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アポカリプス・ランページ⑧〜Monolith

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●Configuration
 最低限の照明が灯る、ある一室。
 そこには大人一人ほどの大きさはあろう、黒い長方形の『箱』達が立ち並び、チカチカと緑のランプを明滅させている。
 それらはすべて、サーバだった。熱暴走を起こさせないために調整された空調は、ヒトが入ったなら肌寒く感じるだろう。
 このサーバ群に記録されているのは、『マザー』の研究論文だった。そのデータはあまりにも膨大で、沢山の記憶媒体が必要だったのだ。
 ただデータを残すために整然と立ち並ぶサーバ群は、まるで墓標みたいにも見えた。

●Time turn it
「よし、集まったな。んじゃ、今回の依頼について説明すんぞ」
 グリモアベースの片隅で。小夜啼・ルイ(xeno・f18236)が猟兵達が集まったのを確認するなり、口を開く。
「先に内容を言っちまうと、今回はデータの運び出しだ。物理的にな」
 向かう先はカナダとの国境にほど近い巨大拠点。そこでは人々が、比較的平和に共同生活を送っている。
「実はこの場所はマザー・コンピュータに組み込まれた『マザー』の出身地でな。マザーの初期研究論文が残されているんだよ」

 フィールド・オブ・ナインの1人、『マザー』が残したそれは、『時間質量論』という論文だとルイは言う。
 研究論文と言ったら簡潔に情報が満載されているものを思い浮かべるかもしれない。だが、『マザー』の論文はそんなレベルではなかった。
「冊子で収まるレベルだったら楽だったんだけどさ。論文データは滅茶苦茶膨大なんだよ。大人1人くらいある大きさのサーバを、何台も使って記録してんだ」
 サーバを、何台も。説明を聞いていた猟兵達は、ルイが最初に言った意味を悟り始める。
「そ、オレが最初に言ったデータの物理的な運び出しってのは。サーバのことだったってワケ」
 今回の猟兵達の目的は。マザーの研究論文を物理的に運び出すこととなる。

「お前達ならいい感じにうまく運び出せると思ってるぜ。それじゃ、行って来いよ」
 ルイは小さく笑うと、猟兵達を送り出したのだった。


雪月キリカ
 お目にとめていただき有難うございます。はじめまして、もしくはまたお会いしました。雪月です。
 時間が重力の影響を受け遅くなるならば、時間は質量を持っているのは強ち間違いではないのかもしれないですね。実際はちんぷんかんぷんですが。

 今回のシナリオは沢山の記憶媒体を運んでいただく形になります。
 物理的に。しかも重い。
 サーバールームに入ったところから始まります。
 電源切ったらデータ破損とか深いことは考えない方向で。

 プレイングは公開時から受付で導入無し。適当なタイミングサクッと締めます。
 その際はタグに締めと記載します。
 先着順ではありませんが、全採用の確約は出来ません。その点ご了承ください。

 シナリオにはプレイングボーナスがございます。

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 プレイングボーナス……大量の記録媒体を運び出す。

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 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「アポカリプス・ランページ」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
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第1章 日常 『時間質量論を運び出せ』

POW   :    腕力に任せて一気に運ぶ

SPD   :    乗り物や道具を利用する

WIZ   :    より重要そうなデータを優先して運ぶ

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

仇死原・アンナ
アドリブ歓迎

砂塵の世界救う為にも…
……さーばー?…でーたーの運び出し?
この黒い鉄の匣がさーばーで中にでーたーが詰まってる?
で、重い…?でーたーってそんなに重いんだ…え、違う…?
…まぁいいや…とにかくこれを運べばいいのか…さっさとやろう…
どっこいしょっと…

