アポカリプス・ランページ⑧〜時間と質量、そして。(作者 G.Y.
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●マザーの遺物
「皆様。時間質量論、というのはご存じかしら?」
 集まった猟兵達に、エリル・メアリアル(孤城の女王・f03064)が聞いた。

 時間質量論。
 かつてアポカリプスヘルにおける世界最高の歌姫『マザー』によって発表された初期の研究論文である。
 その詳細を知る者は今や皆無に等しく、忘れられた存在であったのだが、このアポカリプス・ランページが始動したことによって、突如としてスポットライトを浴びることとなった。
「何故なら、発表者の『マザー』こそ、フィールド・オブ・ナイン『マザー・コンピュータ』に組み込まれた存在であり、この論文を知ることが『マザー・コンピュータ』を弱体化する手段となると予知されたからですわ!」
 エリルが意気揚々と言う。そして、広げた地図に指をさす。
「場所はカナダとの国境付近。セントメアリ―・ベース! そこに、時間質量論のデータが残されていますの!」
 そしてエリルは顔を上げ、猟兵達へと告げた。
「この論文のデータを、この拠点から解析可能な場所まで運び出していただけないかしら?」

 実はこの時間質量論のデータ……あまりにも膨大な量のデータが存在しているのだという。
 それらを保存する記録媒体の数も、文字通り桁が違う。
 コンピュータ、ディスク、紙媒体。そうなれば物理的にも膨大で、有り体に言えば超重い。
「けれど、それだけのことをする価値はあると思わない?」
 エリルは猟兵達に、同意を求めるように向き直る。その理由を語るように、エリルは告げた。
「時間とは物質である……そして、消費された過去よりオブリビオンは染み出してくる……。関連性が無いなんて思えませんわよね?」
 とはいえ、情報をその場で逐一チェックすることは出来ないし、今回の結果によって何らかの真実を暴くことが出来るのかなど、定かではない。
「全ては情報を運び出してから。一歩一歩、着実に進みましょう?」
 そんな注意を促しながら、エリルはグリモアを輝かせた。

 時間質量論とは?
 オブリビオンとは?
 そんな疑問を胸に、猟兵達はセントメアリー・ベースへと足を踏み入れる。


G.Y.
 こんにちは。G.Y.です。
 今回はセントメアリー・ベースを舞台にしたシナリオです。

 この巨大拠点に残された『時間質量論』に関連するデータを運び出すのが今回のシナリオ内容となります。
 時間質量論が記されたデータは、ハードディスクやCDのようなものから、フロッピー、MO、紙など多岐に渡っています。
 中にはそういったデータ類がぎっしりと詰まったキャビネットのようなものまで幅広く、単純に滅茶苦茶重いです。
 どんなものを運ぶかをプレイングで指定し、皆で協力して拠点の外まで運び出しましょう。
 なお、ユーベルコードの使用なども勿論OKですが、データを壊さないようご注意ください。

 今回のプレイングボーナスは『大量の記録媒体を運び出す』となります。

 それでは、皆さんのプレイングをお待ちしております!
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第1章 日常 『時間質量論を運び出せ』

POW腕力に任せて一気に運ぶ
SPD乗り物や道具を利用する
WIZより重要そうなデータを優先して運ぶ
👑5 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


マリア・ルート
うわ、媒体色々ありすぎじゃない?
とりあえず【指定UC】で私の分身を創造、武器は置かせてデータを運ばせるわ。武器回収すればただの分身だろうし。
紙とか無難なところから運び出そうかしら?重要そうなのを『野生の勘』で勘付けるといいけど。

持ち運び先は私のキャバリア『ブリュンヒルデ』。
まさに空飛ぶ倉庫よこいつは。まあ普段からちょっとした荷物入れにしてるし、今回もいい感じになるでしょ!

ブリュンヒルデの容量の8割くらい溜め込んだら一時撤退させて規定の場所に運搬するわ。最大まで貯めないのがコツよ。

時間質量論…いったいどういうデータかしらね。
ま、私はあんまり考えまくるの苦手だから解析班の結果を待ちましょう。


真月・真白
膨大な資料の山を前に物思いにふけます
ここにあるのは歌姫と呼ばれた彼女の『歴史(じんせい)』の一部だ
彼女が何を求めていたのかは定かではない、けれど
棄てなければならない『過去』を『歴史』として記しとどめる事が役目である歴史書(僕)は、それを知らなければならないと感じる

重い物を中心に運び出しましょう…え、持てるのかって
えぇ、もてません(細い腕を見せて)
ですが、人類は知を以て自らの力を超える事を成して来た、その『歴史』はあります
UC発動、台車やトラックなどの道具を再演して念動力で運びます
傷をつけないように布などで丁寧に梱包して後は積み込むだ…け…ぐ…(ぷるぷる)


