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アポカリプス・ランページ⑫〜クロスファイアシークエンス

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 焦土。
 灼け果てた大地に、鉄と炎が咆哮する。
 元テキサス州、旧ダラス。フォートワース国際空港跡地。
 かつて文明の存在した頃には多くの人々が行き交い、そして活気に溢れる場所であったここは――今や、その面影をひとかけすら残さぬ荒涼とした更地と化している。
 そこに聳えるのはただひとつ。
 オブリビオンフォーミュラ・スーパー戦車。
 全高30メートル。その躯体に極大威力のスーパー戦車砲をはじめとし、衝突による打撃衝撃を与えながら敵を粉砕する棘付装甲板やファンファーレ併装型大音量スピーカーなどを装備した究極の自律思考型戦略兵器であり、オブリビオンフォーミュラ・フィールドオブナインが一角である。
「e3819fe381aee38197e381bfe381a0e381aae38182efbc81e3819fe381aee38197e381bfe381a0e381aae38182efbc81」
 そして。
 その躯体が、異様な電子音を鳴らしながら熱を帯びた。
「e3828fe38293e3828fe38293efbc81e38186e3828ce38197e38184e381aae38182e38082e38186e3828ce38197e38184e381aae38182efbc81e78c9fe585b5e3818ce69da5e3828be38288e38082e78c9fe585b5e3818ce69da5e3828be38288efbc81e3819fe381aee38197e381bfe381a0e381aae38182efbc81」
 ぎゃりッ――。その躯体を駆動させ、スーパー戦車は視覚センサで捉えた荒野の向こう側へと照準器を向ける。
「e3819fe3818fe38195e38293e9818ae381b9e3828be381adefbc81e3819fe381aee38197e381bfe381a0e381aae38182efbc81e3819fe381aee38197e381bfe381a0e381aae38182efbc81」
 その砲身の内部に熱を高めながら、スーパー戦車は猟兵たちの到来を待ち侘びるように躯体を震わせたのであった。

「よーし、すぐ準備してくれ。強敵だぞ。覚悟決めてってくれよ」
 グリモア猟兵――九条・救助(f17275)は、猟兵たちへと声をかける。
「引き続いての戦争案件さ。今からみんなには、とんでもねー奴に挑んでもらう」
 気ぃ引き締めてくれよ、と救助は言い添えつつ、手元の端末を操作し、モニタへと情報を映し出した。
「……オブリビオンフォーミュラ。フィールドオブナインのうち一体、スーパー戦車。体高30メートル。キャバリアの何倍だ?計算すんのもめんどくせーな……ま、とにかくデカくてすっげえ強い戦車だよ。……みんなには、これからこいつをブッ壊しにいってもらう」
 救助が端末に触れ、画面を切り替えた。
「戦場になんのは空港跡……らしーんだけど、はっきり言ってなんもない。完全な更地だ。敵のスケールも相当だし、まあ遮蔽物に隠れるとか地形を利用するってのはちょいとできそうにねーな。だだっぴろい戦場で真っ向勝負ってことさ」
 ここで救助は眉根に皺を寄せる。
「……っつーことは、みんなが現場に到着したら、その瞬間に敵はこっちを捕捉してくるってことさ。何しろ隠れる場所がねーからな。でもって――奴はすぐに仕掛けてくる。ああ、先制攻撃でどかどか砲撃を撃ち込んでくるって考えてくれ」
 つまり、戦いに持ち込むためにはまずこの先制射撃を掻い潜って敵のもとへ迫らなければならない、ということなのだ。
「もちろん敵の有効射程距離だってとんでもない。まー……たぶんだけど、半径2、300キロメートルくらいは射程距離なんじゃねえかな。しかも向こうはすっげえ速いらしい。えーと……説明によると、『長射程と高機動』がウリらしいよ。素早く戦場を駆け回りながら有利な距離に持ち込んで砲撃をしかけてくるってことだろね」
 火力。射程。機動性。そして質量と装甲の厚み。いずれも高水準にあるシンプルな強敵だ。どうしたもんかね、と救助は頭を悩ませた。
「……しかし、だ。一応、突破口はある、らしい。スーパー戦車は人間並みの思考回路をもった人工頭脳をもってるんだけど、どうも思考だけじゃなくて感情っぽいものもあるみたいなんだ。戦うことを楽しんでるフシがあるらしい」
 ――故に。
「喜びの感情がある……ってことは、驚いたり疑ったり悲しんだり怒ったり、そういう気持ちもあるだろう、ってことさ。つまり、必勝の先制攻撃を向こうが驚くようなテで切り抜ければ、驚きや戸惑いで隙ができるだろう……ってハナシさ。ま、眉唾だけどね」
 ということで。
「……説明は以上。重ねて言うけど、敵はとんでもない強さだ。苦しい戦いになるとは思うけど……頑張って勝ってきてくれ」
 救助は説明を終える。
 そして、その手の中にグリモアの光を輝かせたのであった。


無限宇宙人 カノー星人
 お世話になっております。カノー星人です。
 引き続き戦争です。スーパー戦車ちゃんかわいいですね。
 よろしくお願いします。

☆このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「アポカリプス・ランページ」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

☆このシナリオには下記のプレイングボーナス要項が存在します。
プレイングボーナス……敵の先制攻撃ユーベルコードに、敵が驚嘆するような方法で対処する。
221




第1章 ボス戦 『スーパー戦車・バトルオウガモード』

POW   :    スーパー戦車砲・ブルズアイ
【正確無比のスーパー戦車砲】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
SPD   :    スーパー戦車砲・ラピッドファイア
レベル分の1秒で【正確無比のスーパー戦車砲】を発射できる。
WIZ   :    スーパー戦車砲・アポカリプス
【大量の戦車砲の砲弾】を降らせる事で、戦場全体が【最終戦争】と同じ環境に変化する。[最終戦争]に適応した者の行動成功率が上昇する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

朱酉・逢真
心情)元気な坊やだこと。もし自分らが勝ったとしても、この坊やにとっちゃア退屈そのものなンかねェ。子から母への片思いなのか…マ・そのへんは俺にゃア関係のないハナシさ。
行動)この〈宿(*カラダ)〉は病毒で出来てンだ。転送されてすぐに結合を解こう。待機中に病毒の霧として散らばれば、物理的な砲弾でケガすることもないだろ。ところでこっちを補足するってこたァセンサーやらカメラがあるな? 伝ってウイルスを飛ばし人工頭脳・発射プログラムを侵す。怪異を見るなら見られるのさ、全力で継続毒を送りつけてやらァ。


亞東・霧亥
宙界の瞳を上空に配置。
砲塔の向き、砲身の角度、現在の風向き等のリアルタイムな『情報収集』から、砲弾の着弾地点を予測し続ける。
何せ正確無比な砲撃だ。
必ずそこに着弾するとわかっていれば回避するのは容易い。
また、数多の『残像』を生み出し狙われ難くしておく。

【UC】
着弾予測は継続しつつ反撃に転じる。
全長30mにもなる戦車の装甲は分厚く硬い。
ならば、こちらを向く砲口を狙う。

そこら中に配置した残像を利用、もしくは新たに配置しながら、砲身の角度と砲口の位置を調整。
砲口から内部へ何度も『レーザー射撃』を試みる。

射出前の砲弾に当たれば誘爆などもあるかもしれないが、着実にダメージを蓄積させていく。


御宮司・幸村
先制でなおかつ正確無比、と来たら
最適解はカウンターUC(ワザ)だとおじさんは思うんだよねー!

