アポカリプス・ランページ⑩~茜空のひととき(作者 佐和
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 かつてアポカリプスヘルの文明社会を破壊したオブリビオン・フォーミュラ『フィールド・オブ・ナイン』の復活……6体だけの復活に留まったとはいえ、『フルスロットル・ヴォーテックス』がカタストロフを狙い、また、残る5体もそれぞれに作戦計画を進めているという。
 それらを阻止すべく、猟兵達は、アメリカを舞台とした『アポカリプス・ランページ』に挑んでいた。

 ヒューストン宇宙センター。
 その呼称の通りテキサス州ヒューストンに建設され、テキサス州出身の元大統領の名を冠した正式名称を持つ宇宙センター。有人宇宙飛行の研究と管制が行われており、アメリカ航空宇宙局――NASAのフィールドセンターの1つであった。
 そう。本来の役目を果たしていたのは、アポカリプスヘルの文明崩壊前まで。
 現在は邪神『ポーシュボス・フェノメノン』の支配下にあり、オブリビオンを『超宇宙の恐怖』によって変異強化させるおぞましい施設へと変貌していた。
「研究員達はもはや奴隷だね。
 ポーシュボスに精神を支配されていて、邪神に捧げるおぞましき研究を続けてる。
 それこそ不眠不休で、ね」
 苦々しい顔で、九瀬・夏梅(白鷺は塵土の穢れを禁ぜず・f06453)は状況を告げた。
 他の猟兵達の活躍でこの拠点からポーシュボスへの支援は断ち切られたけれども、それでも未だ精神を支配されたまま、研究を続けている者達がいるのだと。
「ちょいと声をかけて、周囲に目を向けさせてやっとくれよ。
 ちょうど綺麗な夕日が見れる時間なんだ」
 ふっと穏やかな表情を見せた夏梅は、猟兵達を見回して頷く。
 どうか頼んだよ、と。


佐和
 こんにちは。サワです。
 夕暮れ時はいつもと違った世界に見えますね。

 不眠不休で研究を続けている研究員達の狂気を取り除いてあげてください。
 時間に追われ。作業に追い詰められ。
 部屋の中に居続けて、外なんかろくに見てない人達ばかりです。
 難しく考えずに部屋から引っ張り出すだけでもなんとかなります。
 茜色に染まる猟兵達の姿から、何かを思い出してくれるでしょう。
 外は綺麗な夕焼けです。きっと明日もいい天気。

 それでは、茜色の世界を、どうぞ。
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第1章 日常 『茜色の中で』

POW太陽に向かって叫ぶ
SPD此処には居ない誰かと語らう
WIZ昔を思い出す
👑5 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


御園・桜花
「此の世界が全て並列世界なら。亜墨利加合衆国の国歌も同じでしょうか…?」
トゥインキー(もしくは類似のジャンク菓子)をリュックにたっぷり持参

研究者がいる部屋の外まで行きUC「魂の歌劇」使用
星条旗
My Country, 'Tis of Thee
星条旗よ永遠なれ
コロンビア万歳
アメリカの歌
アメイジンググレイス
を続けて歌う
出てきた研究者が入れば笑顔で口にトゥインキー突っ込み
歌いながら手を引き夕陽が見える場所まで連れ出しもう1つ相手の手の中にトゥインキー押し込み他の研究者を引っ張り出しに行く