藤・美雨
『時間質量論』も気になるけれど……目の前の資料の質量もとんでもないね!
これを解析すれば面白いことも分かるのかな?
気になるけれど調べるのは私の得意なことじゃない
私は私に出来ることをやろう

【怪力】を発揮してがんがん荷物を運んでいくね
多少雑に扱っても大丈夫そうな紙媒体を中心に運ぼうかな
レポートとか論文とかそういうの……かなぁ
ちらっと覗き見てみるけど中身はちんぷんかんぷんだ
でも世界の秘密をちらりと見ている気がしてワクワクする

何度も往復してどんどん運ぶよ
死んでる身体はこういう時にありがたい
汗を拭ったりせずに済むからね!
でも多少は疲れはするかも
休みもしっかり取っていかないとね
どんどんがんばるぞー!


ルクアス・サラザール
荷物運びならお任せください
歓待でポーチの中の邸宅に入るだけ詰め込みますよ
レディ、大量の荷物を入れますから、部屋を開けておいてくださいね
え?陛下は関係ありませんよ。ですので陛下用の部屋は動かさないように
そのまま放り込んでデータが破損しては困りますし…
レディには整理だけお任せして、俺が抱えて往復するとしましょう

忙しくなりそうですし、休憩も挟みたいですね
レディにお茶もお願いします
整理はゆっくりで大丈夫ですからね
他にもお疲れの方がいらっしゃれば、お招きしちゃいましょう

それにしても時間質量論とは、難しそうではありますが、わくわくする響きでもありますね
どのような情報が得られるのか、楽しみに励みましょう


栗花落・澪
手伝わせるなら分身と悩んだけど
やっぱり繊細な作業をするなら等身大の人手があった方がいいよね
というわけで自称親衛隊? らしい皆様を呼んでみます
人数は数えない、もう諦めた(いつの間にか増えてるんだもん)

力に自信のある皆様は重量のあるものを
絶対に一人で持っちゃダメだよ
壊さないようにも勿論だけど…腰とか腕とか痛めないように気を付けてね
どうしても無理そうな物には手を出さないで

力に自信の無いメンバー…僕もだけど…は、個別保存された資料類を手分けして持ち出そうか
精密機械類は特に扱いに気を付けて

紙みたいに飛ぶものじゃなければ
物自体に風魔法を混ぜた【オーラ防御】を纏わせる事で
風圧で浮かせて運びやすくして効率化


七那原・望
マジックオーケストラを発動したらねこさん達には魔法でとにかく重くて慎重な扱いが必要な記録媒体を浮かせて運び出してもらいましょう。
この方法ならどんなに重くても関係ないし壁にぶつけないように気を付けるのと慎重に置くのさえ心掛ければ大丈夫ですからね。
紙媒体等は影の猟兵達にお願いしましょう。

これなら問題なさそうですね。

この論文を知るとマザー・コンピューターが弱体化するのですよね。
つまり時間質量論ってマザー・コンピューターの弱点になるような理論なのです?それとも知るという行為が重要なのです?
そもそも質量を持った時間が排出されて、オブリビオンが染み出す温床になっている骸の海っていったいなんなのでしょうね?


リヴィアン・フォンテーヌ
アドリブ歓迎

時間質量論、ですか
えーと、その、何と言いますか……
湖の乙女として私が鍛えて所持する聖剣の中に、聖剣クロノカリバーというものが、その、ありましてね?
あ、はい。極論から言いますと……その時間質量論の証明になる代物にあたるのはないかなー、と
物質である「時間」を集め鍛えた、剣の形をした時の集積体なので……ある意味、もう一つの剣の形の骸の海でもある、かもしれません?

ま、まぁまずは資料を運びましょう!
防水されたキャビネットとかなら、私のファウンテンウォーター……つまり私の操る水で運びましょう
水に浮かべてそのまま外まで流していきますよ。問題は水なので防水されてないものは絶対に運べないことですね


●質量のある保管庫へ
 カナダ国境付近、セントメアリー・ベース。
 アポカリプスヘルにおいても比較的平和なこの一大拠点に、現在は多くの猟兵達が出入りしていた。
 目的は、歌姫『マザー』の残した研究論文『時間質量論』。
 それがフィールド・オブ・ナイン『マザー・コンピュータ』と深いつながりを持っていることが分かったからである。

