4
アポカリプス・ランページ⑧〜お前の様なババアが…いた!

#アポカリプスヘル #アポカリプス・ランページ #アポカリプス・ランページ⑧

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#アポカリプスヘル
🔒
#アポカリプス・ランページ
🔒
#アポカリプス・ランページ⑧


0





「ああやれやれ、全くしんどいよ」
「年寄りには応えるねぇほんと」
 アポカリプスヘルは容赦のない無法の地である。女だから、老人だから、そんなことは何の言い訳にもならず、皆平等に過酷な生き方を強要される。
「こんな年寄りを残して若いのばっかり先に逝っちまうなんて、嫌な世の中だよ全く」
「仕方ないさ、これでも他所よりは大分マシな方なんだ」
 そう、ここは水も食料もまだそれなりにある。定期的にそれらを届けてくれる車がやってきてくれるのだ。
「そうだねぇ……幸いまた新しい食べ物が手に入った。これでまたしばらく食いつなげるよ」
 そういう老婆たちの前にあるのは、紙のようにくしゃくしゃに丸められた小型戦車。
「あぁ……車はぶっ壊れちまったから使い物にならないが、燃料はまだまだ使えそうだ。ドラム缶に入れて持ってこうかね」
「ほら、新入りさん、軽めの缶を用意してやったよ。ここは年寄りでも働かなきゃならない所だからね。かわいそうだけどやってもらうよ」
「へへぇ、おいてもらえるのならこのくらい……あたた、昔は燃料どころかバギーの一つも担げたもんなのに……年は取りたくないねぇ」
(や、やべぇとこ来ちまったぁ……!)


「あなたのメルでございます。本日もアポカリプス・ランページの依頼でございます」
 メル・メドレイサ(蕩けるウサメイド・f25476)がおばあちゃんがぽたぽた焼いた煎餅を配る。
「今回向かっていただきますのはセントメアリー・ベース。カナダとの国境にほど近いこのあたりは比較的平和な地域なのですが、その中にオブリビオンの手先であるレイダーが侵入しているのです。彼らは間者としてベース内に入り込み、オブリビオン襲撃の手引きをするつもりの様で」
 この平和な巨大拠点を電撃作戦によって陥落させるつもりらしい。
「なので、皆様にはこの間者を炙り出し始末して欲しいのです。ただ、せっかく住人は平和に暮らしているのでなるべく無用な騒動は避けたい所。できれば秘密裏に事を進めて欲しいのです」
 平和な拠点とはいえ所詮はアポカリプスヘルだ。ある日突然人が一人いなくなることも珍しくはない。
「今回皆様に調査していただくのは、ベースの外縁部にある『グランドマザースラム』という場所。お婆さんばかりが住む地域なのでそう呼ばれているようです。そこに身長2メートル前後で筋肉モリモリマッチョマンのレイダーが住人に成りすまして潜んでいるようなので、探し出して始末してください」
 それは……と猟兵の表情が緩み、メルも笑顔で答える。
「はい。なので住人とは大変見分けがつきにくくなっております。探し出すには工夫が必要でしょう」
 ……は?
「ここのお婆さんたちは身長2メートル、体重は120kg程度が平均サイズです。時折外から現れる親切なトゲトゲだらけの食料輸送車から水と食料をもぎとってなんとか暮らしているか弱いご老人たちばかりです」
 か弱いってなんだよ(哲学)。というかそれは防衛線を任されてるとかそういうんじゃないのか。
「しばしば御同類の老人たちが来たり、あるいは何らかの理由で出ていく方もいたりするので、住人達も完全にお互いの顔を把握しているわけではありません。また寄る年波に勝てず亡くなる方もいるので、そういう人を目ざとく見つけて入れ替わっているのかもしれませんね。あるいはもっと手っ取り早く殺害して……」
 最後のはなんか多分なさそうな気がする。というか覚えられないくらい同類が来るのか。
「ともあれ、いかにここのお婆さんたちでもオブリビオンの大集団に襲われれば一たまりもありません。引き込みが完了しないうち、どうにか秘密裏に処理をお願いします」
 笑顔を絶やさぬままそう言って、メルは猟兵たちをセントメアリー・ベースへと送り出した。


