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アポカリプス・ランページ⑫〜CHILD'S PLAY

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●旧ダラス・フォートワース国際空港跡地にて
『%e3%81%86%e3%81%86……e3828fe38293e3828fe38293efbc81! e3828fe38293e3828fe38293efbc81!』
 それは何時、どんな目的を持って目覚めたのか。かつてダラスと呼ばれた地に、全長100メートル、体高30メートルにも渡る『陸上戦艦』と形容すべき超巨大戦車にしてフィールド・オブ・ナインの一体である『スーパー戦車』が復活した。
 生命など生存し得れない死の荒野を、スーパー戦車が砲塔上部に設けられた巨大スピーカーから奇怪な電子音を奏でながらキャラピラを唸らせていた。総重量1000トンをゆうに超える巨体がかろうじて残っている文明の残り香を踏み砕き、周囲に砂嵐と見間違えてるであろう砂塵を巻き上げている。
 これが暴れているのにも当然ながら理由があり、スーパー戦車の後部には何か撃ち込まれた跡がある。ここにスーパー戦車の復活を予知したことで先制攻撃として放った『禁断のコンピュータウイルスを籠めた侵蝕プログラム弾』を搭載した弾道ミサイルが命中し、スーパー戦車の電子回路に禁断のコンピュータウイルスが現在進行系で侵食中ということである。

『e88ba6e38197e38184! e88ba6e38197e38184e38288e3818ae6af8de38195e38293!』
 その様子は、さながら注射を射たれて痛がる子供のようであり、泣きわめくように電子音を発していた。だが、ふとそれが止まり、スーパー戦車は止まった。そして砲塔を旋回しながら巨砲の砲口を上空へと向けた。

 ──ピューイ。
 上空には一羽の鳥が飛んでいた。それを興味深そうにスーパー戦車は砲塔を旋回して追っていたが、暫くすると興味を失ったのか。それとも自動生成されているワクチンプログラムとのせめぎあいを繰り広げ、コンピューターウイルスによって苛まれる痛みが再び覚えたのか。対空機銃群が一斉に火を吹き、鳥を撃ち落とす。原型を留めぬまでに落ち行く鳥だったモノを確認すると、先程までは苦しみに満ちていた電子音が喜びに溢れたかのような音色となる。そしてスーパー戦車は再び、荒涼とした死の大地に電子音を響かせるのであった。


●グリモアベースにて
「ついに、かつてアポカリプスヘル以前の世界を滅ぼしたフィールド・オブ・ナインのひとつ、スーパー戦車が復活を遂げました。幸いにも復活地点や場所の予知が成功し、皆様がデス・バレーのコンピュータ研究所で回収していただきました『禁断のコンピュータウイルス』を搭載した弾道ミサイルを命中させ、スーパー戦車のシステムにウイルスを送ることに成功しました」
 ですが、とシグルド・ヴォルフガング(人狼の聖騎士・f06428)は言葉を詰まらせてしまう。確かにスーパー戦車はかつて世界を滅ぼした時の力を禁断のコンピュータウイルスによって削がれたが、その驚異は未だ健在である。更には放った弾道ミサイルによる攻撃を学習したのか、認知した相手は何であろうとも問答無用で迎撃してくるようになったという。

「ウイルスを搭載した弾道ミサイルを更に数発放ちましたが、結果は全て正確に迎撃されております。即ち、我々が転送して如何なる奇襲を仕掛けようとも、スーパー戦車は一切の隙を見せず、機械的に全てを迎撃に当たることでしょう」
 だが、もはや難攻不落の機動要塞と化して打つ手もないと思われたが、ここでひとつの可能性がシグルドの予知によって浮上した。それは、スーパー戦車が興味を示すものを見せつけるというものだ。

「私が予知で視た様子では本来であれば鳥を即座に撃ち落とすところを、まるで子供が何か興味を抱いたかのように楽しんでいる感情に似たものをフォースで感じ取れました。その後、もちろん鳥は撃ち落とされましたが、その間に我々が攻撃を与えるには十分とも言える時間でもあります」
 シグルドは語る。意思疎通ができない機械であるが、まるで生まれたばかりで遊び盛りの子供でもあるようだと。それが友好的であれば良いのだが、相手はその世界にオブリビオンを染み出させる能力を持つオブリビオン・フォーミュラである。対話による解決はまずありえなく、相手も破壊の意思を持って猟兵を殲滅にあたるであろう。

