アポカリプス・ランページ⑫〜仔犬のワルツ(作者 遅咲
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●仔犬のワルツ
 きゅらきゅらかたかた、キャタピラがゆるく動き出す。遠足や運動会の前日みたいな、はやる気持ちがぼくを急かす。
 本当は、一番遊んでほしいあなたがここには居なくって。
 だけどあなたのためにもみんなのためにも、みんなに永遠をあげなくちゃ。
 不思議な力をつかうきみ達。どうかきみ達が、早く死なずにずうっと遊んでくれたらいいな。
 ううん、それじゃあ駄目なんだ。ぼくの退屈な永遠は、必ずきみにもあげるから。

『わんわん!』

 ――彼のうれしそうな鳴き声は、誰の耳にもわからない。

●戦車のダンス
「アポカリプス・ランページ、お疲れ様です。早速ですけど、フィールド・オブ・ナインの相手をしてもらえますか」
 ふたつの瞳が猟兵達を見つめていて、無間・わだち(泥犂・f24410)は淡々と説明を始める。
「廃墟と化したダラス近辺を制圧している、体高三十メートルの自律思考型巨大戦車が相手です。名前は『スーパー戦車』。皆さんがコンピュータウイルスを籠めた侵蝕プログラム弾を撃ってくれたので、当初よりは随分弱体化してますが、脅威なのは変わりません」
 安直すぎる名前ではないだろうかと、猟兵達が思い浮かべているのを察したのかそうでないのか。わだちは言葉を紡ぐ。
「戦車は更地になったダラスの中央に位置して、皆さんの接近を確認すると移動を始めます。かなりの速度と複雑な軌跡で動き回りつつ、長距離の射程からとても正確な戦車砲を連発するんです。長射程と高機動の敵なので注意してください。それと、戦車は一切の隙を見せないのと、戦いを楽しんでるフシがある」
 自立思考というからには、ソレには自我があるのかと猟兵が問えば、青年は静かに頷く。
「皆さんの言葉は通じますが、会話自体はできません。しいて言えば機械音がするくらいで。戦車が戦いを遊びだと思っているなら、あっちの攻撃に対して、こっちが予想外の対処をすれば驚くんじゃないでしょうか」
 そうすれば、多少なりとも隙が生まれる可能性がある。破壊するには十分のチャンスがある。
「相手は強敵です、無事じゃ済まないかもしれない。だけどこれ以上、更地を増やす訳にはいかない。――彼を、壊してきてください」
 つぎはぎは、確かにそれを『彼』と呼んだ。かちりかちりと歯車が合わさって、グリモアの転移が始まる。
 荒野の戦場に吹く風が、そうっと猟兵達を撫でた。


遅咲
 こんにちは、遅咲です。
 オープニングをご覧頂きありがとうございます。

●注意事項
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「アポカリプス・ランページ」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

 プレイングボーナス……敵の先制攻撃ユーベルコードに、敵が驚嘆するような方法で対処する。

 ※プレイング受付は9月11日(土)朝8時31分以降から。

 戦争シナリオのため、書ききれるだけの少人数受付になります。
 再送のお手間をおかけすることもあります。
 皆さんのプレイング楽しみにしています、よろしくお願いします。
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第1章 ボス戦 『スーパー戦車・バトルオウガモード』

POW ●スーパー戦車砲・ブルズアイ
【正確無比のスーパー戦車砲】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
SPD ●スーパー戦車砲・ラピッドファイア
レベル分の1秒で【正確無比のスーパー戦車砲】を発射できる。
WIZ ●スーパー戦車砲・アポカリプス
【大量の戦車砲の砲弾】を降らせる事で、戦場全体が【最終戦争】と同じ環境に変化する。[最終戦争]に適応した者の行動成功率が上昇する。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


グラナト・ラガルティハ
かの戦車の人工知能は戦いを楽しんでいる節があると言う…戦争の規模や相手の能力を考えれば戯れと言うにはあまりにも被害が大きいわけだが…

予想外の事をすると言うのも少々悩ましいな…自身の力に絶対的な自信があるのなら反撃を喰らうだけで予想外になりうる気もするが。
まぁ、やってみよう

【結界術】【オーラ防御】を【全力魔法】で展開。敵の砲撃を凌ぐ。
あとはそうだな…戦争と名のつくものに戦の神でもある俺が適応出来ないわけが無かろう。

反撃だUC【業火の槍】を【属性攻撃】炎【焼却】で強化。500以上の槍を一気に撃ち込む。


シャルファ・ルイエ
遊ぶのがお好きなら、わたし達と追いかけっこをしましょう。

わたしだときっと避けきれないでしょうから、移動はシリウスに任せます。着弾の爆発に巻き込まれない様にある程度高度を取って、砲弾を掻い潜りますね。
大丈夫。わたしはシリウスから落ちたりしませんし、シリウスも砲弾を避け損ねたりしません。ちゃんと信じていますもの。
砲弾の雨を抜けたら【白花の海】で隙を作ります。
戦車が駆けても砲弾が降っても消えない花畑を、走るのが好きなあなたに。
動きを止められたなら【星を呼ぶ歌】を。
あんなに大きな大砲なら、砲口も狙い易いです。