鳴声海矢
 こんにちは、鳴声海矢です。お前のようなババアが割といた。
 今回のプレイングボーナスはこちら。

『プレイングボーナス……住民に敵の存在を気付かせないよう調査を行う』

 セントメアリー・ベースの一角『グランドマザースラム』で、そこに侵入したレイダーを秘密裏に探し出し始末してください。住人は老婆たちばかりなので騒ぎは心臓に悪いかもしれませんし、事が大きくなると間者も自棄を起こして自爆テロなど敢行しかねません。そのため住人を一堂に集めて嘘発見系UCを全員に……などは出来ません。あくまで皆さんはただの来訪者、旅人や流れのブリンガーなどを装い情報収集をしてください。
 間者は身長2メートルのマッチョマンですが、外見は完璧にここの住人に溶け込んでいるのでぱっと見ただけでは判別は尽きません。大きな特徴として、間者は女装してはいますが男性なのでもしかしたらその辺りが捜査の足掛かりになるかもしれません。
 間者自身はレイダーではありますが非常に弱いです。戦闘プレイングは必要ないので、発見し人目につかず始末する方に力を注いでください。

 まあ間違えないでしょうが、ネタシナリオです。捜査のついでにお婆ちゃんに健康の秘訣とか聞いてもいいんじゃないでしょうか。簡単に真似できるという保証はありませんが。

 それでは、水でも飲みながらプレイングをお待ちしております。
131




第1章 冒険 『ヒドゥン・エネミー』

POW   :    拠点周辺を歩き回り、怪しい人物を探す

SPD   :    人目につかないように行動し、情報収集する

WIZ   :    避難者のふりをして住民達に話を聞く

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ウィーリィ・チゥシャン
最初に言っておく。
俺だってこんな手段使いたくない。
けど、こいつが一番被害が少なく手っ取り早く事態を納める方法なんだ。

旅の料理人に扮し、村に入り込む。
そして村を歩き回りながら間者を探す。
見分けるポイントはヒゲ。
年配者は性差の区別がつきにくくなるが、ヒゲは伸びるから剃る必要がある。
それを【見切り】、確信を得たら【医神の前菜】で回春料理を振る舞う。
そうすればそいつの身体の一部も元気になるだろうから、間者だったらそれを隠すために物陰に行こうとするだろうからその後を追い、人知れず始末する。
あとは【地形の利用】と【物を隠す】で死体を隠すだけ。


夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
凄いお婆様達ですねぇ。
とは言え、確かに何とかしませんと。

『一人だけ男性』ということでしたら、『本能』を刺激するのが良いでしょうかぁ?
普段以上に『体型の目立つ服装』に着替えた上で、【夢鏡】を発動し『身体能力』と『魅力』を強化、[誘惑]を応用して自然と媚を振り撒く様にして『商人』として訪問しますねぇ。
販売品は『調味料』ということで、順に訪問販売しつつ『世間話』等を聞いて回りながら反応を見て回り、怪しい方が居たらチェックしておきますぅ。

途中『届けてくれる車』が来る様なら同行しお手伝い、その際の様子も確認しますねぇ。
『身体強化』と[怪力]が有りますから、ついては行けるしょうし。


柊・はとり
な、何だここ…
俺よりでかいババアが闊歩してる
だが怯んだら負けだ
ここは世紀末高校生探偵として
孫感を活かした情報収集で犯人を特定する

おいババア!小遣いくれよ
(殺気)(威圧)(恫喝)(世紀末的孫感)
誰だと?俺だよ、俺俺
ボケたか?

よし…
俺の推理によると本物の住人ババアなら
グレた孫の恐喝程度ではビビらない
寧ろ俺がしばかれる覚悟はしておく
ちっ…流石ババア生涯現役だな
精々元気でいろよ…
肩叩きや腰マッサージで体を労りつつ
お勧めの筋トレ法でも聞いておくか

だが偽物のババアなら
うっかり俺を孫と間違えたりしない
必ず違う反応がある筈だ
第六感で言動や表情の違和感を感じ取り
推理(物理)を叩きつける…
犯人はお前だ!(気絶攻撃


七那原・望
果実変性・ウィッシーズアリスを発動して、ねこさん達を連れて街に入るのです。

うーー!!ずるい!ずるいずるいずるいのです!なんでみんなおばあさんなのにそんなにおっきいのですか!羨ましいのです!わたしもおっきくなりたいのです!でもでも、お肉は食べたくないのです!

