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アポカリプス・ランページ⑰〜辣腕の待つ場所へ

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●真名不明の元大統領
「私は『国立公文書記録管理局(アーカイブス・ワン)』の前で待っている。良ければ来たまえ。プレジデントの名に恥じぬ歓待をお見せしよう」

●決戦を前にして
「ようやくです。ようやく、フィールド・オブ・ナインの一角『プレジデント』への道が繋がりました!」
 ロザリア・ムーンドロップ(薔薇十字と月夜の雫・f00270)も、まあ貢献者の末席くらいには居るだろうというこの戦争で。ついに猟兵達は辿り着いた。ワシントンD.C.――そこがプレジデントの根城だ。
「というわけで、今こそ決戦の時です! プレジデントを倒しに行きましょう!」
 力強く掲げるロザリアの手は少し震えていた。プレジデントの思惑を垣間見て、グリモア猟兵として果たさなければならない責務を重く受け止めている。
「ワシントンD.C.にある国立公文書記録管理局――そこで待ち構えているプレジデントの能力は、公文書に記載されたあらゆる事象を具現化した『ユーベルコードによる大統領の軍勢』を創造し、指揮するというものです。指揮能力の高さは、さすがフィールド・オブ・ナインと言うべきでしょうか……皆さんがどんな手を使おうと、機先を制することはできないと思います。つまり、必ず先制されてしまいますので、プレジデントの攻撃に対処することが重要になってきます」
 プレジデントが放つ一撃の下に倒されてしまっては話にならない。この戦争における最強格を相手取るのだから、当然、普段以上の対策が必要になる。
「しかし、対処さえしてしまえば、きっと反撃のチャンスは来るはずです! この類の相手は過去に何度も戦っていますから、今回も皆さんはきっとやってくれると信じています! 強敵ではありますが無敵ではありません! 全力で立ち向かって、なんか偉そうにしているその鼻をへし折ってやりましょう!」


沙雪海都
 沙雪海都(さゆきかいと)です。
 プレジデント戦をお届けしたいと思います。宜しくお願いします。

●フラグメント詳細
 第1章:ボス戦『プレジデント・ザ・マスディレクション』
 プレジデントは【先制攻撃】してきますので、何らかの対策があると良いかと思います。
 まあなんか、とにかく物量で押してくる感じっぽいですよね。
 何か知っている風ですが、そこら辺は期待しないでください。
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第1章 ボス戦 『プレジデント・ザ・マスディレクション』

POW   :    プレジデント・アーミー
レベル×1体の【大統領の軍勢】を召喚する。[大統領の軍勢]は【アメリカ】属性の戦闘能力を持ち、十分な時間があれば城や街を築く。
SPD   :    プレジデント・セキュリティ
レベル×1体の、【眼球】に1と刻印された戦闘用【アメリカ合衆国シークレットサービス】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
WIZ   :    アーマード・ディヴィジョン
【かつてのアメリカ軍の最新兵器】で武装した【精鋭アメリカ陸軍兵】の幽霊をレベル×5体乗せた【戦車部隊】を召喚する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

アウレリア・ウィスタリア
先制攻撃?
そんなものすべて音の彼方へ置き去りにしてみせましょう

【夜空を貫く希望の軌跡】を発動
初速から全速力で飛びます
約一万km/h
敵の軍勢がどれ程のものか知りませんが
ボクの最高速にその攻撃がついてこれますか?