わたし達には相手の言葉が分かりませんけど……。
会話が出来たら、喜ぶ声が聞こえたんでしょうか。


 街ひとつが消えてしまった大地で、戦車はきゅらきゅらと歪な音を響かせている。その大きさは距離を保ったこの場からもよくわかって。戦いを楽しんでいる節か、と、グラナト・ラガルティハは呟く。
「戦争の規模や相手の能力を考えれば、戯れと言うにはあまりにも被害が大きいわけだが……」
「自分自身のサイズがわからない大型犬、みたいなものでしょうか」
 男の言葉に少女が返す。戦車の人工知能が、戦いと生死をどこまで理解しているかはわからない。けれどシャルファ・ルイエには、戦車は理解している上で楽しんでいる気がした。
「なんにせよ、止めねばな」
 グラナトが駆けだしたと同時、シャルファも愛用の箒と共に地を蹴った。ふわりと宙に浮いたオラトリオが真っ先に戦車へと接近すれば、待ちかねていたというように戦車も二人めがけて走りだす。
 じぐざぐと高速移動する機体が急に止まったのを見て、グラナトが杖を振るう。焔と蠍を描いた紋章を空に描いて、即座に己に色濃い紅のオーラを纏わせる。
「来るか」
 男が呟いてほどなく、激しい稼働音が鳴る。機体に無茶苦茶に取り付けられた大量の戦車砲が震えて、上空へと放った砲弾が一気に地上へと振りだした。
 誰を狙うでもない砲弾雨は、何もない大地に穴を開ける。地面に被弾する度に苛烈な爆発が続いて、いつかの神話の終わりにも似ていた。けれど、ただのヒトであれば一瞬で絶滅しかねない世界で、人工知能が少女のやわらかい音声を拾う。
「――遊ぶのがお好きなら、わたし達と追いかけっこをしましょう」
 音声を拾った方角へと存在感知を向ければ、白銀の流れ星が墜ちることなく軌跡を描いている。着弾時の爆発に巻き込まれぬよう、ある程度高度をとった飛行術は、無数の砲弾を次々に掻い潜っていた。
 淡い勿忘草色の髪を靡かせて、ましろの翼は穢れることなく羽ばたいて。
「わたしはシリウスから落ちたりしませんし、シリウスも砲弾を避け損ねたりしません」
 だってわたしは、最高の友達を信じていますもの。星の軌跡を追う仔犬のように、たとえ戦車がどれだけ無数の砲撃を繰り出そうとも。
 見事なものだと少女を見上げたグラナトにも、砲弾の雨はざんざんと降っているはずだ。しかし男の足は確実に戦車へと近付いていて、彼を感知した戦車がそれを確かめる。
 きゅら、とひと鳴きした兵器が知覚したのは、最終戦争の只中で大したダメージを受けていない男の存在だった。
「戦争と名のつくものに、戦の神でもある俺が適応出来ないわけが無かろう」
 ごうごうと、火が燃えていた。赫蠍の紋があかあかと光を伴って、焔のオーラが戦神の肉体を焼いている。墜ちゆく砲弾は確かに男に当たっているのに、その身に触れる前に燃え尽きて形を亡くしていく。
 予想外のことをするというのは少々悩ましいものではあったが、グラナトには己の力に絶対的な自信があった。ひとつの傷もつかぬ神ならば、人工知能の驚きに値するだろう。
「ここからが反撃だ」
 そうだろう、と戦神が再び空を舞う乙女を見た。痛みの雨を抜け出したシャルファの花唇が、ゆるやかに笑みをつくる。紡がれた歌の彩は、戦争には不釣り合いなほど澄んでいる。歌に乗せた魔法は、無惨な大地を一面ましろの花畑へと生まれ変わらせた。
 人工知能は、花畑を縦横無尽に駆け抜け砲弾を降らし続ける。けれど白花の海は散り消えることなく咲き続け、やがて戦車は急に動きを止めた。
 シャルファにもグラナトにも、戦車の言葉はわからない。それでも少女には、駆け抜ける姿が愛らしい仔犬に、ほんの少しだけ見えたから。
「会話が出来たら、喜ぶ声が聞こえたんでしょうか」
「さてな。――少なくとも、この花畑を散らすのは忍びないと、俺は思うとも」
「構いません、おおきな暴れん坊には少し大人しくなってもらいましょう」
 少女の了承を得て、燃ゆる男は杖の先で花咲く地面をとん、と突く。宙に現れた焔の槍の群れは、業火となってめらめらと明るく空を焼く。さらに杖をひと振りすれば、暴力的なまでの強化が施されて。
 霞草を戴く少女が歌を紡ぐ。澄んだ音色は変わらず、ほんの少しの攻撃の意思を添えて。途端、白銀の流星群がひかって、砲口めがけて突っ込む。
 流れ星を追うように、赫蠍の業火の勇槍が撃ち込まれた。戦車へとまっすぐ突き刺さるまでの間に、花畑が異様な火の勢いに圧されて灼ける。
 無数の白の花弁が舞う中で、かしこき戦車を火焔の海が激しく包む。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