「うわぁ……」
 資料が保管された施設の中で、マリア・ルート(紅の姫・f15057)が呆れたような声を上げた。
 薄暗く、しかも広い保管庫には資料が山のように積み上げられ、それが連なっていた。まるで山脈のようである。
「『時間質量論』も気になるけれど……資料の質量もとんでもないね!」
 藤・美雨(健やか殭屍娘・f29345)は笑う。これを運び出すだけでも、相当な労力がかかることは容易に想像が出来た。
「この論文を知ると、マザー・コンピュータが弱体化するのですよね」
 七那原・望(封印されし果実・f04836)は足元に落ちていた一枚の紙を拾い上げて言う。
 まるで暗号のように記されたメモ書きは一見しても意味がわからない。これらの資料がどのように作用するのか。予知は何も知らせてはくれなかった。
「つまり『時間質量論』って、マザー・コンピュータの弱点になるような論理なのです?」
「さぁ、どうなのでしょうか」
 ルクアス・サラザール(忠臣ソーダ・f31387)は資料を眺め、首を振る。積み上げられた資料は膨大で、一部を読み取るだけでは詳細を知ることは出来ないのだろう。

 そんな膨大なデータの山を見上げて、真月・真白(真っ白な頁・f10636)は想いを馳せる。
(「ここにあるのは、歌姫と呼ばれた彼女の『歴史(じんせい)』の一部……」)
 歴史書のヤドリガミである真白は、積み上げられた資料の数々をもっと知りたいと思った。
 マザーが何を求めていたのか、どんな人生を送ったのか。それは定かではないが、ここにはその一端だけでも示してくれる歴史がある。
(「棄てなければならない『過去』を『歴史』として記しとどめることが歴史書(僕)の役割」)
 だからこそ。と、彼はこの依頼への思いを今一度新たにするのであった。

「時間質量論、ですか……」
 リヴィアン・フォンテーヌ(湖の乙女・f28102)はうぅん、と首を捻る。
 湖の乙女として彼女が鍛えた『聖剣』の中には時間を集めた剣があるという。
「つまり、時間質量論の証明になる代物にあたるのではないかなー、とは思うのですが……」
 とはいえ、それをはっきりさせる術も今は無い。
「まぁ、まずは運びましょう!」
 リヴィアンの言葉に促され、猟兵達は荷物の運搬を開始するのであった。

●時間と質量
「さて、それじゃまずは人手がいるわよね」
 マリアはそう言うと、意識を集中させた。
「さぁ行きなさい、私のレギオン達!」
 現れたのはマリアの分身。普段は同時に召喚された武器を取って戦闘を行うが、それを隅に追いやって、今回は一緒に肉体労働だ。
「ねこさん達、出番なのです」
 望もタクトを振ると、白いねこさん達が現れる。彼らも望のことを何かと助けてくれる可愛くも頼もしい仲間達。
「手伝わせるなら僕も分身……と思ったけれど」
 栗花落・澪(泡沫の花・f03165)はうーんと悩んだが、やっぱり人手は多い方がいいはずだ。
「というわけで……皆~」
「「「はーい!!」」」
 澪の掛け声と共に、どこからか大勢の人々が現れた。
 頭にはちまきを巻いて、澪の顔が描かれた法被を纏う。サイリウムは置いてきた。うちわも今回いらないが、気持ちだけは120%!
「「「我等、澪ちゃん親衛隊!!」」」
「……また増えたの?」
 遠い目をして澪は呟く。小さなライブハウスならゆうに満員になるくらいの大所帯。澪はもはやその人数を正確に数えようともしなかった。
「……だっていつの間にか増えてるんだもん」
 とはいえ、これで人員は十分だ。
「さぁ、いくよ!」
「「「はーい!!!」」」
 ねこさん、分身、親衛隊。多くの協力をとりつけて、データ運搬作戦が開始された!

「荷物運びならお任せください」
 ルクアスは取り出したポーチを手頃な場所に置くと、資料を抱えてそれに触れる。
 するとルクアスがポーチに一気に吸い込まれ、内部に広がる邸宅へと現れた。ユーベルコードで作られた、広大な空間である。
「レディ、これから同じように大量の荷物を入れていきます。部屋を開けておいてくださいね」
 邸宅の中の文化人形にそう告げると、レディは首を傾げた。
「え? 陛下は関係ありませんよ。ですので、陛下の部屋は動かさないように」
 そう言い含めてから、再び邸宅の外へと顔を出す。
「整理はレディに任せましたし、僕は放り込んでデータを破損させないように、抱えて往復をいたしましょう」
 ルクアスはそう考え、保管室と邸宅を細かく往復してゆく。小さなポーチに片っ端から資料を積み込める、というのは非常に効率が良く、みるみるうちに資料の山が削れてゆく。

