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アポカリプス・ランページ⑰〜ファストフード星人の襲来

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#9/12シナリオ公開


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●グリモアベース
「皆さん、フィールド・オブ・ナインのうちの一体、『プレジデント』の出現地点がわかりました。今すぐ向かってください!」
 紡木原・慄(f32493)は、緊急招集に応じてくれた猟兵たちに任務の説明を始める。
 アポカリプスヘルのカタストロフを目論む6体のフィールド・オブ・ナイン。
 今回の依頼はそのうちの1体、プレジデントを倒すことだ。
「要するに、厄介な敵は倒せるうちに倒しておくのが賢明ということです。その敵が一筋縄ではいかないわけなのだけど……」
 慄は眉をひそめると、プレジデントの能力の詳細を語る。
「プレジデントはユーベルコードで公文書に記載されたあらゆる事象を具現化することができるの。この能力を使えば軍隊でもテロリストでも宇宙人でも思うがままに召喚できる……本当におそろしい能力ですよね」
 プレジデントはその能力で『ユーベルコードによる大統領の軍勢(プレジデントアーミー・バイ・ユーベルコード)」』を創造し、その圧倒的な軍事力で猟兵たちを一網打尽にするつもりのようだ。
 既に敵軍は臨戦態勢を整えており、街並みだけが完璧に復興された無人のワシントンD.Cの国立公文書記録管理局の前に軍勢を結集させている。
「おそらく敵は現場に到着して早々に先制攻撃を仕掛けてくるはず。くれぐれも用心してくださいね」
 慄はそう最後に言い添えると、猟兵たちをプレジデントとの決戦の場へと送り出すのだった。

●ファストフード星人
 コロンビア特別区「ワシントンD.C」。
 そこは街並みだけが完璧に復興され、無人の都市となっていた。
 プレジデントは国立公文書記録管理局(アーカイブス・ワン)でデータを閲覧しながら、アメリカの国民食ともいえるホットドッグとハンバーガーを猛烈な勢いで貪っていた。
「安くて早くて高カロリー。短時間で食べられてすぐに満腹になる。この合理主義こそが我が国の美点なのだろう」
 プレジデントは独りごちると、ホットドッグ二つをまとめて口の中に放り込み、あっという間に平らげてしまう。
「これは……」
 何気なく目に留まったのは『ファストフード星人』と呼称される異星人が捕獲され、秘密裏に実験・処理されたとの記録だった。

 UFOの墜落現場で回収された異星人は不定形生物で、分裂によって個体を増やし、食べた料理に擬態する機能を有していた。
 この異星人は驚異的な食欲でファストフードを大量に食し、ホットドッグやハンバーガー、ピザなどに擬態したことから「ファストフード星人」と呼称されるようになったという。
 国家航空宇宙局ではファストフード星人の軍事利用が秘密裏に研究された。
 行われたのは人為的に分裂を促して個体数を増やし、軍事的に有用な姿に擬態させる実験。
 それは「ホットドッグ・アーミー」と「ハンバーガー・ガーディアン」という二つの成果を生み出すことになる。
 ホットドッグ・アーミーは瞬発力・機動力に優れた歩兵である。
 ハンバーガー・ガーディアンはエアバッグのように瞬時に膨張し盾になる肉壁だった。
 いずれもゴムのような弾力性を持ち耐久性にも優れていたことから実戦配備も検討されたが、無尽蔵な食欲と繁殖力が危惧された。結局、焼却処分が決定。サンプルの細胞は凍結保存されることとなった。
「ホットドッグ・アーミーは擬態したまま固有の技を使用する。マスタード・ボム、ケチャップ・スプラッシュ……クククッ、これは使えるね」
 ちなみにマスタード・ボムは粘着性のある黄色い液体を封入した砲弾を口から発射し、敵の動きを阻害する技。
 ケチャップ・スプラッシュは激辛の赤い液体を指先から発射し、目潰しする技だった。
 そして、プレジデントはホットドッグ・アーミーとハンバーガー・ガーディアンで『大統領の軍勢』を結成することを決める。
 なんかネタっぽいぞ。それでいいのか、プレジデント。そんなツッコミも聞こえてきそうだが、彼は大真面目だった。
 実際、見た目とは裏腹にファストフード星人は手ごわかったりするのである。


刈井留羽
 こんにちは。刈井留羽です。お忙しい中、お越し下さりありがとうございます。
 今回のシナリオも一話完結の戦争シナリオとなります。

 戦闘の舞台はワシントンD.Cの「国立公文書記録管理局(アーカイブス・ワン)」前と、その周辺の道路や広場です。
 プレイングボーナスは「大統領の軍勢による先制攻撃に対処する」ことです。

 「大統領の軍勢」は「ファストフード星人」となります。
 ファストフード星人はホットドッグ・アーミーに擬態した状態であり、アーカイブス・ワン周辺の通りを占拠しています。
 到着して早々、ホットドッグ・アーミーが濁流のように押し寄せてくるため、猟兵たちは先制攻撃を受けることになります。

 ホットドッグ・アーミーは手足が生えたホットドッグ型をした、人間サイズの歩兵です。
 とにかく大量にいるので、すぐに対処しないと大混雑になります。
 また、ゴムのような体で衝撃を吸収できるので打たれ強いようです。

