アポカリプス・ランページ⑰〜拳で語れボクシンガーP!(作者 大神登良
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●プレジデントかく語りき
「全てだ。全ての世界の人類を、私のユーベルコードでオブリビオン化する」
 爽やかささえ感じさせる大真面目な顔で、男はそんな宣言をした。
 正気にしか見えない顔で、狂っているとしか思えない宣言をした。
 ただ間違いないのは、男はそれを本気で実行するつもりだし、それを実現させるだけの実力をきちんと持っているということである。
 他の誰かの言葉であったならば、あまりにも荒唐無稽に過ぎるとして一顧だにされなかったかもしれない。が、それを口にしたのは他でもない、フィールド・オブ・ナインの一角たる『プレジデント』なのだ。
 できると言ったからにはできるのだろう。やると言ったからにはやるだろう。
 止めなければならない。
 止められるのは、そう、猟兵だけだ。

●レッツボクシング
「つーわけで、このおっさんなんだかにーちゃんなんだか微妙なおっさんをぶっ倒してもらうわけなんだが」
 渋面で腕組みしつつ、大宝寺・朱毘(スウィートロッカー・f02172)が言う。
「野郎は常に、周囲の人間の闘争心を煽る強力な精神波を放ってる状態だ。多分、全人類オブリビオン化の肝になるものなんだろうが……これが、猟兵にも影響が出る」
 その影響とは、戦意が異常に向上することで最初から『真の姿』の解放ができるというもの。通常の戦闘では多少なりと追い詰められて初めて可能になることなのだが、今回はプレジデントと対峙した時点で変身できるようになる。
 フィールド・オブ・ナインという、間違いなくオブリビオンに比べて明らかに格上である強敵と戦うにあたっては、願ったり叶ったりといえる。これは是非にも利用したいところだろう。
「それから、もう一つ。これは、その、何でなんだかよくわからんのだけど……ボクシングで戦うと、何かパワーアップするっぽい」
 何じゃそりゃ? といった空気が漂う……が、予知した朱毘にもそのメカニズムは謎であるらしく、それ以上に詳しく説明するのは難しいらしい。
 ただ、とにかくボクシング――武器を使わず、両手の拳による攻撃のみで戦うというファイトスタイルでプレジデントに挑むと、どういうわけか普段よりもずっとキレよく戦えるようになるのだとか。
「プレジデント自身も、鋼鉄の両拳を活かしたユーベルコードを使ってくる。つまりボクシングは奴の土俵だから、普通に考えりゃボクシングはこっち不利に働きそうなもん、なんだが……本当、何でなんだろうな?」
 うなりつつ首を捻る朱毘だが、まあ、考えてもわからないものはわからないのでうっちゃるしかない。
「とにかく、やるべきことはプレジデントの撃破、その一事に尽きる。強敵なのは間違いないけど、だからって勝てない敵じゃねえ。よろしく頼むよ」
 言って朱毘は、戦場へと続くワープゲートを指し示した。


大神登良
 オープニングをご覧いただき、ありがとうございます。大神登良(おおかみとら)です。

 これは「アポカリプス・ランページ」の戦況に影響を与える戦争シナリオで、1章で完結する特殊な形式になります。

 戦場は、街並みだけは完璧に復興されているものの無人となっている都市の中、ワシントン・モニュメントの前です。流れ弾等で都市が破壊され尽くしたとしても、人的被害は一切発生しません。

 このシナリオには下記の特別な「プレイングボーナス」があります。
『プレイングボーナス……真の姿を晒し、ボクシングで戦う(🔴は不要)』
 真の姿についてイラストをお持ちでない方は、プレイング中に言及していただければそれに準じて描写いたします。
 ボクシングに関しては、取り敢えず「パンチだけ使う」「武器、蹴り、投げ等は使わない」あたりを遵守すればよいものとします。殴り方が空手っぽいだとか、空飛んで急降下パンチはボクシングらしからぬ等の理由でボーナスを無効化したりはしません。

 それでは、皆様のご参加を心よりお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『プレジデント・ザ・ショウダウン』

