アポカリプス・ランページ⑮~黒き燎原(作者 黒塚婁
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●黒き燎原
 テネシー州は西端の都市、メンフィス。
 アメリカ史において様々な意味をもつ都市であったが――今や、そのような面影は消え失せている。
 都市も人も消え失せた草叢に、広がるは黒き炎。
 黒き燎原、死の草原――そこから、オブリビオンは飛び出して来る。
「だが、それだけだ」
 ――と。ヴィリ・グロリオサ(残影・f24472)はいう。
 黒い炎は視線より高く燃え上がっている。謂わば、炎のサークル――その中央に猟兵は送り込まれ、次々に襲い来るオブリビオンを仕留めていくという一戦となる。
「四方は視界を遮る黒き炎。敵の数は多い。だが、それがなんであろう。貴様らは総てを、灰へ還せばよいだけである」
 真顔で猟兵達を一瞥すると、よいな、と次へ進む。
「とはいえ、説明は既に終わっている。あとは敵か――此所に潜むは、機餓獣兵。獣のような頭部を持つ、機械兵器である」
 獲物を見つけるや、黒い炎の中から次々と飛びだしてくる――といった状況が予想される、が。
 きゃつらは喰殺衝動に突き動かされ行動する性質である。
「つまり、隠しきれぬ欲望がある。炎は敵の領域。その気配は決して解りやすくはなかろうが、静寂と呼ぶにはやかましかろう。如何なる手を使い、敵の位置を把握するかは貴様ら次第だが、五感を研ぎ澄ませただけでも、遅れはとるまい」
 淡々とヴィリは告げる。その視線も、声音も。
 猟兵の勝利を確信しているかのように断定的であった。

●飢獣
 黒い炎の奥でグルルと獣の唸るような音がする。実際は、駆動する機械のたてる音。しかし、意味は似たようなものであろう。
 それらは、オイルのような唾液を流しながら、獰猛に笑う。
 獲物が、来た。
 温かい血と肉を持つ、強靱な獲物だ。
 たとえ機械の身体であろうとも、それらが備える力は、きっと美味に違いない――砕き、食らい、食らい、食らうのだ。


黒塚婁
どうも、黒塚です。
折角なので、一戦くらいは参加しておきたい!という感じで。

=============================
プレイングボーナス……黒い炎に紛れた敵を素早く発見する。
=============================

説明しているとおり、特殊なユーベルコードを使用しなくても、視界に映らぬものを把握しようという行動があればボーナスはつきます。
ただし、技能を列挙されるより、具体的な考え・行動の説明が多い方が優位です。

●プレイングについて
オープニング公開時より受付しております。追加情報などはございません。
受付期間は特に設けず、書けそうなものを書けるだけ。
先着順ではありませんが、受付停止とかは書かずに終わると思います。

内容を問わず全採用はいたしませんので、ご了承の上、参加くださいませ。
なお、複数人での参加はペアまでとさせてください。

それでは、皆様の活躍を楽しみにしております!
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第1章 集団戦 『機餓獣兵』

POW ●Carnivore Machine
戦闘中に食べた【生者の血肉】の量と質に応じて【餓獣機関の作用が活性化。機動性向上により】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
SPD ●Code of Lykaia
【捕食と破壊を求める餓狼の如き様態】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
WIZ ●Bestial Analyzer
【命を舐め取る獣舌と、獣牙による噛みつき】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【習性と味】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