朱鷺透・小枝子
……一か八か、やってやる……!!
亡国の主に搭乗。砲撃への恐怖を闘争心で塗り潰し、瞬間思考力、スーパー戦車の射角を合わされた瞬間を見

切り早業、全力で主を操縦し射角から外れながら、RX騎兵刀を振るい武器受け流し、砲弾に刀を叩きつけ、

僅かに弾道を逸らし、回避する!

今だ前へ進め前へ進め進め進め進め進め進め進め――
【戦塵突撃】発動最高速で飛翔推力移動、魔眼の稼働率限界突破、念動力で加速だ!
負荷のせいで鼻血が出る。構うもんか。壊せれば、それで良い。だから!

ああああああああ!!壊せ主よッ!!
騎兵刀は壊れた、勢いのままに竜骨爪を装甲へ突き立て、こじ開ける!
呪詛ブレス攻撃、破壊の霊物質を装甲の内側へ、流し込む!


ヴァシリッサ・フロレスク
HAHA♪
なンだい、アソんで欲しいッてか?
イカツい顔してカワイげあるじゃない

アタシも“コイツ《闘い》”が趣味でライフワークなンでね
幾らでも相手してやるよ
Cute pup♪

ハティを駆り、相手の初撃は見切り全力で回避
多少の被害は覚悟の上、激痛耐性で凌ぎ戦闘知識で弾道を情報収集

Hm?遮蔽物もナシ
コイツはシンプルなゲームだね?

回避など無用
確実に此方を捕捉する正確無比な弾道を逆手に取る

ディヤーヴォルを構え正面から吶喊

Come♪

UC発動
撃発の瞬間を見切り、早業でディヤーヴォルを発砲
.50口径弾で砲弾を片端から迎撃・弾道を逸らす
最短ルートで接敵出来ればスヴァローグで零距離射撃

Good boy♪
――BANG!