POW ●アイ・アム・プレジデント
自身の【大統領魂】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
SPD ●プレジデント・ナックル
【竜巻をも引き起こす鋼鉄の両拳】を巨大化し、自身からレベルm半径内の敵全員を攻撃する。敵味方の区別をしないなら3回攻撃できる。
WIZ ●アポカリプス・ヘブン
【対象を天高く吹き飛ばすアッパーカット】を放ち、レベルm半径内の指定した対象全てを「対象の棲家」に転移する。転移を拒否するとダメージ。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


夜刀神・鏡介
まさか、まだ素手で戦う必要があるとは思わなかったよ
この大統領、何処ぞの戦場で使われてた侵食プログラム弾とか好きそうだな……

刀は腰に収めたまま、大きく深呼吸して真の姿に変化。限界を超えて自らの身体能力を強化
無の型【赤手】の構えをもって、正面から殴り合う
双方殴り合いなら、射程の問題はほぼ解決したようなもの

真正面から防御や回避抜きでの殴り合いだと、多分相手の方が有利……
だが、敢えて堂々とやらせてもらおう

流石に殴られた際に衝撃の受け流しは行うが、防御と回避はなし
気合いを込めて己を鼓舞しつつ、真正面から殴り合い
こちらが鉄の腕を殴っても効果が薄いだろうから、胴体などの生身部分を狙って決めにいく


●不退転
 鞘に納めた刀を後ろ腰に追いやり、夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)は眼前に立つ男――プレジデントを見据えた。
 プレジデントは紅蒼一対の無骨な機械手甲の拳を打ち鳴らしつつ、嬉々とした笑みを浮かべている。いかにも殴り合いが好きという風情。別の戦場ではあらゆる武器を無効にする弾丸が猛威を振るっていたが、彼に持たせたら殴り合いに持ち込むために大喜びで使いそうだと、鏡介は思った。
「まさか、まだ素手で戦う必要があるとは……」
 大きく息を吸い、大きく吐く。
 プレジデントの精神波にさらされて異常に高揚した気力が、全身を駆け巡る。頭髪から色が抜け落ちて白へと変じ、軍用外套を着込んだ体のそちこちから青黒い炎が噴き出ては消え、噴き出ては消える。
「ふむ。不思議な構えだね」
「【無の型【赤手】(ムノカタ・セキシュ)】……この手に剣がなくとも、侮るな」
「無論だとも」
 スタンダードなファイティングポーズを取ったプレジデントが、小刻みなフットワークを駆使しつつ鏡介の周囲を時計回りに回る。一方の鏡介は、軽く腰を落とした姿勢のままほとんど動かない。じりじりと足裏を摺らせ、プレジデントを常に正面方向に捉えるように向きを変える程度。
 ふとプレジデントが間を詰めようとステップした――刹那、弾けたように鏡介が踏み込む。剣術でいえば一足一刀の間合いからいきなり鍔迫り合いの間合いになるような、思い切った直進。
 一瞬面食らったプレジデントだが、すぐさま左ジャブを放って鏡介の肩に当てた。さしたダメージはない。ただ、足は止まる。
 止まったところに、顔面を狙ったプレジデントの右ストレートが奔る。
 が、鏡介は怯まず、回避も防御もせず、体幹を捻りつつ右拳を放った。
「ぬ――!?」
 両者の顔面に同時に拳が炸裂する。互いが互いカウンター攻撃を決めた格好となり、少なからぬダメージが入る。それでも両者ともにその場に踏ん張り、プレジデントは左ショートアッパー、鏡介はフックを放った。
「がふっ!」
「ぐはっ!」
 再び互いの拳が同時に炸裂し、今度は両者ともに吹き飛んだ。
「な、なかなか、命知らずな真似をするじゃないか……!」
 片膝を突きつつ、プレジデントは口の端を流れる血をぬぐって笑みを浮かべた。
「まだ……こんなものじゃない」
 笑いそうになる膝を叱咤し、鏡介は構え直してプレジデントへ正対した。
大成功 🔵🔵🔵

宮落・ライア
真の姿:狼耳の生えたコートの奴(黒い方でも白い方でも)

ご機嫌用プレジデント。
まぁ…思想とか思惑とかは、私にはどうでもいいから聞く事は無いよ。
それで、プレジデント? 大統領魂って何? 
アメリカンスピリッツを私は知らないけれど、少なくとも距離を取ってチマチマとか、避けて後ろを取ってなんて下らない物じゃないのでしょう?
ブリティッシュじゃあるまいし。
小細工とか詰まらないから、受け止めてくれる?

