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アポカリプス・ランページ⑰〜All-out

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「みんなはボクシングの経験ある?」
 鳥の足に似た手で握りこぶしを作り、カー・ウォーターメロンはしゅっしゅっとジャブの真似をして見せた。あまりキレが無いのはご愛敬という事で、目を瞑って頂きたい。
「ワシントンD.C.で真の姿になってプレジデントとボクシングして欲しいんだよ」
 以上がこの戦場の説明である。とはいえ疑問もあるだろうと、カーはいくつか捕捉をする。
「なんかね、このプレジデントさん、闘争心を煽るソーシャル・ネットワーク? とかいう精神波を放ってて。この戦場では、みんなが窮地に陥らなくても真の姿を解放出来るんだよ」
 プレジデント側にメリットがあるとは思えぬ効果だが、これにより猟兵は戦闘開始時から真の姿で戦う事が出来る。
「で、プレジデントさんはボクシングでの決着を求めてるんだ。好きなのかな?」
 理由はともかく、この戦場ではボクシングを用いた者が強化される。接近戦の苦手な者が無理に相手の土俵に乗る必要は無いが、プレジデントだけが強化される事態がある事は念頭に置くべきかもしれない。
「真の姿になると手が無いよーって人もいると思うんだけど、そこはまあ、ボクシングっぽい感じになれば大丈夫だと思うんだよ。じゃあよろしくね! いってらっしゃい!」


 ワシントンD.C.には以前の街並みが蘇り、だがかつての賑わいは何処にもない。たった一人、『プレジデント・ザ・ショウダウン』だけが屹立する記念塔の前で猟兵を出迎えた。
「やあ。猟兵の諸君なら、そろそろ来る頃だと思っていたよ」
 ともすれば友好的な印象すら受ける態度で、プレジデントは猟兵へと微笑みかける。けれどその目には何処となく冷めた光が宿っていて、故に猟兵は気を抜かずに目の前の男を見据えた。
 数々の外交をこなしてきたのだろう。権謀術数の只中に身を置いていた事もあるだろう。探るような猟兵の視線に気付いているのかいないのか、プレジデントは「ああ、失礼」と葉巻の火を消した。
「これも大事な産業の一つだったんでね。キューバやドミニカと比較しても――と、世間話に来たわけではなかったな。では、早速だけれど」
 青い空と、芝生の匂い。プレジデントは、とても爽やかに笑った。
「闘ろうか」


宮下さつき
 お久しぶりです。宮下です。

●ボクシング
 シナリオ自体はやや難ですが、ボクシングかどうかの判定は緩めです。
 とりあえず「殴り合ってりゃボクシング」くらいの緩さです。
 猟兵さんの形状によっては難しいと思うので、その場合は「ボクシングっぽい接近戦」なら大丈夫です。
 ルールを気にしすぎるとプレジデントさんの手も反則になっちゃいます。レフェリーはいません。

●真の姿
 真の姿になると口調が変わる……等の設定がある場合は教えて頂けるととても助かります。
 複数の真の姿をお持ちの方は、こちらで「これかな?」と判断して描写するので、拘りがあればプレイング内でご指定ください。

●プレイング
 このシナリオでは、以下のプレイングボーナスがあります。

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プレイングボーナス……真の姿を晒し、ボクシングで戦う(🔴は不要)。
=============================

 それではよろしくお願い致します。
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第1章 ボス戦 『プレジデント・ザ・ショウダウン』

POW   :    アイ・アム・プレジデント
自身の【大統領魂】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
SPD   :    プレジデント・ナックル
【竜巻をも引き起こす鋼鉄の両拳】を巨大化し、自身からレベルm半径内の敵全員を攻撃する。敵味方の区別をしないなら3回攻撃できる。
WIZ   :    アポカリプス・ヘブン
【対象を天高く吹き飛ばすアッパーカット】を放ち、レベルm半径内の指定した対象全てを「対象の棲家」に転移する。転移を拒否するとダメージ。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