国歌や其れに類する歌其れに近い有名な歌の連続で反応無ければ
家路
君は僕の太陽
スイカの名産地
等童謡をメドレーで歌う


 扉にはめ込まれた小さな窓越しに御園・桜花(桜の精のパーラーメイド・f23155)が覗き込んだ室内は、どんよりと淀んでいる気がした。
 机の上には何かのデータを記録したらしき紙が山積み。いくつも並んだディスプレイには忙し気に文字が流れ、グラフが変化し。キーボードを始めとした様々な操作盤の上を縦横無尽に数多の手が行き来する。
 背を丸めて椅子に座る研究者達は、俯いているかのような顔を上げることすらなく。
 ただひたすらに、データを、文字を、グラフを見ては、何かを操作していた。
 その間、誰も何も喋ることはない。
 研究者達は自分の作業にだけ没頭し、それ以外に注意を払う素振りはなく。それこそ呪われているかのように、ただひたすらに、目の前の作業をこなしていく。
 部屋に響くのは機械の稼働音と通知音、紙をめくる音と操作盤を動かす音だけで。
 鬱々とした嫌な静けさが、部屋中に満ちていた。
 ヒューストン宇宙センター。
 文明崩壊前のかつての姿からは程遠い、オブリビオンの変異強化に関するおぞましい研究を行う施設と化した現状を肌で感じた桜花は。
 頭部に生えた枝に咲く桜の花と同じ色の長い髪をふんわりと揺らしながら微笑んで。
「皆様熱心で困ってしまいますね」
 目を反らすことのないまま、あまり困ってない様子でにこにこと呟く。
 どこか着物を思わせるパーラーメイドな服装に、あまり似合わないリュックを背負い。
 ふふっと笑みを零しながら。
「此の世界が全て並列世界なら。亜墨利加合衆国の国歌も同じでしょうか……?」
 推測を検証するかのように、桜花はユーベルコード『魂の歌劇』を紡ぎ出した。
 心を震わせる歌声は、施設中に響くかのように広がって。
 邪神に支配された精神をも揺さぶっていく。
 ある者はデータが記録された紙をめくる手を止め。
 ある者はディスプレイから顔を上げ。
 ある者は操作盤の上で踊り続けていた指を止める。
 それでもまた作業に戻って行ってしまう者が多かったけれども。
 扉の近くにいた1人の研究員が、惹かれるように部屋から顔を出したから。
「疲れた時には甘い物、です」
 その口に、桜花は笑顔で、細長いジャンク菓子を突っ込んだ。
「懐かしい甘さでしょう?」
 それはアメリカでは一般的で有名なお菓子。甘い金色のスポンジケーキの中から、詰め込まれたバニラ味のクリーム状フィリングが出てくれば、それもまた甘く。
 あわや刺激物かと思う程の酷い甘ったるさに、研究員が目を見開くうちに、桜花はその手を引いて歩き出す。
 むろんその間も歌は続き。
 研究員の味覚と聴覚を震わせて。
 施設の外まで連れ出せば、一面に広がる茜色。
「あ……」
 どこか呆然と、研究員は、急に視覚に飛び込んできた鮮やかな色に見惚れる。
 響く桜花の歌は、この茜色を描いたような夜明けと夕焼けを歌詞に紡ぎ。
 眩い陽光と共に染み入ってきたから。
 作業に戻ることを忘れて。いや、作業をするように支配されていた心を解き放たれて。
 研究員は、茜色の中に立ち尽くした。
(「大丈夫のようですね」)
 その様子を見た桜花は、またにっこりと微笑むと。
 研究員の手の中に、先ほど口に突っ込んだジャンク菓子をもう1つ押し込んで。
 驚いて振り返る研究員の前で踵を返した。
 歌はまだ続いている。
 この大地で生まれた懐かしい歌を。この国にあったはずの有名な歌を。
 メドレーのように繋げて歌い上げながら。
 桜花は、先ほどの部屋へと戻っていく。
 また誰かを引っ張り出すために。
 リュックにたっぷり詰めたジャンク菓子をまた1つ、手に取りながら。
 歌が施設に響き続けていく。
大成功 🔵🔵🔵

馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友

第三『侵す者』武の天才
一人称:わし 豪快古風
助手:陰海月、霹靂
用意するもの:竹筒に入った水

ほう?無理矢理引っ張り出すのでも構わんな?
なれば、怪力なわしの出番でもある。

…不健康もいいところな顔や雰囲気だの。悪霊的には心地よい場所であるが。
というわけで、二人ほど俵担ぎ、陰海月と霹靂に一人ずつ乗せて連れだそう。
本当に邪神は厄介である。

良い夕日を見逃すなぞ、もったいない。この水をゆっくり飲みながら眺めるとよい(竹筒渡し)
…うむ?夕日に染まる陰海月もよいな?ゆらゆらダンスしておるし。


陰海月「ぷきゅ」
霹靂「クエッ」
二匹は友だち!