 したがって、プレイングのポイントは以下の二つとなります。

 ①押し寄せてくるホットドッグ・アーミーに対処する。
 ②ユーベルコードを警戒しながらプレジデントを攻撃する。

 ちなみに、プレジデントのユーベルコードは下記の通りです。

 POW:ハンバーガー・ガーディアンが壁のように立ち塞がります。
 SPD:自動拳銃で武装したブラックスーツの男たちが出てきます。
 WIZ:プレジデントの周囲に配置された戦車に砲撃されます。

 シナリオ公開後、すぐにプレイング受付開始。3日程度を目処に可能な限り採用を目指します。
 プレイング受付状況はタグをご参照ください。それでは皆様のプレイングを心よりお待ちしています!!
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第1章 ボス戦 『プレジデント・ザ・マスディレクション』

POW   :    プレジデント・アーミー
レベル×1体の【大統領の軍勢】を召喚する。[大統領の軍勢]は【アメリカ】属性の戦闘能力を持ち、十分な時間があれば城や街を築く。
SPD   :    プレジデント・セキュリティ
レベル×1体の、【眼球】に1と刻印された戦闘用【アメリカ合衆国シークレットサービス】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
WIZ   :    アーマード・ディヴィジョン
【かつてのアメリカ軍の最新兵器】で武装した【精鋭アメリカ陸軍兵】の幽霊をレベル×5体乗せた【戦車部隊】を召喚する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●プレジデントの軍勢
 コロンビア特別区『ワシントンD.C』。
 国立公文書記録管理局(アーカイブ・ワン)の周辺は、ホットドックに擬態したファストフード星人の軍勢に埋め尽くされていた。その数は数千にも上るかというほどだ。
 圧倒的な物量による厳戒態勢。アーカイブ・ワンの周辺を通る四本のメインストリートの路上は、四肢を持つホットドッグによって占拠され、「ホットドッグの大河川」といった様相を呈していた。
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友

第二『静かなる者』霊力使いの武士
一人称:私 冷静沈着
武器:白雪林

それでいいのですか、プレジデント。
先制対策として、四天霊障に氷雪属性を纏わせ、それでの押し潰しや結界構築を。さらに霹靂に騎乗して空中機動。
…弾力や粘着って、寒冷とかに弱いんですよね。

さて、まあ凌ぎましたら【四悪霊・『解』】を。これで敵数の多さは私の方の利点になります。
ええ…奪った分に比例しますので。

ですから、時代遅れとも言える弓での攻撃も当たるのです。
氷雪属性の霊力矢で貫通攻撃。盾にしようと無駄ですし、仙術によって途中で曲がりますのでね。
そして、敵は不運。避けた先に矢が、というのもあり得る話です。



(これは剣呑な光景ですね。さて、どうしましょうか……)
 アーカイブ・ワンの南側に位置するコンスティテューション通り。
 その南側に広がるナショナル・モールの緑地帯に素早く身を潜め、馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)は敵軍の様子を静かにうかがっていた。今の彼は冷静沈着な霊力使いの武士『静かなる者』である。
――見つけたぞ! 行け、ホットドッグ・アーミーよ。あやつにアメリカのソウルフードをたらふく食べさせてやるのだ!
 拡声器を通したプレジデントの声が響き渡る。ソーシャルネットワークを通じてすべてのホットドッグ・アーミーに位置情報が伝達され、周囲がにわかに騒がしくなる。
 すると、義透は緑地から颯爽と飛び出し、コンスティテューション通りの真ん中で臨戦態勢を整える。
 彼を発見し正面から進軍してくるのは、筋骨隆々の手足を振り乱し、ワイルドに疾走するホットドッグ宇宙人の軍勢。
 全身から湯気を発し、主君の命令を完遂するために冷酷な瞳で正面を見据えている。その様はプレジデントの忠実な軍隊そのものだ。
(……確かに数は多いですが、所詮は雑兵の群れに過ぎません。我らなら絶対に止められます。そうでしょう?)
 静かなる者が3悪霊に同意を求めると、四天霊障が全身からドバッと噴き出し、さらに敵の突貫を押し止めるべく、強力な結界が展開されていく。
 そして、完成する防護壁。ホットドッグ宇宙人たちはそれに気づかず濁流の如く、押し寄せてくる。
――バチッ!
 見えない壁に弾かれ、後方に押し戻されるホットドッグ・アーミー。
 そこへ襲いかかるのは氷雪属性の霊力を纏う四天霊障。
「フギィイイ!!」
 霊障の直撃を受けたホットドッグ宇宙人たちが悲鳴を上げ、寒さと恐怖でガタガタと震えながらしゃがみ込み、動きを止めた――。
 敵陣の前衛を無力化。そして、義透は自らの影に呼びかける。
「さて、霹靂、参りましょうか」
 招請に応じ、影の中から飛び出したのは、ヒポグリフの『霹靂(かむとけ)』。
 義透は金色混じりの美しい翼を広げる霹靂に飛び乗り、大空へと飛び立つ。
――早く撃ち落せ! こちらに近づけるな!
 上昇する敵を発見し、プレジデントが鋭い声で指示を飛ばす。
 すると、後方のホットドッグ・アーミーが一斉に口を開き、マスタード・ボムの砲弾を発射する。
 低空弾道で飛翔する砲弾。それは空中で炸裂し、大量の黄色い粘液を霹靂の周囲に撒き散らした。
 その刹那、義透は氷雪属性の四天霊障を周囲に放って冷静に対処。猛烈な冷気が飛来する液体を瞬時に氷結させ、無数の氷の粒へと変えていく。
(水は凍らせれば、雪へと変わります)
 黄色い雪が舞い散る中で、義透はユーベルコード「四悪霊・『解』」を発動させ、呪詛を解放した。
 雪のように降り注ぐ呪詛。それは敵陣の中を徐々に広がっていき、生命力と運気、霊気を根こそぎ奪い去っていく。
 生命力を失い倒れ伏す者。運気を失い自滅する者。誤って仲間を攻撃してしまう者まであらわれる。
 そして、大混乱に陥る『大統領の軍勢』を尻目に、義透は上空からプレジデントを見下ろし、『白雪林』を構える。
(あなたにとって弓は時代遅れとも言える武器でしょうが……これは簡単に躱すことはできませんよ)
 そして、義透はプレジデントに向かって氷雪属性の霊力矢を放つ。
「大統領! 我らの後ろに!」
 ブラックスーツの男たちが、プレジデントの前に壁のように立ち塞がり自動小銃を構える。
 あんな矢など我らの弾丸で撃ち落としてやる。男たちは一斉にトリガーを引いた。
――ドンッ!!
 激しい炸裂音。自動小銃の暴発が同時多発的に起こり、負傷した男たちが一斉にうずくまる。
 背後には肉盾を失ったプレジデント。咄嗟に横っ飛びをして躱そうとするも、矢はそれを追尾するように曲がり、左肩を穿つ。
「ぐわぁああ!」
 豪快な叫び声が上がる。だが、プレジデントはすぐに立ち上がると肩に刺さった矢を引き抜き、左肩を押さえながら苦悶の表情で空を見上げた。
 その視線の先には、二射目を射る寸前の義透の姿。プレジデントは脳裏をよぎる「絶望」の二文字を慌てて振り払うのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

