アポカリプス・ランページ⑰〜プレジデンツ・ハリケーン(作者 マーシャル後藤
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●誰が為にゴングは鳴る
 旧米合衆国、コロンビア特別区。通称「ワシントンD.C.」。
 アメリカ合衆国の政治の中枢として知られたこの都市は一度滅び、そして今日、在りし日の姿を取り戻していた。
 ――無人である事を除けば。
「……ふむ。そろそろ猟兵達が来る頃合い、か。」
 そしてペンシルベニア通り1600番地に建つ白亜の城にて一人の男が無人の庭に目を向け呟いた。
 男の名は「プレジデント」。フィールド・オブ・ナイン第1席の最強のソーシャル・デーヴァ。そしてオブリビオン・フォーミュラであった。
「猟兵という異端、その真の姿……ぜひ確かめてみたいものだ。」
 プレジデントは葉巻に火を付け、トレードマークのフライトジャケットを羽織ると、庭のその向こうに座するオベリスクへと出陣するのであった。

●レッツ・ボックス!
「さて、首都(キャピタル)観光と洒落込みたいところだけどそうは問屋が卸さないわね。フィールド・オブ・ナインのプレジデントの撃破が今回の仕事よ。」
 グリモア猟兵イザベラ・ラブレス(デカい銃を持つ女・f30419)がそういうと集まった猟兵の一部からブーイングが飛んできた。
「まぁまぁ、確かにスミソニアンやリンカーン記念館とか行きたいのは私も同じよ。……というかヒーローズアース勢とかUDCアース勢は行こうと思えばそっちの世界で行けるでしょうが!……コホン、それじゃあブリーフィングを始めるわね。」
 イザベラはそういうと、モニターを操作し次の画面を映した。
「場所はコロンビア特別区、またの名をワシントンD.C.。撃破すべき目標は通称『プレジデント』。フィールド・オブ・ナインの一人ね。見ての通りナイスガイだけど油断は禁物よ。何せこいつの最終目標は全人類のオブリビオン化。最強のソーシャルディーヴァなんて言われている以上アメリカンジョークでしたってオチは期待できないでしょうね。」
 上下紺のスーツを着こなし、その上からフライトジャケットを羽織り、葉巻をたしなむ姿はナイスガイ。元大統領ということらしいが、これだけ決まっていれば後は政策でヘマをこかない限りは支持率低下など皆無であろうと推測できるほどの風格があった。
「あと重要な事が2点。まず一つ目にプレジデントは常時ある種の精神波を垂れ流しているみたい。……あぁ落ち着いてね。決してこっちが不利になる様なものじゃないわ。」
 曰く、プレジデントは猟兵の「真の姿」というものにえらく興味を示しているらしく、これを自らの生み出す精神波で意図的に解放させようとしているらしい。
「つまり向こうさんは猟兵の全力が見たいって事らしいわ。だから普段パワーを抑えめにって頑張ってる人はこの際バーっと行ってみましょう?そして二つ目は、これよ。」
 そう言ってイザベラは猟兵達の前で少し腰を落とすと、顔の前で拳を構えた。
「ボクシングよ。」
 ボクシング。
「イエス、ボクシング。原始的闘争の手段であった殴り合いを競技芸術の域まで高めた格闘技。それがボクシング。」
 シュッシュッと風切り音を立ててシャドーボクシングをしながらイザベラはボクシングを解説する。
「プレジデントはどうもボクシングで勝負がしたいみたいよ。彼がWBAかWBCかIBAか、どの団体で何のタイトルを取っているか知らないけど相当な思い入れがあるみたい。もれなくボクシングで挑む猟兵にはさらに相応しい舞台を用意しよう……ってここに書いてあるわ。」
 ここに!?
「ほら、これ。」
 そう言うイザベラの手の中には上部中央にアメリカ合衆国政府のエンブレムが印刷されており、その下には達筆な英文が記載されていた。
 ――レッツ、ボクシング!HAHAHA!
「随分とお茶目な大統領ね。オブリビオンじゃなきゃ支持者になっちゃ……おっと、これもプレジデントの精神攻撃かもしれないわね。と、いうことだから全力でボクシングしてきなさいって事で!」
 Good fighting Jaeger(猟兵諸君、良い闘いを)!
 そう告げるとイザベラは猟兵たちの転送を開始した。


マーシャル後藤
 プレジデント格好良すぎでは?
 どうもマーシャル後藤です。
 本シナリオではィールド・オブ・ナイン第1席『プレジデント』との熱いバトルを描きます。
 ちなみに格ゲーのボクシング使いではダッ○リーが大好きです。
 また、今回はプレイングに関する注意事項などがございますので必読でお願いします。

●戦場情報
 コロンビア特別区、ワシントン記念碑前広場。
 オベリスク・モニュメントを中心とする、完璧に整備されたフィールドです。
 またオベリスクの周囲にはアメリカ国旗を掲げたポールが円を描く様に設置されています。
 その他障害物は一切ありません。

●プレイングボーナス
 真の姿を晒し、ボクシングで戦う(🔴は不要)。
 真の姿JCなどが無い場合はプレイングにて真の姿の記載していただければマーシャル後藤の方で良い感じに描写いたします。

●ボクシングの定義について
 本シナリオでは拳闘が主体であるものは全てボクシングとします。
 カンフー、カラテ、ムエタイ、サバットもボクシングとなります。
 一方、関節技や投げ技が主体の格闘技(柔道、相撲、サンボなど)は非ボクシングですが、その場しのぎの技として使用する分には問題ありません。

●禁則事項について
 本シナリオでは禁則事項を設定しております。
 ・武器の一切の使用(ただし、種族特徴による爪や尻尾、グローブ、ガントレットなど腕部固定の武器は除く。)。
 ・召喚物による敵への一切の攻撃(セコンドとして召喚するのは可能)。
 ・ユーベルコードにおいて、上記二事項に抵触する効果、または効果を用いた行動。

 上記事項に触れているプレイングにつきましては採用できない場合がございますのでご注意ください。
 ……まぁ要するに正々堂々殴り合おうぜHAHAHA!ってことです!

 プレイング募集はOP承認直後から開始となります。
 また、必要成功数に達した時点でシナリオ完結とさせていただきます。

 それでは皆さんのホットなプレイングをお待ちしております!
 レッツ、ボックス!
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第1章 ボス戦 『プレジデント・ザ・ショウダウン』

POW ●アイ・アム・プレジデント
自身の【大統領魂】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
SPD ●プレジデント・ナックル
【竜巻をも引き起こす鋼鉄の両拳】を巨大化し、自身からレベルm半径内の敵全員を攻撃する。敵味方の区別をしないなら3回攻撃できる。
WIZ ●アポカリプス・ヘブン
【対象を天高く吹き飛ばすアッパーカット】を放ち、レベルm半径内の指定した対象全てを「対象の棲家」に転移する。転移を拒否するとダメージ。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●マキシマム・マッチ