部屋の冷気で風邪にやられぬように
[氷結耐性]を纏いて部屋に入ろう

【巨人力】による[怪力]を発揮して
黒い鉄の匣をがっつり掴んでそのまま持ち上げて外へと運び出そう
鉄の匣を両肩に担いだりして運び出しをさっさと終わらせよう…

…この部屋は寒いね……寒いのは苦手だ…
さっさと温まりたいなぁ……ああ寒い…



●まさか論文データがこんなレベルになるとは思っていなかった
 ――時間は遡る。
「……さーばー? ……でーたーの運び出し? で、重い……?」
 依頼の説明を聞いた仇死原・アンナ(炎獄の執行人あるいは焔の魔女・f09978)は、こてんと首を傾げる。
「でーたーってそんなに重いんだ……。え、違う……?」
 データ自体は重さ的なものは持たない。ただ、それを記録するための機械がかなり重いという。
 オブリビオンの作った論文データは、まぁ常識を超えていると思えばいいと説明されて。アンナは「とりあえずそうなんだ……」と納得した。

●某スパコン1台当たりの重さは約2tらしい
「砂塵の世界救う為にも……」
 サーバルームに足を踏み入れたアンナは、部屋のひんやりとした空気に軽く肩を震わせた。
「……この部屋は寒いね……。寒いのは苦手だ……」
 サーバが熱暴走を起こすのを防ぐために、空調で部屋の温度は低めにされていた。
 事前に部屋は寒いと聞いていたため、氷結耐性を纏い対策を取ってはいたけれども。肌に感じる風のせいか、やはり寒いと感じてしまう。
(「この黒い鉄の匣がさーばーで、中にでーたーが詰まってる?」)
 アンナはサーバに歩み寄ると腕を組み、しげしげと見つめる。少しの間そうしていたが、まぁいいやと腕を解いた。
「……とにかくこれを運べばいいのか……。さっさとやろう……」
 寒いし、仕事は早く終わらせるに越したことはない。アンナは片手でおもむろにサーバをがっつりと掴むと、ひょいと持ち上げ肩に担いだ。
「どっこいしょっと……」
 空いているもう片手でもサーバを持ち上げて。こちらも肩に担ぎ上げてバランスを取る。
 軽々とアンナがサーバを担ぎ上げることが出来るのは、『巨人力』によるもの。この業を使えば、大人くらいのサーバなど軽いものだ。
「さっさと温まりたいなぁ……ああ寒い……」
 作業が終わったら温かいものでも食べようと決めて。アンナはサーバを運び出して行くのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

パルピ・ペルポル
わー、すごい数ねぇ…。
マザーって賢い人だったからコンピュータに組み込まれたのかしらね…。

はさておき。フェアリーでどうやって運ぶのかって?
そういうときはこの壷…っていうかフェアリーランドに収納するだけだけどね。

あ、動かすなら一応電源は落としたほうがいいわよね。ちゃんと終了コマンド入力してシャットダウンしなきゃね。
配線も記録とってときましょ。元に戻せないと困るかもしれないし。
準備できたら箱単位で端から順番にフェアリーランドに収納していきましょ。
地味に広さはあるからいっぱい入れられるわよ。

でもこれ、あとで解析するの大変そうよねぇ。



●配線の写真を撮っておくと後で困らないで済む
「わー、すごい数ねぇ……」
 部屋にずらりと並ぶサーバ群に、パルピ・ペルポル(見た目詐欺が否定できない・f06499)は感嘆の声をあげる。
(「マザーって賢い人だったからコンピュータに組み込まれたのかしらね……」)
 ふと、そんな予想がパルピの頭に浮かんだ。これだけ多量のサーバを使うとなれば、相当に膨大なデータ量の論文なのだろう。
 数多の論文だったならまだしも。ひとつの論文でそんなものを残せるのは、常人には理解できない領域の天才でなければ出来ないことだろう。
「……はさておき」
 その真実は『マザー』のみぞ知る。今はこの部屋のサーバ群を運び出すことに注力しなければと、パルピは考えを切り替える。
 さて、フェアリーでどうやって、大人ほどの大きさもあるサーバ群を運び出すのか。
「そういうときはこの壷……」
 パルピは小さな壺を手に取った。そう、『フェアリーランド』を利用すれば、自身よりも大きなものを回収するのなんて造作も無いことなのだ。
「あ、動かすなら一応電源は落としたほうがいいわよね」
 部屋の中を飛び回り、制御盤と思わしき装置をパルピは見つけると。終了コマンドを入力し、サーバを安全にシャットダウンさせる。
 それと配線の記録も取っておこうと。以前助けた科学者から貰った小型の機械で写真を撮り、後で復元する際に困らないようにする。
 これで準備は完了。あとはサーバを端から順番に収納していくのみだと、パルピはサーバにコツンと壺を当て、どんどん回収していく。

