アポカリプス・ランページ⑰ 真正面から、全てをぶつける(作者 川内主将
2


#アポカリプスヘル  #アポカリプス・ランページ  #フィールド・オブ・ナイン  #プレジデント  #アポカリプス・ランページ⑰ 


タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#アポカリプスヘル
🔒
#アポカリプス・ランページ
🔒
#フィールド・オブ・ナイン
🔒
#プレジデント
🔒
#アポカリプス・ランページ⑰


0



 その時、アポカリプスヘル――ワシントンD.C.においては一人の男が佇んでいるなどしていた。街並みが完全に復興されていながら、あまりにも閑散としていたもので。
「君たちが私を見ていることは想像がつく」
 男は、大統領は『理解して』いた。猟兵たちが視ていることを。その理由は彼が現在張っている、強力な“波”にあった。その波こそは、アポカリプスヘルのオブリビオン全てと繋がる一種のネットワーク。
 そして、猟兵たちの真の姿さえも呼び起こしてしまえる闘争の波。
「…私はね、待っているのだよ。君たちがそれに目覚めるのを。例え怪物であったとしても、ただの人だったとしても、君たちはいずれ辿ることになる。その道を」
 故に男は識っていた。猟兵たちが新たに目覚め得る、力の名前を。
「さあ、私のもとに来い。目覚めさせてあげよう、オーバーロードを」
 オーバーロード。それは、超克の未来。ワシントン・モニュメントの下で、プレジデントは待つ。

 グリモアベースの片隅。椅子が蹴飛ばされる音。
「思い上がるなよ過去の分際で!!」
 初めて聞くその名前。その夢。その未来。
 予兆を通して猟兵たちを知覚された。そして、あの大統領は猟兵たちがさらに強くなる鍵を握っている。その二つを認識した糸井・真海なる青年。先まで戦争の空気に過去の骸が壊れる予感を楽しく感じていたはずの『まみ』が、その鳴りを潜めるまでの激しい怒り。
「どうやら俺たちが同類だと言いたいらしいな…!? あんなものと一緒にされるなど、考えただけで反吐が出る…!!」
 響く憤怒に駆け付ける猟兵たち。暫くして真海が向けた眼差しは――過去の骸への、今まで以上の殺意。勧善懲悪を宿した、これまでで最も鋭く透き通る蒼の瞳。
「…お前たち。プレジデントを殺せ」
 骸の海に還せという言い回しではなく、直球な言葉。自分らしくない言葉で、自分らしい明確な意思を見せる青年。現在を脅かす過去を絶対に許さない心。戦争においてフィールド・オブ・ナインを倒すことは重要。しかし、それ以上に最も男が許せないのは。
「全人類オブリビオン化を掲げるあの男の程度はとうに知れた。お前たちがあれを終わらせる、そして次に向かうだけだ!」
 対象外、などという言葉で自分たちと過去の骸が一緒くたにされること。
 なればこそ、と真海が示す選択肢は一つ。猟兵たちの眼前に突き出された銀色に光る右腕、握られた拳が全てのヒント。
 真の姿を曝け出し、存分にその拳で戦う。それが『あれ』を止めるに相応しい。
「その全力、存分に振るえ――あの男を越えろ、絶対にだ!!」
 轟く叫びと共に、転移が始まろうとしていた。


川内主将
 どうもお世話になっております、川内主将です。初めましての方は初めまして。
 今回は⑰においてプレジデントと戦う「戦争シナリオ」になっております。
 全1章構成でプレイングボーナスがあります。真の姿に変身し、ボクシングで戦うことによってプレイングボーナスを受けることが出来ます。さらに今回はプレジデントがこの世界のオブリビオン全てとソーシャル・ネットワークを構築しており、その精神波の影響で🔴を必要としません。
 例によって最速執筆を出来る限り目指して頑張る所存です。待ってろよ大統領!
 皆様今回も熱いプレイングをどうぞよろしくお願いいたします…。
9




第1章 ボス戦 『プレジデント・ザ・ショウダウン』

POW ●アイ・アム・プレジデント
自身の【大統領魂】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
SPD ●プレジデント・ナックル
【竜巻をも引き起こす鋼鉄の両拳】を巨大化し、自身からレベルm半径内の敵全員を攻撃する。敵味方の区別をしないなら3回攻撃できる。
WIZ ●アポカリプス・ヘブン
【対象を天高く吹き飛ばすアッパーカット】を放ち、レベルm半径内の指定した対象全てを「対象の棲家」に転移する。転移を拒否するとダメージ。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