真面目に小細工抜き。
相手の拳は正面から受けて
敵の攻撃は激痛耐性、覚悟、気合、継戦総動員で突破。
で、お返しに相手のスーツ片手で掴んで怪力、捨て身、限界突破のUCでぶん殴る。


●勝利のために
「まあ、思想や思惑についてはどうでもいいんだけど……大統領魂? って何?」
「ふむ」
 宮落・ライア(ノゾム者・f05053)の問いにプレジデントは一声うなり、分厚く大きな機械手甲で覆われた手をあごにやった。
「改めて言葉で説明するとなると、なかなか困難だね。まあ強いて言うなら、己の信念を実現するために尽力を惜しまず、最前線に身を置いて戦うことを恐れない。この辺は確実なところだな」
「じゃあ、距離を取ってチマチマとか、逃げ回って後ろからとか、そういう下らない真似は認めないってことよね」
「それは、断じて否だ。アメリカは――私は、自由を尊ぶ。仮に、勝つためにそれが最善だと判断した者がいた場合、私はそれを決して下らないとは思わないし、尊重もするとも。ただ……」
 ぎしり、とプレジデントは両手で拳を作り、いかにも「今から真正面から突進する」と言わんばかりの前傾姿勢を取る。
「私自身は、そういった戦法はあまり得意ではない」
「……なるほど」
 答えを聞いて、それが何だと思ったわけでもなかったが。
 身構えたライアの血が戦意で沸騰し、その体から灰色狼の耳と尻尾とが生える。見目の変貌だけでいえばさしたるものではないが、真の姿の解放は伊達ではなく、戦闘力の上昇はそれ相応に凄まじい。
 黒いコートを翻し、ライアは固めた拳を上昇した膂力に任せて撃ち放った。
 対するプレジデントも退かず、ハードディフェンス・ピーカブースタイルで突進してくる。城塞のようにそびえる機械手甲の腕にライアの拳が炸裂し、破城槌めいた轟音が鳴る――が、手甲にはヒビ一つ入らず、プレジデントの足も止まらない。
 押し負けてライアが仰け反ったところ、プレジデントがコンパクトなアッパーを放ってくる。が、ライアは退かず、強引にプレジデントの拳を肘打ちで迎撃する。
 みしり、と。
「――ッ!」
 白人狼の膂力をもってさえプレジデントの拳は殺しきれない。肘から肩、肩から首が軋んで悲鳴を上げる。
 それでもなお、ライアは退かない。感覚の怪しい左腕を無理矢理に伸ばし、プレジデントのシャツの襟に指を引っかける。
 プレジデントの顔が、ひくついた。
「ボクシング的にはそれは反則――」
「知らない、わ!」
 引き寄せつつ、再びの渾身の右ストレート。ガードの上から叩き込まれたそれは先刻を遥かに上回る激突音を轟かせ、プレジデントの剛腕をひしゃげさせつつその顔面まで衝撃を届かせた。
大成功 🔵🔵🔵

ナイ・デス
これが、オーバーロード……なのでしょうか
闘争心を高めることで、あなたがいなくても、私達は真の姿になれる?
感謝、した方がいいのですかね
お礼は、全力(真の姿)で戦い、あなたの悪事を止める事と、します!

真の姿「光」となって
黒剣、彫像と融合、光はダイウルゴスのような鎧に覆われて

拳を構える

卑怯ではありませんよね。そちらも、そんな拳ですし
では……勝負!

光を放ち【推力移動忍び足ダッシュ】のフットワークで近付いて
【鎧無視重量攻撃】衝撃が肉の上から突き抜けていくような重い拳を振るう
単純な速さはあっても、無傷で勝てるような技量はない私
だから【覚悟、激痛耐性、継戦能力】それを補う再生能力と根性で

負けられない、です!