もちろんボクの身体も無事じゃ済まない速度です
だからオーラ防御を全開にして少しでも自傷ダメージを減らしましょう

空を、音を置き去りに駆け抜け様に魔力弾を撃ち放ち
敵の背後に回った瞬間、魔銃を撃ち放ちましょう

そのまま駆け抜けて安全圏へ
余裕があれば何度でも攻撃を仕掛けに飛び立ちたいですが、
ボクの身体はどれくらいまでなら耐えれるのでしょうか

無理をして速度が落ちて撃墜されるのだけは避けないと

アドリブ歓迎



●世界と我が身、比ぶべくもない
 葉巻をふかせて待ち構えるプレジデントの元へ、わざわざちんたら顔を出すわけがない。アウレリア・ウィスタリア(憂愛ラピス・ラズリ・f00068)は遥か遠くから音を突っ切って戦場に飛び込もうとしていた。
 絶対強者の先の先へ。挑むためなら如何なる犠牲も厭わない。その速さ、時速一万キロ超。景色は絵筆を洗った残り水のようにぐちゃぐちゃ淀み、その身は火炎放射器の噴射口に立たされているような烈火と轟音の中にあった。
 普段は透明な空気の層も、今は鋼鉄より遥かに固く分厚い壁だ。生身でぶつかれば即死級。それをオーラ防御全開で最大限緩和しようとしていたが、オーラは生成した傍から空気摩擦で箒星の尾となり、皮膚は真っ赤に熱を帯びていた。
「おや――」
 プレジデントがアウレリアを認識――その瞬間に全てが始まり、全てが終わっていた。アウレリアの翼から分裂するかのように射出された魔力弾の流星群は絨毯爆撃となって管理局前の広場を舐めていく。
 だがプレジデントは動かない。即座に召喚されたシークレットサービスがピラミッド状の肉壁となって、アウレリアの放った流星群を遮っていたからだ。流星群の着弾地点は一発たりとも漏らすまいと強固に組まれた壁の上を這って進み、頂点より虚空に抜けてプレジデントの背後へと過ぎていく。

 ――さぁ、己を超えてみたまえ。

 空と地ですれ違う刹那。アウレリアはプレジデントの姿だけははっきりと捉えていたが、プレジデントもまたアウレリアに不敵な笑みを返していた。
 待ち構えられている。罠なのか――しかしアウレリアはもう引き返せない。余裕があれば何度でも、と考えてはいたが、全力を以ってしても防ぎきれない空気摩擦に、絶え間なく流れ出るオーラ。片道切符を覚悟してアウレリアは魔銃を向ける。
 ミチミチと肉が引き千切れるような音がして激痛が走った。プレジデントの背に魔銃を向けるという運動量の反転行為は、その運動量が膨大であるために反動が大きすぎた。最初で最後の一発――引き金にかけられた指先が震えていた。
 プレジデントの笑みは挑発だ。シークレットサービスは全て流星群の処理に費やした。背後はがら空き、アウレリアの指が引き金を引くか引かないか、それだけの勝負。ジャケットを申し訳程度に羽織った筋骨隆々の背中は山脈だ。それを目掛けて、放てるか――。

 ――腕一本で世界の敵を撃てるなら、安いものです――。

 指先に力を籠める、と同時に腕の中でぷちんと何かが切れてしまったが、指先は意地で引き込んだ。銃口より放たれた光の弾丸は一直線にプレジデントへ落ちていく。
 一筋の流星が山脈に突き刺さった。ジャケットにはクレーターのような穴が開き、左肩に弾痕がくっきりと残る。
 プレジデントは葉巻を噛んだまま、ふぅーっと細く煙を吐いた。
「……お見事」
 賛辞はアウレリアには届かない。もうプレジデントの手が届かぬところまで、音を置き去りにして過ぎ去ってしまったのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エドゥアルト・ルーデル
大統領魂見せつけてきそうスね

拙者的には物量で攻められる方が対処は楽でござる、むしろあるとあるだけ嬉しいっていうか…
見なさい、【大統領の軍勢】が出れば出るほど世界の処理が狂って【物理演算の神】が一つに固めていくでござるね
美しい…兵器がイビツに固められてく様はまさしく神の芸術でござる…アメリカに因んで『最良の自由』号と名付けるでござる

こいつは神の支配下、つまり敵味方関係なく攻撃するでござるよ!拙者ももうやばいと思う
でも大将猪首を取りやすいのはこういう乱戦でござるよね!最良の自由号に必殺ヌカッとしたランチャーをドーン!
戦場を更に混沌にして荒らしてから狙撃でプレジデントの頭に熱々の銃弾をプレゼントだ!