「ようこそ猟兵諸君。西海岸から遠路はるばるこのワシントンD.C.へと。あらゆる困難を乗り越えてきた君達にまずは掛け値なしの称賛を送ろう。」
 雲一つない青空の下、無数の星条旗が風になびくワシントン記念碑の前で猟兵を待ち受けていたのは『プレジデント』。彼が拍手をすると無人だというのにまるで大衆がそこに居るかのような大喝采を猟兵達は耳にした。
「ハハハ、今のはサウンドエフェクトの一つだよ。……さて、その様子だとこちらの手の内は知っているようだから前置きは省かせてもらおう。」
 そう言うとプレジデントは空中に手をかざす。
「さぁ、猟兵達よ!その真の姿を見せてみろ!」
 プレジデントが叫んだ瞬間、猟兵達の胸の奥から滾る何かが全身へと駆け巡り始めた。
 彼の発した精神波が、猟兵達を真の姿へと変貌させているのだ。
「さて、生憎リングは用意できなかったが…まぁ君達には狭すぎるだろう。後は互いの全力を出しつくすまでだ。さぁこい、猟兵!その真の力を見せてみろ!」
 真の姿をさらした猟兵と、フィールド・オブ・ナイン第1席『プレジデント』。
 どっちが勝つかくたばるか。
 運命の闘いのゴングが遂に鳴った…!
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊だが、わざと『馬舘・景雅』と名乗って他三人を眠らせる。

第三『侵す者』武の天才
一人称:わし 豪快古風
真の姿:紅炎狼(狼獣人)

ははは、好ましきかな。
さて、武器は全て陰海月と霹靂に預けて場外へ出す。預けぬと四天霊障が怖い。

しかし、すまんな。ボクシングとやらはテレビでしか見たことがないから、見よう見まねになる。
しかしその両拳…当たるわけにはいかん。第六感からの見切りで対処する。
わしの攻撃は、そこからの懐に潜りこみ、顎への一発になるかのう…?可能なら、額打ってから顎にいきたいが。


陰海月、傘の上に武器がこんもりする。ぷきゅ。
霹靂、応援で「クエッ」と鳴く。


●ラウンド1『武人VS.』

「ほう…。御仁、その姿はもしやライカンかな?」
 馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)を成す人格の一つ、『侵す者』真の姿を見たプレジデントが訊ねる。
「らいかん、と言う言葉には聞き覚えは無いが…。わしは馬舘・景雅。紅炎狼…まぁ、見ての通り狼頭人躯の獣人よ。」
「なるほど…いや失敬したミスター馬舘。己が無知からの偏見、礼を失していた。」
 申し訳ないと謝罪をするプレジデントに対し、景雅は驚くとともに朗らかな笑いで応えた。
「ははは、好ましき漢よ。しかし、今この場に言葉は不要ではないか?」
 景雅は側に侍らせていた陰海月と霹靂に武装の一切を預けると両の拳を構えた。
「それもそうか……ミスター馬舘、ボクシングの経験は?」
「生憎今日が初めてでな。テレビでの試合はよく見ていたのだが…たしか、こうだったか?」
 景雅の拳が空を打つ。ボクサーの打つそれと異なるも、力強さ、早さ共に目を見張るものがあった。
「どうかね、本場のアメリカの人から見たら?」
「それほどの腕があれば並のランカーでは相手にならないだろうさ。…では、征こうか!」
「応!」

 両者が拳を固めると、ゴングが鳴った!
 ――あと陰海月と霹靂は安全な位置まで下がって応援を始めた!

「それではこちらから行かせてもらう!」
 プレジデントが腕を大きく振り上げると、その巨腕が風を纏い始め、次第に巨大な竜巻と化した。
「――プレジデントッ!ナックル!」
 それはもはや剛腕などという域を超えていた。比喩などでなく文字通りの天災に比肩する竜巻を纏った腕を景雅めがけて振り下ろす。
「ぬぅッ……!」
「どうした猟兵!拳を当てなければKOは取れないぞ!」
 大振りながらもボクシングテクニックの基本に則った拳の、矢の如き素早さに対して、景雅は直感の導くままに戦場で培った足捌きのみで回避する。
 暴風が容赦なく景雅の横顔を削りに迫る、正に間一髪の回避術。しかし息をつく間もなくプレジデントの二撃目が迫る。
(やはり受けは悪手…!)
 武才とは、即ち戦場を渡り歩く才能。それはただ武功を上げるだけでなく、長く戦場にとどまる技術、即ち生存戦略に長けた才能を指す。
 故に強大な危機に対しては本能的に攻め手を封じてしまうのだ。
 現に景雅の足はプレジデントの拳を避けるために「本能的に」後ろへと飛び退いた。
「……残念かなミスター。確かに後退は戦力の消耗を避けるのに有効な手段だ。だがこの戦いにおいては愚の愚としか言えん!」
「ぐっ…!」
 プレジデントが三撃目を繰り出す動作に入る。景雅の背後では霹靂が「クェーッ」と不安げな鳴き声を上げていた。
(このままではじり貧、か。であれば博打になるが…やるか!)
 景雅は覚悟を決めるとプレジデント目掛けて駆けだした。本能を理性で抑え込み、後退のネジを外したのだ。
「そうだ!それを待っていた!」
「闘いの最中に待っていてくれるとは悠長な事よな!」
 それと同時にプレジデントが拳を放つ。景雅めがけて暴風が容赦なくぶつかる。
 ―――あと三歩。
 暴風の中から巨腕が顔を覗かせる。
 ――あと二歩。
 巨腕が顔目掛けて飛んでくる。
 ―あと、一歩。
 鼻先の産毛に巨腕が、触れた。
「今!」
「何ぃっ!?」
 景雅は耐えに耐え抜き、暴風に身を削られる中、遂にその本能――直感を解放した。
 危機を回避する能力にたけているのなら、最早距離など関係なし。
 それは彼の武才だからこそ、そして猟兵と言う常人の上をいくものであるからこそ成しえられた神業である。
 ようやくの好機到来、景雅は「彼ら」の封じてきたものを解放した。
「これはっ……!?」
「祟り……概念はわかるか?」
 その瞬間、プレジデントは感じた事のない悪寒に顔をひきつらせた。そして、その瞬間が思わぬ隙を生んだ。
「まさか直感がこうも厄介とはな……いい勉強になったわ。」
「しまっ…!」
 完全にプレジデントを射程に捉えた景雅は槍の一突きにも似たまっすぐな正拳突き、ボクシングでいう所のコークスクリューブローをプレジデントの広い顎先へと放った。
「ぐおおおお……!」
 ガードが間に合わずクリーンヒットを許した事によって起きた脳震盪がプレジデントを襲い、バランスを失ったその巨体は膝をつくのであった。
成功 🔵🔵🔴

塩崎・曲人
ボクシングぅ?オレ様ルール無用のデスマッチの方が得意なんだが?
あと真の姿もクソもオレ様はオレ様なんだが??(真の姿も人間、という設定です。ちょっと髪の毛が逆立つかも)
「まぁ、タイマンどつき合いがお好みってんなら付き合ってやるぜオイ!」(指ボキボキ)

「ガチのステゴロしてぇってんならよ!そのクソダセェ鋼鉄グローブ捨てて掛かってこいや!」
普段はそこらの拾った得物で残虐ファイトするスタイルだが
今回は拳一本で戦ってやろうじゃねぇか
「これがケンカの華ってもんだろう、大統領さんよォー!」

本人的には勝つ気で殴り合うものの
フォーミュラの出力は絶大で、最終的には顔パン喰らってKO負け
「ク、ソが…覚えてやがれ…」


●ラウンド2『不良VS.』

「ぐっ…中々いいパンチだった。」
 未だ治まらぬ視界の揺れに頭を振りながら立ち上がるプレジデント。その彼の前に一人の猟兵が立った。
「回復中の所悪ぃんだがよ、一丁喧嘩に付き合ってくれや、大統領サン?」
 その猟兵とは塩崎・曲人(正義の在り処・f00257)。チンピラ、不良と言われる類の男であった。
「武人の次はアウトローかね…。」
「あ、そうだ。後よぉ、アンタが言ってた真の姿がどーとかこーとか、オレ様なんも変わり無ェーっぽいんだが?ビフォーもアフターもオレ様なんだが?」
 手足をひらひらさせて曲人は「どーなってんのコレ?」とプレジデントに訊ねる。
「…もしや、気が付いていないのかね?」
「あ”?」
「いや、なるほどな…。そういう事があっても可笑しくは無い、か。」
「勝手に納得してんじゃねぇぞコラ!」
「まぁ、一度の経験は百の言葉よりも雄弁に語ると言うしな。それに…君が納得できる説明ができるか自信がないのだよ!HAHAHAHA!」
「馬鹿にしてんのかコノヤローッ!」

 果たしてプレジデントは曲人の真の姿について何を悟ったのか?
 真相は謎のまま、両者の間でゴングが鳴り響いた!