●超克
 ナイ・デス(本体不明のヤドリガミ・f05727)の体が光の塊となる。それが、彼の真の姿だった。
 次いで、黒剣が黒蜜のごとくにぐにゃぐにゃと形を変え、光の塊の上を這い回り、覆い隠し、無骨な外殻を形作っていく。やがてそれらは、漆黒の両翼を備えた直立する恐竜めいた姿となった。
 凶悪なまでに鋭利な五爪の生えそろった手を握っては開きつつ、ナイが言う。
「これが、オーバーロード……なのですか? 闘争心を高めることで、真の姿になれる……?」
「さて」
 プレジデントはナイを見上げつつ――つまり、かなり大柄なプレジデントをして見上げなければならないほど、今のナイは巨躯ということだ――肩をすくめた。
「オーバーロードの何たるかについては、本来は君たち自身がよくわかっているはずだ。己の真の姿に問いたまえ、真の自分とは何者なのかをね。それこそが、超克(オーバーロード)への道だ」
「――?」
 はぐらかされたような、そうでもないような台詞。
 だがまあ、今はそれを吟味しているような場合ではない。
「よくわかりません、が……今、私がすべきは、全力で、あなたの悪事を止めること」
 叫んだナイは外殻に覆われた両拳を握りしめ、プレジデント目がけて打ち下ろし、打ち下ろし、打ち下ろして打ち下ろした。
 膂力に頼み、速度に頼んだ拳の豪雨。格闘技術に明るくないナイが放つそれとはいえ、優位な体格から息吐く暇もなく打ち込まれる連撃は十二分な脅威だろう。
 豪雨にさらされたプレジデントは十字に交差した腕を盾としてそれらを防ぐが、威力と攻撃密度に圧倒されて反撃の機会を容易には見出せずにいる。それでも退かず、脇にかわすこともせずにその場に留まっているのは、大統領魂の成せる業か。
「ぬ、う――ぅん!」
 何が機かは知れず、プレジデントがガードごと体当たりするように踏み込む。
 拳を押し退けられたナイが怯んだ一瞬の隙を逃さず、プレジデントはナイのボディに右ストレートを炸裂させた。
「か、はっ!」
 黒剣の装甲に稲光めいた亀裂が走って砕け、ナイは吹き飛ばされた。
 常人どころかそれなりに鍛えた戦士であっても絶命必至の一撃――だが、【『ブレンホルズ・ジヴィライゼーション』(エクステンドオーブ)】による再生能力で、その傷はあっという間に塞がってしまった。
「おいおい……それはずるくないかね?」
「そちらの拳に、対抗するには……これくらいでないと、です」
 驚嘆するプレジデントに向かい、ナイは再び拳を振り上げて突進した。
大成功 🔵🔵🔵

久留米・圓太郎
■WIZ
まだ猟兵になる前、発掘した映画で見たような気がするけど、さぁ
>最終決戦は大統領のボクシング

さてと、オレが「真の姿」になったら……これでいいのか?
(1/4程度に身体が縮む)
それじゃ、いくか!

……とはいっても、オレの腕っ節はまるで話にならないからなぁ

UCと[オーラ防御、情報収集、世界知識]で、兎に角まずはこいつのパンチをかわす!(空振りのパンチは、余計に疲労する、とオレの[世界知識]が教えてくれている)