冴島・類
広がる黒炎、奪われた地の跡が痛ましいし
こうも広がっている様を見るに、地獄絵図のようだ
火を消す為に狩らねばね

耐性あれど、彼らの領域になんの準備も無しに入って
こんがりあぶられるのは部が悪い

己の写しを、黒炎の領域内の地面、自分の周囲円形に配置し
簡単だが、破魔の結界術で陣を張って
殺意抱く魔が踏み入れば、反応できるよう感知強化に

耳澄まし、六感も研ぎ澄まし
飛び込んできたものから順に、薙ぎ払いで対応
手数足りぬ場合は、瓜江を自分より早く手繰り注意引きつけ
引かれたものに忍び踏み込み、斬る

油に濡れた刀は振り、拭い、切れ味落ちるのを防ぎ
随分食い意地が張っておいでだが
今日ばかりは…狩られるのは、君たちだったみたいだね


●鏡の領域
 焼け野原ならば未だ良い。
 視界の限りの黒炎は、今もこの土地を――地上も、地下も。くまなく蹂躙しているのだという。
 人の影があろうはずもない。文化も、街も、すべて破壊された土地。
 目を逸らすつもりは無い――されど、冴島・類(公孫樹・f13398)は光景より伝わる痛ましさに、やや目を伏せた。
「こうも広がっている様を見るに、地獄絵図のようだ――火を消す為に、狩らねばね」
 すっと息を吐く。
 たとい、彼が鏡であり――そのヤドリガミであったとして。何の準備も無しに「こんがりあぶられ」てやるつもりはない。
 銀杏色の組紐飾りをしゃらり垂らして、愛刀の鋒を地に向け、祈る。
「此処に、現れ給へ」
 類の周囲に浮かぶのは、何処の世界で神と奉じられた鏡の複製たち。彼を中心に輝くような鏡面を並べると、闇が凝ったような炎の揺らめきが、無数に映し出されていた。
 作り出したのは、破魔の結界陣。
「殺意抱く魔が踏み入れば……さて、巧くいくかな」
 穏やかな微笑みは自信の裏付け。
 類は、影のように寄り添う人形とともに、その中心で短刀を構え――己の感覚を研ぎ澄ませる。
 凪ぎ、静止した世界で。グルルと唸る音が聞こえた。
 鏡の世界で炎が割れる様に揺れ、呼応するように、鏡が輝く。
 類は流れるように短刀を繰る。垂直に落ちる刃が、彼を一呑みにしそうな大口の中心を割る。すぐさま十字を描くように剣を薙いで、掻き裂く。
 別の鏡も反応している――類の指先が、赤い紐を、器用に繰れば。背中を守るように、黒鴉の仮面をつけた人形、瓜江が刀を振るう。
 鋭い一刀が獣の額を貫く。
 唸る声が次々と類に襲いかかる――無数に並んだ鏡は、万華鏡のように、類と瓜江を覆い隠し。同時、獣どもの死角を突く、まさしく敵地の中に築かれた彼らのフィールドであった。
 されど業を煮やし、機餓獣兵は強化した全身でそれを砕き、迫る。時には、鏡すら食い破って、傷つきながら、類へと迫る。最早、本物も偽物も、構わぬ無差別な暴力であった。
「飢餓しか知らぬ獣と、哀れむつもりはない」
 彼はそっと囁いた。上下の口を縫うよう、貫いた一刀を、手首返して引き抜くと、オイルに濡れた刃を拭う。
 輝きを取り戻した破魔の刃を煌めかせ、類は前へと躍る。
「随分食い意地が張っておいでだが――今日ばかりは……狩られるのは、君たちだったみたいだね」
大成功 🔵🔵🔵

双代・雅一
荒野に立ち鼻につく臭い感じると同時に主導権交代

オイルの臭い、か? 俺は好きだが、雅一は苦手だったか
あれか、紅紀が喜びはしゃぐ姿を思い出すからか?
などと冗談言いつつ、蛇を槍に変じさせ

UC発動
掲げ振り翳した槍の先より吹雪を起こして索敵・攻撃開始
白き氷と黒き炎、どれだけ相殺出来るものかな
動きは最小限に、吹雪に此方は身を隠す様に
凍結し動きを封じた相手より、機械的な弱点見極め槍で貫きトドメを