「舐めてくさった分、百億倍で返してやんよっ!」
 先手を取ったのは曲人だった。フォームもクソもない、ただがむしゃらではなく、場慣れした実戦的な殴打をプレジデントに浴びせかける。
 対してプレジデントはそれを確実にガードし直撃を防いでいた。
「~~ッ!!おいオッサン!アンタガチのステゴロしたかったんじゃねぇのかよ!硬過ぎんだろそのグローブよぉっ!」
「私はボクシングと伝えていたはずだがね。それに知っているかい?ボクサーは一度グローブを付けると試合が終わるまで外せないルールなのだよ。」
「だったらそいつを外させて反則負けにしてやらぁ!」
 曲人はさらに絶え間ないケンカラッシュをプレジデントの鋼鉄の両腕に当て続けた。
 何度も、何度も、何度も。プレジデントに反撃を許さぬと言った具合に容赦なく。
(何というタフネス…!)
 プレジデントは猟兵を過小でも過大でもなく適切に評価していた。しかし、この猟兵の、曲人の並外れた持久力は彼をしても想定外であった。
 確かに曲人の喧嘩パンチの威力は相当の物である。しかし合理性を欠くフォームで放つ以上、無駄に体力を消耗するのは必然であった。
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラァッ!」
 しかし当の曲人は疲れなど知らぬといった様子で威力の変わらない拳を放ち続けていた。手の骨が折れても構わないというかの如く執拗に、躊躇いなく。
 そして遂にその執念が実を結んだ。
「ハハハハッ!見えてきたぜぇ!アンタの反則負けの未来がよぉ!」
「まさか……!」
 プレジデントの鋼鉄の腕に僅かながら歪みが、ヒビが生じ始めていた。曲人は手応えを感じるととどめの一発と言わんばかりの大振りの一撃を放った!
「これで次のアメリカ大統領はオレ様だぁーっ!」
 それはこの戦いにおいて曲人にとっての最高の一打。避けは間に合わない、ガードは論外。カウンターを合わせる事も考えるがフォームが変則的である以上確実性が無い。
 プレジデント、正に手詰まり。故にプレジデントは敢えて曲人の攻撃を「受けた」。
「な…何ィーッ!?」
「ぐぬぅ……良いパンチだ。伝説的なヘヴィー級チャンプ達にも引けを取らないどころか王座を獲れる良いパンチだった。」
 プレジデントは顔面にて曲人の渾身の一撃を受け止めたのだ。唇は切れ、鼻からは鼻血を垂らしながらも。
「だがな……。アメリカ大統領とはアメリカで一番のタフガイを指すのだよミスター・喧嘩小僧(ファイティングキッド)。喧嘩のパンチ如きで大統領の座を獲れると思ったならば思い上がりも良い所だ……!」
 曲人の拳が顔面に突き刺さったまま拳を振り上げるプレジデント。そしてその気迫に気圧される曲人。元から巨体を誇っていたプレジデントが、今ではロッキー山脈の峰の連なりを連想させるが如き巨体として見えてしまうほどに。
「アメリカ大統領をォ……舐めるんじゃねぇええッッ!」
「―――――ぶっ」
 言うなればそれは「大統領魂」。武器である両腕を破壊されるならと己へのダメージを承知でやってのける根性から生み出されたパワーはプレジデントの拳を包み込み、曲人の顔面を木っ端を吹き飛ばすが如く殴り抜けた。
「ク、ソが…覚えてやがれ…。」
 数十メートル以上を飛ばされた末、意識を失う瞬間に曲人の口から漏れ出たのはありきたりな捨て台詞であった。
「……忘れられるものかよ。素手だけで、よくもここまでやってくれたものだ。」
 意識を失った曲人に言う様に呟いたプレジデントは葉巻を一服。しかし、葉巻を持つその腕からは数本の煙の筋が立ち上っていた。
苦戦 🔵🔴🔴

黒木・摩那
まさかの真の姿でボクシング対決とは。
ボクシングは経験はないですが、功夫は使えますので、そちらでお相手させていただきます。

ちなみに真の姿は目の色が赤くなるだけで他外見は変わりないです。
ただ体中にサイキックパワーが高まります。

腕武器のみ使用可というルールなので、グローブ『ラファル』を装備。
ただ、眼鏡はボクシングでは外さないといけないんですよね……見えません。世界がぼやけるし、眉間に皺寄るー

ハンデは【第六感】をフル活用します。見えてないんで、目を瞑って、他の感覚も高めます。
戦法は防御を固めて、相手パンチは【第六感】で【功夫】【受け流し】。
反撃はUC【超重新星】を腹に決める一撃勝負です。


●ラウンド3『功夫VS.』

「次は私ですね…!」
「どうやら…そのようだね。」
 プレジデントは葉巻を吸い終わると黒木・摩那(冥界の迷い子・f06233)と対峙した。真の姿と化した摩那は外見に目立った変化はないものの、その目が宿す燃えるような赤は明らかに異質であった。
「サイキッカー…しかも拳闘、流派は分からないがカラテかカンフーを嗜んでいると見た。」
「そこまで見抜かれますか。」
「政治家と言うのは人を観察するのも仕事の内なのでね。慣れたものさ。」
 プレジデントがそう言ったのを合図に両者は互いに拳を構え、

 闘いのゴングが鳴り響――「あ、ちょっと待ちたまえ。アイウェアは外しておいた方が良いだろう。危ないしね。」

 プレジデントにそう言われた摩那はハッとして眼鏡をはずした。
「あ、そうですね。流石に眼鏡を付けてたら危ないですもんね。」
「そうそう。あとパンチを放つ側もガラス片などで拳を痛めかねないからな。置き場は…むこうのベンチに置いてくると良いだろう。」
「お気遣いありがとうございます。」

 摩那が眼鏡を外して戻ってくると再び互いに拳を構え仕切り直し。
 ――闘いのゴングが鳴り響いた!