●エドゥアルトVSプレジデントVS物理演算の神
 一発もらった――いや、受け取ったと表現するのが正しき形か。先は己の限界に挑んだ猟兵と相見え、今はどこぞの傭兵を自称するエドゥアルト・ルーデル(黒ヒゲ・f10354)と相対している。プレジデントはかつての大統領という肩書を背負っているが、エドゥアルトが言う傭兵というのも似たようなものなのだろうか。
「君には私の軍隊をお見せしよう。我が国ではなく――正真正銘『私の』軍隊さ」
「うわ、見せつけてきたでござるなー大統領魂。二度言うのがミソでござる」
 プレジデントが両手を広げる仕草を見せると、3D映像が具現化するように、軍服を着た大統領の軍勢がずらりと並んだ。両肩に階級章、左胸にはバッジが輝き、右腕に国旗を縫い込んだ如何にもアメリカンな軍勢は即座に機関銃を構えてくる。
「おっと蜂の巣は勘弁でござるよー……しかし、この数は実にまずいでござるなー……神が。神が出てきてしまいますぞー!」
 エドゥアルトは天を指差す。するとそこに現れたのは神の御手か。端からぐちゃりと寄せ集められて宙へ攫われた軍勢は体の自由を奪われて、粘土細工よろしくグネグネと絡み合いながら合体していく。腕やら足やら胴体やらが捻り捩じられ曲げられてある種モザイクアートのような球体が出来上がっていた。
「ふむ、君もまた、なかなか面白い力を持っているようだ。『どこまでいけるか』、力比べといこうじゃないか」
 プレジデントは呑み込まれると分かってなお、軍勢を召喚し続けた。出せば出すほど物理法則の狂った世界で塊は大きく膨れ、混沌を加速させる。
「美しい……兵器がイビツに固められてく様はまさしく神の芸術でござる……。アメリカに因んで『最良の自由』号と名付けるでござる」
 最良の自由号、それはプレジデントの誇り高き大統領魂とエドゥアルトの天真な信仰心が生み出した傑作――であるが、どこの世界にも著作権とかいう面倒臭いものがあるのである。
 つまり物理演算の神が生み出した巨大な球体は、プレジデントの軍勢をいくら使おうとも、エドゥアルトがいくら名付け親を主張しようとも、その球体は物理演算の神の制御下にあった。
 物理演算の神とは敵ではないが味方でもない。中立的第三者――故に、塊の中で機関銃がぶるりと震え出すのを見てエドゥアルトは酷く冷静になった。
 一言で言えばウニがその針をミサイルの如く発射したような。球体の全面から機関銃が火を噴いて地上を地獄に変えていく。物理演算の神は手毬遊びよろしく球体をぼよぼよ跳ねさせていて最早誰にも予測がつかない。
「ほう、こうなるか……」
 プレジデントは両手のアームガジェットを盾代わりに、あらゆる角度を突いて飛んでくる銃弾を握り潰していた。物理演算の神は相当なはっちゃけぶりだが、一切退かないプレジデントの立ち回りからは風格が漂っている。
「拙者、主人公補正とは縁が薄い故……ぅおっふっ!」
 直進してくる弾丸のほうが珍しい狂気の弾幕の中をエドゥアルトは駆け回っていた。ヘルメットを押さえて必死風の逃走劇を繰り広げていたところへ目の前から銃弾が直角に曲がり飛んできて、背骨が円を描きそうなほどに体を仰け反らせて間一髪、回避する。
「神もお茶目が過ぎるでござるが……大将猪首を取りやすいのはこういう乱戦でござるよね!」
 仰け反った拍子に見てしまった。銃弾を受け続けるプレジデントは思いの外手一杯。さすが物理演算の神は格が違った。
「最良の自由号……お主の勇姿はおそらく寝て起きたら忘れてるでござるが!」
 今だけはその目に焼き付けて、エドゥアルトはヌカランチャーから特殊弾をぶっ放した。薄い煙を上げながら最良の自由号の中心を目指した特殊弾は絶妙に開いていた軍勢の隙間から内部へと入り込みヌカッと爆発、内部からさらに混沌をぶちまけて戦場を邪悪に変えていく。
 吹き飛ばされた軍勢が空中で回転しながら弾丸をばら撒き続けた。回転に回転を重ねて弾幕は螺旋を描きながらプレジデントの元に集まっていく。
「これは、なかなか……」
 プレジデントは腕の動きに自らの回転を加えて銃弾を捌く。何故捌けるのかは謎でしかなかったが、最早エドゥアルトに構う余裕はなくなっていた。これ幸い、隙に乗じてエドゥアルトはライフルを持ち出し、意味不明な竜巻の中央部に向けてドンと一発。
「――ぬぅ!?」
 エドゥアルトが放つ素直な弾丸は却ってプレジデントの虚を突いた。照準は眉間に合っている――気づいたプレジデントは咄嗟に首を反らしたが。
 髪の生え際から分け目を削ぎ落とすように頭部を貫通し、プレジデントの動きが一瞬止まったところへ神の手遊び、機関銃の奇天烈弾丸が注ぎ込まれた。陸に揚げられた魚のように体を跳ねさせながらプレジデントは後退と前進を繰り返す。
 弄ばれた数秒間。瞬く間に過ぎた時間は、しかしプレジデントにとっては己を悟るに十分長く。
「ふっ……くく、神か……私も随分と、小さくなってしまったものだ……」
 一国を率いたはずのしがないナイスガイは、何故か愉快そうに己の矮小さを笑っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