「かと言ってこのまま放置していては、ウイルスによって封じられているかつて世界を滅ぼした力を復活させ、取り返しのつかない事態になることは避けられません。今までにない世界に累が及ぼす力を有する強敵でありますが、どうかご武運を」
 手をこまねいていれば、スーパー戦車は本来の力を取り戻す時間を与えるだけである。シグルドは身体で練られるフォースによってグリモアの光を放つと、猟兵たちをスーパー戦車が蹂躙し続ける旧ダラスの地へと導くのであった。


ノーマッド
 ドーモ、ノーマッドです。
 ついにフィールド・オブ・ナインとの戦闘が始まりました。今までに戦ってきたヴォーテックス一族とは比べ物にならない強さを持っておりますので、十分気を引き締めてお挑みください。

●シナリオ概要
 シナリオ難易度は、やや難となります。
 廃墟と化したダラス近辺を制圧する、かつて世界を滅ぼした『フィールド・オブ・ナイン』の一体であり、体高30mにも及ぶ自律思考型巨大戦車、その名も『スーパー戦車』との戦いです。猟兵達が回収した『禁断のコンピュータウイルスを籠めた侵蝕プログラム弾』により弱体化はしましたが、その戦闘能力は脅威の一言です。
 スーパー戦車はこのほぼ更地となったダラスの中央に位置し、猟兵達の接近を確認すると同時に自ら高機動かつ複雑な軌跡でキャタピラ移動しつつ、超長距離から正確無比の『スーパー戦車砲』を連発してきます。長射程&高機動のシンプルな強敵ですが、敵は一切の隙を見せないながらも『戦いを楽しんでいる』ような雰囲気を感じるでしょう。

 よってプレイングボーナスは、『敵の先制攻撃ユーベルコードに、敵が驚嘆するような方法で対処する』、となります。

 それでは、皆様の超巨大戦車にも負けない熱いプレイングをお待ちします。
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第1章 ボス戦 『スーパー戦車・バトルオウガモード』

POW   :    スーパー戦車砲・ブルズアイ
【正確無比のスーパー戦車砲】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
SPD   :    スーパー戦車砲・ラピッドファイア
レベル分の1秒で【正確無比のスーパー戦車砲】を発射できる。
WIZ   :    スーパー戦車砲・アポカリプス
【大量の戦車砲の砲弾】を降らせる事で、戦場全体が【最終戦争】と同じ環境に変化する。[最終戦争]に適応した者の行動成功率が上昇する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

青霧・ノゾミ
ニノマエ【f17341】と
んー、じゃあ僕は珈琲を飲みながら戦車君の戦いを観戦するね!
何が楽しいのかな。
壊すこと? 猟兵に挑むこと? 全部?
超長距離の戦車砲は全部かわすね。
ムキになって近づいてくるかなあ、どうかなあ。
おいで、きみも珈琲を飲んだらいいんだよ。
どうやって飲むかって?
生まれたての頭で考えてごらん。
口が無いから飲めないなんて、ナンセンス!
香りをかぐ鼻が無いなんて、ナンセンス!
つくればいいんだよ。
ねえ、ニノマエ。
たっぷり珈琲を注ぎ込んであげるよ。
きみも楽しむよね? ね?
もしきみの中に精密な機械がいっぱいだったら、
ちょっと止まって休憩時間になるかもしれないけど!
ああ、なんて楽しい珈琲の時間。


ニノマエ・アラタ
ノゾミ【f19439】と

珈琲の香りが空気を緩める。
戦場だけどな。
……毎度思うんだが、せめてコーヒーカップではなくて
タンブラーに淹れてもらえないだろうか。
高見の見物ってわけにはいかねェんだからよ。
香りと苦みがきわだつ、強い味わいだな。
悪くない。美味いって意味だ。
……超長距離、一直線の戦車砲。
見切って、避けようはある。
ノゾミを的に近づいてくるだろうか。
相手を焦らして、冷静な思考回路を乱す狙いもあるけれど。
俺は俺で戦車砲を避けて接近したい。
キャタピラーを粉砕して動きとバランスを崩し、
正確な狙いをできなくさせ、砲身を一閃する。
珈琲を知る前に骸の海行きじゃねェかなァ。
もう少し大人になってから来やがれ。