機械に高熱は御法度
その電子頭脳はとっくにオーバーヒートで狂ってそうだがな
そもそも無機物の分際で有機生物を喰らおうなんざ百年早い
もっと可愛げのあるメカに造られていればな?
少しは俺の興味も惹けて長生き出来たろうに、残念だ


●吹雪の選別
 大地を包む黒い炎に、燃料などないだろうに――不意に鼻についた臭いに、双代・雅一(氷鏡・f19412)は表情を変え、胸から眼鏡を出し、掛けた。
「オイルの臭い、か? 俺は好きだが、雅一は苦手だったか」
 表に押し出された惟人は、急に人格が交代したことを不審に思いつつ、嗅覚を刺激する微かなそれに気付いて首を捻る。
 とはいえ、ポーズのようなもの、だ。どちらが出ていようが、やることは変わらぬ。目的も同じ――胸ポケットから、するりと一匹の蛇が這い出てくる。
「あれか、紅紀が喜びはしゃぐ姿を思い出すからか?」
 揶揄い含む冗談は、内側に向けて。その右腕に絡んだ蛇を槍へと変える。
 美しき氷槍を天へと掲げ、彼は囁く。
「何もかも全て、凍り付け――」
 穂先より吹雪が舞う。
 白い冷気がぐるりと周囲を渦巻いて、炎に触れる。
 総てを凍らせる白き氷と、総てを燃やし尽くす黒い炎。混ざり合い、凌ぎ合い――規模でいけば、炎に利がある。だが、この吹雪は炎を掻き消すべく、放ったわけではない。
 自身の姿を霞ませ、相手の姿を「炙り」出すための吹雪だ。
「そこだな」
 吹雪が、そこに敵を見出し、その地点へと急速に収束する。
 ヴヴヴ、と空回りする音を低く響かせながら、機餓獣兵が飛び出してくる。命の臭いを嗅ぎつけて、堪らず跳躍したものの、その身体は半分凍り付いて、強化された肉体の性能を碌に活かせぬ。
 その大きな口の間に、惟人は容赦なく槍を捻じ込み、貫く。
 というか、と惘れたように、惟人は双眸を細めた。
「機械に高熱は御法度――その電子頭脳はとっくにオーバーヒートで狂ってそうだがな」
 溜息交じり、白衣の裾を翻して身体を反転させると。
 大きな爪を振りかざしながら、食いかかってきたもう一体を槍で捌く。それの肉体も、凍りづけになって、煙を立てている。
「そもそも無機物の分際で有機生物を喰らおうなんざ百年早い」
 冷徹な声音と共に、振り落とす一閃、喉から胸を貫かれ、戦慄く獣の身体を、乱暴に振り落として、前へと奔る。
「もっと可愛げのあるメカに造られていればな? 少しは俺の興味も惹けて長生き出来たろうに、残念だ」
 ――仮に、そうであっても。きっと開腹されて、その構造をじっくり眺めるとか、そういう興味だろうに、と。内側の兄が渋面で呟く。
 否定では無い、小さな笑みを浮かべ、惟人は槍を捻じ込んだ。
大成功 🔵🔵🔵