 不気味な静寂の中に、唐突に、馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)にとっては聞きなれないがどこか勇ましい異国の歌が響く。
 研究作業に没頭していた者達も、手を止め顔を上げ、幾人かが立ち上がったけれど。
 すぐに元の作業に戻ってしまう研究員が大半で。
 精神支配の強さを見せつけられたような気がした。
 だから義透は――馬県・義透を作り上げている四人の悪霊の中で『侵す者』と呼びならわされた第三の存在は、ほう、と感心したような声を上げ。
「……不健康もいいところな顔や雰囲気だの」
「ぷきゅ」
「クエッ」
 見た光景をそう評せば、義透の影からするりと現れたウミクラゲ『陰海月』とヒポグリフ『霹靂』が、賛同するように鳴く。
「悪霊的には心地よい場所であるが……」
 言いながら笑うその表情は、どこか苦笑に近いもので。人間には心地よくないであろうと思われる場所にいる研究員達を気遣うものであったけれども。
 ふっと虚空を見上げ、尚も響く歌を聞く。
「わしにはこのような芸はないのでな」
「ぷきゅ」
「クエッ」
 自嘲気味な言葉に、陰海月と霹靂がまた賛同した。
 じろりと見やれば、あらぬ方向へふわふわと陰海月が舞い、ふいと霹靂が顔を反らす。
 誤魔化すような様子に『侵す者』はふっと息を吐き。
 再び研究者達へと視線を向けると。
「無理矢理引っ張り出すのでも構わんな?」
 にっと悪戯を楽しむかのように笑い。
 つかつかと無造作に研究者の1人に歩み寄ると、その身体を怪力でひょいと持ち上げ、陰海月の上に乗せた。
 続いて、隣の席に居ながらも、『侵す者』の暴挙に目を向けることすらしていなかったもう1人を同じように持ち上げると、今度は霹靂の背へ。
 そして、さらに近くの2人を『侵す者』自身の両肩に俵担ぎをして。
「では参ろうか」
「ぷきゅ」
「クエッ」
 そのまま施設の外へと強制的に連れ出した。
 移動の間、作業に戻せと暴れる研究者達を上手くいなしていきながら。
「本当に邪神は厄介である」
 はぁ、とため息を零しつつ。
 程なく辿り着くは、茜色の世界。
「良い夕日を見逃すなぞ、もったいない」
 圧倒的な鮮やかさに惹かれてか、研究者達は大人しくなっていたから。
 陰海月と霹靂に指示をしながら『侵す者』は研究者達をその場に下ろした。
 へたり込む者。立ち尽くす者。
 姿勢はそれぞれ違うけれども。
 先ほどまで虚ろだった瞳は、荒れ果てた世界すらも美しく魅せる色彩の中で、半透明なミズクラゲがゆらゆらと浮かび踊り、前半身が鷲で後半身が馬という伝説上の生物ヒポグリフが駆けていく、非現実的で幻想的な光景を映し込んで。
「美しい……」
 研究者達はただただ、茜色の景色を眺め続ける。
「うむ。水だがゆっくり飲んで、眺めているとよい」
 そっと竹筒を手渡せば、研究者は反射的にそれを傾け、喉を潤して。
 生き返ったかのように、大きく大きく息を吐いた。
 支配は解けたか、と感じた『侵す者』は、鷹揚に腕を組むと。
 研究者達に倣うように、空で仲良く遊び続ける2匹の助手を、漆黒の瞳で追いかけた。
「ぷきゅ」
「クエッ」
大成功 🔵🔵🔵

藤・美雨
せっかく外は素敵な光景なのに
閉じこもってちゃ勿体ない
それな邪神のせいならなおさらだ
研究員さん達をエンジョイさせるぞ!

適当な人に声をかけ反応を見てみるよ
ねえねえ、夕方になったら休憩したくならない?
ほら座りっぱなしは身体に毒だし
腰とか背中とか痛くないかい?
ちょっとストレッチしようよ!

相手が応じてくれるならそのまま
ダメそうなら【怪力】で抱えて一緒に外へ
夕暮れ時の風を受けたなら、相手もハッとしないかな

ほら見てみて
夕日が真っ赤
世界が茜色だけど優しい光景だ
一緒に外を散策して、空を見上げて楽しんで

あ、もしかしたら一番星も見えるかも!
一緒に一番星探そうよ!
そう誘って暫く外をエンジョイしよう
……気も晴れるかな?