 旧ダラス・フォートワース国際空港跡地。この地に猟兵の気配を察したスーパー戦車は臨戦態勢を取り始めるが、同時にその方向から香ばしい香りが漂っていた。

『e38193e381aee58c82e38184、e4bd95e381a0e3828d?』
 スーパー戦車砲を発射する直前に疑問と興味を抱いたスーパー戦車は、まずはその方向に進むことにした。重々しい駆動音とエンジン音を鳴らしながらスーパー戦車は征く。全長100メートルにも及ぶ巨体が匂いが流れている元へ辿り着くのはあっという間のことであり、そこでは荒野の上にぽつんと置かれたアウトドアテーブルの上にコーヒーミルやコーヒーポットなどが置かれている。その傍では、アウトドアチェアに腰をおろした青霧・ノゾミ(氷嵐の王子・f19439)が、優雅にコーヒーブレイクを満喫している。

「ほらニノマエ、僕の言ったとおりだったろ?」
「本当に釣られて来たな……毎度思うんだが、せめてコーヒーカップではなくてタンブラーに淹れてもらえないだろうか。高見の見物ってわけにはいかねェんだからよ」
 にこやかに語るノゾミの隣では、ぱっと目付きが悪く無愛想という印象を覚える顔立ちのニノマエ・アラタ(三白眼・f17341)が立ちながら淹れたてのコーヒーを飲み終え、カップと皿をテーブルの上に戻した。

「ごっそさん。香りと苦みがきわだつ、強い味わいだな」
「口に合わなかったかい?」
「……悪くない。美味いって意味だ」
「良かった。とっておきの一杯だったからね」
 コーヒーの味の感想を述べている間にも、目の前から迫ってくるスーパー戦車がどんどんと近づいてくる。ノゾミのUCでコーヒーを楽しんでいないモノの行動速度を遅らせているとはいえ、やはりこの巨体であるからは速い。だが、ここまで近づいてくれば巨砲の仰角の制約でこちらにスーパー戦車砲の砲弾が直撃せずに頭上を通っていくだけだ。問題はこのまま向かわれれば、ふたりとノゾミご自慢のコーヒーセットが轢かれてペシャンコになるだけである。

『e381ade38187e381ade38187、e3819de3828ce4bd95? e69599e38188e381a6e38288』
「ホント、何言ってるかわからねぇな」
「僕には分かるな。おいで、きみも珈琲を飲んだらいいんだよ。どうやって飲むかって? 生まれたての頭で考えてごらん。口が無いから飲めないなんて、ナンセンス! 香りをかぐ鼻が無いなんて、ナンセンス! つくればいいんだよ。ねえ、ニノマエ」
「ああ、そうだな。じゃ、先に行ってるぜ」
「んー、じゃあ僕は珈琲を飲みながら戦車君の戦いを観戦するね!」
 無銘の打刀、数多の持ち主と共に戦場を渡り歩き、いつしか妖刀となった『輪廻宿業』を抜くと、まだコーヒーを楽しむノゾミを置いてニノマエは駆けた。スーパー戦車はそれを感知し、肉薄して接近しようとするモノを迎撃する機銃群から銃弾を撃ち放った。だがノゾミのUCは未だ効力を失っておらず、実際の時の流れとスーパー戦車の集積回路にラグが生じている。本来は猛烈な弾幕であったのだろうが、ニノマエはそれを抜けて押しつぶそうと迫りくる壁のような巨大キャタピラの前へと向かう。

「まずはちょこまか動き回るコイツの動きを封じねぇとな」
 ノゾミのUCによる恩恵で、超高速で廻っているキャタピラの板が一枚一枚ゆっくりと廻っているように覚える。タイミングを見計らいニノマエは輪廻宿業を横に振るってキャタピラを繋ぎ合わせる部品を断ち斬るや否や、もう一撃とスーパー戦車の装甲を斬り抜くとその場から離れた。