片桐・公明
【POW】
テーピングした両手を開閉して具合を確かめてからリングIN
真の姿を開放し黒コートを纏う
言葉を交わす代わりに殺気を向ける

基本的に相手に合わせてボクシングスタイルで戦う
UCによるステッピングの回避とジャブによる牽制で
防御主体の戦い方をする

相手の大技に合わせてUCを乗せた渾身の右ストレートを打ち込み
怯んだところを一気にラッシュで詰めていく

最後は左右のフックのコンビネーションで決める
顎を左から打ち抜いた後右側頭部を叩き、脳震盪を誘う
(絡み、アドリブ歓迎です。)


夜刀神・鏡介
俺の得物はあくまで刀であって、格闘は一応扱えるって程度なんだが……
まあ、こいつに刀で切りかかっても折られそうな気はするし、精々殴り合いに付き合うとするか

精神統一して、真の姿に変身。刀は抜かずに徒手空拳で構える
敢えて防御は控えめに、最低限を見切り、打撃の威力を受け流しながら隙を見つけて無の型【赤手】による一撃を叩き込む

狙いは鋼鉄の腕。真正面から素手で殴って破壊するには少々部が悪いが、弱点となる箇所が必ずある筈
攻撃をしながら弱点を探して、そこを殴って壊す
腕を潰した所で完全に無力化できる訳じゃないにせよ、戦力は幾分落とせる筈

さあ、まだまだこれからだ。もうちょっと、殴り合いに付き合ってもらおうか


 さて、悩める男と確かめる女がいる。
「俺の得物はあくまで刀であって、格闘は一応扱えるって程度なんだが……」
 選ばれし者、夜刀神・鏡介。己の道を探してやまない男。このワシントンD.C.に転移を果たした今、目の前には機械の腕で以て手を振る大統領の姿。
「そう悩むことは無いさ。私も証明したいからね、私が必要とされていることを」
 そう言いながら笑う大統領であった。
 隣にはもう一人の猟兵、テーピングを行った両手を確かに開き閉じる人間。
 片桐・公明は灼滅者という夢を抱きながら、真の姿を解き放ちて黒のコートに袖を通し、冷酷な眼差しをプレジデントに向けていたのである。言葉を発さぬその瞳の温度たるや、彼女の父の、闇に堕ちる様を表すが如く。
 なれば、選択肢は一つしかあるまいと己が心を落ち着ける鏡介。さあ変われ、白髪の剣豪へ。されど刀は抜かず、己の拳のみにて心を語れ。
「まあ、精々殴り合いに付き合うとするか。刀を折られるのは嫌なんでね」
 二人が大統領の前に並んて構えれば、大統領もその鋼鉄の拳を振るわんとするのだ。目覚めさせるために。始まる熱きボクシング。
「では見せていただこう、君たちの魂を」
 さて、振るわれた拳はまず公明に飛び空を切る。空気さえ揺らいでも可笑しくないその拳を間一髪で避けることが出来るのは諸葛流舞闘術の技術あってこそ。今やスタイルの比重はボクシングに傾き、美しきステッピングと鋭きジャブの組み合わせが大統領の動きを良く惑わす。これぞ母より受け継がれし、強さと美しさの両立。
