
難しい事は分らないのでそれは分る人に投げ、自分は運ぶ方をがんばると決め、単純作業&力仕事ならまっかせてと気合をいれた藤・美雨(健やか殭屍娘・f29345)。
中にデータがいっぱい入ってるんだっけ? と宣言通りに周囲の猟兵達に確認を取ると、両手を広げてサーバーに抱き着く。
「よいしょーっ!」
デッドマンと化したが故かはたまた猟兵としての素質か、彼女は力には自信があり、掛け声一つで軽々と巨大なサーバーを担いでみせる。
必要とされる情報はその中にあり、本当なら吸い出せばいいのだが今は時間が無い。それゆえの物理的な運び出しだと美雨は正しく理解していた。
重そうなサーバーをまるで巨大なぬいぐるみをかかるかのように抱きしめて運ぶ美雨に、周囲から落とさないように気を付けてねと声がかかる。
元々美雨も機械だから繊細に扱わなければと丁寧運ぶことを心掛けていた。その上で。
「最悪私をクッションにするよ」
と満面の笑顔を浮かべ、痛みに耐えるのは自身があるからと得意げな顔をするのだった。
「他にも重そうなのは……うわっ、石碑だ!」
サーバーをある程度運んだ後で、他に重そうなものが無いか室内を見回した美雨は、片隅に鎮座する巨大な石材を発見する。
機械によって綺麗に研磨されたなめらかな表面には、びっしりと何らかの文字や数式が彫り込まれている。所謂モノリスというものだろうかと考える美雨。
「これも頑張って運んでいこう」
彫り込まれた文字が指をかけるのに丁度よく難なく持ち上げる美雨。石の材質はかなり丈夫なようで、サーバーより雑に扱っても問題なさそうな石碑を楽々運んでいく。
「……何が書いてあるのかな。気になっちゃうなぁ」
文字の部分に触れているが故か、この石碑に刻まれた情報について思考が向く美雨。肉体が死を迎えた彼女だが、その心は死にもせず腐りもせず、生きた人としての好奇心に満ちている。
自分がこれを運ぶ事で、きっと他の者がきっとこの好奇心を満たしてくれるだろうと、美雨は心を弾ませながら石碑を運び出していくのだった。
大成功
🔵🔵🔵
丑三・勘太郎
【POW】
時間質量論……?
よく分からねぇがオブリビオンに関わりそうなら知っておいた方が良さそうだな。
腕力には自信がある。出来るだけ重そうなモン持ってやるぜ
現場に着いたら出来るだけ大きくて重そうな資料中心に探す。
石碑やらが含まれるのか? 特に一次資料になりそうなものが良いかもな。
資料が何個か見つかったら【怪力】で持てる分だけ持ってさっさと走って移動する。
敵がいるとは聞いてねぇが、早いに超したことは無いからな。
往復で持ち出しが出来るなら、同じような資料を移動させる。
ほかの奴が持ちきれなかった資料も、余裕があれば持っていった方が良いだろうな。
「考えるのは得意じゃねぇ分、出来ることはやってやるぜ」
●刃用いぬ戦い
「時間質量論……?」
丑三・勘太郎(妖憑依を継ぐもの・f10108)は紅い瞳を細め首をひねる。生まれた世界は元より、後に転移した故郷より科学の進んだ世界においてもそういった研究の名は、少なくと勘太郎の耳に入った事は無かった。
ただ、よくわからないものでも、それがオブリビオンに関するのであるならば猟兵として知っておいた方が良さそうだ、と勘太郎は運び出しに志願した。なにせ腕力には自信ありなのだ。
様々な機器や資料が所狭しと置かれた現場に入室し、勘太郎が探したのは出来るだけ大きくて重そうな資料だ。
「石碑やらが含まれるのか?」
勘太郎が見回す一角には、石碑を始め用途不明な機械や鉱物、動植物の標本や図鑑などが積まれている。恐らく研究の一次資料の類だろうと考えた勘太郎はそれらに手を伸ばす。
「……よし、まずはこんなもんか」
鍛え上げられ上に二種の異質なる存在を宿せるように整えられた勘太郎の肉体は、多数の大きな資料を簡単に持ち上げる。持てるだけ持って両脇に抱え外に向かって走り出す。
早いに越したことは無い、と勘太郎は考える。ここに敵がいるとは聞いていない、だが今まさにこの世界の存亡をかけた戦争の真っ最中であり、未だ多くの脅威が健在なのだ。