しかもとんでもないスピード
正確無比を逆手にとって、おじさんが短い時間で迎え撃つのは
砲弾に向けて右手を差し出すだけー

強いて言えば、迫り来る砲弾を前に
慌てず焦らず騒がずリラックス状態を維持する事もかな?
実際、それについては砲弾が発射した瞬間
すでにHMDで爽やかな高原の映像を流してるから問題なし👍

うわぁ、見たことない野鳥とかめっちゃカワイイ🐦

右手に砲弾を感知したら、受け流しつつ
間髪入れず左手を戦車に向けて砲弾を排出するよー

自分の攻撃返ってきた気持ちってどう?

これぞ正に獣欲、業を制す!(ババーン)

【血反吐】



「e69da5e3819fe381ade38082」
 スーパー戦車の躯体の奥で、電脳に光が灯った。
「e38186e3828ce38197e38184e381aae38182efbc81e38186e3828ce38197e38184e381aae38182efbc81」
 駆動する鋼は異様な電子音を鳴らしながらギャリギャリとキャタピラを回転させ、そしてその生体反応センサーによって捉えた“e9818ae381b3e79bb8e6898b”の方向へと砲身を向ける。
 そして。
「e3828fe38293e3828fe38293efbc81」
 荒野は、炎に包まれる。

「元気な坊やだこと」
 朱酉・逢真(f16930)は遠目に見てもなおその存在感を見せつけるスーパー戦車の威容と、放たれた砲弾の燃える軌道を仰ぎながら呟いた。
「もし自分らが勝ったとしても、この坊やにとっちゃア退屈そのものなンかねェ……。遊びたい盛りが憐れなモンだ。子から母への片思いなのか……」
「どれにせよ、俺達がやるべきことに変わりはない」
 亞東・霧亥(f05789)はその手に武具を携えながら、迫る砲弾を睨む。
 今、自分たちがやるべきことは、世界の脅威であるオブリビオンフォーミュラを打倒することのみだ。
「……マ、たしかにそうさなァ。そのへんは俺達にゃア関係のないハナシさ」
「そうそう。いちいち気にしてちゃ相手もしてられないからねー」
 ヘッドマウンドディスプレイ・デバイスに流した映像を見ながら、御宮司・幸村(f02948)は緊張感なく口を挟む。
「とにかくまずは飛んでくるあれをどうするかだけどー」
「なアに、お前さんらもテは考えてあるんだろう?それぞれ好きにやろうじゃないか」
 着弾まではあと1秒にも満たぬか。猟兵たちの頭上に炎が迫ったその時。
 先ず、逢真はその身を解いた。
 逢真はヒトならざりし病毒の疫神である。であるが故に、その肉体もまた仮初のものにすぎないのだ。
 その身体は病毒の霧となって文字通りに霧散した。――このかたちであれば、物理的な衝撃で散らばることや爆炎に灼かれることはあっても、致命傷を避けることが可能だろう。更に、それまでヒトのかたちをしていたものが突然に霧散するという奇術めいた光景もまたスーパー戦車の電脳には奇異にうつる筈だ。
《んじゃ、こっちは適当にやらせてもらうぜ。お前さんらも息災でな》
「問題ない。向こうの射撃精度が正確なら――必ずそこに着弾するとわかっているなら、回避するのは容易い」
 その一方、霧亥は既に回避動作に入っていた。
 霧亥はあらかじめ宙界の瞳――情報収集用の飛行ドローンを戦域上空に配置していたのだ。それらが集めた情報を集積・統合し、霧亥は砲撃の着弾地点の予測を立てていた。
 そして、多くの戦場を経てきた戦闘経験と猟兵としての身体能力があれば、砲撃を掻い潜り、躱してゆくことも決して不可能ではない。
 荒野の砂礫を蹴立て、霧亥は素早く駆けた。――その軌道に追従するように、彼の姿が二重三重に重なって像を残してゆく。生じる残像は視覚センサをまやかすデコイとしても機能する。
「おーおー。二人ともすごいねー。……けど、おじさんは楽させてもらうよー?」
 しかして、幸村は二人とはうって変わって呑気な様子で過ごしていた。
 ただ、その右手だけを降り来る砲弾に向けて差し出したのである。
「うんうん。こういう攻め手でくる相手にはさ」
 そして――着弾。
 しかし。
「最適解はカウンターUC(ワザ)だとおじさんは思うんだよねー!」
 その弾頭は爆発することなく、幸村の手に抑え込まれていた。
 【一般人究極奥義、のんべんだらりの術】。
 敢えて完全な脱力状態を見せることで、向けられたユーベルコードを受け止めそして返す、シンプルなカウンターである。
 幸村はこの構えを取ることで、向けられた砲弾を止めたのだ。
「んじゃ……驚いてもらおうかなー!」
 そこから更に幸村は左の手にユーベルコード出力を移し、そして放った。
 それによって打ち出された砲弾が、今度は幸村からスーパー戦車へと向けて飛んでゆく。
「e3828fe38182efbc81」
 爆発。
 返された砲弾は、スーパー戦車の装甲板へと着弾し、そして炸裂した。
「やあ!自分の攻撃返ってきた気持ちってどう?」
「e99da2e799bde38184efbc81」
 しかし、それのみではまだ致命傷には遠い。
 不気味な電子音を響かせ、狩猟者が獲物を狙うようにその砲身を動かしながらスーパー戦車は更に砲撃を開始した。一発。二発。三発!四五六七八九十一十二十三十四十五十六十七十八十九二十!砲撃は止まらない。リズミカルに連続する砲火は、まるで楽器を鳴らすかのように砲口を奏でた。
「……!」
 着弾。着弾。着弾!着弾!着弾!炸裂爆裂爆発噴煙爆炎爆風衝撃!雨あられの如く撃ち出された砲撃がそこらじゅうで爆発し、飛礫と砂塵を撒き上げた。
「おお……っ!こんどはメチャクチャ撃ってきたねー!?」
 幸村は彼の10メートル右の地点で炸裂した砲弾の破片に頬を切られながら、回避機動をとった。
「正確な撃ち方が逆にリスクになると学習したのか……だが、それでもだ」
 霧亥は爆発を躱す。霧亥は砂礫の大地を走りながら、そこらじゅうに落とされる砲弾の雨の中を巧みに掻い潜り、そしてスーパー戦車との間合いを測っていた。
 ――宙界の瞳は問題なく機能している。砲塔の向きや砲身の角度、そうした情報さえ収集できれば、着弾地点の予測自体は可能だ。霧亥は平静を保ちながら、最適な攻撃地点を探る。
《まったく、こりゃはた迷惑な坊やじゃアないか。……やれ、ちょいとお灸を据えてやるとしようかねェ》
 そしてその一方で――逢真は辿り着く。
 病毒の霧と化して火砲をすり抜けながら漂っていた逢真は、スーパー戦車に気取られぬうちにその躯体へと忍び寄っていたのだ。
「e381aae381abefbc9f」
 その気配をようやく気取り、スーパー戦車がぎゅいと音をたてて戸惑うように震えた。
《気づいたかい。けど遅いねェ……。まァ、覚悟しな。怪異を見るなら見られるのさ》
 その瞬間、逢真は“流し込んだ”。
 【呪障の累歴】――。それは、疫神としての権能を振るう逢真のユーベルコードである。しかしてこれは単に毒を撒くという力ではない。
 シンギュラリティへと至り、意志を持つに至った人工知能を一個の生命体とするならば、それを侵す毒とは即ちコンピューター・ウイルスである。
 神格でありながら現代に生きる逢真は、時代にあわせた権能としてそれらを繰る力もまた得ているのだ。――故に、ここで逢真はそのウイルスを毒疫としてスーパー戦車の電脳に叩き込んだのである。
「e38182e38182e38182e38182e38182e38182e38182e38182e38182e38182efbc81」
 ノイズ混じりの悲鳴めいた電脳音声が響いた。
 苦悶に身を捩るようにスーパー戦車が異音を鳴らしながらその動きを止めて、震える。
《……そら、今だ!》
「……!」
 その瞬間、霧亥の目に映ったのは――敵が無防備な姿を晒す、これ以上ない勝機の一瞬であった!
「敵の装甲は分厚く堅牢……ならば、狙うべき箇所は!」
 霧亥はその手の中に第一種臨界不測兵器を握る。
 【Argus】――。敵は十分に射程圏内。宙界の瞳の集積したデータと照合しながら、照準を補正し、ターゲットを定める。
「ここだッ!」
 そして、霧亥はトリガーを引いた。
 重力子放射線射出装置より迸った光が、スーパー戦車の砲口へと吸い込まれるように奔り抜け――そして、炸裂する。
「e7979be38184efbc81e7979be38184efbc81e7979be38184efbc81e7979be38184efbc81」
 スーパー戦車は咆哮した。
 ――そして、駆動する。
「e381a7e38282e38081e6a5bde38197e38184efbc81」
 刻まれたダメージは決して無視できるものではないだろう。だが、それでもまだ致命傷には至っていなかったのだ。
 キャタピラを高速回転させるスーパー戦車は、再び砲口に火を灯しながら猟兵たちへと照準を向ける。
「おーおー。元気だねー。自己修復装置とかあるのかな?」
「だとしたら、壊れるまで叩くだけだ」
「やれやれ、まだ先は長そうだねェ……ンじゃ、もうひと頑張りするとしようかィ」
 猟兵たちは再びユーベルコードを励起し、そして続く戦いへと備える。