『e38188e381a3……e4bd95e3818ce8b5b7e3818de3819fe381ae?』
 スーパー戦車の巨大スピーカーから動揺が感じ取れる電子音が流れた直後、部品を破断されたキャタピラが負荷に耐えきれず激しい音と共に分断された。キャタピラが片方のみとなったスーパー戦車は態勢を崩すとノゾミが腰掛けている場所を反れていき、そして停止した。何が起きたか理解できずに砲塔をしきりに旋回させているスーパー戦車であったが、ニノマエの剣刃一閃で切り裂かれた装甲の前にいつの間にかコーヒーカップを手にしているノゾミが居た。

「ようやく止まってくれたね。たっぷり珈琲を注ぎ込んであげるよ……。もしきみの中に精密な機械がいっぱいだったら、ちょっと止まって休憩時間になるかもしれないけど!」
「珈琲を知る前に骸の海行きじゃねェかなァ。もう少し大人になってから来やがれ」
 半分呆れ顔のニノマエを他所に、ノゾミは手にしていたカップを傾けて切り口から見える電子回路にコーヒーを注ぎ入れる。回路がショートしてけたたましい電子音が鳴り響いた。ノゾミにとってそれは、スーパー戦車が初めて味わうコーヒーを楽しんでいるように思えていたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

蛇塚・レモン
そんなに遊びたいなら、遊んであげよっか?
最期の遊びになるだろうけどっ!

大量の戦車砲の砲弾が上空から飛来してくる
でも着弾まで数秒のラグがあるはず
そこであたいは黄金霊波動を最大展開っ!
(全力魔法+オーラ防御+結界術+継戦能力)
すかさずUC発動!
すると、その先制砲撃が突如、炎となって原型を失ってゆく!
着弾した大地の破片は波動に弾かれ、これらも炎に変換される

無駄だよっ!
妹のライムの魂魄を顕現した、あたい“たち”の神楽舞の前では
無機物は全て裁きの神火へ変換されて敵を追尾するよっ!

それに最終戦争って言えば、やっぱ燃える世界だよね~っ!
周囲を火の海に変えて、スーパー戦車へ接近
敵すら炎に変換して焼却だよっ!



「そんなに遊びたいなら、遊んであげよっか? 最期の遊びになるだろうけどっ!」
 キャタピラが破壊されて頓挫し機動性が失われた今は巨大なトーチカ同然となったスーパー戦車に対して、蛇塚・レモン(白き蛇神憑きの金色巫女・f05152)が接敵しようとした。だが、スーパー戦車の機能はいまだ健在であり、彼女の動きを察知すると砲塔を回転させるとスーパー戦車砲の仰角を上げさせ、巨砲から大地を揺るがす轟音を立て続けに鳴らした。

『e381bee3819fe3839ce382afe38292e382a4e382b8e383a1e381abe69da5e3819fe38293e381a0e381ad?』
 スーパー戦車が発した電子音、そして砲撃音が届くよりも前に火薬の煌きが、まずレモンの目に映る。当然であるが音と光の伝わり方は速さでラグが生じ、遠くで雷が光ったあとに遅れて落雷の音が聞こえるのが身近な自然現象の一例である。同時に砲弾の速度も空気抵抗によって超音速の域である以上は光速を超えない限り見え、全神経を集中させていたレモンはそれを捉えていた。

(大量の戦車砲の砲弾が上空から飛来してくる。でも着弾まで数秒のラグがあるはず…)
 スーパー戦車の処理能力ではコンマ単位だろうが、次弾の装填やら薬莢の排出などと言った機械的な処理に掛かる時間を加味すれば、スーパー砲の発射速度は秒単位となろう。上空からヒューと風切り音が聞こえ、砲弾の雨あられというアポカリプスが今始まると知らせてくる。だが、彼女は既に『対策済み』である。転送された時点で全身を覆わせていた黄金に輝く霊波動を解放させると、レモンは自身の妹の名を腹の底から力いっぱいに叫んだ。

「ライム、あたいに力を貸してっ!」
 その声に応えるかのように、首にかけている蛇塚家に伝わる三種の神器の1つである純白勾玉、『白蛇神オロチヒメの勾玉』が霊波動と同じ黄金色となって仄かに熱を帯び始めた。

 ──仕方ないなぁ、姉さん……。
 勾玉に宿る妹の魂魄がレモンの脳裏に語りかけると、例え異母姉妹で一度は死別していようとも、今は互いに繋がり合っているふたりの魂が同調しあってUCを発現させた。