 これまでの二戦とは異なり、闘いは静かに始まった。両者ともに相手の間合いをはかるかのように。
「……うぅ。やっぱり見えません。」
「コンタクトレンズとかは?」
「苦手なんですよねアレ。」
「…あー。」
 ……訂正。摩那は間合いをはかる以前に視界不良で動けないだけだった。
 しかもプレジデントもコンタクトレンズに苦い思い出があるのか摩那に同情する始末であった。
「これではフェアではないな…何かないのかね?君のユーベルコードとかで視界良好になるようなものとか。」
「そういうのは習得していなくて……あ、一つだけ解決策がありました!」
 摩那は何かを閃いたのかプレジデントを目の前にして両の目を閉じてしまった。これにはプレジデントも怪訝な表情を浮かべる。
「さぁ、どこからでもかかってきてください!」
「……では全力で行かせてもらおう!」
 プレジデントは眼光を鋭くすると摩那との間合いを一気に狭め、牽制のジャブを繰り出す。その巨体、巨腕から想像できない素早さのそれは例えるならマシンガンの如く、しかしその威力はアイオワ級戦艦の主砲以上の威力を秘める一撃必殺のジャブである。なんたる出鱈目か。
 しかし摩那もまた、その出鱈目を上回る出鱈目をしてみせる。プレジデントの拳を避ける訳でも、受ける訳でもない。ただ「手を添えて」拳撃の軌道を逸していたのだ。
「ぐっ…やりづらい事この上ないな君はっ!」
「激流に抗せばいつかは折れる、ならば流れを読み、流れに任せる事こそが激流を制する秘訣です!」
 一部の東洋武術には戦闘技術だけでなく哲学的な要素が組み込まれている場合があり、この激流の制する理論もまたそうした哲学の一つである。
 対するプレジデントのボクシングは合理性の塊と言えた。格闘芸術、即ち「如何にスマートに勝利するか」を突き詰めたスポーツ科学の集大成、「殴り合い」というジャンルの最高級ブランドである。
 だからこそプレジデントのボクシングは正しく「真っ直ぐ」であった。超正統派、小細工のない模範的ボクシング。王者のボクシングであり、今の摩那にしてみれば極めて「やり合いやすい相手」であった。
(まともに食らったら漫画みたいに吹っ飛ばされそう…!でも直撃を避けるだけならっ!)
 サイキッカーの素養があるからこそか、摩那にはプレジデントの動きが、そしてそれを何処へと流せばいいかを手にとるように予測できた。それはプレジデントの強大なエネルギーと、彼に真の姿を引き出された事によるサイキックパワーの高まりにより現出した偶然であった。
「ならば竜巻(ハリケーン)も制することができるか…試してみようっ!」
 プレジデントは両腕に暴風をまとわせ、プレジデント・ナックルを放つ姿勢に入った。それはこれまで予測したどの拳撃よりも強大なエネルギーの塊であった。
「……すぅーっ、ふぅーっ。」
 だからこそ摩那は心を落ち着かせることに努めた。焦りは技を鈍らせる。昂ぶりは注意を鈍らせる。興奮は戦いに不可欠であるが、過ぎたものは毒にも成り得た。
 鋼鉄の巨腕を振り上げるプレジデント、対して開いた両の手を突き出す様に構える摩那。
 両者ともに、この一合にて勝敗が決することを悟り――プレジデントが動く!
「おおおっ!」
 災害級の威力を誇る拳が摩那へ向けて放たれる。摩那は目を瞑ったまま、一歩踏み出し、サイキッカーの本領を発揮した。
「そこです!」
「ぬうぅ!」
 次の瞬間、プレジデントの拳撃を放った腕が跳ね上がった。念を纏った摩那の掌底による突き上げが暴風層を破り、プレジデントの腕を捉えたのである。
「これでっ…終わりです!」
 完全に無防備を化したプレジデントの分厚い胸板に手を添えた摩那は全身を駆け巡るサイキックパワーを掌へと集め、一気に放出した。
「超重新星(シュペールノヴァ)」
「ぐおおおおおおおお!?」
 プレジデントの、最強のソーシャル・ディーヴァの巨体が宙を舞う。それも面白い程に吹っ飛んでいき――摩那が眼鏡を置いてきたベンチを粉砕した。
「……やああああっ!私の眼鏡えええええ!?」
 摩那の口から飛び出したのは勝利の雄叫びではなく悲鳴であった。何せ彼女の眼鏡は特別製。熱や測距など各種センサを内蔵し、レンズへの情報投影が可能なHMDウェアブル端末である。アウトレットモールの眼鏡ショップで買えるような代物ではない。
 そんな中、瓦礫の下からプレジデントの声が聞こえてきた。
「あ…安心したまえ、ミス。君の…アイウェアは……無事だ。」
 なんとプレジデント、どうやら吹き飛ばされている中で摩那の眼鏡を確保していたようである。瓦礫の中から突き出てきた巨腕の先には無傷の赤い眼鏡のフレームを持つ手が生えていた。流石プレジデントである。
「あ…ありがとうございますううう!」
 涙目になりながらプレジデントに感謝を伝え、眼鏡を受け取った摩那。それに応えるようにプレジデントの手は彼女にサムズアップを送っていた。
大成功 🔵🔵🔵

神樹・鐵火
ふむ、あの白い豪邸は...ふぁいとはうす、だったか?
ぼくしんぐという殴り合いが近場であるから、ふぁいとはうすだろ?違うだと?
ええい、別にいいだろう!似たようなものだ!

殴り合いは大好きさ、神話時代は三度の飯より殴り合いだったからな
八幡演舞で真の姿になる
流派か?...我流だ
強いて言うなら骨法だろう
まぁ、この姿になったら流派など関係ないステゴロ同然だがな
【覇気】で強化した霊拳を纏い、【怪力】でブン殴る 以上だ
大統領魂で強化したかうんたぁ狙いも、それ以上の鉄拳で相殺して潰す
それ以上もそれ以下もない
明日に向かって打つのみだ


●ラウンド3『鋼鉄VS.』

「……来ないな。」
 先の戦いで吹き飛ばされた後、乱れた服装や髪を整えて次なる猟兵を待つプレジデントであったが、いつまで待てど猟兵が現れない。
「この場合は不戦勝か?…ん、ホワイトハウスに侵入者?」
 するとワシントンD.C.内に張り巡らせたネットワークを介して、プレジデントの下にホワイトハウス周辺の警備システムから通知が入った。続けて監視カメラの映像を確認してみると、そこには紅蓮の外骨格に身を包んだ猟兵、神樹・鐵火(脳筋駄女神・f29049)の姿があった。

「うーむ、こうして庭まで入ったというのに出迎えもなしとは……。」
『…あー、そこでなにをしているのかね?』
「むっ。」
 鐵火が声をかけられた方をみるとホログラムで映されたプレジデントの姿があった。
「あぁ、ようやく来たかプレジデントとやら。私は神樹・鐵火という。さて、思う存分仕合おうぞ!」
 プレジデントの姿を見てやる気十分という様子の鐵火に対してプレジデントは何とも言えない表情を浮かべていた。
「あの、だね。とても申し訳ないのだが、そこは仕合う場所ではないのだよ。ワシントン記念碑までご足労いただけないだろうか?」
「なにっ!ここはふぁいとはうすなのであろう!?」
「フ、ファイトハウス!?そこはホワイトハウスなのだがね!?」
 そんなもの知らんとばかりにツッコミを入れるプレジデント。少々キャラが崩壊気味である。しかしそんな要塞化してそうな大統領公邸は認められない。あくまでホワイトハウスはホワイトハウスである。
「と、とにかくホワイトハウスでの仕合いは認められない。ホワイトハウスが吹き飛ぶのは映画の中だけで十分だッ!」
「なんか納得いかんのう。」

 なんやかんやあったけど、
 ――ようやく闘いのゴングが鳴り響いた!