 外よりも薄暗い廊下を、藤・美雨(健やか殭屍娘・f29345)は颯爽と歩く。
 屋内ゆえに暗くなりがちなのは仕方がないはずなのに、そこに漂う空気はどこかどんより鬱々と淀んでいるかのように感じられて。
「せっかく外は素敵な光景なのに、閉じこもってちゃ勿体ない」
 閉ざされた幾つもの扉を見ながら、美雨は弾むように明るい声で言う。
「それが邪神のせいならなおさらだよ」
 この雰囲気を作り出した元凶を睨み付けるかのように眉根を寄せてから。
 美雨はすぐに、やる気満々で元気な笑顔を見せた。
「さあ、研究員さん達をエンジョイさせるぞ!」
 聞こえてきた力強い英語の歌に歩くテンポを合わせながら軽やかに進み。
 歌に反応して開かなかった扉の1つを無造作に開けて、中へと入る。
 突然の乱入者に顔すら上げず、むしろ美雨などいないかのように、ディスプレイにかじりついている研究者の姿がそこにあった。
「ねえねえ、夕方になったら休憩したくならない?」
 そんな無視されているかのような態度を邪神のせいと気にもせず、むしろ邪神からこちらへ引き戻そうとするかのように、美雨は強引に話しかける。
「ほら、座りっぱなしは身体に毒だし。腰とか背中とか痛くないかい?
 ちょっとストレッチしようよ!」
 ぐっと両腕を上に伸ばしてみたり、ぶんぶんと腰を回す動きで腕を振り回してみたりと大きな動きで気を惹こうとするけれども。提案の言葉も合わせて、美雨の行動全てに研究者は何の反応も見せなかったから。
 むー、と不満げに口を尖らせた美雨は。
 それなら、とちょっと悪戯っぽい笑みを浮かべて。
 研究者をその怪力でひょいっと持ち上げた。
「……な!?」
 ずっと室内に引きこもっているからだろうか、でっぷりと太っていた研究者は、標準的な体格である少女の思わぬ力に、さすがに表情を変える。
 活力と言うか元気と言うか、その身体から陽気で活動的なエネルギーを感じはするけれども、丸々とした研究者に比べると折れてしまいそうな程の細身。物理的に無理だろうと思う光景なのに、さほど苦もなく持ち上げた美雨は、涼しい顔で研究者を運んで。
「ほら見てみて」
 建物の外に、ぽいっと放り出した。
 何がどうなったのかと混乱する研究者は、何とか身を起こし。
 吹き行きた風にはっと顔を上げたその視界に、眩い光が飛び込んでくる。
「あ……」
 真っ赤な夕陽。
 一面茜色に染まった世界。
 燃えるように、と表現できる色彩だが、その茜はどこか優しい光景で。
 立ち上がろうとした途中の姿勢で、研究者は固まった。
「素敵だね」
 同じ景色に、美雨も灰色の瞳を嬉しそうに細める。
 視界からだけでなく、身体中から沁み込んでくるかのような、茜色。
 施設内に入る前にも見ているはずなのに、さっきよりさらに深い色合いになったかのようで、改めて感動が美雨の心を震わせていた。
 ……美雨は、デッドマンである。
 何者かに殺されて、禁断の技術で蘇生した、動く死体。
 でも。身体はもう死んでいても、心はまだ生きているから。
 心まで死にたくないから。
 美雨は、世界を感じていく。
(「この人達はまだ身体が生きてるんだから」)
 そして、研究者達の心が本当に死ぬ前に。
 美雨のように片方が死したデッドマンになる前に。
 両方を亡くした、本当の死者になってしまう前に。
 その心を蘇らせたいと、強く願って。
 しかしそんな深い決意を表には欠片も見せないまま。
「もしかしたら一番星も見えるかも!」
 暮れ行く茜色の中で、ぐいっと研究者の腕を引いた。
「一緒に一番星探そうよ!」
 思い付きで動く女の子らしい、気軽な散策への誘い。
 ほらほら、と指差す空をついつられて見上げながら。
 研究者は美雨と共に歩き出す。
 茜色の世界の中を。
 ディスプレイよりも強く、そして美しい光の中を。
 進み行くそのうちに、そこに吹く風にも気付いて。
 美雨のように強引で荒々しく、でも優しいその感覚を全身で感じて。
 少しずつ、五感を取り戻していくかのように。
 歩いていく。
「……素敵、だな」
 その中でぽつりと零れたのは、先ほどの美雨と同じ言葉。
 それを拾った美雨は、本当に嬉しそうに、にんまりと笑って見せた。
大成功 🔵🔵🔵