抱えている資料の総重量を感じさせない軽やかで素早い脚運び。勘太郎は直ぐに最初の荷物を運び終えると、一息つく間もなく踵を返して戻っていく。この場において自分がやるべきことは他の者が持ち切れなかった資料を、余裕があれば持っていく事だ。その方が良いと彼は判断する。
「考えるのは得意じゃねぇ分、出来ることはやってやるぜ」
敵と切り結ぶのとは異なる『戦い』。けれど、そこにだって出来る事がある。これまでの人生を、丑三流妖憑依の後継者とし、て常に武術の高みを目指し鍛えてきたその肉体を、用いる場面がある、それが今だ。
勘太郎の瞳は鋭さを増し、四肢には一層の力が入り床を蹴り、跳ぶように戻っていく。次なる『敵(運ぶ物)』を求めて。
大成功
🔵🔵🔵
七那原・望
マジックオーケストラを発動し、ねこさん達には魔法を使って石版等の重い物を浮かせて運び出してもらい、影の猟兵達には力があれば個人で運べる様な記録媒体を運び出してもらうのです。
みんな、慎重にお願いするのですよ!あれ?この壁なんだかデコボコしてる……?え?この壁にも絵とか文字が刻まれてるのですか?つまり壁画?
えっと、ねこさん、運び出すのは難しいので、せめて写真を撮ってきてください。全部!
あ、それと壁画を運び出せそうな猟兵いたら連れてきてください。
こちらは音声データが記録された小型の音楽プレイヤーですね。
せっかくですし少し聞いてみましょうか。
……呪文かなにかです?難しすぎてよくわかんないのですー!
●極彩色の暗闇の中で
七那原・望(封印されし果実・f04836)が入室して最初に感じたのは匂いだった。長らく人が立ち入っていない暗所、けれど黴臭さや埃臭さ等は全くと言っていいほど感じない。次に聞こえてきたのは小さく、けれど途切れることなく続く機械音。コンピュータ等がある世界で聞き覚えのある唸るような音と、空調の音。主を失って尚、この部屋は遺された物の為に生き続けている。
視界に囚われず部屋の薄暗さを最初から気にかける事の無い目隠しをしている望だからこそ抱けた印象だろう。
漆黒の闇の、けれど匂いと(彩られ)、音と(彩られ)、空気の感触に(彩られ)満ち満ちた(極彩色の)世界で望はタクトを取り出し振るう。チリリン、付けれた鈴の音色と共に彼女の周囲には白と(鮮やかな)黒の(鮮やかな)者達が現れる。
「ねこさん達お願いするのです」
白猫たちは鳴き声で応じると、石板等の周りに集まる。すると石板はまるで風船のようにふわふわと宙に浮き始めた。
そこに影の人々があつまり手を添えて運んでいく。余った人員は個人で持ち運べる記録媒体を抱えて追従する。
「みんな、慎重にお願いするのですよ! 」
タクトを持つ手を振り上げた望は、触れた壁の感触にあれ?と首をかしげる。なんだかデコボコしているのだ。
「え? この壁にも絵とか文字が刻まれてるのですか? つまり壁画?」
まさかそんなものまで残すなんて、と驚いた望は急いで白猫たちを呼び寄せる。
「えっと、ねこさん、運び出すのは難しいので、せめて写真を撮ってきてください。全部!」
私ら猫だから無理ニャー、と言ったかどうかは定かではないが、魔法でカメラを浮かばせて持ってくると、影の人が受け取って撮影を開始した。
シャッター音を聞きながら望は壁画を運び出せそうな猟兵がいれば連れてきてほしいと頼み、白猫たちは一声鳴くと作業中の猟兵達の方へ走っていく。
「こちらは音声データが記録された小型の音楽プレイヤーですね」
記録媒体を運んでいた影の人の一人が優しく手渡したものを指で確かめる望。せっかくだからと再生してみる。
「……呪文かなにかです? 難しすぎてよくわかんないのですー!」
聞こえてくるのは若そうな女性の声。話している言語自体はわかるのだか、内容は非常に高度な学術的なもののようで、残念ながら望の理解出来る得るものでは無かった。
けれど重要である事は間違いない、望は音楽プレイヤーを大切にしまい込むのだった。
大成功
🔵🔵🔵
リヴィアン・フォンテーヌ
アドリブ歓迎
時間質量論、ですか
えーと、その、何と言いますか……
湖の乙女として私が鍛えて所持する聖剣の中に、聖剣クロノカリバーというものが、その、ありましてね?