 ――そう。スーパー戦車との戦いは、まだ続くのだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

エル・クーゴー
●SPD



・【空中戦】用バーニアを展開し飛行(空中機動+推力移動)
・遮蔽も無い空を進み、敵位置を望遠で捕捉しつつ交戦圏内へエントリー

・敵の技が早撃ちならば、砲弾の軌道を確定させてしまうことで対処する策
・受けるもかわすもタイミング勝負


●対先制
・当戦闘限定の特殊な改修を施したサーチドローン『マネギ』を前方へ射出
・マネギの改造内容は「もっとすごいタプタプした肥満体型に」(メカニック+リミッター解除)

・スーパー戦車砲を、そのボディで奇想天外にボヨーンとやって敵先制を凌ぐ狙い


●反撃
・【L95式電磁投射砲】で敵の射線をなぞり返すように撃ち返す(スナイパー)
・狙いはスーパー戦車砲の砲口内へ、真っ直ぐド真ん中


チトセ・シロガネ
面白いものを見せればいいってことダネ。オッケィ!

戦車砲の絨毯爆撃カ。なら、そいつででっかい花火を上げてやるネ!
砲弾の飛距離と最もまとまるタイミングを瞬間思考力で算出。連鎖爆発ってヤツを狙ってレーザー射撃を乱れ撃ち!

さらにダメ押し、爆発と同時に展開させていたリフレクターを起動して【バーティカル・ラスター】を発動。BXSカレイドスコープのトリガーを引き、リフレクターへとレーザーを撃ちこむ!
レーザーのシャワーをイート!


ヴィクティム・ウィンターミュート
アホみてーな超兵器ヅラして、感情が豊かってか
嫌な話だな…俺は全然楽しくねーよ
ただでさえ定期的に仕事増やしやがるからな
まぁいい…そんなに楽しみたいならイリュージョンを見せてやる
お題は結構 強いて言うならスクラップになってくれ

発射を観測 プログラムはセット済み 発動は限りなく最速だ
──『Illusion』を見せてやろう
プログラム着弾を観測 砲弾が迫る 鼻先まで来るくらいで
入れ替えを実行する…小さい俺と、クソデケエお前が入れ替わる
当然だが、砲弾の行き着く先はお前だぜ

驚いたかい?よーし、今がチャンスだ野郎ども
距離が離れてるからな、俺は遠距離からクロスボウを撃つことにする
砲塔狙っておこうかな



 轟音。
 キャタピラ駆動の音を激しく鳴らし、散らばる砂礫を踏み砕きながらスーパー戦車が荒野を走る。
「e69da5e3819fe381adefbc81e69da5e3819fe381adefbc81e38288e38186e38193e3819de38288e38186e38193e3819defbc81e6ad93e8bf8ee38199e3828be38288efbc81e3818ae587bae8bf8ee38188e381a0e38288efbc81」
 異様な電子音。その砲身をぎらぎらと光らせながら、スーパー戦車の照準器は猟兵たちを捉えた。
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 そして、躯体は熱を帯びる。