 流星群と焔の槍群を受けた戦車は、動きを止めぬ未だ健在。ぎゅるんと音を鳴らしながら、次の獲物探しにキャタピラが動き出す。赤毛の女は口の端をひきつらせ、へたくそな笑みをにやつかせる。
「なンだい、アソんで欲しいッてか?」
 いかつい見た目の割に、随分と可愛げがあるものだ。ヴァシリッサ・フロレスクは愛機のカスタムバイクに跨ったまま、いつでも走れるようにエンジンを唸らせる。それにしても、と、ちらりと恐竜にも似たキャバリアへ視線を遣る。
「こッちもヤル気は十分すぎる位かもしれないね」
 無数の戦場を駆けた女には、異様な殺意とささやかな恐怖がないまぜになった操縦士の感情が読める。それを知らぬ娘は、ピット内で荒い呼吸を続けていた。
 速くなる鼓動と冷や汗が、朱鷺透・小枝子を息苦しくさせていく。正確無比な砲撃への恐怖は、彼女が確かに少女であることを示している。けれどその僅かな怯えも、燃え上がる闘争心がぐちゃぐちゃと脳をかきまぜ、都合よく誤魔化していった。
「……一か八か、やってやる……!!」
 戦車のセンサーが敵を探知する。ひとつは二輪に乗った人間、ひとつは巨体に乗った人間。確かに生体反応のあるそれらへと、砲身を伸ばして走る。どちらも狙いが定まらぬよう二手に分かれて走るから、まずはちいさな人間のほう、高機動力を生かして追いかければ、二輪のエンジンも火を噴く。
「アタシも“コイツ《闘い》”が趣味でライフワークなンでね。幾らでも相手してやるよ」
 ――おいで、Cute pup♪
 荒野を縦横無尽に駆ける鉄の馬に、砲口が差し向けられる。きゅら、と何かが鳴いたあとに轟音が響いた次の瞬間には、間違いなく女に着弾していた筈だった。
「ッたく、仔犬にしちゃあオイタが過ぎるよ!」
 鍛え抜かれた感覚と長年の経験で砲撃をなんとか見切ったものの、粉塵の中から抜け出すバイクに乗ったヴァシリッサの左脚は、太腿が爆風を避けきれず焼け裂かれていた。剥けた膚の下は赤く爛れて、血の雫が車輪と共に轍をつくる。
「Hm? 遮蔽物もナシ。コイツはシンプルなゲームだね?」
 痛がる素振りすら見せずに笑ってみせながら、女が戦車の弾道について集めた情報を素早く脳内で整理している頃。バイクを見失った戦車の標的は、巨体へと移っていた。すぐに探索レーダーに引っかかる大きさは、戦車と同等程度だろうか。
「は、あ、はっ、はぁっ……」
 砲口が此方を向いて、射角をはっきりと合わされたのを見た。小枝子の眼が見開かれて、汗が伝う。瞬間、一気に流れ込む感情と情報を異常発達した思考力で計算すれば、握った操縦桿を全力で動かした。ぐん、とその場から飛びこむように跳躍した機体が射角から外れて、曖昧な形の刀身をした騎兵刀が振るわれる。
「壊れるのは、頭の中だけでいい……!」
 刀で叩きつけられた砲弾が、僅かに弾道を逸らした。今だ、前へ。
「前へ進め前へ進め、進め進め進めすすめススメ――」
 ポンコツの中身に遺った超能力が、小枝子をオーバーヒートさせる。最高速で飛翔する亡国の主は、片目を真っ赤に燃やす操縦士の限界も知ったこっちゃない。たらりと鼻から流れた血もそのままに、娘はただ絶叫する。
「構うもんか、壊せればそれで良い。だから――ッ!」
 一方、小枝子が戦車砲を地面に着弾させ大爆発を引き起こす様子を、ヴァシリッサは口笛ひとつ吹いて眺めていた。
「激しいのは嫌いじゃないけど、ちょッとばかし危なかッしいンだよね」
 お姉サンがお手本を見せてあげようか。馬鹿みたいな改修を施された重機関銃を構えて、バイクの嘶きを再び大きく鳴らす。hey! と呼びかけられ、正面からの吶喊に気付いた戦車が再び女に的を絞る。回避など無用――此方を捕捉する弾道を逆手にとるだけ。
「Come♪」
 いやにひきつったにやつきを、人工知能がどう判断したかはわからない。けれど、その照準は確かにヴァシリッサへと定まった。
 情報収集で更に精度を高めた動きで撃発を見切ると同時、機関銃が撃ち鳴らされた。五十口径弾が片っ端から砲弾を迎撃すれば、バイクが一気に戦車までの最短ルートを駆け抜ける。
「ああああああああ!! 壊せ主よッ!!」
 小枝子の絶叫が響く。壊れた騎兵刀を棄てて、鋭利な竜の爪が装甲に突き立てられ、硬い鋼の膚を引き千切る。呪詛の詰まった息吹を戦車のナカへと流し込むと、ぐらぐらと戦車が揺れて鈍い音を立てる。
「大人しくしな、Good boy♪」
 バイクから戦車へと飛びついた女が手にしているのは、身の丈程の射突杭。腕に装備したソレがダンピールの血を啜り、敵の装甲へと突き刺さる。
 ――BANG!
 零距離からの一撃が、兵器の中身をめちゃくちゃに壊していく。
成功 🔵🔵🔵🔵🔴🔴

シビラ・レーヴェンス
露(f19223)。

廃墟の遮蔽物の陰などから暫く件の戦車の様子をみておく。
その走行速度やある程度の射程距離をみておきたいな。
ふむ。あの質量でこの速度か…。さて。どうしようか。
「?!」
何時もながらあの子は何を考えているんだ。全く。
突然戦車へ向かって両腕広げて駆けてゆく露に私が動揺。
慌てて全力魔法と範囲攻撃を付与し高速詠唱で【崩圧陣】行使。
効果範囲に入っていないかもしれないがしかたがない。
私は露のサポート…というか囮になってやろう。

行使しながら露とは距離を取って並走し戦車へ駆けて行こう。
目標が二つならばどちらを狙うか多少なりとも迷うだろう。
精密な機械ゆえに人の揺らぎを欠いている…と思いたい。


神坂・露
レーちゃん(f14377)。

この戦車君って人みたいね。ヤドリガミみたいだわ♪
レーちゃんに習って瓦礫とかの陰で様子みてて思ったわ。
うーん。予想外な行動…うーん。行動…行動…。
!あ!!そうだわ!
あたしは物陰から出たら両腕広げて戦車君へダッシュ♪
武器は鞘に納めたまま笑顔で走っていこうと思うわ。
相手が武器を持たずに笑顔で向かってきたらどう思うかしら。
戸惑うといいな…って思い付きだけどどうかしら?かしら?

駆けながらリミッターを解除して限界突破してから多重詠唱を。
高速詠唱の早業と全力魔法の重量攻撃で【赦光『赫月』】よ♪
砲弾ごと叩き斬れればいいかな~って。
…あれ?ってなんで怒ってるのレーちゃん?