桜井・亜莉沙
…なんだいこれは(困惑)
シュールな光景を見せることでこっちのやる気を削ごうとする大統領の策略かい…?

まずはホットドッグ・アーミーの大群をウィザード・ミサイルで処理
【高速詠唱】【多重詠唱】【全力魔法】で片っ端から炎の矢を撃ち込んで【範囲攻撃】で焼き払おう

ホットドッグ・アーミーを倒したらプレジデントを攻撃
周囲の戦車の砲撃からは建物や障害物を利用した【時間稼ぎ】で逃げ回りつつ反撃
攻撃と同時に周囲を燃やして逃げられる範囲を狭めていくよ
プレジデントへ攻撃を通せるチャンスが来たら【全力魔法】を【高速詠唱】で放つ

…『人はホットドッグとハンバーガーのみにて生きるに非ず』だ、ミスタープレジデント。


マキナ・エクス
アドリブ・他猟兵との連携歓迎

うんまあ、確かにアメリカを象徴するものだし、アメリカといえばと聞かれたら真っ先に候補に出てくるものではあるけれども…まさか得体のしれない宇宙人を軍事利用しようとする当たり流石アメリカというかなんというか…
まあ、とはいえそこそこ質のいいB級映画どまりだねこれは。

魔導糸を使用して【早業】【グラップル】で周辺の建物に立体起動して【滑空】し回避を試みる。UCを発動させて飛んでくる砲弾を矢に変換して相手にお返しする。

プレジデントまで近づけたらパイルバンカーで【貫通攻撃】【串刺し】にする。



●演説
 国立公文書記録管理院(アーカイブ・ワン)へと続く大通りは、ホットドッグ型に擬態したファストフード星人の巣窟となっていた。この奇妙な宇宙人的な存在もアメリカの公文書に記されているのだろうか。猟兵たちの誰もが思ったに違いない。そんな疑問に答えるかのように、プレジデントは拡声器を通して演説を始める。

――覇権国家たる我が国は、常に強国であらねばならない。それ故に我が国はどんなものでも軍事利用を試み、研究素材にする。たとえ、それが得体の知れない宇宙人であってもだ。その成果がこのホットドッグ・アーミーなのさ!

 宇宙人の軍事利用。アメリカの負の側面を具現化したような存在を目の当たりにし、マキナ・エクス(物語の観客にしてハッピーエンド主義者・f33726)は、薄っすらと嘲笑を浮かべる。
「……これじゃ、そこそこ質のいいB級映画止まりだね。物語のスパイスとしては面白い試みだとは思うけど……」
 自分が観ている『物語』を批評するかのようにつぶやくと、正面から突進してくる宇宙人たちを見据える。
 『演者』として参加するのは苦手だが、これも一つの物語。ハッピーエンドに導かねばとマキナは決意する。
 そして、突進してくる宇宙人たちを凝視し、ギリギリまで引きつけると、地面を強く蹴って跳躍。さらに空中で一筋の魔術糸をアーカイブ・ワンの西に建つ連邦政府庁舎へと射出する。
 建物の上階に向かって真っ直ぐに伸長する魔力を帯びた強靭な糸。その先端がピタリと外壁に接着すると魔術糸は収縮し、マキナの体を瞬時に宙へと引き上げた――。
 そして、ホットドッグの軍勢は突進の勢いのままに、マキナがいた場所を素通りした。
 敵はどこだ。宇宙人たちは周囲を見回すが、結局、突然消えた目標を見失ったままマキナの眼下を通り過ぎていく。
(ふぅ……後は隙を見てプレジデントに攻撃するだけだね……)
 鮮やかな『立体機動』で連邦政府庁舎の屋上に飛び乗り、敵の先制攻撃を回避したマキナは息を潜め、攻撃の機会をうかがうのだった。