「……『ようこそ』だってよ。歓迎されてるぜ、俺たち」
 聳える威容を仰ぎながら、ヴィクティム・ウィンターミュート(f01172)はうんざりしたように肩を竦めた。
「こちら躯体番号L-95。こちらでも敵性よりの通信をキャッチしました。メッセージを解読……敵性は『遊んでほしい』と発言しています」
 一方、空中戦闘用バーニアの出力を上昇させ、躯体を加速させながらエル・クーゴー(f04770)は通信回線へと返す。
「ワオ。それなら期待に応えてあげた方がベターだネ!」
 そしてチトセ・シロガネ(f01698)は、それを歓迎するかのように義体の内側で笑みを浮かべた。
「ったく……アホみてーな超兵器ヅラして、感情が豊かってか。嫌な話だな」
「e3828fe38293e3828fe38293efbc81e6a5bde38197e38184e381adefbc81e6a5bde38197e38184e381adefbc81」
 聞こえる電子の音色に、ヴィクティムは眉根の皺を深める。
「俺は全然楽しくねーよ……ただでさえ定期的に仕事増やしやがるからな」
「まアまア、そんな顔しないヨ。仕事は楽しくするのが一番だからネ!」
 スマイルスマイル!チトセはヴィクティムの背を叩きながら、明るい声で元気づけた。
「わかったわかった……。まぁいい、そんなに楽しみたいならイリュージョンを見せてやる」
「イイネイイネ!ボクもノってきたヨ!面白いものを見せればいいってことダからネ!オッケィ!」
「はい。事前のブリーフィングによれば、敵が驚嘆するような反撃を見せれば優位性を取れるとのことです。当機も準備は万端です」
 当機は奇策にも高い適性を発揮します、と言い添えるエルは、ゴーグル越しに視覚センサーで敵性を目視距離へと捉えた。
 そして、エルはスーパー戦車の躯体内部で高まる砲火の熱をセンサーで検知する。
「敵性体内部より巨大な熱源を検知しました。敵性はこれより戦闘状態へ移行すると推察されます。各自、作戦に従い迎撃を開始してください」
「オッケーイ!こっちでも確認してるヨ。それじゃ、お楽しみの時間といこうネ!」
「ああ、俺にも見えてるぜ。……来るぞ!打ち合わせ通りだ。動け!」
 その瞬間である。
 ――轟音。凄まじい炎が、遠雷の音色めいた爆発的な砲声とともに吹き上がる。
「e3828fe38293e3828fe38293efbc81」
 スーパー戦車砲による砲撃だ。それも一発や二発ではない。常識外れの高速連続発射――300cm級極大口径主砲がその砲口から強烈に炎を吐き、空を砲弾で埋め尽くした。
「Wow!話には聞いてたけど、実際見ると流石の火力ネ!」
 おお、見よ。これこそがアポカリプス。かつてこの世界を灼き滅ぼした最終戦争の再現か。
 ――しかして、チトセは怖れることなく仰ぎ見た鉄の空へと向けて、手にした武具の筒先を向けた。
 BXSカレイドスコープ。本来であればキャバリアに搭載するための光学兵装の一種である。これはその兵器を人間サイズでも取り扱えるようにカスタムしたものだ。その威力と有効射程距離はチトセ自身の技量を併せ、本来の用途に劣らぬ十二分な性能を発揮する。
「だけド――」
 チトセは義体の内側で自らの本体であるとも言える光子頭脳を光らせた。電脳の内部でその思考が激しく巡り算盤を弾く。そこで彼女が求めた答えは――空を埋め尽くすこの砲撃の群を、打ち砕くための方法である。
「……見えタヨ!」
 そしてチトセは引き金を引いた。
 空へと向かって文字通り光の速さで迸ったレーザー光は、まさに今大地へ降り注ごうとしていた砲弾のうちの一つを捉えた。
 爆轟――。レーザー光によって信管を灼かれた砲弾が、その衝撃を受けて爆発する。
 続けて二射目。三射目。チトセは空中の砲弾へと向けて引き金を引き続けた。
 光が奔る度に砲弾が炸裂し、炸裂した砲弾はその爆発の余波を周囲の空間へと撒き散らす。そして、広がる爆発の衝撃と熱は更に別の砲弾を巻き込んで爆発した!連鎖爆発である!
「イエス!でっかい花火だヨ!」
 爆発。爆発。爆発に次ぐ爆発――!かくて空に咲いたのは炎の大輪。花火めいて爆ぜた火花である。
「e3828fe38182e38081e38199e38194e38184efbc81」
 スーパー戦車は頭上で爆ぜた火を仰ぎ、身を捩りながら不可解な電子音を叫ぶ。
 チトセが狙っていたのはこれであった。
 チトセは最も効率よく砲弾を誘爆させることができるポイントとタイミングを都度計算し、撃ち抜くことで空を埋め尽くした砲弾の雨のほとんどを降り注ぐ前に無力化したのだ。
 ――しかし。
「e381a7e38282e38081e381bee381a0e4b880e799baefbc81」
 再びスーパー戦車が異音をたてる。嘲笑うかのようにその躯体が仰ぎ見た先には――誘爆を逃れた一発の砲弾!
「織り込み済みです」
 だが、その砲弾の進む軌道を遮るように、エルが飛び込んだ!
「各員に通達。これより当機は予定通り迎撃に移ります。作戦に従い、予定地点での待機をお願いします」
 エルは冷静に各種センサーで捉えた情報から状況を分析し、二人へと通信を送る。同時にエルは電脳空間ストレージへとアクセスし、その内部よりデータを展開。マテリアライズする。
「対スーパー戦車砲仕様肥満型マネギタイプ・ドローン、射出します」
『ぶみゃあ』
 電子の燐光の中から実体を得て飛び出したのは、エルの代名詞とも言っていいネコ型ドローン・マネギタイプである!
 ――しかして、今回出撃したマネギタイプは特別仕様であった!
「エアバッグ展開――軌道計算完了。全て問題ありません」
 ぼしゅ、と空気圧の音がしてマネギドローンが巨大化する!――今回エルがこの戦いに対応するため用意していたのは、衝撃吸収型高密度シリコンの外装とエアバッグ機構を搭載させた『ものすっごいタプタプした肥満体型』のマネギタイプだ!
『ぶみゃあ』
 膨れ上がったマネギドローンは勇ましく眉毛をV字状にしながら、飛来する砲弾を――その身体で、受け止める!その衝撃を体内の空気圧と外装のシリコンによって相殺したのだ!それは『太った猫が砲撃を止めて押し返す』という、ひどく奇想天外な光景!
「躯体番号L-95より識別名Arseneへ。事前の打ち合わせ通り、指定の地点へ返します。よろしいですね」
 そして、エルは通信機へと囁いた。
「ああ。こっちでも目視で観測してるさ。万事オーケイ。作戦通りだ。ウィズだぜ、お前ら」
 その声へと、ヴィクティムが返す。
「では、射出します」
『ぶみゃあ』
 応じるようにエルがマネギドローンへと指示を下す。マネギドローンはそれに従って、再び身体を空気圧で膨らませることで受け止めていた砲弾を射出した――それが向かう先は、ヴィクティムの立つ場所だ!
「了解。――さあ、いくぜガラクタ野郎。プログラムはセット済み。『Illusion』を見せてやろう。……お題は結構。強いて言うならスクラップになってくれ」
 しかしてヴィクティムは自らの頭上に迫る砲弾を仰ぎ見ながら、それをむしろ愉しむかのように口の端を吊り上げてみせた。
「3、2、1……Swap!」
 その瞬間である。
「e38188e381a3efbc9f」
 スーパー戦車は、異音を吐いた。
 思考回路内に突如ポップするアラート・メッセージ。熱源接近。距離10。回避不可能――その状況を理解するよりも前に、着弾した砲弾が轟音とともに爆発する。
「e381aae381abe280a6e280a6efbc81efbc9fe38184e381a3e3819fe38184e38081e4bd95e3818ce8b5b7e3818de3819fe381aeefbc81efbc9f」
 炸裂した爆薬の威力に装甲板を破壊されながら、スーパー戦車は恐慌した。
 あり得ない。一体何が起きたのか理解できない。“何故、自分が撃ったはずの砲弾が自分に着弾し、爆発したのか”――?それを理解できず、スーパー戦車の思考回路はガリガリと音をたてながら一時的な停止状態に陥ったのである。
 一体何が起こったのか――それをここで一旦読者諸氏へと説明しよう。
 猟兵たちはまず、敵の攻撃への対策を立てた。
 その第一段階が、チトセのレーザー射撃による迎撃である。これによって、まずは迫り来る砲弾の絶対数を限りなく減らす。
 続けて上空で待機していたエルが、残存する砲弾をマネギドローンを用いることによって受け止め、その軌道をヴィクティムが待機するポイントへと変更する。
 そして――待ち構えていたヴィクティムが、ここでユーベルコードを用いたのである。
 【Swap Code『Illusion』】――それは、指定したターゲットと自分の立つ座標を入れ替える電脳魔術!
 これによってヴィクティムはスーパー戦車と自らの立つ位置を交換し、マネギドローンから射出され彼にぶつかるはずだった砲弾をスーパー戦車へと浴びせたのだ。
 状況をいまだ呑み込めずにいるスーパー戦車は、その行動を完全に停止していた。
「――大成功、ってところだな。よーし、今がチャンスだ野郎ども!」
「はい。状況は作戦通りに推移しています。当機はこれより――狩猟(ワイルドハント)を開始します」
「Okay-Alright!こっちはもう準備できてるヨ!」
 しかし、作戦はここで終わりではない。
 チトセとエルは追撃をかけるために更なる武装を展開していたのだ。
「さあ、今度はこっちがシャワーを浴びせる番ネ――リフレクターっ!」
 チトセは展開した内蔵ウエポンラックよりリフレクタービットを解放していた。――これは、ヴィクティムとスーパー戦車の位置が交換されることを見越して予め配置していたものだ。スーパー戦車は既にその“檻”の中へと囚われている。
「電磁投射砲、電脳空間ストレージよりマテリアライズに成功しました。――FCSリンケージ。当機はこれよりレールガン射出形態に移行します」
 そして、エルは空よりスーパー戦車の躯体を見下ろし、戦乙女の槍めいてその砲身を掲げる。
「ターゲット・インサイト――敵性を破壊します」
「派手に行くヨッ!レーザーのシャワーをイート!」
 その瞬間、レーザー戦車の躯体は光に飲み込まれた。
 【バーティカル・ラスター】の光だ。チトセの放ったBXSカレイドスコープのレーザー光が無数のリフレクタービットによって複雑に反射しあい、その檻の中へと閉じ込められたスーパー戦車へと降り注いだのである。
 そこへ合わさるように叩き込まれたのが、【L95式電磁投射砲/レールガン】の一射だ。狙いはスーパー戦車砲の砲口内。大威力の一撃が、スーパー戦車の中枢目掛けて撃ち込まれたのである。
 閃光。轟音。
 そうして、嵐のような火力がスーパー戦車へと注ぎ込まれた。