「うおおおお!」
「おおおっ!」
 鐵火とプレジデント、開始と同時に互いが繰り出したのは奇しくも同じ部位に同じ技、つまり顔面への拳打であった。
「ぐぅっ…ふはっ、ふはははは!良いな、実に良い!神代の頃を思い出す良い拳だ!」
「むぅ…っ!神…代、つまり君は神だというのかね。」
「然り!真名をイクサビノヒメ、三度の飯より喧嘩が好物の戦神だ!」
「戦神…!」
 鐵火は喜々として、プレジデントは驚きながらも気を引き締め互いに拳を引いた。言うなればそれは挨拶代わりの一撃であった。真の闘いはここからである。
 神代の鋼鉄VS.最先端の鋼鉄。その衝撃たるやもはや尋常の仕合に非ず。
 両者の拳がぶつかる度にトラック同士の交通事故かと錯覚するばかりの衝撃が周囲に走る。
 両者の拳が互いの身体に突き刺されば、筆舌に尽くしがたい破壊力が相手を襲う。
 まさに力と力のぶつかり合い。まさに超常の化身のみに許されし遊戯。
 両者互いに一歩も引かず、決して倒れず。しかしここで遂にプレジデントが動いた。
「これが……!アメリカの、大統領の魂だっ!」
 これ以上の消耗を嫌ったか、決着をつけるべく鐵火の拳を払いのけた。
「ぐっ!」
「うおおおお!」
 胴ががら空きになった鐵火は苦虫をかみつぶし、一方のプレジデントは容赦なく怒涛のラッシュを撃ち込む。鐵火の胸部を覆う外骨格は神代の鋼鉄ではあるが、無敵には非ず、現にプレジデントの驚異的威力を誇る連撃を前に悲鳴を上げていた。
「これで…ジ・エンドだっ!」
 プレジデントは右腕を引き絞り、捻りを加えた胸部への強打――ハートブレイクパンチをとどめの一撃として鐵火へと放つ。
「――小僧が、舐めるんじゃあないっ!」
 既に死に体に思われていた鐵火の身体が大きく逸れる。スウェーと言うには余りにも歪なそれは、プレジデントの拳に空を打たせるには十分過ぎた動きであった。
「技術、威力、根性。どれもこれもが申し分ない、最高の域の喧嘩であった。しかし『余』を仕留める…神殺しを成すには貴様はまだ青いとしか言いようがないっ!」
「あ、青いだと…!」
 ドスの利いた鐵火の声と、空を打った己に驚愕するプレジデント。そして、その驚愕の間が彼の命取りとなった。
「貴様の敗因はたった一つよ。……『余』を本気にさせた事だ。」
 その一撃は、余りにも理不尽過ぎる一撃であった。
 「歪なスウェー」の体勢から放たれたハンマーナックルの如き大振りの一撃。プレジデントはすかさずガードをするも、そのガードを突破し、プレジデントの脳天へと鋼鉄の拳骨を撃ち込んだのである。
「バ、カな……。」
 頭頂から全身を突き抜ける衝撃が突き抜けプレジデントはその一言だけを残し、意識を刈り取られた。

 新旧鋼鉄対決、その激闘を制したのは鐵火であった。
成功 🔵🔵🔴

南六条・ヴィクトリア三世
そちらが大統領魂を語るのであれば!!
私は社長魂を胸に行きますわよ!!
ン何故ならばァ!! 私は株式会社UAI社長であるが故にッ!!

だれでもジェイミィくんスーツ、着装ッッ!!
(真の姿:プロレスウェアの上からだれでもジェイミィくんスーツを着用)

わたくし本来はプロレスが得て分野なのですけれども、良いですわ。今回はそちらに合わせて差し上げます。わたくしはアウェーの立場ですので。

さぁ、始めましょう、666ラウンド戦って最後に立っていたほうが真のアメリカの支配者ですわ……!

(互いに殴り合うが決着がつかない)
(互角であり不利になる瞬間がない)

(決着はクロスカウンターで)
これが社長魂ですわ……ッ!


●ROUND 5「社長VS.」

「おーっほっほっほっほ!」
 突如無人のワシントンD.C.に笑い声が木霊する!決してプレジデントの用意したサウンドエフェクトではなく生きた人の肉声である!
「…!何奴!」
「私が来た!私が見た!ここまで来ればもうおわかりですわね!?――とぅっ!」
 その声の主はワシントン記念碑の頂点から飛び降り、プレジデントの目の前に着地した。しかもスーパーヒーロー着地だ!カコイイ!
「Veni, vidi, vici…ジュリアス・シーザーの言葉か!登場早々の勝利宣言とは…君はコメディアンか何かかな?」
「ノン!私は株式会社UAI(ユニバーサル・アーマメンツ・インダストリー)最高経営責任者、南六条・ヴィクトリア三世(株式会社UAI最高経営責任者(現職)・f30664)ですわあああーッッ!」
ですわああーッ!
ですわああ…!
ですわあ…!
スワァ…!

 ヴィクトリアのCEO・シャウトが北米大陸全土に響き渡る!気圧されるプレジデント!だがプレジデントも負けてはいない!
「力強き自己紹介に感謝するッッ!改めて自己紹介しよう!私はフィールド・オブ・ナイン第1席、プレジデントだ!ようこそワシントンD.C.へ!」
ワシントンD.C.へ!
シントンD.C.へ!
ントンD.C.へ!
ディーシーヘ…!
 ヴィクトリアに勝るとも劣らない大統領魂の籠もったプレジデント・シャウトが北米大陸全土に響き渡った!
「…やりますわね!」
「…やるな!」
 互いの実力を称賛し、二人は熱い握手を交わした!ユウジョウ!

 しかし、闘いのゴングは鳴っていないのである!
 二人とも何かやりきった感じを出しているが!
 まだ、何も始まっていないのである…!

 恐ろしい戦闘前演出である…!

 ……誰でもいいからゴング鳴らせ!


「だれでもジェイミィくんスーツ、着装ッッ!!」
 ヴィクトリアは普段のドレス姿ではなく真の姿であるプロレスウェアの出で立ちから、呼び出したジェイミィくんスーツをわずか0.05秒で宣言通り装

着、全身から増大した社長力を漲らせてプレジデントと対峙する。
「何というオーラだ…!歴代の著名な合衆国大統領達にも引けを取らないこの迫力…!これが一企業の経営者から放たれているというのかッ…!」
「然りですわ!社長、これ一国一城の主なり!社長と国家元首、会社と国、人民と社員、背負う物の名と数に違いあれど、その本質は似た者同士!です

わ!」
 ばっ、と開くは「社長魂」の達筆踊る一枚の扇子。社長も大統領も似た者同士とプレジデント相手に捲し立てる様は歌舞伎の花道を征く千両役者が如

き煌めきと勢いを放っていた!
「素晴らしい!トップに立つ者同士、君とはもっと会話を楽しみたいが――後は互いに拳で語るとしよう!」
「望むところですわ!UAIの社長魂、とくと拝んで驚きやがれっ!ですわ!」
 UAI対USA、社長対大統領、企業対国家!両者共に腕を振り上げ、拳を撃ち出したのを合図に、後にアポカリプスヘル・ボクシング史上屈指のベスト・

バウトとして語られる「666ラウンドの死闘」の火蓋が切って落とされたのである――!