「でもこれ、あとで解析するの大変そうよねぇ」
 壺の中のサーバは1台あたりどれくらいの容量になるのだろう、それに容量から文字数換算するとさらにどれくらいになるのだろうと想像して。パルピはうーんと唸る。
 しかしそれは解析出来る人たちに丸々任せればいいと。空になった部屋をパルピは後にした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

夜刀神・鏡介
オブリビオンの研究なんて碌なもんじゃない……と言いたいが、仮にもフォーミュラのものとなれば無視は出来ないか
これだけの記録媒体を運び出せってのも気が遠くなりそうだが、出来るだけやってみよう

バイク用のリヤカーなどを用意してからベースに向かおう
自身のバイク『八咫烏』にリヤカーを装着してからサーバールームへ

リヤカーに乗せるところまでは自前の力でなんとか持ち運んで、乗せた後はバイクで運搬
スピードを出してサーバーを落として壊す。なんて事はしたくないのであくまで安全運転で

一台取り出したならまた同様に、バイクを使ってサーバールームとひたすら往復していこう
この論文が何かの役に立てばいいんだが、調べるのはまた後か



●電子的墓所
「オブリビオンの研究なんて碌なもんじゃない……。と言いたいが、仮にもフォーミュラのものとなれば無視は出来ないか」
 立ち並ぶ数多のサーバを前にして、夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)は気が遠くなりそうになった。チカチカと明滅する緑のランプは、サーバの生命反応のようにも見える。
 これだけの数の記録媒体を運び出すのは骨が折れそうではあるが、出来るだけやってみようと。鏡介は運び出し作業に取り掛かり始める。

 沢山運び出しが出来るように。鏡介は自身のバイク『八咫烏』にあらかじめリヤカーを装着してから、サーバルームを訪れていた。
 サーバは自身と同じくらいの高さがあったが、幅は50センチくらいだった。これなら1台ずつ外へと運び、複数台をリヤカーに乗せて運搬できるだろうと鏡介は判断する。
(「キャスターがついていたら、もっと運ぶのが楽だっただろう」)
 もしついてたなら、少ない力で楽に移動できただろうと鏡介は思うが、そのような便利なものはついていなかった。
 サーバを抱え上げてみれば、ずっしりとした重さが鏡介の腕にかかった。しかし、運び出せない程ではない。
 落とさぬよう慎重に抱え、部屋の外へと運び出してリヤカーに積みつける。
「この論文が何かの役に立てばいいんだが、調べるのはまた後か」
 リヤカーに乗せた物言わぬサーバを撫で、鏡介は呟いた。
 今は満足に調査できる環境にはないし、運び出しに専念することにしようと。鏡介はバイクに跨りエンジンをかける。
 もちろん移動は安全運転で、だ。スピードを出してサーバを落下させ壊すなんてことはしたくない。
「しかし、あと何回往復することになるのだか」
 一度にリヤカーに積みつけられる数は限られている。それなのにサーバはまだ沢山あるのだ。
 苦笑を浮かべた鏡介は、バイクをゆっくりと発進させるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

真月・真白
アドリブ歓迎

これは、壮観ですね…
サーバーが立ち並ぶ光景に息をのみます
ここに、マザーが残した『過去』があるのですね
彼女が何を考え望んだのか、歴史という過去を記し永遠に繋ぐ事が存在意義である歴史書の僕は、それを知らなければならないと感じます