[空中戦、空中浮遊]で、アッパーに対抗して、それこそ「蝶のように舞う」フットワークを使う

トドメに[2回攻撃]でダメージを与える
一撃が無いから持久戦に持って行くしか無さそうだ

※アドリブ歓迎


●蝶のように蜂のように
「最終戦は大統領とボクシングって……前に発掘した映画でそんなの見た気がするけど、さぁ」
 久留米・圓太郎(自称魔法使いの一番弟子・f00447)がぼやくと、プレジデントは目を輝かせた。
「そうなのかね? 私はその作品に覚えがないのだが、その最終戦では大統領とそうでない方のどちらが勝ったのか、教えてもらっても?」
「――……」
 ハリウッド映画の主役を張っても違和感なさそうな面構えの、やたら筋骨隆々たる元大統領を見据えつつ、圓太郎はしばし口ごもったが。
「……忘れたよ。まあ、どうだっていいだろ。映画の結末なんてこの戦いには関係ないんだからな」
 言って、圓太郎はカッと目映く黄金色の光を放った。
 プレジデントは反射的に手で遮る。不意討ちを警戒するがそれはなく、半秒ほどして光が収まったところで改めて圓太郎を見やる――と、圓太郎は青年の男性の姿から、四分の一程度の体長の翼を生やした三毛猫の姿へと変貌していた。
 あまりといえばあまりに可愛らしい変身ぶりに、プレジデントは困惑したように首を傾げた。
「……ヘビー級に挑むのに、ライト級からミニマム級に落として大丈夫なのかね?」
「体は縮んでも、強さは倍になってんだよ!」
 圓太郎は怒鳴り、飛翔した。プレジデントの頭上、拳が届くか届かないかギリギリの辺りへと。
「ふむ。殴りにくい角度ではあるが、その程度では――!」
 地面を蹴ったプレジデントが、天を斬り裂くアッパーカットを放つ。
 が、圓太郎は風に煽られた木の葉のごとく、ひらりとそれを回避する。続けざまに放たれた追撃の拳も、またひらり。
 速度でいえば、決して捉え難いほどの超スピードではない――といってスポーツカーの全速力並みの速度は出ているのだが、まあ、超常存在同士の戦いを基準にすれば――が、休みなく翼を酷使して細かな空中機動をしてのけることで、絶妙な回避機動を可能にしている。ついでに体が、つまりは的が小さくなっていることも有利に働いている。
「ちぃ……!」
 焦れたプレジデントの拳が大振りになった隙を、圓太郎は逃がさなかった。
「おりゃあっ!」
 回避一辺倒から一転、アッパーカットをくぐり抜けるような急降下からの両手猫パンチ二連発が、プレジデントの顔面に炸裂する。
 絵面こそ何やら可愛らしい雰囲気ではあれ、真の姿を解放した猟兵の渾身撃。浮き上がっていたプレジデントは真っ逆さまに地面に叩きつけられ、轟音とともに派手な土煙を上げた。
大成功 🔵🔵🔵

待鳥・鎬
拳……いたずら坊主達に拳骨を落とした記憶しかないなぁ
流石に元大統領を近所の悪がき扱いするのは失礼かな

UCの翼が、真の姿の翼に重なって
今回は手刀……いや、固く握り締めた拳が霊刀の代わりだね
行くよ、杞柳!

超音速飛行でまずは足元狙って【部位破壊】
ボクシングって、多分足を殴ったりはされないでしょ?
先に体幹崩してやる
あとはヒット&アウェイで背面、頭上、また足元……は【フェイント】で急上昇して顔面
隙あらば人体の急所を狙う

って、竜巻とか最早パンチじゃないですよね!?
……いや、相手もボクシングだけで戦うなんて一言も言ってないな、そういえば
【限界突破】するつもりで速度を更に上げて
竜巻の芯まで【貫通する攻撃】を


ルパート・ブラックスミス
真の姿展開。
敵UCは青く燃える鉛の翼の地面スレスレを高速【空中機動】で竜巻を【衝撃波】で切り裂きつつ回避し懐に飛び込む。

幾多の制限を設けることで拳打の技巧を浮き彫りにするのがボクシング。
広範囲を攻撃する程に拳だけを巨大化なんぞナンセンスだ、打撃が大振りにならざるをえない。
そしてボクシングは同体格の相手の上半身を如何に的確に打つかの格闘技、自身の腰より下方への打ち込みは不向き!

懐に飛び込めたなら身体を跳ね上げUC【命を虚ろにせし亡撃】を込めたボディアッパー!
第一撃が入れば身体の自由は封じれる、そのまま【怪力】【乱れ撃ち】で畳みかける!

12ラウンドもかけん、ノックアウトさせてもらうぞプレジデント!