尾花・ニイヅキ
真っ向から殴り合おうとするその姿勢、僕は嫌いじゃない。
真の姿を解放するが、空は飛ばない。
正々堂々闘ろうじゃないか。

『属性攻撃(氷)』とUCで攻撃力を強化。
武装を見るに、ジャブはともかくストレートはかなり重いだろう。
真の姿を解放した僕でも耐えられて数発だろうな。
だが、恐らくはストレートの後は隙が出来る。

ジャブで距離を測りつつ、相手の出方を窺う。
相手が一気に攻め込んできた時にダッキングで躱し、腕に氷の魔力を集中し『怪力』を込めたボディストレートを叩き込む。
よろけたり、大統領魂で褒めてやろうとしてくれるなら感謝のもう一撃のアッパーをくれてやる。

……オブリビオンになる前は良い奴だったのかもしれないな。



「安心したまえ。レディ、そちらが動くまで、私は一切手を出さないと約束しよう」
 プレジデントの言葉は本当なのだろうと尾花・ニイヅキは直感的に分かった。今、記念碑を背に立つ男と自身の間に遮蔽物は無く、長射程の手段を用いずとも互いに肉薄出来る、そんな距離にある。そこまで接近しても男の姿勢は構えも無くラフなもので、けれど罠の可能性を疑う気が起きないのは彼の雰囲気に因るものか。これが、彼の『大統領魂』とでも言うのだろうか。
「真っ向から殴り合おうとするその姿勢、僕は嫌いじゃない」
 球関節の代わりに設えられた石に、光が灯る。昼間の洋燈のように眠る右膝の石が、輝きを取り戻す。
「正々堂々闘ろうじゃないか」
 魔力の回路が繋がり、ニイヅキの背に機械仕掛けの翼が展開された。だが、彼女は羽ばたかない。魔力は攻撃力へと転換し、距離を詰める。
 ジャブ。どうやらプレジデントが硬いのは手だけではなく、肉体も見た目通りに鍛えられている。
「慎重だな」
「折角先手を譲ってくれたんだ。無駄にはしない」
 これだけの体格差があって、いきなりショートレンジでやり合うような真似はしないと言えば、男はほうと素直に感心するような声を漏らした。
「――そろそろ感覚は掴めたかい?」
 プレジデントが一歩下がった。来る、と思った時には既に拳が繰り出されていて、咄嗟に掲げた腕がじわりと熱を持つ。オーラを纏ってなおこれか、耐えて数発――、そう判断したニイヅキは、タイミングの見極めに注力する。
 そしてその時は、意外に早く訪れた。踏み込みが重い。今だ。
 ごうと音を立てて迫る拳を、屈むように躱す。とはいえ身長差から膝を顔面に喰らう事故を避けねばならず、まさに紙一重だった。風圧だけで頬がひりつくように痛むが、そのままニイヅキは上体を捻る。
 氷の魔力を宿した腕の、ボディストレート。重い物を落としたような音が響く。
(「……オブリビオンになる前は、良い奴だったのかもしれないな」)
 ニイヅキは全身をバネのように使い、拳を真上に振り抜いた。顎を揺らすには浅い。頭上からプレジデントの笑い声が降る。
「ああ、レディ! いいセンスだ!」

成功 🔵​🔵​🔴​

藤・美雨
真の姿は20歳くらいまで成長した姿だよ
大人になった姿で楽しく闘わせてもらう!

へいへい大統領!
ボクシングは素人だけど殴り合いなら自信はあるよ!
いざ勝負!
負けられない意志を気に変えてこっちも準備万端だ

相手は敢えて不利な行動を取るらしい
何発かこっちの攻撃を受けてくれるのかな?
そこから逆転とかドラマチックだもんね
じゃあ私も真似しよう

何度も何度も殴り合って
相手の攻撃は出来るだけ【受け流し】したり【激痛耐性】で堪えたり
ピンチになればなるほど気合も溢れる
【限界突破】、負けられない想いをヴォルテックエンジンのエネルギーに転換!