おばあさん達と仲良くお話をして、流れでねこさん達をみんなに抱っこさせてあげましょう。
間者は男。つまりお胸はない。或いは偽物です。だからねこさん達が抱っこされながら偽物を探します。
偽物を見つけたらねこさんにこっそり動物会話で連絡してもらい、偽物にだけ幻覚を掛けて街から離れてもらいましょう。

後は街の外でフィーネで首を刎ねておしまいです。



 カナダとの国境近くにあるセントメアリー・ベース。その外縁部にある『グランドマザースラム』に、四人の旅人が現れた。善良な老婆ばかりが多く住むという風聞通り、そこの住人は一同を追い返すような真似はせずに来訪者として内部に招き入れる。
「な、何だここ……俺よりでかいババアが闊歩してる」
 そのうちの一人、柊・はとり(死に損ないのニケ・f25213)は、周囲にいる老婆たちを『見上げて』そう呟いた。
 彼の身長は176.7cm。決して小柄とは言い難く、むしろここにいる4人の中では最も身長が高い。
 なれど、老婆たちの顔はそれよりはるかに上にあった。
「おやおやお若い方々……よく来たねぇ。ここはしょぼくれた年寄りしかいないようなところだが、ゆっくりしてお行き」
 その声は、彼の頭より30cm弱上から聞こえてくる。ここの老婆たちは皆、2メートルを超える背丈と分厚いマッスルボディをもったスーパーババアたちであった。しょぼくれたという言葉はもしかしたらここでは一般と違う意味で用いられているのかもしれない。
「だが怯んだら負けだ。ここは世紀末高校生探偵として、孫感を活かした情報収集で犯人を特定する」
 そんなババアたちに気圧されつつも、はとりはここに来た目的を改めて自分の中で確認する。
 そう、彼らは旅人とは仮の姿。その実態はこの拠点に潜り込んだレイダーを秘密裏に発見、始末する任を負った猟兵だったのだ。
 いかにここのマッシブババアでもオブリビオンの群れに突然襲撃されてしまえば一たまりもない。それを未然に防ぐために、彼らはここにやってきたのだ。
 その任の遂行のため、それぞれの役割通り彼らは二手に分かれ拠点のババアたちとの交流を始めた。
「うーー!! ずるい! ずるいずるいずるいのです! なんでみんなおばあさんなのにそんなにおっきいのですか! 羨ましいのです! わたしもおっきくなりたいのです! でもでも、お肉は食べたくないのです!」
 まずババアたちの足元で突如騒ぎ始めたのが七那原・望(封印されし果実・f04836)。年齢的なものもあるが、彼女の身長はババアの半分強しかない。そんな望をかわいがるように老婆がだきあげる。
「大きくなりたいなら好き嫌いは駄目だよ。といっても肉なんてそうそう手に入らないし、野菜が嫌いなよりはマシかねぇ」
 まるで孫に諭すように望を可愛がる老婆たち。それに安心したかのように、望は老婆たちとすぐに打ち解けていく。
「ねこさんもだっこしていいのですよ」
 自分だけでなく猫も抱いていいと、事前に【果実変性・ウィッシーズアリス】で読んでおいた猫も抱かせる望。そんな和やかな空気が流れる一方で。
「おいババア! 小遣いくれよ」
 はとりが命知らずにも、巨大ババアたちにいきなりの小遣い強請りをかけていた。
「誰だと? 俺だよ、俺俺。ボケたか?」
 さらにUDCアースあたりで近年問題になっている定型文を重ねると、ババアたちは抱いていた猫を下ろしゆっくりとはとりに迫った。
「やれやれ全く。元気じゃないと生きていけない世の中だけど、意味もなく喧嘩を売るのはいただけないねぇ」
 がしっと掴まれるはとりの頭。そのまま腕力だけでババアと同じ目線の高さまで持ち上げられる。
「ちょっと口うるさい年寄りの説教に付き合ってもらおうか」
 そこから重ねられる、ババアたちからの代わる代わるの説教(物理)。その有り難い肉体言語を身に受けながら、はとりは自分の推理が正しかったことを確信する。
(よし……俺の推理によると本物の住人ババアならグレた孫の恐喝程度ではビビらない)
 こうしてしばかれるのも予想の内。だから望も助けには入らないし、さっきまで抱かれていた猫たちを一匹ずつ抱きあげそこから何かの情報を聞き出していく。
「ふむふむ……なるほどです」
 やがて説教タイムも終わり、下ろされたはとりが今度は反省の証としてかババアの肩を叩き始めた。
「ちっ……流石ババア生涯現役だな。精々元気でいろよ……」
 悪態は突くが彼女たちに長生きしてほしいのも本音。それをくみ取ってか、ババアたちも素直に答える。
「もっとしっかり力を入れなよ。トレーニングというのは重いのをゆっくり少なくと軽いのを早く多く、それぞれ効果が違うんだ。そこを考えるのが健康とボケ防止にいいんだよ」
 筋トレの秘訣をはとりに伝えるババアたち。その横で一人説教に加わらなかったババアが去っていくのを、二人は目の端で確かに捉えていた。