無間・わだち
ごうごうと、黒焔が燃えている
その欲望は受け入れられない

己の勘を可能な限り鋭くさせて
気配をたどる
それだけでは足りないから
そろりラムプを振って惹きつける

お腹が空いてるんですか
なら、こちらへどうぞ(こてりと微笑み

生憎俺の肉は
あたたかくはないかもしれないけれど

タイミングは此方のもの
偽神兵器を大剣へと変化
集う飢獣達めがけて三度振るう
殺し、壊し、黒焔ごとかき消すように【蹂躙

一斉に惹きつけられずとも
多少四肢の一部を喰われても耐えられる
そういう躰だ【激痛耐性

刃を突き刺し獣を殲滅してみせる
一匹たりとも逃さない【限界突破、捨て身の一撃

あなた達に
俺の肉はひとつもあげられないんです

大切なあの子がくれた、続きの躰だから


●肉も、血も
 青年と、少女。
 ふたつの面差しを、黒き炎が紅く照らす。無間・わだち(泥犂・f24410)は、じっと佇む。彼の時間は止まったように、ひどく静かだ。
 ごうごうと燃える音を聞きながら、彼は薄く口を開いた。
「……その欲望は受け入れられない」
 研ぎ澄まされた感覚。勘。
 大体の方角は、なんとなく解る。ギラギラとした殺気が自分を刺している。値踏みするような――あまり嬉しくない、感覚。
 わだちは、手にした亡霊ラムプを、そろり振る。
「お腹が空いてるんですか。なら、こちらへどうぞ」
 小首傾げ、誘うように、微笑む。
 唸り声が強く響く――近い。すっと息を吐く。吸って止める。視界で、炎が揺れる。揺れて、止まる。まるで呼応するようだ。
「生憎俺の肉は……あたたかくはないかもしれないけれど」
 わだちは片足を引く。
 ラムプの光の高さはそのままに、偽神兵器に触れる右手は、その『柄』を握った。
 影が躍る。
 飢えた獣どもが考え無しに飛び出して、きた。
「皆、殺した虫のことなんて覚えてない」
 トリガーとなる言葉は誰に向けたものでもない。青い光を奔らせながら、形を成した黒い大剣が空間を裂いた。
 黒い剣影は素早く三度閃く。その剣閃は、わだちを中心に旋風となりて、朱い飛沫を四方に弾き飛ばす。
 殺し、壊し、黒焔さえも掻き消すように。
 細身の身体からは想像もつかぬ剛剣――それを繰る彼の心は、淡々としている。
 姿勢を入れ替える一瞬に、次が来た。
 その牙で何もかも噛み砕き、咀嚼せんとする獣のデタラメな跳躍を、上半身を下げて躱す。
 二の腕のあたり――浅く、土気色の膚を鋭利な牙が浚っていく。
 だが、わだちは顔色ひとつ変えぬ。
(「痛みは耐えられる――そういう躰だ」)
 だが、だからといって――そのまま逃しはせぬ。両手で柄を握り、大きな弧を描くよう、その胴を斬り上げ、更に貫く。
「一匹たりとも逃さない」
 細めた金の瞳は敵をひたと見つめ。大剣を薙いで、相手の身体を力任せに両断し、
「あなた達に、俺の肉はひとつもあげられないんです――」
 即座、後ろに躍る。数歩ゆるやかに下がるや、身体を捻り。背から勢いを付けた一刀で、機餓獣兵の頭から腰までを割る。
 まるで剣に振り回されるかのような身のこなしであったが、繰り手は間違いなく己の力で剣を遊ばせていた。
「大切なあの子がくれた、続きの躰だから」
大成功 🔵🔵🔵

藤・美雨
聞き耳を立てながら黒い炎の中を進む
足音、機械の音、唸り声
自分以外の気配に敏感に、気をつけて進んでいくよ

……敵が食らって強化されるのは「生者の血肉」なんだよね
それじゃあ私の肉はどうだろう
見つかりにくい相手には敢えて噛みつかせるのもいいかな
【激痛耐性】には自信があるんだ
噛みつかれても気にせずに、ニコニコ笑顔でこっちの番

接近した、あるいは接近してきた相手には電気を纏った拳をプレゼント
そのまま相手が気絶したら【怪力】を乗せた拳で追撃さ
そのおっきな口で二度と何かを喰えないように叩き潰そう