ここぞというタイミングに思い切り踏み込むよ
【怪力】を籠めたストレートでぶん殴るね!



 少し高くなった目線と、曲線美を描く肢体にご満悦といった様子で、戦場に向かう途中だというのに藤・美雨の足取りは軽い。艶やかな黒髪が風に靡き、朱で縁どられた瞳が妖艶に細められ――、
「へいへい大統領!」
 美女の口から、底抜けに明るい挨拶が飛び出した。『元』が付くとはいえ、一国の元首に対する声掛けとして如何なものか。
「次のお相手はレディかい?」
「そ! ボクシングは素人だけど、殴り合いなら自信あるよ!」
 プレジデントは彼女の砕けた態度を気にする風でもなく、むしろ物怖じしない様子が好ましいと笑顔で出迎えた。
「それじゃあ……いざ勝負!」
 言うが早いか駆け出した美雨の大振りに対し、プレジデントは防御の構えすらない。ごりと鳴った鈍い音はプレジデントの頬骨か、美雨の拳か。
「ふーん、これがレディファーストっていうのかな?」
 近年では慈悲的性差別だのと騒がれる事もあるが、戦場で先手を譲るというのだ、そこに不満は無い。二度三度と繰り出された美雨の拳に、プレジデントは口の端を上げた。
「その細腕でこの重さ、大したものだ」
 プレジデントが顔の前に腕を掲げた。持ち前の怪力を発揮した所で鋼鉄のブロッキングを崩すのは骨が折れそうだ――、攻めあぐねた一瞬を見抜かれたか、プレジデントが攻撃に転じる。美雨はパーリングを試みるも、払い除けた手に重い衝撃が走る。
「ここから大統領の逆転劇……って? ドラマチックだよね」
 間断なく繰り返される攻防は、徐々にプレジデントが優位になっていく。美雨は痛みに耐性があるとはいえ、肉体へのダメージは蓄積されている。美雨は――笑った。
「じゃあ、私も真似しよう」
 美雨の纏う気が、炎のように立ち上る。その源泉は、闘争心。つまるところ、プレジデントは精神波という形で彼女にエネルギーを与え続けてしまっていたのだ。最高潮まで高められた意志が、彼女の中にある動力源をかき鳴らす。
「折れない女性は素敵だ、レディ!」
「第二ラウンドは、私がもらうよ!」
 腕の長さから、先にプレジデントの左手が美雨に届いた。鉄の塊に等しい拳が頬を打つが、彼女はそのまま踏み込んだ。復元できるが故に、躊躇いのない前進。
 全体重の乗ったストレートは、プレジデントの顔面の中央に。巨躯が仰け反る。

大成功 🔵​🔵​🔵​

セレナリア・アーチボルト
大統領自らステゴロを御望みとは敵ながら天晴れなお方ですね
ですが全世界の人類をオブリビオンにするというなら若様に手を出すも同義な事

私の真の姿など僅かに記憶の封印を解き、かつての経験を引き出した程度、ですがそれで十分です
終焉を終焉させる者としてあなたに引導を渡してあげましょう

真っ向勝負がお望みならば受けて立ちましょう
相手の拳にはこちらも拳でカウンターを返します。返した拳にはUC効果で僅かに狙いを逸らす様に操作
相手がガードしようものならそのガードをこじ開ける様に操作します。

ボクシングをお望みなら覚悟はゃろしいですよね。歯ァ食いしばってくださいな!