…とはいえ、力仕事はあまり得意ではなく…少し販促的な使い方になりますので上手く行けばいいのですが
本体を開きUCを発動、再演する過去はUDCアースのある軍隊、その兵站輸送部隊
彼らにとっての『戦い』とはすなわち『運ぶ事』です友軍を支えた物資輸送能力、今こそ見せてもらいましょう



●ゼロとイチの墓標
「これは、壮観ですね……」
 部屋に整然と立ち並ぶサーバ群を前にして、真月・真白(真っ白な頁・f10636)は思わず息をのむ。
 明滅する緑のランプはサーバが生きていて、何かに反応しているように見えなくもなかった。
 だがそう思ってしまうのは錯覚でしかない。実際はただ通電、リンクされていると示しているにしか過ぎないのだから。
(「ここに、マザーが残した『過去』があるのですね」)
 一体『マザー』が何を考え、望んだのか。歴史という『過去』を記し『永遠』につなぐことが存在理由である歴史書の真白は、それを知らなければいけないと感じていた。
 そのためにも、論文データの記録されるこのサーバ群を持ち出さなければいけない。

 ……とはいえ。真白は力仕事があまり得意な方では無かった。
 ましてやサーバは真白の身の丈以上はある。このサーバを1人で全て抱え上げ外に持ち出すなど、真白は出来ると思えなかった。
 どうするかと軽く思惟した真白は、「上手く行けばいいのですが」と零して。本体である白紙の歴史書を開く。
「世界は『過去(じかん)』を棄てる。されど人は、『未来』への道標として『過去(おもい)』を遺し刻む。これを、『歴史』という」
 記された歴史記録を引き換えに、過去を再演する――蒼炎が再演せし戦いの『年代記』、発動。
 蒼炎の影が再演するはUDCアースのとある軍隊、その兵站輸送部隊で。
 輸送部隊にとっての『戦い』とは、すなわち『運ぶこと』だった。
「友軍を支えた物資輸送能力、今こそ見せてもらいましょう」
 兵士たちは黙々と準備を整えると、手際よくサーバを室外へと持ち出し始める。この調子であれば、それ程時間をかけずに部屋のサーバを全て運び出せるだろう。
 その無駄のない動きに真白は、運ぶことに関しては流石プロであるなと感心するのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

小烏・安芸
やー……大荷物やとは聞いとったけど、これちょっとデカすぎん? デジタルのデータにしてまだ嵩張るってことはどんだけ複雑なんやろ。

まぁその辺の解読は専門家に任せるとしてウチはせっせと荷運びや。幸いちょうどええもんも用意してあるしな。
普段はキャバリアのガレージとして使っとるユーベルコードやけど、大きな荷物を運びこむにはぴったりの場所やろ。後はガレージ行きの招待状になっとるお札ごと目的地まで行けばお仕事完了、と。

あ、荷下ろしするときはキャバリア使って慎重に。サーバー単品でチケットから取り出して、地面に着地した衝撃で壊してしもうたら元も子もないからな。やっぱし作業用のアームがあると便利やなー



●其処に在り続けたもの
「やー……大荷物やとは聞いとったけど、これちょっとデカすぎん?」
 いつからその部屋に在り続けていたのか分からない、自身よりも高さのあるサーバを見上げて。小烏・安芸(迷子の迷子のくろいとり・f03050)は軽くため息を吐く。
 デジタルのデータにしてもなお嵩張るということは、一体どれだけ複雑なのか。仮にデータがテキストだとしたら、どれくらいの文章量になってしまうのかと。そんな疑問が浮かんでくる。
 だがデータの解読は専門家に任せるとして。安芸は荷運びに取り掛かることにする。
「幸いちょうどええもんも用意してあるしな」
 二ッと笑う安芸の手には黒塗りの札があった。
 その札は、普段はキャバリアのガレージ兼スクラップヤードとして利用している隠れ家への招待状。そこならば大きな荷物を運び込むのに、ぴったりの場所だった。
 安芸が札をサーバに触れさせれば。抱えなくともあっと言う間に札の中に吸い込まれ、ガレージに一時保管されてゆく。
 そうして次々にサーバを札に触れさせていけば、部屋にあったサーバはそれほど時間がかからぬ内に残らず回収された。
「これにて一旦お仕事完了、と」
 後は目的地まで行けば良いだけだ。安芸は札をひらりと靡かせ、部屋を出ていく。