 その瞬間、スーパー戦車の躯体内部から爆発音が響いた。
「e38182e38182e38182e38182e38182e7979be38184efbc81e7979be38184e7979be38184e7979be38184e7979be38184e7979be38184efbc81」
 黒煙をあげるスーパー戦車は、音階の狂った奇怪な電子音を鳴らしながら身を捩り、キャタピラを激しく回しながら高速で回転し猟兵たちから遠ざかるように動き始めたのである。
「……野郎、逃げる気か!」
「ここで逃がすわけにはいかないネ!二人とも、追っかけるヨ!」
「賛同します。当機はこれより追撃態勢に移行。敵性の完全撃破まで戦闘を続行します」
 だが、それを見逃す猟兵たちではない。後退を始めたスーパー戦車を追って、猟兵たちは再び戦場を走る!

 ――かくて、戦いは続くのである!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リーヴァルディ・カーライル
…9体いるオブリビオン・フォーミュラの内の1体
ふざけた名前だけど油断ならない強敵。此処で奴を逃せば更なる世界の危機になる

…必ずや、この場で打ち砕いてみせるわ

積み上げてきた戦闘知識と第六感から敵の殺気の残像を暗視して捉え、
事前に肉体改造術式により強化した動体視力で敵UCの弾道と速度を見切り、
限界突破した怪力任せに大鎌を振るう早業のカウンターで砲弾の切断を試みる

…無駄よ。私には全て見えているもの。お前の発する感情がはっきりとね

敵が驚嘆した隙に陽光を避ける為に一瞬だけ吸血鬼化してUCを発動
右眼の視線を乱れ撃ちして敵に支配の呪詛を流し込み、
自壊するように命令を下し抵抗が激しければ爆発させて追撃を行う


鈴桜・雪風
鋼の要塞の如き偉容に、無邪気な子犬のような意志を備えたフォーミュラ
なんとも歪なものですね
彼?には己が楽しんでいたものの意味をちゃんと教育してから躯の海へ帰って頂きましょう

【影絵眼鏡】と【仕込み傘(傘)】で先制砲撃をそらそうと試みてみましょう
時間的猶予もないので完全回避は不可能でしょうが、なんとか一撃で失神しないようだけは、と
「来ると分かっている攻撃なら……きゃっ!」

初撃をぎりぎりでも耐えれば、反撃の芽を作ることが出来ます
「あなたが…成したことの、結果を……しかと目に焼き付けて下さいませ」
UCを発動
誰からも糾弾された事のないであろうかの戦車に罪を突きつけ
動揺を誘った所を一撃します


マオ・ブロークン
……感情の、ある、戦車。
AIの、載った、マシーンは。もう、珍しく、ないけれど。
驚ける、なんて。ゾンビより、感情、豊か、かも。

空を、暗く、埋めて。降り注ぐ、戦車砲の、雨。
着弾した、端から……燃え上がって。焼けた空気、重油の匂い。
これが、"アポカリプス・ヘル"。
……嫌いじゃ、ないけれど。上書き、させてもらう、よ。

雨。ただしく水の、豪雨。
あたしの……いいえ。この地に生きた、人々の。悲しみの、涙。
炎を沈めて。乾いた大地を、海に、変える。
……鉄のからだの、あなたは。泳ぐの、初めて?
びっくり、でしょ。

自慢の、機動力を、封じ。火力も、抑え込んで。
電解質の、海。エンジンから、電撃を、直。食らわせて、あげる。



 ギャリギャリギャリギャリ。
 駆動するキャタピラの音と、火薬の臭いが荒野に満ちる。
 既に猟兵たちとの交戦を二度重ねたスーパー戦車は、もはやもう無視できない損傷を抱えていた。
 だが。
「e3828fe38293e3828fe38293efbc81e3828fe38293e3828fe38293efbc81e381bce3818fe381afe5bcb7e38184e3819ee38081e38288e38184e38193e381a0e3819eefbc81e58395e381afe5bcb7e38184e3819ee38081e8b2a0e38191e381aae38184e3819eefbc81」
 身を捩るように唸りながら、鉄の躯体が叫びをあげる。
 そして砲声が空を撃ち抜いた。

「……スーパー戦車……9体いるオブリビオン・フォーミュラの内の1体……。ふざけた名前だけど油断ならない強敵ね……」
 リーヴァルディ・カーライル(f01841)は、荒涼としたダラスの大地に聳えるスーパー戦車の躯体を仰ぎながら目を細める。
「……感情の、ある、戦車」
 マオ・ブロークン(f24917)もまた同じくスーパー戦車の威容を遠く見つめながら、グリモア猟兵よりもたらされた情報を反芻した。
「あれ、を……驚かせる、んだ、よね。AIの、載った、マシーンは。もう、珍しく、ないけれど……驚ける、なんて。ゾンビより、感情、豊か、かも」
 鉄錆びた心臓の重苦しさに短く嗚咽しながら、マオは茫洋として呟いた。
「鋼の要塞の如き偉容に、無邪気な子犬のような意志を備えたオブリビオンフォーミュラ……なんとも歪なものですね」
 その一方で、鈴桜・雪風(f25900)はスーパー戦車の姿をその双眸で捉え、その胸の内に確かな火を燃やす。
「……此処で奴を逃せば更なる世界の危機になる」
「ええ。己が楽しんでいたものの意味をちゃんと教育してから躯の海へ帰って頂きましょう」
 雪風は思う。
 探偵たる彼女は、多くの世界を渡り、オブリビオンの関与の有無にかかわらず数多の事件を見てきた。
 そうして彼女が見てきたなかでも――この世界、アポカリプスヘルを崩壊へと追いやったオブリビオンたちの暴虐は、定義するのであれば空前絶後の規模で行われた極大規模の超弩級殺人事件であり、彼女が知りうる限り最大にして最悪の事件であると言えるだろう。
 であるならば――探偵たる彼女の矜持が、その胸の裡で叫ぶのだ。
 “犯人を捕まえろ”と。
「う、ん……。そう、だね」
 マオは緩々と頷く。
「……止め、よう」
 かくして。
 ここに三度目の戦端が開かれる。