 防御が堅いならばと、瞬時に狙いを鏡介に移す大統領。さても防御と攻撃は対比の上に、公明が守りならば鏡介は攻め。飛んで来る拳の内自分に直撃するもののみに見切りを絞り、上手く右手を使って威力を殺すのである。隙を目で追う時間があるものかは、否しかし左手に至っては無涯の域にあったものだから――神の器になりつつあるその腕を間違いなく、大統領のどてっ腹にぶち込むのであれば当のプレジデントも顔を少し顰めるのだろう。
「…うむ、二人ともいい腕をしている。私も再び、負けないくらいのナイスガイになるとしよう!」
「…腕、か。前にも呟いた気がするが、やはり体育会系が過ぎるだろう」
「……!」
 大統領魂が燃え上がったのだと頭で理解する猟兵二人。彼がとっている行動は――ノーガード。先も間違いなく、翻弄され隙に拳を叩きこまれ…そうして燃えてきた分が、大統領の力となりて、その肉体にさらに力が漲ったことだろう。
 では、そんな大統領の全力を二人ならどう打ちのめすか。間違いなく、ワンツーが飛んでこようとしている。命二つを確実に消し飛ばそうとする程の。
 が、二つの表情に大統領が目を見開くのだ。
 一つ、あまりに危険な殺意を孕む笑み。あまりに
「強く、美しく――だろ?」
 大統領の振るう右腕さえぎりぎりでステッピングを以て躱し、新たに真髄たる戦いの一撃が、否間違いなく『闇と呼ぶに相応しい何かを抱いた』その一撃が、その強固な魂ごと打ち揺らし。
「ぬうっ、これは――!」
 二つ、魂を研ぎ澄ます真剣な眼。
(真正面から素手で殴って破壊するには少々部が悪いが…これならば!)
 ついで襲い来る大統領の左腕に…鋭く剣の如き左の拳が、弱点を寸分違わず捉えたならば。一撃一撃が剣術の体捌きに依りて研がれた無手の一撃――無の型【赤手】が、その機械の腕に亀裂など入れていたのだろう。
「…目覚めだしたか、君も、そして君も!」
 今度は再度亀裂を入れるまいと、一息をつく暇など無し。再度距離を詰める公明のその両腕から振るわれる拳の嵐たるや凄まじく。その全てをノーガードにて受けた大統領が一瞬目を細めたその隙を逃さぬように、その顎に二度、曲線的な軌道で、質量を伴った拳。
 そして、鏡介ももう一度、その無手を振るったか。
「無手相手だと…侮るなよ!」
 意識さえも揺らすコンビネーションと、的確でテクニカルな徒手空拳。顎に二度、腕のヒビに一度。それら全てが大統領の意識を確かに揺らしてみせた。おまけにその腕は一部が砕け潰れ。
「はっはっは…!! これほどまでに頭がクラクラするのは、初めてだよ!」
 だが、まだ足りぬ。この場の全員がそう言っている。
「さあ、まだまだこれからだ。もうちょっと、殴り合いに付き合ってもらおうか」
「来いよ。まだまだこれから、殺し合おうぜ…!」
 道を探す者、そしてMathemの名を継ぐ者。二つの真の姿が、尽きぬ意志を抱いている。
成功 🔵🔵🔵🔵🔴🔴