●共闘
「……なんだいこれは? シュールな光景を見せることでこっちのやる気を削ごうとする大統領の策略かい?」
 大通りの中央に立ち、ホットドッグに擬態した宇宙人の軍勢を見て困惑の声を上げるのは桜井・亜莉沙(自称大魔術師・f26162)だった。
 宇宙人たちは鍛え上げられた上腕二頭筋をブンブンと大きく振り、競輪選手顔負けの立派な大腿筋を誇らしげに躍動させながら、押し寄せてくる。
 排除すべき敵を見据える冷淡な目は宇宙人のそれだったが、体はリアルなホットドッグである。そのミスマッチな容貌に面食らいながらも、亜莉沙は気を引き締めてウィザードロッドを構える。
 私は大魔導師。この程度の敵に負けることはない。
 強い自信が亜莉沙の瞳に宿り、高速での詠唱、さらに、詠唱を深化させ強力な魔法を紡いでいく。
 そして、魔力が集束し、完成したのは炎の魔法。虚空に召喚された300本以上の炎の矢がビュンと風を切り裂き、勢い良く飛んでいく。
 対するホットドッグ兵団は燃え盛る炎の矢の大群を目前にしても、止まらなかった。
 当然、そのまま炎の矢と激突する。
――ボンッ!!
 敵陣の前衛に無数の炎の矢が突き刺さり、ホットドッグ兵は瞬時に発火。
 燃え盛る炎に体を焼かれ、超特大の粗挽きソーセージがパチパチと弾け、食欲をそそる匂いを周囲に発散させながら燃え尽き、倒れていく。
「匂いまで再現するとは、すごい擬態能力だ。もしかしてこれも大統領の策略なのかい?」
 食欲をそそる匂いには、空腹を促す作用がある。
 腹が減っては戦はできぬ。当然、戦意も下がるだろう。結果、戦況が有利に傾く。
 亜莉沙の脳裏にはそんな策略が思い浮かぶ。
――我が国のソウルフードは匂いも最高だろう。腹が減ったなら、食べてみるかね。ホットドッグは美味いぞ!
 拡声器を通したプレジデントの声が響く。やはりそんな意図があったらしい。本当かよ。
 ツッコミが入りつつも、亜莉沙はシンプルな考えに至る。それなら匂いごとすべてを焼き払えばいい。
 そして、炎の矢を増産してホットドッグ兵団へと放つ亜莉沙。高火力で焼かれた特大のホットドッグはすぐに丸焦げになり、徐々にその数を減らしていく。
 ところが……。
 ドォン!! 空気を激しく震わす砲撃音。プレジデントが召喚した戦車部隊が砲撃を開始したのだ。 
 高速で飛翔する幾つもの砲弾。それは最新鋭の戦車にも搭載される「対戦車榴弾」だった。
 そして、砲弾は地面に着弾すると、猛烈な爆風と金属片を周囲に撒き散らす。
 亜莉沙は咄嗟にシュバっと飛び退いて難を逃れたものの、ホットドッグ兵の何体かが爆風に巻き込まれ、吹き飛ばされる。
(味方がいてもなりふり構わずか……直撃を受けたら無事では済まないかもね)
 大分ピンチだがポジティブに動く。亜莉沙は得意の逃げ足を活かし、建物や障害物に身を隠しながら砲弾から回避し続けるも、戦車部隊の砲撃はさらに激しくなっていく。
 そして、ついに逃げ場がなくなり、対戦車榴弾が複数の戦車から同時に発射され、四方八方から亜莉沙に襲いかかった――。

――偽典閲覧、伝承認識、神具構築。汝月の女神の威光を見よ!