●ボマ・イェ
 待鳥・鎬(草径の探究者・f25865)は己を省みてみた。果たして自分は、拳を武器として扱ったことがあっただろうかと。
 頭を捻って絞り出せたのは、近所の悪童らを折檻する際に拳骨を振るった経験のみだった。およそ、巨像のごとくそそり立つ元大統領とボクシングで戦うにあたって、参考になるような代物ではない。
 鎬が思案しているところ、全身黒甲冑のルパート・ブラックスミス(独り歩きする黒騎士の鎧・f10937)がずいっと進み出てくる。
「次は、自分が相手をする」
「それは構わないのだが……いや」
 プレジデントは首を傾げ、言ってくる。
「別に律儀に一人ずつでなくとも、一度に掛かってきてくれてもいいのだよ?」
「――……」
 それを聞くと同時、ルパートの甲冑がギシリと不機嫌そうに鳴る。
 ただプレジデントにしてみれば、別に挑発して冷静さを奪おうとか、そういった意図があったわけではなかった。客観的事実として、プレジデントと猟兵単体とを戦闘力について比較してみれば、プレジデントの方が圧倒的である。一対一では猟兵に不利すぎるし、仮に二対一になったところでどれほどのものでもないと、素朴に考えたに過ぎない。
 まあ、それと理解できたところで、聞いてみて不愉快な台詞であるには変わりないのだが。
「ふーん、いいじゃん。お言葉に甘えよう」
 眉間にしわを刻みつつ、鎬は言った。ここで無闇に反骨心を発揮しても意味はない。やるべきはプレジデントの打倒であって、無謀な戦いに挑んで消耗することではない。
「……後悔させてやるぞ、プレジデント!」
 うなるような怒号と同時、ルパートの背中から夜闇に似た漆黒の両翼が広がる。
 さらに同時、鎬の背中からも翼が生じる――翼と呼ぶのが正しいのか迷うような、植物の蔓と葉とを組み合わせたオブジェのようなものが。まあ、羽ばたいて飛行力を得ているらしい以上、翼としかいいようはないのだろうが。
 次の刹那に両者が取った行動は、奇しくも同じだった。即ち、地面すれすれの低空を超高速で飛行するというもの。
「ほう」
 ファイティングポーズを取るプレジデントが、感心したような声を上げる。
 人間であれ、あるいは人間の埒外の力を得た何かであれ、足元を素速く動き回るものに対して的確に攻撃するのは以外に困難である。
 また、付言すれば。
「その戦法のボクシングに対する有用性は、歴史が証明しているね」
 かつて、ボクシングのチャンピオンとレスリングのチャンピオンとが異種格闘技戦を行った際、レスリングのチャンピオンが採用した戦法が、敢えて寝そべった状態になるというものだった。それに対し、ボクシングのチャンピオンは自慢のパンチもステップワークもまともに発揮できなかった。
「ボクシングというスタイルは、自分の腰より下への攻撃には不向き!」
「足を殴られることってないでしょ?」
「まあ、ローブローって反則だからねぇ」
 プレジデントは余裕げに軽口を叩く。周りを這うように飛行する猟兵二人、その速度は相当のものではあるが、プレジデントの眼力をして見失うほどのものでもない。
 といって、無闇に拳を振り回しても当たりはしないだろうことは、プレジデントも理解していた。
「崩してやる」
 隙をうかがうような軌道から、不意に切り返す。霊力が込められて淡く白光を放つ鎬の拳が、猛禽の嘴よろしくプレジデントの太腿へと奔る。
「そう簡単に――!」
 対するプレジデントはバックステップして鎬の拳を回避するや、己の拳を雑に中空に振り回した。
 明らかに鎬に当たりようがない一撃――だが、それは周囲の空気を竜巻へと変えた。
「って!?」
 地から天、周囲一帯を巻き上げる狂風に絡められ、鎬の体が浮く。
 その胴体の真ん中目がけ、プレジデントが逆拳を神速で突き出す――と同時、ルパートの放った衝撃波が竜巻を裂いて迫り、プレジデントの腕をかすめてパンチの軌道を逸らす。
「ぬ……」
 さらに、生じた竜巻の隙間に強引に体をねじ込むようにしてルパート自身も迫り、跳ね上がるようにしてプレジデントにボディブローを叩き込んだ。
「ナンセンスだな。そうまで拳を巨大化させれば、打撃が大振りになる」
「間違った分析でもないが」
 追撃を加えようとしたルパートを、揺るがぬ双眸でもってプレジデントが睨む。
「それほど間抜けで、フィールド・オブ・ナインが務まると思ったか?」
 ルパートの拳に合わせ、プレジデントの反撃の拳が思いの外コンパクトに放たれ、正面衝突する。
 ばきり、と互いの拳から鈍い音が響き、荒れ狂ったエネルギーが拮抗してかえって凪のような空間が生まれる。
 そこへ。
「杞柳の牙はまだ生きてる!」
「――しまっ」
 隙を逃さず身を翻した鎬が、プレジデントの顔面に鋭いストレートをクリーンヒットさせた。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