「大統領自らステゴロを御望みとは、敵ながら天晴れなお方ですね」
 少々俗な言葉選びがあったものの、嫋やかな所作で、淑やかな微笑を浮かべ、セレナリア・アーチボルトはプレジデントを見上げた。
「レディにそう言って貰えるとは光栄――」
「ですが」
 男の言葉を遮るように、セレナリアが口を開く。
「全世界の人類をオブリビオンにするというなら……若様に手を出すも同義」
 仮面のように綺麗に笑んだままの彼女から、底冷えするような声が発せられた。肌を刺すような殺気に、プレジデントは興味深そうに目を細める。
「それが君の真の姿かい?」
「かつての経験を引き出した程度、でしょうか」
 セレナリアは眼前の敵を見据える。陽に透かした蜂蜜のような瞳は獣の如き光を宿し、そこにいつもの甘さは無い。姿かたちが変わったわけではないというのに、まるで別人だ。
 ど、と鈍い音がした。間髪を入れず、二度、三度と続く。白魚という形容が相応しい手指が、先手を譲った男に容赦なく打撃を浴びせかける。
「レディ、君はその若様とやらに……本当に、『メイドとして』仕えているのかい?」
 プレジデントの鉄拳が、セレナリアを打つ。尋常ならざる衝撃があったにも関わらず彼女の視線が揺らぐ事は無く、即座に反撃に転じた。足捌きはクラシカルなお仕着せに隠され、男は回避出来ずに腕で受ける。
「――終焉を終焉させる者として、あなたに引導を渡してあげましょう」
 セレナリアは答えない。或いは、記憶の片鱗から振るわれるこの技術が答えなのかもしれない。プレジデントが鈍重そうな見た目に反し素早い連打を繰り出すと、セレナリアはヘッドスリップをしながら踏み込んだ。フェイントも何もない、猪突猛進なカウンター。男はそう来ると思っていたと笑い、鋼鉄の手で受ける。――はずだった。
 彼女の右ストレートの軌道は確かに読めていて、だがガードするはずの腕が動かない。ここを殴れと言わんばかりに、道がある。操作されている。気付いて抵抗するも、もう遅い。
「歯ァ食いしばってくださいな!」
 セレナリアの拳が、鳩尾に叩き込まれた。同時に何処かのヒーロー宜しく流し込まれた膨大な正のエネルギーは行き場を失い、爆発を起こす。プレジデントが息を吐いた。

成功 🔵​🔵​🔴​

グァーネッツォ・リトゥルスムィス
人々をオブリビオンにする気なのは気に食わないが
格闘技で戦わせてくれるのはセンス良くて好きだぜ!

オレの生命力を竜姿のオーラに凝縮出力した真の姿になって
竜の身長も敵と同じ位にし(オーラ内のオレは比例して縮む)
武器やキックは勿論竜の翼も尾も使わず
お望み通り真の姿の竜の拳で挑むぜ!
あ、UCはさすがに使うぞ

敵が敢えて不利な行動をするのも含めて竜眼でしっかり動きを観察し攻撃は極力避け
オレはフェイントを混ぜながら顎や腹部に時にストレート、時にフックで
堅実にダメージを与えるぞ
でもあと少しでもっとダメージを与えられそうなら多少の重傷も厭わず
最大のアッパーカットで勝負を仕掛けるぞ!
ドラゴン、アッパー!



「やあ、これは愛らしいレディだ」
 見苦しくてすまないねと眉尻を下げたプレジデントは、破けたジャケットの襟を正しながらグァーネッツォ・リトゥルスムィスを出迎えた。
「格闘技で戦わせてくれるセンス、好きだぜ!」
 紳士的な振る舞いを見るに、ナイスガイという自称はそう間違ってもいないのかもしれない。――彼がオブリビオンでさえなければ、の話だが。
「でも、人々をオブリビオンにする気なのは気に食わない」
「政策への批判は受け止めるつもりだが、こればかりは譲れないのだよ。だから」
「ああ、話し合いに来たぜ。『これ』で!」
 握りこぶしを見せたグァーネッツォの生命力が滾り、黄金色のオーラが迸る。真夏の太陽のように辺りを照らした生命の光が、竜の形を成してゆく。
「お望み通り、真の姿だ!」
 竜はグァーネッツォを内包したまま凝縮してゆき、やがてプレジデントとほぼ同じ大きさになると変化を止めた。直立歩行をする光の竜が、オーソドックススタイルで前に出る。
 距離を測るような、プレジデントを試すようなワンツー。彼はやはり初手を躱す事もガードする事もせず、グァーネッツォの拳を受けた。オーラの竜は確かな質量を以て男のボディを殴る。
「ドラゴンとボクシングをするのは初めてだ」
 プレジデントが動いた。不利をトリガーにした身体強化が行われたのを認め、グァーネッツォはバックステップで躱す。観察していてわかった事は、見た目通りのハードパンチャーだという事だ。極力回避する方が賢い選択だろう。
 ならばと彼女がその身に宿したのは、防具の守護精霊。防御面積の狭さとそれに伴う羞恥は、この防具を纏う者が払う代償なのかもしれない。無駄を削りに削り身軽さを手に入れた、合理的な防具――ビキニアーマーを。
 幾度も迫る拳をステップで翻弄し、フェイントを交えたパンチを繰り出し、グァーネッツォは確実にダメージを積み上げていく。
 度重なる攻防の中、彼女は勝機を見出した。回避を重視していた彼女はクラウチング・スタイルに転じ、打撃を受けてもなお内懐へと踏み込んだ。
「ドラゴン、アッパー!」
 竜の拳が、プレジデントの顎に当たる。ぐら、と男の頭が揺れた。