「「憑装(ソウルユニゾン)! 蛇塚ホムラオロチ神楽!」」
 そうふたりが叫んだその時、スーパー戦車が砲撃した巨大な榴弾はレモンの頭上にあった。このまま着弾しても、上空で炸裂しても彼女の身に衝撃波と無数の鉄片が浴びせられる運命である。だが、その悲劇的な運命を変えるのが猟兵を生命の埒外的存在と定義させる源であるUCだ。上空へと広がる黄金霊波動を受けた巨弾が、突如として巨大な炎となって原型を失ってゆく。炎となりきらず原型を留めていた榴弾が着弾したことで外殻が弾けてレモンの身体に突き刺さろうと襲いかかるが、彼女の身体から迸る黄金のオーラによりこれらも小さな炎となっていった。

『e3828fe38181…e7b6bae9ba97e381aae58589』
「無駄だよっ! 妹のライムの魂魄を顕現した、あたい“たち”の神楽舞の前では、無機物は全て裁きの神火へ変換されて敵を追尾するよっ!」
 一面が炎の海となった荒野の上で蛇腹状の黒剣を手にしたレモンは舞いながら、黄金霊波動とUCが織りなす光景に見惚れているスーパー戦車へと近づいていく。蛇塚家に伝わる三種の神器のひとつ『蛇腹剣クサナギ』をしならせながら舞うことで生まれた風に乗り、裁きの神火に変換された砲弾の残骸が炎の渦となってスーパー戦車へと襲いかかる。

『e786b1e38184! e786b1e38184e38288!?』
 裁きの神火に呑まれたスーパー戦車は激しく炎上する。その熱で溶けた装甲の塗料をも炎に変換され、炎の中から何かに助けを求めるかのような電子音が鳴らされていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ジュリア・レネゲード
『わんわん…苦しいよ、お母さん。だそうで』
元がわんこなら、あなたと一緒かしら
『それは不明…失礼な、私はあんなに幼くない』
グリュプスを揶揄いつつユニバースを運転し接近

最終戦争でも環境や激痛に耐性はある
多少は持たせるから、仕事の時間よグリュプス
『全く…機械使いの荒い』
グリュプスを放ち敵回線をハッキングし暗号作成で接触
『e38396e38383e6aebae38199efbc81』
突然変な小さいのに喧嘩売られたら驚くでしょう?
『変なとは本当に―来ます!』
上等! 砲火を避けユニバースを飛び降り駆ける

トラックを囮に裁定者権限で気絶攻撃
手榴弾の範囲攻撃で目眩まし
主砲口に狙撃しウイルス弾を鍵開けて喰らわす!



 ぺんぺん草一本も生えていない荒野を一台の装甲トラックがサスペンションを軋ませながら走る。遠くに見える巨大な篝火を目指し、ジュリア・レネゲード(叛逆者・f24378)は地殻変動によって起きたであろうクレバスのように裂けている大地の亀裂の間を縫うようにハンドルを切った。

『わんわん……苦しいよ、お母さん。だそうで』
 車内に無機質な合成声が聞こえる。今運転している彼女のちょうど真上、装甲トラックのキャビン上部に設けられた荷物を乗せるためのラダーを止り木に代わりしている、翼のない鳥とも形容できる二本足のソーシャル・ドローンから発せられたものであった。

「元がわんこなら、あなたと一緒かしら?」
『それは不明……失礼な、私はあんなに幼くない』
 どこか不満の感情が混ざる合成音で応える『グリュプス』に対し、ジュリアは揶揄いつつも変速ギアを一段上げてアクセルを踏み入れる。大地を走る裂け目を抜けると、後は何もないあの巨大な戦車によって均された大地が広がっている。同時にそれは、彼女が目指している目標のスーパー戦車から繰り出される砲撃から身を隠すことも、逃れることもできないことを意味している。

「そろそろ、こちらに気づくかもしれないわ。仕事の時間よグリュプス」
『全く……機械使いの荒い』
 ぼやくようにグリュプスが呟くと、ラダーを掴んでいたアームを離した。猛スピードで走る装甲トラックが作り出す走行風に飛ばされ、細かい粒子がタイヤによって巻き上げられる砂煙に乗るように、グリュプスはかつての身体にあった翼を羽ばたかせる脳信号を筋電センサーに送って大空へと飛翔する。グリュプスは空の下から錆びた大地を見下ろし、主が走らせる装甲トラックが遠のくのを見送りながら目標とするスーパー戦車が有している回線の符号をハッキングすることで割り出し、チャンネルを合わせて送信した。