あ、はい。極論から言いますと……その時間質量論の証明になる代物にあたるのはないかなー、と
物質である「時間」を集め鍛えた、剣の形をした時の集積体なので……ある意味、もう一つの剣の形の骸の海でもある、かもしれません?
ま、まぁまずは資料を運びましょう!
石板や石碑は私のファウンテンウォーター……つまり私の操る水で運びましょう
水に浮かべてそのまま外まで流していきますよ
問題は重い石碑を運べるかですが、湖の乙女としての意地と泉の杖での増幅でなんとか?
●泉の一念石碑をも流す
「時間質量論、ですか」
無数の資料を前にリヴィアン・フォンテーヌ(湖の乙女・f28102)は思案顔。知らず胸の前で握る拳にも力がこもる。
(「もしかして、聖剣クロノカリバーは……」)
リヴィアンは湖の乙女と呼ばれる精霊の一種だ。彼の乙女たちは、いつか相応しき担い手が現れた時に託す聖剣を保有している。
厳密には湖では無く泉に属するリヴィアンだが、彼女もまた彼女だけの聖剣を保有している。そのうちの一振りこそが銘をクロノカリバー。
物質である『時間』を集め鍛えた一品で、時の集積体と言えるそれは、ある意味でもう一つの骸の海と呼べるものではないかとリヴィアは考えていた。
(「クロノカリバーは、時間質量論の証明になる代物にあたるのではないでしょうか」)
リヴィアンは、そんな聖剣を保有する自分が、今ここで時間質量論の資料を運び出す。不可思議な縁を感じながらも先ずは資料を運ばねばと気持ちを切り替える。
「これで運びますよ」
彼女が手を振ると、その周囲に水が現れる。 透き通った清らかな水は彼女が住まう泉の水だ。
石板や石碑を水が包み込む。浮力が発生し巨石が地面から離れていく。
「あとはこのまま外まで流して行きますよ」
すっと手を振り外を指さすリヴィア。それに反応し水は流れを生み出し、石碑と石板を推し流して……いかない。
「ぬぐぐ……」
リヴィア自身も、重い石碑を運べるのか不安に思っていたが中々難しいようで……いやいやここで諦めては湖(泉)の乙女がすたる!
「はっ!」
リヴィアはくるくるを杖を回しながら取り出し、高々と構える。杖の力が彼女の力を増幅し水の勢いが強くなっていく。
「んんんっ!!」
気合を込めるリヴィア。水の力とは決して馬鹿に出来る物ではない。それが大地を削る程の結果を生み出す。リヴィアの振り絞った力もゆっくりとではあるが石碑を押し出し、無事に流れ始めるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
栗花落・澪
マリアさん(f15057)と
うわぁ、ほんとに物資が大量だぁ
マリアさん、一緒にがんばろうね
でも僕非力だからなぁ…あ、そうだ
悩んだ結果、【指定UC】発動
いつの間にか増えてるから正確な人数はもう数えてないけど
親衛隊とやらを呼び出してみます
ここにあるもの運び出さなきゃいけないんだ、手伝ってくれる?
男性は重いものを、女性は軽めの精密機器や書類関連を
壊さないようにね
僕自身も軽めのものを記録媒体を持てるだけ抱えてお手伝い
重い物って持ち上がるまでが大変だったりするよね
だ、大丈夫? 持てる?
マリアさんの技には目を瞬かせ
わぁ、武器をそんな使い方出来るなんて!
これなら効率よく動けそうだね
この調子でどんどん運ぼー!
マリア・ルート
つゆりん(f03165)と
ったく、よくもまあこんなに貯めまくったものね。
つゆりん、無理すんじゃないわよ?