成功 🔵​🔵​🔴​

霧島・絶奈
◆心情
所謂エキシビションマッチですね
こうした興行的闘争も偶には良いでしょう

さあ、Mr.president
共に愉しみましょう

◆行動
<真の姿を開放>

【罠使い】として持ち込んだ、複数の「魔法で敵を識別するサーメート」を【衝撃波】で戦場に散布
リング代わりです
エキシビションならこう言うのも面白いでしょう?

設置を済ませた後『反転』
敢えて不利を受け入れると言う事ですので、私も弱点を持った力を行使しましょう
圧倒的身体能力同士の正面切っての殴り合いもまた、「らしい」でしょう?
当然受けて頂けますね?

【範囲攻撃】する【マヒ攻撃】の【衝撃波】で【二回攻撃】

負傷は【各種耐性】と【オーラ防御】で軽減し【生命力吸収】で回復



 霧島・絶奈はプレジデントの正面に立つなり、サーメートを周囲にばらまいた。二人を取り囲むように炎が燃え盛り、息苦しい程の熱に晒される。
「リング代わりです。エキシビションならこう言うのも面白いでしょう?」
「ああ、なんて情熱的なレディなんだ」
 この一ラウンドが終わるまで、逃げ場のないリングだ。もっとも、両者ともに逃げるつもりなどこれっぽっちも無いのだけれど。
「こうした興行的闘争も偶には良いでしょう」
「惜しむらくは無観客試合という点だな」
 さぞ盛り上がった事だろうとプレジデントは笑みを浮かべ、絶奈もまた唇の縁を綻ばせた。
「お気に召したようで何よりです、Mr.president、――共に愉しみましょう?」
 かくして、二人は炎の牢獄に囚われた。二人きりの空間で、絶奈は『反転』する。姿かたちはヒトであり、強大な力をヒトの形に押し込めただけのようでもあり。揺れる銀糸は夜露に濡れる蜘蛛の糸のように美しく、同時に喰らう側の存在を際立たせている。
「麗しのレディ、お先にどう――」
 言い終わらぬうちに、絶奈の拳が男のこめかみを打った。正気をかなぐり捨てて、だが狂気には染まらず、剥き出しの闘争本能だけがそこに在った。獣だ、とプレジデントは呟いた。獣をエスコートしようなど、到底無理な話だ。
「全く、愉しませてくれる」
 バックステップで下がった分だけすぐに詰めてくる彼女の動きに理性は感じられず、捉えるのは難しくない。だが幾度カウンターブローを叩き込めど、彼女の進撃は止まらない。ユーベルコード由来の耐久力と、絶奈自身の耐性と、神の纏うオーラと。幾重もの守りを破らねば、彼女に傷はつけられない。
 ならばとプレジデントはスピードも体重も乗ったストレートを繰り出した。生半可なブロッキングではガードの上からでもノックアウトされてしまう、渾身の一撃だ。絶奈のオーラが撓む。
「……ぐっ」
 短く呻いたのは、プレジデントの方だった。いつも絶奈を包んでいる神気は鳴りを潜め、今の彼女が纏っているのは悍ましい濃霧だ。辺りを腐敗させる程の瘴気と、更には彼女の衝撃波を伴う拳によって齎された麻痺と。侵されたプレジデントが、膝を着いた。