 上空から降ってくる詠唱の声。すると、砲弾が空中で突然静止し、柔らかな光を発しながらその形状を「銀の矢」へと変えていく。しばし呆然とする亜莉沙。すると、空から魔術糸による立体軌道でマキナが急降下してくる。
「砲撃は私がなんとかするよ! 君は邪魔なホットドッグを倒してアーカイブワンに向かって!」
 早口で要件を伝えるマキナ。事態は一刻を争う。そんな雰囲気が感じられた。
 亜莉沙は大通りを進軍してくるホットドッグ兵団を神妙な顔で見据える。
「……わかった。砲弾はキミに任せる。私はこのまま大通りの敵を蹴散らして前に進むよ!」
 こうして即席のコンビが結成され、マキナは魔術糸を再び近くの建物に放ち、宙に飛び上がる。
 その目的は上空からの索敵。建物の間を糸を使って素早く行き来しながら戦車の配置を把握すると、一定間隔で打ち出される砲弾をユーベルコード『偽典神話・月の女神の矢』で銀の矢に変化させ、戦車に向かってはね返す。
 だが、敵は装甲がぶ厚い戦車。決定的なダメージは与えることはできなかった。
 予想以上に頑丈な敵に焦りを覚えるマキナ。すると、一本の矢が直撃し、戦車の後部で爆発が起こる。
(機関部は後ろか……それなら!)
 メカニックの知識を活かし戦車の急所を見抜いたマキナは、銀の矢の狙いを後方の機関部に絞る。
 すると、銀の矢が次々に機関部に命中して爆発。戦車部隊は一発で機能停止に追い込まれていく。
――あんな女一人に何を手を焼いているんだ! こうなったら増援だ!
 戦車部隊の大半を失ったプレジデントが憤怒の形相で空中の敵を睨みつけ、戦車を補充しようとした――そのときだった。
 ゴォオオオ!! 突然吹きすさぶ熱風。プレジデントの眼前は一瞬で炎の海へと化していた。
 そして、炎の背後から現れたのは、亜莉沙だった。
「人はホットドッグとハンバーガーのみにて生きるに非ずだ。ミスタープレジデント!!」
 チェックメイト。亜莉沙がウィザードロッドを振り上げると大量の炎の矢が召喚され、一斉にプレジデントを襲撃する。
 寸前で両腕を顔の前で交差させ、ガードするプレジデント。
「ぐぉおおおおおお!!」
 獣のような雄叫びを上げ、プレジデントは全身に火傷を負いながらも、仁王立ちしたままなんとか耐え凌いだ――。
 だが、彼は防御に集中していたせいで空から急降下してくる一つの影に気づいてはいなかった。
「次は私だ!」
 ドゴッ。マキナのパイルバンカーが無防備な腹部を穿ち、激烈な衝撃がプレジデントを襲う。
「ぐがっ!!」
 直撃。二人の連携攻撃を受けたプレジデントは血反吐を吐き、腹部から流血しながら、アーカイブ・ワンの壁をぶち破り、建物の内部へと吹き飛ばされていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

セツナ・フィアネーヴ
想像していた「ほっとどっぐ」と違ったが……
正直、あまり直視したい光景じゃないな……

『竜神機ケラヴノス』を呼び、その手に乗って空中へ離脱、そのままケラヴノスの力(天候操作)で嵐を起こし、暴風(吹き飛ばし)と雷(マヒ攻撃・目潰し)、並びに嵐そのものを結界として、ケラヴノスを駆り敵軍団の外縁を飛行・攻撃を回避しながら、精霊アリシアの結界の起点になる光点を配置していく。

光点で大きく周囲を囲み結界展開の準備が整ったなら、
嵐を敵を包むように起こして行動を抑え込み、
そのまま手近なホットドッグを打撃で結界内に叩きこんで隔離結界を展開、
UC【星を墜とすもの】で一挙に殲滅する……!

※アドリブ等歓迎です



 国立公文書記録管理院(アーカイブ・ワン)の周辺は、ホットドッグに擬態した不定形宇宙人の兵隊たちで埋め尽くされていた。空には雲一つなく快晴。照りつける日差しが大通りに大きな影を作っていた。

――飽食こそ豊かさの象徴! ホットドッグ・アーミーよ! ならず者たちに我が国のソウルフードをたらふく食べさせて、我が国の豊かさを味わわせてやるのだ!

 プレジデントの大仰な指示が響き渡り、ホットドッグ型宇宙人たちが全身から熱気を上げながら一斉に走り出す。
 リアルなホットドッグの体に、鍛え上げられた筋肉質な四肢。陸上選手のように激しく手を振り、ドドドドッと地響きを響かせながら全力疾走する様は大迫力だったが、暑苦しいことこの上なかった。

「あれが本当に『大統領の軍勢』なのか? 正直、あまり直視したい光景じゃないな……」
 大通りの中央で敵軍を見やり、セツナ・フィアネーヴ(f26235)は眉をひそめ、封竜槍アドウェルスを高く掲げる。
 すると、一陣の風が吹き、雷光とともに現れる竜神機ケラヴノス。セツナはその手を取り、空へと飛び上がる。
 対する敵軍は急停止して空に舞い上がるセツナたちを見上げると開口し、マスタード・ボムの砲弾を一斉に発射。数百の砲弾が飛来し、ケラヴノスに襲いかかる。
 その刹那、機体を渦巻くように突風が吹き、弾き飛ばされる砲弾。
――ゴゴゴゴゴ!!
 鳴り響く雷鳴。快晴の空はいつの間にか大きな雷雲に覆われ、雷光とともに地面に雷撃が迸る。
 そう、ケラヴノスは雷と嵐の力を身に宿す『雷霆の鋼機』。
 天候を操ることで暴風の鎧で身を守り、雷の矛で敵を足止めする力を持っていた。
(……行こうか、ケラヴノス!)
 空から断続的に振り下ろされる雷の矛に怯み、反撃の意志を削がれたホットドッグ・アーミーの一団を尻目に、セツナはケラヴノスを発進させた。ところが……。
――ドゴン!!
 突然の砲撃音。アーカイブ・ワンの周囲に配置されていた戦車部隊が攻撃を始めたのだ。
 轟音とともに迫りくる対戦車榴弾。戦車部隊にとって全高5メートルの機体は格好の的だった。
 だが、セツナは落ち着いていた。ケラヴノスに嵐を纏わせて弾道を変え、さらにジグザクに飛行することで、弾丸をスイスイと躱していく。
 そして、敵の追撃から逃れたセツナは、ケラヴノスに乗り敵が占拠する大通りを見下ろす。
(光点を設置するのは、味方がいない場所……それから建物に被害を与えないところがいいな)
 精霊アリシアの結界の起点となる「光点」の設置。ここは無人の街だが、この世界の住民のために建物は残しておいたほうがいいだろう。そんなふうに思案しながら「光の楔」を打ち込んでいく。
 そして、二つの大通りが交わる交差点を包囲するように光点を設置すると、セツナはアリシアを呼び出す。