 ――誰がレフェリーに立って数えたか、666ラウンド。
「ぜぇーっ、ぜぇーっ。」
「こひゅーっ、こひゅーっ。」
 ヴィクトリアとプレジデント。両者ともに虫の息。ヴィクトリアの纏うジェイミィくんスーツは装甲がべコベコに凹み、肩や腕に至ってはパーツが剥がれ落ち内部回路のショートによる白煙が上がっていた。
 対するプレジデントもハンサム顔は今は昔、蜂の巣に突っ込んだが如くボコボコに腫れ、両の瞼も切れ、視界の確保がやっと。更にはスーツも所々が裂け、武器である両腕からはジェイミィくんスーツと同じく白煙が上がっていた。
「はぁ、はぁ……は、早く負けを認めたら…どうかね…?」
「ぜぇ、ぜぇ……そ、その言葉、そっくり返して……差し上げますわ…。」
 両者ともに拳を構えなおすも、戦い始めた時ほどの勢いがなく、そしてその互いの様子から二人は悟った。
((次の一撃で全てが決まる……!))
 此処から先は肉体の限界を超えた精神の闘い、正に魂と魂の強度の競い合いである。
 両者、拳をゆっくりと振り上げる。両者、奇しくも同じ構えと相成る。
 一般的に「テレフォンパンチ」と呼ばれる素人丸出しの、ただ純粋な「殴り合いの、殴り合いによる、殴り合いの為のパンチ」を繰り出す構えであった。
 それの意味するところ、即ち小細工一切なし、即ち一発勝負、即ち終極の一撃。
「だあああああ!」
「うおおおおお!」
 ヴィクトリア、プレジデント。寸分も違わぬ同じタイミングでパンチを繰り出した――!
 大振りな弧を描き、しかし相手の顔面を最短距離で殴り抜ける軌道が両者間を二重に駆け、この日何度目になるか、北米大陸全土に響き渡る衝撃音が鳴り響いた。
「……。」
「……。」
 ワシントンD.C.を、ワシントン記念碑前を、ヴィクトリアとプレジデントの二者の間を、静寂が支配した。
 それから間もなくして、崩れ落ちる音が一つ。
「社長魂……実に、見、事な……。」
 666ラウンド。プレジデント、ノック・アウト。
 プレジデントの巨拳が殴り抜けた、それよりも疾くヴィクトリアの拳が駆け抜けた――クロスカウンターであったがゆえに。
 対するヴィクトリアもかなり危うかった。ジェイミィくんスーツの頭部パーツが消失。そのすぐ真横を殴り抜けたプレジデントの拳の余波が齎した被害である。
 正に九死に一生、正に間一髪の奇跡、幸運であった。
「まともに喰らったら確実に死んでいましたわね……。プレジデント、貴方の大統領魂確かに見届けましたわ……。」
 ヴィクトリアは大粒の汗をかきながら、倒れるプレジデントのその精神力を称賛した。そして一度深呼吸をし、知らしめるかの如く叫んだ。
「私の、勝ちですわああああッッ――!」
 女社長の勝利宣言が北米大陸全土へと響き渡った。
 新たなる、アメリカの(ボクシング無差別級)王者誕生の瞬間であった。
大成功 🔵🔵🔵

チトセ・シロガネ
ワォ……随分とビッグな腕をしたプレジデントなことで。

僕の本気を見たいってことらしいけど、オッケィ……後悔はしないでヨ。
UC【フォクシィ・オーダー】の発動を確認、リミッター解除と同時にマスクとエネルギー状の九つの尾を展開、さながら狐の化け物と化す。

武装はすべてパージ、この体一つでやるネ。ゴングをどうぞ!
全てのカタナを外し、両腕にオーラ防御を集中。
風を孕むほどの鉄拳に合わせて、こちらも斬撃波を纏った拳を重ねる。

だが、拳をただぶつけるだけじゃない、瞬間思考力で装甲の弱い部分を計算し、鎧砕きで確実に駆動部へダメージを与える。これが東洋の神秘、ボーンアーツってヤツネ。


●ROUND6『狐拳VS.』

「なかなかどうして…やはりこれだからこそ闘いは、ボクシングは面白い!」
 ノック・ダウンから復活したプレジデントは大笑し居住まいを整える。オーバーロード、猟兵の真の姿、その真価。ボクシングという真剣勝負の中でプレジデントの想定を易々と超える猟兵達を祝福するが如く。
「ワォ、聞いてた以上のナイスガイ。それに随分とビッグな腕をしたプレジデントなこと……で、僕の本気を見たいって?」
 プレジデントは声をかけてきたチトセ・シロガネ(チトセ・ザ・スターライト・f01698)に向き直り、大きく手を広げ力強く応えた。
「如何にも!」
「オッケィ……言質は取ったからネ、後悔はしないでヨ。」
 チトセはそう言うと自らのリミッターを解放する。宇宙を股に掛け流離うサムライの一族、その中でも狐と呼ばれる彼女の本性が顕となる。
「ナイン・テイル……これはまた見事な……!」
 それは東洋に伝わる幻獣の一つ「妖狐」を彷彿とさせる、エネルギー光で編まれた九つの尾。そして人外の者を模したマスクに覆われた頭部。
 人にして人に非ず、獣にして獣に非ず。ヒトと狐の合間と言うべき半人半獣の姿。それこそがこの闘いに臨むチトセの姿であった。
「私の準備は出来た。さぁ、仕合おうじゃナイカ!」
「相手にとって不足なし!望むところだ!」

 両者、互いに拳を握りしめ闘気を滾らせ合い、
 ――闘いのゴングが鳴り響いた!

「先攻は取らせてもらうっ!」
 プレジデントはその巨体を丸めると一気にチトセとの距離を詰める。対するチトセは尾を構成するエネルギーを両腕に纏い待ち構える。
 非常に素早く、力強いコンビネーションがチトセを襲う。戦士の務めを果たすべく用意された専用の義体がその一打を受け止めるごとに悲鳴を上げた。
「クッ…!想像以上に重い…っ!」
 余りの威力に顔を歪めるチトセ。反撃どころか後退すら許さぬ猛攻に身動きが取れず。しかしただ打たれている訳ではなかった。彼女の、戦士の目は活路を見出さんと絶え間ない猛攻のその隙を探っていた。
「そこっ!」
「ぬぉっ!?」
 そして次の瞬間、鋭い破裂音が鳴り響いた。強烈な力に腕が跳ね上がり、その勢いで後ずさるプレジデントは驚愕の顔を浮かべていた。
「今のは一体……!?」
「生憎タダの拳闘に付き合うつもりはないよ。猟兵とオブリビオン、この二者が相見えた以上やる事はただ一つ……。」
「ユーベルコードか……!」
「That's right!」
 求める答えを聞いたチトセは指を鳴らす。それはプレジデントへの催促であった。
「……フッ。あまりの楽しさに失念していたよ。確かにそうだ。猟兵とオブリビオン、ユーベルコードを用いずに勝敗が決まるなどあっては不作法というものだな。」
 そしてそれに応えるように暴風を纏うプレジデントの鋼鉄の両腕。
「ならば私も君に言わねばならないな!後悔するなよ、猟兵!」
 ニヤリと笑い再び迫るプレジデント、対するチトセもマスクの下で笑みを浮かべ拳を構える。
「むぅんっ!」
 まずはプレジデント、繰り出したのは一撃必殺のハートブレイクパンチ。竜巻を伴い迫る様は拳ではなく、一本の豪槍の如きであった。対するチトセもプレジデントの拳に合わせ素早い縦拳を繰り出し、これを受け止める。
 拳と拳、その先端にて押し合うかのような状態がしばらく続くと両者は盛大に仰け反った。
「くっ!さっきのと同じかっ…!」
「やっぱり尋常じゃない馬鹿力だネ…!マトモに打ち合わなくって正解だった!」
 続いて先に立ち直ったチトセがプレジデントの顔面めがけて正拳を放つが不発。プレジデントの的確なブロッキングと腕に纏った風によって妨げられた。
「なるほど。やはりその拳、私の暴風を斬っているな!」
「……へぇ、よく気が付いたネ?」
「あの暴発したかの様な腕の跳ね上がり。最初は功夫や勁の類かと思っていたが、今やっと確信したよ。」
 プレジデントの言う通り、チトセは防御のために拳に纏わせたエネルギーを用いてプレジデントへの攻撃に用いていた。それこそが猛攻を退けた鋭い破裂音、両者を仰け反らせる爆発力の正体であった。
「……の割には遅すぎたんじゃないカナ?」
「いいや、寧ろ間に合ったくらいさ!」
 そう、プレジデントは既に三度目の拳撃を放つ準備を終えている。
「面白い闘い方があったものだな。ミス……。」
「シロガネ、チトセ・シロガネ。」
「ミス・シロガネ。学びをありがとう、そしてサヨナラだ!」
 そしてプレジデント必勝の拳がチトセを打ち貫く――筈だった。
「うおおおおっ!?」
 突如プレジデントの巨腕が火を噴き、爆発した。それはチトセが狙って仕掛けた姿なき時限爆弾。プレジデントの腕への攻撃は全てがここに至るまでの伏線であった。
「言ったでしょ、遅すぎたんじゃないかって。そしてこれが東洋の神秘、ボーンアーツってヤツネ。」
「…き、君と言うやつは……!」
 ――なんとふざけた猟兵だ!
 しかし、その言葉は続かなかった。
 何故ならその隙を突いたチトセがプレジデントの正中線を通る急所の一つ――顎を打ち、その意識を刈り取ってしまったからである。
大成功 🔵🔵🔵