バルタン・ノーヴェ
POW アドリブ連携歓迎

OK、ならばワタシはメイドに恥じぬバトルをお見せしマショー!
ゲリラコマンドのように、ワシントンD.C.の建物の中や地下通路を通って行きマース!
航空戦力や戦車のような大物を相手にせず、歩兵を返り討ちにして進む訳デスネー!
どれほど大量の軍勢とはいえ、戦場を限定されれば上限があるというもの。
ファルシオンやガトリングガンで薙ぎ払いマース!

プレジデントのいる場所へ到着すれば、すかさずUC発動デース!
「カモン、バルタンズ!」「バルルー!」
戦力の逐次投入などしマセーン!
現地にて最大数の戦力をぶつけるのが最適解でありマース!
バルタンズにお駄賃を払って、護衛共々プレジデントを襲撃デース!



●ある時はゲリラコマンド、而してその実体は
 バルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)はワシントンD.C.郊外から地下鉄の路線に入り、闇深まる世界を進んでいた。プレジデントが待ち受ける場所へ正面切って向かうわけがない、という発想はやはり真っ先に考えるもの。
 戦車だか航空機だか、大統領の軍勢ならいくらでもあるのだろう。しかし地下の限られた空間ならば、それも威力は発揮すまい、と。
 突き進む先に現れたのは大統領の軍勢、その歩兵集団。バルタンを見つけるや否や機関銃を構え、段違いに組み重なり剣山のように突き出た銃口から多量の弾丸を吐き出してきた。
 狭いというのは互いの不利益。プレジデントの軍勢が制限されるのと同じように、バルタンの逃げ場も制限される。文字通り退けぬ戦い。バルタンはファルシオンとガトリングガンの異種二刀流にて迎え撃った。
 弾丸をファルシオンで弾きながらガトリングガンを撃ち回る。刃と銃身はかち合わないのが不思議なまでに目まぐるしく動き回り、バルタンは壁すらも地上のように走りながら歩兵集団を薙ぎ払い、道を切り拓いていく。
 倒れる歩兵に代わるように、バルタンの進路には新たな歩兵が出現していた。無尽蔵に増え続けているように見えて、それはある上限で戦力が止まっていることも意味していた。
「斬らねば増えぬ、というのは無理そうですカラネー、この程度は必要経費としマショー」
 捕まれば一巻の終わり。大胆さの中にも慎重さを共存させ、バルタンは迫る歩兵を斬り捨てていく。
 線路から地下鉄のホームに登り、歩兵集団が雪崩れてくる階段をひたすら駆け上がる。足場としては安定しない階段は下る側の不利だ。勢いに乗れず足を止める歩兵達をバルタンは勢いに任せてガトリングガンを斉射し、足を撃たれて転がってきたところを掬い上げるように捌いてさらに上を目指す。
 地上への出口の看板の下に歩兵が湧いた。プレジデントはその先に。バルタンはガトリングガンを横殴りに叩きつけて歩兵を強引に捻じ伏せると、光が見えたと同時に、