「アリシア、行けるか?」
「抑え込む準備はできてます! やっちゃってくださいセツナ!」
「ああ………なら、手加減は無しだ…ッ!!!」

 そして、交差点付近に急降下したケラヴノスは、ホットドッグ型宇宙人の群れに突進。そのまま交差点へと叩き込みながら、ユーベルコード『星を墜とすもの(クラーゲン・トレーネ)』を発動する。
(このまま暴風で結界領域に一気に押し込む!)
 交差点を取り囲む楔が光輝を放ち、隔離結界領域が展開され、地面にこびり付いた汚れをこそげ落とすかのように、指向性を持った暴風が二本の大通りに吹きすさぶ。
 そして、交差点に雪崩込んだ宇宙人の軍勢の頭上へと飛来するのは、燃え盛る隕石群だった。
「ブギャァアアア!!」
 隕石によって完膚無きまでに押し潰されたホットドッグ型宇宙人たちは擬態能力を失い、赤黒い不定形生物の体に戻り、そのまま熱風を浴びて蒸発していく。 
 断末魔の絶叫。崩壊する宇宙人の遺骸。
 熱と蒸気が充満し、粉々に砕け散った無数の隕石片が舞う交差点は地獄絵図と化す。
 しかし、それはすべて隔離結界領域での出来事。外には全く影響はない。

――なんなのだこれは! 天変地異だとでもいうのか!

 突然の天災に見舞われたように困惑するプレジデント。
 彼の頭上には竜神機ケラヴノス。プレジデントは自分に差し迫る「天災」の存在にまだ気づいてはいなかった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

塩崎・曲人
成程、ホットドッグ
いやうん、オレも好きだよホットドッグ
「それでいいのか大統領」

ところで早く対処しないと大変な事にって言われたが
どうしろと?こちとら2本の手脚で殴る蹴るするだけの人だぞ??

しゃーねーから少数側のセオリー、乱戦狙いで飛び込みますかね
手近なアーミーを一人、足捕まえて
そいつをバット兼盾代わりにして暴れるぜ
「程よい弾力で振りやすくて結構!オラァ!」

なにせ衝撃吸収するから追加で出てくる黒服の拳銃も防げてお得
人権?食い物に人権はねぇ

「ところで大統領閣下、アメリカの代表ならモチ野球は知ってるよなぁ?」
UC【野良野球】起動
「野球しようぜ!テメェが的な!」
バットはコルクよりも良い弾力だ、最高だろ?