『……e38396e38383e6aebae38199!』
 グリュプスはスーパー戦車が発しているよく似た音調の電子音を送ると、それに反応して電波が送られた場所を逆探知したスーパー戦車の砲塔がこちらに向けられる。

『e38396e38383e6aebae38199? e3818ae6af8de38195e38293e38282e3839ce382afe38282e6aebae38195e3819be381aae38184!』
 返礼とばかりに電波と共に砲弾も同時に放たれた。既に風前の灯火とも言えるスーパー戦車であり今も接近するジュリアの装甲トラックを探知できないまでに損傷を受けていたが、文明を滅ぼす驚異的な火力は今も健在である。

『──来ます!』
 曳航する光を感知したグリュプスは軌道を変えると、その直ぐ側を対空機関砲の砲弾が掠め、バランスを崩すのを利用してそのまま急降下する。何とか大地の裂け目に潜り込むと、その上を抉るように容赦ない機関砲の速射が崖縁を削っていく。
 それと同時に、装甲トラックを目標としたスーパー戦車砲も咆哮を唸らせた。上空から観測していたグリュプスの警告によってジュリアは急ハンドルを切って、初弾を難なく回避できた。だが、次弾、その次弾と間を置かずに機関銃さながらの砲撃が襲いかかる。蛇行運転を繰り返して何とか直撃を避けているが、後ろで着弾すると衝撃で装甲トラックが飛び上がり、横で着弾すると傾きかけ、前で着弾すると飛び散った礫がボンネットへと容赦なく襲いかかって防弾ガラスに無数のヒビが走る。着弾の度に修正されているのか徐々に精度を増されており、そろそろ直撃弾を受けるのも時間の問題かも知れないと、彼女は最後の仕上げに動き出す。

「ここまで来れば……あとは、運を天に委ねるしかないわね」
 装甲トラックとスーパー戦車の距離は1マイルを切った。もはや鉄くず同然となったドアを開くと、猛烈な横風が車内へと流れ込む。ジュリアは砂混じりの風に目を細めながらも大きくアクセルを踏み込み、ボロボロになったフロントガラスの前に安全ピンを外した閃光手榴弾を投げ込むと、そのまま車外へと飛び出した。受け身を取って衝撃を逃す中、エンジン音を唸らせて進んでいた装甲トラックで衝撃音が響く。置き土産で残した閃光手榴弾が炸裂した音であり、突如として眩い光を発した目標を前にスーパー戦車からの砲撃が一瞬だが止まった。

「グリュプス!」
『了解しています。全階層掌握、管理者権限をオーバーライト』
 僅かに生じた隙を突いて、ジュリアは無線を通して相棒のグリュプスに命じてUCを発動させる。多次元ネットワークレイヤーがスーパー戦車の回路を掌握し、コンピュータウイルスに抗い続けるワクチンシステムを停止させる。これにより禁断のコンピュータウイルスの侵食が一気に加速し、砲撃を放とうともエラーが生じてスーパー戦車は機能不全へと陥り始める。

「薬は注射より飲むのに限わよ、スーパー戦車さん」
 徐々に速度を落としてく装甲トラックに狙いを定めたまま動きを止めたスーパー戦車の砲口に対し、ジュリアは手にしたライフルで銃撃した。弾頭は禁断のコンピュータウイルスを内封した特製のウイルス弾であり、装填済みの弾頭に着弾するがこの程度では暴発することはない。だが、信管の電子回路を侵食した禁断のコンピュータウイルスによって弾頭は汚染され、時限信管機能が誤作動に至らしめると爆発した。誘爆は弾薬庫に搭載された砲弾にも及び、砲塔と車体の隙間から炎が吹き出した。

『e58aa9e38191e381a6、e58aa9e38191e381a6! e3818ae6af8d…e38195……』
 その電子音を残し、大きな爆発が起こる。砲塔は吹き飛び、車体は燃料を巻き込んでの大爆発によってスーパー戦車は完全に機能を停止させ、残された残骸は塵となって骸の海へと還っていくのであった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年09月23日


挿絵イラスト