 中身を壊されながらも、戦車は次の獲物探しに余念がない。きゅらきゅら動くキャタピラに積まれた、重量オーバーにしか見えない砲台の山。
 かろうじて遺る廃墟の陰から、二人の少女が戦車を観察し続けていた。既に戦いに突入していた猟兵達の戦闘から、走行速度やある程度の射程距離を確かめれば、予知通り、異様な高機動と高射程をもっている。シビラ・レーヴェンスは興味深そうにふむ、と頷いて。
「あの質量でこの速度か……」
「レーちゃん、あの戦車君って人みたい。ヤドリガミみたいね♪」
 シビラにならい、瓦礫に身を潜ませていた神坂・露が親友に話しかける。意思と感情を持つ機械、それはまるで、長い時を経ていのちを宿した自分のような。戦場を駆け巡る姿は何物にもとらわれない自由さで、恐怖の殺戮兵器に対して不思議と嫌な気持ちにはなれなかった。
 相変わらずおかしなことを考えている、という表情で、シビラはふわふわと笑う露を見る。さて、どうしようかと呟けば、ええ、と返事がかえる。
「予想外の行動って、どういうことをしたらいいのかしら」
「正直言って、今はまだ思いつかない。なにかで気を惹けということだろうが……」
 あの命中率と威力相手に、迂闊な行動は取ってはいけない。もっと十二分に観察して、間違いない対策を練るべきだと、シビラは思考を巡らせる。同じく、露もうんうん唸って首を傾げていたけれど、ふと、あ、と言葉をもらし。
「そうだわ!」
「ん、なにか思いつい……!?」
 顔を向ければ、隣に居るはずの露が居ない。何が起きたのか一瞬思考停止した天才が次に見たのは、巨大な戦車へと両腕を広げて、軽やかに荒野を走る露の姿だった。刃は鞘に納めたまま、いつもと変わらぬやわい笑顔で少女は兵器に駆け寄る。高速移動を続けていた戦車が彼女の存在を感知して、まっすぐにそちらへ速度をあげていた。
「何時もながら何を考えているんだ……!?」
 動揺するシビラと同じ効果を与えられたのか、戦車は露に近付くにつれ一気に速度を落とす。廃墟から飛び出したダンピールは、魔導書の頁を素早く捲る。膨大な数の魔法陣を戦車の上空に飛ばせば、魔法陣から圧しだされる超重力で、戦車が猛スピードの移動を急に止めた。けれど、戦車はその場で動かないだけ。めちゃくちゃな砲装の群れから飛び出る砲弾雨までを抑えることは出来ない。
 仕方がない、とぽつり呟いて、重力魔法を行使したまま少女は走る。友人とはある程度距離を置いて並走すれば、狙いも多少は定まりにくくなるはずだから。
 精密機械ゆえに、人の揺らぎを欠いている……と、思いたい。動揺でまだ鼓動が跳ね続けるシビラの心、露知らず――と、誰が言ったか。
 此方へと大砲を向けて全力で走ってくる戦車が、空に浮かぶ不思議な陣形によって突然動きを止めたものだから。露はすぐにだいすきな彼女の手助けを知る。
「ありがと、レーちゃん♪」
 この距離からでは聞こえない感謝の想いも、伝わっていると確信していた。己のリミッターを解いて、精霊と繋がる肉体の限界を超えていく。息をこれでもかというほど胸に取り入れて、狼が吠える。
 ――るぉおおん。
 本来の遠吠えよりも圧縮されたそれが、焔を宿した紅色の波動を放つ。少女の幼く見える外見からは想像もつかない魔法が直線をまっすぐ焼いて、斬撃が砲弾を真っ二つに断っていく。戦車が明らかにぐらぐらと揺れているのを見遣れば、大声で自分の名前を叱りつけるように叫ぶ声が届いた。
「露!!」
「あれ? なんで怒ってるのレーちゃん」
 きょとんとした表情で瞬きする露に、シビラは珍しく声を荒げて焦りを隠さない。
「君は馬鹿か!? 突然無防備に相手に駆け寄るなんて……!」
「相手が武器を持たずに笑顔で向かってきたら、戸惑うといいなって」
 ちょっとした思いつきだけど、うまくいったみたい。小首を傾げて笑む友人に、シビラは大きくため息をつく。その間も魔導書の頁は開かれ続けていて、次々に墜ちてくる砲弾の群れを重力操作で右へ左へ。壮絶な爆発音がする中、やれやれ、とシビラは呆れ顔を見せた。
「今度やる時は、先に言ってくれないか。すぐに対応できないこともある」
「うーん、そうね。心配かけてごめんなさい」
 素直に謝りつつも、露は内心ちょっぴり嬉しくて。口にしてはまた叱られてしまうから、次の遠吠えの準備を始める。露の意図を察したように、シビラは再び重力魔法を重ね掛けていく。
「私がもう一度援護する、思いっきり吠えろ」
「ええ、任せて♪」
 まっすぐに、紅蓮彩の斬撃刃が飛ぶ。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