 着いた先では『第駆』を用いて1台ずつ、慎重に荷下ろしを行う安芸の姿があった。
 ヒトが荷下ろしをしたならば次第に疲労がたまり、取り落とし壊してしまうリスクが上がってゆくけれども。キャバリアであれば、疲れることなく荷下ろしをすることが出来る。
「やっぱし作業用のアームがあると便利やなー」
 第駆に装着された『荷之腕』に軽々つかまれるサーバを見て、安芸は笑う。便利なものは積極的に使うべきだなと、改めて思うのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

待鳥・鎬
サーバーはそりゃ重いって……
最早、研究データそのものをなんじゃないかと思ってしまうよ
実験結果も計算過程もエビデンスも全部突っ込んだって、普通はこうならないけど

【メカニック】の経験を活かして、各サーバーの配線の確認や記録をしたり、緩衝材で簡単に保護したり
ちゃちゃっと【早業】で下準備しちゃおう

準備ができたら、UCの媒介「薬瓶」で軽く触れて
箱庭内の空き地に敷き詰めておいた茣蓙の上に、どんどん送り込む!
中でサポートしてくれていた杞柳がひょっこり箱庭から出てきたら、いっぱいまで詰め込んだ合図
よし、外へ運び出そうか!

一回で足りなければ、何往復でもするよ
実は戦闘よりこういう裏方仕事の方が性に合ってるしね



●箱を箱庭に
「サーバーはそりゃ重いって……」
 立ち並ぶ黒い箱たちは、最早研究データそのものなのではないかと待鳥・鎬(草径の探究者・f25865)は思ってしまう。
 実験結果も計算過程もエビデンスも全部突っ込んだって、普通ならこうはならない。
 だが今はこの不動の箱たちを運び出してしまおうと。鎬は作業に取り掛かり始めた。

 鎬はメカニックの経験を活かしてサーバに繋がる配線を確認し、どの線がどの口に対応しているのか、その記録をしっかりと取る。
 後でその記録をもとに、環境を再現するためだ。もし間違えて再現してしまったら、場合によってはデータ破損に繋がりかねない。
 記録を取り終わったなら。鎬はちゃちゃっと手際よく、サーバ本体を緩衝材で簡単に保護してゆく。
「……準備完了っと」
 全てのサーバを緩衝材で保護し終えた鎬の手には、小さな硝子の薬瓶が握られていた。
 その薬瓶をコツとサーバに軽く触れさせたなら。サーバはあっと言う間に薬瓶の中に吸い込まれる。
 薬瓶の中は、薬草畑に囲まれた静かな療養所となっていた。その空き地にはあらかじめ茣蓙が敷き詰められており、その上にサーバは送り込まれる。
 中では杞柳がサポートに回っていて、茣蓙の上がサーバで一杯になったら薬瓶から顔を出す手筈となっている。
 杞柳が知らせてくれるまで、どんどん薬瓶の中にサーバを送り込む鎬。そうしているうちにひょっこりと、杞柳が薬瓶から顔を出した。
 どうやら最後の1台を送り込んだところで丁度、満杯になったようだ。杞柳はしゅるんと出て来て、鎬の腕に頭をこすり付けた。
「よし、外へ運び出そうか!」
 薬瓶をしまうと、鎬は杞柳と共にサーバルームから出ていく。
 ――実のところ。戦闘よりもこのような裏方仕事の方が、鎬の性に合っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年09月17日


挿絵イラスト