人手はつゆりんがどうにかしてくれるでしょう。
私は違うアプローチで。
【指定UC】発動、今回は主に筒状武器にしておくわ。
これを並べれば…うん、滑り台の完成ね。荷物をどんどん乗せて、先頭が先っぽに到達しそうなら乗せるのやめて後ろの武器を前に回し、運送先まで滑り台が途切れないようにするわ。あとキャバリア『ブリュンヒルデ』も荷物入れになるかしらね。
つゆりんの方大丈夫かしら?
バランス崩して落としそうなら武器を数本回して支えにするわ。
まぁ、これで色々戦場回ってきたからね。
こう使うとは思わなかったけど!
●親衛隊(ヒト)の群れと大砲の群れ
「うわぁ、ほんとに物資が大量だぁ」
マリアさん、一緒にがんばろうね。と栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は琥珀色の瞳を向けて隣のマリア・ルート(紅の姫・f15057)に笑いかける。
「ったく、よくもまあこんなに貯めまくったものね。つゆりん、無理すんじゃないわよ?」
「うん! でも僕非力だからなぁ……あ、そうだ」
ぽんぽんと背中を叩いて笑い返すマリアに澪は首肯するが、ふと自らの腕をさすりながら不安になる。
しばし悩んだ末に澪は手を上にあげると、おーいと入口に向かって呼びかける。
「きゃー! 澪ちゃーん!」
「澪たーん、こっちむいてー!」
「……また人数増えた?」
激しい勢いで群がってくる老若男女様々な人込みに澪はたじたじと後ずさる。だが、彼ら彼女ら親衛隊は決して一定距離よりは澪に近づこうとしない。Yes澪ちゃんノータッチ、それが彼らの鉄の掟なのかもしれない。
「ここにあるもの運び出さなきゃいけないんだ、手伝ってくれる?」
「まかせてー!!」
澪のお願いに親衛隊たちは全力で応じる。男性陣は重い物を率先して持ち、女性陣も軽めの精密機器や書類関連をまとめている。
「壊さないようにね……だ、大丈夫? 持てる?」
自らも率先して持てる記録媒体を抱えた澪。男性人達が唸りながら苦戦している様子を見つけ、近づいて声をかける。
「ふおおおおお!! 澪たんに心配されてパワー満タンだぜ! いくぞみんな!」
「おおお!!」
「わわわ、気を付けてね!?」
「人手はつゆりんがどうにかしてくれたわね」
ならば私は違うアプローチで、とうーんと少し考える。
やがて、よしこれだ、とマリアが手を振ると何もない空間に大砲が出現する。それも一台や二台ではない、無数の大砲が出現し、独りでに並び始める。横並びに数台、そして縦に何台も並ぶ事で長大なスロープがそこに完成していた。
「うん滑り台の完成ね」
さてつゆりんの方は大丈夫かしら、とマリアが振り返ると澪がこちらへ向かってくる。
「わっ!」
「つゆりん!」
だが、足元の段差に気付かず、澪はつんのめって持っていた記録媒体が宙を舞う。
マリアは咄嗟に新たな大砲を出現させると、地面に落ちる前に記録媒体を支える。
「マリアさんありがとう!」
「つゆりんも怪我がなさそうでよかったわ」
澪の腕を掴んで立ち上がらせるマリア。彼女の屈託ない笑顔に釣られ澪もまた笑顔を返す。(「尊い……」)
そして周囲で作業している親衛隊はその光景に失神しないように気をしっかりもちながら運搬を続けていた。
「わぁ、武器をそんな使い方出来るなんて!」
大砲で出来た滑り台に目を輝かせる澪。
「まぁ、これで色々戦場回ってきたからね」
こう使うとは思わなかったけど!とマリアは、流れていくサーバーを見ながら笑う。
「終点はどうなってるの?」
「ブリュンヒルデを待機させているわ」
マリアは事前に愛機のキャバリアを、荷物入れに使うつもりで待機させていたのだ。
「これなら効率よく動けそうだね」
この調子でどんどん運ぼー!と腕を振り上げる澪。マリアと周囲の親衛隊もそれに応じるのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