成功 🔵​🔵​🔴​

青梅・仁
上に立つ者として堂々としてるヤツは良いと思うぜ。
――お前なら半邪龍と殴り合うのも、楽しんでくれるのだろう?

顔への攻撃はブロックで防ぎ、ボディへの攻撃は躱す。
こちらからもタイミングを見計らって軽く攻撃しつつ、苦戦してるように見せる。

段々あちらが攻撃に集中し始めたらウィービングからのアッパーと見せかけて尾でボディへ一撃。
尾で攻撃されるのは想定外か?
はっ、キックボクシングとやらも取り入れたとでも思うと良い。
レフェリーを用意しないのが悪い。

相手の調子を崩したら後はひたすら殴り続けるだけ。
また尾の攻撃が来ないかと警戒せずにはいられまい。
尾に警戒してくれているうちに顔面にストレートを入れてやるとしよう。



「お前さん、いいのかい」
 インターバルに煙草なんて。ボクサーは一本吸う毎に弱くなると唱える者達は少々言い過ぎかもしれないが、吸った直後から呼吸機能だけでなく血流量にも影響するのは事実である。よりにもよって仕合う前に煙を吐いたプレジデントに、青梅・仁は呆れた顔をした。
「自身を不利に追い込んでからが本番なのさ。それにもう、持久力は必要ないだろう?」
 これが最終ラウンドなのだから。そんな言い訳にそれもそうかと頷いて、仁は右目を覆う眼帯を毟り取った。
「――お前なら半邪龍と殴り合うのも、楽しんでくれるのだろう?」
「私が何処の大統領だったと思っている? この国は人種のサラダボウルさ!」
 赤い月の浮かぶ右目で睨めつけ、仁は軽くフックを繰り出した。プレジデントは内側にいなし、ストレートを返す。
「そこは坩堝と言わないか」
「並立共存の声が大きくてね」
 鋼鉄の拳をブロックした腕が、みしりと鳴った気がした。おお痛いと空々しくぼやいて、獰猛に笑う。プレジデントは満身創痍でありながら、未だに一つ一つの打撃が重い。仁は立体的な動きで躱す事に注力する。
 幾度かのウィービングの後、仁は下半身を捻る。尾を鞭のように振るい、プレジデントを弾き飛ばした。龍の半身を持つ今の射程は、半人半魚の比ではない。
 レフェリーを用意しないのが悪い。そう煽ろうとして、仁は口元を引きつらせた。
「キックボクシングもいけるなんて聞いてない」
 こめかみの辺りに拳を構えた――要はキックボクシング特有の構えを取ったプレジデントがにやりと笑い、仁は憮然とした表情で踏み込んだ。ボディへの痛打に追い打ちをかけるように拳を叩き込み、反撃を叩き落とし、バックステップで回避をする。
「我が国の海兵隊はジャパンの格闘術を数多く取り入れているのだよ」
「ああ、それは――」
 一進一退の攻防を繰り返す中、軽口を叩いたプレジデントを見やり、仁は笑った。
「願ったり叶ったりだ」
 キックボクシングにおいて最も警戒されるのは、ダメージの大きいハイキックだ。つまり。
「その構えは、顎が空く」
 龍の神気を。邪龍の邪気を。猟兵の魔法を。それらを纏わせた仁の拳は、吸い込まれるように顔へ。顎を掠めたストレートに、プレジデントがぐらりと傾いた。

 ダウン。プレジデントは立ち上がらない。カウントアウト――猟兵達の、勝利だ。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2021年09月16日


挿絵イラスト