「カモン、バルタンズ!」
「バルルー!」
 召喚したのはバルタンのシークレットサービスたるミニ・バルタン達。プレジデントのような小出しではなく、最大数、最大火力を瞬間的にぶつける算段だ。
「歩兵だけでは退屈だったろう……私が直々に相手をしよう」
 果たして、プレジデントはそこにいた。弾痕を無数に残していたが、未だ脅威たり得る力を残している。対しバルタンはお駄賃をばら撒き、ミニ・バルタン達の戦力を増強し特攻を仕掛けた。
 過剰な腕力を雷として纏う青のアームガジェットが唸りを上げてミニ・バルタン達に振るわれた。まるで蟻を踏み潰すかのような傲慢な一撃だが、ミニ・バルタン達も負けてはいない。吹き飛ばされまいとアームガジェットに食らいつき、雷を身に浴びながらもプレジデントの腕を上り始めている。
「この手の類は接合部が弱いと相場が決まってマース!」
 バルタンがプレジデントの裏へと回り込む。狙うは赤のアームガジェット。どれだけ頑丈かは知らないが、その付け根に刃を叩き込めば――。
 プレジデントとて易々と攻撃を許すわけにはいかない。狙われた赤のアームガジェットで裏拳を放つ。だがバルタンを追う途中で何かに阻まれたようにがちりと腕が止まってしまった。
 足が動かない。見るまでもなくそこに居たのはミニ・バルタン達で、残った者達が総出でプレジデントの両足を固めていた。
「――ここまでやるとは」
「そろそろ年貢の納め時、ってやつデスネー!」
 左腕にはミニ・バルタン達、右腕にはバルタン、とお揃いのファルシオンを振り上げて、アームガジェットの付け根を一突き。雷がショートしたように弾けると、ボゴンとアームガジェットが爆発を起こした。
「おぉぉ……!」
 プレジデントが初めて苦悶の表情を見せる。だが葉巻は落とすまい、と食いしばり、バルタン達が織り成す猛攻に耐えていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

マリア・ルート
歓待どうも。でも私達はあんたの仲間になりたくて来たわけじゃない。

――さあ、クーデターを始めましょう。

軍勢は『威圧』で怯ませつつ、『オーラ防御』『激痛耐性』による防御と『野生の勘』『残像』による回避をしてUC発動可能までの『時間稼ぎ』をするわ(『継戦能力』)。

発動可能になったら軍団とミッドレンジの距離に陣取り【指定UC】発動。
『早業』と合わせて武器の8割ほどを軍団の処理に費やし、残りの2割をプレジデントにぶつけるわ!
あいにく、軍団なら私も呼べるのよねっ!それも、私に従順なっ!

おあいにくさまプレジデント。
あんたに不信任案を叩きつけてやるわ――これが私のクーデターよっ!