 国立公文書記録管理院(アーカイブ・ワン)の前の大通りを埋め尽くすホットドッグに擬態した宇宙人の軍勢。
 猟兵と宇宙人との熾烈な戦いにより、道路や周辺の建物の大部分が損傷し、瓦礫が所々に散乱していた。
 そんなカオスな戦場に現れたのは塩崎・曲人(f00257)だった。
「成程、アメリカと言えばホットドッグ! いやうん、オレも好きだよホットドッグ。安くてボリュームがあってウマいしな……って、オイ! それでいいのか、大統領! シリアスなボス戦が台無しじゃねぇか!」
 到着して早々に盛大なノリツッコミを決める曲人。
 そして、彼の声を聞きつけて現れたのは、熱烈な大統領支持者であるホットドッグ宇宙人部隊だった。
「キキキッ!! ダイトウリョウにマチガイナシ!!」
「オマエ、ダイトウリョウにイギをトナエルツモリか!」
「オマエのヨウナはヒコクミンは、ワレワレのセンセイコウゲキをウケルがイイ!」
 大統領支持者の宇宙人は、甲高い声で抗議の声を上げると臨戦態勢をとる。
――プレージデント! プレージデント! プレージデント!
 鳴り止まぬシュプレヒコール。体はリアルなホットドッグだが、手足がムキムキのガテン系宇宙人。瞳のない冷淡な目は機械のようである。なんとなく血の気が多そうだが所詮は宇宙人。チンピラとは相容れぬ存在なのだ。
「しゃーねーから、真面目に相手してやるぜ!」
 曲人は指の関節をポキポキと鳴らし、突撃してくる敵軍をじっと見つめる。
 すると、部隊を率いるように先頭を走るホットドッグ型宇宙人に目が留まる。
 そして、僅かに口元を緩めると、曲人は地面を蹴り敵陣に突っ込んでいく。
「オラァ!!」
 先頭を走る宇宙人に気迫がこもったボディブロー。
 敵が怯んだ一瞬を見逃さず、素早く両足首を掴み、バットのようにブン回す。
「ぶべっ!!」
 潰されたような声を上げたのはバットにされた宇宙人。
 強靭かつ弾力性抜群のボディに横腹を激しく打ち据えられ、前衛のホットドッグ数体が弾き飛ばされる。
 すると、唐突に敵軍の突進が止まった。
 よく見ると宇宙人たちは曲人から一定の距離を取ったまま様子をうかがっていた。
 予想外の攻撃に怯んでいるのだ。おいおい、マジかよ、コイツ。そんな雰囲気である。
「オマエ、リーダーにナニをスル!!」
「リーダー? ここにあるのはただの『バット』だぜ。そんなことはどうでもいいから、早くかかってこいよ!」
 既に気絶している「バット」をブンブンと素振りして見せる曲人。
 すると、宇宙人たちの二つの目が赤と青に点滅する。
――コロス! コロス! コロス! コロス!  
 機械的に連呼される言葉。それは同族を冒涜されたことへの本能的な怒りだった。
 要するにガチギレ状態なのである。 
 そんなわけで自らの手で敵を屠ろうと、我先にと襲いかかってくるホットドッグ・アーミー。
 もうこうなると、ただの喧嘩と変わらなかった。
「キィイイイ!!」
 豪腕を振り上げ、奇声を上げながら次々に殴りかかってくるホットドッグ宇宙人。
 曲人はその単調な攻撃を余裕で躱し、「ホットドッグバット」の殴打を次々に叩き込んでいく。
「このバット、程よい弾力で振りやすくて結構! オラァ!」
 喧嘩の基礎は頭をクールに保つことだ。冷静さを失った愚か者たちに勝ち目はなかったのである。 
 そして、宇宙人たちとの乱戦を制した曲人は悠々と通りを進み、アーカイブ・ワンへと殴り込みをかける。
 すると、立ち塞がるのは自動小銃を構えた黒服の男たち。彼らは一斉にトリガーを引き、鉛の弾丸を連射。曲人は咄嗟にホットドッグを立てて正面に突き出す。 
 弾力性抜群の「盾」にぶつかった弾丸は跳弾となり、黒服の男たちに容赦なく襲いかかる。
「うぎゃ!」
 次々に上がる悲鳴。男たちは自分が撃った弾丸を急所に受けて倒れていく。
 そして、残されたのはプレジデント一人だった。
「貴様、人を盾にするのは人権侵害だと教わらなかったのか?」
「人権? 食い物に人権はねぇ!!」
 正論である。プレジデントはニヤリと笑う。
「確かにそうだな。アイツらは人ではない、ただの手駒に過ぎん……では早速始めようか!」
 ファイティンポーズを取るプレジデント。 
 相手の容貌を見て、タイマン勝負で勝てると思ったようだ。 
 だが、曲人もニヤリと笑い、さらに話を続ける。
「……ところで大統領閣下、アメリカの代表ならモチ野球は知ってるよなぁ?」
「知らないわけないだろう。ベースボールは我が国の4大プロスポーツの一つだからな!」
「そんじゃ、野球しようぜ! テメェが的な!」
 そして、曲人はバックステップで素早く距離を取ると、近くにある瓦礫の山をホットドッグバットでフルスイング。
 同時にユーベルコード「野良野球」が発動し、瓦礫の散弾が容赦なく襲いかかる。
 そんな馬鹿な。プレジデントは「破天荒なベースボール」の洗礼を受け、血と肉を削られていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

レイ・オブライト
先制対策、開幕『地形破壊』
徒歩でくるなら道を崩してやりゃあいい。『覇気』の及ぶ範囲の瓦礫を『念動力』で次々浮かせ、『悪路走破』飛び移りつつ敵頭上を駆ける
足を止めずボム等の狙い乱し、覇気の『オーラ防御』で多少は無視
弾力で跳躍し飛び来る個体は蹴りで吹っ飛ばし、念動力で網状に展開する『枷』でバウンド分も更に跳ね返す
密集した敵只中に、だ。敵同士でバチバチ弾いて遠ざけあえば親玉のツラも拝めるだろう
【UC】
五感、反射神経含む身体能力上げ飛ぶ敵や戦車砲を掻い潜り親玉へ突撃
『属性攻撃(電気)』纏うサンダーボールってとこか
雷光で目くらまし
一発、叩き込む拳がありゃあいい

未来は、今を生きる奴らが決める
潔く退任してな



 ワシントンD.C、国立公文書記録管理院(アーカイブ・ワン)。
 その周辺の大通りを占拠する大統領の軍勢を駆逐し、猟兵たちはプレジデントを追い詰めていく。
 だが、プレジデントは最後の力を振り絞り、ホットドッグ・アーミーの増援を召喚する。
 数は最初の戦力の4分の1にも満たなかったが、1000を超える大軍勢だった。
――行け! ホットドッグ・アーミーよ! 覇権国家たる我が国に牙を剥くならず者どもを排除するのだ!
 プレジデントの命令を受け、四肢が生えたホットドッグ型宇宙人が「ならず者」どもを駆逐するために進軍を開始する。