霧鵺・アギト
研究室に篭って不眠不休か…どうも既視感があって頭が痛い。
取り憑かれたように没頭する姿はまさに狂気の沙汰だな。
僕も周りからこう見えていたのかと思うとなんとも言えない気分だ…。

とりあえず研究員達を言いくるめて外へ連れ出そう。
作業効率を上げるには休憩も必要なのだよ。

僕も昔はこうやって空を見上げるなんて事はほとんどしなかった。
成果を出すことに支配されて自然を美しいと思える心すら摩耗していたのかもしれないな。
それで…君達の本当にしたかった事は今のこの研究なのかな?
よく考えてみたらいい。
時間はまだまだ先もあるのだから。

邪神の研究…僕は興味が無いわけではないが…あとでこっそり資料を見てみるかな。


「研究室に篭って不眠不休か……」
 施設へ入った霧鵺・アギト(叡智を求めし者・f32015)は、目の当たりにしたどこか既視感のある光景に、ふと頭痛を感じた。
 当人には使いやすいようにされていたとしても乱雑に見える書類や機器の山。
 扉も窓も閉め切られ、動く者も少ないゆえに澱んでいるかのように感じる空気。
 そして、無機質な機械音や絶え間ない操作音ばかりで人の声など聞かれない静けさ。
 それらは全て、ここにいる研究員達が、取り憑かれたように作業に没頭し続けているからこそで。見かけた姿は、まさに狂気の沙汰、と言えるようなものばかりだったから。
(「僕も周りからこう見えていたのかな」)
 根っからの探究者であり、自称学者のアギトとしては、ふとした拍子に自分もそちら側にいてもおかしくない気がしてしまい。状況説明の時の、奴隷だの精神を支配されているだのといった表現も耳が痛かったのを思い出し。何とも言えずに、苦笑するしかない。
 自分も気を付けよう、と。
 研究員達を反面教師のように見つめながら心に決め。
 でもきっと、その好奇心に何かが触れたなら、そんな決意もどこかへ吹っ飛んでしまいそうな、そんな予感もあるけれども。
 まあ、それはそれ。
 とりあえず今は目の前の研究員達をと、アギトは思考を切り替えた。
 現実逃避ではない、はず。
 そんな折に聞こえてきたのは女性の歌声。
 力強くもどこか懐かしく歌い上げられるその歌詞は英語で。
 幾人かの研究員達が、少しだけ顔を上げていたから。 
「聞こえるかな? この国の歌なのだろう?
 こんな時ぐらい、手を止めてもいいと思うよ」
 それでもまだ作業を止めるまでには至っていなかった1人にアギトは話しかける。
 歌だけではすぐまた作業に没頭してしまっていただろうし。
 話しかけただけでは気を惹くことができなかっただろうと思いながら。
 得たチャンスを逃がさないようにと、アギトは言葉を重ねた。
「作業効率を上げるには休憩も必要なのだよ」
 これも作業の為なのだと、現状を真っ向から否定するのではなく、出来るだけ抵抗のないように言いくるめていって。
 腕を引く手は多少力強く握り締めたものだったけれども。
 それでも何とか研究員自身に歩いてもらい、施設の外へと連れ出すことに成功する。
 視界に飛び込んでくる、眩い光。
 荒れ果てた荒野を鮮やかに美しく染め上げる茜色。
(「ああ、綺麗だ」)
 アギトは改めて見たその光景に、青い瞳を細めて微笑み。
 そして、傍らで呆然と夕陽を見つめている研究員に振り返った。
「僕も昔は、こうやって空を見上げるなんて事はほとんどしなかった。
 成果を出すことに支配されて……
 自然を美しいと思える心すら摩耗していたのかもしれないな」
 かつての自分を研究員に重ね見ながら、苦笑を浮かべてアギトは語る。
 摩耗していた心が戻ってきているはずだと思い。
 自身の言葉が届くようになったはずだと、頷いて。
「それで……君達の本当にしたかった事は、今のこの研究なのかな?」
 投げかけた問いかけが、研究員の心に波紋を生んだことを、感じた。
 ぼうっと夕陽を見つめるだけなのは変わらないけれども。
 茜色を映したその瞳が、揺らいだのが見えたから。
「よく考えてみたらいい。時間はまだまだ先もあるのだから」
 アギトは研究員の隣に並んだまま、同じように夕陽を見つめる。
 荒廃した世界すらも美しく染め上げる茜色。
 それをちゃんと、美しい、と感じられる自身の心を大切にしながら。
 アギトは、ふと、思う。
(「邪神の研究、か……興味が無いわけではないが……」)
 ちょっと後ろ髪を引かれるような感覚。
 疼く好奇心に、でも今はさすがに、と自重して。
(「……あとでこっそり資料を見てみるかな」)
 諦めきれないアギトの白衣のような白い上着も、美しい茜色に染まっていた。
 今は。
大成功 🔵🔵🔵