索敵と自分を囮にするのを繰り返して敵の数を減らしていこう
疲れたら『お弁当』で栄養補給
……私も似たようなものだな


●糧
 少女の足取りは朗らかに――藤・美雨(健やか殭屍娘・f29345)は、微笑み混じりに歩む。
 艶やかな黒髪に縁取られた白い貌は、戦場にいるとは思えないほど、楽しげである。
 だが、彼女は確りと聴覚を研ぎ澄ませ、敵の気配を探っていた。
 ――足音、機械の音、唸り声。
 獲物を求める本能、と言おうか。彼女の中に存在する殺人鬼としての感覚が、鋭敏と反応しているような。していないような。
 本人は飄々と歩いているので、無防備な餌、と映らぬでもない。
 敵からそう認識されるのは問題ない――向こうから確り見えているのは解っている。あくまで、美雨が敵の位置を探り出せるかどうか、だ。
 しかしそこでふと、思う。
(「……敵が食らって強化されるのは『生者の血肉』なんだよね」)
 ――死した身体を持つ娘は、首を捻ってみた。
「それじゃあ私の肉はどうだろう」
 思考の狭間、足を止めた彼女の背に――待ちかねた獣が、飛びかかった。
 美雨は――ひょいと、ブリッジするかのように身体を反らす。反らした身体の向こう、稲光が輝いて影を照らす。
 噛ませてあげてもよかったけど、気付いちゃったからね、と。
 振り返り、ニッコリ微笑んだ美雨は、
「はいはい、おやすみー」
 雷電纏う拳を叩き込む。
 彼女のヴォルテックエンジンから生じた雷は、たとえオブリビオンであれ、一撃で意識を飛ばすほどの強烈な衝撃を持つ。
 失神したか、そのまま絶命したか――だらんと弛緩した舌を垂らした口を、逆の拳を叩き込んで潰す。
 ぐしゃり、肉も機械も無いひしゃげた塊を、ぽいと投げて、
「はいお次ー」
 すかさず跳ねて、拳を振り抜く。貫き手と繰った腕に、ぴしゃりと緋が爆ぜる。
 お、と灰色の目を丸くしながら、笑って尋ねる。
「美味しいかい?」
 いらえは無い。餓獣機関は活性化したのか、速度を増した獣の残像が黒い線のように飛び回る。どうやら、自分の肉でも意味はあるらしい。
 でもどんなに早くなっても同じだ、と美雨は思う。結局、獲物を喰らおうとすれば、接触するのだ。その瞬間を狙って、拳が触れれば良い。
 強烈な雷撃で正体を失った直後に、深く拳で貫けば、お終い。
 片付けたら、次の獲物を探して美雨は歩き出す。辺りが本当の静寂を取り戻すまで、それを繰り返すだけである。
 そうして淡々と、獣狩りを続けていた美雨だったが――不意に足を止めると荷物を探り出す。
「ふう、ちょっと休憩」
 輸血パックのストローを咥えて、啜る。そんな自分の様子に、つい、自嘲の笑みが浮かんだ。
「……私も似たようなものだな」
 誰かに命を与えられて、生きている。……生きて、いるのだろうか。
 考えても仕方の無いことだけれど。ぽいと空になったパックを炎で焚いて、少女は、屈託の無い笑顔を浮かべた。
大成功 🔵🔵🔵

柊・はとり
暑…何でどこも燃えてんだよ
まあ始めから黒一色ならいっそ視覚は不要だな
余計な情報を絶ってこそ視えるものがある
謎解きと一緒だぜ

UC使用
武器も軽く振りやすい日本刀形態へ
お前は無駄が多すぎ

集中力を高め獣の唸る声を聞き分ける
一匹目には敢えて喰われてやるか
冷凍肉は嫌いか?腹にも悪いぜ
偽神細胞を吸収させ自壊を狙う

血の臭いが多少でも漂えば
飢えた獣共は次々俺を襲うだろう
足音、風の流れ、獣臭
研ぎ澄まされた第六感で感じ取り
襲い来る敵を素早くなぎ払う
複数体同時に来る可能性も念頭に入れ
なぎ払いの範囲を広げ対応できるように