幸・桃琴
よぉし。真の姿:紅の流星でお相手するよっ!
巨人の体格じゃなく通常サイズになるけど
鍛え成長した体に水着の上に締めた黒帯!堂々と行くぞ!

【功夫】を生かしたカラテでめいっぱい打撃戦の勝負だっ
蹴り技も交え使えばリーチでも負けないぞっ

無傷では勝てない相手だろうから、
【激痛耐性】や【覇気】の籠る割れた腹筋で堪えるよ!
頭部への拳にはガードを固めてダメージを防ぎ、
鍛えたボディへの拳は、踏ん張るっ
そして【カウンター】のカラテの打撃だぁ!

なるべく人体急所に命中させ倒したいけど…
そう簡単に大統領も倒せないかな
でも、最後は気合と根性だっ!負けないぞっ!

※勝敗お任せ、負けるときはボディか胸への打撃で
※アドリブも歓迎です


●ROUND7『空手VS.』

「ぐぅ…かなりキツめの一撃だったな…。む?」
 立ち上がったプレジデントの目の前では空手着に身を包み、座して待つ少女が一人いた。
「なるほど…次はブラックベルトのカラテガール、君が相手という事か。」
「はい!名を紅の流星、正々堂々闘わせていただきます!」
 『紅の流星』と名乗ったのは幸・桃琴(桃龍・f26358)。その溌剌とした発言にプレジデントは期待を躍らせた。
「良いだろう、掛かってきたまえ。ボクシングとカラテ、そろそろ立ち技最強はどちらかを決めるべきだ!」
 その顔は待ちに待ったと言わんばかりの無邪気な少年の様で、プレジデントはそれまでのダメージなどまるでなかったかのように拳を構える。対する桃琴も正座の姿勢からトンと飛び上がり、着地と共に構えを取った。
「行きますっ!」

 空手対ボクシング、偶然とはいえ格闘技ファンであれば誰もが気になる夢の一戦。
 ――その闘いのゴングが鳴り響いた!

「はぁっ!」
「ふぅんっ!」
 まずは両者互いに拳を拳で受けるという展開から始まった。
 真っ向勝負と言わんばかりに互いの拳がぶつかり合い、その衝撃が周囲に砂埃を舞わせる。まずは互角、そう思われていたがプレジデントの拳が押し返される結果となった。
「……嘘だろ?」
 笑みを絶やさずも冷や汗をかき驚くプレジデント。彼は完全に見誤っていた。
(このカラテガール……スピード系ではなくパワー系!)
 実はプレジデント、真の姿となる前の桃琴を目にしていなかった。桃琴は本来巨人である。言うなれば彼女の真の姿とは、「少女大の巨人」であり、その外見からは想像もできないほどの筋密度を備えていたのだ。
「隙ありっ!」
 そしてプレジデントの隙を見逃すほど真剣勝負に挑む桃琴は甘くはない。プレジデントの腹部目掛けて放つは足尖蹴り。刀の切っ先の如き鋭さの威力は正に致命的である。
「そうはさせん!」
「うわわっ!?」
 しかしプレジデントは両腕による叩き付けで桃琴の蹴りを撃ち落とし、バランスを崩した所へ竜巻を纏ったボディブローを放ちとどめを刺しに行く。
「――!」
 桃琴は体勢を立て直すもボディブローを避けきれず、そのまま竜巻に呑まれた。
「……確かな手応え、勝負あったか。」
 確りと殴り抜けた拳の先に触れるものが無く、竜巻で桃琴が吹き飛ばされたと確信したプレジデント。
「こおぉぉ……。」
「!?」
 しかし竜巻の向こうから桃琴の呼吸音が響き、反射的にガードを固めるプレジデント。
「やあぁ!」
「うごぉっ!」
 しかしそれよりも早く桃琴が飛び出しプレジデントの懐に潜り込むと水月めがけて正拳を繰り出す。その威力の凄まじさは苦悶の表情を浮かべ下がるプレジデントの姿から想像に容易い。
「今のは中々良いパンチだったぞカラテガール……いや、猟兵!」
「軟な鍛え方はしてませんから!」
 そう言う桃琴も空手着の腹部に残った摩擦熱の焦げ跡が、彼女の受けたパンチの威力を物語っていた。
 互いに打って打たれて一進一退の攻防となり、両者ともに睨みあったまま時間が過ぎ去る。
(威力は互角、思った以上に動けるしプレジデントの懐に入る事ができれば勝機はある……!)
(だがリーチと連射力なら私に理がある…!近付かれる前に仕留める、ただそれだけだ!)
 桃琴とプレジデント、奇しくもこの僅かな数合の間に彼我の戦力を正確に評し、さらにこの闘いに勝つために必要な要素を導きだした。
(最後は根性!一気に間合いを詰めて勝つ!)
(ガッツだ!ビビったらそこで負けだ!)
 根性、ガッツ。つまり度胸比べの結果こそが勝敗のカギを握っているのだと。
「これでケリをつける!」
「来い猟兵!」
 駆け出す桃琴に対し、プレジデントはヒットマンスタイル――前側のガードを下げ、いつでも高速のジャブを打てるスタイルで待ち構える。
 桃琴がプレジデントの射程に入ると機関銃陣地に飛びこんだが如き高速ジャブの連撃が放たれる。しかもその一発一発がヘヴィー級ボクサーを一撃ノック・アウトに追い込むことができる威力である。
 頭部に貰えばタダでは済まない。そうしたリスクを承知の上で桃琴はそれらを掻い潜り、プレジデントの懐へと突き進んでいく。
 あと一歩という所まで迫った桃琴。するとプレジデントは後ろ側の腕を天高く引き絞り、その腕に竜巻を纏い打ち下ろそうとしていた。
「くぅっ!だが……!」
 そこはプレジデントの最終防衛ライン、ここで決着をつける腹積もりらしい。だが桃琴も決着をつけるためにここまで辿りついたのだ。
 ゆえに両者の次のセリフは決まっていた。
「「これで終わりだ!」」
 懐へ向けての正拳突き、プレジデント・ナックルの打ち下ろし。
 猟兵対オブリビオン。
 空手対ボクシング。
 それら全てをひっくるめた最後の一撃が、遂に炸裂した。
「――――――ッッッ!」
 一直線に吹き飛ぶ影が一つ。ナショナル・モールの地面に着くことなく国立アメリカ歴史博物館方面に吹っ飛ぶ。
 何度かのバウンドの末、地面へと転がったのは、

「やる…じゃないか、カラテガー…ル…。」

 腹部に拳のめり込んだ跡を残したプレジデントであった。

「か…勝ったあああっ!」
 そして勝ちを名乗るは紅の流星、幸・桃琴。見事な正拳の一撃で勝利を収めたのであった。
大成功 🔵🔵🔵

ナイ・デス
この感覚が、オーバーロード、なのでしょうか
慣れたら、もっと動けそう(文字数的な意味)ですね
感謝します

真の姿「光」となって
黒剣、彫像と融合。ダイウルゴスのような姿となる

お礼に……大統領らしからぬ蛮行、止めてみせます!