刹羅沢・サクラ
すてごろとは、また豪気な。
いいでしょう。そういう気質は嫌いではない。
本来忍者とは奇襲、暗殺は当たり前ですが、正面からの組討を挑まれては、断れませんね。
羅刹の拳、ご照覧なさるがよい

服のあちこちに仕込んだ暗器、腰に差した刀を外し、弓引くように構える

体格差は確かにある。優位はあちらにあろう
そちらの狙いが何なのかわかろうはずもない
しかし、全力で戦えというのならば、見せてやろう、化身忍者のなんたるかを

妖狐や同郷の鬼の霊を宿し、モフ耳とふさふさ尻尾の霊気を纏い、顔には隈取が浮く

拳のみで、ここまでの色合いを出すとは……世界は広い
しかし、あたしの拳とて、大波なり
響け轟雷

権力者は好かぬが、
あなたの拳は忘れまい


●波濤
 刀を鞘ごと地面に置き、そのかたわらに、硬鞭や投げナイフなどの暗器の類も置いていく。
 そうやって戦いに臨むという経験は、刹羅沢・サクラ(灰鬼・f01965)にとっては珍しいものだった。奇襲や不意討ちの引き出しは忍者にとって肝要であるのに、その種となる小道具をわざわざ手放すなどという行為は、普通はしない。しかも、単身で正対して挑むともなれば、もはや忍者なのか何なのかわからないくらいである。
 しかし、ならばサクラはそういった豪気な徒手戦闘が嫌いなのかといえば、そんなことはない。
 身を低めつつ、力を溜めた右拳を引き絞るように顔の脇へ持ってくる。
 色白なその顔に、朱色の隈取りが浮かび上がる。さらには頭部にきつね色の獣耳がもさりと生え、全身が鬼気とでも称すべき何かに包まれて輪郭を朧にする。
「背負っているね」
「化身忍者ですので」
 端的に答えるサクラを、プレジデントは目を細めて見やる。
「私もアメリカを背負っている……と、言えれば格好が良いのだが。あいにく、大統領の頭に『元』が付く」
 そう言ってファイティングポーズを取ったプレジデントは、サクラへ向かって地面を蹴った。
「――!」
 右へ、左へ、幾重もの残像ができるほど細かく速くステップしながら肉迫してくる。
 一方のサクラは動かない――否、動けない。彼女の狙いは構えのまま単純明快、右拳による渾身の一撃。だが、当たる気がしない。技術としては基礎的、初歩的といって良いステップワークが、常識外のボディスペックを持つプレジデントが行うことで、歴戦の猟兵たるサクラをも翻弄させるに足りる魔歩へと変貌していた。
 構えを解いて、一旦間合いを切か――否、と、サクラはその場に留まる。
 プレジデントが鋭いステップインから左ジャブを打ってくる、と見せかけ、サクラの目がそちらに泳いだ一瞬に逆側に身を流し、紫電のごとき右ストレートを放つ。
 が。
「響け轟雷」
 刹那、サクラの右足が蹴った地面が放射状の亀裂を走らせた。
 音も意識も置き去りにする超速度の踏み込みは微塵の無駄もなくサクラの右拳に伝播し、小拳に宿り得る限界を超越した爆圧を抱えてプレジデントの腹に突き刺さった。
 反応不可能なカウンターを喰らったプレジデントは体をくの字に折ってワシントン・モニュメントに激突した。九尺玉が爆ぜたような轟音と噴煙が生じ――そして、煙が風に流されたときには、プレジデントの影も形もなかった。
 骸の海に還ったのだ。
「……あなたの拳は忘れまい」
 冷や汗でずぶ濡れになったサクラはそう言って、ふぅーっ、と細長く息を吐いた。
大成功 🔵🔵🔵

最終結果:成功

完成日2021年09月16日
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