栗花落・澪
自然に目を向けないのは勿体無いね
こんなに綺麗なのに

まずは研究に没頭してる人達に気づいてもらわなきゃかな
ねーねー、と最初は普通に声をかけてみて
それで気づいてもらえない場合
★飴を口に放り込んで無理矢理気を引きます

お疲れ様
お外、行こ?(笑顔の【誘惑】)

すごーい、空真っ赤だ
ね、ほら、見て
とっても綺麗だよ

研究員さんの手を引いて声をかけながら外を歩き
同時に見晴らしの良さそうな場所を探してみます
見つけたら少しだけ足を止め

いいもの見せてあげる

【指定UC】で【破魔】の輝きと美しい花園で場を満たし
夕日との相乗効果で狂気の【浄化】を

僕からの気持ち
もう一度ちゃんと言うね
今日まで沢山、お疲れ様
もう大丈夫だからね


 力強く響いてきた歌声に、その研究員は手を止めなかった。
 それどころか、顔を上げることすらせず、まるで歌声に気付いていないかのように研究作業に没頭している。
「ねーねー」
 だから、というべきか。すぐ傍から可愛らしくかけられた声にも無反応で。
 視線の1つも向かわないままだったから。
 栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は、Candy popの小瓶から取り出した可愛らしい飴玉を、研究員の口に放り込んだ。
 突然口の中に生まれた甘さに、さすがの研究員もようやく気付き。慌てたように澪へ振り返るけれども。
「お疲れ様」
 向けられたのは労いの言葉。そして。
「お外、行こ?」
 可愛らしくも魅力的な笑顔の誘惑。
 こちらを見上げてくる琥珀色の瞳に、くいっと腕を取る繊細で柔らかな手に、見惚れるように立ち上がった研究員は。前を行く澪に引かれて、というよりも、その華奢で愛らしい後ろ姿を追いかけるようにして外へ出た。
「すごーい、空真っ赤だ」
 途端、眼前に広がる一面の茜色。
 そして、またこちらに向けられた笑顔も、鮮やかに赤く染められて。
「ね、ほら、見て。とっても綺麗だよ」
「……ああ」
 嬉しそうに弾む声に、研究員は、頷くことしかできなかった。
「こんなに綺麗なんだから、目を向けないのは勿体無いでしょう?」
 重ねられた問いかけにも反射的に頷いたけれども。
 綺麗なのは、夕陽に染まった景色か、それとも澪か。
 どちらにしろ目を離せない茜色に、研究員は惹き付けられて。
 もっと見晴らしのよさそうな場所は、とまた歩き出した澪に手も心も引かれたまま、施設の外を歩いていく。
 どこもかしこも彩られた茜色に。
 ふわりと澪の琥珀色の髪を揺らし、研究員の頬を撫でていく荒野の風に。
 引かれた手から伝わる、小さくて細い手の温かさに。
 じわじわと何かが心に沁み込んでくるような気がしてきた中で。
 ここだ、と表情を輝かせた澪が足を止めた。
「いいもの見せてあげる」
 ちょっと悪戯っぽく笑った天使に、研究員の心が跳ね。
「貴方の闇に、希望の輝きを」
 続いて紡がれた詠唱に応じて、この世の物とは思えない程美しい花や破魔の光が降る。
 そして澪の周囲が、荒れ果てていた荒野が、美しい花園に変わっていった。
 無数の花々は幻想的な光に照らし出され。
 さらに、夕陽の茜色に淡くも鮮やかに染め上げられていく。
 空も。大地も。そして澪も。すべてが茜色に彩られた、天上世界のような光景。
 その美しさに揺さぶられた研究員の心から、次第に狂気が浄化されていった。
 憑き物が落ちたかのようなその顔に、澪もそれを感じ取って。
 だからこそ、伝えなければと口を開く。
「僕からの気持ち、もう一度ちゃんと言うね」
 しっかりと研究員と相対して。
 天使のような慈愛の微笑みを浮かべて。
「今日まで沢山、お疲れ様。
 もう研究しなくて大丈夫だからね」
 もう狂気に囚われなくていいのだと。
 もう貴方の鳥籠は消え去ったのだと。
 澪は、広がる茜色の世界で研究員を迎え入れるように、両腕を広げた。
大成功 🔵🔵🔵