牙国・蒼志
守りたい者をオブリビオンにさせるわけにはいかんのでな。
やらせてもらう。

(真の姿は身体の各所に龍の要素が混じった人狼。龍化した自分の片腕をまじまじと見つめる)
…なるほど、これが俺の真の姿、か。龍の血が、力が溢れる気分だ。

プレジデント、大統領とは恐れ多い。まさか生きているうちにこうやって国家元首と拳を交えるとはな。
たとえオブリビオンであろうとそれなりの誠意はみせるとも。
殴り飛ばす。反撃がくるだろうが、受け止めきってみせるさ。

俺自身が龍と化しているのなら、自身を牙龍武器に見立てられる!
牙の陣『卯月』、大統領の力をそぎ落とせ!


 狼ならば、どう越えるか。
「守りたい者をオブリビオンにさせるわけにはいかんのでな。やらせてもらう」
 そう告げてこの男もまた大統領の前に立つのである。つまるところ牙国・蒼志の真の姿とは龍たる証を身体の各所に宿した、ドラゴンな狼であったのだ。
「君も、そろそろ目覚める頃合いかな?」
 オーバーロードに、大統領はそう続けたがる。
「そうらしい…なるほど、これが俺の真の姿、か。龍の血が、力が溢れる気分だ」
 滾れ龍の血。真っ直ぐに大統領の眼前に向かえ。本能のままに、対話もそこそこに。
「それにしてもプレジデント、大統領とは恐れ多い。まさか生きているうちにこうやって国家元首と拳を交えるとはな」
「元、大統領さ。今ではただのナイスガイだよ。そしてオブリビオンだ。それでも敬意を払ってくれるというのかな」
 互いに増すはぶつかり合いの本能。狼がその力を喰らうか、ナイスガイが勝つか。
「たとえオブリビオンであろうとそれなりの誠意はみせるとも」
 その言葉に大統領が「では喜んで、その誠意を頂こう」と両腕を広げてみせる。さあ、誠意を見せる時。今大統領が見せているは片方が砕け潰れたノーガードの証。しかして大統領魂が燃え上がることは想定の内に。まずはただその腕ひとつで、殴れ。
「ぐっ! …はっはっは、君も確かに、狼であり龍であるようだ。時間質量論…理屈だけでは説明できない異端の一つ…!」
 本気で叩きつけたその拳で何を伝えることが出来たか…確かにその熱意を伝えることは出来たはず。であるならば、龍の力さえもぶつけるのみ。今また大統領魂が燃え上がる前に。
「ああ。そして、俺自身が龍と化しているのなら、自身を牙龍武器に見立てられる!」
 さあ、その拳一つで霊力さえも纏め上げろ。本来は牙龍武器に依りて織り成せる牙の陣。
「牙の陣『卯月』、大統領の力をそぎ落とせ!」
 叫ぶは四之型。自身こそが牙を持った龍のように。正しく龍の霊力が、迫りくる大統領の拳を…見事にその力だけを、勢いだけを、削り落としてしまうのだ。
 これには大統領も、目を丸くして。
「んぐぅあ!?」
 拳を完全に狼に受け止められ、逆に殴り飛ばされてしまうのだ。これこそは蒼穹の龍の為せる業。
「まいったな…驚いたよ、アメイジングな体験になった…!」
「守りたい者たちのためだ、悪く思うな」
 全ての人類を護る為戦え、龍の狼よ。
大成功 🔵🔵🔵

イザベラ・ラブレス
(真の姿:スーツの上から狼頭付きの黒毛皮のコートを羽織り、両手にはナックルダスターを装備)
ごきげんよう
そしてさようならミスター・プレジデント
残念ながら貴方の任期は終了しているわ
老兵は静かに去るのがマナーというものでしょ?
私達が引導代わりの花道を用意してやったからありがたく受け取りなさい!

戦闘
正々堂々行くわよ
プレジデントの拳は【見切り】からのスウェー、拳に【カウンター】を合わせて相殺
リーチ差を埋める為インファイトに徹する

大統領魂で渾身のジャストミートを受けきられたら反撃を負傷覚悟で左腕で【激痛耐性+かばう】
傭兵魂舐めんなっての!
とどめは【怪力+重量攻撃】を載せた指定UCを右腕で放つ!