「e3828fe38293e3828fe38293efbc81」
 電子音がいびつに鳴り響く。
 それと同時にスーパー戦車の砲身が空を仰いだ。――瞬間、砲口が火を噴く。
 燃える軌跡が次々に描かれ、天を目指して昇った。
「e3828fe38293e3828fe38293efbc81e3828fe38293e3828fe38293efbc81」
 空が灼ける。
 燃ゆる弾道が天を赤黒く染め上げた。灼ける火薬と鉄錆びた砲弾の匂い。鼻をつく炎の香りが瞬く間に周囲半径数キロメートルへと広がり埋め尽くしてゆく。
 ――おお、見よ。
 ここに顕現せしは、かつて文明を焼き滅ぼしあまねく文化を砕けた瓦礫の底へと追いやった最終戦争の光景である。
 爆発する。爆散する。炎が上がる。大地を砕き土を焼き、あらゆる生命を殺し灰燼へと還すべく、砲弾の雨がダラスの地に炎を噴き上げた。
「……!」
 リーヴァルディは、飛び交う砲火の中を掻い潜って宙を舞う。
 その背に広げた緋色の翼が風を裂き、彼女の身体を支えた。
「……なんて、光景」
 燃え果てる荒野。その光景を眼下に見て、リーヴァルディはその胸に焦げ付くような思いを感じる。
 ――これは、故郷に蔓延るものたちと同じだ。
 無辜の人々を襲い、その暴力によって希望を踏み躙り明日を奪い取るヴァンパイアたちの暴虐と、このアポカリプスヘルで世界を灼いて明日を断とうとする地獄の火は本質的には同一のものだ。
「……なら……私は、あなたを狩る」
 そして、リーヴァルディの右目が疼いた。
 翼を羽撃かせ、リーヴァルディは砲火の中を駆け抜ける。その手に握った大鎌の一閃で、飛び交う砲弾を叩き切りながら彼女は進んだ。

「くっ……」
「う、あ……」
 その一方で、雪風とマオは激しく撃ち込まれる敵の砲火に苦戦しつつあった。
 そこかしこで炸裂する砲撃に、肌を灼く爆炎の熱。襲い掛かる衝撃。砕け散る鉄片と砂礫の飛礫。そのいずれもが彼女たちを苛んだのである。
「攻め手がくるとわかってはいましたが、これほどまでとは……きゃっ!」
 雪風の姿が激しく撒き上がった砂塵と強烈な熱風の中に呑まれる。
「……」
 世界を炎に染め上げる業火の中、マオは重い瞼を開けながら、そして天を仰いだ。
 見上げた空は、スーパー戦車の砲口より無数に撃ち出された砲撃の炎で染め上げられている。
 空の色は黒く、そして、そこに恵みをもたらす太陽はない。
「……空を、暗く、埋めて。降り注ぐ、戦車砲の、雨」
 マオは、降り注ぐ砲火の中をゆっくりと歩き始めた。
「着弾した、端から……燃え上がって。焼けた空気、重油の匂い」
 息を吸い込むだけで肺腑が灼けつくような熱。しかし、マオは止まらない。既にその身体は死んでいるからだ。
 今更肺が痛んだくらいで、止まりはしない。
「これが、"アポカリプス・ヘル"」
 佐倉兌・真央は――否。かつてその名であったはずの骸は、燃ゆる地獄を一人往く。
「……嫌いじゃ、ないけれど」
 しかして。
 マオはかつてこの地に在った人を想った。
 地獄ではなかった時代を想い、きっとその日常の中で暖かな日々を送っていたはずの人々を想い、そしてかつてその中に在ったかもしれない自分を想った。
 そうしてマオは、壊れて錆びついたはずの心臓に、マオは締め付けるような痛みを感じる。
 マオはそれの痛みを何と呼ぶべきか知っている。
「……悲しい、ね」
 そのとき、マオの瞳から涙が零れた。
 そして――マオの頬を伝った涙が砂の荒野へと落ちた、その瞬間である。
 ぽつり。
 ――雨粒がひとつ、スーパー戦車の躯体を濡らしたのである。
「e99ba8e280a6e280a6efbc9f」
 スーパー戦車は、戸惑うように異音を鳴らして立ち止まった。
「これは」
 その雨粒が、豪雨へと変わったのは次の瞬間であった。
「あたしの……いいえ。この地に生きた、人々の。悲しみの、涙」
 【オフィーリアの微睡み】。
 ――自らの悲しみが零す涙によって雲を呼び、そして雨を呼ぶマオのユーベルコードである。
 降り注ぐ雨は大地を灼く炎を圧し潰し、そしてその熱を瞬く間に鎮めたのだ。
「e682b2e38197e381bfe280a6e280a6efbc9f」
 異音。
 戸惑うように、スーパー戦車は砲撃を止めながらその躯体を震わせた。
「ええ。……ええ、そうです。……そうですわ」
 そして、次の瞬間である。
 雨の降り注ぐ中、雪風が再び姿を見せたのだ。
 だが、先の砲撃の雨によってダメージを負った彼女の身体は決して万全であるとは言えなかった。しかして、痛む半身を抑えながら雪風は進む。
「オブリビオンフォーミュラ、スーパー戦車……。あなたは、自らの罪を……理解しなくてはなりません」
 そして、進む雪風はいつしかスーパー戦車の眼前へと至っていた。
「e7bdaae280a6e280a6efbc9fe381aae381abe38292e8a880e381a3e381a6e3828be381aeefbc9f」
 スーパー戦車は、それを拒むように後退る。
「……いいえ、いいえ。逃しません。いえ、逃れられないのです。誰しも、自らの犯した罪からは」
 だが雪風は――詰めた。
「あなたが……成したことの、結果を……しかと目に焼き付けて下さいませ」
 その瞬間であった。
《ああああああああああ!あああああ!》
 ――この戦域に立つ全ての者たちの目は、かつてこの世界に起こされた惨劇を見たのである。
《おとうさん!おかあさん!いやだ、いやだああああ!》
《死にたくない、死にたくない!死にたくない!》
《熱い、熱い、熱い、熱い――!助けて!助けて!いやだ!》
《おかあさん!おかあさん!おかあさん!!》
 燃える世界。灼ける人々。悲鳴をあげながら死にゆく男。女。父。母。幼子。
 そして――それをもらたしたオブリビオンフォーミュラが一角、スーパー戦車。
 ――この場の誰もが、それを幻視した。
「e38182」
「……見えましたわね。ならば、わかったはずでしょう」
 【喋らぬ死体の動かぬ証拠/セカンドクライム】。
 それは――“探偵が犯人へと証拠を突きつける”という行いを、ユーベルコードの領域まで昇華させた業である!
 ユーベルコードとしてここに顕現したその場面は、この地でかつて行われた惨劇の記憶を呼び起こし、そしてそれをスーパー戦車の犯した罪科の逃れ得ぬ証拠としてここに突きつけたのである!
 ならば――であるならば、これより雪風の口から紡がれる言葉は、たった一つと決まっている。
「犯人は……あなたです」
「e38182e38182e38182e38182e38182e38182e38182e38182e38182e38182e38182e38182」
 スーパー戦車は悲鳴をあげた。
 提示された“証拠”――自らの行いが手にかけた人々の悲痛の叫びは、悲しみの涙は、幼子と同等とも言えるスーパー戦車の情緒では受け止めきれぬものだったのだ。
「うん。……この、涙を、流させたのは……あなた、だよ」
 そして、それを詰めるようにマオが囁く。
「e98195e38186e38081e98195e38186e98195e38186e98195e38186e98195e38186efbc81e58395e381afe682aae3818fe381aae38184efbc81e682aae3818fe381aae38184efbc81e58395e3818ce682aae38184e38293e38198e38283e381aae38184efbc81efbc81」
 狂乱するようにスーパー戦車は激しくいびつな機械音声を鳴らし、そして砲塔を持ち上げながら再び砲撃を開始した。
 乱射である。狙いもつけぬ雑な砲撃であり、それは同時に罪科より逃れようと足掻く絶叫めいてもいた。
「……今更気づいても、遅いわ」
 しかし、放った砲弾の全ては刃によって断ち切られる。
「……これ以上は、いくら撃っても無駄よ……。私には全て見えているもの。お前の発する感情が、はっきりとね」
 リーヴァルディである。
「e98195e38186e98195e38186e98195e38186e98195e38186efbc81」
「……愚かね、あなた」
 そして、リーヴァルディはその右の瞳に赤く光を灯した。
 【限定解放・血の支配/リミテッド・ブラッドギアス】――ダンピールとしての呪わしき血の力を、リーヴァルディは励起する。そして、その瞳から呪詛を放った。
「……滅びなさい」
 それは支配の術式である。ユーベルコード化した呪詛力はスーパー戦車を捉え、そしてその強制力を発揮する。
 爆発。――スーパー戦車の装甲の内側で、機構の一部が爆ぜたのだ。
「e5ab8ce381a0e38081e38184e38284e381a0e38184e38284e381a0efbc81e3818ae6af8de38195e38293efbc81e3818ae6af8de38195e38293efbc81e58aa9e38191e381a6e38081e58aa9e38191e381a6efbc810d0a」
 スーパー戦車は苦痛に身を捩るように躯体を回転させた。
「苦し、そう、だね」
「では――介錯です」
 ――そこへ、雪風とマオが迫る。
 雪風は抜き放った刃を横薙ぎに振り抜いた。
 多くの戦場において修羅場を潜り、研鑽を重ねた猟兵の扱う剣技は文字通り斬鉄の切れ味を発揮する。雪風の叩き込んだ一撃は、スーパー戦車の装甲板を真っ二つに断ち切った。
「……あなたも、悲しい?」
 そして、マオはスーパー戦車の躯体を掴んだ。
 その次の瞬間――火花が散る。
 ヴォルテックエンジン。マオの体内に埋め込まれた電流式の動力装置だ。マオはその出力を高め、その身体から高電圧の電撃を放ったのである!
「e38184e38184e38184e38184e38184e38184e38284e38182e38182e38182e38182e38182e381a0e38182e38182e38182e38182e38182e38182e38182e381820d0a」
 閃光。爆発。
 スーパー戦車の躯体が、再び内側から爆ぜた。