佐伯・晶
戦争の為にも研究員の為にも
放っておく訳にはいかないね

こういうのはUDC組織の得意分野だね
UCで範囲に効果がある記憶消去銃を創ろう
後々の為にも一回忘れてリセットした方が良いと思うよ

そこまで重度の狂気じゃないみたいだから
最近の記憶を飛ばしたら
今何をやってるのか思い出そうとして正気に帰るかな

とりあえず敵じゃない事と
助けに来たと伝えようか

お湯を沸かしてインスタントのコーヒーやスープを作り
研究員達に渡していこう

すぐに危険がある訳じゃないから
暖かいものでも飲んで一息つくと良いよ

落ち着いたら外に出て帰る準備をしようか

燃えるような雲が綺麗だね
この夕方と夜の境
茜から紫にグラデーションに変わっていく空は好きだなぁ


 歌声が響く中で、猟兵達がそれぞれの方法で研究員を連れ出していく。
 甘い刺激を与えて、言いくるめて、魅了して。時には実力行使で無理矢理に。
 様々なやり方を眺めていた佐伯・晶(邪神(仮)・f19507)も。
「こういうのはUDC組織の得意分野だね」
 にこっと自慢するように笑って、動き出した。
「戦争の為にも研究員の為にも、放っておく訳にはいかないからね」
 そしてその手に現れたのは、複製創造支援端末で創られた記憶消去銃。
 本来は、一般人からUDC関連の記憶を消去し、世間が混乱するのを防ぐために用いられるものだけれども。
 晶はそれで、研究員達の最近の記憶を飛ばした。
「え……? あれ……?」
「今何をやってるんだっけ……?」
 目の前の作業と、それまでの研究との繋がりを一旦断たれた研究者達は、おぞましい研究を続けなければならないという狂気には侵されたまま、でも積み重ねてきた成果を見失ったことで混乱して。
 何とか思い出さなければと必死になる中で、必然的に作業の手が止まったから。
「慌てないで。すぐに危険がある訳じゃないよね。
 ほら、温かい物でも飲んで一息つくといいよ」
 そこに晶は、インスタントのコーヒーやらスープやらを配り渡していった。
 作業が止まったからか、幾分正気に戻りかけた研究員達は、すんなりと渡されたカップを受け取って、人によっては、どうも、なんてお礼も言ってくれる。
 ほっこりとした雰囲気が辺りに満ち、どこか空気が穏やかになったところで。
「落ち着いた?
 そしたら、今日はもう帰るといいよ。
 何をしたらいいか分からないままじゃ作業にならないよね」
 晶はそれが当然であるかのように、帰宅を促した。
 精神支配のせいか、難色を示す研究員もいないわけではなかったけれども。やるべき作業が分からなくなっている現状では、強く食い下がるだけの材料もなく。
 1人、また1人と、施設の外へと出ていく。
 そんな彼らを出迎えるのは、一面の茜色。
 青かった空も、白いはずの雲でさえも、燃えているかのように赤く染まっていて。
 圧倒的な色彩に、研究員達は足を止めていた。
「綺麗だよね」
 研究員達の感じた気持ちを代弁するかのように、晶が呟く。
「夕方と夜の堺……今の時間しか見れない色合いだよ」
 その言葉通り、茜色に染め上げられていた世界は、夕陽が次第に隠れていくにつれて、紫色へ、夜の黒により近い色へと変化していく。
 穏やかで、ゆったりとした変化。
「このグラデーションに変わっていく空は、好きだなぁ」
 今のひとときしか見られない美しい景色。
 その光景が、研究員達の心を揺さぶり。
 次々と精神支配から抜け出て行く様を確認して。
 文明が崩壊しても尚残る、世界の力強さを感じながら。
「本当に、綺麗だよ」
 研究員達の顔に生気が戻っていくのを横目に、晶は嬉しそうに青い瞳を細めた。
大成功 🔵🔵🔵

最終結果:成功

完成日2021年09月16日
👑5 🔵🔵🔵🔵🔵🔵