極力一振りで斬るよう力を込めるが
喰われたらまた自壊させるまで
理解しろよ
俺は『生者ではない』
…その筈だ


●毒を喰らわば
「暑……何でどこも燃えてんだよ」
 陽炎たつ程の熱気は、確かにある。タールそのものが燃えているかのような黒炎の海原を、柊・はとり(死に損ないのニケ・f25213)は睨めつけた。
 汗は出ない。出るとしたら、半解凍状態か――と冗談半分、彼の意識は戦場を向かっている。
 黒い炎に包まれて、敵の姿は見えぬ。
 されど、はとりは動じない。多くの事件は、闇の中で起きるものだ。
「まあ始めから黒一色ならいっそ視覚は不要だな……余計な情報を絶ってこそ視えるものがある――謎解きと一緒だぜ」
 無い、と思えば選択は容易であると彼は笑い、
「――消えた凶器はずっと俺達の目の前にあったんだ」
 軽く掲げた偽神兵器『コキュートス』の形を、大剣から日本刀形態へと変形する――。
「お前は無駄が多すぎ」
 相棒に向けた軽口はいつも通りだが、眼鏡の奥の青い瞳には、光は届いていなかった。
 力の代償だ。その真価は、果たして。
 はとりは瞼を閉ざして、音を聞く。さりとて、聴覚で探るのではなく、霊感のような、閃きを待つ。
 ぞくりと髪が逆立つような、膚が泡立つような鋭利な予感。
 左手側で、唸る声が強く響いた――だが、はとりは敢えて、待った。それが躍りかかってくる。膚に吹き付ける風、鼻につく異臭、すべて把握している――が。
 むしろ左腕を上げて、牙の前に身を晒す。
 ぷつり、と肉が裂ける音がした。血は、あまり出ない。それでも匂い立つ、血の香りは周囲を焚きつけたように、殺気が噴き出す。
 そして、探偵は。犯人に笑いかけた。
「冷凍肉は嫌いか? 腹にも悪いぜ」
 言うや、すっと息を吐きながら、刀を薙いだ。まずは自分に噛みついた一体から――相手の能力と、己の能力。直接比べ合えば、代償の重いはとりが優れる。
 何より、それに食わせたのは、『生者』のものか。
 少なくとも、偽神細胞の混ざり物。
 彼らが求める餌としては、劇薬となるのではないか――自嘲と共に、その成果を見届けるより早く、はとりは剣を操る。
 痛みも知らぬように素早く左腕を引くと、その勢いの儘、剣を薙ぎ、阿呆のように開いた口から後頭部までを両断する。
 自由を取り戻した彼は、そのまま数歩だけ後ろへ下がる。
 刹那、振り下ろされる爪が起こした風が、前髪を揺らした。重油めいた臭いと、機械の脚が軋む音、暗闇の中、距離と動きを予測して、はとりは斬り下ろす。
 視力を犠牲にした身体能力で、その筋力も上がり、片刃ゆえに威力も速度も増した刀は、機械の身体を容易に断つ。
 血の匂いに引き寄せられる獣どもを、ひとまとめに薙ぎ払い、自分の血肉を求めるものどもへ、冷ややかに宣告する。
「理解しろよ――俺は『生者ではない』……その筈だ」
 はとりの死んだ肉体を動かすものは衝動で。維持するのが偽神細胞。自分では、そう理解している――脳だって借り物だ。
 暗闇の中でひとり躍り、死を作りながら、探偵は幾度となくぶつかった謎に、再び出会う。
 ――ならば命とは、何なのだろう。
大成功 🔵🔵🔵

コノハ・ライゼ
おやまあ、喰らうって?
そりゃ楽しみネ、精々楽しませて頂戴な
当然――負けないケド

事前情報から獲物の匂いは想像がつく
そう、たとえ機械だってその生命は美味しいでしょう
強ければ強い程

生来の鼻の良さと*捕食への熱である程度の立ち位置を把握
餌である身を不用心に見える動きで晒し*誘惑したら襲い来る気配を*第六感併せて見切り
致命傷避け躱しつあえて少しの傷を負うわ
いらっしゃい、そして――イタダキマス
血を「柘榴」へ与え【紅牙】展開
誘った攻撃の*カウンター狙い牙を剥きましょ