「最後の悪あがきか……」
 レイ・オブライト(f25854)は、大通りに群がるホットドッグ・アーミーの軍勢を見据え、静かにつぶやく。
 プレジデントは体力回復と傷を癒やす時間を稼いでいる。
 ユーベルコードで消耗戦を挑めば勝機はある。敵の算段はそんなところだろう。
 それならば、ここは一歩も引かずに突撃するのが最善。
 そう判断し、レイはアーカイブ・ワンへと続く大通りを猛進する。
 すると、即座に彼に気づき、押し寄せてくるホットドッグ・アーミーの軍勢。 
(徒歩でくるなら道を崩してやりゃあいい!)
 レイは大通りの中央に仁王立ちし、渾身の拳を路面に叩き込む。
 瞬時に粉砕される舗装面。さらに路面の下層を波打つような振動が伝播し、強固な地盤を粉砕していく。
 結果、起こるのは広範囲での地割れ。さらに、大規模な道路の陥没だった。
「グギャッ!!」
 ほんの数瞬での地形破壊。突然崩壊し、瓦礫と化した舗装道路に足を取られ、軍勢の進軍が止まる――。
(このまま突っ込む!)
 「はっ!」と覇気を前方に放ち、跳躍するレイ。
 念動力で路上の瓦礫がブワッと浮上し、ホットドッグの軍勢の頭上に「道」ができる。
 その端の瓦礫に着地したレイは、瓦礫の上を次々に飛び移りながらひたすら前へと突き進む。
 だが、すぐに体勢を立て直したホットドッグ型宇宙人が頭上を見上げ、マスタード・ボムの砲弾を発射。さらにレイの行く先に激辛の赤い液体の飛沫がぶちまけられる。
 それでもレイは止まらなかった。速度を緩めるどころかさらに加速し、砲弾の追撃を振り切ると、赤い飛沫を覇気を纏って弾き、そのまま瓦礫の道を走り抜ける。

――何をやってるのだ! そいつを早く止めろ! 
 
 プレジデントの叱責の声が響き、宇宙人たちは敵を止めるべく、地面に横たわった仲間の腹をトランポリン代わりにして、天高く跳躍。そのままミサイルのように飛翔し、瓦礫の上を疾走するレイを急襲する。
(この程度では!)
 止まらない。レイは素早く白銀の鎖『枷』を取り出して展開。念動力で操作して「白銀の網」を編み、それを進行方向に設置。自分を狙って飛来するホットドッグの砲弾を白銀の網へと蹴り飛ばしていく。
 白銀の網に衝突した砲弾はゴム鞠のようにバウンド。そのまま敵軍の密集地へと矛先を変え、空爆のように急落下していく。
「ギャァアア!!」
 思わぬ反撃にパニック状態の敵陣。レイはホットドッグの砲弾が飛来するたびに蹴り返して反撃。そのたびに敵陣は瓦解していく。
 そして、ホットドッグが宙を飛び交う奇妙な砲撃戦は突然終わりを告げ、気づけばアーカイブ・ワンは目前だった。
 ところが……。
――ズドッ!
 耳を劈く砲撃音。戦車部隊が砲撃を開始したのだ
 レイは即座に瓦礫の道から飛び降りて地上に着地すると、ユーベルコード『Storm(ハート・ビート)』を発動。
 ヴォルテックエンジンの出力が増強され、限界を超えた力がレイに宿る。
(制限時間は約100秒……昏睡状態になる前に敵を片付ける!)
 レイは対戦車榴弾の激しい砲撃と、着弾時の爆風、飛散する金属片をものともせずに、閃光のように大通りを駆け抜けていく――。
 そして、ついに眼前に敵将があらわれる。
 敵の襲来を察知したプレジデントはファイティングポーズを取り、威圧的な闘気を発する。
 レイはエンジンの出力を最大にし、敵将との距離を一気に詰める。
 対するプレジデントは右腕を振り上げ、カウンターを狙う。
 そのとき、レイの全身から覇気と電気が溢れ出し、雷光が煌めくように発光した――。
(限界が近い……だが、一発、叩き込む拳がありゃあいい!)
 敵の目が眩んだ一瞬の隙。それを見逃さずに左足を強く踏み込むレイ。
 全開の覇気を注ぎ込んだ、バリバリと放電する全身全霊の右拳が放たれ、プレジデントの腹部に炸裂する。
――ドゴォオオン!!
 激しい衝撃波。さらに高電流が流れ込み、全身をわななかせながら、弾け飛ぶプレジデント。
「まさか、この私がぁああああああ!」
 最後の力を振り絞った限界を超えた一撃。数多くの猟兵から受けた傷も一斉に開き、骨が木っ端微塵に砕け、鮮血を迸らせながらプレジデントは地面に叩きつけられ、その姿を黒い粒子へと変え、骸の海へと還っていく――。
「未来は、今を生きる奴らが決める。潔く退任してな……」
 レイはポツリとつぶやくと膝を突き、そのまま前のめりに倒れ伏す。
 活動限界。極限状態で戦いに終止符を打ったレイは、ひとときの眠りにつくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年09月17日


挿絵イラスト