 場所は変わって、グランドマザースラム中央部。そこではウィーリィ・チゥシャン(鉄鍋のウィーリィ・f04298)が様々な料理を振舞っていた。
「さあ、どんどん食べてくれ」
 振舞う料理はアポカリプスヘル式のあまり豪華ではない食事だが、過剰に派手なものを振舞っては警戒されかねない。そうして料理を渡しながら、一人一人の顔をウィーリィはじっくり見ていく。
「ところで変なこと聞くけどさ、皆女性だよな? 男はここにはいないのか?」
「まあ年寄りは顔が見分けづらくなるからねぇ。ここにいるのはみんなババアばっかりだよ。心配してくれてるのかもしれないが、男手が無くてもなんとかやってるよ」
 万一のことを考えて聞いてみたが、やはりここには女性しかいないらしい。ならば作戦変更の必要はないと、ウィーリィは食事を振舞っていく。
 やがて一人の老婆に料理を渡すとき、ウィーリィの目つきが僅かに変わった。
(俺だってこんな手段使いたくない。けど、こいつが一番被害が少なく手っ取り早く事態を納める方法なんだ)
 そう思いながら出したのは、うなぎやスッポン、山芋など精のつくいわゆる回春料理だ。
 その料理を半ば無理矢理口に押し込んで食べさせるウィーリィ。そのまま一旦彼女から離れ様子を窺うが、その老婆はなぜか前屈みになり、そのまま何処かへ行ってしまった。
「よし……」
 その様子を見て、ウィーリィは自分の仮説に確信を持つ。
「凄いお婆様達ですねぇ。とは言え、確かに何とかしませんと」
 そしてそう言いながら、その老婆の跡を最後の一人が追っていった。
「もしもし、調味料はいかがでしょうかぁ」
 そう言って調味料を出すのは、夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)。発育過剰な体を体形の目立つ扇情的な服で包み、さらに【豊乳女神の加護・夢鏡】は、先に去っていった一人を追いつつも他の老婆の家も尋ね、調味料を売って回っていた。
「ははあ、なるほど。そういうことかい」
 いかに善意の集団とは言えこの世界でただで料理を振舞うわけがない。この販売のためのデモンストレーションだったのかと、老婆は彼女の行動と存在をそう理解した。むしろ無償提供よりもある程度下心のようなものが見えた方が信頼されやすいのか、老婆たちは色々分かったような顔でるこると世間話をしながら、気に入ったものがあれば買っていく。
 もちろん貨幣経済など完全に崩壊しているこの世界の事、販売の対価は水や食料などの現物だ。だがそれにしても格安すぎる価格で調味料を譲りながら、やがてるこるは問題の老婆の前に立つ。
「いかがでしょうかぁ」
 その老婆、明らかに鼻息が荒い。見ているものは手に持った商品ではなく、ほとんど溢れかけたるこるの胸元。どう考えても女性、それも高齢のものが取るべき態度ではない。
 それをチェックしながらも、るこるはさらに一言添える。
「ここには食料を届けてくれる親切な車がいると聞きますが」
「あ、ああ、そ、それなら……うん、たまに来るんじゃないか? そ、それじゃ……」
 歯切れの悪い返事と共にそそくさと去っていくその老婆。その後ろ姿を見送るるこるの後ろから他の三人が現れ、互いに頷き合うのであった。