「はーい、どいてどいてー!」
 美雨は、両手に塔のように重ねられた資料を担いで保管室を走る。
 多少雑に扱っても良い物なら、気にせずどんどん運び出せる。持ち前の怪力も十二分に生かせるのだと、紙媒体を中心に運び出していた。
「これ、レポートとか論文とか、そういうの……かなぁ?」
 ぺらりと落ちた紙を一枚指でつまんで、ちらりと中身を覗き見る。
 これらのデータが解析出来たらどうなるか、気にならないわけではない。しかしそういう仕事は美雨は得意じゃないと自覚していて。
「……うーん、ちんぷんかんぷんだ」
 書かれた内容を見ても、難しい顔をするばかり。
「難しそうではありますが、わくわくする響きですね」
 そんな美雨に笑いかけながら、ルクアスは資料を抱えて言う。
「うん、世界のヒミツを覗き見てる気がする!」
 美雨は実に楽しそうに返す。
「でも、私は私に出来ることをやろう!」
 担いだ荷物を運び終えた美雨は、そう言って再び保管庫へと舞い戻る。そして中を縦横無尽に駆け巡るのであった。

「こちらに荷物をどうぞ」
 そうやって外まで出した資料は、真白が呼び出したトラックに積み込ませてゆく。
 人類は知を以て自らの力を越える事を為してきた。その『歴史』を再現し、運搬機械を生み出したのだ。
 そうして生まれたトラックにどんどんと荷物が積まれてゆく。しかし、1台2台では到底全部を運びきれない状態だ。積載量がいっぱいになれば新たなトラックを呼び出すことになるが……。
「こっちにも入れちゃって!」
 マリアが分身と共に運び入れているのは、キャバリア『ブリュンヒルデ』だ。
 5メートルの巨躯の腕や背に荷物を掴ませる姿は、ちょっとした空飛ぶ倉庫だ。
 積載量はトラックに劣るが、代わりに機動力は抜群だ。
 摘んだ荷物をひとっ走り。それだけで解析可能な拠点との往復が可能であり、運搬効率を飛躍的に高めていた。
「まさに空飛ぶ倉庫よこいつは!」
 普段からちょっとした荷物入れにしていたことが幸いしたようであった。

「施設内の運搬はこれを使いましょう」
 真白がそうして出したのは、手押しの台車。シンプルだがそれ故に扱いやすく、こういう場面に重宝する。
「あとは傷をつけないように丁寧に積み込……む……だけ……」
 資料を手にした真白の手がぷるぷる震える。彼の細い腕では、少し重たい荷物を運ぶにも、ちょっと大変そうである。
「はいはい、そういうのは私が持つよ!」
 苦戦する真白の荷物を美雨はひょいと担ぎ上げ、台車にどんどん積んでゆく。
「……助かりました」
 少し恥ずかしそうにしながらも、真白は念動力によって台車を走らせるのであった。

 保管室には、重い資料が多い。莫大なデータが詰まった機械に、キャビネットの類。
「絶対に一人で持っちゃダメだよ」
 澪は親衛隊に指示を出す。彼らはそれに従い、重そうな箱の四隅に手をかける。
「腰とか腕とか傷めないように気を付けてね」
「なんて優しいんだ……!」
 親衛隊は感動しながら、いっせーのの掛け声とともに箱を持ち上げた。
「澪さん、こっちは重すぎます!」
「どうしても無理そうなら手を出さないで」
 親衛隊の呼びかけにそう伝えた澪ではあったが、動かせないのは困りもの。
「そういうものはこちらに任せてください」
 そう申し出たのは望とねこさん達だ。
「ねこさん達、あの重そうなものを浮かせてください」
 望の指示に合わせてねこさん達が魔法をかける。重くて慎重な扱いが必要なものであっても、これであれば危険は少ない。
「壁にぶつけないように、置くときは慎重になのです」
 その指示に従い、ねこさん達は荷物を運んで行く。

「これは防水? なら私の水で運んでしまいましょう!」
 リヴィアンは大きなキャビネットに意識を集中させる。すると足元から水が溢れ出し、重いキャビネットが浮かび上がった。
「さぁ、行きましょう!」
 リヴィアンの指示に従って、水は川となってキャビネットを押し流してゆく。
「防水出来てないものを運べないのは問題ですが……」
 そう独り言ちつつも、リヴィアンは水流に乗せて資料を次々運んでゆくのであった。