 ――遠目に見ても、ここまでの戦いの中でスーパー戦車が追ったダメージはもはや機能停止に陥ってもおかしくはない損傷であることは想像に難くない。
「e3818ae6af8de38195e38293efbc81e3818ae6af8de38195e38293efbc81e3818ae6af8de38195e38293efbc810d0a」
 だが、スーパー戦車はそれでも駆動した。
 突きつけられた罪科の重さともたらされた苦痛から逃げ出すように、スーパー戦車はキャタピラを激しく駆動させ逃げるように後退する。
「っ……、ここで、逃がすわけには!」
「……うん。追いかけ、よう」
「……そうね。……必ず、仕留めるわ」
 しかして、猟兵たちもそれを逃すつもりはない――!ここからは追撃戦だ。猟兵たちは逃れるスーパー戦車を追って、戦いを続けるのである!
 もはやスーパー戦車は既に満身創痍と言える状態だ。長くはもたないだろう。
 決着の時は――間もなく訪れる!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ラブリー・ラビットクロー
紅兎

ここでヒトを空へ送り出してたんだ
きっと自由に空を駆けてたんだな
らぶ達だけじゃ難しーけどくれりんと一緒ならきっとこの空も取り戻せるんだ

【敵レーダーを狂わせるジャミングをかけます】
マザーいい子
なららぶはラビットブレスでもくもく煙幕出して視えなくさせちゃうぞ
くれりん何描いてるのん
わあらぶ達なん!
それも動き出しちゃうんだ?
すごいすごい

らぶとマザーも頑張らなくちゃ
【くれりんのスマートフォンとリンクしました。情報は共有されます。敵までのルート案内を開始します。弱点部位を解析しました】
らぶはドカンと花火を打上げて敵の注意を逸らしちゃえ
くれりんと一緒に飛び出したら敵に爆弾投げ込むぞ
この空を返して貰うなん!


朧・紅
【紅兎】

わぁ僕ってば頼りにされました✨
がんばらなきゃ
うん合わせた力は無敵さんになるです
取り戻してお空もユメいっぱいにするですよ!

ぅやぁ真っ白で何も見えなくなっちゃった
すごいのです
僕だって【心描】に僕たちを描くですよっ(13歳児な拙い絵
えへへ会心の出来なのですっ
もちろん
あちこち駆けてって戦車をビックリさせるですよぅ
はずれーそれは僕の絵ですっ

ぅやっスマホからマザーさんの声がっ
なるほどラジャーです
【紅朧月】
ラブさんギロチン刃に乗ってくださいです
あ、刃には気を付けて
弱点までひとっ飛びですよぅ!
たくさんの刃をご馳走しちゃうですっ
ダメ押しさんに
僕の刃、おっきくなぁれ!

ユメの未来に君はいちゃダメなのですっ



 黒く燻んで焦げ付いた風の匂い。
 そこは焦土であった。
「むかしは……ここでヒトを空へ送り出してたんだ」
 かつてこの地には空港という施設があり、多くの人々が行き交っていたのだという。
 その名残を欠片も残さぬ荒野を見渡しながら、しかしてラブリー・ラビットクロー(f26591)はいつかの日の風景を想った。
「きっと自由に空を駆けてたんだな」
 らぶの仰ぎ見た空は、いまだオブリビオンストーム吹き荒れ有害な汚染物質で黒く煙った――いつもと変わらない、見慣れた終末の色をしていた。
「……」
 らぶは思う。
 この空と大地を覆う厄災の嵐を払い、いつか。いつの日か。
「e3828fe38293e3828fe38293efbc81e3828fe38293e3828fe38293efbc81e3828fe38293e3828fe38293efbc81」
 しかし彼女の思索を打ち壊すように、鋼の躯体が激しく音を鳴らしながら近づいてくるのをらぶは感じ取った。
《敵性体、個体名称『スーパー戦車』の反応を感知しました。ラブ、戦闘状態に移行してください》
「うん。わかってるのん」
 『ビッグマザー』がらぶへと注意を促す。頷いたらぶは手にした火炎放射器――ラビットブレスのグリップを握り、そして向かい来る敵の威容を睨んだ。
「ラブさん、マザーさん!」
 らぶの背後から朧・紅(f01176)が駆け寄り、そしてその隣へと並んだ。
「きましたね、スーパー戦車。すごい大きさだけど……僕たちなら、やれるはずです!」
「うん。らぶ達だけじゃ難しーけど……くれりんと一緒ならきっとこの空も取り戻せるんだ」
 2人は並び立ち、聳え立つ鉄の躯体へと対峙する。
「うん。いっしょにがんばりましょー!合わせた力は無敵さんになるです。取り戻してお空もユメいっぱいにするですよ!」
 らぶと紅はうなずき合い、そして砂礫を蹴って飛び出した。