喰らう本能はアンタ達だけのモノじゃなくてよ
牙突き立てたらもう片方の牙で*傷口えぐり、*生命力を頂くわ

そう慌てないの
全部綺麗に、喰らってあげるから


●食慾
 黒い炎が揺れている。色も空もそそられない世界だが、心を躍らせるものは他にある。
「おやまあ、喰らうって? そりゃ楽しみネ、精々楽しませて頂戴な」
 気持ちはわからないでもないと嘯いて、コノハ・ライゼ(空々・f03130)は薄氷の瞳を細めた。
「当然――負けないケド」
 そして、鼻を利かせる。
 事前情報から、獲物の匂いについて、想像はついている――だが、そうやって相手を探っているような様子すら窺わせぬ雰囲気で。
 いっそ無防備にも見えるよう、コノハは平然と立ち尽くす。
 周囲から寄せる昂揚が解る。唸る音、高まる熱気。食らってやろう、という率直な欲望が殺気となって吹き付けてくる、膚感覚。
 敵が何者であれ、きっと猟兵であればご馳走であろう。
 解るわ、とコノハは囁く。
「そう、たとえ機械だってその生命は美味しいでしょう……強ければ強い程」
 ――飢えているのは、何も敵ばかりではない。
 後は、値するかどうか、だ。
 機械の軋む音がした、コノハは動かぬ。気付かぬフリを決めこんで、腕と身体で『牙』を隠す。
 ギッ、と大凡生き物らしくない音を立てて、機餓獣兵は飛びかかってきた。
 ゆらりと僅かに身を逸らし、コノハはその爪や牙を避ける。間一髪、四方八方を直線的に跳びはねる獣どもの間を、潜り抜けるように。
 ――それでも敢えて、薄皮を切らせた。
 白皙の膚に鮮やかな赤が走る。滴らせる儘、コノハは薄い唇にちろりと舐めた。
「いらっしゃい、そして――イタダキマス」
 上げた両の手には、双翼のナイフ。刃に刻まれた溝は彼の真紅が流れていく。
 磨かれた優美な刀身は、彼の血を得て、獰猛なる牙となる――コノハの靴底が、地面を蹴る。
 追うまでもない。相手は、此方を食らおうと向かってくる。
 正面から、その鼻面に一閃与える。すかさず流れるようにもう一刀を脳天に垂直へ、落とす。啜り上げるような音も、味わうような咀嚼音もしないが、
「喰らう本能はアンタ達だけのモノじゃなくてよ」
 冷笑するコノハの言葉通り。生命力を食われた獣は、力なく崩れて消えた。
 くるりと身を翻す――紫雲に染めた髪が頬に触れる。深く膝を折り、上からの襲撃を回避した彼は、囁く。
「そう慌てないの」
 そして、頭上の敵の喉を、交差させたナイフで深々掻き裂くと、そのまま腕を広げて挟撃を仕掛ける二体の背を穿つ。
 頭を蹴りつけ、上を取り、背を割るように刃を滑らせる。血の匂いも、肉の匂いはしない。ただオイルの臭い。だが、愉しそうに、鮮やかに。コノハは素材を調理して、いた。
「――全部綺麗に、喰らってあげるから」
大成功 🔵🔵🔵

ラブリー・ラビットクロー
ここからは星が見えない
セカイのみんなは今頃同じ空を見上げているのかな
オヤと会いたいってユメをらぶに聴かせてくれたあの子も
ねえマザー
もうすぐ朝日は昇ると思う?

食べても食べてもペコペコで
そーやっていつまで経って殺し続けるんだ
そんなんじゃセカイは元気にならねーのん!
ラビットブレスに詰め込んだカラースプレーをお前達に噴射しちゃうぞ
黒い色も好きだけど
らぶは色んな色が仲良くしてるほーがずっといーって思うのん
お前達は目立つよーに染め上げてやる

見てみるといーのん
足下がまるでお花畑でしょ?
こんな悪夢はもーお終い
これからは希望を育てる大地になるんだ
だから
お前達はもーここから出ていくなん!