●ひとやすみ
「皆さん、お茶にしませんか」
 ルクアスが猟兵達に呼びかける。
 入り口付近の資料はあらかた運び出され、壁や床が見え始めていた。
 なんとなく終わりが見えた。しかし、その分疲労は溜まっていたようで、猟兵達は一時の休憩を挟むことになった。
「レディ、お茶をお願いします」
 ルクアスは猟兵達を邸宅に招き入れ、レディに指示を出す。まもなくお茶とお茶菓子が差し出され、それを囲んで一息ついた。
「死んでる身体はこういう時にありがたいけど、休みもしっかり取っていかないとね」
 美雨は言う。汗もかかないその身体は、そういう手間が無いの点においては楽なんだとか。

「でも、この時間質量論……いったいどういうデータなのかしら」
 邸宅の中に積まれた資料を見上げて、マリアがうーんと唸る。
「マザー・コンピュータに対抗するために、これを知るという行為が重要なのでしょうか?」
 望も膨大な資料を前に首を捻る。真相は闇の中。それを晴らすためにもまずは運搬作業、という理屈はわかりつつも、どこかもどかしさは残る。
「そもそも質量を持った時間が排出されて、オブリビオンが染み出す温床になっている骸の海っていったいなんなのでしょうね?」
 分からないことだらけだと言いながら、望はお茶菓子をぱくりと口にした。
「こういうのも、骸の海の形、なのでしょうか?」
 時間という物質を凝縮させた剣を掲げて、リヴィアンが聞く。しかし、ここで悩んでも答えは出ないだろう。
「でも、きっと知る必要があるものなのだと……少なくとも僕は思います」
 真白は言う。今はわからなくとも、これから先、この資料は重要だと思った。それに、これらの資料の奥に見え隠れする『マザー』の存在を記すことも。
「ま、私はあんまり考えまくるのも苦手だし、解析班に渡して結果を待ちましょう」
 そんなマリアの提案に、猟兵達も頷いた。
「どのような情報が得られるのか……楽しみに励みましょう」
 ルクアスはお茶を啜り、柔らかな笑顔を向けるのであった。

●最後の一仕事
「さぁ、あと一息だよ! どんどんがんばるぞー!」
 休憩を終え、美雨がぐぐっと拳を天に掲げた。
「力のないメンバーはこっちの資料を手分けして持ち出そう」
 澪は親衛隊に再び指示を出す。
 大きなものは大分運び出せた。そうして出て来たのは、こまごましたデータ類である。
 澪を含めた細腕チームは、小さく個別保存された資料を抱え上げた。
「精密機械類は特に扱いに気を付けてね」
 そういって注意を促しつつ、澪は目の前の保管箱に意識をm蹴る。
「風の魔法で……それっ」
 資料を風の力で包み込んで、浮かせることで持ち運びやすくした。
「影の猟兵達もお願いするのです」
 それに望も呼び出した影の軍勢も加わって、小さなものはあらかた運び終えることが出来ただろう。

「整理はゆっくりで大丈夫ですからね」
 ルクアスの邸宅にも、大分荷物が溜まってきた。レディと共に澪の親衛隊はそれらを整理整頓し、後からでも運び出しやすいように纏めてゆく。
 小さなポーチに詰まった大量の資料。あとはこれを持って解析拠点まで運べば良いだけだ。

「これで20台目のトラックです。最後にしましょう」
 真白が新たなトラックを呼び出した。出した道具の数を考えれば、データがいかに膨大な量であったのか、と実感してしまう。
「ブリュンヒルデも、あとちょっと! 頑張るわよ!」
 キャバリアを操縦しながらマリアも気合を入れる。積載量は8割。100%にしないことで最高効率を保って、何十回も拠点間を往復した。
「一気に流してしまいますよ!」
 リヴィアンも防水を施した資料を水流でどんぶらこと運んで行く。
 様々な運搬方法、たくさんの人の手。異なる力を合わせながら、混ざり合ったこの運搬作戦も、とうとう終わりを迎えようとしていた。

「お疲れ様ー!」
 美雨が元気な声で猟兵達を労った。
 保管庫はきれいさっぱり無くなって、とうとうすべてのデータが運び出されたのだ。
「あとは、結果を待つばかりね」
 マリアは分身に別れを告げて、解析拠点に運び込まれた資料を見つめる。
「マザー……彼女の『歴史(じんせい)』に、何があったのでしょうか」
 ぽつりと、真白が呟いた。

 アポカリプス・ランページは終局を迎えつつある。
 しかし、マザー・コンピュータとの戦いはまだ始まったばかりと言えた。
 ――すべては、ここからだ。

 膨大な資料は何を語るのか?
 猟兵達はその答えを待ちながら、帰路につくのであった。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

最終結果:成功

完成日2021年09月17日
👑5 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