アドリブOK


藤原・忠重
【POW】

「ヘロー、ステイツ。その顔面を叩き割りに来た」

【覚悟】を握り固めた拳を突き出し、太々しく宣言。
そのまま真の姿、物質性を持つ精神波動の人型へと変身。


すかさず【捨て身】の【ダッシュ】、ノーガードで突っ込んでいく。
何度鉄拳に砕かれても、心折れない限り形を結び【継戦】。

『正味、どうでもいいんだ。お前らと俺らが同じだろうが、違おうが』

『目の前の奴が気に入らねえ。拳を握る理由は、それだけでいい』

回り込むなら振り向いて殴り、間合いを取るなら詰めて殴る。
退かず揺るがず立ち止まらず、拳を突き出し前へ前へただ前へ。


殴り合う内に隙が見えたらUC発動、一撃必殺の正拳を叩き込む。

『お前が大統領なら、俺は俺だ』


 果てには、この二人。
「ごきげんよう。そしてさようならミスター・プレジデント」
「ヘロー、ステイツ。その顔面を叩き割りに来た」
 さよならの挨拶までセットで持ってきたこの傭兵こそが一族名門たるラブレス家令嬢、イザベラ。覚悟の拳を突き出すは己を大事にする男、藤原・忠重。
 二人が派手に出で立ちを変えて参上するこの静かな街並みで、かたやイカしたスーツの上に魔獣『ジョージ』の狼頭を有した黒毛皮のコートを羽織り、かたや質量を持った精神波動の人型に姿を大きく変え。
 いっせーのーで、殴り込み。正々堂々、あるいは捨て身にて地を駆けよ。
「ご挨拶だね君たちも。しかし生憎、私にはまだ全人類をオブリビオン化する仕事がある…!」
 もうその拳の力はほぼ落ちてきており、大統領本人もあわやというところまで来ているにも関わらず、同じく避けることもせず拳を振るうその様はまさに狂気。イザベラが後ろに動いてスウェーするならば、忠重は真正面から受けて地に伏そうとも波動の身体が歪もうともまた立ち上がり形を結ぶ。
「そうみたいね。でも残念ながら貴方の任期は終了しているわ」
「そして俺も、お前を殴って前に進む」
 次に向かってくる大統領の拳に遠慮なく、拳鍔を握りしめた拳を穿つ令嬢である。勢いを相殺された大統領が距離を詰めるが、詰めたら詰めたで忠重がぶち込むその拳。次いでイザベラも乗っかる至近距離の大勝負。これこそインファイトの幕開けなのだ。
 拳と拳が静かな街並みに舞う、そんな戦場の中で。
「…だが私は同時に、君たちが目覚める瞬間を見ていたい。君たちも知っているはずだろう、諸君はひとりひとりが別種の存在だ。しかし…真の姿に自覚があるのであれば、君たちはいずれ『道』を辿るだろう!」
 果たして、オーバーロードとは何か。何を以て同じとするか、違うとするか。
「それを見届けることさえもが私の役目…そうは思わないか?」
 ところで、答えとは今すぐ決まらなくても良いものである。
「…正味、どうでもいいんだ。お前らと俺らが同じだろうが、違おうが」
 精神の波動より来たる声。特筆する過去を持たぬただの人間の声。
「目の前の奴が気に入らねえ。拳を握る理由は、それだけでいい」
 その声は、確かに大統領の行動を一瞬止めるには十分すぎた。
「…そうか、それもまた、道の一つか」
 一瞬にしては長すぎる程の隙が生まれるか。間髪入れず、派手な魔女の声。
「貴方に似合うのは引導代わりの花道。老兵は静かに去るのがマナーというものでしょ。そう思わない?」
 一歩踏み込んで、令嬢が繰り出すは会心の一撃。大統領のスーツすらズタズタにせんとするその拳は、確かにその腹部にめり込むのだ。
 それでも未だ、プレジデントスピリットは燃え上がるものだから。
「…では、見せてみたまえよ、目覚めさせたまえよ…君たちの魂を」
 肉体が軋む音が聴こえる。腕を振るい、それでもなお動き続ける音が聴こえる。向かう先は、忠重。紫の色を伴った精神がその拳を構えし時。
「上等じゃない…! 傭兵魂舐めんなっての!」
 衝突音。イザベラが左腕によって、襲い来る拳を受け止める音。走る激痛。歪む表情。されどその痛み圧力さえも、跳ね除けて。ついに大統領が膝をつくか。
「さあ、ありがたく受け取りなさい。花束を!」
「ぶん殴るしか能がねえが、俺も譲らねえ」
 さあ、セレモニーの時間だ。今一度ナックルダスターを握り直し、壊れかねないと思ってしまう程の握力にて最大の重量と怪力を込めるのが令嬢。先ほど享受した疲労や傷など忘れ、ただ愚直に拳を握りしめるのが忠重。
 後はただ、前に前に、二人揃って精一杯をぶつけるだけ。幸運の拳と愚直なる拳。一際大きい衝突音が響いたのなら、命をついに砕かれた大統領の姿がそこにはあるのみ。鋼鉄の腕は最早粉々で意味も為さず、傷も派手につき、ただ笑顔を浮かべた大統領。
「お前が大統領なら、俺は俺だ」
「悪くない退任式だったでしょ?」
 その言葉を贈る猟兵たちに、そして後ろに親指を立てるゴリラに、笑ってみせるはプレジデント。
「っはっはっは…!! どうやら世界に必要とされているのは、私ではなく、君たちのようだね…君たちならばいずれはきっと、私が大統領である内に成し得なかったものを――」
 次の言葉を最後に、そこには亡骸など一つもありやしない。
「さらばだ、猟兵諸君。『目覚めた』君たちに、幸せあらんことを」
 己に問うとは、単純に己を越えることではなかったやも知れず。しかし、猟兵たちが成長を遂げたのもまた事実。
 困難さえも超えて、次の戦火へと飛び込むのが今の猟兵たちに出来ることなのだ。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

最終結果:成功

完成日2021年09月16日
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