●力の解放の術を諸君はもう知っている
「歓待どうも。でも私達はあんたの仲間になりたくて来たわけじゃない」
 マリア・ルート(紅の姫・f15057)は毅然とした態度で言ってのける。その先にいたプレジデントは猟兵達との交戦で押され、今やグリモア猟兵が語ったような威勢は見られない。
「私としても……君を満足に歓迎できぬことを……詫びるとしよう……」
 アームガジェットがショートしてプレジデントの両手は痙攣していた。だが闘志は消えておらず、長い煙を吐き出しながらマリアを見据える。 
「しかし……世界を懸けた戦いに、負けるわけには……いかないのだよ。『プレジデント』の名を背負う限りは……!」
「……くだらない。あんたが『プレジデント』の世界だなんて真っ平御免よ!」
 信念が真っ向からぶつかり合う。最早言葉は不要――プレジデントが召喚するはありったけの大統領の軍勢だ。正面に固められては屈強な姿も遠く見える。機関銃を手にした軍勢は絶えない足音と共に進軍しながら集中砲火を浴びせにきていた。
「――っ!」
 予備動作も何もなく、即座の召喚に機を奪われたマリアはオーラを張るのがやっと。それでも弾丸が集中すると針を突き刺すような衝撃がオーラを支える腕に響いてくる。マリアは激痛を堪えながら弾丸の雨より逃れる道を探す。
 軍勢の行動パターンを把握するには、その前にオーラが破られる――直感したマリアはとにかく足を動かした。右に体を振り、軍勢が動けば次は左と揺さぶりながら、残像を作り上げて照準を外す。
 強烈な弾丸とて当たらねば意味がない。軍勢は統率が取れていたが、先を読む力が薄かった。弾丸がオーラの端を掠め、また何もない空間を通過していくことが多くなりマリアに反撃のチャンスが回ってくる。
 マリアは後方、的にならぬよう斜め移動で十分な距離を取ると、プレジデントのお株を奪う早業で頭に浮かべた武器を宙に埋め尽くした。剣、槍、斧、矛――想像できる限りの武器は優に500を超え、それらは全てがマリアの思うままに動くのだ。
「あんたは見たことある? 目の前を埋め尽くす、武器の大群を」
「それは……私が『プレジデント』と知って、言っているのかね……?」
「当然。どれほどの武器を知っていたとしても、『それらが牙を剥く』軍団は見たことないでしょ? これは私に従順な軍団――プレジデント、あんたに不信任案を叩きつけてやるから覚悟しなさい!」
 武器の大群は二つの集団に分かれて飛翔する。数にして400強の武器集団がまずは機関銃の軍勢に襲い掛かった。彼らの視界を埋め尽くす威圧感は一瞬機関銃の存在を忘れさせるほど。そこへ殺到する刃が軍勢を斬り裂き、また貫いて着実に数を減らす。
 他方、残りの武器群はプレジデントへと差し向けられていた。全盛期のプレジデントであれば100余りの武器など余裕で捌けていただろうが、今やアームガジェットも使い物にならず、足技に頼らざるを得ないがどうしても手数が落ちる。
「くっ……こうも手玉に取られるとは……」
 数を減らしていく軍勢に回すリソースが奪われていく。斬撃が厚い胸板を裂き、刺突が軸足を穿って機動力を削ぐ。半ば重りのように振り回していたアームガジェットにはいくつもの刃が隙間に刺さり、その機能を完全に失わせていた。
 軍勢は機関銃の存在を思い出して宙に放つが、武器群は銃弾を全く受け付けない。マリアがその力を信じている限り、無敵の力を発揮するのだ。
 そして軍勢の最後の一人の首が狩られ、いよいよプレジデントが一人残される。マリアが従えるは、それこそ本当にプレジデントの視界を埋め尽くしてしまうほどの武器集団。切っ先が、銃口が――世界平和のための鋭利な意志が突き立てられようとしていた。
「これが私のクーデターよっ!」
 全てをプレジデントに殺到させた。肉の一片も残さぬよう、あらゆる箇所を刻み、突き潰していく。アームガジェットが機能していれば防衛手段もあっただろうが、消耗しきったプレジデントにはもう受け止めることができなかった。
 甘んじて刃を受けた。猟兵達の覚醒を望む素振りを見せていたプレジデントにとって、マリアが持つ全力を一身に受けたことは、プレジデント自身が望んでいたことなのかもしれない。
「杞憂……だった、ようだ、な……もう、間もなく、諸君は、高みに……至るだ、ろう……」
 どん、と大の字に倒れたプレジデントはうわ言のように呟きながら、その体を骸の元へと返すのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年09月16日


挿絵イラスト