拳を構え、背から光を放って加速
【推力移動忍び足ダッシュ】のフットワークで
【鎧無視重量攻撃】衝撃が肉を貫き抜けていくような重い拳を振るう
首や心臓を狙った【暗殺】者としての格闘技量
一流には劣る。けれど
【覚悟、激痛耐性、継戦能力】それを、決して倒れない再生能力と覚悟で補う
再生する程に速く、重く
【情報収集、学習】戦いの中で、学習して

私は、負けない
必ず、倒します!

不屈の拳は、必ず届く


●FINAL ROUND『誰が為にゴングは鳴った』

「…はっ!」
 猟兵の強撃から回復し意識を取り戻したプレジデントは立ち上がり、周囲を見回す。
 そこには一つの「光」があった。
「Beautiful……何と見事な…。」
 言うなればそれは自然科学上の存在よりも、宗教画に描かれるような概念的存在。
 純粋であり、崇高な光。手を伸ばしてしまいたくなるような存在であった。
「この感覚が、オーバーロード、なのでしょうか。」
 ふとプレジデントの耳に声が聞こえた。それは紛れもなく光から発される声であり、それは光が猟兵ナイ・デス(本体不明のヤドリガミ・f05727)の真の姿であることを意味していた。
「……失敬した。更に失礼を承知で訊ねるが、その身体で闘えるのかい?」
「心配ご無用です、プレジデント。」
 すると光の周囲に一振りの黒剣、一個の彫像が現れ光の中に吸い込まれていった。
「……なるほど、確かに心配は不要だったようだね。」
 そして光に姿が形成されていく様を見て確信したプレジデントは静かに拳を構える。
「感謝します、プレジデント。お礼に、貴方の野望を砕かせていただきます。」
 ナイは半人半龍の如き出で立ちの鎧を身に纏い、徒手にて構える。

 ――負けられぬ、闘いのゴングが鳴り響いた。

「行きます…!」
「むっ!」
 ナイはすぐさまフットワークを駆使してプレジデントの周囲を回るように動き始めた。背中より放出される光の奔流による推力を利用している事もあり、ただの足捌きのみで行うそれよりも断然に素早く、まともには目に捉えるのすら困難を極めるだろう。
「素晴らしいスピードだ。だが……っ!」
「ぐっ…!」
 プレジデントはナイを称賛しながらも、おもむろに右ストレートを繰り出した。するとその先でナイが弾かれるように飛び退く。
「私の拳はその上を行く……!」
 真の姿と化した猟兵の身体能力を上回る動体視力、そして確実に仕留めるという強い意思。プレジデントというオブリビオン・フォーミュラがパワー一辺倒のファイターではない事如実に語るには充分な宣言。
(掠っただけでも吹き飛ばされそうだった…!だけど!)
 しかし後退は在り得なかった。あの日、その日から猟兵となり、それは嫌と言うほど理解していた。オブリビオンとの戦いの前に後退の二文字など初めから無い事を。
「貴方の蛮行は……必ず食い止める!」
 ナイはそう言うと、プレジデントとの距離を一気に詰めインファイトへと持ち込んだ。
「蛮行…蛮行だと!私の目的を愚弄するのか!」
 ナイの言葉が癪に触ったのか、突如激昂したプレジデント。斬撃のそれと変わらぬナイの打撃をジャブで押し返し、懐に潜り込ませぬと反撃に出る。
「全人類…いや、全世界の人々のオブリビオン化など到底見逃すことなどできません!」
「否、否!結局のところで人類は余りにも愚かで無力!歴代の合衆国の指導者ですらアメリカ主導の世界秩序構築を断念せざるを得なかった程に!」
 プレジデントの語るそれは、古代ローマ帝国がその版図に平和と秩序をもたらした治世に倣い、アメリカ合衆国と言う超大国が推し進めた「パクス・アメリカーナ」に他ならなかった。
 20世紀から21世紀にかけ、二つの世界大戦、そしてその後の「冷戦」の終結後の計三度。アメリカは「パクス・アメリカーナ」の構築に乗り出したが、どれもが恒久的なものと成り得ず、その後の時代に様々な課題を残していく事となった。
「私は、このアメリカ合衆国の大統領として世界平和を――アメリカ主導の不変なる恒久平和(パクス・アメリカーナ)を望むものである!」
 それはプレジデントの不退転の覚悟。彼が、まだ人間で現職のアメリカ合衆国大統領であった頃に何があったかは分からない。しかしその原動力は愛国心であり、そして博愛主義に基づいていただろうことは想像に容易い。
「黙示録の黄昏(アポカリプスヘル)を以てしても変革は成らなかった、最早人類には未来はない!オブリビオン化こそが、救済である!」
 その熱狂なる大統領魂を励起させたプレジデントは目の前の猟兵を誅さんと拳を振り上げるとナイが一喝した。
「プレジデント!語るに落ちたり!」
 だからこそ、それは狂気なのだ。だからこそ、断たねばならぬ蛮行なのだ。
 確かにオブリビオンは強大な力を持つ。しかしそれらは骸の海から溢れた過去の澱。過去が未来を求めるなど果たして道理たり得るか。
 そして何よりもプレジデントの狂気を決定づけていたのは、
「国家元首が国家を蔑ろに世界平和とは聞いて呆れます!」
 世界を引き裂いたオブリビオン・ストームをもたらしたフィールド・オブ・ナイン。その第1席たるプレジデントに世界平和を語る資格が、アメリカ合衆国大統領を名乗る資格があるのだろうか。
「グぅ…!言わせておけばぁっ!」
 図星を突かれ、引くに引けなくなったプレジデント。しかしその動揺こそが、最大の無防備を晒すこととなった。
「ガハァッ……!」
 プレジデントが拳を振り抜くよりも早く、ナイの鋭き拳撃がプレジデントの胸部、心の臓を貫いた。こみ上げたプレジデントの血しぶきがナイを覆う鎧へと降りかかる。
「……未来とは、今を生きる者が到達できる通過点。過去とは、今を生きる者が振り返り見ることの出来る通過点。未来から今は見えないし、過去が未来に到達することはありません。」
「……良い言葉だな、猟兵。後学の為に教えてほしい、何という人の言葉だね?」
「誰の言葉でもありません。今作りました。」
「ふっ……いま、か。」

 負けた。あぁ、負けた。
 思い切り殴り、殴られ、吹き飛ばされ、盛大に負けた。
 挙句には弁舌ですら負けた。相手は猟兵とは言え政治家でもない子供だというのに、だ。
 あぁ悔しいな。悔しいが、あぁでも――。

 骸の海へと還る際に、かつてアメリカを背負ったその男は何を思ったのか。
 それは猟兵をしても知り得る事は叶わない。
 だがしかし、彼が最期に見せるは安らぎに満ちた表情。まるで後顧の憂いなく逝くかの如く。

 猟兵の勝利を告げる鐘の音が、プレジデントの消滅を知らせる鐘の音が、無人のワシントンD.C.に響き渡った。
大成功 🔵🔵🔵

最終結果:成功

完成日2021年09月18日
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