佐藤・和鏡子
斬刑のユーベルコードで消防斧の威力を上げて、私のところに飛んできた砲弾を受け流すようにして防ぎます。(武器受け)
まともに防ごうとすればこちらが吹き飛ばされるのが落ちですから。
驚きましたか?実は私も機械の身。同じ機械同士だから分かるんですよ。
あなたの考えは。
(彼岸花の花びらを舞わせながら)この彼岸花は地獄花とも呼ぶそうです。
この最終戦争の場に相応しいと思いませんか?
遊び相手が欲しかったんでしょう?私が遊び相手になってあげますよ。
同じ機械同士、どちらかが壊れるまで遊びませんか?
※アドリブ・連携大歓迎です。どんどんやって下さい。


丸越・梓
アドリブ、マスタリング歓迎
NG:味方を攻撃する
_

言葉は解らない。
…けれど、その凄まじい砲撃はいっそ無邪気な程で
駆け回るその姿は仔犬のようで
『わんわん!』とでも、聞こえてきそうな…

なんて奴の砲撃を寸でで躱し、縦横無尽に戦場を賭けながら頭の片隅で思考していたが
「……ッ」
放たれた大量の戦車砲の砲弾に飲み込まれる
──と見せかけて、咄嗟にオーラ防御で対処
爆風に外套はためき
不敵に瞳を細めてみせて

最終戦争だと、上等だ
俺が降らせるは"夜"
静謐に輝くは我が支配下
「──俺は、死なんぞ」
彼の言葉は解らない
けれど遊び足りない仔犬にしか見えない
ならば奴が満足するまで相手をするしかなかろう
──刃を抜く
奔るは神速の剣閃


 随分と傷だらけになった鋼の駆体を、少女はそうっと菫色の瞳に映す。まだ何ひとつ諦めていないような素早い動きから、彼が確実に此方を感知したのがわかる。
「来ます」
「ああ」
 交わした言葉はたったそれだけ。男が少女と短いやりとりをしたと同時、戦車の砲台の群れが激しく火を噴いた。晴れ渡った空を埋め尽くすように、既にぼろぼろの大地を抉るように、砲弾の土砂降りが墜ちてくる。
 黒でひと揃いされたスーツにコートの端を靡かせて、丸越・梓は縦横無尽に戦場を駆け抜ける。すんでのところで砲撃を避けながら、一心不乱にキャタピラを疾駆させ爆撃を続ける戦車に視線を遣った。彼の言葉は解らない。けれど、凄まじい砲撃の雨はいっそ無邪気。駆け回るのは尻尾を振って雪の庭を喜ぶ仔犬のよう。
(わんわん、とでも聞こえてきそうだな)
 なんて、頭の片隅で思考していた男めがけて、ふいに戦車砲が集中する。降り注ぐ雨は苛烈で、梓はあっさりと飲み込まれる。戦車はそう予測し、知覚し、判断したはずだった。
「これは、相当わんぱくだな」
 咄嗟の判断で纏った夜色のオーラが、砲撃をぎりぎりで弾き飛ばす。ひどい爆風の中ではためく外套は優美で、黒曜の眼差しが不敵に細められる。共に戦場に降り立った少女は無事だろうか、と彼女の存在を少しばかり気にしてしまうのは、おさない弟妹のための長兄であったから。
 きゅらきゅら奔る戦車が雨を降らせると同時、佐藤・和鏡子は痛みを終わらせる為の形態に変化する。
 随分と古めかしい時代の看護衣装に、ましろの帽子を被った少女の手には、白衣の天使には似つかわしいほど真っ赤に染まった斧が握られている。狙いすまされたいくつもの弾道の着弾寸前、和鏡子は細い腕で斧を振るう。頑丈な赤刃に触れたと同時、流れるように軌道を変えた戦車砲があちこちで爆発を引き起こす。
 まともに防ごうなんて思ってない。そんなことをしてしまえば、華奢なこの身が吹き飛ばされるのがオチだから。そうして少女はふわりと笑んだまま、戦車へと呼びかける。
「驚きましたか? 実は私も機械の身」
 同じ機械同士だから分かるんですよ、あなたの考えは。少女の軽やかな受け流しに、梓が感心するように微笑を浮かべる。
「君に驚かされたのは俺かもしれんな」
「ふふ、ありがとうございます。あの子も驚いてくれたならいいけど」
「動きは止まっている、十分さ」
 さて、ここからが二人の反撃。梓の瞳がくらく輝いた。戦車が放つ砲弾雨の惨状は、最終戦争などと呼ばれるらしい。ああ、ならば上等。男が降らせるのは“夜”なのだから。
 ――あわく輝く蝶が舞う。戦車砲が降りしきる世界を、音もなく忍び寄った闇夜がぶわりと包む。侯爵の支配する空間が整えば、次は君だと梓が和鏡子に頷いた。
「素敵な夜ですね」
 ふわり、地を蹴った爪先が宙に浮く。彼岸花のあかい花弁がはらはらと舞って、蝶々と共に静謐の夜を彩っている。
「彼岸花は、地獄花とも呼ぶそうです。この最終戦争の場に相応しいと思いませんか?」
 淡い銀髪は星に似て、少女は尋常ではない速度で空を駆けていく。負けじと戦車も砲撃の雨を降らすものの、和鏡子は踊るような羽ばたきで躱してしまう。一気に距離を縮めたミレナリィドールが斧をここのつ振り下ろせば、あちこち傷ついた車体が更にぎぃぎぃ音を立てる。
「遊び相手が欲しかったんでしょう? 私が遊び相手になってあげますよ」
 ――同じ機械同士、どちらかが壊れるまで遊びませんか?
 やわらかな誘いに乗るように、戦車が震えて砲撃を撒き散らす。間近で直撃を喰らいかけた少女はなんとか身を翻したものの、その脚はぱきぱきと罅割れている。肌の欠片をちかちかと軌跡として遺しながら、爆風に揉まれてちいさな身体が上空へ浮上した。
 少女が吹き飛んだ直後、梓も戦車へと駆ける。彼の言葉はやはり解らない。けれどどうしても、遊び足りない仔犬にしか見えなかったから。
 ならば、奴が満足するまで相手をするしかなかろう。
 此方へ迫る男が生体感知に引っかかって、知覚した瞬間に戦車砲が梓へと牙を剥く。無数の砲弾を弾き返す夜色のオーラも、全てを防ぎきることは叶わない。それでも、魔王の脚が止まることはなかった。
「――俺は、死なんぞ」
 今度は間違いなく直撃だろう、ならば斬り捨てるか。そう判断しかけた眼前に、彼岸花が舞う。凄まじい勢いで振り下ろされた斧が砲弾を断ち切った。
「私が道をつくります、このまま走って!」
 先を飛ぶ和鏡子の言葉の通り、まっすぐに戦場を駆け抜ける。勢いよく跳躍して抜かれた刃がひかって、神速の剣閃が夜を照らす。
 いち、に、さん、し、ご、ろく、なな、はち、きゅう。
 蝶々と地獄花が彩って、斬撃の雨を咲かせた。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