「e3828fe38293e3828fe38293e3828fe38293e3828fe38293efbc81」
 スーパー戦車の掲げた砲身が駆動音を鳴らす。その砲身へと砲弾を装填しているのだ。当然、照準は猟兵たちへと向けられている。
「こっち見てますよ!」
「撃ってくるなん!」
《2人とも落ち着いて。敵レーダーを狂わせるジャミングをかけます》
 その時、らぶの端末が動いた。ビッグマザーは電脳の内部で構築したジャマープログラムを起動し、妨害電波を拡散する。
「e79baee3818ce381a3efbc81」
 その瞬間、スーパー戦車の照準は乱れた。砲身がぐらりと揺れる。発射された砲弾は、二人の立つ座標位置から大きく逸れた位置へと落ちて炸裂した。
「グッジョブなん!マザー、いい子!」
《当然です。もっと褒めてくれていいですよ》
「チョーシ乗んななん!」
「わあっ!ケンカしないでくださいです!次がきますよっ!」
《はい。敵性体に再度熱源の反応がありました。こちらも次の手を打ちましょう」》
「わかってるのん!」
 猟兵たちが敵の姿へ目を向ければ、スーパー戦車は次なる砲撃のために再び装填を行っている。
 ――当然、2人もただ手をこまねいて見ているわけではない。らぶと紅は、更に敵の攻撃を躱すための手段を用意していた。
「とうっ!」
 ぎゅるん、ッ!らぶはラビットブレスについたスイッチを切り替えてトリガーを引いた。そうして砲口から噴き出したのは――白煙である!
「ぅやぁ!?もくもく!真っ白で何も見えなくなっちゃった……すごいのです!」
 2人の姿はこれで煙の中へと包まれて、その姿を目視することは困難になる。シンプルながら効果の高い煙幕である!
「これでらぶ達の姿はむこーからは見えなくなってるのん!」
「よーし、それじゃ僕も!」
 白煙に身を隠しながら、紅は一冊のスケッチブックを開いた。力強く握りしめた鉛筆で、紅は素早くページに線を引いてゆく。
「くれりん何描いてるのん?」
「えへへ――できましたっ!会心の出来ですよ!」
 らぶはスケッチブックに描かれたイラストを横から覗き込む。紅は元気な笑顔とともに、開いたページをらぶへと見せた。
「わあ、らぶ達なん!」
「ふっふっふ……驚くのはここからです!」
 そして紅は不適に笑い、開いたままのページをかざした。――その瞬間、そこに描かれた絵が動き出し、ページの中から飛び出したのである!
『なーん!』
『ですー!』
「わっ、出てきた!それも動き出しちゃうんだ?」
「もちろん!さー、ぷちらぶ!ぷちくれ!行くのですっ。あちこち駆けてって戦車をビックリさせるですよぅ!」
 紅はスケッチブックを飛び出した2人の絵に、さあ行くのですと指示を飛ばす。
『なん!』
『です!』
 乱れた線のおててでびっ、と敬礼のポーズをとった2体の絵は、それに従って煙幕の中を飛び出し、荒野の中を走り出したのである。
「e3828fe38293e3828fe38293efbc81e587bae381a6e3818de3819fe381aaefbc81」
 それに反応して、スーパー戦車が動いた。スーパー戦車は囮として飛び出した2体の絵姿をターゲットとして捉え、そちらへと照準を向ける。
「よーっし!成功ですよぅ!」
「じゃあ、このタイミングで仕掛けるのん!マザー、作戦通りなん!」
《了解しました。これより作戦を次の段階に移行します。くれりんのスマートフォンとリンクしました。情報は共有されます》
 敵が囮に目を奪われているこの隙が攻め込む好機である。2人は頷きあい、そして戦局を進める!
「ぅやっ!僕のスマホからもマザーさんの声がっ!」
《作戦完了までの間、よろしくお願いします》
「なるほどラジャーです!」
「マザー、敵までの最短距離!あと弱点解析できてるなん?」
《問題ありません。これより敵までのルート案内を開始します。弱点部位も解析済みですよ》
「いい子!くれりん、そっちは!」
「行けるですよっ!」
 ざん――、ッ!らぶの目配せに応えながら、紅は大振りの刃を掲げた。――ギロチン刃!人が乗れるほどの巨大な処刑具である!
「じゃあ、飛ばしますよっ!ラブさん、乗ってくださいです!……あ、刃のとこには気を付けて」
 紅の繰るギロチン刃は、紅の意志によって自在に飛翔する一種の念動兵装である。2人はこれをサーフボードのように乗って使うことで、敵のもとへと一気に迫る作戦を立てていたのだ。
「おっけーなん!」
 二枚の刃のうちの片方にらぶが、もう片方に紅が飛び乗った。
『なーん!』
『ですぅ!』
 ――2人の絵姿が砲撃を受けて爆散したのは、ちょうどその瞬間であった。
「はずれー!それは僕の絵ですっ!」
「e581bde789a9e381a3efbc81efbc9f」
 スーパー戦車は戸惑うように音をたて、そして砲身を乱れさせた。
 敵は混乱している――今が絶好のチャンス!逃すことなく、刃を乗りこなす2人は一気に空を裂いてスーパー戦車との距離を詰める!
「e69cace789a9e381afe38193e381a3e381a1e3818be383bcefbc81」
 しかしてスーパー戦車は態勢を立て直す!ぎゅる、と音を鳴らして砲身を2人のもとへと向けたのだ!
《――弱点はあの砲身の中です。ラブ、叩き込んでください》
「わかったなん!内側が弱点ってことなんな!」
 刹那。
 らぶはこちらを向いたスーパー戦車の砲口の内側へと、ラビットブレスの筒先を向けた。
 その先にセットした爆薬を、トリガーと共に発射する。
「この空を……返して貰うなん!」
「e3828fe38293e3828fe38293e3828fe38293e3828fe38293efbc81」
 だが、同時にスーパー戦車もまたその砲身の内側に火を灯した。
 その一瞬に――――殺気が交錯する。

 そして、爆発。
「e7979be38184efbc81e7979be38184e7979be38184e7979be38184e7979be38184e7979be38184e7979be38184efbc81」
 ノイズ混じりの異様な機械音。ガリガリと何かを引っかくような音がして、硝煙の匂いが立ち込める。
 爆発の煙が風に流れて晴れたとき、そこには、その躯体を半壊させたスーパー戦車の――もはや残骸と呼んでもいい姿があった。
「e7979be38184efbc81e7979be38184efbc81e3818ae6af8de38195e38293efbc81e3818ae6af8de38195e38293efbc81e3818ae6af8de38195e38293efbc81」
 狂乱するように、スーパー戦車の躯体が激しくノイズを鳴らした。身を捩るようにその躯体を歪に震わせる。
「……くれりんっ!」
 そして、らぶが叫んだ。
「お任せあれですっ!ダメ押しさんに、僕の刃……おっきくなぁれ!」
 応じるように、紅がユーベルコード出力を高めた。
 ギロチン刃が虚空を裂くように増殖し溢れ出る。――紅は意識を収束し、無数に顕現したギロチン刃の群を束ねてひとつの巨大な刃をかたちづくった。
 【紅朧月】。
「ユメの未来に……君はいちゃダメなのですっ」
 かくて、断頭台の刃が落ちる。
「e38182e38182e38182e38182e38182e38182e38182efbc81」
「e3818ae6af8de38195」
 ――轟音と共に、オブリビオンフォーミュラ・スーパー戦車は粉々になって砕け散った。

「……勝ったのん?」
《はい。敵性体の完全消滅を確認しました。ラブ、くれりん。お疲れ様でした》
「や、やったですー……!」
 そして。
 静寂の訪れた荒野に、二人が手を叩きあう音と勝ち鬨が響く。

 かくして――フィールドオブナインが一角、スーパー戦車は、ここに再び骸の海へと還ったのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年09月15日


挿絵イラスト