【まもなく日の出時刻です】


●七色グラフィティ
 ここからは星が見えない――ラブリー・ラビットクロー(とオフライン非通信端末【ビッグマザー】・f26591)は天を仰ぎ、大きな瞳を瞬かせた。
 黒い炎に包まれた世界で、彼女はきれいなビー玉をポケットの中で転がした。
「セカイのみんなは今頃同じ空を見上げているのかな……オヤと会いたいってユメをらぶに聴かせてくれたあの子も」
 いつか出会った子供は、今、どんな気持ちで空を見ているだろう。
 不安だろうか。恐怖だろうか――それとも。あの日のように、遠くで戦うラブリーを応援してくれているだろうか。
「ねえマザー、もうすぐ朝日は昇ると思う?」
【……】
 ビッグマザーは何も答えない。長考中なのだろうか。
 そんなことは茶飯事なので、ラブリーも気にしない。いよいよ壊れたか、とか。付き合いが悪いな、とか。その程度だ。
 周囲では、ごうごうと炎が燃える。街を焼く。――きっと、数多のユメも焼いた。
 その中に潜む殺気には、気付いている。ダラダラと涎を垂らした獣が、こっちを見ている。食べても、食べても、満たされない飢餓。まるでこの世界に吹きすさぶ災厄そのもの。
 ラブリーは透き通るような眼差しで、炎を睨みつける。
 途端、炎を割って、敵が飛び出してくる。大きな口に、鋭い牙と爪を持つ機餓獣兵は、前のめりに、彼女へと飛びかかってきた。
「食べても食べてもペコペコで、そーやっていつまで経って殺し続けるんだ――そんなんじゃセカイは元気にならねーのん!」
 むんと気合いをひとつ。ラブリーは火炎放射器を構える。トリガーを引けば、鮮やかな色彩がランダムに噴き出す。
 武器として操るものは、獣たちの鼻面を容赦なく染めた。赤に、青に、黄色に、緑。
「黒い色も好きだけど、らぶは色んな色が仲良くしてるほーがずっといーって思うのん」
 お前達は目立つよーに染め上げてやる!
 気合いと共に、長い髪を軽やかに躍らせ、スプレーを吹く。がしゃりと音を立てて身体を軋ませた獣たちは。
 何処までも鋭利に獰猛に、ラブリーに襲いかかってきた。凄まじい勢いで振り下ろされた爪の一閃で、ラブリーの四肢も、微かに血を滲ませる。
 しかし臆さず、ラブリーは火炎放射器を巡らせる。凄まじい勢いで噴射された鮮やかな色が、獣たちを遇い、苛む。
 血と錆の浮かぶ身体が、様々な色彩で斑に染まる。武器から放出される塗料だ。ただの色であるはずもない。
 頭を押さえ、苦しみ呻く獣がよろよろとラブリーから離れていく。
「見てみるといーのん。足下がまるでお花畑でしょ? こんな悪夢はもーお終い。これからは希望を育てる大地になるんだ――」
 彼女の言う通り――足元に、花畑が広がっている。
 いつかラブリーが見た、色とりどりの花畑。それは間違いなく、スプレーを吹き付けて描いた絵だというのに。
 真に迫る――否、ラブリーがいつか見た『美しいと思った景色』の再現なのだ。
「だから。お前達はもーここから出ていくなん!」
 炎も、破壊も、飢えた獣も、もう要らぬ。
 美しい世界を、ミンナに見せるんだ。

 その時、ビッグマザーが――ラブリーの質問に、漸く答えた。
【まもなく日の出時刻です】
大成功 🔵🔵🔵

最終結果:成功

完成日2021年09月15日
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