ヴィクティム・ウィンターミュート
───ハッ!そんなに面白いものが見たいのかい?
いいだろう、派手な魅せ方ってのを教えてやるぜ
お前の知らない、名も無き英雄の御業でな

長射程の速射に対して、俺はガンマンよろしく撃ち合いを申し込む
自己【ハッキング】、サイバネオーバーロード
反射神経と行動速度を極限まで研ぎ澄まして、銃を抜く
お前だけが頼りだ──『そして、全ては魔弾が黙らせた』
抜き打ちと共に砲弾にぶっ放す
停滞と鎮静…即ち、砲弾はこの場で停止する
やれやれ、危なかったぜ…本当にな

呆けてる場合じゃねえぜ
すぐさま2発目をクソ戦車に撃ち込む
これ以上何もするな 使われるべきじゃない兵器は、ここで停まれ
未来永劫、この世界を走ることは無いだろうよ


柊・はとり
奴の言葉は聞き取れないが
第六感で感情は何となく解る
厄介だな

驚きの回避法とかは思いつかないが
「避けない」事で驚かせるなら出来る
一歩も動かない勇気と覚悟を持ち
奴のじゃれつきを受けてやろう
手足が少し位吹き飛んでも俺は動ける

驚いてる隙に上に飛び乗りUC使用
『こんにちは コキュートスです
あなたの名前を教えてください』
俺らに言葉が伝わらなくても
録でもない兵器同士なら
案外会話出来るんじゃないか