「ち、ちくしょう……そろそろ連絡の時間だってのに収まらねぇ……やっぱあの女さらってくりゃ……」
 拠点の外、男言葉でぼやく老婆が一人。その老婆に後ろから声がかかった。
「犯人はお前だ!」
 その脳天に叩きつけられる気を失わせんばかりの一撃。思わず頭を抑え振り向くと、そこにはここに来た四人の旅人……猟兵の姿が。
「な、な、なんの……」
 その状況に、ずれたカツラにも気づかないほどにうろたえるババア……もとい偽ババア。その前で、今回の推理ショーが始まる。
「偽物のババアならうっかり俺を孫と間違えたりしない。必ず違う反応がある筈だ。案の定お前は説教に加わらなかった」
「間者は男。つまりお胸はない。或いは偽物です。ねこさんがお胸がないと言ったあなたにこっそり幻覚をかけてそこから移動して貰いました」
「年配者は性差の区別がつきにくくなるが、ヒゲは伸びるから剃る必要がある。その後がうっすら見えたお前に回春料理を食わせたら、案の定身体の一部も元気になって物陰に逃げていきやがった」
「『一人だけ男性』ということでしたら、『本能』を刺激するのが良いでしょうかと思いまして。あなただけは私の体と態度に男性として反応していただけましたぁ」
 それぞれの行動と論拠を持って間者を確定させた猟兵たち。つまり結論は。
「「「「お前の様なババアがいるか!!」」です!!」」
 完璧なる指摘。最早逃れられぬとカツラを脱ぎ捨て、スカートの中からトマホークを取り出す間者。
「ヒャッハー! ばれちゃしょうがねぇ、お前らから……」
 言い切る間もなく、首を刎ねられ三枚おろしにされ氷漬けになって爆破された間者。集団型オブリビオンですらないレイダーなど猟兵四人にかかれば指先一つも必要ない相手であった。
 ほとんど粉みじんになった死体を一応ウィーリィが隠したところで、突如エンジン音が聞こえてくる。
「ヒャッハー! 定時報告の時間だぜぇ~!」
 トゲトゲだらけの車に乗ったいかにもなモヒカンレイダーたち。恐らく間者とつなぎを取りに来たのだろう。こいつらも始末するか、と猟兵が動こうとしたとき、後ろから別の声が。
「おやおや、またお客さんかね。だがこっちはどうも中に入れちゃいけないようだ」
 何かの気配を察したか、何人かのババアたちがそこに出てきていた。
「ヒャ!? な、なんだこのババアは!? まさかあの報告は冗談じゃなかったってのか!?」
「時々いるんだよねぇ、ここがババアしかいないと聞いて親切に食料まで持って遊びに来てくれる奴が。さーて、今日も有り難く食料を頂くよ!」
「ちょいと、今回は車を潰すんじゃないよ!」
「努力はするよ!」
 そのまま瞬く間に文字通りにたたまれていくレイダーたち。彼らの携帯していた僅かな食料を取り上げ、ババアたちは猟兵に微笑む。
「もしかしてこいつらが来そうだと思って迎え撃ちに出てくれたのかい? 良い子たちだね。改めて水でも飲んでお行き」
 そう言って拠点へ戻っていくババアたち。実際はもっと差し迫った状況だったのだが、それを知らせる必要はない。その事実は、猟兵たちが心に飲み込んでおくべきだろう。
『お前らの様なババアがいるか』、その言葉と共に。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年09月18日


挿絵イラスト