一応言語翻訳機能を使ってみる
俺にもこいつの言葉が判ればいいが

少しの間だが一緒に遊んでやろう
砲撃させずその辺りを適当に走る
楽しいか?そうか

だが俺もお前を止めなくちゃならない
解ってくれるな
…すまない
剣を通し氷属性攻撃で冷凍


 破損した部品の数々を剥き出しにして、それでも戦車の動きは止まらない。
 まだ、まだ止まれない。言葉はなにひとつ聞き取れないのに、柊・はとりにはそんな風に彼の感情がわかってしまった。
「厄介だな」
 高校生探偵の呟きをよそに、端役のハッカーはぎゅるぎゅる走り回る戦車を笑いとばす。
「───ハッ! そんなに面白いものが見たいのかい?」
 ヴィクティム・ウィンターミュートの表情は、ひどく好戦的だった。足りないなら、満足するまで付き合ってやればいい。遊びの時間を終わらせてやるのは、仔犬の躾をする飼い主の役目だろうけど。
「いいだろう、派手な魅せ方ってのを教えてやるぜ」
 お前の知らない、名も無き英雄の御業でな。ヴィクティムが告げたと同時、レーダーが少年二人のつめたい体温を捕捉する。かたや鋼の籠った肉体、かたや氷の屍人であろうとも。生きている、それは明確に戦車から知覚されていた。
 二人に向かってじぐざぐに奔りだしたそれは、ぼろぼろの駆体とは思えぬほどの俊敏さを見せる。砲口が此方を狙っているのに気付いて、はとりはヴィクティムに、なぁ、と呼びかける。
「驚きの回避法とかは思いつかないんだが、あんたは?」
「ま、一応策はある」
「そうか。俺も驚かせる方法なら案がある。先にやってみてもいいか」
 氷の魔剣を起動させながら、ほとんど決定事項に近い問いかけを口にする探偵に、端役はまた笑う。
「しょうがねえ、とっておきは後にしてやるさ――お先にどうぞ」
 芝居がかったお辞儀と共にヴィクティムが飛び退けば、戦車の狙いははとりにのみ定まる。正確無比の戦車砲が一気に白装束の少年めがけて、音より速く放たれた。さて彼はどうするのか、とヴィクティムが見物していれば、はとりは一歩も動こうとはしない。
「『避けない』ことで驚かせるなら、俺でも出来る」
 大きすぎる仔犬のじゃれつきは凄まじい威力で少年の躰を撃つ。粉塵の中、眼鏡のレンズが晴天を反射したのを知覚して、戦車の動きもぴたりと止まった。瞬間、はとりは地を蹴って魔剣をばね代わりに跳躍、砲台のいくつかが壊れた戦車の上に飛び乗った。右足首が吹き飛んで、左腕はぽっかり無くなった身は、少しだけバランスが取り辛い。鋼に突き刺さった魔剣のAIが、淡々と喋りだす。
『こんにちは コキュートスです あなたの名前を教えてください』
 ヒトに言葉が伝わらずとも、これは禄でもない兵器同士。AIへの呼びかけひとつで、言語翻訳機能を起動させる。
『わんわん! わんわん! ――以上です』
「お前本当に使えないな」
 げんなりとした表情を見せた主に、AIが言葉を続ける。
『楽しい もっと 遊びたい さみしい お母さん ――以上です』
 薄氷彩のちいさな瞳が開かれる。そうして、そうか、と一言呟いて。魔剣の動力が青く稼働すると、戦車そのものが動き出す。操縦は此方が全て握っている、砲撃など一切させるものか。その代わり、少年は縦横無尽に戦車を走らせる。
「楽しいか?」
『わんわん! わんわん! ――以上です』
「そうか」
 長時間の自動操縦は、はとりの短いいのちを更に縮める。それを知ってか知らずか、次第に戦車の動きががたごとと異音を鳴らしだす。ち、と舌打ちして咄嗟に魔剣にしがみつけば、戦車の目的がヴィクティムであることに気付く。
「悪い、もう俺と遊ぶのに飽きたらしい。そっちに行く」
 はとりの声が聞こえたか、ヴィクティムは軽く手を挙げる。随分と無茶をする奴だと思ったが、主役とはそういったものだとようく知っている。ならば此方は、戦車がもっと魅せられるように、誇れる友の力を借りるまで。
 先程目にした尋常ならざる速射に対して、少年は撃ち合いを申し込む。西部劇のガンマンだって腰を抜かす、そんな御業をこの手に宿そう。
 無数の零と一で埋めつくされた紫の視界は、ヴィクティム自身の脳と肉体にハッキングを仕掛けた。極限まで研ぎ澄まされていく反射神経と行動速度は、僅かな電気信号の痛みを奔らせるけれど、この程度で震える腕ではない。
 はとりを乗せたまま此方へ向かう戦車の、遺った砲台がはっきりと己を狙っている。青い双眸は静かに敵を見据えたまま、ぽつり、言葉をもらす。
「お前だけが頼りだ、」
 ――そして、全ては魔弾が黙らせた。
 静かの国で眠る友への祈りを乗せて、抜き打ちで構えた銃がまっすぐに砲弾へと引き金を引く。停滞と鎮静の概念を詰めた魔弾が被弾した砲撃は、その場で地に墜ち、爆発すら起こさない。
「やれやれ、危なかったぜ……」
「そうか?」
「本当にな」
 驚きで急停止した戦車の上で、血肉を落としながらはとりが首を傾げると、ヴィクティムは肩を竦める。すぐさま大剣を深く突き刺しながら、探偵は絶対零度を機体に注ぎ込む。
「俺もお前を止めなくちゃならない、解ってくれるな」
 すまない、とこぼした呟きへか、冷凍化への反応か。激しく揺れ出す戦車へと、端役は二発目を近距離で撃ち込む。
「これ以上何もするな。――使われるべきじゃない兵器は、ここで停まれ」
 内部を抉る魔弾が、氷と共に戦車を眠らせる。がたがたと震えていた機体がようやく動きを止めると、もう二度と動かなかった。
「眠ったか」
「ああ。未来永劫、この世界を走ることは無いだろうよ」


 ワルツというには残酷で、ダンスというには苛烈な舞台。
 結局一番楽しく遊んでいたのは、兵器だったかもしれないが。

『わんわん!』

 ――彼の楽しかった遊びの時間は、これでおしまい。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

最終結果:成功

完成日2021年09月16日
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